JP3954173B2 - ピット据付形調速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータ乗りかごの異常降下防止に用いられるピット据付形調速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9(a)は、従来のピット据付形調速機の一例を示す図、図9(b)は、(a)のG−G断面拡大図、(c)は、(a)のH−H断面拡大図である。
図9(a),(b),(c)において、エレベータが設置されたビルの一角に形成された昇降路22の上端に設けられた機械室20の床20aの一角には、ピット据付形調速機の一部を構成する上部案内車2Aが、支持枠2aの上部に貫設された軸と軸受を介して取り付けられている。この上部案内車2Aの外周に形成された溝には、無端状の調速機用ロープ4の上部が巻装され、この調速機用ロープ4は、昇降路22を垂下している。
【0003】
この調速機用ロープ4の中間部の片側に形成された接続部は、昇降路22を昇降するかご1の下部に対して、連結棒1aを介して繋止されている。
【0004】
昇降路22のピット21の壁面には、図9(b)に示すように、横断面が凸字状に折り曲げられた案内レール8Jが縦設され、複数のアンカボルトと図示しない取付金具などを介して昇降路の壁とピットの床に固定されている。
【0005】
この案内レール8Jの下部の前方には、側面が逆U字状に形成され調速機本体3Bの主枠を構成する支持枠3aが設けられ、この支持枠3aの内部には、調速機主輪2Bが軸と軸受を介して挿入されている。
【0006】
この調速機主輪2Bには、無端状の調速機用ロープ4の下部が巻装され、この結果、調速機主輪2B及び支持枠3aと調速機主輪2Bに設けられたキャッチ3bなどで構成する調速機本体3Bは、調速機用ロープ4で吊り下げられ、この調速機用ロープ4に所定の張力を付与している。
【0007】
支持枠3aの上端面には、側面L字形に形成された案内支持板9Bの下端が固定され、この案内支持板9Bの背面側の上下左右には、図9(b)において略コ字状に形成されたガイドシュー5Cが左右対称的に固定され、これらのガイドシュー5Cの対向側に形成された溝には、先述した案内レール8Jの左右の端部が遊嵌している。
【0008】
案内レール8Jの前面の中央には、図9(c)で示すように歯の片側が垂直に形成されたラック棒状のラチェット12Bが縦に設けられ、案内レール8Jの前面に背面側が固定されている。
【0009】
案内支持板9Bの中央右側には、ラチェット12Bと対向して図示しない長方形の角穴が形成され、案内支持板9Bの前面には、図9(a)においては上下方向に長い角筒状の支持枠10の基端が溶接で固定されている。
【0010】
この支持枠10の中央部には、軸11Bが横に貫設され、この軸11Bは、支持枠10の中央部に遊嵌された爪13の中間部を横に貫通している。この爪13の先端は、図9(c)に示すように、前述したラチェット12Bの歯の下面に係合している。
【0011】
支持枠10の下部には、圧縮コイルばね7が挿入され、この圧縮コイルばね7の上端面は、爪13の基端の下面に図示しないばね受座を介して係止されている。支持枠10の上端には、めねじ穴が縦設され、このめねじ穴には、ストッパボルト6が上方から螺合され、このストッパボルト6の下端は、爪13の基端の上面を押圧し、この結果圧縮コイルばね7は僅かに圧縮されている。
【0012】
このように構成されたピット据付形調速機においては、かごの下降速度が規定値を超えると、調速機本体3Bに設けられたキャッチ3bが図10で以下説明するように動作して、調速機用ロープ4が調速機主輪2Bの外周面にシューにより押し付けられ、拘束される。この拘束により、調速機用ロープ4と調速機主輪2Bの回転とかごの下降を停める。
【0013】
すなわち、図10で示したように、調速機主輪2Bには、この調速機主輪2Bのスポークに対して、振子14の片側が揺動自在に対称的に軸支され、図10において左側の振子14の中間上部と右側の振子14の上端は、帯板状の連結板18で連結されている。
【0014】
左側の振子14の下端には、右端が調速機主輪2Bのスポークの位置に設けられた案内部を貫通した案内棒23の左端が連結され、この案内棒23の中間と案内部の間には、小形の圧縮コイルばね22が挿入され、中間部に螺合されたナットやばね受け座などで所定の圧力に圧縮されている。
【0015】
主輪2Bと一体の主輪軸 19 には、ラチェットホイール 15 が回転自在に取り付けられており、このラチェットホイール 15 の周縁部には長いリンク24の右端が連結されている。このリンク24の中間部から先端に形成された小径部には、上端が軸を介して支持枠3aの左側下部に支持されたシューベース16aの下端を貫通している。符号16は、シューベース16aに固定された拘束用のシューを示す。
【0016】
シューベース16aの下部に貫通したリンク24の小径部には、大形の緩衝ばね33が遊嵌され、小径部に挿入されたばね受けやダブルナットなどで所定の圧力に圧縮されている。
【0017】
このように調速機本体3Bが構成されたピット据付形調速機においては、かごの下降速度が所定の値を超えると、この結果図9,図10において反時計方向に高速で回転する調速機主輪2Bに伴い、振子14 の重心14bから矢印Fで示す方向の遠心力が増える。そして、この遠心力による振子14の支軸14cを中心とした反時計方向の回動力が、ばね 22 の反発力を超えると、左右の振子14は支軸14cを軸に反時計方向に揺動する。この揺動に伴い、これら振子14の先端端部 14 aはラチェットホイール 15 と係合し、ラチェットホイール 15 を反時計方向に回動させ、リンク24を右方向に引張る。
【0018】
この結果、シューベース16aを介してシュー16も右側に押し付けられて、調速機用ロープ4は制動され、拘束される。調速機ロープ4が拘束されると、図9で示したかご1の下端に片側が軸支された連結棒1aは、かごに対して相対的に反時計方向に揺動して、かご1の左右に設けられた図示しない非常止め機構が駆動され、図示しないガイドレールに押し付けられて、かご1の下降が停止される。
【0019】
すると、この急停止の過程において、下降中のかご1の慣性で調速機本体3Bは、図9(a)において右側のロープによって持ち上げられるが、この動作は、ラチェット12Bの歯に先端が係止された爪13によって阻止される。
【0020】
図11は、従来のピット据付形調速機の図9と異なる一例を示す図で、(a)は、前述した図9(b)に対応する横断面図、(b)は、(a)の前面図で図9(a)に対応する図(但し、機械室や上部案内車を省く)、(c),(d)は(a)のG−G断面図である。
【0021】
図11(a),(b),(c),(d)において、前述した図9と大きく異なるところは、案内レールとラチェットを共用としたことと、このラチェットに係合する爪の取付構造である。
【0022】
すなわち、支持枠3aの上端に固定され、側面L字形に形成された支持板9Aの背面には、案内ブロック17Aが固定されている。この案内ブロック17Aの左右には、上下に貫通するコ字状の溝が対称的に形成され、この溝には、図11(a)においてコ字状に形成されたガイドシュー5Aが挿入され、案内ブロック17Aに接着剤で接合されている。
【0023】
案内ブロック17Aの背面には、図11(a),(c)においてL字形に形成された支持枠10Aの左端が固定され、この支持枠10Aの右端には、右側面がコ字状となる曲げ部が上下に形成されている。
【0024】
支持枠10Aの中間部のやや右側には、前後方向に貫設されたピン11の基端が溶接で固定され、このピン11の先端には、爪13の中間部が揺動自在に支持されている。
【0025】
支持枠10Aの右端の上部の曲げ部には、ストッパボルト6が上方から螺合され、支持枠10Aの右端の下部の曲げ部の上面と爪13の後部の下面との間には、圧縮コイルばね7が挿入されている。
【0026】
一方、ピット21の床には、厚い帯板状の案内レール8A,8Bが共通の支持枠を介して立設されている。これらの案内レール8A,8Bは、前述したガイドシュー5Aに上部の対向部が嵌合し、案内レール8A,8Bの上端は、この上端の両側に添設された図示しない帯板状の連結板で互いに固定されている。このうち、右側の案内レール8Bの上部の右側には、ラチェット部が形成されている。
【0027】
このように構成されたピット据付形調速機においても、図示しないかごの下降速度が規定値を超えると、調速機本体3Aのキャッチ3bが作動し、調速機用ロープ4をシューと調速機主輪の外周の間で把持拘束して、かごの下降を停止し、このとき、爪13の先端が案内レール8Bに形成されたラチェット部に係合して、調速機本体3Aの上昇を阻止する。
【0028】
また、このように構成されたピット据付形調速機においては、案内ブロック17Aの両側に形成される溝は、切削加工によって形成され、左右の溝の相互間の平行度や同心度を容易に得ることができるので、製作や組立及び据付時の調整が容易となる。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このうち、前者の図9で示したピット据付形調速機においては、案内レール8Jが板材からの折り曲げで製作されるために、特に精度が要求される両側のガイドシューの嵌合部の精度がばらつくおそれがある。
【0030】
なぜならば、一般に板の曲げ角度は、たとえ同一曲げ条件のプレス機であっても、板の厚さの僅かな誤差や成分によっても異なるからである。そのため、ガイドシューに嵌合する両端の平坦度を全面に亘って高精度に保つためには、何回もプレス機に取り付けて修正しなければならない。
また、調速機ロープ4の拘束時、調速機本体3Bの上昇をラチェット 12 Bと爪 13 との係合により抑止しているが、このときの上昇力は片側(図の右側)に片寄ったものとなる。このためラチェット 12 Bを取り付けた案内レール8Jには、強いねじれ力が加わり、ラチェット 12 Bと爪 13 との係合が外れてしまうことがある。これを防止するには、案内レール8Jを板厚の厚いもので形成し、これを昇降路壁面にアンカーボルト等で強固に取り付ける必要がある。
しかし、このような構成は、全体の大形化、重量化をもたらし、昇降路等に与える影響も大きくなる。
【0031】
また、図9,図11のいずれの調速機本体においても、支持枠3aと昇降路22の壁との間に対して、図9(b)及び図11(a)に示すように案内レール8J,8Aや案内ブロック17Aとガイドシュー5A,5Cなどを設けているので、昇降路の横断面に占める調速機本体の幅が増え、その結果昇降路の床面積が増える。
【0032】
一方、都市のビルに設置されるエレベータでは、建物に占める昇降路の床面積は、他の業務用室の占有比率を上げるためにますます狭くなる趨勢にある。
【0033】
さらに、エレベータの据付調整試験や保守・点検時には、調速機ロープ4をシュー16で拘束して、かご1の非常止め機構の動作特性、すなわち、所定の下降距離で停止するか否かを確認するために、振子14を強制的に反時計方向に揺動させて、振子4の爪をラチェットホイルの爪に係合させている。
【0034】
その場合には、振子14を揺動させるために、棒などを使って図10の矢印Fで示す方向に押し、圧縮コイルばね22を圧縮し、振子14の先端14 aをラチェットホイール15の爪に係合させている。
しかし、この作業は、調速機主輪2Bが回転するので、細心の注意を要する。
【0035】
また、図11で示したピット据付形調速機においては、この調速機のシューが作動したときに働く調速機本体の上昇力を爪13とともに受けるピンと支持枠10Aを強固な構造としなければならない。
【0036】
それでも、爪13の先端と案内レール8Bのラチェット部にかかる力の反力で、支持枠10Aが僅かにねじれて変形すると、ピン11が傾くので、爪13の先端が横に滑って、案内レール8Bのラチェット部から外れるおそれがある。
すると、調速機本体が持ち上げられるので、かごの非常止め装置の作動が遅れるおそれがある。
【0037】
そのため、案内レール8Bのラチェット部の歯と爪13の先端との隙間を減らして、横に逃げるおそれを軽減する方法も考えられるが、すると、組立時の調整に時間がかかり、このエレベータが設置される建物の他の工事によって制約された期間内には作業を終えることができなくなるおそれもある。
そこで、本発明の目的は、ロープ拘束時における本体の上昇を確実に防止でき、かつ昇降路の床面積の増加を防ぎ、据付や保守・点検の容易なピット据付形調速機を得ることである。
【0038】
【課題を解決するための手段】
請求項1に対応する発明のピット据付形調速機は、上部の案内車と下部の主輪とに掛け渡され中間部が乗りかごに連結された無端状のロープを有し、前記乗りかごの降下速度が所定以上となると前記主輪及びロープを拘束する調速機本体を備えたピット据付形調速機であって、前記調速機本体の支持枠の両側面及び上面を囲む外枠と、前記拘束時における無端状ロープの下降側が位置する支持枠の側面上部及びこれと対向する外枠との間に構成されたラチェット及び係合用の爪からなる機構と、前記拘束時における無端状ロープの上昇側が位置する前記支持枠の側面下部から外方に設置され対向する外枠の縦部分と上下動可能に係合して外方への変位を抑止する案内片と、を備えたことを特徴とする。
【0039】
また、特に請求項2に対応する発明のピット据付形調速機は、外枠は、支持枠の両側面の外側に立設された一対の案内柱と、支持枠の上面に沿い、上記一対の案内柱の上端間を一体的に連結する上部枠とを有し、前記拘束時における無端状ロープの下降側に近接された前記一方の案内柱を支持腕により昇降路に縦設されたガイドレールに結合し、かつ、他方の案内柱上部と前記ガイドレールとを、前記上部枠と三角形を成すように支持腕で結合したことを特徴とし、請求項3に対応する発明のピット据付形調速機は、支持枠上部に吊り具を突設し、この吊り具を上部枠に設けた係止部に係止させることにより、調速機本体を、無端状ロープが緩んだ状態で吊り止することを特徴とする。
【0040】
さらに、特に請求項4に対応する発明のピット据付形調速機は、調速機本体の主輪及びロープを拘束する機構を、拘束状態に固定可能なピンを有することを特徴とし、請求項5に対応する発明のピット据付形調速機は、爪に対し、その先端をラチェットに押圧させるバネを設けたことを特徴とし、請求項6に対応する発明のピット据付形調速機は、案内片の先端部の下面に突部を形成したことを特徴とする。
【0041】
このような手段によって、調速機の作動に伴う調速機ロープにより本体部分に加えられるモーメントと上昇駆動力を、支持枠の対角位置の片側の案内片の外枠の片側への押圧力と支持枠の対角位置の他側の爪の外枠の他側への押圧力によって対応する。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のピット据付形調速機の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明のピット据付形調速機の第1の実施形態を示す斜視図で、従来の技術で示した図9及び図11に対応する図である。
【0043】
このうち、(b)は、図9(a),図11(b)に対応する正面図で、図11(b)と同様にピット側の調速機本体とその固定部分のみを示し、(a)は(b)のA−A断面図で、同じく図9(b)及び図11(a)に対応する図である。
【0044】
また、図2,図3は、図1(b)の上部の部分拡大斜視図、図4(a)は、図1(b)の調速機本体部分の拡大詳細図、図4(b),(c)は、図4(a)の下部の部分詳細斜視図である。
【0045】
図1,図2及び図3において、ピットの床面には、断面がL字形に折り曲げられた案内柱8C1,8C2が下端に溶接された長方形のベースを介してアンカボルトで対称的に立設されている。
【0046】
このうち、案内柱8C1,8C2の上端は、山形鋼から製作された上部枠28Aと鋼管から製作された間隔座28bで互いに固定され、下端には上部枠28Aと同形の下部枠28Bが溶接されている。
【0047】
このうち、図1(b)において右側の案内柱8C2の右側面には、図1(a)に示すように帯板材からL字形に折り曲げられ中間部から右側がかごのガイドレール27の裏面に添設された支持腕26Aの左側が、上下と中間部にボルトで固定されている。
これらの支持腕26Aは、一対のレールクリップ26aとボルトなどでガイドレール27の底部の両側に固定されている。
【0048】
なお、ガイドレール27の下端には、このガイドレール27の下端をピットの床面に固定する山形鋼製の一点鎖線で示した一対の固定枠31と、この固定枠31と昇降路の壁に固定される固定板32が鎖線で示されている。
【0049】
上部枠28Aの左端と案内柱8C1の上端の結合部には、山形鋼から製作された支持枠26Bの左端がボルトで共締めされ、支持枠26Bの右端は、支持腕26Aとレールクリップ26aなどでガイドレール27に固定されている。
【0050】
上部枠28Aの中間部の裏面には、図示しない一対の座が溶接され、これらの座と上部枠28Aには、一対のピン挿入穴28aが左右に形成されている。この上部枠 28 Aの前面には、L字形に折り曲げられた固定金具29の上部が対向配置されている。なお、図1(a)及び図2で示した頭付きピン30は、後述する保守・点検時に固定金具 29 とピン挿入穴28aとに挿入される。
【0051】
これらの固定金具29の下面は、図1(b)で示すように、側面逆U字状となる上部支持枠10Aの上面にそれぞれボルトであらかじめ固定されている。上部支持枠10Aの後端面は、図1(a)の平面図において、上部枠28Aの後端面とほぼ一致している。
【0052】
この上部支持枠10Aの下部の外面側には、側面U字状に形成され、上部の中央部に凹部が形成された下部支持枠10Bの上部が重ねられ、一対のボルトで左右が固定されている。
【0053】
このうち、上部支持枠10Aの下部の中央には、調速機主輪2Bの主輪軸19が軸受を介して支持されている。この調速機主輪2Bの外周に対して、図9で示したように機械室に固定された上部案内輪2Aから垂下した無端状調速機用ロープ4の下部が巻装されている。
【0054】
この結果、上部支持枠10A,下部支持枠10Bと調速機主輪2B及び以下説明するシュー構成部品などで構成する調速機本体3Aの重量は、調速機ロープ4に印加される張力となっている。
【0055】
上部支持枠10Aの左側の上端面には、厚い帯板材から製作された案内板9Aが図1(a)で示す一対のボルトで固定され、下部支持枠10Bの右側の下端面にも、案内板9Aと同形で図4(c)の斜視図で示す案内板9Bが、取付穴9bに挿入された一対のボルトで固定されている。
【0056】
図4で示す案内板9Bの右端には、図1(b)で示した案内柱8C2の左側の曲げ部の先端が遊嵌するU形の溝9aが図4(c)で示すように形成され、上側の案内板9Aの左端にも、同様の溝が形成されている。
【0057】
下部支持枠10Bの左側の下端面には、図4(b)の斜視図で示す案内片5Bが一対のボルト穴5bに挿入されたボルトで固定されている。この案内片5Bは、鋳物(FC200 )から製作され、図4(b)に示すように、案内柱8C1の曲げ部の一部が遊嵌するU形の溝5aが左端に縦に加工されている。
【0058】
上部支持枠10Aの右側の上部には、図3(a)に示すように爪13が遊嵌され、この爪13は、この爪13の下端と上部支持枠10Aに貫挿された支軸を軸として上端が揺動自在となっており、上端は上部支持枠10Aの右端から突き出ている。
【0059】
上部支持枠10Aの右端の上部には、図3(a)に示すように案内穴10aが形成され、この案内穴10aには、爪13の中央部に片側が固定された支持ピン13aが遊嵌している。
【0060】
この支持ピン13aには、復帰ばね25の上端のフック部が支持ピン13aに形成された係止溝を介して係止され、復帰ばね25の下端は、上部支持枠10Aの支持ピン13aの下方の位置に突設された支持ピン13bに係止され、僅かに伸長された状態にある。
したがって、支持ピン13aは、復帰ばね25の復帰力によって、案内穴10aの下端面に接触している。
【0061】
右側の案内柱8C2の上部の左側には、ラチェット12Aが前面側に添設され、上下端と中央部が案内柱8C2の前面にボルトで固定され、図1(b)においては、ラチェット12Aの上端の刃の前面に対して、前述した爪13の先端が係止されている。
【0062】
調速機主輪2には、図4に示すように、揺動する前の状態の一対の振子14や案内棒23及びこの案内棒23にナットなどを介して挿入された圧縮コイルばね22が従来の技術で示した図10と同様(ただし、左右が逆)に設けられている。
【0063】
さらに、ラチェットホイル15に片側が係止されたリンク24やこのリンク24に挿入された圧縮コイルばね33、並びに、リンク24の中間部に下部が挿入され上端が上部支持枠10Aの右端に軸支されたシューベース16aなどが示されている。
【0064】
このうち、案内棒23の先端の直径方向には、保守・点検時において後述するようにストッパを挿入するピン穴23 aが、後述する図5及び図6に示すようにあらかじめ形成されている。
【0065】
次に、このように構成されたピット据付形調速機の作用を図3(b)及び図4の部分拡大図を示す図5、及びこの図5から振子14が揺動した状態を示す図6並びに図7を用いて説明する。
【0066】
図1(b),図4(a)及び図5の状態で、かごの下降速度が所定の値を超えると、図4(a)で示す振子14の矢印B方向及び図5の矢印D1,D2方向の遠心力による揺動により、この振子14の爪部が図6に示すようにラチェットホイール15の爪と噛み合って、このラチェトホイール15を回転させ、シュー16が図8に示すように調速機ロープ4に押し付けられて拘束し、かごの非常止め機構を駆動することは、従来と同一である。
【0067】
ただし、このかごの非常止め機構を作動させるために、図1において左側の調速機ロープ4が上方に持ち上げられ、その結果、調速機主輪2を介して上下の支持枠10A,10Bが時計方向に揺動すると、左側下端の案内片5Bの溝が案内柱8C1に押し付けられる。
【0068】
同様に、右側上部から突出しラチェット12Aの歯に係合し復帰ばね25の復帰力によってラチェット12Aの歯の斜面に接触していた爪13の先端も、図7の矢印Fに示すように歯の底に押し付けられた状態で、調速機ロープ4に発生した張力で上方に持ち上げられ、ラチェット12Aの歯の間にくさび状に喰い込むので、爪13がラチェット12の歯の間から横にずれるおそれを解消することができる。
【0069】
また、爪13の先端は復帰ばね25によってラチェット12Aの歯に押圧されており、上下左右の案内板9A,9Bと案内片5Bに形成された溝と左右の案内柱8C1,8C2との隙間は、爪13の先端が支持枠10A,10Bの揺動でラテェット12Aの歯から外れないだけの寸法で組み立てておけばよいので、調速機本体3Aや支持枠10A、10Bなどの部品や組立の精度を緩和することができる。
【0070】
したがって、据付が容易で、作業時間を短縮することができるだけでなく、長期に亘る稼動によって調速機ロープが伸びた結果、爪13の先端がラチェット12Aの歯の先端部に移動していた場合でも、復帰ばね25の復帰力と爪13の先端にかかる押圧力によって、ラチェット12Aの歯からの離脱を防ぐことができる。
【0071】
さらに、上部枠28Aの左端とガイドレール27を、このガイドレール27と上部枠28Aとで三角形を構成する支持腕26Bで固定しているので、上部枠28A,下部枠28B及び案内柱8C1,8c2で構成する調速機本体のロ字状の支持機構の変形を防ぐことができる。
【0072】
さらに、調速機本体3Aが図7(b)に示すように作動し、時計方向に僅かに揺動して案内片5Bを介して案内柱8C1を湾曲させる力は、この案内片5Bの溝部と爪13の先端が上部支持枠10Aと下部支持枠10Bで形成する略正方形の対角線上に位置しているので、案内柱8C1の変形を減らすことができ、ガイドレール27に右端が固定された支持腕26Aと上端の支持腕26Bによって、これらの枠体に要求される強度を減らし、軽量化を図ることができる。
【0073】
また、ロープ交換など、保守・点検時に調速機本体3Aを持ち上げる場合には、図2で示した頭付きピン30を上部枠28Aに形成したピン挿入穴28aに挿入して、ナットや止め輪などで抜け止めすることで、作業を進めることができる。
【0074】
さらに、かごの非常止め機構の作動を確認するときには、図6に示すように、振子14を外側に押し、案内棒23の先端に図5,図6に示すように形成された挿入穴23aに松葉ピン21を挿入することで、振子 14 とラチェットホイール 15 との係合状態を維持し、かごを下降させて作業を進めることができる。
【0075】
また、案内片5Bは、L字形として先端の案内溝の接触部分の面積を増やしたので、寿命を延ばすことができるだけでなく、先端の両側面を赤色の塗料で塗装したり、人間の指とX印で接触不可を表示することで、案内棒8C1との間に指が挟まれるおそれを防ぐことができ、調速機本体部をピットの床まで下ろした場合でも、下部枠28Bとの間に隙間を形成することができるので、安全であり、持ち上げるときに指を挿入することもできる。
【0076】
さらに、爪13とラチェット12Aで構成する調速機本体部分の上昇停止機構部分が、万一動作しなかった場合でも、案内板9Aの上端面が上部枠 28Aの下面に当って調速機本体部分の上昇を阻止することができるので、安全である。
【0077】
なお、上記実施形態において、調速機本体を支持するロ字状の支持機構のうち、下端の下部枠28Bは、案内柱8C1,8C2の下端をベースを介して床に強固に固定する場合には省いて、支持機構を三方枠のような門形にしてもよい。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、調速機の作動に伴う調速機ロープにより本体部分に加えられるモーメントと上昇駆動力を、支持枠の対角位置の片側の案内片の外枠の片側への押圧力と支持枠の対角位置の他側の爪の外枠の他側への押圧力によって対応したので、昇降路の床面積の増加を防ぎ、据付や保守・点検の容易なピット据付形調速機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のピット据付形調速機の一実施形態を示す図で、(a)はピット部分の正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図2】 図1(a)の部分拡大斜視図。
【図3】 (a)は、図1(b)の部分拡大詳細斜視図、(b)は(a)の作用を示す斜視図。
【図4】 (a)は、図1(b)で示した調速機本体部分の拡大図、(b)は(a)の下端左側に示した案内片の拡大斜視図、(c)は(a)の下端右側に示した案内板の斜視図。
【図5】 図1で示した調速機主輪部分の拡大図。
【図6】 図5の作用を示す図。
【図7】 本発明のピット据付形調速機の作用を示す図で、(a)は横断面図、(b)は正面図。
【図8】 本発明のピット据付形調速機の調速機本体部分の作用を示す図。
【図9】 従来のピット据付形調速機の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のG−G断面拡大図、(c)は(a)のH−H断面拡大図。
【図10】 従来のピット据付形調速機の作用を示す部分拡大詳細図。
【図11】 従来のピット据付形調速機の図9と異なる一例を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の前面図、(c)は(b)の部分拡大図、(d)は図11で示した従来のピット据付形調速機の作用を示す部分拡大図。
【符号の説明】
1…かご、2A…上部案内車、2B…調速機主輪、3A,3B…調速機本体、4…調速機用ロープ、5B…案内片、8C1,8C2…案内レール、9A,9B…案内板、10A…上部支持板、10B…下部支持板、12A…ラチェット、13…爪、14…振子、15…ラチェットホイール、16…シュー、18…連結板、19…主輪軸、20…機械室、21…松葉ピン、22…圧縮コイルばね、23…案内棒、24…リンク、25…復帰ばね、26A…支持腕、26B…支持枠、27…ガイドレール、28A…上部枠、28B…下部枠、29…固定金具、30…頭付きピン、31…固定枠、32…固定板、33…緩衝ばね。
Claims (6)
- 上部の案内車と下部の主輪とに掛け渡され中間部が乗りかごに連結された無端状のロープを有し、前記乗りかごの降下速度が所定以上となると前記主輪及びロープを拘束する調速機本体を備えたピット据付形調速機であって、
前記調速機本体の支持枠の両側面及び上面を囲む外枠と、
前記拘束時における無端状ロープの下降側が位置する支持枠の側面上部及びこれと対向する外枠との間に構成されたラチェット及び係合用の爪からなる機構と、
前記拘束時における無端状ロープの上昇側が位置する前記支持枠の側面下部から外方に設置され対向する外枠の縦部分と上下動可能に係合して外方への変位を抑止する案内片と、
を備えたことを特徴とするピット据付形調速機。 - 外枠は、支持枠の両側面の外側に立設された一対の案内柱と、支持枠の上面に沿い、上記一対の案内柱の上端間を一体的に連結する上部枠とを有し、
前記拘束時における無端状ロープの下降側に近接された前記一方の案内柱を支持腕により昇降路に縦設されたガイドレールに結合し、かつ、他方の案内柱上部と前記ガイドレールとを、前記上部枠と三角形を成すように支持腕で結合したことを特徴とする請求項1に記載のピット据付形調速機。 - 支持枠上部に吊り具を突設し、この吊り具を上部枠に設けた係止部に係止させることにより、調速機本体を、無端状ロープが緩んだ状態で吊り止することを特徴とする請求項2に記載のピット据付形調速機。
- 調速機本体の主輪及びロープを拘束する機構を、拘束状態に固定可能なピンを有することを特徴とする請求項1に記載のピット据付形調速機。
- 爪に対し、その先端をラチェットに押圧させるバネを設けたことを特徴とする請求項1に記載のピット据付形調速機。
- 案内片の先端部の下面に突部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のピット据付形調速機。
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