JP3939773B2 - 濃色性に優れた強撚用に適したポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

濃色性に優れた強撚用に適したポリエステル繊維の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強撚用に適したポリエステル繊維の製造方法に関し、さらに詳しくは濃色性に優れ、例えば、強撚して新合繊を使用した織物の緯糸にしたとき、新合繊との色差が無く、かつ、高品位なシボ織編物を得ることができる、濃色性に優れた強撚用に適したポリエステル繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
強撚糸を用いたシボ織編物は、製品の風合、外観に独特の特徴を有するため、和装・洋装の分野で多方面にわたって利用されている。良好なシボを発現させるためには、強撚糸の有する潜在解撚トルクを布帛中で最大限に発揮させる必要がある。このことを達成させるために、繊維の収縮率を極力下げ、布帛における経糸、緯糸の拘束力を下げること、また、繊維構造面では非晶部の緊張状態を高めることや、非晶部の密度を高めて熱応力を高める方法が一般的である。かくの如き先行技術としては、特公昭51−23619号公報や特公昭56−8140号公報がある。これらの技術によると、良好なシボを有する布帛を得ることができるが、染色時の濃色性という観点からは改善の余地があった。すなわち、これらの技術によると、得られるポリエステル繊維は、高結晶性であり、かつ、その非結晶部の構造は緊張状態が高く、また、その密度も高いので、分散染料を充分に取り込むことができず、染色性が劣るものであった。
【0003】
高結晶性でかつ染色性が優れる繊維は、紡糸速度3,500〜4,500m/分の高速で引き取り、次いで延伸後、6,000m/分前後の速度で巻き取る高速直延の方法や、延伸操作を加えないで、直接、5,000m/分以上の速度で巻き取る、いわゆる、高速紡糸を利用することにより得ることができる。しかしながら、この場合、得られる繊維の非結晶部の構造がルーズになるため、熱応力の値が小さくなり、シボ立ち性が優れた布帛を得ることができなかった。
一方、上述の直延の紡糸速度を下げていくと、熱応力の値は高まってくるが、その反面、染色性が低下し、両者を両立させることはできなかった。
【0004】
一方、延伸操作方法そのものの変更による強撚用原糸の製造の試みも、色々となされている。特開昭59−71414号公報には、延伸操作を従来の加熱ローラー方式に変えて、ローラー間に設置された加熱帯を通過させることにより、省エネルギー型の製造方法が提案されている。しかし、この場合も、その熱応力も充分に高くならず、シボ立ち性が充分とはならなかった。
このように、従来の繊維形成技術においては、染色性とシボ立ち性を両立させる技術は存在しなかった。これを改善する方法は、通常のポリマーでは困難なので、各種の改質ポリマー、例えば、アルカリ減量後に繊維表面に微細な凹凸を付与するポリマーによる方法が代表的なものである。しかし、この場合、その微細な凹凸が染色工程ですれたりして、いわゆる、‘アタリ’が発生し、改良の余地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決し、染色性に優れ、かつ、熱応力が高くシボ立ち性に優れた布帛を得ることができる原糸を提供するものであり、従来の概念を越えた、新しい強撚用原糸の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するため、繊維形成技術の観点から鋭意検討した結果、繊維構造的には、分子鎖の分布が比較的揃った繊維を得ること、特に、非晶部の分子鎖の緊張度がそれほど高くないが、その分布が比較的揃っている構造をとるならば、本発明の目的を達成することができると考えた。すなわち、非晶部の分子鎖の緊張度が低いということは、染色性を高める上では有効であり、熱応力を高めると言うことからは不利な方向である。
【0007】
しかし、次に、分子鎖の分布という概念からみてみると、平均値としての分子鎖の緊張度はそれほど高くないが、その分布が比較的揃っている構造を有するならば、熱応力も高いものを得ることができると考えた。かくの如き繊維構造を取るべく、繊維形成技術につき、その紡糸および延伸に付き鋭意検討を深めた結果、紡糸工程、特に、繊維形成時、すなわち、ポリマーの溶融から固化までの過程が極めて影響があることが判明した。すなわち、この過程において、伸長粘度および伸長応力を高める繊維形成技術が重要であると言う結論に達した。さらに、鋭意検討を深めた結果、吐出孔から押し出す際の紡糸ドラフトをある特定の値以上にすると本発明の目的を達成することができることに到達し、本発明に到った。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリエステルを溶融し吐出孔から押し出し、冷却固化後、油剤を付与して引取り、次いで延伸熱処理したポリエステル繊維において、吐出孔から押し出す際の紡糸ドラフトが少なくとも5,000以上であり、ポリエステル繊維の10%伸長時の応力(以下「10%伸張応力」ともいう)が1.5g/de以上3.5g/de未満、その熱応力が0.20g/de以上、沸水収縮率が6.8%以下であることを特徴とする濃色性に優れた強撚用に適したポリエステル繊維である。
また、本発明は、ポリエステルを溶融し吐出孔から押し出し、冷却固化後、油剤を付与して引取り、次いで延伸熱処理するポリエステル繊維の製造において、吐出孔から押し出す際の紡糸ドラフトを少なくとも5,000以上とし、かつ、延伸熱処理の際、ポリエステル繊維の10%伸長時の応力が1.5g/de以上3.5g/de未満、その熱応力が0.20g/de以上、沸水収縮率が6.8%以下となるよう、該油剤を付与されたポリエステル繊維を第1ローラーと第2ローラーに巻回し、該第1ローラーと第2ローラーの間で延伸倍率1.47〜2.07で延伸するとともに、第2ローラーの表面温度を140〜220℃にして延伸熱処理したのち巻き取ることを特徴とする濃色性に優れた強撚用に適したポリエステル繊維の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、まず、吐出孔から押し出す際の紡糸ドラフトを少なくとも5,000以上、好ましくは8,000以上、さらに好ましくは、10,000以上にする必要がある。
紡糸ドラフトが5,000未満の場合は、溶融ポリマーがその固化の過程で、伸長粘度および伸長応力を充分に高めることができなく、目的とする繊維構造を得ることができない。すなわち、伸長粘度および伸長応力を充分に高めた場合、溶融過程から細化過程で急激な変形が生じ、その際、分子鎖の均一なひき揃えが発生する。紡糸ドラフトが5,000未満の場合は、例えば、紡糸温度を下げたり、溶融粘度の高いポリマーを用いて伸長粘度を高めることができるが、紡糸応力が低いため、伸長応力を充分に高めることができないために、溶融ポリマーの引き伸ばしやひき揃えがうまくいかず、目的の構造にはならない。このときは、いわゆる、‘弱糸’といった、強度・伸度の低い力学的特性の劣った繊維となり、また、その紡糸の際の糸切れが多発し、生産技術の面でも好ましくない。紡糸ドラフトは、5,000以上の場合は、高い方が好ましい結果を与えるが、300,000を超えると、紡糸時の糸切れが多くなってくるので、300,000以下に抑えることが、生産技術の観点から好ましい。
【0010】
次に、紡糸ドラフト5,000以上で引き取られた繊維は、その延伸熱処理工程にて、得られるポリエステル繊維の10%伸長応力が1.5g/de以上、3.5g/de未満、好ましくは2.0g/de以上、3.5g/de未満で、その熱応力が0.20g/de以上、沸水収縮率が6.8%以下になる延伸熱処理をすることが肝要である。
ポリエステル繊維の10%伸長応力が1.5g/de未満の場合は、得られるポリエステル繊維は非晶部の分子鎖の緊張度が低すぎ、染色性は良いが熱応力の値が充分大きな値にならなく、その繊維から得られる布帛のシボ立ち性は不満足なものとなるため好ましくない。一方、ポリエステル繊維の10%伸長応力が3.5g/de以上の場合は、得られるポリエステル繊維は非晶部の分子鎖の緊張度が高過ぎ、その繊維から得られる布帛のシボ立ち性は良好であるが、染色性が不充分となり好ましくない。
【0011】
また、その熱応力は、0.20g/de以上、好ましくは0.23g/de以上にすることが必要である。熱応力が0.20g/de未満の場合、強撚糸にしたときの潜在解撚トルクは小さくなり、シボ立ち性の良好な布帛を得ることができず、好ましくない。ただし、熱応力があまり大きくなりすぎると、沸水収縮率が大きくなる傾向があるので、高々0.8g/de程度に止めることが好ましい。
また、ポリエステル繊維の沸水収縮率は6.8%以下になるように、その延伸熱処理工程で熱処理する必要がある。これは、沸水収縮率が6.8%を超える繊維を布帛にした場合、経糸と緯糸の拘束力が大きくなり、潜在解撚トルクのポテンシャルを充分に発揮できなくなり、その結果、シボ立ち性の良好な布帛を得ることができず、好ましくない。ただし、ポリエステル繊維が、沸水中で全く収縮しないか、あるいは自己伸張を起こすような場合(すなわち、沸水収縮率が0%以下の場合)は、解撚トルクが発現できなくなるので、好ましくない。
【0012】
なお、 本発明において、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートが好ましいが、その特性を損なわない範囲で、他の成分を共重合および/またはブレンドしたポリエステルでもよい。
共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの二塩基酸、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのグリコール類を挙げることができる。
ブレンド物としては、各種の無機物をはじめ、アルカリ減量により、繊維表面に微細な凹凸や筋状の形態を形成させる、各種の有機・無機の細孔形成剤を含有させてもよい。
本発明に使用するポリエステルの固有粘度は、特に限定されるものではないが、衣料素材であるので、0.50〜0.75の範囲のものを使用することが多い。
【0013】
本発明に使用する吐出孔の形状は特に限定されなく、各種の形態のものを使用できるが、紡糸ドラフトが10,000を超える場合は、断面積が連続的に拡大する形状のものが特に好ましい結果を与える。
また、本発明の延伸熱処理に使用する装置は、従来から存在するものを使用することができる。さらに、本発明においては、ポリエステル繊維中に他の繊維が存在する、いわゆる、紡糸混繊であってもよい。なお、上記紡糸混繊は、他のポリマーが存在する、異ポリマーコスパンでもよい。
【0014】
上記の特性を有するポリエステル繊維に、強撚を施す。その強撚の程度は、一般に目標とする織物の品質、ポリエステル繊維を構成するフィラメントの繊度(デニール)によって異なるが、通常、2,000〜4,000回/m程度の撚りで充分である。
なお、強撚に先立ち、あらかじめ、ポリエステル繊維に糊付けをすることを採用してもよい。糊剤には、温湯で脱糊し易い澱粉系、ポリビニルアルコール系、あるいは、アクリル系などの糊剤が好ましい。強撚を施したポリエステル繊維を、次に、70〜130℃の乾熱・湿熱で処理して撚りのトルクを潜在化させる。
【0015】
以上の如くして製造された強撚、シボ織編用ポリエステル繊維は、経糸および/または緯糸として製織に供される。製織後の布は、常法に従って熱水中に浸漬されシボ立てされる。かくの如き操作により、優れたシボ織物を得ることができる。
なお、編物に適用した場合も、優れた外観、タッチを有する製品を得ることができる。
また、織編後のシボの良し悪しは、実際に布帛にした後で判定できるが、繊維段階でのその発現トルク(特に沸騰水中で強撚を解撚させたときのトルク)は、布帛でのシボの発現と極めて相関が強い。すなわち、撚止めしたポリエステル繊維の沸騰水中での解撚トルクの値が大きいと、シボの優れた布帛となる。
本発明の方法で得られたポリエステル繊維は、撚止めしたポリエステル繊維の沸騰水中での解撚トルクの値が大きく、かつ、染色時に濃色性が高いという顕著な特性を有するので、その特性を簡便に判定できるというメリットを有する。
【0016】
【実施例】
本発明を、実施例を挙げて、さらに詳細に説明する。
なお、本発明に使用した測定値は、以下の方法にて測定した。
(1)極限粘度〔η〕
ポリエチレンテレフタレートをo−クロロフェノールに溶解し、温度35℃でウベロード型粘度計にて常法にて測定した。
(2)紡糸ドラフト
紡糸口金の吐出孔より押し出される溶融ポリエステルの平均押し出し速度V1 と、ポリエステル繊維の引き取り速度V2 の比(V2 /V1 )から求めた。
【0017】
(3)ポリエステル繊維の強度・伸度
東洋測器社製テンシロン(UTM−III)を使用し、常温でポリエステル繊維の応力(g)−伸度(%)曲線を求め、その最大応力(g)をポリエステル繊維の繊度(デニール)で除した値を強度(g/de)とした。また、その最大応力地点の伸びを伸度(%)とした。
(4)ポリエステル繊維の10%伸長応力
上記の応力(g)−伸度(%)曲線における、伸度10%地点の応力(g)をポリエステル繊維の繊度(デニール)で除した値を10%伸長応力(g/de)とした。
【0018】
(5)沸水収縮率(BWS)(%)
ポリエステル繊維を沸騰水中で無荷重下で30分間処理し、処理前後の長さの変化から、以下の式から求めた。
(BWS)(%)=[(L0 −L1 )/L0 ]×100
ただし、L0 :処理前の長さ
1 :処理後の長さ
【0019】
(6)熱応力(TMAX ,FMAX
カネボウエンジニアリング社製の熱応力を使用し、昇温速度300℃/120秒の速度で測定し、その応力(F)が最大となる温度をTMAX とした。また、以下の式から、FMAX を求めた。
MAX (g/de)=最大応力(g)/{2×繊度(de)}
測定は2回行い、その平均値を求めた。
【0020】
(7)沸水トルク(T/m)
マルチフィラメントに、2,500回/mの撚りを付与し、85℃の乾熱中で30分間撚止めセットを行い、この強撚糸を長さ100cm採取し、中央部に5mg/deの荷重を加えたのち、両端を合わせて、沸水中に30分間浸漬したあと、乾燥させ、この時発生する2重撚数(T/50cm)を求め、その値を1mの値に換算した。沸水トルク(T/m)の値は、700以上が好ましいものとした。
【0021】
(6)濃色性
マルチフィラメントを筒編みし、以下の条件にて130℃で60分間染色した。
染色条件
▲1▼染料 Eastman Polyester Blue GLF
▲2▼染料濃度 4% owf
▲3▼浴比 1/100
▲4▼分散剤 Disper VG(明成化学社製)0.5g/1
▲5▼酢酸 0.2g/1
【0022】
引き続き、ビスフェノール〔一方社油脂工業(株)製〕を2g/l入れた80℃の水溶液中で20分間還元洗浄処理を行い、水洗乾燥した。得られた染色筒編みを170℃の乾熱中で1分間セットを行い、測定試料とした。この試料を4重して、マクベスMS2020分光光度計にてL* を測定した。L* の値が、26.0未満のとき、濃色性を有すると判定した。
【0023】
実施例1〜5、比較例1〜7
極限粘度〔η〕が0.64で、艶消し剤として酸化チタン0.07重量%含有するポリエチレンテレフタレートを300℃で溶融し、断面積が連続的に拡大した、吐出部の孔径が10φ(mm)の丸孔が16個配置された紡糸口金から押し出し、冷却固化後油剤を付与したのち、表面温度が120℃に加熱された第1ローラーに8回ターンしたのち、表面温度が190℃に加熱された第2ローラーに8回ターンして延伸熱処理したのち、巻き取り、64デニール/16フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを得た。この際、第2ローラーの周速を変え、伸度の異なるポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを作成した。結果を表1に示す(比較例1〜2、実施例1〜5)。
【0024】
一方、孔径が0.40φ(mm)の丸孔16個配置された紡糸口金を用い、同じ要領でポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを作成した。
なお、この場合、第1ローラーの表面温度を120℃にて当初行ったが、ローラー上での糸揺れが大きく、巻き取り不能であったので100℃にて行った。結果を併せて表1に示す(比較例3〜7)。
また、得られたポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントの糸特性・染色結果(濃色性)を表2に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003939773
【0026】
【表2】
Figure 0003939773
【0027】
実施例1〜5の場合は、本発明の特徴を反映したもので、沸水トルクが高くてシボ立ち性が優れた強撚用原糸であることが分かり、さらに、その染色性は濃色性に優れる結果となった。
これに対し、比較例1は、濃色性が極めて良好であるが、熱応力が低すぎ、その結果、熱応力の値が大きくならず、沸水トルクの値が小さくなり好ましくなかった。
比較例2は、10%伸張応力が高すぎて染色性が不充分であり、また比較例3〜5は、ある程度の染色性を有するが、沸水トルクの値が小さく、好ましくなかった。
比較例6〜7は、沸水トルクの値はある程度高まってきたが、染色性が低下し好ましくなかった。
【0028】
実施例6〜11、比較例8〜10
丸孔の孔径を種々変更を有する紡糸口金を用い、実施例1〜5および比較例1〜7と同じ要領で64デニール/16フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを得た。結果を表3に示す。
得られたポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントの糸特性・染色結果(濃色性)を表4に示す。
【0029】
【表3】
Figure 0003939773
【0030】
【表4】
Figure 0003939773
【0031】
実施例6〜11は、目的とする濃色性に優れ、かつ、沸水トルクが高くて強撚用織物に適した特性を有していた。
一方、比較例8〜10は、紡糸ドラフトが低く、濃色性と沸水トルクを両立できる特性にはならなかった。
【0032】
実施例12〜16、比較例11〜12
実施例3の条件で、第2ローラーの表面温度を変更した以外は、実施例3と全く同じ要領で、64デニール/16フィラメントのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントを得た。結果を表5に示す。得られたポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントの糸特性・染色結果(濃色性)を表6に示す。
【0033】
【表5】
Figure 0003939773
【0034】
【表6】
Figure 0003939773
【0035】
実施例12〜16は、濃色性と沸水トルクを両立できる特性を有していた。
一方、比較例11〜12は、沸水収縮率が高く、熱応力も低いため、沸水トルクが低かった。
【0036】
【発明の効果】
従来の強撚用ポリエステル繊維は、熱処理を強化した方法にて製造しているため、その染色性(濃色性)に課題があった。そこで、染色性(濃色性)を改善するために、表面に凹凸を有するポリエステルを用いているが、染色工程での‘アタリ’により、その使用が限定されるものであった。
【0037】
本発明に使用するポリマーは、改質ポリマーを必ずしも必要としなく、一方、使用した場合においても、その微細な凹凸を形成する細孔形成剤の添加量を大きく低減できるので、‘アタリ’と言う問題に対してもなんら問題がないのである。
本発明は、上記の問題を解決し、染色性に優れ、かつ、熱応力が高くシボ立ち性に優れた布帛を得ることができる原糸を提供するものであり、従来の概念を越えた、新しい強撚用原糸の製造方法を提供することができ、その工業的意義は極めて大きい。

Claims (2)

  1. ポリエステルを溶融し吐出孔から押し出し、冷却固化後、油剤を付与して引取り、次いで延伸熱処理したポリエステル繊維において、吐出孔から押し出す際の紡糸ドラフトが少なくとも5,000以上であり、ポリエステル繊維の10%伸長時の応力が1.5g/de以上3.5g/de未満、その熱応力が0.20g/de以上、沸水収縮率が6.8%以下であることを特徴とする濃色性に優れた強撚用に適したポリエステル繊維
  2. ポリエステルを溶融し吐出孔から押し出し、冷却固化後、油剤を付与して引取り、次いで延伸熱処理するポリエステル繊維の製造において、吐出孔から押し出す際の紡糸ドラフトを少なくとも5,000以上とし、かつ、延伸熱処理の際、ポリエステル繊維の10%伸長時の応力が1.5g/de以上3.5g/de未満、その熱応力が0.20g/de以上、沸水収縮率が6.8%以下となるよう、該油剤を付与されたポリエステル繊維を第1ローラーと第2ローラーに巻回し、該第1ローラーと第2ローラーの間で延伸倍率1.47〜2.07で延伸するとともに、第2ローラーの表面温度を140〜220℃にして延伸熱処理したのち巻き取ることを特徴とする濃色性に優れた強撚用に適したポリエステル繊維の製造方法。
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