JP3294388B2 - ポリエステル系複合加工糸の製造方法 - Google Patents
ポリエステル系複合加工糸の製造方法Info
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Description
り,腰のある風合を付与することのできるポリエステル
系複合加工糸の製造方法に関するものである。
フィラメント糸を用いて延伸同時仮撚加工を行い,複合
加工糸を製造する方法が種々提案されている。例えば,
特公昭60−1130号公報には,紡糸速度3300m/分で得ら
れたポリエステルフィラメント糸と紡糸速度1350m/分
で得られたポリエステルフィラメント糸の2種を混繊,
交絡状態で延伸同時仮撚加工して複合加工糸を製造する
方法が記載されている。この方法によって得られる複合
加工糸は,低い紡糸速度の低配向未延伸糸を鞘として,
高い紡糸速度の高配向未延伸糸が芯に配置されるように
なるため,その糸長差によって嵩高性に富み,ヌメリ感
があり,柔軟な風合を呈する。
糸された未延伸糸の複屈折率が極めて低く,未延伸糸の
内部構造が経時的に変化しやすく,安定した品質の複合
加工糸が得られないという欠点がある。さらに,両未延
伸糸間の染色性の差を延伸同時仮撚加工によって小さく
することができず,そのため,芯−鞘糸間の染色性の差
が目立ち,布帛にするとイラツキがみえるという欠点が
あった。
延伸糸とを交絡させた後,延伸同時仮撚加工を施すた
め,交絡がほどけない程度に延伸倍率を低く設定する必
要があった。そのため,得られる複合加工糸は,芯部を
形成する糸条の熱応力が低く,この複合加工糸を布帛に
した場合,嵩高性やヌメリ感はあるが,張り,腰,反発
性を有する風合が得られないという欠点があった。
いて,低配向未延伸糸の代わりに高配向未延伸糸に弛緩
熱処理を施して複屈折率を下げた糸条と高配向未延伸糸
とを引き揃えて延伸摩擦同時仮撚加工を施し,次いで流
体交絡処理を施して複合加工糸を製造する方法を提案し
た。しかしながら,この方法においても,弛緩熱処理し
た糸条に十分な延伸を施せないため,前記と同様に布帛
にするとイラツキが発生するものであり,また,高配向
未延伸糸も,仮撚の捩じり変形と同時に延伸が施される
ため,単に直線的な延伸作用を受けるのに較べて熱応力
が高くならず,このため,張り,腰のある風合の布帛と
なる複合加工糸を得ることはできなかった。
を解消し,芯糸−鞘糸間の染色性の差が少なく,イラツ
キがなく,嵩高でヌメリ感があって,しかも張り,腰,
反発性を有する布帛とすることのできるポリエステル系
複合加工糸を製造する方法を提供することを技術的な課
題とするものである。
題を解決するために鋭意検討した結果,2本以上の同種
又は異種の高配向未延伸糸のうち,一方の高配向未延伸
糸を熱処理して複屈折率を高めることによって熱処理糸
の熱応力を高め,次いで,他方の高配向未延伸糸と合糸
して流体交絡させた後,延伸同時仮撚加工を施すことに
よって,芯糸−鞘糸間の染色性の差によるイラツキがな
く,しかも布帛に嵩高で,張り,腰,反発性に富んだ風
合を付与することのできるポリエステル系複合加工糸が
得られることを見出して本発明に到達した。
15×10-3〜80×10-3のポリエステル高配向未延伸糸を延
伸しながら熱処理して複屈折率(Δn)が 120×10-3以
上の糸条となした後,複屈折率(Δn)が15×10-3〜80
×10-3のポリエステル高配向未延伸糸と引き揃えて流体
交絡処理を施し,次いで延伸同時仮撚加工を施すことを
特徴とするポリエステル系複合加工糸の製造方法を要旨
とするものである。
折率(Δn)が15×10-3〜80×10-3のポリエステル高配
向未延伸糸を延伸しながら熱処理して複屈折率(Δn)
が 120×10-3以上の熱処理糸とし,この熱処理によって
糸条の熱応力を高める。熱処理に供する高配向未延伸糸
の複屈折率(Δn)が15×10-3未満になると経時変化し
やすいので好ましくなく,また,80×10-3を超えると,
熱処理を施しても熱応力を高めることができない。
(Δn)が 120×10-3以上の糸条とするための熱処理条
件は特に限定されるものではないが,温度 250℃以上,
延伸倍率1.2倍以上,熱処理時間0.2秒以下で行うのが
好ましい。
後の糸条の染色性が低下して,熱処理しないポリエステ
ル高配向未延伸糸との間で染色性の差が生じやすくな
る。この熱処理時の温度を高くすることによって,熱処
理した糸条の染色性を高めることができるため,熱処理
した糸条との間の染色性の差を少なくすることができ
る。一方,熱処理温度の上限は 600℃程度とすることが
好ましく, 600℃を超えると,糸条が融着したり,毛羽
が誘発されやすい。熱処理に使用するヒータは中空ヒー
タが好ましく,中空ヒータは糸条を非接触状態で走行さ
せることができるため,毛羽の発生を防ぐことができ
る。
るのが好ましく,0.2秒を超えると受熱量が多くなって
強度が低下しやすい。一方,下限は0.05秒程度が好まし
く,0.05秒未満になると受熱時間が少なくなり,糸条の
染色性を十分上げ難くなる。
がら施すのが好ましく,延伸倍率は1.2倍以上が好まし
い。延伸倍率が1.2倍未満になると,複屈折率を 120×
10-3以上に高めて, 同時に熱応力を高めることができ難
くなる。また,延伸倍率の上限は,次工程の延伸同時仮
撚加工における延伸倍率との関連で適宜選定すればよい
が,好ましくは2.0倍程度である。
少なくとも1本の複屈折率(Δn)が15×10-3〜80×10
-3のポリエステル高配向未延伸糸とを流体交絡処理し,
両糸条を構成する各単フィラメントを混繊,交絡させ
る。熱処理糸と交絡させるポリエステル高配向未延伸糸
の複屈折率(Δn)が15×10-3未満であれば糸条が経時
変化しやすく,仮撚時の熱劣化も激しい。また,複屈折
率(Δn)が80×10-3を超えると,熱処理した糸条との
複屈折率(Δn)の差が少ないため,次工程で延伸同時
仮撚加工を施しても2糸条間に糸長差がほとんど発生せ
ず,芯鞘構造を呈する嵩高な加工糸を得ることができな
い。なお,上記の流体交絡処理で使用する流体は特に限
定されるものではないが,経済性の点から空気を用いる
のが好ましい。
エステル高配向未延伸糸との混繊,交絡糸に延伸同時仮
撚加工を施して, 熱処理糸が主として芯に,熱処理をし
ていない糸条が主として鞘部に位置し,嵩高性に富んだ
形態の複合加工糸を得る。
ではないが,摩擦式施撚装置を用いれば,加撚張力より
解撚張力を低く設定して加撚状態を安定させることがで
きるので,糸条にループが存在しても,また,複屈折率
に差を有する糸条の複合仮撚であっても,糸切れ等がな
く安定した加工ができる。
られる複合加工糸の状態によって安定した仮撚加工条件
を任意に設定すればよいが,例えば 200デニールの複合
加工糸を加工速度が 600m/分で製造する場合,ヒータ
温度 180〜 210℃,延伸倍率1.05〜1.50で加工すれば,
安定した複合加工糸を得ることができる。
た後,延伸同時仮撚加工を施すので,交絡が低下しない
ようにたとえ低い延伸倍率で仮撚加工しても,熱応力の
高い熱処理糸が芯部を形成する複合加工糸を得ることが
でき,しかも仮撚加工によって両糸条の複屈折率の差に
よる糸長差が発現する。上記のように,本発明で得られ
る複合加工糸の芯糸を構成する熱処理糸は熱応力が高い
ので,この加工糸を製編織して得られる布帛は仕上げ工
程で高い張力で熱セットされ,このため,布帛に張り,
腰を付与することができる。
に続いて空気交絡処理を施すので,延伸後の糸条の放縮
効果によって2糸条間の糸長差を助長することが可能と
なる。さらに,熱処理と同時仮撚加工が連続しているの
で,仮撚条件によって鞘糸の糸条の染色性が変化して
も,熱処理条件を調整することで2糸条間の染色性の差
を小さくすることができる。
程図である。図1において,ポリエステル高配向未延伸
糸1は,第1フィードローラ3を経て第1フィードロー
ラ3と第1デリベリローラ5との間でヒータ4によって
熱処理が施される。次いで,熱処理糸は,第1デリベリ
ローラ5で未熱処理のポリエステル高配向未延伸糸2と
合糸され,第1デリベリローラ5と第2デリベリローラ
7との間で空気交絡装置6によって交絡処理が施され
る。
第3デリベリローラー11との間で延伸されると同時に,
摩擦仮撚装置10により施撚されつつヒータ8により熱固
定され,クーリングプレート9を経て第3デリベリロー
ラー11によって巻取ローラ12に送られ,パッケージ13に
巻き取られる。
複合加工糸の一実施態様を示す模式図であり,交絡処理
前に熱処理した糸条が主として芯に,熱処理をしていな
い糸条が主として鞘部に位置しているため,嵩高性に富
んだ形態となっている。また,前記2つの糸条間には,
捲縮差や糸長差が存在している。
ペンセーターにより測定した値であり,また,熱応力
は,カネボウエンジニアリング社製サーマルストレステ
スターKE−2型による最大応力値を繊度で割った値で
ある。
る。
処理及び延伸同時仮撚加工を施した(ただし,比較例3
は熱延伸せず。)。実施例1で得られた複合加工糸で
は,延伸熱処理した120d/36fの糸条が80d/36f となって
主として芯部に位置し,熱処理をしない110d/72fの糸条
が95d/72f となって鞘部を形成した,芯−鞘構造を呈す
る175d/108f の糸条であった。
較例1,2は経密度93本/2.54cm,緯密度74本/2.54cm
で,また,比較例3は経密度 100本/2.54cm,緯密度80
本/2.54cmの2/1ツイル組織でそれぞれ製織し,得ら
れた生機を通常のポリエステル加工糸織物の染色処法に
従い,染色仕上げを行った。得られた織物の評価結果を
表1に示す。
織物は,ヌメリ感,張り,腰,反発性,ふくらみ感があ
るものであった。一方,比較例1,2では,延伸熱処理
後の複屈折率(Δn)が 120×10-3未満であり,熱応力
の低さと相まって, 織物は,張り,腰,反発性が乏しい
ものであった。また,比較例3は,延伸熱処理を施さず
に2本の糸条を引き揃えて空気交絡処理した後に延伸同
時仮撚加工を行ったので,得られた複合加工糸を構成す
る糸条間には糸長差がなく,ヌメリ感とふくらみ感に劣
るものであった。さらに,比較例1,2は,ともに芯糸
と鞘糸間で色度の差があるので,布帛の表面にイラツキ
が見られるものであった。
配向未延伸糸を用い,加工工程中に一方の糸条を延伸し
ながら熱処理して複屈折率を大幅に高め,複屈折率に差
をもたせることによって仮撚工程で糸長差を発現させる
ことができる。また,熱処理された糸条は,仮撚加工後
も高熱応力を有しているので,糸長差によるヌメリ感,
ふくらみ感とともに,張り,腰,反発性に優れた織物と
なる複合加工糸を得ることができる。さらに,この熱処
理時の温度によって染色性を高めることができるので,
複合糸を構成する2糸条間で染色性に差のない複合加工
糸を製造することが可能となる。
工糸の一実施態様を示す模式図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 複屈折率(Δn)が15×10-3〜80×10-3
のポリエステル高配向未延伸糸を延伸しながら熱処理し
て複屈折率(Δn)が 120×10-3以上の糸条となした
後,複屈折率(Δn)が15×10-3〜80×10-3のポリエス
テル高配向未延伸糸と引き揃えて流体交絡処理を施し,
次いで延伸同時仮撚加工を施すことを特徴とするポリエ
ステル系複合加工糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18067193A JP3294388B2 (ja) | 1993-06-25 | 1993-06-25 | ポリエステル系複合加工糸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP18067193A JP3294388B2 (ja) | 1993-06-25 | 1993-06-25 | ポリエステル系複合加工糸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0711529A JPH0711529A (ja) | 1995-01-13 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP18067193A Expired - Fee Related JP3294388B2 (ja) | 1993-06-25 | 1993-06-25 | ポリエステル系複合加工糸の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3294388B2 (ja) |
-
1993
- 1993-06-25 JP JP18067193A patent/JP3294388B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0711529A (ja) | 1995-01-13 |
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