JP3953180B2 - 立坑掘削機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、推進工法における立坑や場所打杭などを構築するための立坑を掘削する手段として、地中に円筒ケーシングを回転圧入し、その円筒ケーシング内を掘削する立坑掘削のための立坑掘削機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キャタピラ走行方式の立坑掘削機にあっては、一般にキャタピラの取付フレームにカウンタウエイト付設の掘削機本体が旋回自在に支持されて、この掘削機本体にブームが非旋回的かつ起伏自在に設けられており、掘削機本体の旋回とブームの起伏動作との合成動作により、ブームは水平方向360°の範囲で、かつ上下方向に動いて先端から垂下したワイヤーロープを介して吊り下げ支持したバケットにより、立坑掘削と排土動作を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記立坑掘削機においては、ブーム先端で吊り上げた物体の荷重によるモーメントに対抗させるため、掘削機本体の後端にカウンタウエイトが設けられている。そのため掘削機本体の旋回中心からカウンタウエイトの後端までの寸法が長くなり、ブーム回転に際し、大きい旋回半径を必要とし、狭い空間や狭い道路幅の場所では円滑なブームの旋回動作ができず、結果、効率のよい立坑掘削作業ができないという不具合があった。本発明は立坑掘削機において前述の不具合を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、走行体であるキャタピラと、このキャタピラの取付フレームに非回転的に支持された掘削機本体と、この掘削機本体上に配設されたブームと、前記掘削機本体に連結され、円筒ケーシングを地中に回転圧入する円筒ケーシング回転圧入装置を備えたキャタピラ走行式の立坑掘削機であって、前記掘削機本体の前部の上部分に設 けられ、この掘削機本体の最上部分と略同じ高さに配置された軸ピンを中心にして前記ブームの基端部が垂直面内で回動自在に連結されるとともに、その直径が前記掘削機本体の幅より小さい円筒状の旋回支持台と、前記旋回支持台上にその基端部が配設され、その先端部が前記ブームに連結され、このブームを起伏自在とする第1の流体圧シリンダと、前記旋回支持台の内部に設けられ、その回転軸の出力部に設けられたギヤが前記旋回支持台の内壁部に配設された内歯に噛み合うことにより、前記掘削機本体上で前記ブームとともに前記旋回支持台を垂直軸回りに旋回させる旋回モータと、前記掘削機本体の前部に、第1の連結軸および第2の連結軸を介して水平に支持された前記円筒ケーシング回転圧入装置と、前記掘削機本体と前記円筒ケーシング回転圧入装置との連結部に設けられ、前記第2の連結軸を前記連結孔から抜き取ることにより、前記第1の連結軸を支点として前記円筒ケーシング回転圧入装置を垂直面内で回動自在に枢支する第2の流体圧シリンダとを有した立坑掘削機である。
【0005】
本発明によると、ブームを最大限引き起こしてから旋回支持台と一体に旋回させることにより最小旋回半径でのブームの旋回が可能であり、前後方向に長い掘削機本体は旋回しないので、狭い空間や狭い道路幅の場所での立坑掘削作業を円滑に進めることができる。
さらに、円筒ケーシング回転圧入装置を、軸挿入孔への挿入,抜出自在な軸を含む複数の連結軸を用いて、掘削機本体に対し回動及び非回動的に連結できるので、円筒ケーシング回転圧入装置の全重量をカウンタウエイトとして利用でき、またこの回転圧入装置の前部を持上げ、かつブームを後方に倒して掘削機の走行移動も円滑に行える。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図を参照して説明する。図1〜図3は本発明に係る円筒ケーシング回転圧入装置を具備した立坑掘削機1を示す。この立坑掘削機1では、走行体であるキャタピラ2の取付けフレーム3に掘削機本体部4が非回転的に支持されており、この掘削機本体部4には各アクチュエータの駆動エンジン5(図3に示す)と、キャタピラ駆動用油圧ユニットと、ブーム6の旋回支持台7とカウンタウエイト8等が設けられている。
【0007】
各図に示すように、掘削機本体部4に設けられた旋回支持台7に、くの字形基部6aと伸縮先端部6bからなるブーム6が、流体圧シリンダ10によって起伏自在に設けられている。旋回支持台7は図4に示すように旋回モータ11によって旋回駆動される。つまり、掘削機本体部4の前部から支持壁12が立上っており、この支持壁12の上端に固定支持台13が固定され、固定支持台13に油圧駆動の旋回モータ11が、取付けボルト15によりピニオン14を上向きにして取付けられている。
【0008】
固定支持台13の上面に、環状のギヤ付き旋回ベアリング16における外輪16aが固定されており、外輪16aに対し回転自在に支持される内輪16bの内歯17に旋回モータ11のピニオン14が噛合している。前記内輪16bに環状の固定取付け部材18がボルト19で固定され、この取付け部材18に所定間隔をあけて平行に起立配置される2つの旋回支持板20の下部が溶接で固定されている。
【0009】
旋回モータ11は小型かつ強力で、しかも遠隔操作可能なモータであって、図7に示す駆動系統で操作される。つまり、掘削機本体部4に搭載の駆動エンジン5で駆動する油圧ポンプ21からの圧油が、受信機22からの信号でコントロールされる電磁弁又は比例弁からなる切換弁23で切換えられて旋回モータ11に給送され、これを回転駆動する。なお、図示の駆動系統では、切換弁23の切換え操作で油圧ポンプ21からの圧油によりキャタピラ2を駆動する走行モータ24、ブーム6を駆動するシリンダ10、その他の各アクチュエータ25を駆動する。受信機22は作業者が保持する発信機26からの受信により、所定の信号を切換弁23に出力する。
【0010】
ブーム6は、その略くの字形基部6aの下端部が平行に起立する旋回支持板20に架設された軸ピン27で枢支されている。旋回支持板20の別の支持個所28において、軸ピン29によりブーム起伏用流体圧シリンダ10の下端が枢支され、この流体圧シリンダ10の上部が、ブーム6の略くの字形基部6aの中間折り曲げ部に設けた取付け板30に連結ピン31によって軸支されている。ブーム6の伸縮先端部6bにはガイドプーリ32が設けられ、ロープ巻取り用流体圧ウインチ(図示省略する)から巻き出されたワイヤロープ33が、前記ガイドプーリ32を介してブーム6の先端から垂下されており、ワイヤーロープ33の下部に円筒ケーシング34や土砂掘削用のバケット35を吊下げるためのフック等の吊下げ支持体36が支持されている。
【0011】
図1〜図3に示される掘削機本体部4の前部に連結される円筒ケーシング回転圧入装置37は、反力支持フレーム38と、円筒ケーシング34の外周を緊締又は弛緩する揺動バンド39と、この揺動バンド39を緊締または弛緩しながらこれに連続回転又は、正逆反復回転を与える揺動用駆動シリンダ40と、反力支持フレーム38に垂下支持されると共に、下部が揺動バンド39に連結されており、この揺動バンド39で締結された円筒ケーシング34に圧入応力を付与するケーシング圧入用流体圧シリンダ41と、反力支持フレーム38の先端に着脱自在に設けられた円筒ケーシング圧入用カウンタウエイト42等から構成されている。
【0012】
前記反力支持フレーム38を掘削機本体部4に対し、複数の連結軸を用いて連結する構造は本発明の他の特長の1つをなしている。本発明において、図3,図6に示すように掘削機本体部4の取付けフレーム3の先端に所定の間隔をあけて本体側ブラケット43が取付けてあり、反力支持フレーム38の後部に設けた支持フレーム側ブラケット44を前記各本体側ブラケット43の間に挿入し、両ブラケット43,44にそれぞれ前後方向に間隔をあけて複数開設の軸挿入孔45,46に第1と第2の連結軸47,48を挿入し、その第2連結軸48は軸挿入孔46に対して軸挿抜用流体圧シリンダ49により挿入、抜出自在に設けられている。図6(A)に示すように、流体圧シリンダ49は、取付けフレーム3の前面と本体側ブラケット43の一方側との間に両端面を溶接した平面L字形の取付け枠50の側面に固着支持されていて、その作動杆49aの先端が第2連結軸48の軸端に固着されている。
【0013】
したがって、第1と第2の連結軸47,48が各ブラケット43,44の各軸挿入孔45,46に挿入されているときは、両ブラケット43,44を介して掘削機本体部4と円筒ケーシング回転圧入装置37とは非回動的に連結された状態となる。また、第2連結軸48を軸挿入孔から引抜いたときは、第1の連結軸47により、掘削機本体部4に対し円筒ケーシング回転圧入装置37は回動可能に連結された状態となる。
【0014】
本発明の動作を説明する。図1において、立坑掘削機1の右側には、地中に圧入すべき円筒ケーシング34を乗せたトラック51が停車した状態が示されている。左側には、地中に圧入した円筒ケーシング34内の掘削土砂が土砂掘削用のバケット35ですくわれ、これから投下される土砂を受けるトラック52が待機した状態が示されている。
【0015】
立坑掘削機1におけるブーム6は、図1に実線と点線で示すように旋回,起伏して作業を行なう。つまり、円筒ケーシング34をトラック51の荷台から吊り上げて立坑53の上部に移動するときは、ブーム6は立坑53よりも図示右側において旋回と起伏動作を行なう。バケット35により円筒ケーシング34内の排土を行うときは、ブーム6は立坑53よりも図示左側において、旋回と起伏動作を繰返す。また、ブーム6が円筒ケーシング34の吊上げ作業を終えてバケット35の吊上げ作業へ移るとき、或いは前記の作業に再び戻るときもブーム6は旋回動作を行うが、前記いずれの作業においてもブーム6の旋回は旋回支持台7を中心に旋回動作を行ない、掘削機本体部4は旋回しない。
【0016】
したがって、前記実施形態の構成によると、前述のとおり、カウンタウエイト8を具備していて、先端から後端までが長寸法である掘削機本体部4が回転しないので、大きな旋回半径を必要とせず、この掘削機本体部4に比べてその旋回半径が著るしく小さいブーム6のみの回転でよいから、狭小な場所や狭幅の道路などでの旋回作業をスムーズに行なうことができる。
【0017】
とくに、図5に示すように、ブーム6を垂直に引き起こして旋回させるときの旋回半径Lは、旋回中心からくの字形折曲げ部54までの長さ寸法であるから、その旋回半径は、掘削機本体部4全体を旋回する場合の旋回半径に比べて著るしく小さくでき、その作業効率は向上する。前記操作は作業者が発信機26を操作し、掘削機本体部4に設けられた受信機22に信号を出力し、それにもとづいて旋回モータ11を駆動して、いわゆる無線信号により遠隔操作で行なう。
【0018】
ブーム6によりバケット35や円筒ケーシング34を吊上げ作業するときの立坑掘削機1の反力支持は、掘削機本体部4の後端部に設けられたカウンタウエイト8と、これらを安定に支持するアウトリガー55によって行なわれるが、これだけでは反力支持が不足することがある。そこで本発明では、前記のとおり、第1と第2連結軸47,48を用いて掘削機本体部4と円筒ケーシング回転圧入装置37とを非回転的に連結し、特に円筒ケーシング圧入用のカウンタウエイト42を反力支持フレーム38の先端に有し、全体として重量の大きな円筒ケーシング回転圧入装置37の全重量をカウンタウエイトとして有効利用し、それにより、ブーム6が掘削排土用のバケット35や円筒ケーシング34を安定に吊上げて作業できるように構成してある。
【0019】
他方、図2に示すように立坑掘削機1の走行移動時は、ブーム6を後方に倒し、かつ円筒ケーシング回転圧入装置37の前側を持上げて走行する。このときは図6に示す前記連結部において、流体圧シリンダ49を駆動して第2連結軸48を軸挿入孔46から抜出し、第1連結軸47を支点として円筒ケーシング回転圧入装置37を掘削機本体部4に対して回動自在に枢支し、この状態で図示しないウインチを用いて、当該円筒ケーシング回転圧入装置37を図2の位置に持上げたうえ、その位置に係止して走行する(係止手段は任意でよいので図示省略する)。
【0020】
なお、本発明における基本的構成は、請求項に記載する点にあり、発明の実施形態に示した各部の構成は適宜設計変更して構わない。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、立坑掘削機におけるブームを旋回支持台と一体に旋回させるから、特にブームを最大限引き起こしてから旋回させることにより、最小旋回半径で旋回でき、従来のように、カウンタウエイト等を付設していて前後方向に長寸法で、それ故に旋回半径が大きくならざるを得ない掘削機本体は旋回させないから、狭い場所や狭幅の道路での立坑掘削作業を円滑に進めることができる。さらに、軸挿入孔への挿入,抜出自在な軸を含む複数の連結軸を用いて、円筒ケーシング回転圧入装置を掘削機本体に対し回動及び非回動的に連結できるので、円筒ケーシング回転圧入装置の全重量をカウンタウエイトとして利用でき、かつこの円筒ケーシング回転圧入装置を持上げ、かつブームを後方に倒すことで掘削機の走行移動も円滑に行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立坑掘削機の稼動時の側面図である。
【図2】前記掘削機の走行時の側面図である。
【図3】ブ−ムの先端部を省略して示す掘削機の平面図である。
【図4】ブ−ムの旋回支持台の駆動機構の断面図である。
【図5】ブ−ムを垂直に引き起こし、旋回支持台とともに最小旋回半径で旋回させる状態を示す側面説明図である。
【図6】(A)は図3イ部の平面詳細図、(B)は同じく側面詳細図である。
【図7】本発明の立坑掘削機における駆動系統を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 立坑掘削機
2 キャタピラ
3 取付けフレ−ム
4 掘削機本体部
5 駆動エンジン
6 ブ−ム
6a くの字形基部
6b 伸縮先端部
7 旋回支持台
8 カウンタウエイト
10 流体圧シリンダ
11 旋回モ−タ
12 支持壁
13 固定支持台
14 ピニオン
15 取付けボルト
16 旋回ベアリング
17 内歯
18 取付け部材
19 ボルト
20 旋回支持板
21 油圧ポンプ
22 受信機
23 切換弁
24 走行モ−タ
25 アクチュエ−タ
26 発信機
27 軸ピン
28 支持個所
29 軸ピン
30 取付け板
31 連結ピン
32 ガイドプ−リ
33 ワイヤ−ロ−プ
34 円筒ケ−シング
35 バケット
36 吊下げ支持体
37 円筒ケ−シング回転圧入装置
38 反力支持フレ−ム
40 揺動用駆動シリンダ
41 ケ−シング圧入用流体圧シリンダ
42 カウンタウエイト
43 本体側ブラケット
44 支持フレ−ム側ブラケット
45 軸挿入孔
46 軸挿入孔
47 第1連結軸
48 第2連結軸
49 流体圧シリンダ
50 取付け枠
51 トラック
52 トラック
53 立坑
54 くの字形折曲げ部
55 アウトリガ−

Claims (1)

  1. 走行体であるキャタピラと、
    このキャタピラの取付フレームに非回転的に支持された掘削機本体と、
    この掘削機本体上に配設されたブームと、
    前記掘削機本体に連結され、円筒ケーシングを地中に回転圧入する円筒ケーシング回転圧入装置を備えたキャタピラ走行式の立坑掘削機であって、
    前記掘削機本体の前部の上部分に設けられ、この掘削機本体の最上部分と略同じ高さに配置された軸ピンを中心にして前記ブームの基端部が垂直面内で回動自在に連結されるとともに、その直径が前記掘削機本体の幅より小さい円筒状の旋回支持台と、
    前記旋回支持台上にその基端部が配設され、その先端部が前記ブームに連結され、このブームを起伏自在とする第1の流体圧シリンダと、
    前記旋回支持台の内部に設けられ、その回転軸の出力部に設けられたギヤが前記旋回支持台の内壁部に配設された内歯に噛み合うことにより、前記掘削機本体上で前記ブームとともに前記旋回支持台を垂直軸回りに旋回させる旋回モータと、
    前記掘削機本体の前部に、第1の連結軸および第2の連結軸を介して水平に支持された前記円筒ケーシング回転圧入装置と、
    前記掘削機本体と前記円筒ケーシング回転圧入装置との連結部に設けられ、前記第2の連結軸を前記連結孔から抜き取ることにより、前記第1の連結軸を支点として前記円筒ケーシング回転圧入装置を垂直面内で回動自在に枢支する第2の流体圧シリンダとを有した立坑掘削機。
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