JP4478918B2 - 分割ステータコアの巻線装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、回転電機の分割構造によるアウターロータ型のステータコアに巻線を施す巻線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
先行技術として、図1ないし図4に示すように、ヨーク部1、磁極部2および爪部3からなる磁極単位に分割したコア素子4を、ヨーク部分1で相互に円周方向に所定範囲で可動となるように結合させて一体に組み付けるようにした回転電機のアウターロータ型のステータコアにあって、従来のように圧入によることなく、各コア素子を円状に並べた状態で一体的な組付けを一度に容易に行わせることができるようにしたものが開発されている(特願2001−402936参照)。
【0003】
各コア素子4には、ヨーク部1の一方側の上段に下方突出腕部5が、その他方側の下段に上方突出腕部6がそれぞれ設けられている。
【0004】
そして、下方突出腕部5には切り欠き7が、上方突出腕部6には切り欠き8がそれぞれ形成されており、図2に示すように、隣接するコア素子4における各対向する下方突出腕部5と上方突出腕部6とが互いに隣接方向(円周方向)に所定の範囲Dをもって移動可能に係合できるようになっている。
【0005】
しかして、図3および図4に示すように、所定数のコア素子4をそれぞれの下方突出腕部5と上方突出腕部6とを円周方向に移動可能なように係合させた状態で円状に並べた状態で、周囲から円の中心に向かって微小な力fを加えて円を小さくするように各コア素子4を動かすことにより、各隣接するコア素子4間における下方突出腕部5と上方突出腕部6とが結合状態となって、ステータコア9としての一体的な組み付けをいっぺんに行わせることができるようになる。
【0006】
そして、それは、各磁極の爪部3を最大限にまで大きくして各爪間の隙間を狭くすることによって空隙の磁束分布特性を良好にして出力効率を向上させるようにしている。
【0007】
各磁極の爪部3を最大限にまで大きくするのでは、一体的に組み付けられた状態で各爪部3のあいだに巻線を通すために充分な隙間を確保することができないために、組み付けを行わせる前に、図5に示すように、コア素子4の磁極部2および爪部3の部分にボビン10を組み付けて、そのボビン10に巻線11を予め巻装させておき、組み付け後に各巻線間の結線処理を行わせるようにしている。
【0008】
また、従来、各コア素子ごとに予め巻線を施しておくことなく、特殊な巻線装置を用いることによって、分割された各コア素子をライン状に並べておいて、各コア素子に連続的に巻線を施していくようにしたものがある(特開平2002−64962号公報参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、一体的に組み付けられた状態では各コア素子における爪部のあいだに巻線を通すために充分な隙間を確保することができない分割型のステータコアにあって、予め各コア素子にそれぞれ巻線を施しておき、組み付け後に各コイル端の結線処理を行わせるようにするのではその作業が煩雑になってしまうことである。
【0010】
また、分割された各コア素子をライン状に並べておいて、各コア素子に連続的に巻線を施していくようにするのでは、特殊な巻線装置を用いる必要があるとともに、その連続的に巻線が施された各コア素子のとりまわしが悪く、それを一体的に組み付ける際の作業性が悪くなってしまうという問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁極単位に分割したコア素子をヨーク部分で相互に円周方向に所定範囲で可動となるように結合させて一体に組み付けるようにした回転電機のアウターロータ型のステータコアにあって、各コア素子における爪部のあいだに巻線を通すために充分な隙間を確保することができないように一体的に組み付けられた状態でも、何ら特殊な巻線装置を用いることなく、一般的な巻線装置によって巻線を施すことができるような分割ステータコアの巻線補助装置を提供するものである。
【0012】
具体的には、巻線装置の駆動軸に取り付けられたステータコアをその駆動軸によって1磁極分ステップ送りしながら爪部間に銅線を通して巻線を順次連続的に巻装していくに際して、駆動軸の回転に同期して、各コア素子が相互に円周方向に所定範囲で可動となるように結合されて一体に組み付けられているステータコアを部分的に順次外方に押し広げる手段を設けて、部分的に押し広げられたコア素子の爪部間に巻線を施すのに必要な隙間を確保するようにしている。
【0013】
【実施例】
本発明による分割ステータコアの巻線装置は、駆動軸に取り付けられたステータコアをその駆動軸によって1磁極分ステップ送りしながら、爪部間に銅線を通して磁極部分に巻線を順次連続的に巻装していく巻線装置にあって、駆動軸の回転に同期して、各コア素子が相互に円周方向に所定範囲で可動となるように結合されて一体に組み付けられているステータコアを部分的に順次外方に押し広げるための手段が、具体的に図6ないし図10に示すように構成されている。
【0014】
それは、駆動軸12に一体に取り付けられた円形状の台座13と、その台座13に円の中心に向かってスライドできるようにスライド部材14を介して取り付けられ、分割型のステータコア9の各コア素子4に対向してその内側にそれぞれ当接するように配されるロッド15と、駆動軸12と同一軸心をもって配され、固定側に取り付けられたリング状のカム16と、そのカム16の周面をならうように各ロッド15の端部にそれぞれ取り付けられたローラ17と、その各ローラ17を常時カム16の周面に押し付けるように設けられたスプリング18と、ステータコア9を台座13上に保持させるキャップ19とからなり、カム16の凸部分に当接しているローラ17を介して対応するロッド15がスライドしてステータコア9を部分的に外方に押し広げるように構成されている。
【0015】
台座13には、ステータコア9における各コア素子4に対応して、スライド部材14がスライドできるガイド溝20が放射状に形成されており、そのガイド溝20のガイド用突起201にスライド部材14側の凹溝141が遊嵌するようになっている。そして、そのスライド部材14側にロッド15が左右に回動できるように枢支されている。
【0016】
スプリング18は、ローラ17の取付軸21と台座13に設けたピン22との間に装架されている。
【0017】
また、台座13には、その周縁部に複数のピン23が立てられて、台座13上に載置されるステータコア9の位置決めを行わせるようにしている。
【0018】
台座13は、ボルト24によって駆動軸12側に取り付けられている。
【0019】
キャップ19には、図11に示すように、ステータコア9を台座13側に押さえつける部分191およびステータコア9の部分的な広がりを許容する部分192が形成されている。
【0020】
図12は、前述した図4に示す場合と同様に、コア素子4が相互に円周方向に所定範囲で可動となるように結合されて一体に組み付けられているステータコア9を示している。ここでは、各コア素子4のヨーク部1にロッド15側の突起151が嵌合する溝25が形成されている。
【0021】
図13は、卵形をしたカム16の形状に応じてステータコア9が部分的に外方に押し広げられた状態を示している。ここでは、定位置で巻線が施される箇所にあるコア素子41の部分が外方に押されて、両側に隣接するコア素子42,43との間に巻線を施すのに必要な爪部3の隙間Sがそれぞれ確保されることになる。その隙間Sは、巻線装置によってコアガイドを介して巻線を施すのに必要な要件3mm以上を満足するようになっている。
【0022】
この図13に示す状態で、固定位置にあるカム16の周りにステータコア9がカム16の形状にならうように1磁極分(1つのコア素子分)ずつ順次ステップ送りされていくことによって、定位置で巻線が施される箇所に送られてくるコア素子4の部分が順次外方に押し広げられて、各コア素子4に巻線が連続的に巻装されていくことになる。
【0023】
ステータコア9の全てのコア素子4にわたって巻線が施されたのち、台座13にステータコア9を載せたまま、図10のA部分をカム16から取り外して、各隣接するコア素子4間における下方突出部5と上方突出部6との結合部分に形成される穴26(図12参照)にピン(図示せず)を打ち込むことによって、ステータコア9が一体的に組み付けられる。その後、一体となったステータコア9を台座13から取り外す。
【0024】
なお、ステータコア9に巻線を施す巻線装置本体としては、一般的なものが用いられる。図中27は、駆動軸12を駆動する巻線装置本体側の駆動部である。
【0025】
【発明の効果】
以上、本発明による分割ステータコアの巻線装置によれば、駆動軸に取り付けられたステータコアをその駆動軸によって1磁極分ステップ送りしながら、爪部間に銅線を通して磁極部分に巻線を順次連続的に巻装していくに際して、空隙の磁束分布特性を良好にして出力効率を向上させるべく各コア素子における爪部を最大限にまで大きくして各爪部間の隙間を狭くするようにした分割型のステータコアにあっても、何ら特殊な巻線装置を用いることなく、一般的な巻線装置によって一体に組み付けられた状態のままでステータコアの各磁極部分に巻線を連続的に施すことができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】円周方向に所定範囲で可動となるように結合されて一体に組み付けられる分割型ステータコアにおけるコア素子の基本的な形状を示す正面図である。
【図2】そのコア素子が相互の上方突出腕部および下方突出腕部によって結合した状態を示す正面図である。
【図3】そのコア素子を円状に複数並べた状態を示す正面図である。
【図4】そのコア素子を円状に複数並べて一体に組み付けた状態を示す正面図である。
【図5】そのコア素子に巻線を施した状態を示す正断面図である。
【図6】本発明による分割ステータコアの巻線装置の一実施例を示す正面図である。
【図7】本発明による分割ステータコアの巻線装置の一実施例を示す正断面図である。
【図8】その一実施例における台座およびそれに取り付けられるロッド、ローラおよびスプリング部分の分解斜視図である。
【図9】ロッド、ローラおよびスプリングが装着された台座の駆動軸への取り付け状態を示す分解斜視図である。
【図10】その一実施例による分割ステータコアの巻線装置の分解斜視図である。
【図11】キャップを下側からみた斜視図である。
【図12】本発明に係る一体に組み付けられた分割型のステータコアの平面図である。
【図13】本発明に係るステータコアが台座に載置されて部分的に外方に押し広げられた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ヨーク部
2 磁極部
3 爪部
4 コア素子
12 駆動軸
13 台座
14 スライド部材
15 ロッド
16 カム
17 ローラ
18 スプリング
19 キャップ

Claims (1)

  1. 駆動軸に取り付けられたステータコアをその駆動軸によって1磁極分ステップ送りしながら、爪部間に銅線を通して磁極部分に巻線を順次連続的に巻装していく巻線装置にあって、駆動軸の回転に同期して、磁極単位に分割した各コア素子が相互に円周方向に所定範囲で可動となるように結合されて一体に組み付けられているステータコアを部分的に順次外方に押し広げていく手段を設け、その手段が、回転可能な軸に一体に取り付けられた円形状の台座と、その台座に円の中心に向かってスライドできるように取り付けられ、各コア素子に対向してその内側にそれぞれ当接するように配されるロッドと、前記軸と同一軸心をもって配され、固定子に取り付けられたローラと、その各ローラを常時カムの周面に押し付けるように設けられたスプリングとからなり、カムの凸部分に当接しているローラを介して対応するロッドがスライドしてステータコアを部分的に外方に押し広げるようにしたことを特徴とする分割ステータコアの巻線装置。
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