JPH08296117A - 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 - Google Patents
熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法Info
- Publication number
- JPH08296117A JPH08296117A JP12957795A JP12957795A JPH08296117A JP H08296117 A JPH08296117 A JP H08296117A JP 12957795 A JP12957795 A JP 12957795A JP 12957795 A JP12957795 A JP 12957795A JP H08296117 A JPH08296117 A JP H08296117A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat treatment
- temperature
- polyester
- fiber
- fibers
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Artificial Filaments (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレー
トからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜
45%のポリエステル高配向未延伸糸の糸条束を、その繊
維を構成するポリエステルのTg以上の温度で、定長状
態で予備熱処理を施し、連続して非接触式熱処理ヒータ
を用いて下記の条件で弛緩熱処理し、次いで捲縮を付与
した後、Tg以下の温度で乾燥し、切断する熱伸長性ポ
リエステル短繊維の製造法。 温度−繊維を構成するポリエステルのTmより30〜130
℃低い温度 弛緩率−5〜30% 時間−1〜10秒間 【効果】 短時間で均一な弛緩熱処理を行うことが可能
で、加熱による伸長性に優れ、良好なソフト感を有する
布帛を得ることができる短繊維を生産性よく得ることが
可能となる。
トからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が15〜
45%のポリエステル高配向未延伸糸の糸条束を、その繊
維を構成するポリエステルのTg以上の温度で、定長状
態で予備熱処理を施し、連続して非接触式熱処理ヒータ
を用いて下記の条件で弛緩熱処理し、次いで捲縮を付与
した後、Tg以下の温度で乾燥し、切断する熱伸長性ポ
リエステル短繊維の製造法。 温度−繊維を構成するポリエステルのTmより30〜130
℃低い温度 弛緩率−5〜30% 時間−1〜10秒間 【効果】 短時間で均一な弛緩熱処理を行うことが可能
で、加熱による伸長性に優れ、良好なソフト感を有する
布帛を得ることができる短繊維を生産性よく得ることが
可能となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱によって伸長する
性質を有し、紡績糸として布帛にすることにより、ソフ
ト感に優れた布帛を得ることができる熱伸長性ポリエス
テル短繊維の製造法に関するものである。
性質を有し、紡績糸として布帛にすることにより、ソフ
ト感に優れた布帛を得ることができる熱伸長性ポリエス
テル短繊維の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
るポリエステル繊維は、衣料用、産業資材用などとして
幅広く利用されている。ポリエステル繊維は、高配向、
高結晶性の特性を有するため、ハリ、コシなどの特性は
優れているが、ソフト感に代表される柔らかさについて
はやや劣るという欠点を有している。
るポリエステル繊維は、衣料用、産業資材用などとして
幅広く利用されている。ポリエステル繊維は、高配向、
高結晶性の特性を有するため、ハリ、コシなどの特性は
優れているが、ソフト感に代表される柔らかさについて
はやや劣るという欠点を有している。
【0003】ソフト感と柔らかさを有する布帛を得るこ
とができる繊維として、熱処理によって伸長するポリエ
ステル繊維は公知であり、このような熱伸長性のポリエ
ステル繊維を製造する方法が種々提案されている。特公
昭60-54404号公報には、高速紡糸によって得られた未延
伸糸の糸条束を(Tg+20℃)以下の温度で延伸し、次
いで100 〜140 ℃の温度で弛緩熱処理を10分以上施す方
法が提案されている。この方法では、糸条束に弛緩熱処
理を施して繊維を収縮させて熱伸長性の繊維としてい
る。
とができる繊維として、熱処理によって伸長するポリエ
ステル繊維は公知であり、このような熱伸長性のポリエ
ステル繊維を製造する方法が種々提案されている。特公
昭60-54404号公報には、高速紡糸によって得られた未延
伸糸の糸条束を(Tg+20℃)以下の温度で延伸し、次
いで100 〜140 ℃の温度で弛緩熱処理を10分以上施す方
法が提案されている。この方法では、糸条束に弛緩熱処
理を施して繊維を収縮させて熱伸長性の繊維としてい
る。
【0004】しかしながら、この方法では、未延伸糸束
に延伸を施しているため、弛緩熱処理で繊維を収縮させ
るには処理を長時間行う必要があり、生産性が悪く、コ
ストもかかるという問題があった。
に延伸を施しているため、弛緩熱処理で繊維を収縮させ
るには処理を長時間行う必要があり、生産性が悪く、コ
ストもかかるという問題があった。
【0005】また、特開平5-331705号公報には、特定の
構造一体性パラメーターの高配向未延伸糸を(Tg+25
℃)以上の温度で予備熱処理した後、接触式熱処理ヒー
タを用いて弛緩熱処理を施し、1%以上収縮させる方法
が提案されている。しかしながら、この方法において
は、接触式熱処理ヒータで弛緩熱処理しているため、短
繊維を製造する場合は、糸条を集束した太繊度の糸条束
に熱処理を施すため、均一な熱処理が施されず、性能に
ばらつきが生じた繊維となるという問題があった。
構造一体性パラメーターの高配向未延伸糸を(Tg+25
℃)以上の温度で予備熱処理した後、接触式熱処理ヒー
タを用いて弛緩熱処理を施し、1%以上収縮させる方法
が提案されている。しかしながら、この方法において
は、接触式熱処理ヒータで弛緩熱処理しているため、短
繊維を製造する場合は、糸条を集束した太繊度の糸条束
に熱処理を施すため、均一な熱処理が施されず、性能に
ばらつきが生じた繊維となるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
点を解決し、糸条束に短時間で均一な弛緩熱処理をする
ことが可能であり、性能にばらつきのない短繊維を生産
性よく製造することができる、熱伸長性ポリエステル短
繊維の製造法を提供することを技術的な課題とするもの
である。
点を解決し、糸条束に短時間で均一な弛緩熱処理をする
ことが可能であり、性能にばらつきのない短繊維を生産
性よく製造することができる、熱伸長性ポリエステル短
繊維の製造法を提供することを技術的な課題とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究の結果、構造一体性パラメータ
ー(ε0.2 )が特定な範囲のポリエステル高配向未延伸
糸束に、予備熱処理を施した後、非接触式熱処理ヒータ
を用い、特定の温度、時間、弛緩率で弛緩熱処理を施す
ことによって、糸条束に短時間で均一な熱処理を施すこ
とが可能となり、熱伸長性のポリエステル短繊維を生産
性よく得ることができるということを見い出し、本発明
に到達した。
解決するために鋭意研究の結果、構造一体性パラメータ
ー(ε0.2 )が特定な範囲のポリエステル高配向未延伸
糸束に、予備熱処理を施した後、非接触式熱処理ヒータ
を用い、特定の温度、時間、弛緩率で弛緩熱処理を施す
ことによって、糸条束に短時間で均一な熱処理を施すこ
とが可能となり、熱伸長性のポリエステル短繊維を生産
性よく得ることができるということを見い出し、本発明
に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、主たる繰り返し単位
がエチレンテレフタレートからなり、構造一体性パラメ
ーター(ε0.2 )が15〜45%のポリエステル高配向未延
伸糸の糸条束を、その繊維を構成するポリエステルのT
g以上の温度で、定長状態で予備熱処理を施し、連続し
て非接触式熱処理ヒータを用いて下記の条件で弛緩熱処
理し、次いで捲縮を付与した後、Tg以下の温度で乾燥
し、切断することを特徴とする熱伸長性ポリエステル短
繊維の製造法を要旨とするものである。 温度−繊維を構成するポリエステルの融点(Tm)より
30〜130 ℃低い温度 弛緩率−5〜30% 時間−1〜10秒間
がエチレンテレフタレートからなり、構造一体性パラメ
ーター(ε0.2 )が15〜45%のポリエステル高配向未延
伸糸の糸条束を、その繊維を構成するポリエステルのT
g以上の温度で、定長状態で予備熱処理を施し、連続し
て非接触式熱処理ヒータを用いて下記の条件で弛緩熱処
理し、次いで捲縮を付与した後、Tg以下の温度で乾燥
し、切断することを特徴とする熱伸長性ポリエステル短
繊維の製造法を要旨とするものである。 温度−繊維を構成するポリエステルの融点(Tm)より
30〜130 ℃低い温度 弛緩率−5〜30% 時間−1〜10秒間
【0009】なお、本発明でいう構造一体性パラメータ
ー(ε0.2 )は、糸条に荷重をかけて沸水中で処理した
場合の伸長率を表すものであり、次の方法で測定するも
のである。東洋紡エンジニアリング社製εメーターを用
い、集束して糸条束とする前の長さ20cmの高配向未延伸
糸に0.2 g/デニールの荷重をかけ、沸水(約99℃)中
で2分間処理する。処理前後の糸条の長さを測定し、次
式で算出する。 ε0.2 (%)=〔(L1 −L0 )/L0 〕×100 ただし L0 :処理前の長さ(20cm) L1 :処理後の長さ
ー(ε0.2 )は、糸条に荷重をかけて沸水中で処理した
場合の伸長率を表すものであり、次の方法で測定するも
のである。東洋紡エンジニアリング社製εメーターを用
い、集束して糸条束とする前の長さ20cmの高配向未延伸
糸に0.2 g/デニールの荷重をかけ、沸水(約99℃)中
で2分間処理する。処理前後の糸条の長さを測定し、次
式で算出する。 ε0.2 (%)=〔(L1 −L0 )/L0 〕×100 ただし L0 :処理前の長さ(20cm) L1 :処理後の長さ
【0010】次に、本発明について詳細に説明する。本
発明で用いるポリエステルは、主たる繰り返し単位をエ
チレンテレフタレートとするものであるが、本発明の効
果を損なわない範囲であれば、1,4-ブタンジオール、1,
6-ヘキサンジオールなどのジオール成分、アジピン酸、
セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分、ビスフェノ
ールAなどの芳香族ジオール成分、イソフタル酸などの
芳香族ジカルボン酸成分を共重合したものでもよく、ま
た、安定剤、蛍光剤、顔料、強化剤等を添加したもので
もよい。
発明で用いるポリエステルは、主たる繰り返し単位をエ
チレンテレフタレートとするものであるが、本発明の効
果を損なわない範囲であれば、1,4-ブタンジオール、1,
6-ヘキサンジオールなどのジオール成分、アジピン酸、
セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分、ビスフェノ
ールAなどの芳香族ジオール成分、イソフタル酸などの
芳香族ジカルボン酸成分を共重合したものでもよく、ま
た、安定剤、蛍光剤、顔料、強化剤等を添加したもので
もよい。
【0011】本発明において、高配向未延伸糸は構造一
体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%のものであるこ
とが必要であり、さらに好ましくは、20〜40%である。
構造一体性パラメーターは繊維の結晶化度と配向度を総
合的に表す指標となるものであり、この値が45%を超え
て大きくなると低結晶化度、低配向度の糸条となり、熱
処理で脆くなったり、うまく熱処理できずに糸条が切断
してしまうことがある。逆に15%未満であると高配向、
高結晶化度の糸条となり、熱処理で糸条の構造を変化さ
せることが難しく、熱伸長性の繊維とすることができな
い。
体性パラメーター(ε0.2 )が15〜45%のものであるこ
とが必要であり、さらに好ましくは、20〜40%である。
構造一体性パラメーターは繊維の結晶化度と配向度を総
合的に表す指標となるものであり、この値が45%を超え
て大きくなると低結晶化度、低配向度の糸条となり、熱
処理で脆くなったり、うまく熱処理できずに糸条が切断
してしまうことがある。逆に15%未満であると高配向、
高結晶化度の糸条となり、熱処理で糸条の構造を変化さ
せることが難しく、熱伸長性の繊維とすることができな
い。
【0012】なお、特定範囲の構造一体性パラメーター
(ε0.2 )のポリエステル高配向未延伸糸を得るために
は、ポリエステルの溶融粘度、紡糸速度、未延伸糸の熱
処理条件等を適切に選定してポリエステルを溶融紡糸す
ればよいが、紡糸速度を選定する方法が最も容易であり
好ましい。高配向未延伸糸の構造一体性パラメーター
(ε0.2 )を15〜45%とするには、紡糸速度を約2500〜
4500m/分とすればよい。
(ε0.2 )のポリエステル高配向未延伸糸を得るために
は、ポリエステルの溶融粘度、紡糸速度、未延伸糸の熱
処理条件等を適切に選定してポリエステルを溶融紡糸す
ればよいが、紡糸速度を選定する方法が最も容易であり
好ましい。高配向未延伸糸の構造一体性パラメーター
(ε0.2 )を15〜45%とするには、紡糸速度を約2500〜
4500m/分とすればよい。
【0013】本発明においては、まず、前記のような構
造一体性パラメーター(ε0.2 )の高配向未延伸糸を1
〜50万デニールとなるように集束して糸条束とし、その
繊維を構成するポリエステルのTg以上の温度で、定長
状態で予備熱処理を施す。予備熱処理は、次工程で施す
弛緩熱処理によって糸条束を収縮しやすくするために、
分子流動を促進させるものであり、このため、定長状態
で予備熱処理を施す必要がある。延伸しながら熱処理を
行うと、糸条束を収縮させるために長時間の処理が必要
となり、生産性が悪化する。
造一体性パラメーター(ε0.2 )の高配向未延伸糸を1
〜50万デニールとなるように集束して糸条束とし、その
繊維を構成するポリエステルのTg以上の温度で、定長
状態で予備熱処理を施す。予備熱処理は、次工程で施す
弛緩熱処理によって糸条束を収縮しやすくするために、
分子流動を促進させるものであり、このため、定長状態
で予備熱処理を施す必要がある。延伸しながら熱処理を
行うと、糸条束を収縮させるために長時間の処理が必要
となり、生産性が悪化する。
【0014】予備熱処理温度がTg未満であると、分子
流動が十分に促進されないため、弛緩熱処理を施しても
収縮せず、熱伸長性の繊維とすることができない。予備
熱処理温度の上限については、高温で熱処理されること
によって繊維が切断したり、繊維が弛んで安定した熱処
理ができ難くならないように、Tgより80℃高い温度を
上限とすることが好ましい。なお、予備熱処理は次に弛
緩熱処理を行うための予備的な熱処理であるため、熱処
理を行う手段としては、接触式、非接触式の熱処理ヒー
タのどちらを用いてもよい。
流動が十分に促進されないため、弛緩熱処理を施しても
収縮せず、熱伸長性の繊維とすることができない。予備
熱処理温度の上限については、高温で熱処理されること
によって繊維が切断したり、繊維が弛んで安定した熱処
理ができ難くならないように、Tgより80℃高い温度を
上限とすることが好ましい。なお、予備熱処理は次に弛
緩熱処理を行うための予備的な熱処理であるため、熱処
理を行う手段としては、接触式、非接触式の熱処理ヒー
タのどちらを用いてもよい。
【0015】次に、予備熱処理した糸条束に施す弛緩熱
処理は、非接触式熱処理ヒータを用いて行う必要があ
る。短繊維を製造する場合、糸条を集束した糸条束の状
態で熱処理工程に供給するため、接触式熱処理ヒータを
用いると糸条束に均一な熱処理を施すことができなくな
り、糸質性能にばらつきが生じる。非接触式熱処理ヒー
タとしては、加熱蒸気を吹き付けたり、マイクロ波を照
射して熱処理するものが挙げられる。
処理は、非接触式熱処理ヒータを用いて行う必要があ
る。短繊維を製造する場合、糸条を集束した糸条束の状
態で熱処理工程に供給するため、接触式熱処理ヒータを
用いると糸条束に均一な熱処理を施すことができなくな
り、糸質性能にばらつきが生じる。非接触式熱処理ヒー
タとしては、加熱蒸気を吹き付けたり、マイクロ波を照
射して熱処理するものが挙げられる。
【0016】弛緩熱処理温度は、繊維を構成するポリエ
ステルのTmより30〜130 ℃低い温度とする必要があ
る。弛緩熱処理温度が(Tm−30)℃より高い場合、高
温で熱処理されることによって繊維が切断したり、収縮
し過ぎるために、熱によって伸長する繊維とならない。
また、弛緩熱処理温度が(Tm−130 )℃より低い場
合、十分に熱処理されず、収縮されないために、熱によ
って伸長する繊維とならない。
ステルのTmより30〜130 ℃低い温度とする必要があ
る。弛緩熱処理温度が(Tm−30)℃より高い場合、高
温で熱処理されることによって繊維が切断したり、収縮
し過ぎるために、熱によって伸長する繊維とならない。
また、弛緩熱処理温度が(Tm−130 )℃より低い場
合、十分に熱処理されず、収縮されないために、熱によ
って伸長する繊維とならない。
【0017】そして、弛緩率を5〜30%、好ましくは7
〜25%とする必要がある。弛緩率が5%未満であると、
繊維が十分に収縮しないため、得られる繊維は仕上げ熱
処理を施しても十分に伸長しないものとなる。弛緩率が
30%を超えると、糸切れ等のトラブルが発生したり、毛
羽やループが多発して紡績や製織工程における通過性の
悪い繊維となる。
〜25%とする必要がある。弛緩率が5%未満であると、
繊維が十分に収縮しないため、得られる繊維は仕上げ熱
処理を施しても十分に伸長しないものとなる。弛緩率が
30%を超えると、糸切れ等のトラブルが発生したり、毛
羽やループが多発して紡績や製織工程における通過性の
悪い繊維となる。
【0018】弛緩熱処理を施す時間は、1〜10秒間、好
ましくは1〜7秒間とする必要がある。熱処理時間が10
秒を超えると、繊維が収縮しすぎたり、繊維の内部構造
が安定化するために、また、熱処理時間が1秒未満であ
ると、熱処理が不十分で糸条束が十分に収縮しないため
に、いずれの場合も熱によって伸長する繊維とならな
い。
ましくは1〜7秒間とする必要がある。熱処理時間が10
秒を超えると、繊維が収縮しすぎたり、繊維の内部構造
が安定化するために、また、熱処理時間が1秒未満であ
ると、熱処理が不十分で糸条束が十分に収縮しないため
に、いずれの場合も熱によって伸長する繊維とならな
い。
【0019】次いで、弛緩熱処理を施した糸条束に捲縮
を付与し、Tg以下の温度で乾燥させた後、切断して短
繊維とする。Tgを超えた温度で乾燥すると、糸条が伸
長してしまい、後工程の処理によって伸長性を示さない
繊維となる。
を付与し、Tg以下の温度で乾燥させた後、切断して短
繊維とする。Tgを超えた温度で乾燥すると、糸条が伸
長してしまい、後工程の処理によって伸長性を示さない
繊維となる。
【0020】捲縮を付与する手段は、特に限定されるも
のではなく、押し込み式クリンパーによって付与する方
法等が挙げられる。さらに、糸条束を切断して短繊維と
するが、捲縮数、繊維長は用途に応じて適宜選択すれば
よい。
のではなく、押し込み式クリンパーによって付与する方
法等が挙げられる。さらに、糸条束を切断して短繊維と
するが、捲縮数、繊維長は用途に応じて適宜選択すれば
よい。
【0021】本発明によって、沸水伸長率が0.5 〜4%
程度、乾熱伸長率が5〜15%程度の熱伸長性の短繊維が
得られる。そして、この短繊維は、この繊維のみからな
る紡績糸や他のポリエステル繊維又は羊毛、綿糸、アク
リル繊維等のポリエステル以外の繊維と混紡した紡績糸
として用いることができる。
程度、乾熱伸長率が5〜15%程度の熱伸長性の短繊維が
得られる。そして、この短繊維は、この繊維のみからな
る紡績糸や他のポリエステル繊維又は羊毛、綿糸、アク
リル繊維等のポリエステル以外の繊維と混紡した紡績糸
として用いることができる。
【0022】本発明で得られる短繊維は上記のような伸
長率を有するため、紡績糸とし、この繊維を製編織し、
得られる布帛に最終的に仕上げ熱処理として熱処理を施
すと、繊維が伸長し、ソフトで柔軟な風合いの布帛とな
る。
長率を有するため、紡績糸とし、この繊維を製編織し、
得られる布帛に最終的に仕上げ熱処理として熱処理を施
すと、繊維が伸長し、ソフトで柔軟な風合いの布帛とな
る。
【0023】また、本発明で得られる熱伸長性の繊維に
熱収縮性の繊維を混紡した紡績糸とすると、製織や染色
工程における熱処理によって熱収縮性の繊維が収縮する
ため、嵩高性とソフトで柔軟な風合いを有する布帛を得
ることができる。
熱収縮性の繊維を混紡した紡績糸とすると、製織や染色
工程における熱処理によって熱収縮性の繊維が収縮する
ため、嵩高性とソフトで柔軟な風合いを有する布帛を得
ることができる。
【0024】次に、本発明の製造法を図面を用いて説明
する。図1は、本発明の予備熱処理と弛緩熱処理工程の
一実施態様を示す一部概略工程図である。約2500〜4500
m/分の紡糸速度で紡糸した高配向未延伸糸を集束して
未延伸糸束Yとし、加熱ローラ1で予備熱処理し、続い
て非接触式熱処理ヒータ2で弛緩熱処理する。このと
き、引取ローラ3の速度を変更し、かつ加熱ローラ1の
速度より小さくして引き取ることによって、弛緩率を変
更する。次いで、この未延伸糸束Yにクリンパーで機械
捲縮を施し、仕上げ油剤を付与し、乾燥させた後、切断
して短繊維とする。
する。図1は、本発明の予備熱処理と弛緩熱処理工程の
一実施態様を示す一部概略工程図である。約2500〜4500
m/分の紡糸速度で紡糸した高配向未延伸糸を集束して
未延伸糸束Yとし、加熱ローラ1で予備熱処理し、続い
て非接触式熱処理ヒータ2で弛緩熱処理する。このと
き、引取ローラ3の速度を変更し、かつ加熱ローラ1の
速度より小さくして引き取ることによって、弛緩率を変
更する。次いで、この未延伸糸束Yにクリンパーで機械
捲縮を施し、仕上げ油剤を付与し、乾燥させた後、切断
して短繊維とする。
【0025】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例中の各種特性値は以下の方法で測定
した。 (1) 構造一体性パラメーター(ε0.2 ) 前記の方法で測定した。 (2) 融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg) パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC-7型を用い、
昇温速度10℃/分で測定した。 (3) 沸水伸長率(E100 ) 試料を無荷重状態で沸水中で30分間処理し、処理前の長
さ(L2 )及び処理後の長さ(L3 )より、次式によっ
て算出した。なお、測定時の荷重は1/30g/デニール
である。 沸水伸長率(E100 )(%)=〔(L3 −L2 )/
L2 〕×100 (4) 乾熱伸長率(ED) 試料を無荷重状態で180 ℃のオーブン中に15分間保持
し、その後、オーブンより取り出し室温まで冷却した
後、沸水伸長率と同様に処理前後の長さを測定し、算出
した。 (5) 極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし
て用い、20℃で測定した。 (6) 風合い(ソフト感) 得られた布帛の風合い(ソフト感)を10人のパネラーに
手触りで10点満点で採点させ、その結果をもとにA〜D
の4段階で評価した。 A:80点以上 非常に柔らかい B:50〜79点 柔らかい C:30〜49点 やや硬い D:29点以下 硬い
する。なお、実施例中の各種特性値は以下の方法で測定
した。 (1) 構造一体性パラメーター(ε0.2 ) 前記の方法で測定した。 (2) 融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg) パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC-7型を用い、
昇温速度10℃/分で測定した。 (3) 沸水伸長率(E100 ) 試料を無荷重状態で沸水中で30分間処理し、処理前の長
さ(L2 )及び処理後の長さ(L3 )より、次式によっ
て算出した。なお、測定時の荷重は1/30g/デニール
である。 沸水伸長率(E100 )(%)=〔(L3 −L2 )/
L2 〕×100 (4) 乾熱伸長率(ED) 試料を無荷重状態で180 ℃のオーブン中に15分間保持
し、その後、オーブンより取り出し室温まで冷却した
後、沸水伸長率と同様に処理前後の長さを測定し、算出
した。 (5) 極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし
て用い、20℃で測定した。 (6) 風合い(ソフト感) 得られた布帛の風合い(ソフト感)を10人のパネラーに
手触りで10点満点で採点させ、その結果をもとにA〜D
の4段階で評価した。 A:80点以上 非常に柔らかい B:50〜79点 柔らかい C:30〜49点 やや硬い D:29点以下 硬い
【0026】実施例1〜8、比較例1〜4 〔η〕0.70、Tgが71℃、Tmが 256℃のポリエチレン
テレフタレートを通常の紡糸装置を用い、紡糸孔数720
の紡糸口金を用いて、紡糸温度を295 ℃とし、紡糸引取
速度3500m/分で溶融紡糸した。この糸条を構成するポ
リエステル繊維の構造一体性パラメーター(ε0.2 )は
30%であり、単糸繊度は1.5 デニールであった。この糸
条を集束して100 万デニールの糸条束となし、図1の概
略工程図に示す装置を用いて熱処理した。まず、加熱ロ
ーラ1で予備熱処理を行い、加熱水蒸気で加熱する非接
触式熱処理ヒータ2で弛緩熱処理を行い、引取ローラ3
で引き取った。このとき、表1に示すように、予備熱処
理温度(加熱ローラ1の温度)、弛緩熱処理温度(加熱
水蒸気の温度)を変更し、引取ローラ3の速度を変更し
て弛緩率を変更し、5秒間弛緩熱処理を行った。続いて
押込クリンパーで捲縮を付与した後、60℃で乾燥し、カ
ッターで切断して繊維長5.1 cmの短繊維を得た。この
短繊維の沸水伸長率(E100 )、乾熱伸長率(ED)を
測定した結果を表1に示す。次に、得られた短繊維を紡
績糸となし、経62本/cm、緯33本/cmの平織物を製
織した。得られた布帛の風合いの評価結果を表1に示
す。
テレフタレートを通常の紡糸装置を用い、紡糸孔数720
の紡糸口金を用いて、紡糸温度を295 ℃とし、紡糸引取
速度3500m/分で溶融紡糸した。この糸条を構成するポ
リエステル繊維の構造一体性パラメーター(ε0.2 )は
30%であり、単糸繊度は1.5 デニールであった。この糸
条を集束して100 万デニールの糸条束となし、図1の概
略工程図に示す装置を用いて熱処理した。まず、加熱ロ
ーラ1で予備熱処理を行い、加熱水蒸気で加熱する非接
触式熱処理ヒータ2で弛緩熱処理を行い、引取ローラ3
で引き取った。このとき、表1に示すように、予備熱処
理温度(加熱ローラ1の温度)、弛緩熱処理温度(加熱
水蒸気の温度)を変更し、引取ローラ3の速度を変更し
て弛緩率を変更し、5秒間弛緩熱処理を行った。続いて
押込クリンパーで捲縮を付与した後、60℃で乾燥し、カ
ッターで切断して繊維長5.1 cmの短繊維を得た。この
短繊維の沸水伸長率(E100 )、乾熱伸長率(ED)を
測定した結果を表1に示す。次に、得られた短繊維を紡
績糸となし、経62本/cm、緯33本/cmの平織物を製
織した。得られた布帛の風合いの評価結果を表1に示
す。
【0027】
【表1】
【0028】表1から明らかなように、実施例1〜8で
得られた短繊維は、熱伸長性を有しており、得られた織
物もソフトな風合いを有するものであった。一方、比較
例1は予備熱処理温度が低過ぎたため、比較例2は弛緩
熱処理温度が低過ぎたため、いずれも熱処理時に分子流
動が十分に進行せず、弛緩熱処理を施しても収縮せず、
熱伸長性の短繊維とすることができなかった。また、こ
の短繊維より得られた布帛はソフト感に乏しい風合いの
ものであった。比較例3は予備熱処理温度が低過ぎ、さ
らに、伸長させて熱処理したため、熱伸長性の短繊維と
することができず、この短繊維より得られた布帛の風合
いもソフト感に乏しいものであった。比較例4は弛緩熱
処理における弛緩率が大き過ぎたため、糸切れ等のトラ
ブルが発生し、引き取ることができなかった。
得られた短繊維は、熱伸長性を有しており、得られた織
物もソフトな風合いを有するものであった。一方、比較
例1は予備熱処理温度が低過ぎたため、比較例2は弛緩
熱処理温度が低過ぎたため、いずれも熱処理時に分子流
動が十分に進行せず、弛緩熱処理を施しても収縮せず、
熱伸長性の短繊維とすることができなかった。また、こ
の短繊維より得られた布帛はソフト感に乏しい風合いの
ものであった。比較例3は予備熱処理温度が低過ぎ、さ
らに、伸長させて熱処理したため、熱伸長性の短繊維と
することができず、この短繊維より得られた布帛の風合
いもソフト感に乏しいものであった。比較例4は弛緩熱
処理における弛緩率が大き過ぎたため、糸切れ等のトラ
ブルが発生し、引き取ることができなかった。
【0029】実施例9〜12、比較例5〜7 弛緩熱処理時間を表2に示すように変更した以外は、実
施例2と同様に行い短繊維を得た。得られた短繊維の沸
水伸長率(E100 )、乾熱伸長率(ED)を測定した結
果を表2に示す。次に、得られた短繊維を紡績糸とな
し、経62本/cm、緯33本/cmの平織物を製織した。
得られた布帛の風合いの評価結果を表2に示す。
施例2と同様に行い短繊維を得た。得られた短繊維の沸
水伸長率(E100 )、乾熱伸長率(ED)を測定した結
果を表2に示す。次に、得られた短繊維を紡績糸とな
し、経62本/cm、緯33本/cmの平織物を製織した。
得られた布帛の風合いの評価結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2から明らかなように、実施例9〜12で
得られた短繊維は、熱伸長性を有していた。一方、弛緩
熱処理の熱処理時間が10秒を超えた比較例5〜7で得ら
れた短繊維は、熱処理時間が増加するにつれて、熱収縮
率の大きいものとなった。
得られた短繊維は、熱伸長性を有していた。一方、弛緩
熱処理の熱処理時間が10秒を超えた比較例5〜7で得ら
れた短繊維は、熱処理時間が増加するにつれて、熱収縮
率の大きいものとなった。
【0032】
【発明の効果】本発明の熱伸長性ポリエステル短繊維の
製造法によれば、短時間で均一な弛緩熱処理を行うこと
が可能となり、加熱による伸長性に優れ、良好なソフト
感を有する布帛を得ることができる短繊維を生産性よく
得ることが可能となる。
製造法によれば、短時間で均一な弛緩熱処理を行うこと
が可能となり、加熱による伸長性に優れ、良好なソフト
感を有する布帛を得ることができる短繊維を生産性よく
得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の予備熱処理と弛緩熱処理工程の一実
施態様を示す一部概略工程図である。
施態様を示す一部概略工程図である。
【符号の説明】 1 加熱ローラ 2 非接触式熱処理ヒータ 3 引取ローラ
Claims (1)
- 【請求項1】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レートからなり、構造一体性パラメーター(ε0.2 )が
15〜45%のポリエステル高配向未延伸糸の糸条束を、そ
の繊維を構成するポリエステルのガラス転移温度(T
g)以上の温度で、定長状態で予備熱処理を施し、連続
して非接触式熱処理ヒータを用いて下記の条件で弛緩熱
処理し、次いで捲縮を付与した後、Tg以下の温度で乾
燥し、切断することを特徴とする熱伸長性ポリエステル
短繊維の製造法。 温度−繊維を構成するポリエステルの融点(Tm)より
30〜130 ℃低い温度 弛緩率−5〜30% 時間−1〜10秒間
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12957795A JPH08296117A (ja) | 1995-04-27 | 1995-04-27 | 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12957795A JPH08296117A (ja) | 1995-04-27 | 1995-04-27 | 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08296117A true JPH08296117A (ja) | 1996-11-12 |
Family
ID=15012909
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12957795A Pending JPH08296117A (ja) | 1995-04-27 | 1995-04-27 | 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08296117A (ja) |
-
1995
- 1995-04-27 JP JP12957795A patent/JPH08296117A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3143638B2 (ja) | 仮撚加工糸 | |
JP2545577B2 (ja) | ポリエステル異繊度・異捲縮性複合繊維糸条 | |
WO2003100143A1 (en) | Polytrimethylene terephtalate conjugate fiber and method of preparing the same | |
JPH11222745A (ja) | ポリエステル混繊糸の製造方法および織編物 | |
JP2006200064A (ja) | カチオン可染ポリエステル太細糸及びその製造方法並びにその太細糸を用いた織編物 | |
JPH08296117A (ja) | 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 | |
KR100476471B1 (ko) | 이수축 혼섬사 및 그의 제조방법. | |
JPH1121737A (ja) | ポリエステル極細短繊維の製造法 | |
JP2000248425A (ja) | 高収縮性ポリエステル繊維および製造方法 | |
JP3187139B2 (ja) | 熱伸長性ポリエステル繊維の製造法 | |
JP2829893B2 (ja) | 自発伸長性ポリエステル太細フィラメント糸およびその製造方法 | |
JPH10183439A (ja) | 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 | |
JPH09217241A (ja) | 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 | |
JP2000248430A (ja) | 潜在捲縮発現性ポリエステル繊維および製造方法 | |
JPH10280231A (ja) | ポリエステル低収縮性極細繊維の製造方法 | |
KR100226657B1 (ko) | 이수축 혼섬사의 제조방법 | |
JPH07126921A (ja) | ポリエステル潜在部分嵩高性フィラメント糸及びその製造方法 | |
JP3517494B2 (ja) | ポリエステルマルチフイラメント糸とその製造方法及び混繊糸 | |
JP3581003B2 (ja) | ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸 | |
JPH09291417A (ja) | 熱伸長性ポリエステル繊維の製造法 | |
JPH06146110A (ja) | 潜在嵩高性ポリエステルフィラメントの製造方法 | |
JP3898784B2 (ja) | ポリアミドシックアンドシンヤーンの製造方法 | |
JPH0711513A (ja) | 自発伸長性ポリエステル繊維の製造法 | |
JPH10251933A (ja) | 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 | |
JP2829894B2 (ja) | ポリエステルフィラメント混繊糸 |