JP3953883B2 - アクリル系繊維のバルキー処理装置及びその処理方法 - Google Patents

アクリル系繊維のバルキー処理装置及びその処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紡糸後に延伸処理及び熱処理が行われたアクリル系繊維、又は前記延伸処理後、捲縮処理及び熱処理が行われたアクリル系繊維に対してバルキー処理(かさ高処理)を行うアクリル繊維のバルキー処理装置びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
一般に紡糸した未延伸糸又は未延伸の繊維トウであるアクリル系繊維は、アクリル系繊維の結晶化度を増加させ、分子鎖の配向を増加させるために延伸処理を行う。延伸を行うことによって、繊維の強度を上昇させることができる。
延伸により配向させられた繊維は、種々の歪をもっているので、このままの状態であると、染色その他の加熱処理を受けた場合に収縮を起こし実用面で支障をきたしてしまう。このため、歪をとり収縮をとめて繊維の耐熱性の向上を図るために熱処理が行われている。熱処理温度は、一般に100℃以上で、水あるいは水蒸気によってなされ、熱処理を行うことによって耐熱性が向上するとともに強伸度のバランスも改良され、実用繊維として望ましい性質を与えることができる。
【0003】
近年においては、上述のように延伸処理、熱処理、場合によっては捲縮処理が行われたアクリル系繊維に対して更に処理を施した繊維を用いてバルキー糸(かさ高糸)を製造し、同バルキー糸を用いた編物、織物によって羊毛などの毛皮としての肌触りや保温性等を持った製品、軽くかつふくらみのある被覆力の大きな製品等が作られている。
バルキー糸は、熱延伸したアクリル系繊維のトウ(繊維束)を切断した繊維Aと繊維Aの一部を熱処理(スチーミング)して収縮させた繊維、あるいは普通の熱延伸しない繊維Bを35:65から40:60ぐらいの割合で混紡して紡績糸を作る。これを熱処理(スチーミング又は沸水中)すると、熱延伸により、一時的にセットされた繊維Aは収縮し、未延伸の繊維Bは収縮した繊維の周囲にループ状にたるむので急激にかさ高くなり、ハイバルキー糸と呼ばれるバルキー糸が製造される。
【0004】
バルキー糸を製造するためには、熱延伸したアクリル系繊維に対して繊維トウ(繊維束)を熱処理(スチーミング)して収縮させるバルキー処理を行わなければならない。
一般にはバルキー処理は、アクリル系繊維トウに熱収縮率を付与するために常圧スチーム雰囲気下で延伸を施した後、捲縮付与装置に導入することで捲縮を付与していた。このとき捲縮付与装置に導入するアクリル系繊維トウの温度や捲縮付与装置から出てきたアクリル系繊維トウの温度は、そのときの成り行きに任されていた。
【0005】
捲縮付与装置に導入するアクリル系繊維トウの温度や捲縮付与装置から出てきたアクリル系繊維トウの温度は、そのときの成り行きによる温度となっていたため、捲縮付与装置内において収縮が起こってしまうことや捲縮付与後に収縮が起こってしまうことなどが発生し、収縮率にバラツキのある繊維ができていた。
このため、収縮率にバラツキのある繊維を用いたときには、バルキー糸の製造時に所望の収縮が得られない等の問題があった。
【0006】
特開2001−348741号公報には、嵩高ポリエステル繊維を製造する製造方法ではあるが、延伸装置から出てきたポリエステル繊維に捲縮を付与するために、ポリエステル繊維の温度を制御する技術が提案されている。図2に示す同公報記載の製造方法では、まず、溶融紡糸し、冷却した糸条を集束して未延伸糸条束11を作る。次に、同未延伸糸条束11を延伸した後に接触熱処理12を施すとともに、接触熱処理12直後に冷却13を施して糸条束11の温度をガラス転移温度〜100℃として次の捲縮工程14に導いて捲縮を付与する。捲縮付与後に再度冷却15を施して嵩高ポリエステル繊維を製造している。
【0007】
しかし、この製造方法は、そこで製造されるものがアクリル繊維とは、その化学的、物理的性質の異なる嵩高ポリエステル繊維であり、しかも通常の延伸後熱処理を行い、その後に捲縮付与を行う製造方法であって、バルキー糸の製造時に使用する繊維を得るために行う繊維のバルキー処理方法でもない。このため、延伸処理は3〜5倍程度の倍率で延伸を行い、延伸処理後には接触熱処理12によって70〜200℃での加熱処理を行う必要がある。しかも、接触熱処理12直後の冷却13や捲縮付与後の再冷却15には、5〜30℃の水を糸条束に付与することで冷却を行うというポリエステル繊維特有の製造方法が採用されている。
【0008】
延伸処理、熱処理後のアクリル繊維には水を含むことによって可塑化される部分があり、また、アクリル繊維に水を含んでいるときには低い温度でも可塑化が行われる性質がある。このため、仮に上記公報に記載された製造方法をアクリル繊維のバルキー処理方法として用いたとしても、冷却のために使用する水によって可塑化されてしまい、収縮及び捲縮にバラツキが生じ、バルキー糸用の繊維としても満足のいくものが得られない。
このため、安定した状態でバルキー糸用の繊維を得ることのできるアクリル系繊維のバルキー処理装置及びその処理方法の開発が求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、安定した状態でバルキー糸用の繊維を得ることのできるアクリル系繊維のバルキー処理装置及びその処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明の課題は本願請求項1及び2に記載された各発明により解消される。
即ち、本願請求項1に係る発明は、アクリル系繊維のバルキー処理装置において、常圧スチーム雰囲気下で1.1倍〜2倍の延伸を行う延伸装置と、同延伸装置と次工程の捲縮付与装置間に配した乾式又は空冷によりアクリル系繊維を70℃以上、100℃以下に冷却する第1の冷却手段と、前記捲縮付与装置の下流側に配した空冷により、アクリル系繊維を70℃以下に冷却する第2の冷却手段とを備えることを特徴とするアクリル系繊維のバルキー処理装置にある。
【0011】
この発明では、第1の冷却手段によって延伸処理後のアクリル系繊維トウの温度を冷却して約70℃〜約100℃まで冷却し、また第2の冷却手段によって捲縮付与後のアクリル系繊維トウの温度を短時間の間に約70℃以下とすることで目的とした収縮率の繊維トウを得ることができる。
捲縮付与装置から排出後にアクリル系繊維の温度を約70℃以下に冷却するまでの時間は、捲縮後に付与した捲縮を定着させることができる時間である必要があり、捲縮後約7秒以内であることが望ましい。
【0012】
また、アクリル系繊維トウの冷却は、水を直接繊維トウに降り掛けるのではなく、乾式に冷却した部材にアクリル系繊維トウを接触させることでアクリル系繊維トウを冷却したり、アクリル系繊維トウに対してエアーを吹き掛けることによって冷却させたりする冷却手段を適宜採用することができる。しかも、冷却時には、アクリル系繊維トウに対して水を付与することがなく、水による影響を除いて冷却することができる。
【0013】
第1の冷却手段は、延伸装置の延伸側に配された複数のロールのうち少なくとも1つの冷却されたロールである。延伸装置の延伸側に配された複数のロールのうち少なくとも1つのロールを乾式に冷却し、同冷却したロールにアクリル系繊維トウを接触走行させることで繊維トウの温度を冷却するものである。
【0014】
延伸側に配された複数のロールおいて、任意の数のロールを冷却ロールとして使用することもできる。このとき、冷却ロールとして使用するロールの冷却温度を全て同じ温度とすることも、同ロールの冷却温度を上流側のロールから下流側のロールに向けて順次低くなるように設定することもできる。
ロールの冷却としては、ロール内に冷媒を流すことによって冷却する等、適宜の冷却手段を採用することができる。
【0015】
第1の冷却手段の他の手段は、走行する前記アクリル系繊維の走行幅方向に対応したエアー噴出し口を供えたエアー吹付け装置からなる。アクリル系繊維の走行幅方向に対応したエアー噴出し口を供えたエアー吹付け装置を用いて熱延伸後の繊維トウの冷却を行うことができる。
【0016】
エアー吹付け装置は、延伸装置の延伸側に配されたいずれかのロールに対峙して配することも、同ロール間に配することも、捲縮付与装置の導入部の上流側に配することもできる。また、同エアー吹付け装置を単独で用いることも、複数用いることもできる。更に、第1の冷却手段としては、エアー吹付け装置と前記請求項2に記載した冷却ロールとを併用して用いることもできる。
エアー吹付け装置から吹付ける冷媒としては、エアー(空気)以外にもアクリル系繊維トウに対して化学的変化及び物理的変化を生じないものであれば、どのような冷媒をも用いることができる。また、エアー噴出し口は、スリット状の開口部であっても、複数の開口部が直線状に配置された開口部であっても走行するアクリル系繊維トウの走行幅に亘ってエアーを噴出すことができる形状であるなら、どのような形状のものもエアー噴出し口として採用することができる。
【0017】
第1の冷却手段の更に他の手段は、捲縮付与装置のクリンパーロールであって、空冷されるクリンパーロールからなる。捲縮付与装置で用いられるクリンパーロールを冷却ロールとしても使用することにより、アクリル系繊維トウに対する冷却を行うことができる。
【0018】
クリンパーロールは、アクリル系繊維トウの厚さ方向に食い込む形で同アクリル系繊維トウに対して捲縮を付与するものであるから、クリンパーロールを冷却ロールとして使用することによって、繊維トウの中まで充分に冷却することができる。
第1の冷却手段としては、冷却ロールとしても使用するクリンパーロールと前記冷却ロール及び前記エアー吹付け装置とを適宜組み合わせて使用することもできる。
【0019】
第2の冷却手段は、前記捲縮付与装置の下流側に配した開孔構造を有するガイド板及び/又はネットコンベヤーと、同ガイド板及び/又はネットコンベヤー上のアクリル系繊維に対して冷却エアーを吹付ける冷却エアー吹付け装置とからなる。
捲縮付与が行われたアクリル系繊維トウに対してガラス転移温度であるTgの温度以下となる約70℃以下に冷却するもので、この冷却により捲縮状態が解ける前に定着させることができる。また、開孔構造を有するガイド板及び/又はネットコンベヤーに冷却エアーを貫通させることで、開孔構造を有するガイド板及び/又はネットコンベヤー上のアクリル系繊維トウの内部まで冷却エアーを通すことができ、アクリル系繊維トウの内部も充分に冷却させることができるようになる。
【0020】
更に、冷却エアー吹付け装置としては、ガイド板及び/又はネットコンベヤー上のアクリル系繊維トウの上面から冷却エアーを吹付ける装置以外に、ガイド板及びネットコンベア内部から吸引を行うことで、ガイド板及び/又はネットコンベヤー上のアクリル系繊維トウに対して冷却エアーを吹付けることのできる装置も含まれるものである。更にまた、冷却エアー吹付け装置としては、ガイド板及び/又はネットコンベヤーの内部からアクリル繊維トウに対してエアーを噴出す装置も包含しているものである。
【0021】
本願請求項2に係わる発明は、アクリル系繊維のバルキー処理方法において、同アクリル系繊維に対して常圧スチーム雰囲気下で1.1倍〜2倍の延伸を行うこと、同延伸後の緊張下におけるアクリル系繊維の温度を乾式又は空気により70℃以上、100℃以下に冷却すること、及び捲縮付与後短時間内に、アクリル系繊維の温度を70℃以下に空冷することを特徴とするアクリル系繊維のバルキー処理方法にある。
【0022】
この発明では、延伸処理後のアクリル系繊維トウの温度を冷却して約70℃〜約100℃まで冷却し、また捲縮付与後のアクリル系繊維トウの温度を短時間の間に約70℃以下とする処理を行うことで目的とした収縮率の繊維トウを得ることができる。
捲縮付与装置から排出後にアクリル系繊維の温度を約70℃以下に冷却するまでの時間は、捲縮後に付与した捲縮を定着させることができる時間である必要があり、捲縮後約7秒以内であることが望ましい。
【0023】
【発明の実施形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1では、本願実施例の該略工程図を示している。この工程によって、紡糸後に延伸処理及び熱処理が行われたアクリル系繊維、又は前記延伸処理後、捲縮処理及び熱処理が行われたアクリル系繊維トウ1に対してバルキー処理を施すことができる。以下の説明では、アクリル系繊維トウ1について説明するが、アクリル系繊維トウ1の代わりにアクリル系繊維を用いて行うこともできる。
【0024】
アクリル系繊維トウ1は図示せぬ収容容器等から送出され、所定の張力が付された状態で延伸装置2に連続的に導入される。延伸装置2では延伸される側に配置したロールである低速ゴデット3と延伸する側に配置したロールである高速ゴデット4間において、両ゴデット3、4の周速の差でもってアクリル系繊維トウ1に対して延伸を行う。また、両ゴデット3、4間に配したスチームコンディショナー5により発生させた常圧スチームの雰囲気中を走行させることで、アクリル系繊維トウ1に対して熱処理も合わせて行っている。延伸装置2では、約1.1〜約2.0倍の延伸倍率でアクリル系繊維トウ1に対して延伸を与えている。
【0025】
延伸装置2から出てきたアクリル系繊維トウ1は、スチームにより加熱され100℃より高い温度となっている。アクリル系繊維トウ1を100℃より高い温度の状態におくと収縮が始まってしまうため、目的の収縮率が得られない。また、アクリル系繊維トウ1の温度が70℃以下となるとガラス転移温度であるTgの温度以下となるため、捲縮を充分に付与することができなくなる。
そのため、本実施例では、延伸装置2から出てきたアクリル系繊維トウ1に対して第1の冷却手段により冷却を行って、アクリル系繊維トウ1の温度を約70℃〜約100℃に冷却している。第1の冷却手段としては、高速ゴデット4の各ロール4a、4b、4cの内少なくとも1つのロールを冷却ロールとしても利用している。高速ゴデット4の各ロール4a、4b、4c全てを冷却ロールとして使用することもできる。このとき、各ロールの冷却温度を異ならせることも、全て同じ温度にすることもできる。例えば、ロール4aからロール4b、ロール4cと上流側から下流側に配置されたロールの温度を順次低下するように設定することもできる。
【0026】
高速ゴデット4のロールを冷却する冷却方法としては、中空のロール内に冷媒を通過させることによりロールを冷却させることができる。また、従来公知の冷却装置をロール内に配置してロールを冷却させることもできる、また、ロールの端部面に貫通孔を多数設け、同貫通孔に対してエアー等の冷媒を吹付けることにより、ロールを冷却することもできる。ロールの冷却構造としては、当業者が容易に適用可能な技術的な範囲をも当然に包含するものである。
【0027】
また、第1の冷却手段として捲縮付与装置6の上流側にエアー噴出し装置7をアクリル系繊維トウ1の表裏両面側に配置しいる。エアー噴出し装置7の噴出し口は、走行するアクリル系繊維トウ1の走行幅に亘ってエアーを吹付けることができる形状となっている。エアー噴出し装置7の噴出し口としては、アクリル系繊維トウ1の走行幅と平行なスリット状の開口形状であっても、アクリル系繊維トウ1の走行幅に平行でかつ直線状に並んだ複数の開口孔であってもよい。要は、走行するアクリル系繊維トウ1を内部まで全体に冷却することができる形状であれば良い。
【0028】
エアー噴出し装置7としては、高速ゴデット4を構成する任意のロールに対峙した位置に噴出し口を配することも、高速ゴデット4のロール間に配することもできる。この場合、一対のエアー噴出し装置7を用いて、アクリル系繊維トウの表裏両面からエアーを噴出すようにしても良い。さらに、エアー噴出し装置7の噴出し口を捲縮付与装置6のクリンパーロール6a、6bと対峙する位置に配することもできる。
【0029】
更に、第1の冷却手段として、クリンパーロール6a、6bを冷却して同クリンパーロール6a、6bを冷却ロールとして使用することもできる。ロールを冷却する冷却方法としては、中空のロール内に冷媒を通過させることによりロールを冷却させることができる。また、従来公知の冷却装置をロール内に配置してロールを冷却させることもできる、また、ロールの端部面に貫通孔を多数設け、同貫通孔に対してエアー等の冷媒を吹付けることにより、ロールを冷却することもできる。ロールの冷却構造としては、当業者が容易に適用可能な技術的な範囲をも当然に包含するものである。また、クリンパーロール6a、6bの一方のロールのみを冷却ロールとして使用することもできる。
【0030】
第1の冷却手段として、高速ゴデット4のロールを利用した箇所、エアー噴出し装置7を配置した箇所及びクリンパーロール6a、6bの箇所と3箇所に冷却手段を用いた例を説明しているが、これら3箇所全てに冷却手段を配置せずに、任意の箇所にある冷却手段のみを使用することも、あるいは、任意の箇所の冷却手段を適宜組み合わせたものを第1の冷却手段として使用することもできる。
【0031】
捲縮付与装置6で捲縮が付与されたアクリル系繊維トウ1の温度を速やかにガラス転移温度Tg以下の温度にすることで、捲縮状態を定着させることができる。このため、捲縮装置6から出てきたアクリル系繊維トウ1の温度を約7秒以内に約70℃以下の温度にする必要があり、そのため、本願実施例では、第2の冷却手段によってアクリル系繊維トウ1の温度を約7秒以内に約70℃以下に冷却している。第2の冷却手段として、捲縮付与装置6の下流側に開孔構造を有するガイド板9及び同ガイド板9からアクリル系繊維トウ1を受けて次工程に搬送するネットコンベヤ−10、更にガイド板9及びネットコンベヤー10に対峙して同ガイド板9及びネットコンベヤー10上のアクリル系繊維トウ1にエアーを吹付けるエアー噴出し装置8が設けられている。エアー噴出し装置8から噴出されたエアーは、アクリル系繊維トウ1を通り抜け、更にガイド板9及びネットコンベヤー10の開孔を貫通する。これによって、エアーによってアクリル系繊維トウ1の内部にまで亘って、迅速に約70℃以下に冷却することができ、捲縮状態が戻ることなく捲縮状態を維持することができるようになる。
【0032】
これによって、アクリル系繊維トウ1を、バルキー糸を製造するために必要な所望の収縮率及び捲縮状態が付与された、繊維として形成することができる。
【0033】
〔実施例1〜4及び比較例1、2〕
次に、本発明について実施例を用いて更に具体的に説明する。
延伸処理及び熱処理を行い、単繊維度3dtex、トータル繊度100ktexのアクリル繊維トウを常圧スチーム雰囲気下で1.2倍の延伸を施し、緊張下繊維トウの温度をA℃(表1に示す温度A)まで冷却し、捲縮付与装置に導入して捲縮を付与し、その後エアーを吹付けてX秒後(表1に示す時間X)の繊維トウの温度を70℃まで冷却し、目的収縮率16.5%の熱収縮性アクリル繊維トウを得た。
ここで得られたアクリル繊維トウのスチーム収縮率を30回測定したときの平均収縮率、最大収縮率、最小収縮率を表1に示す。
【0034】
〔比較例3〕
延伸処理及び熱処理を行い、単繊維度3dtex、トータル繊度100ktexのアクリル繊維トウを常圧スチーム雰囲気下で1.2倍の延伸を施し、緊張化繊維トウの温度を60℃まで冷却し、捲縮付与装置に導入して捲縮を付与し、その後エアーを吹付けて7秒後(表1に示す時間X)の繊維トウの温度を70℃まで冷却し、目的収縮率16.5%の熱収縮性アクリル繊維トウを得た。
ここで得られたアクリル繊維トウのスチーム収縮率を30回測定したときの平均収縮率、最大収縮率、最小収縮率を表1に示す。
【0035】
〔スチーム収縮率の測定〕
アクリル繊維トウを1m採取して試料となす。この試料に5mg/dtexの初荷重をかけたときの長さL(m)を読む。試料を無緊張の状態で3分間常圧スチーム雰囲気下に放置し、風乾燥した後に、再度初荷重5mg/dtexをかけたときの長さL’(m)を読み、次式によりスチーム収縮率(5)を算出した。
S=(L−L’)/L×100
ここで、S:スチーム収縮率(%)
L:処理前の初荷重をかけたときの長さ(m)
L’:処理後の初荷重をかけたときの長さ(m)
【0036】
【表1】
Figure 0003953883
【0037】
スチーム収縮率が目標収縮率の±1.5%を超えた場合には、収縮不良、収縮斑により製品としての風合いや外観等を損なう恐れがあり、比較例1、2のものでは、平均収縮率が目標収縮率よりも−1.5%を超えて、それぞれ1.9%と1.5%も少なくなっている。また、比較例3のものでは平均収縮率が目標収縮率よりも±1.5%を超えていないが、捲縮の付与ができなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す概略工程図である。
【図2】嵩高ポリエステル繊維の製造方法を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1 アクリル系繊維トウ
2 延伸装置
3 低速ゴデット
4 高速ゴデット
4a〜4c 高速ゴデットのロール
5 スチームコンディショナー
6 捲縮付与装置
6a、6b クリンパーロール
7 エアー噴出し装置
8 エアー噴出し装置
9 ガイド板
10 ネットコンベヤー
11 未延伸糸条束
12 接触加熱処理
13 冷却
14 捲縮工程
15 再度冷却

Claims (2)

  1. アクリル系繊維のバルキー処理装置において、
    常圧スチーム雰囲気下で1.1倍〜2倍の延伸を行う延伸装置と、
    同延伸装置と次工程の捲縮付与装置間に配した乾式又は空冷によりアクリル系繊維を70℃以上、100℃以下に冷却する第1の冷却手段と、
    前記捲縮付与装置の下流側に配した空冷により、アクリル系繊維を70℃以下に冷却する第2の冷却手段と、
    を備えることを特徴とするアクリル系繊維のバルキー処理装置。
  2. アクリル系繊維のバルキー処理方法において、
    同アクリル系繊維に対して常圧スチーム雰囲気下で1.1倍〜2倍の延伸を行うこと、 同延伸後の緊張下におけるアクリル系繊維の温度を乾式又は空気により70℃以上、100℃以下に冷却すること、及び
    捲縮付与後短時間内に、アクリル系繊維の温度を70℃以下に空冷すること
    特徴とするアクリル系繊維のバルキー処理方法。
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