JP3953469B2 - 耐酸性コンクリート - Google Patents

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Description

本発明は、耐酸性コンクリートに関し、特に、下水道に利用されるのに好適な耐硫酸性を有する新規な組成のコンクリートに関する。
近年、下水道コンクリートの劣化、すなわち、コンクリートの表面部が泥状に軟化し、掻き取れるような状態になる現象が各地で生じて問題になっている。これは、下水中で嫌気状態下に生息している硫酸塩還元細菌が(硫酸塩還元菌:sulfate-reducing bacteria)硫化水素ガスを製造し、この硫化水素が気相中に出てくると、好気状態において硫黄酸化バクテリア(硫黄酸化細菌:sulfur oxidization bacteria)が硫化水素を取り込み、硫酸を排出し、この硫酸によって、コンクリートが侵食されるためである。
従来の普通ポルトランドセメントは、酸に溶解する水酸化カルシウムを多量に生成し化学抵抗性の小さい珪酸カルシウム(ケイ酸三カルシウム3CaO・SiO2およびケイ酸二カルシウム2CaO・SiO2、それぞれC3SおよびC2Sと略記されることもある)、および、水和時に硫酸および硫酸塩と反応してエトリンガイトなる複塩を生成し膨張崩壊し化学抵抗性の小さいアルミン酸三カルシウム〔Ca3(AlO3)2:C3Aと略記されることもある〕が多く含まれているため、劣化しやすい。特に、水セメント比が大きく、十分締め固めず、養生をしていないコンクリートは空隙が多く、外部から水や空気が浸入しやすくて劣化する。
このような劣化に対して従来より主として採られた対応策としては、劣化している部分を除去して、ポリマーモルタルや抗菌剤を含むモルタルで断面修復したり、樹脂で表面を塗膜して補修したりしていたが、2,3年またはそれよりも早期に劣化しているものが多く、早急に有効な対策法の確立が望まれている。
本発明の目的は、コンクリートの特性そのものを改良して、下水道に用いられるのに適した耐硫酸性に優れた新しい材料を提供することにある。
本発明者は、高炉フューム、さらには、必要に応じて、高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームを併用して混入してポルトランドセメントの使用量を相対的に減少させることによって硫酸に因る劣化が顕著に防止されることを見出し、本発明を導き出した。
かくして、ポルトランドセメントの一部が高炉フュームで置換された組成を有し、高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームを含有することがあるコンクリートであって、ポルトランドセメント、高炉フューム、高炉スラグ微粉末(含有する場合)、フライアッシュ(含有する場合)およびシリカフューム(含有する場合)の全量に対して、ポルトランドセメントが10〜60重量%の範囲にあり、且つ、高炉フュームが10〜40重量%の範囲にあることを特徴とする耐酸性コンクリートを提供するものである。
本発明の耐酸性コンクリートは、好ましい態様として、前記の全量に対して10〜50重量%の範囲の高炉スラグ微粉末および/またはフライアッシュを含有してもよく、さらに、0〜10重量%の範囲のシリカフュームを含有してもよい。
本発明のコンクリートは、耐硫酸性に優れ下水道などに利用されるのに好適である。
本発明の耐酸性コンクリートにおいて用いられる「高炉フューム」とは、一般に、中国山西省を中心として存在する小型高炉(内容積500m3以下)の高温の炉頂ガス(炉頂温度は一般に1000℃以上、例えば約1300℃)中に含まれる高炉挿入物中から高温揮発した微粒ダストをバッグフィルターなどで捕集された非晶質のアルミノシリケートを主成分とする副産物であり、通常、適量の石膏を加えた微粉末として使用される(例えば、コンクリート工業新聞(平成12年3月23日号)など参照)。
すなわち、本発明で用いられる高炉フュームは、SiO2として20〜30重量%、Al23として10〜20重量%(但し、SiO2量は比較的少なくSiO2+Al23≦50重量%である)、CaOとして15〜20重量%およびSO3として5〜10重量%を含有し、且つ、粒径が80μm以下(平均粒径4μm程度)の球形およびそれに類する形状から成る微粉末である。以上の記述から明らかであろうが、本発明で用いられる高炉フュームは、一般的に知られているシリカ(SiO2)を多量に含む高炉スラグとは異なる材料であり、また、炉頂ガスの温度が低い我が国で見られる高炉から得られる炉頂灰とも異なるものである。
本発明の耐酸性コンクリートに用いられる高炉スラグ微粉末とは、溶鉱炉で銑鉄と同時に生成する副産物である溶融スラグを水、空気などによって急冷した高炉スラグを粉砕して製造される微粉末であり、粉砕品であるので粒子形状は角張っている。本発明においては高炉スラグ微粉末として例えば「JIS A 6206」に定めたものまたはこれに準ずるものを用いることが好ましい。
さらに、本発明の耐酸性コンクリートに用いられるフライアッシュとは、火力発電所などで微粉炭を燃焼する際に副生されるガラス質で20〜30μm程度の球状に近い粒子であり、例えば「JISA 6201」に規定されているようなフライアッシュが使用される。
また、本発明の耐酸性コンクリートにおいて用いられるシリカフュームとは、金属シリコンやフェロシリコンを製造する際に発生する非晶質のSiO2を主成分とし(一般に85〜90%)、平均直径0.1μm程度以下の球状の超微粒子であり、本発明においては例えば、「JSCE−D 106」として定めた規格のものを用いることが好ましい。
本発明の耐酸性コンクリートは、ポルトランドセメントの一部が高炉フュームで置換された組成を有し、これに加えて、高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームを含有することもある。具体的には、本発明の耐酸性セメントにおけるポルトランドセメント、高炉フューム、高炉スラグ微粉末(含有する場合)、フライアッシュ(含有する場合)およびシリカフューム(含有する場合)の重量基準の含有量の全量(合計量)をZとすれば、
(A)ポルトランドセメントは、(0.1〜0.6)Z、すなわち、全量の10〜60重量%、
(B)高炉フュームは、(0.1〜0.4)Z、すなわち、全量の10〜40重量%、
(C)高炉スラグ微粉末は、(0.1〜0.5)Z、すなわち、全量の10〜50重量%、
(D)フライアッシュは、(0.1〜0.5)Z、すなわち、全量の10〜50重量%、
(E)シリカフュームは、(0〜0.1)Z、すなわち全量の0〜10重量%
となる。
上記から明らかなように、本発明の耐酸性コンクリートにおいては、ポルトランドセメントの使用量を通常に比べて減少させており全量の10〜60重量%の範囲になるようにしている。そして、本発明の耐酸性コンクリートの特徴は、ポルトランドセメントの一部の代わりに必須の構成成分として高炉フュームを含有させていることにある。高炉フュームの添加は、コンクリートの初期水和反応、初期強度の発現に寄与するが、過剰の高炉フュームは長期使用における強度増加が小さい傾向があるので、高炉フュームの含有量は全量の10〜40重量%としている。
本発明の耐酸性コンクリートにおいては、高炉フュームに加えて高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームを併用してもよい。高炉スラグ微粉末および/またはフライアッシュを含有させる場合は、それぞれ、上記のように定義した全量の10〜50重量%の範囲になるようにする。シリカフュームは、一般に、高炉スラグ微粉末および/またはフライアッシュの一部の代わりに使用され、含量も高炉スラグ微粉末やフライアッシュに比べて少なく、上記のように定義した全量の0〜10重量%になるようにする。
以上のように、本発明は、ポルトランドセメントの一部を高炉フュームで置換した2成分系、あるいは、好ましい態様として、これに高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームを含有する3成分系乃至5成分系から構成されるこれまでに知られていなかった新しいタイプの耐酸性材料である。
なお、本発明に関連して用いるコンクリートという語は、モルタルを包含する広い意味で使用している。すなわち、本発明の耐酸性コンクリートとは、既述のようにポルトランドセメントの一部が高炉フューム、さらには、場合によって高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームで置換された組成に、目的に応じて各種の骨材や混和材を加えて使用される水硬性混合物および該混合物から得られる硬化体を指称する。
本発明の耐酸性コンクリート(硬化体)は、ポルトランドセメントなどの通常の硬化体に比べて、透気性が非常に小さく極めて密実である等の特性を有し、硫酸に因る劣化耐性が著しく高い。このように本発明に従い高炉フューム、さらには、場合に応じて高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームを併用してポルトランドセメントに配合することにより耐酸性の極めて優れたコンクリートが得られる詳細なメカニズムは未だ分からないが、以下のような作用が相俟っているものと推察される。
(1) 配合におけるポルトランドセメントの使用量を相対的に減少させることにより、従来の技術に関連して既述したように珪酸カルシウムやアルミン酸三カルシウムの量を少なくして硫酸に因る劣化を防ぐ。
(2) 高炉フュームと高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームは、それらが保有するポゾラン反応性によって生成する水酸化カルシウムを硬化体の毛管空隙を埋める緻密な珪酸塩水和物に消費してしまい、安定化させる。
(3) 石膏成分を含み初期反応性のよい反応性アルミナを含む高炉フュームは、水和反応初期においてそれ自体が安定なエトリンガイトになるのみならず、アルミン酸三カルシウム(C3A)も安定なエトリンガイトに変化させてこれを消費してしまい、後工程の硫酸侵食時にはこれによる有害な膨張崩壊が起こり得ないようにする。また、反応性は高炉フュームよりもやや小さいが反応性アルミナを含む高炉スラグ微粉末も十分量の石膏が存在する場合は同様な効果を奏する。
本発明の特徴を更に具体的に示すため以下に実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
実施例で用いた材料の性状は以下のとおりである。
高炉フューム
用いた高炉フューム(以下、BFFと記すことがある)の化学組成を表1に示す。SEM(走査型電子顕微鏡)観察ではBFFは球状の粒形をしており粒径も7μm以下がほとんどであった。レーザー回折式粒度分布測定装置では、最大粒径は約20μm、平均粒径3.9μmで、1μm以下では10%程度しか含まれず、0.2μm以下はなかった。また、密度2.60g/cm3、比表面積21,000cm2/gであった。
Figure 0003953469
ポルトランドセメント
使用したポルトランドセメント(普通ポルトランドセメント:以下、OPCと記すことがある)の化学組成を表2に示す。OPCは、密度3.16g/cm3、比表面積3200cm2/gであった。
Figure 0003953469
高炉スラグ微粉末およびシリカフューム
高炉スラグ微粉末(以下、BFSと記すことがある)は、「JIS A 6206の高炉スラグ微粉末6000」に準ずるもので、密度が2.91g/cm3、比表面積6000cm2/gのものを使用した。また、シリカフューム(以下、SFと記すことがある)は、JSCE-D106-1995に準ずるもので、密度が2.19g/cm3、比表面積が2×105cm2/gのものを使用した。
細骨材
細骨材は、嘉穂産の3号、4号、5号、6号および7号の破砕したけい砂で、これをそれぞれ1:1:1:1:0.5の比率に混合して、コンクリート用細骨材の粒度を満足するように調整したもの(粒度範囲:2.5〜0mm)を使用した。密度2.63g/cm3
希硫酸による促進劣化試験
硫酸に対する耐性を調べるため一定濃度に保った希硫酸(pH1.5)に浸漬することにより促進劣化試験を行なった。モルタルの配合は、水結合材比を30%とし、高炉フューム(BFF)、シリカフューム(SF)、高炉スラグ微粉末(BFS)をそれぞれ単独で普通ポルトランドセメント(OPC)に混入した2成分系のものとOPCにBFFとを併用した3成分系のものとした。また、一般に耐硫酸性のあるといわれるナフタレンスルホン酸塩系とその比較用にポリカルボン酸塩系の高性能AE減水剤をそれぞれ5%添加した場合についても同様の試験を行なった。
試験結果を図1に示す。図1は、標準養生14日後に希硫酸に浸漬したときの質量減少率を示したもので、希硫酸に浸漬する直前の質量を100%としている。図の横軸に示すのは、OPCを除く配合比であり、例えば、BFF25とは、BFF25%+OPC75%であり、また、BFF25+BFS50とは、BFF25%+BFS50%+OPC25%から成る配合である。
図1に明示されるように、91日希硫酸浸漬した場合、ポルトランドセメント単味では約30%もの質量の減少があるが、本発明に従い高炉フュームと高炉スラグ微粉末またはシリカフュームの3成分系の場合(※を付けているもの)では、質量の減少が全く見られず、きわめて耐硫酸性に優れていることが理解される。
透気性試験
本発明の耐酸性コンクリートの特性を更に評価するために透気性試験を行った。試験は、28日間20℃水中で養生した後、2週間20℃、50%の相対湿度の室内で乾燥させた後、コンクリート打設方向とは直角方向である水平方向に空気を透過させた場合の透気係数と圧縮強度との関係を測定したものである。
結果を図2に示す。なお、図2に示す各供試体の配合の表示は実施例1に関連して既述した場合と同様である。供試体No.5およびNo.6が本発明に従い高炉フュームを含有する組成を有するものである。
図2より、本発明に従うコンクリート(モルタル)供試体は透気性が極めて低く、特に、高炉フューム25%と高炉スラグ微粉末50%を併用したモルタル(従って普通ポルトランドセメントは25%含有)の透気係数(No.6)は、普通ポルトランドセメントのみを用いたモルタルの場合(No.1)の1/100以下となっており、極めて密実になっている。このことが、硫酸を含有した水分のコンクリート内部への浸透を防止し、硫酸による劣化を防ぐ最大の要因と思われる。
下水処理場での暴露試験
嫌気性の硫酸塩還元細菌が棲息して硫化物とくに硫化水素が生成するとともに、気中に発散された硫化水素を酸化する硫黄バクテリアが棲息する下水処理場にコンクリート供試体を暴露した。すなわち、九州の某政令指定都市の下水処理場の汚泥濃縮層の最も劣化の激しい部位である上部水路にFRP暴露棚を設けて、5種類の配合の供試体を暴露した。気中の供試体は結露水に曝されるようにした。
暴露した環境は、夏期には結露しないが、秋期から結露し始めて、冬期に生成する結露水は水酸化イオン濃度pH=2.5程度の酸性を示し、このときの上澄水の硫酸イオン濃度は70〜100mg/lであり、槽内ガスには14〜15ppmの硫化水素が含まれていた。
暴露したコンクリート供試体は、普通ポルトランドセメント(OPC)と高炉スラグ微粉末(BFS)を50:50に混合した高炉セメントを基準セメント(記号:1B1)とし、さらに、本発明に従うコンクリートとしてこの基準セメントを高炉フュームで13%、25%および40%置換したもの(記号:それぞれ2B1、3B1および5B1)、並びに基準セメントを高炉フューム15%とシリカフューム10%を併用して置換したもの(記号:4B1)である。
供試体のモルタル配合は、水結合材比=40%、砂セメント比=約2、単位水量一定(高性能AE減水剤使用)として、30Lオムニミキサで練上り量22.5Lとなるように定めた。混和剤はポリカルボン酸系複合ポリマーの高性能AE減水剤HP−11および消泡剤AFKを所要量添加した。練り上がったモルタルは直径5cm、高さ10cmの円柱供試体に成形し、各配合とも各3供試体を20℃の水中で所定日数養生した後、暴露した。
<力学試験の結果>
暴露試験の一部として、前養生2日行った後、濃縮汚泥槽の暴露棚に所定期間暴露した供試体について測定した力学試験の結果を表3に示す。前養生2日間は、本発明のモルタルを劣化した下水コンクリートの補修に本発明のモルタルを用いるために使用することを考慮して定めた。
Figure 0003953469
表3に示されるように、力学試験の結果では、圧縮強度は暴露前よりも増加し、非破壊試験の各値はほとんど劣化の兆候が見られていない。これは、暴露期間が短いために暴露環境による劣化促進よりも結合材自体の水和促進の方が卓越しているためと考えられる。しかしながら、暴露した供試体の外観からは、供試体の外部は明らかに劣化していた。特に、基準セメントの配合1B1の劣化が顕著であった。
<微細組織の調査結果>
暴露試験に供したコンクリートの供試体の微細組織を調べるために細孔径分布測定を行なった。測定には、島津製作所社製水銀圧入式ポロシチメーター(ポアサイザ9320)を使用した。試料は、各供試体を外側および内側の部位において5mm間隔で切断した後、5.0mmふるいを通過し2.5mmふるいに残留したものをアセトンに浸漬し、真空乾燥機を用いて水和停止したものを試験に供した。測定細孔径は約7〜290,000nmまでである。
H. F. W. Taylerによる劣化作用を受けない通常のセメント硬化体の研究成果によると(H. F. W. Tayler "Cement Chemistry, 2nd
Edition" (Thomas Telford, 1998), pp. 247-249)、キャピラリー空隙の半径がr=d/2=100nm以上のものは半径10〜100nmのものに比べて強度に及ぼす影響が大きく、10nm以下のものは強度には殆ど影響しないとされている。そこで、それぞれのコンクリート供試体について、細孔径20nm以下の緻密で健全な空隙と20nm以上の粗で脆弱な空隙の暴露試験による変化の様子を調べた。
各供試体について標準養生28日(材齢28日)後と暴露91日(材齢93日)後の外側および内側部位における細孔径に対する細孔容積の分布を測定した。細孔容積を積分すれば、全細孔容積が算出でき、また、細孔径の区間を切って積分すればその区間の細孔容積の量が算出できるので、細孔径20nm以下および細孔径20nm以上の細孔容積を求めた。その結果を図3(細孔径20nm以下)および図4(細孔径20nm以上)に示す。図3および図4のそれぞれのグラフにおいて横軸は、左から右にかけて、標準養生28日後の内側、暴露91日後の内側、標準養生28日後の外側、および暴露91日後の外側のデータであることを示す。
図3に示されるように20nm以下の緻密な組織の空隙量が最も少ないのは、基準セメントの1B1である。さらに、劣化作用を受けない標準養生の空隙量に比べて、暴露91日後の空隙量が減少したものは、同じく1B1の外側である。本発明に従う組成を有するその他供試体は、暴露91日後の微細空隙量がすべて増加しており、劣化作用に抗して水和が進行していることを示唆している。このように、1B1は外部が暴露によって劣化していると考えられるが、本発明に従うコンクリート供試体にはそのような劣化は認められない。
次に、細孔径20nm以上の空隙の変化を示す図4において、標準養生の場合、本発明に従い高炉フュームを含む2B1〜5B1は、基準セメント1B1よりも細孔径20nm以上の空隙量が多い。これは、セメント硬化体が緻密なために、水和に必要な水の供給が阻害されているためと考えられる。この阻害は、供試体深部の内部でも、水に接し易い外部でも内部ほどではないが起こっている。この空隙量の大小は、劣化には直接関係ないものである。暴露91日後では、すべての供試体が標準養生28日後の空隙量よりも多くなっている。しかし、特徴的なのは基準セメントの1B1だけが著しく20nm以上の粗な空隙量が増加していることであり、これは、暴露による劣化作用を受けて組織が粗になった証拠である。
以上の解析結果から、1B1は劣化の兆候が見られるが、本発明に従い高炉フュームを加えた2B1〜5B1は暴露期間91日では劣化していないことが判明した。
下水道暴露試験
1.尾道下水道内に暴露したモルタル供試体(φ5cm×10cm円柱)の劣化性状
試験期間:平成13年3月24日から平成13年8月22日
使用材料:普通ポルトランドセメント、高炉フューム、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、抗菌剤、アクリル樹脂(表面塗布用)
供試体:φ5×10cm円柱モルタル供試体
配合:普通ポルトランドセメント W/C=40%、混和剤混入率=0、0.9%(抗菌剤)、50%(高炉スラグ微粉末)、30%(高炉フューム)、塗布(アクリル樹脂、以下アクリルと略記)
養生:供試体打設後3日間
暴露条件:平成13年3月27日〜平成13年8月22日
Figure 0003953469
1.外観検査および質量減少
普通ポルトランドセメントの30%を高炉フュームで置換したNo.4-1およびNo.4-2のモルタルは約6ヶ月暴露後において、原形をとどめて、モルタル表面は硬い状態であったが、高炉スラグ微粉末で普通ポルトランドセメントの50%を置換したNo.3-1およびNo.3-2のモルタルの場合は、表面は軟化していたが、内部は硬い状態だった。その軟化した部分を除去した後の質量は、約20%低下していた。普通ポルトランドセメント単身のNo.-1およびNo.1-2の場合も高炉スラグモルタルの場合と同様であった。シリカフュームで普通ポルトランドセメントの10%を置換したNo.6-2の場合は、原形をとどめておらず、バラバラになっていた。普通ポルトランドセメントだけのNo.1-1およびNo.1-2並びにNo.1-1にアクリルを塗布した供試体のNo.5-1の場合も外形を保つことなく著しい劣化損傷を受けていた。質量減少については、高炉フュームは極めて小さく、その他はこれよりも大きく、とくにシリカフュームの場合は、内部までバラバラで質量減少は50%以上であった。
圧縮強度試験結果
図5は、水結合材比40%の配合について材齢3日で下水道中に3ヶ月及び5ヶ月暴露したモルタルの圧縮強度試験結果を示しているが、高炉フュームを30%用いた場合の圧縮強度は他の配合の場合より大きいが5ヶ月後には相当低下している。紙型枠に入れたまま暴露した場合はどの場合も強度低下は著しく小さくなっている。すなわち、硫酸を含んだ水分を遮断できれば、硫酸による劣化を防ぐことが出来るが、下水道コンクリートのように表面を高強度モルタルや樹脂系補修材でコーティングしただけではコンクリート内部からの水分の浸透を防止できないと劣化を防止できないことが明らかとなった。
高炉フュームを用いたモルタルの硫酸に対する抵抗性が大きかったのは、初期強度発現性が大きく、材齢初期に密実になるため、外部からの硫酸を含んだ水が浸透しにくくなるためと思われる。高炉フュームを用いた場合、初期強度発現性は大きいが材齢7日以降の強度増大が普通ポルトランドセメントや高炉スラグ微粉末またはシリカフュームを用いた場合より小さいため、長期においては、長期での硫酸アタックによる劣化が大きくなることが懸念される。従って、長期において強度が増大してくる高炉スラグ微粉末と初期強度の発現が大きい高炉フュームとの併用が有効であると思われる。
同時に高炉フューム(石膏入り)入りの場合は凝固途上のフレッシュ状態から固体として体積がまだ十分に安定しない若材齢まででは、C3Aやその他の反応性アルミナと石膏が反応してエトリンガイトを生成し、硬化体の体積安定性を確保するので、後で硫酸のアタックを受けても抵抗性が増大すると思われる。
以上の記述から明らかなように、本発明に従えば、高炉フューム、好ましくは、これに高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームを混入しポルトランドセメントの使用量を相対的に減少させることにより、耐酸性のきわめて優れたコンクリートを得ることができる。本発明はコンクリートの材質そのものを改良することにより硫酸耐性を高めたものであり、下水道コンクリートの劣化の問題における画期的な対策手段を供するものである。
本発明の耐酸性コンクリートを含む各種の供試体について測定した硫酸耐性試験の結果を示す。 本発明の耐酸性コンクリート供試体を含む各種供試体について測定した圧縮強度と透気係数の関係を示す。 本発明の耐酸性コンクリート供試体を含む各種供試体の標準養生28日および暴露91日後における細孔径20nm以下の細孔容積を示す。 本発明の耐酸性コンクリート供試体を含む各種供試体の標準養生28日および暴露91日後における細孔径20nm以上の細孔容積を示す。 本発明の耐酸性コンクリート供試体を含む各種供試体について、材齢3日で下水道中に3ヶ月及び5ヶ月暴露した場合の圧縮強度試験結果を示す。

Claims (4)

  1. ポルトランドセメントの一部が高炉フュームで置換された組成を有し、高炉スラグ微粉末、フライアッシュおよび/またはシリカフュームを含有することがあるコンクリートであって、ポルトランドセメント、高炉フューム、高炉スラグ微粉末(含有する場合)、フライアッシュ(含有する場合)およびシリカフューム(含有する場合)の全量に対して、ポルトランドセメントが10〜60重量%の範囲にあり、且つ、高炉フュームが10〜40重量%の範囲にあることを特徴とする、下水道に利用されるのに好適な耐硫酸性コンクリート。

  2. 前記全量に対して10〜50重量%の範囲の高炉スラグ微粉末を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐硫酸性コンクリート。
  3. 前記全量に対して10〜50重量%の範囲のフライアッシュを含有することを特徴とする請求項1に記載の耐硫酸性コンクリート。
  4. 前記全量に対して0〜10重量%の範囲のシリカフュームを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐硫酸性コンクリート。
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