JPH10183439A - 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 - Google Patents

熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法

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JPH10183439A
JPH10183439A JP35615496A JP35615496A JPH10183439A JP H10183439 A JPH10183439 A JP H10183439A JP 35615496 A JP35615496 A JP 35615496A JP 35615496 A JP35615496 A JP 35615496A JP H10183439 A JPH10183439 A JP H10183439A
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JP
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temperature
filament bundle
undrawn
fiber
heat treatment
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JP35615496A
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Toru Kamimura
徹 上村
Shigeki Iwai
茂樹 岩井
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Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低配向未延伸糸を用いて性能にばらつきがな
く、品位の高い熱伸長性を有する短繊維を低コストで生
産性よく製造することができる、熱伸長性ポリエステル
短繊維の製造法を提供する。 【解決手段】 構造一体性パラメーター(ε0.2 )が45
%以上のポリエステル系未延伸糸束を温度Tg−10〜Tg+
30℃で、その未延伸糸の自然延伸倍率〜自然延伸倍率×
1.3 の延伸倍率で延伸し、連続してTg+30〜Tg+120 ℃
の温度で5〜30%の弛緩熱処理を施し、次いでこの糸条
束に捲縮、仕上げ油剤を付与した後、Tg以下の温度で乾
燥し、切断する。ただし、Tg:未延伸糸のガラス転移温
度(℃)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱によって伸長
する性質を有し、紡績糸とし、製編織すれば、ソフト感
に優れた布帛を得ることができる熱伸長性ポリエステル
短繊維の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
るポリエステル繊維は、衣料用、産業資材用などとして
幅広く利用されている。ポリエステル繊維は、高配向、
高結晶性の特性を有するため、ハリ、コシなどの特性は
優れているが、ソフト感に代表される柔らかさについて
はやや劣るという欠点を有している。
【0003】本発明者らは、特願平7-129577号におい
て、高速紡糸によって得られたポリエステル高配向未延
伸糸を集束した糸条束にTg以上の温度で予備熱処理を施
し、次いで非接触式熱処理ヒータを用いて弛緩熱処理を
施すことにより、熱伸長性の繊維を得る方法を提案し
た。しかしながら、この方法では、高速紡糸によって得
られたポリエステル高配向未延伸糸を用いているため、
ポリエステル低配向未延伸糸を用いるよりコストがかか
るという問題があった。
【0004】このため本発明者らは、さらに特願平7-34
4458号公報において、ポリエステル低配向未延伸糸束
を、低張力でかつ、未延伸糸束の切断延伸倍率の80%以
上の延伸倍率、Tg+20℃以上の延伸温度の条件で延伸を
行った後、連続して弛緩熱処理を施す方法を提案した。
この方法では、熱伸長性のポリエステル繊維を得ること
ができるが、このような延伸条件を設定することによっ
て、繊維を均一に変形させて延伸するものであるため、
延伸時に若干繊維が融着することがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
点を解決し、低配向未延伸糸を用いて性能にばらつきが
なく、さらに品位の高い熱伸長性を有する短繊維を低コ
ストで生産性よく製造することができる、熱伸長性ポリ
エステル短繊維の製造法を提供することを技術的な課題
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達
した。すなわち、本発明は、構造一体性パラメーター
(ε0.2 )が45%以上のポリエステル系未延伸糸束を温
度Tg−10〜Tg+30℃で、その未延伸糸の自然延伸倍率〜
自然延伸倍率×1.3 の延伸倍率で延伸し、連続してTg+
30〜Tg+120 ℃の温度で5〜30%の弛緩熱処理を施し、
次いでこの糸条束に捲縮、仕上げ油剤を付与した後、Tg
以下の温度で乾燥し、切断することを特徴とする熱伸長
性ポリエステル短繊維の製造法を要旨とするものであ
る。ただし、Tg:未延伸糸のガラス転移温度(℃)
【0007】なお、本発明でいう構造一体性パラメータ
ー(ε0.2 )は、糸条に荷重をかけて沸水中で処理した
場合の伸長率を表すものであり、次の方法で測定するも
のである。東洋紡エンジニアリング社製εメーターを用
い、長さ10cmの未延伸糸に0.2 g/デニールの荷重をか
け、沸水(約98℃)中で2分間処理する。処理前後の糸
条(処理後の糸条は沸水から糸条を引き上げた直後)の
長さを前記と同様の荷重をかけて測定し、次式で算出す
る。 ε0.2 (%)=〔(L1 −L0 )/L0 〕×100 ただし、L0 :処理前の長さ(10cm) L1 :処理後の長さ
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で用いるポリエステルは、主たる繰り返し
単位をエチレンテレフタレートとするものであるが、染
色性や風合に変化を与えるために、おおむね5モル%以
下であれば、酸成分としてイソフタル酸、5-ナトリウム
スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、また、
アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ア
ルコール成分として、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサ
ンジオールなどの脂肪族ジオールやビスフェノール類の
エチレンオキシド付加体などの芳香族ジオール成分を共
重合してもよい。また、安定剤、蛍光剤、顔料、強化剤
などを添加したものでもよい。
【0009】本発明において、構造一体性パラメータ
(ε0.2 )が45%以上の低配向未延伸糸束を用いること
が必要である。構造一体性パラメータ(ε0.2 )が45%
未満であると、本発明で規定する温度の範囲内で延伸を
施すと、繊維の構造が安定してしまい、続いて弛緩熱処
理を施しても繊維の構造を変化させることが難しく、熱
伸長性の繊維とすることができない。未延伸糸の構造一
体性パラメーター(ε0.2 )の上限については特に限定
されるものではないが、構造一体性パラメーター(ε
0.2 )が大きくなり過ぎると、延伸熱処理時に繊維が切
断しやすくなったり、得られる繊維がソフト感に乏しい
ものとなるため、500 %程度とすることが好ましい。
【0010】なお、構造一体性パラメータ(ε0.2 )が
45%以上の低配向未延伸糸束を得るためには、ポリエス
テルの溶融粘度、紡糸速度などを適切に選定してポリエ
ステルを溶融紡糸すればよいが、紡糸速度を選定する方
法が最も容易であり、紡糸速度を約800 〜2000m/分程
度とすればよい。
【0011】本発明においては、構造一体性パラメータ
ー(ε0.2 )が45%以上の低配向未延伸糸束を、温度Tg
−10〜Tg+30℃で、その未延伸糸の自然延伸倍率〜自然
延伸倍率×1.3 の延伸倍率で延伸する。このように、比
較的低い温度でかつ低い倍率で延伸することによって、
ネッキング延伸となり、均一に変形させて延伸する均一
延伸よりも繊維の融着が生じることがない。
【0012】延伸温度がTg−10℃未満であると、繊維内
部の分子流動が促進されず、十分に延伸が行えないの
で、延伸時に糸切れが生じたり、太細のある繊維とな
る。一方、Tg+30℃を超えると、ネッキング延伸とはな
らず、均一延伸となり、繊維の融着が生じたり、糸切れ
が生じることがあり、得られる繊維からの織編物はソフ
ト感やドレープ性に劣ったものとなる。
【0013】また、延伸倍率が未延伸糸束の自然延伸倍
率(以下、NDR という。)未満であると、未延伸部が残
存し、染色斑が発生したり、後加工での糸切れが多くな
り、熱伸長性の繊維とすることができない。一方、NDR
×1.3 を超えると、延伸時に糸条の構造が安定してしま
い、熱伸長性の繊維とすることができない。
【0014】ここで、NDR は、図2に示すように、未延
伸糸束を構成する未延伸糸の強伸度曲線を描き、ネッキ
ングが進行して一定応力で伸長される領域の自然延伸伸
度En を求め、NDR =(En +100 )/100 で算出す
る。
【0015】次に、延伸後の糸条束にTg+30〜Tg+120
℃の温度で5〜30%の弛緩熱処理を施す。弛緩熱処理温
度がTg+30℃未満であると、糸条束は十分に熱処理され
ないため、熱伸長性繊維とすることができない。一方、
Tg+120 ℃を超えると、熱処理温度が高過ぎて、繊維の
内部構造が固定されてしまい、熱伸長性繊維とすること
ができない。
【0016】また、弛緩熱処理時の弛緩率を5〜30%に
する必要がある。弛緩率が5%未満であると、弛緩が十
分に行われず、熱伸長性繊維とならない。弛緩率が30%
を超えると、延伸工程において糸切れなどのトラブルが
発生したり、毛羽やループが多発して紡績や製編織工程
における通過性が悪い繊維となる。
【0017】そして、この弛緩熱処理は、非接触式熱処
理ヒータを用いて行うことが好ましい。短繊維を製造す
る場合、繊維を集束した糸条束の状態で熱処理工程に供
給するため、接触式熱処理ヒータを用いると糸条束に均
一な熱処理を施しにくい場合があり、糸質性能にばらつ
きが生じやすい。非接触式熱処理ヒータとしては、加熱
蒸気を吹き付けたり、マイクロ波を照射して熱処理する
ものなどが挙げられる。
【0018】非接触式熱処理ヒータを用いて弛緩熱処理
を施す場合、熱処理時間は、特に限定されるものではな
いが、1〜10秒間、さらには1〜7秒間とすることが好
ましい。熱処理時間が10秒間を超えると、繊維が収縮し
過ぎたり、繊維の内部構造が安定化するために、また、
熱処理時間が1秒間未満であると、熱処理が不十分で糸
条束が十分に収縮しないために、いずれの場合も熱伸長
性の繊維とならない。
【0019】さらに、このように延伸、弛緩熱処理され
た糸条束に、捲縮を付与し、仕上げ油剤を付与した後、
Tg以下の温度で乾燥し、切断して短繊維とする。捲縮を
付与する手段は、特に限定されるものではなく、押し込
み式クリンパーによって付与する方法などを採用するこ
とができる。捲縮数、繊維長は用途に応じて適宜選択す
ればよいが、紡績糸として用いる場合は、捲縮数10〜30
個/25mmとすることが好ましい。また、仕上げ油剤と
しては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性
剤、これらを用途によって適宜混合したものなどが用い
られ、付与する方法としては、水エマルジョン液とし、
液槽中に糸条束を浸漬したり、糸条束に噴霧する方法な
どが挙げられる。
【0020】そして、Tgを超えた温度で乾燥すると、
繊維が伸長してしまい、後工程の処理によって伸長性を
示さない繊維となる。糸条束を切断する繊維長として
は、30〜100 mm程度が好ましい。
【0021】本発明では、低速紡糸で得られた未延伸糸
を用い、自然延伸倍率付近で比較的低温で延伸するの
で、ネッキング延伸となり、均一に変形させて延伸する
均一延伸よりも繊維の融着が生じることがない。そし
て、このように良好に中間配向した延伸糸とした後、弛
緩熱処理することにより、配向度の低い繊維となり、後
工程で熱処理すると、配向の進行により伸長する熱伸長
性の繊維となる。
【0022】そして、本発明の製造法によって具体的に
は、初期弾性率50〜120 %、伸度30〜90%、沸水伸長率
2.0 〜7.0 %程度の熱伸長性の短繊維を得ることができ
る。
【0023】本発明で得られる短繊維は、上記のように
熱伸長性のものであるため、紡績糸とし、製編織して得
られた布帛に、後工程で仕上げ熱処理や染色などを施す
と、繊維が伸長し、ソフトで柔軟な風合の布帛とするこ
とができる。また、紡績糸とする際に、本発明で得られ
る短繊維と熱収縮性の繊維とを混紡すると、製編織して
得られた布帛は、染色などの後工程の熱処理によって、
熱収縮性の繊維の効果により、嵩高性に優れ、ソフトで
柔軟な風合を有するものとなる。
【0024】次に、本発明の製造法を図面を用いて説明
する。図1は、本発明の製造法の一実施態様を示す延伸
工程と弛緩熱処理工程の概略工程図である。まず、構造
一体性パラメータ(ε0.2 )が45%以上の低配向未延伸
糸を集束して、1〜100 万デニールの糸条束Yとし、こ
の糸条束Yを第一ローラ群1(熱ローラ)と第二ローラ
群2の間で延伸を行った後、非接触式熱処理ヒータ3を
用いて弛緩熱処理し、引取ローラ群4で引き取る。この
とき、引取ローラ群4の速度を第二ローラ群2の速度よ
り小さくして引き取ることによって、弛緩率を変更す
る。次いで、押し込み式クリンパーなどで捲縮を付与
し、仕上げ油剤を付与した後、乾燥機で乾燥を行い、カ
ッターで糸条束の切断を行う。
【0025】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、例中の特性値は下記のように測定した。 (1)構造一体性パラメーター(ε0.2 ) 前記の方法で測定した。 (2)極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒と
し、20℃で測定した。 (3)未延伸糸のTg、Tm(融点) パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC-7型を用い、
昇温速度10℃/分で測定した。 (4)未延伸糸のNDR オリエンティック社製テンシロンUTM-4-100 型を用い、
試料長10cm、引張速度10cm/分で強伸度曲線を描き、前
記のような方法で算出した。 (5)沸水伸長率(E100 ) 試料を無荷重状態で沸水中で30分間処理し、処理前の長
さ(R0 )及び処理後の長さ(R1 )より、次式によっ
て算出した。なお、測定時の荷重は1/30g/デニール
である。 沸水伸長率(E100 )(%)=〔(R1 −R0 )/
0 〕×100 (6)伸度(切断伸度)、初期弾性率 オリエンティック社製テンシロンUTM-4-100 型を用い、
試料長2cm、引張速度10cm/分で強伸度曲線を描
き、図3に示すようにしてΔEとΔFを求め、初期弾性
率(%)=(ΔF/ΔE)×100 で算出した。 (7)風合(ソフト感) 得られた熱伸長性の繊維を50番手の紡績糸とし、経62本
/2.54cm、緯33本/2.54cm、の平織物を製織し、こ
れに180 ℃で15分間の仕上げ熱処理を施した後、次に示
す分散染料、条件で染色した後、織物の風合(ソフト
感)を10人のパネラーに手触りで10点満点で採点させ、
その合計点で評価した。 80点以上 非常に柔らかい 60〜79点 柔らかい 40〜59点 やや硬い 39点以下 硬い 染料:Resoline Blue GRL (バイエル社製分散染料)
1%owf 助剤:ディスパーVG(明成化学社製) 2%owf 浴比:1:50、染色温度×時間:100 ℃×1時間 (8)染色斑 (7)で染色された織物を目視にて染色斑の有無を判断
し、染色斑のないものを○、染色斑のあるものを×とし
て評価した。
【0026】実施例1〜4、比較例1〜2 〔η〕0.70、Tg71℃、Tm 256℃のポリエチレンテレ
フタレートを通常の紡糸装置を用い、紡糸孔数1450の紡
糸口金を用いて、紡糸温度を295 ℃とし、紡糸速度を表
1に示すように変化させ、種々の構造一体性パラメータ
ー(ε0.2 )の未延伸糸を得た。この未延伸糸を集束し
て80万デニールの糸条束となし、図1の概略工程図に示
す装置を用いて短繊維の製造を行った。このとき、第
一、第二ローラ群間で延伸温度(第一ローラ群1の温
度)75℃、延伸倍率 NDR×1.1 で延伸を行った。続い
て、加熱水蒸気で加熱する非接触式熱処理ヒータ3を通
過させ、引取ローラ群4で引き取ることによって弛緩熱
処理を行った。このとき、弛緩熱処理温度(加熱水蒸気
の温度)を130 ℃、弛緩率を15%とし、2秒間処理し
た。次に、押込式クリンパーで10個/25mmの捲縮を付
与し、仕上げ油剤(ラウリルホスフェートK塩:60%、
オレイルラウレート:20%、POE(3)ラウリルエーテル:
20%)を水エマルジョン液として噴霧して付与した後、
60℃で乾燥し、カッターで切断して繊維長5.1 cmの短
繊維(単糸繊度3.5 d)を得た。得られた短繊維の沸水
伸長率(E100 )、初期弾性率、伸度及びこの繊維より
得られた織物の風合、染色斑の評価を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1から明らかなように、実施例1〜4の
方法によれば、熱によって伸長する繊維が得られ、この
繊維を用いて得られた織物はソフトな風合を有するもの
であり、また染色斑もなかった。一方、比較例1、2
は、未延伸糸の構造一体性パラメータ(ε0.2 )が低過
ぎたため、熱伸長性繊維とならず、得られた織物はソフ
トな風合に劣るものであった。
【0029】実施例5〜8、比較例3〜6 実施例2で得られた未延伸糸を用い、延伸温度、延伸倍
率を表2に示すように種々変更して延伸を行った以外
は、実施例1と同様に行った。得られた短繊維の沸水伸
長率(E100 )、初期弾性率、伸度及びこの繊維より得
られた織物の風合、染色斑の評価を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2から明らかなように、実施例5〜8の
方法によれば、熱によって伸長する繊維が得られ、この
繊維を用いて得られた織物はソフトな風合を有するもの
であり、また染色斑もなかった。一方、比較例3は、延
伸温度が低過ぎたため、十分に延伸が行えず、熱伸長性
の繊維とすることができず、この繊維を用いて得られた
織物はソフトな風合に劣り、染色斑も生じた。比較例4
は、延伸温度が高過ぎたため、ネッキング延伸とはなら
ず、繊維の融着が生じたため、得られた織物はソフト感
やドレープ性に劣ったものとなった。比較例5は、延伸
倍率が低過ぎたため、未延伸部が残存した繊維となり、
得られた織物は染色斑が発生した。比較例6は、延伸倍
率が高過ぎたため、熱伸長性の繊維とならず、得られた
織物はソフトな風合に劣るものであった。
【0032】実施例9〜12、比較例7〜11 実施例2で得られた未延伸糸を用い、弛緩熱処理温度、
弛緩率、乾燥温度を表3に示すように種々変更した以外
は、実施例1と同様に行った。得られた短繊維の沸水伸
長率(E100 )、初期弾性率、伸度及びこの繊維より得
られた織物の風合、染色斑の評価を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】表3より明らかなように、実施例9〜12の
方法によれば、熱によって伸長する繊維が得られ、この
繊維を用いて得られた織物はソフトな風合を有するもの
であり、染色斑もなかった。一方、比較例7は、弛緩熱
処理温度が低過ぎたため、均一に熱処理がされず、熱伸
長性の繊維とすることができなかった。また、この繊維
より得られた織物は、染色斑が生じ、ソフトな風合にも
劣るものであった。比較例8は、弛緩熱処理温度が高過
ぎたため、比較例9は、弛緩率が小さ過ぎたため、弛緩
が十分に行われず、ともに熱伸長性繊維とすることがで
きず、この繊維より得られた織物は、ソフトな風合に劣
るものであった。比較例10は、弛緩率が大き過ぎたた
め、糸切れなどのトラブルが発生し、引き取ることがで
きなかった。比較例11は、乾燥温度が高過ぎたため、繊
維が伸長してしまい、この繊維より得られた織物は、仕
上げ熱処理などで伸長性を示さず、ソフトな風合に劣る
ものであった。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、低配向未延伸糸を用い
て操業性よく、高品位の熱伸長性の短繊維を得ることが
でき、この短繊維を紡績糸とし、製編織し、仕上げ熱処
理などを施すことによってソフトな風合の布帛を得るこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す一部省略概略工程図
である。
【図2】本発明で使用する未延伸糸のNDRを算出する
ための未延伸糸の強伸度曲線を示すグラフである。
【図3】本発明で得られた熱伸長性繊維の初期弾性率を
算出するための熱伸長性繊維の強伸度曲線を示すグラフ
である。
【符号の説明】
Y 未延伸糸束 1 第一ローラ群 2 第二ローラ群 3 非接触式熱処理ヒータ 4 引取ローラ群

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造一体性パラメーター(ε0.2 )が45
    %以上のポリエステル系未延伸糸束を温度Tg−10〜Tg+
    30℃で、その未延伸糸の自然延伸倍率〜自然延伸倍率×
    1.3 の延伸倍率で延伸し、連続してTg+30〜Tg+120 ℃
    の温度で5〜30%の弛緩熱処理を施し、次いでこの糸条
    束に捲縮、仕上げ油剤を付与した後、Tg以下の温度で乾
    燥し、切断することを特徴とする熱伸長性ポリエステル
    短繊維の製造法。ただし、Tg:未延伸糸のガラス転移温
    度(℃)
JP35615496A 1996-12-24 1996-12-24 熱伸長性ポリエステル短繊維の製造法 Pending JPH10183439A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101524690B1 (ko) * 2014-02-25 2015-06-02 주식회사 휴비스 저배향 고신도 폴리에스터 단섬유로 제조된 열접착 부직포 및 그 제조 방법
CN107354555A (zh) * 2017-09-06 2017-11-17 浙江凯成纺织机械有限公司 一种变形丝机

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