JP3615892B2 - 掘削機の排土装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばオールケーシング工法により施工される場所打杭の造成に用いられる掘削機の排土装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現場打基礎杭造成工事には、ベースマシンとなるクレーン、例えばクローラクレーンと、このクレーンより吊されたバケットとにより掘削を行う掘削機が用いられている。
【0003】
代表的には、図8に示されるような例えば全旋回ボーリングマシン60を用いて、ケーシングチューブ70を回転させながら土中に押し込み、このケーシング70内の土をクローラクレーン10より吊された掘削バケット50(バケット)により掘削するオールケーシング工法を採用した掘削機がある。
【0004】
この掘削機で用いられるクローラクレーン10には、つぎのような構造が採用してある。
すなわち、クローラクレーン10は、走行に関係する下部走行体20と、作業装置を搭載した上部旋回体30とで構成され、下部走行体20はトラックフレーム22、カーボディ23などから構成してある。
【0005】
ここで、トラックフレーム22は、鋼板製のビームよりなり、車両後方にはスプロケットホイール25が設けられ、前方にはアイドルホイール26が設けられている。またトラックフレーム22の下面(ビーム下面)には多数のロアローラ27が設けられ、無限起動となるクローラ21上を機械重量を支えながら転がるようにしてある。
【0006】
スプロケットホイール25とこのスプロケットホイール25に巻き付いたクローラ21は互いに歯部が噛み合っていて、トラックフレーム22に設けたオイルモータ24でスプロケットホイール25を回転させることにより、クローラクレーン10の全体を前進・後進できるようにしてある。なお、トラックフレーム22は、通常、左右両側にあり、さらにそれぞれに駆動装置(オイルモータ24など)が設けてあり、左右両側のオイルモータ24を正転させると前進、逆転させると後進、左右のオイルモータ24の回転方向を変えるとクローラクレーン10が曲進する。
【0007】
カーボディ23は、トラックフレーム22に差し込まれた形態で固定され、カーボディ23の上面には旋回ベアリング(図示しない)が設けてある。通常、この旋回ベアリングのインナーレース(図示しない)が下部走行体20のトラックフレーム22に支持され、アウターレース(図示しない)が上部旋回体30のシャーシをなすスイングアーム31に支持され、上部旋回体30の重量を回転自在に支えている。
【0008】
ここで、インナーレースの内径側には内歯歯車が形成(歯切りによる)されている。そして、この歯部が上部旋回体30に設けてある旋回モータ(図示しない)の出力軸に装着されたピニオンギヤ(図示しない)と噛み合っていて、旋回モータから発する駆動力により上部旋回体30を回転駆動できるようにしてある。
【0009】
上部旋回台30は、シャーシとなるスイングアーム31上に、ブーム32、キャビン33、エンジンユニット34、カウンタウェイト35、主巻ウインチ、補巻ウイント、ブーム起伏ウインチ(いずれも図示しない)などを搭載して構成してある。
【0010】
ここで、主巻ウインチには主巻ワイヤ36が巻かれ、補巻ウイントには補巻ウインチ37が巻かれている。
そして、主巻ワイヤ36の端部が、ブーム先端に設けたシーブ40,41を経て吊り下げられ、掘削バケット50を吊持している。また補巻ワイヤ37の端部は、ブーム先端のシーブ40,42を経て、クラウン52を吊持している。
【0011】
ブーム起伏ウインチには、ブーム起伏ロープ38が巻かれている。このブーム起伏ロープ38が、同起伏ロープ38の反力を支えるAフレーム39の先端に設けたシーブ43とスプレッダ44との間で多重掛けしてある。そして、ブーム32の先端とスプレッダ44との間は、ブーム32を支えるガイケーブル45で結ばれていて、ブーム起伏ウインチを回転駆動させることにより、ブーム32の傾斜角を変えられるようにしてある。
【0012】
一方、全旋回ボーリングマシン60は、ベースフレーム61、アウトリガー62、ベアリングケース63、旋回モータ64、引抜きシリンダ65などを組合わせて構成されている。
【0013】
具体的には、ベースフレーム61は、アウトリガー62により、水平となるように据え付けられ、またベアリングケース63は、引抜きシリンダ65により、ベースフレーム61に対して、支持されている。ベアリングケース63の内部には、旋回ベアリング(図示しない)が設けられている。この旋回ベアリングで、ケーシングチューブ70をクランプするクランプ装置(図示しない)を支えるようにしてある。また旋回ベアリングの外径部分には、引抜きシリンダ65に据付けられているオイルモータで構成される旋回モータ64の出力軸に装着されたピニオンギヤと噛合うギヤ(いずれも図示しない)が形成(歯切りによる)されていて、旋回モータ64から発する駆動力により、クランプ装置でクランプされたケーシングチューブ70を回転駆動させるようにしてある。
【0014】
ケーシングチューブ70、クランプ装置、旋回モータ64は、引抜きシリンダ65により、ベアリングケース63と一緒に、ベースフレーム61に対して上下するようになっていて、ケーシングチューブ70を回転させながら土中に押し込ませるようにしている。
【0015】
但し、ケーシングチューブ70は、ある所定の長さ毎にロックピン(図示しない)により、継ぎ足されるようにしてあり、またケーシングチューブ70の先端のファーストチューブ71には掘削用のビット72が設けられ、ケーシングチューブ70の上端にはグラブガイド73(掘削バスケット50をケーシングチューブ70内へ入り込み易くする誘い込みのガイド)が置かれている。
【0016】
全旋回ボーリングマシン60とクローラクレーン10とは、反力取りフレーム66を介して結合されていて、全旋回ボーリングマシン60で発生する、全旋回ボーリングマシン60が回転しようとする反力をクローラクレーン10で受け止めるようにしてある。
【0017】
なお、80は、全旋回ボーリングマシン60の動力源、すなわち全旋回ボーリングマシン60を駆動する油圧動力を発生させるパワーユニットで、ディーゼルエンジン、油圧ポンプ、油圧ポンプ等からなる。このパワーユニット80が油圧ホース81を介して全旋回ボーリングマシン60に接続され、必要な圧油を全旋回ボーリングマシン60へ送れるようにしてある。
【0018】
こうした機械による掘削作業としては、まず、パワーユニット80を駆動して、全旋回ボーリングマシン60に圧油を送り、クランプ装置、旋回モータ64、引抜きシリンダ65を作動させる。すると、ケーシングチューブ70は、クランプ装置でクランプされ、旋回モータ64で回転されつつ引抜きシリンダ65で土中に押し込まれる。
【0019】
この間、クローラクレーン10の運転で、同クレーン10から吊された掘削バケット50を用い、ケーシングチューブ70内を掘削するとともに、掘削を終えた土を掘削孔となるケーシングチューブ70を避けた地点に排土する作業を行う。
【0020】
具体的には、掘削作業としては、まず、クローラクレーン10で吊られている掘削バケット50をケーシングチューブ70内に下ろした後、ある高さからウインチを解放して落下させる。
【0021】
すると、掘削バケット50の先端で開放しているシェル51が土中に突きささる。この状態からウインチを巻き上げると、掘削バケット50は、シェル51が閉じ、内部に土砂を抱えた状態で巻き上げられる。
【0022】
掘削バケット50の上部に取り付けてあるヘッド53がクラウン52に嵌まり込んだらウインチの巻き上げを止め、ケーシングチューブ70を避けるよう、クローラクレーン10の上部旋回体30を例えば約90°旋回させて、例えばクローラクレーン10の横に置いてあるずり箱(図示しない)の上方に掘削バケット50を導く。
【0023】
ついで、掘削バケット50を吊っている主巻ウインチと、クラウン52を吊っている補巻ウインチを同時に下げて、ずり箱の直上に掘削バケット50を導く。この地点に掘削バケット50が配置されたら、主巻ウインチを止め、補巻ウインチで吊っているクラウン52で掘削バケット50を支えてシェル51を開けば、掘削バケット50内からずり箱へ土砂が排土される。
【0024】
排土を終えたら、再び巻き上げと旋回を行い、ケーシングチューブ70の上方に掘削バケット50を位置させた後、掘削バケット50を降下させて掘削を行う。
【0025】
この掘削作業の間も、ケーシングチューブ70は、全旋回ボーリングマシン60の旋回モータ64にて回転力が与えられているとともに引抜きシリンダ65にて押込み力が与えられているので、掘削が進むにしたがい地中に押し込まれていく。
【0026】
このとき全旋回ボーリングマシン60は、ケーシングチューブ70を回転させる反力で回転しようとするが、この反力を、反力取りフレーム66を介して、重量のあるクローラクレーン10で受け止めているので、回転しない。
【0027】
ケーシングチューブ70の全体が土中に押し込まれると、つぎのケーシングチューブ70を、ロックピン(図示しない)で継ぎ足し、所定の深さに達するまで掘削を行う。
【0028】
計画した深さまで掘削、すなわちケーシングチューブ70が下げられると、例えばクローラクレーン10から掘削バケット50を外し、同クローラクレーン10で鉄筋篭(図示しない)を吊り込んで、掘削した孔(掘削孔)の中に入れる。
【0029】
つぎに、生コンクリートを打設するためのトレミー管(図示しない)をセットし、トレミー管で生コンクリートを打設しつつ全旋回ボーリングマシン60でケーシングチューブ70を引き抜けば、生コンクリートの硬化に伴い土中に杭が完成する。
【0030】
そして、生コンクリートの打設の終了、ケーシングチューブ70の引抜きの終了により同掘削位置での作業は終り、つぎの掘削位置に全旋回ボーリングマシン60とパワーユニット80とを移動させて、同様に掘削作業を行えば、次々に杭が完成していく。なお、引抜いたケーシングチューブ70はつぎの場所で再使用される。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、掘削バケット50内の土砂(土)を排土するときは、掘削孔を避けた位置、すなわち全旋回ボーリングマシン60が邪魔とならない地点に、能率良く、掘削バケット50内の土砂(土)を排土させることが求められる。
【0032】
ここで、クレーンから吊された掘削バケット50で掘削する場合、土砂を抱えた掘削バケット50は掘削孔の上方に配置されるので、上記したように排土作業にはクレーンの旋回動作で、すなわち上部旋回体30の旋回動作で、掘削孔(全旋回ボーリングマシン60が在る部位)の位置から同側方に在る排土地点(ずり箱の在る地点)へ掘削バケット50を移動させることが余儀なくされる。
【0033】
ところが、この排土時のクレーンの旋回動作は、かなり重量ある上部旋回体30(掘削バケット50と共に各種機器が搭載されているから)を吊荷が揺れるを防ぎつつ旋回させる都合上、時間を要する。特に全旋回ボーリングマシン60を吊り上げることが求められる大型のクレーンだと、かなりの時間を費やす。
【0034】
このため、掘削作業は、排土のために多くの時間を費やし、掘削機の掘削能率が悪い問題があった。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、バケットによる排土作業を能力良く行うことができる掘削機の排土装置を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載した掘削機の排土装置は、クレーンに回動自在に支持フレームを設置し、この支持フレームを起伏させる支持フレーム駆動手段を設け、支持フレームにリーダーを設置し、このリーダーに回動自在に排土板を設置し、この排土板を開閉させる排土板駆動手段を設けて、排土板を開くことにより、クレーンから吊されたバケットを前方に押し出し、バケットによる掘削孔を避けてバケット内の土を排土するようにしたことにある。
【0036】
すなわち、請求項1に記載の掘削機の排土装置によると、支持フレーム駆動手段による支持フレームの起伏により、バケットと排土板との間隔を調整する。
そして、土砂(土)を抱えたバケットが排土板に配置されたとき、この排土板を開いて、内部に土を抱えたバケットを前方へ押し出せば、同バケットはそのまま掘削孔を避けた地点に導かれる。
【0037】
それ故、掘削作業の上で、時間を費やす要因となっていたクレーンの旋回動作は必要でなくなり、排土作業の能率が向上する。
請求項2に記載した掘削機の排土装置は、上記目的に加え、常に良好に排土板でバケットを押し出せるようにするために、リーダーを支持フレームに回動自在に設置し、リーダーの姿勢を調整する調整手段を設けて、排土板の姿勢を調整できるようにした。
【0038】
請求項3に記載した掘削機の排土装置は、上記目的に加え、排土高さを変えられるようにするために、リーダーに摺動自在に設置されたスライドフレームと、このスライドフレームをリーダーに沿って摺動させる摺動手段とを有し、スライドフレームに排土板を取付けて、排土高さを調整できる構造とした。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図7に示す一実施形態にもとづいて説明する。
ここで、図1ないし図3には本発明を適用した掘削機の全体が、掘削作業の工程と共に示され、図6には掘削を終えた掘削孔に鉄筋篭103を入れる作業工程が示され、図7にはつぎの掘削地点へ移動させる作業工程が示されている。
【0040】
これら図面において、先の「従来の技術」の項で述べた掘削機と部分と同じ部分(同じ機能を有する装置、部品など)には同一符号を付してその説明を省略し、この項では異なる部位について説明することにする。
【0041】
すなわち、本実施形態は、ベースマシンを構成するクローラクレーン10に掘削バケット50を前方へ押し出して排土位置へ導く排土装置100と、全旋回ボーリングマシン60をクローラクレーン10と連結したまま昇降可能とする昇降装置101とを設けた点が異なる。
【0042】
前者の排土装置100について説明すれば、クローラクレーン10の前部からは、上方へ向かってリーダー支持フレーム120(支持フレーム)が突き出ている。リーダー支持フレーム120の下端部は、例えばスイングフレーム31に対し、前後方向に回動自在に支持されている。またリーダー支持フレーム120は、その中間部と例えばスイングフレーム31の前部との間に設けたリーダー起伏ジャッキ121(支持フレーム駆動手段に相当)でも支持されていて、リーダー起伏ジャッキ121の伸縮駆動(動作)で、リーダー支持フレーム120を下端部を支点に起伏できるようにしてある。
【0043】
リーダー支持フレーム120の上端部にはリーダー113が設けられている。リーダー113は、図4に詳図されるように直線状に延びる部材から構成されていて、中間部が上記リーダー支持フレーム120の上端部に前後方向に回動自在に支持してある。
【0044】
このリーダー113の前面側には、図4および図5に示されるようにリーダー113の略全長に渡って一対のガイドパイプ118が設けられている。このガイドパイプ118には、同ガイドパイプ118に案内されて上下方向にスライド (摺動)自在するスライドフレーム111が設置されている。なお、119はスライドフレーム111の上下端に設けられたガイドパイプ118と摺動自在に嵌まり合うガイドギブを示す。そして、このスライドフレーム111を介して、リーダー113の前面側には排土板110が設置してある。
【0045】
具体的には、排土板110は、例えば図4および図5にも示されるように略J字状に延び、かつ断面がバケット側面にならう円弧形をなした帯状の部材から構成されている。そして、同部材の上端両側がスライドフレーム111に回動自在に支持され、排土板110をリーダー113に対して、回動自在、すなわち開閉自在に設置させている。
【0046】
また排土板110の中間部は、図4に示されるようにスライドフレーム111との間に取り付けた排土板押し出しジャッキ112(排土板駆動手段に相当)で支持されていて、同排土板押し出しジャッキ112の伸縮駆動(動作)にて、排土板110をリーダー113にならう退避位置と例えば図2に示される掘削バケット50を大きく押し出す押し出し位置との間を移動できるようにしてある。
【0047】
つまり、排土板押し出しジャッキ112を駆動して排土板110を開作動させることにより、掘削孔上方に位置する掘削バケット50を前方に押し出して、掘削孔を避けた地点において掘削バケット50内の土砂(土)を排土できるようにしている。
【0048】
そして、先のリーダー起伏ジャッキ121にて、掘削バケット50と排土板110との間隔を調整できるようにしてある。
またリーダー113の下端部は、リーダアジャストジャッキ122(調整手段に相当)を介して、例えばスイングフレーム31の前部に回動自在にピン結合されている。このリーダアジャストジャッキ122の伸縮駆動(動作)にて、リーダー133の垂直度を調整できるようにしてある。このリーダー113の調整により、排土板110の姿勢が調整可能にしてあり、排土作業に適した排土板113の姿勢が得られるようにしてある。
【0049】
スライドフレーム111は、摺動手段としての昇降駆動装置115が内蔵されている。
昇降駆動装置115には、図4および図5に示されるようにリーダー113の内部にリーダー113沿いに設けられたスライドフレーム昇降シリンダ(ジャッキ)114を用い、同シリンダ14の伸縮駆動(動作)で、スライドフレーム111の下端に固定されたワイヤロープ115aを押し引きして、スライドフレーム111をリーダー113に沿ってスライド(摺動)させる構造が用いられている。
【0050】
詳しくは、図4および図5に示されるようにスライドフレーム昇降シリンダ114の上部端となるシリンダのロッド側には、2個(1個だけ図示)のシーブ116が設けられている。
【0051】
またリーダー113内の下部には、イコライザシーブ117が設けられている。
そして、スライドフレーム111の下端に固定されたワイヤロープ115aは、ロッド先端のシーブ116、イコライザシーブ117を経て、再びロッド先端のシーブ116を通り、スライドフレーム111の下端で固定されていて、スライドフレーム昇降シリンダ114の昇降駆動で、ワイヤロープ115aの中間部分を押上げたり下降させたりすることにより、シリンダストロークの2倍の変位量でスライドフレーム111の上下位置、すなわち図3に示されるように排土板110の上下位置を変えられるようにしてある。この昇降構造によって、排土高さを速やかに調整(変更)できるようにしてある。
【0052】
他方、後者の昇降装置101について説明すれば、123は、ベースマシンとなるクローラクレーン10のトラックフレーム23と全旋回ボーリングマシン60とに対して、各々端部がピンで上下方向に回動自在に連結された反力取りロッド(ロッド)である。反力取りロッド123のうち、例えば前方側の全旋回ボーリングマシン60側のピンは、全旋回ボーリングマシン60を切り離すことを可能とするために挿脱(着脱)可能に連結してある。
【0053】
そして、例えば先のリーダー起伏ジャッキ121をそのまま駆動源に利用した駆動装置121aを用いて、反力取りロッド123を介し、全旋回ボーリングマシン60を昇降できるようにしてある。
【0054】
この駆動装置121aについて説明すれば、スイングフレーム31の前方側からは、反力取りロッド123と略平行をなす昇降リンク124が突き出ている。昇降リンク124の後方端は、例えばスイングフレーム31にピンで上下方向に回動自在に連結される。また昇降リンク124の前方端は、全旋回ボーリングマシン60にピンで着脱可能(全旋回ボーリングマシン60を切り離すことを可能とするため)に結合されるようになっている。
【0055】
この昇降リンク124のボーリングマシン側のピン位置には、昇降ロッド125の一端部もピンで回動自在に結合されている。また昇降リンク124の他端部は、リーダー起伏シリンダ121が接続されている同じ位置でピン結合されていて、リーダー起伏シリンダ121の伸縮駆動(動作)により、昇降リンク124を昇降できるようにしてある。
【0056】
これにより、昇降リンク124、昇降ロッド125の全旋回ボーリングマシン60にピン結合して、リーダー起伏シリンダ121を伸長動作させれば、ベースマシンとなるクローラクレーン10と全旋回ボーリングマシン60との間に形成されるほぼ平行なリンク機構により、地上に置かれた全旋回ボーリングマシン60を同地上に置かれた姿勢を保ちつつ上昇させ、収縮動作させれば同じ姿勢のまま地上に下降できるようにしてある。
【0057】
つまり、全旋回ボーリングマシン60をベースマシンとなるクローラクレーン10から取り外すことなく、つぎの掘削地点に移動できるようにしてある。
この昇降を利用して、全旋回ボーリングマシン60のトレーラーなどの荷台に対する搭載も行えるようにしてある。また昇降リンク124、昇降ロッド125のボーリングマシン側のピン結合を解除することにより、ベースマシンから全旋回ボーリングマシン60を切り離してトレーラーによる運搬が行えるようにしてある。
【0058】
なお、図1に示されるように反力取りロッド123は、ベースマシンとなるクローラクレーン10と全旋回ボーリングマシン60との間で常時ピン結合されるが、昇降装置101を構成する昇降リンク124と昇降ロッド125は、無用に全旋回ボーリングマシン60が上下に移動することがないよう、切削作業中は全旋回ボーリングマシン60から切り離して使用されるものである。
【0059】
但し、101aはブーム32を起伏させるシリンダを示している。
しかして、このように構成された掘削機を用いて掘削作業を行うときは、排土板110を排土位置に対応した位置に位置決める。
【0060】
これには、図1に示されるように適切に排土が行われるよう掘削バケット50と排土板110との間隔、ならびに排土板110の姿勢を適正に調整しておく。具体的には、リーダー起伏シリンダ121を操作して、リーダー支持フレーム120の傾斜角を変化させ、リーダー113(含むスライドフレーム111)の前後位置を掘削バケット50から適正な間隔となる地点にまで調整した後、リーダーアジャストジャッキ122を操作して、リーダー13がクローラクレーン10から吊るされた掘削バケット50に対して垂直となるように姿勢を調整することで行われる(垂直度を出す)。
【0061】
またスライドフレーム昇降シリンダ114の操作で、現在のケーシングチューブ高さで定まる排土高さに対応した高さに排土板110を位置決める。
なお、掘削中は、リーダー起伏シリンダ121の駆動力が全旋回ボーリングマシン60に伝わらないよう、昇降リンク124と昇降ロッド125とを全旋回ボーリングマシン60から外しておく。
【0062】
この後、パワーユニット80を駆動して、全旋回ボーリングマシン60に圧油を送り、クランプ装置、旋回モータ64、引抜きシリンダ65を作動させる。
すると、ケーシングチューブ70は、クランプ装置でクランプされ、旋回モータ64で回転されつつ、引抜きシリンダ65で土中に押し込まれてゆく。
【0063】
この間、クローラクレーン10の運転で、同クレーン10から吊された掘削バケット50を用い、ケーシングチューブ70内を掘削するとともに、掘削を終えた掘削バケット50内の土を掘削孔となるケーシングチューブ70を避けた地点に排土する作業を行う。
【0064】
具体的には、掘削作業としては、まず、クローラクレーン10で吊られている掘削バケット50をケーシングチューブ70内に下ろした後、ある高さからウインチを解放して落下させる。
【0065】
すると、掘削バケット50の先端で開放しているシェル51が土中に突きささる。この状態からウインチを巻き上げると、掘削バケット50は、シェル51が閉じ、内部に土砂を抱えた状態で巻き上げられる。
【0066】
掘削バケット50の上部に取り付けてあるヘッド53がクラウン52に嵌まり込んだらウインチの巻き上げを止める。
これにより、土砂(土)を抱えた掘削バケット50は、排土板110の側方に配置される。
【0067】
続いて、排土板押し出しジャッキ112を操作して、排土板110を開く。
すると、図2に示されるように掘削孔の上方において土を内部に抱えた掘削バケット50は素早い動作で前方へ押し出され、同バケット50はそのまま掘削孔を避けた地点、例えばずり箱(図示しない)が在る地点に導かれる。
【0068】
そして、この押し出された地点で、掘削バケット50を操作してシェル51を開けば、同掘削バケット50内からずり箱へ土砂(土)が排土される。
排土を終えたら、排土板110を閉じて、掘削バケット50を掘削孔の上方へ戻した後、再び掘削バケット50を降下させて掘削を行う。
【0069】
ここで、ケーシングチューブ70は、全旋回ボーリングマシン60の旋回モータ64にて回転力が与えられているとともに引抜きシリンダ65にて押込み力が与えられているので、掘削が進むにしたがい地中に押し込まれていく。
【0070】
このとき、全旋回ボーリングマシン60は、ケーシングチューブ70を回転させる反力で回転しようとするが、この反力を、反力取りロッド123を介して、重量のあるクローラクレーン10で受け止めているので、回転しない。
【0071】
ケーシングチューブ70の全体が土中に押し込まれると、つぎのケーシングチューブ70を、ロックピン(図示しない)で継ぎ足し、所定の深さに達するまで掘削を行う(ケーシングチューブ70は長いもので通常6mで、ケーシングチューブ70は通常6m毎にロックピンにより継ぎ足される)。
【0072】
ここで、新しいケーシングチューブ70と継ぎ足した時点では、ケーシングチューブ70の上端は、図2に示されるように全旋回ボーリングマシン60に対して高い位置にあり、図3に示されるようにケーシングチューブ70を土中を押し込むにつれて低くなる。
【0073】
つまり、排土位置は掘削作業にしたがって変化する。
そこで、掘削中、スライドフレーム昇降シリンダ114を操作して、図3に示されるように排土板50の高さ位置をケーシングチューブ70の高さ変化に追従させて、能率が低下したり、土砂が飛散しないようにする。このとき掘削バケット50と排土板110との間隔や掘削バケット50の姿勢を調整したいときは、リーダー起伏シリンダ121、リーダーアジャストジャッキ122を操作すればよい。
【0074】
むろん、クローラクレーン10で旋回排土を行いたいときは、上部旋回体30を下部走行体20に対して旋回操作すればよい(通常のクレーンと同様)。
計画した深さまで掘削、すなわちケーシングチューブ70が下げられると、例えばクローラクレーン10から掘削バケット50を外し、図6に示されるように同クローラクレーン10で鉄筋篭103を吊り込んで、掘削した孔(掘削孔)の中に入れる。
【0075】
つぎに、生コンクリートを打設するためのトレミー管(図示しない)をセットし、トレミー管で生コンクリートを打設しつつ全旋回ボーリングマシン60でケーシングチューブ70を引き抜けば、生コンクリートの硬化に伴い土中に杭が完成する。
【0076】
そして、生コンクリートの打設の終了、ケーシングチューブ70の引抜きの終了により同掘削位置での作業は終り、つぎの掘削位置に全旋回ボーリングマシン60を移動させる。
【0077】
このときには、掘削中、取り外してあった昇降リンク124と昇降ロッド125の全旋回ボーリングマシン60側の端部を、リーダー支持フレーム起伏ジャッキ121の操作で全旋回ボーリングマシン60に対してピン位置合わせを行い、ピンで結合する。
【0078】
ついで、図7に示されるようにリーダー支持フレーム起伏ジャッキ121を伸長させれば、全旋回ボーリングマシン60は、ほぼ平行なリンク機構を形成している反力取りロッド123と昇降リンク124とで回転が抑制されつつ、地上に置かれた姿勢の保ちながら上昇していく。
【0079】
そして、所定位置にまで全旋回ボーリングマシン60を持上げたまま、クローラクレーン10を走行して、つぎの掘削地点に全旋回ボーリングマシン60を移動させ、移動先の掘削地点に全旋回ボーリングマシン60を下降させ据え付けて、同様に掘削作業を行えば、次々に杭が完成されていく。
【0080】
なお、このときには図7に示されるように機械の重心高さを下げ、かつ重心を後方に移すべく、ブーム32を最も縮めた状態で、かつ最も垂直に近く立てた状態で行うのが望ましい。
【0081】
このように排土板110を用いて、クレーンから吊された掘削バケット50を前方に押し出して排土すると、掘削・排土作業の上で、時間を費やす要因となっていたクレーンの旋回動作は必要でなくなる。
【0082】
この結果、旋回して排土するときに比べて排土時間が著しく短縮化されるようになり、排土作業が能率的に行われ、掘削能率の向上が図れる。
しかも、排土板50は、姿勢が調整可能なリーダー113に設置したので、掘削バケット50との間隔を適正に調整ですることができるようになり、常に良好に掘削バケット50を排土板50で押し出すことができ、良好な排土作業が期待できる。
【0083】
そのうえ、たとえ掘削作業が進んで、ケーシングチューブ70が土中に押し込まれて地上から出ているチューブ部分の高さ寸法が変化しても、排土板50を昇降させる昇降装置の採用により、変化するケーシングチューブ70に応じて排土板50の高さを下方へ変位させれば、能率の低下を防ぎつつ、さらには土砂を飛散防止しつつ良好な排土作業が行える。
【0084】
またこのような効果をもたらす排土装置100に加えて、昇降装置101をクレーンに取り付けると、全旋回ボーリングマシン60は、連結部における分解作業を行わずに、反力取りロッド123で連結されたまま吊って移設が行えるようになるので、移設時間も大幅に短縮されるようになる。しかも、移設に際し、吊荷の揺れがない上、クレーンの旋回中心側により接近して吊れるので、ベースマシンとなるクレーンの重量は軽くてよく、工場現場へ掘削機を輸送する際の機械の分解費、輸送費、再組立費が安価になる。そのうえ、全旋回ボーリングマシン60を輸送する際も、この昇降装置101を用いて全旋回ボーリングマシン60を持ち上げてトレーラーなどの運搬車の荷台に載せることができるから、別途、全旋回ボーリングマシン60を持ち上げるためのクレーンは必要でなく、輸送費も低減されるようになる。
【0085】
加えて、こうしたクレーンは、通常のクレーンとしての機能がそのまま確保されるので、相伴クレーンを必要とせずに、このクレーンだけで、工事に付随するケーシングチューブ70、鉄筋篭103、トレミー管(図示しない)などの揚重が行える利点もある。しかも、排土装置100、昇降装置101を外した状態では、通常のクレーンとして使用できるので、機械の稼働率の点にも優れる。
【0086】
なお、一実施形態では、スライドフレーム昇降シリンダ114のストロークに対してスライドフレーム111が該ストロークの2倍動く昇降構造を用いたが、これに限らず、スライドフレーム111とスライドフレーム昇降シリンダ114とを直結してスライドフレーム111を昇降させるようにしてもよい。また油圧ジャッキを用いても電動スクリュージャッキを用いてもよい。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、掘削作業において能率低下、作業時間を費やす要因となっていたクレーンの旋回動作を必要とせず、容易な排土板によるバケットの押出しで排土を行うことができる。
【0088】
この結果、排土時間の短縮化が図れ、排土作業を能率良く行うことができ、掘削能率の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、バケットとの間隔を適正に調整できるので、常に良好に排土板でバケットを掘削孔を避けた地点まで押し出すことができ、良好な排土作業が期待できる。
【0089】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、たとえ掘削作業が進んで排土高さが変化するようなときでも、排土板の高さを下方へ変位させれば良好な位置での排土が行えるので、能率の低下の防止はもちろん、土砂の飛散防止を図りつつ排土作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の排土装置を、同装置を搭載したクレーンと共に示す図。
【図2】同排土装置の排土板で掘削バケットを前方に押し出したときを説明するための図。
【図3】排土高さの変化に追従して排土板の高さを変化させたときを説明するための図。
【図4】同排土板を昇降させるスライドフレーム、排土板回りの構造を説明するための図。
【図5】同図4中のA〜A線に沿う断面図。
【図6】掘削を終えた掘削孔に鉄筋篭を挿入する付随工事を同一クレーンだけで行う作業を説明するための図。
【図7】つぎの掘削地点に全旋回ボーリングマシンを移す作業を説明するための図。
【図8】従来のクレーンから吊されたバケットを用いて掘削する作業を説明するための図。
【符号の説明】
10…クローラクレーン(クレーン)
60…全旋回ボーリングマシン
110…排土板
111…スライドフレーム
112…排土板押出しジャッキ(排土板駆動手段)
113…リーダー
115…昇降駆動装置(摺動手段)
120…リーダー支持フレーム(支持フレーム)
121…リーダー起伏ジャッキ(支持フレーム駆動手段)
122…リーダーアジャストジャッキ(調整手段)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばオールケーシング工法により施工される場所打杭の造成に用いられる掘削機の排土装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現場打基礎杭造成工事には、ベースマシンとなるクレーン、例えばクローラクレーンと、このクレーンより吊されたバケットとにより掘削を行う掘削機が用いられている。
【0003】
代表的には、図8に示されるような例えば全旋回ボーリングマシン60を用いて、ケーシングチューブ70を回転させながら土中に押し込み、このケーシング70内の土をクローラクレーン10より吊された掘削バケット50(バケット)により掘削するオールケーシング工法を採用した掘削機がある。
【0004】
この掘削機で用いられるクローラクレーン10には、つぎのような構造が採用してある。
すなわち、クローラクレーン10は、走行に関係する下部走行体20と、作業装置を搭載した上部旋回体30とで構成され、下部走行体20はトラックフレーム22、カーボディ23などから構成してある。
【0005】
ここで、トラックフレーム22は、鋼板製のビームよりなり、車両後方にはスプロケットホイール25が設けられ、前方にはアイドルホイール26が設けられている。またトラックフレーム22の下面(ビーム下面)には多数のロアローラ27が設けられ、無限起動となるクローラ21上を機械重量を支えながら転がるようにしてある。
【0006】
スプロケットホイール25とこのスプロケットホイール25に巻き付いたクローラ21は互いに歯部が噛み合っていて、トラックフレーム22に設けたオイルモータ24でスプロケットホイール25を回転させることにより、クローラクレーン10の全体を前進・後進できるようにしてある。なお、トラックフレーム22は、通常、左右両側にあり、さらにそれぞれに駆動装置(オイルモータ24など)が設けてあり、左右両側のオイルモータ24を正転させると前進、逆転させると後進、左右のオイルモータ24の回転方向を変えるとクローラクレーン10が曲進する。
【0007】
カーボディ23は、トラックフレーム22に差し込まれた形態で固定され、カーボディ23の上面には旋回ベアリング(図示しない)が設けてある。通常、この旋回ベアリングのインナーレース(図示しない)が下部走行体20のトラックフレーム22に支持され、アウターレース(図示しない)が上部旋回体30のシャーシをなすスイングアーム31に支持され、上部旋回体30の重量を回転自在に支えている。
【0008】
ここで、インナーレースの内径側には内歯歯車が形成(歯切りによる)されている。そして、この歯部が上部旋回体30に設けてある旋回モータ(図示しない)の出力軸に装着されたピニオンギヤ(図示しない)と噛み合っていて、旋回モータから発する駆動力により上部旋回体30を回転駆動できるようにしてある。
【0009】
上部旋回台30は、シャーシとなるスイングアーム31上に、ブーム32、キャビン33、エンジンユニット34、カウンタウェイト35、主巻ウインチ、補巻ウイント、ブーム起伏ウインチ(いずれも図示しない)などを搭載して構成してある。
【0010】
ここで、主巻ウインチには主巻ワイヤ36が巻かれ、補巻ウイントには補巻ウインチ37が巻かれている。
そして、主巻ワイヤ36の端部が、ブーム先端に設けたシーブ40,41を経て吊り下げられ、掘削バケット50を吊持している。また補巻ワイヤ37の端部は、ブーム先端のシーブ40,42を経て、クラウン52を吊持している。
【0011】
ブーム起伏ウインチには、ブーム起伏ロープ38が巻かれている。このブーム起伏ロープ38が、同起伏ロープ38の反力を支えるAフレーム39の先端に設けたシーブ43とスプレッダ44との間で多重掛けしてある。そして、ブーム32の先端とスプレッダ44との間は、ブーム32を支えるガイケーブル45で結ばれていて、ブーム起伏ウインチを回転駆動させることにより、ブーム32の傾斜角を変えられるようにしてある。
【0012】
一方、全旋回ボーリングマシン60は、ベースフレーム61、アウトリガー62、ベアリングケース63、旋回モータ64、引抜きシリンダ65などを組合わせて構成されている。
【0013】
具体的には、ベースフレーム61は、アウトリガー62により、水平となるように据え付けられ、またベアリングケース63は、引抜きシリンダ65により、ベースフレーム61に対して、支持されている。ベアリングケース63の内部には、旋回ベアリング(図示しない)が設けられている。この旋回ベアリングで、ケーシングチューブ70をクランプするクランプ装置(図示しない)を支えるようにしてある。また旋回ベアリングの外径部分には、引抜きシリンダ65に据付けられているオイルモータで構成される旋回モータ64の出力軸に装着されたピニオンギヤと噛合うギヤ(いずれも図示しない)が形成(歯切りによる)されていて、旋回モータ64から発する駆動力により、クランプ装置でクランプされたケーシングチューブ70を回転駆動させるようにしてある。
【0014】
ケーシングチューブ70、クランプ装置、旋回モータ64は、引抜きシリンダ65により、ベアリングケース63と一緒に、ベースフレーム61に対して上下するようになっていて、ケーシングチューブ70を回転させながら土中に押し込ませるようにしている。
【0015】
但し、ケーシングチューブ70は、ある所定の長さ毎にロックピン(図示しない)により、継ぎ足されるようにしてあり、またケーシングチューブ70の先端のファーストチューブ71には掘削用のビット72が設けられ、ケーシングチューブ70の上端にはグラブガイド73(掘削バスケット50をケーシングチューブ70内へ入り込み易くする誘い込みのガイド)が置かれている。
【0016】
全旋回ボーリングマシン60とクローラクレーン10とは、反力取りフレーム66を介して結合されていて、全旋回ボーリングマシン60で発生する、全旋回ボーリングマシン60が回転しようとする反力をクローラクレーン10で受け止めるようにしてある。
【0017】
なお、80は、全旋回ボーリングマシン60の動力源、すなわち全旋回ボーリングマシン60を駆動する油圧動力を発生させるパワーユニットで、ディーゼルエンジン、油圧ポンプ、油圧ポンプ等からなる。このパワーユニット80が油圧ホース81を介して全旋回ボーリングマシン60に接続され、必要な圧油を全旋回ボーリングマシン60へ送れるようにしてある。
【0018】
こうした機械による掘削作業としては、まず、パワーユニット80を駆動して、全旋回ボーリングマシン60に圧油を送り、クランプ装置、旋回モータ64、引抜きシリンダ65を作動させる。すると、ケーシングチューブ70は、クランプ装置でクランプされ、旋回モータ64で回転されつつ引抜きシリンダ65で土中に押し込まれる。
【0019】
この間、クローラクレーン10の運転で、同クレーン10から吊された掘削バケット50を用い、ケーシングチューブ70内を掘削するとともに、掘削を終えた土を掘削孔となるケーシングチューブ70を避けた地点に排土する作業を行う。
【0020】
具体的には、掘削作業としては、まず、クローラクレーン10で吊られている掘削バケット50をケーシングチューブ70内に下ろした後、ある高さからウインチを解放して落下させる。
【0021】
すると、掘削バケット50の先端で開放しているシェル51が土中に突きささる。この状態からウインチを巻き上げると、掘削バケット50は、シェル51が閉じ、内部に土砂を抱えた状態で巻き上げられる。
【0022】
掘削バケット50の上部に取り付けてあるヘッド53がクラウン52に嵌まり込んだらウインチの巻き上げを止め、ケーシングチューブ70を避けるよう、クローラクレーン10の上部旋回体30を例えば約90°旋回させて、例えばクローラクレーン10の横に置いてあるずり箱(図示しない)の上方に掘削バケット50を導く。
【0023】
ついで、掘削バケット50を吊っている主巻ウインチと、クラウン52を吊っている補巻ウインチを同時に下げて、ずり箱の直上に掘削バケット50を導く。この地点に掘削バケット50が配置されたら、主巻ウインチを止め、補巻ウインチで吊っているクラウン52で掘削バケット50を支えてシェル51を開けば、掘削バケット50内からずり箱へ土砂が排土される。
【0024】
排土を終えたら、再び巻き上げと旋回を行い、ケーシングチューブ70の上方に掘削バケット50を位置させた後、掘削バケット50を降下させて掘削を行う。
【0025】
この掘削作業の間も、ケーシングチューブ70は、全旋回ボーリングマシン60の旋回モータ64にて回転力が与えられているとともに引抜きシリンダ65にて押込み力が与えられているので、掘削が進むにしたがい地中に押し込まれていく。
【0026】
このとき全旋回ボーリングマシン60は、ケーシングチューブ70を回転させる反力で回転しようとするが、この反力を、反力取りフレーム66を介して、重量のあるクローラクレーン10で受け止めているので、回転しない。
【0027】
ケーシングチューブ70の全体が土中に押し込まれると、つぎのケーシングチューブ70を、ロックピン(図示しない)で継ぎ足し、所定の深さに達するまで掘削を行う。
【0028】
計画した深さまで掘削、すなわちケーシングチューブ70が下げられると、例えばクローラクレーン10から掘削バケット50を外し、同クローラクレーン10で鉄筋篭(図示しない)を吊り込んで、掘削した孔(掘削孔)の中に入れる。
【0029】
つぎに、生コンクリートを打設するためのトレミー管(図示しない)をセットし、トレミー管で生コンクリートを打設しつつ全旋回ボーリングマシン60でケーシングチューブ70を引き抜けば、生コンクリートの硬化に伴い土中に杭が完成する。
【0030】
そして、生コンクリートの打設の終了、ケーシングチューブ70の引抜きの終了により同掘削位置での作業は終り、つぎの掘削位置に全旋回ボーリングマシン60とパワーユニット80とを移動させて、同様に掘削作業を行えば、次々に杭が完成していく。なお、引抜いたケーシングチューブ70はつぎの場所で再使用される。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、掘削バケット50内の土砂(土)を排土するときは、掘削孔を避けた位置、すなわち全旋回ボーリングマシン60が邪魔とならない地点に、能率良く、掘削バケット50内の土砂(土)を排土させることが求められる。
【0032】
ここで、クレーンから吊された掘削バケット50で掘削する場合、土砂を抱えた掘削バケット50は掘削孔の上方に配置されるので、上記したように排土作業にはクレーンの旋回動作で、すなわち上部旋回体30の旋回動作で、掘削孔(全旋回ボーリングマシン60が在る部位)の位置から同側方に在る排土地点(ずり箱の在る地点)へ掘削バケット50を移動させることが余儀なくされる。
【0033】
ところが、この排土時のクレーンの旋回動作は、かなり重量ある上部旋回体30(掘削バケット50と共に各種機器が搭載されているから)を吊荷が揺れるを防ぎつつ旋回させる都合上、時間を要する。特に全旋回ボーリングマシン60を吊り上げることが求められる大型のクレーンだと、かなりの時間を費やす。
【0034】
このため、掘削作業は、排土のために多くの時間を費やし、掘削機の掘削能率が悪い問題があった。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、バケットによる排土作業を能力良く行うことができる掘削機の排土装置を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載した掘削機の排土装置は、クレーンに回動自在に支持フレームを設置し、この支持フレームを起伏させる支持フレーム駆動手段を設け、支持フレームにリーダーを設置し、このリーダーに回動自在に排土板を設置し、この排土板を開閉させる排土板駆動手段を設けて、排土板を開くことにより、クレーンから吊されたバケットを前方に押し出し、バケットによる掘削孔を避けてバケット内の土を排土するようにしたことにある。
【0036】
すなわち、請求項1に記載の掘削機の排土装置によると、支持フレーム駆動手段による支持フレームの起伏により、バケットと排土板との間隔を調整する。
そして、土砂(土)を抱えたバケットが排土板に配置されたとき、この排土板を開いて、内部に土を抱えたバケットを前方へ押し出せば、同バケットはそのまま掘削孔を避けた地点に導かれる。
【0037】
それ故、掘削作業の上で、時間を費やす要因となっていたクレーンの旋回動作は必要でなくなり、排土作業の能率が向上する。
請求項2に記載した掘削機の排土装置は、上記目的に加え、常に良好に排土板でバケットを押し出せるようにするために、リーダーを支持フレームに回動自在に設置し、リーダーの姿勢を調整する調整手段を設けて、排土板の姿勢を調整できるようにした。
【0038】
請求項3に記載した掘削機の排土装置は、上記目的に加え、排土高さを変えられるようにするために、リーダーに摺動自在に設置されたスライドフレームと、このスライドフレームをリーダーに沿って摺動させる摺動手段とを有し、スライドフレームに排土板を取付けて、排土高さを調整できる構造とした。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図7に示す一実施形態にもとづいて説明する。
ここで、図1ないし図3には本発明を適用した掘削機の全体が、掘削作業の工程と共に示され、図6には掘削を終えた掘削孔に鉄筋篭103を入れる作業工程が示され、図7にはつぎの掘削地点へ移動させる作業工程が示されている。
【0040】
これら図面において、先の「従来の技術」の項で述べた掘削機と部分と同じ部分(同じ機能を有する装置、部品など)には同一符号を付してその説明を省略し、この項では異なる部位について説明することにする。
【0041】
すなわち、本実施形態は、ベースマシンを構成するクローラクレーン10に掘削バケット50を前方へ押し出して排土位置へ導く排土装置100と、全旋回ボーリングマシン60をクローラクレーン10と連結したまま昇降可能とする昇降装置101とを設けた点が異なる。
【0042】
前者の排土装置100について説明すれば、クローラクレーン10の前部からは、上方へ向かってリーダー支持フレーム120(支持フレーム)が突き出ている。リーダー支持フレーム120の下端部は、例えばスイングフレーム31に対し、前後方向に回動自在に支持されている。またリーダー支持フレーム120は、その中間部と例えばスイングフレーム31の前部との間に設けたリーダー起伏ジャッキ121(支持フレーム駆動手段に相当)でも支持されていて、リーダー起伏ジャッキ121の伸縮駆動(動作)で、リーダー支持フレーム120を下端部を支点に起伏できるようにしてある。
【0043】
リーダー支持フレーム120の上端部にはリーダー113が設けられている。リーダー113は、図4に詳図されるように直線状に延びる部材から構成されていて、中間部が上記リーダー支持フレーム120の上端部に前後方向に回動自在に支持してある。
【0044】
このリーダー113の前面側には、図4および図5に示されるようにリーダー113の略全長に渡って一対のガイドパイプ118が設けられている。このガイドパイプ118には、同ガイドパイプ118に案内されて上下方向にスライド (摺動)自在するスライドフレーム111が設置されている。なお、119はスライドフレーム111の上下端に設けられたガイドパイプ118と摺動自在に嵌まり合うガイドギブを示す。そして、このスライドフレーム111を介して、リーダー113の前面側には排土板110が設置してある。
【0045】
具体的には、排土板110は、例えば図4および図5にも示されるように略J字状に延び、かつ断面がバケット側面にならう円弧形をなした帯状の部材から構成されている。そして、同部材の上端両側がスライドフレーム111に回動自在に支持され、排土板110をリーダー113に対して、回動自在、すなわち開閉自在に設置させている。
【0046】
また排土板110の中間部は、図4に示されるようにスライドフレーム111との間に取り付けた排土板押し出しジャッキ112(排土板駆動手段に相当)で支持されていて、同排土板押し出しジャッキ112の伸縮駆動(動作)にて、排土板110をリーダー113にならう退避位置と例えば図2に示される掘削バケット50を大きく押し出す押し出し位置との間を移動できるようにしてある。
【0047】
つまり、排土板押し出しジャッキ112を駆動して排土板110を開作動させることにより、掘削孔上方に位置する掘削バケット50を前方に押し出して、掘削孔を避けた地点において掘削バケット50内の土砂(土)を排土できるようにしている。
【0048】
そして、先のリーダー起伏ジャッキ121にて、掘削バケット50と排土板110との間隔を調整できるようにしてある。
またリーダー113の下端部は、リーダアジャストジャッキ122(調整手段に相当)を介して、例えばスイングフレーム31の前部に回動自在にピン結合されている。このリーダアジャストジャッキ122の伸縮駆動(動作)にて、リーダー133の垂直度を調整できるようにしてある。このリーダー113の調整により、排土板110の姿勢が調整可能にしてあり、排土作業に適した排土板113の姿勢が得られるようにしてある。
【0049】
スライドフレーム111は、摺動手段としての昇降駆動装置115が内蔵されている。
昇降駆動装置115には、図4および図5に示されるようにリーダー113の内部にリーダー113沿いに設けられたスライドフレーム昇降シリンダ(ジャッキ)114を用い、同シリンダ14の伸縮駆動(動作)で、スライドフレーム111の下端に固定されたワイヤロープ115aを押し引きして、スライドフレーム111をリーダー113に沿ってスライド(摺動)させる構造が用いられている。
【0050】
詳しくは、図4および図5に示されるようにスライドフレーム昇降シリンダ114の上部端となるシリンダのロッド側には、2個(1個だけ図示)のシーブ116が設けられている。
【0051】
またリーダー113内の下部には、イコライザシーブ117が設けられている。
そして、スライドフレーム111の下端に固定されたワイヤロープ115aは、ロッド先端のシーブ116、イコライザシーブ117を経て、再びロッド先端のシーブ116を通り、スライドフレーム111の下端で固定されていて、スライドフレーム昇降シリンダ114の昇降駆動で、ワイヤロープ115aの中間部分を押上げたり下降させたりすることにより、シリンダストロークの2倍の変位量でスライドフレーム111の上下位置、すなわち図3に示されるように排土板110の上下位置を変えられるようにしてある。この昇降構造によって、排土高さを速やかに調整(変更)できるようにしてある。
【0052】
他方、後者の昇降装置101について説明すれば、123は、ベースマシンとなるクローラクレーン10のトラックフレーム23と全旋回ボーリングマシン60とに対して、各々端部がピンで上下方向に回動自在に連結された反力取りロッド(ロッド)である。反力取りロッド123のうち、例えば前方側の全旋回ボーリングマシン60側のピンは、全旋回ボーリングマシン60を切り離すことを可能とするために挿脱(着脱)可能に連結してある。
【0053】
そして、例えば先のリーダー起伏ジャッキ121をそのまま駆動源に利用した駆動装置121aを用いて、反力取りロッド123を介し、全旋回ボーリングマシン60を昇降できるようにしてある。
【0054】
この駆動装置121aについて説明すれば、スイングフレーム31の前方側からは、反力取りロッド123と略平行をなす昇降リンク124が突き出ている。昇降リンク124の後方端は、例えばスイングフレーム31にピンで上下方向に回動自在に連結される。また昇降リンク124の前方端は、全旋回ボーリングマシン60にピンで着脱可能(全旋回ボーリングマシン60を切り離すことを可能とするため)に結合されるようになっている。
【0055】
この昇降リンク124のボーリングマシン側のピン位置には、昇降ロッド125の一端部もピンで回動自在に結合されている。また昇降リンク124の他端部は、リーダー起伏シリンダ121が接続されている同じ位置でピン結合されていて、リーダー起伏シリンダ121の伸縮駆動(動作)により、昇降リンク124を昇降できるようにしてある。
【0056】
これにより、昇降リンク124、昇降ロッド125の全旋回ボーリングマシン60にピン結合して、リーダー起伏シリンダ121を伸長動作させれば、ベースマシンとなるクローラクレーン10と全旋回ボーリングマシン60との間に形成されるほぼ平行なリンク機構により、地上に置かれた全旋回ボーリングマシン60を同地上に置かれた姿勢を保ちつつ上昇させ、収縮動作させれば同じ姿勢のまま地上に下降できるようにしてある。
【0057】
つまり、全旋回ボーリングマシン60をベースマシンとなるクローラクレーン10から取り外すことなく、つぎの掘削地点に移動できるようにしてある。
この昇降を利用して、全旋回ボーリングマシン60のトレーラーなどの荷台に対する搭載も行えるようにしてある。また昇降リンク124、昇降ロッド125のボーリングマシン側のピン結合を解除することにより、ベースマシンから全旋回ボーリングマシン60を切り離してトレーラーによる運搬が行えるようにしてある。
【0058】
なお、図1に示されるように反力取りロッド123は、ベースマシンとなるクローラクレーン10と全旋回ボーリングマシン60との間で常時ピン結合されるが、昇降装置101を構成する昇降リンク124と昇降ロッド125は、無用に全旋回ボーリングマシン60が上下に移動することがないよう、切削作業中は全旋回ボーリングマシン60から切り離して使用されるものである。
【0059】
但し、101aはブーム32を起伏させるシリンダを示している。
しかして、このように構成された掘削機を用いて掘削作業を行うときは、排土板110を排土位置に対応した位置に位置決める。
【0060】
これには、図1に示されるように適切に排土が行われるよう掘削バケット50と排土板110との間隔、ならびに排土板110の姿勢を適正に調整しておく。具体的には、リーダー起伏シリンダ121を操作して、リーダー支持フレーム120の傾斜角を変化させ、リーダー113(含むスライドフレーム111)の前後位置を掘削バケット50から適正な間隔となる地点にまで調整した後、リーダーアジャストジャッキ122を操作して、リーダー13がクローラクレーン10から吊るされた掘削バケット50に対して垂直となるように姿勢を調整することで行われる(垂直度を出す)。
【0061】
またスライドフレーム昇降シリンダ114の操作で、現在のケーシングチューブ高さで定まる排土高さに対応した高さに排土板110を位置決める。
なお、掘削中は、リーダー起伏シリンダ121の駆動力が全旋回ボーリングマシン60に伝わらないよう、昇降リンク124と昇降ロッド125とを全旋回ボーリングマシン60から外しておく。
【0062】
この後、パワーユニット80を駆動して、全旋回ボーリングマシン60に圧油を送り、クランプ装置、旋回モータ64、引抜きシリンダ65を作動させる。
すると、ケーシングチューブ70は、クランプ装置でクランプされ、旋回モータ64で回転されつつ、引抜きシリンダ65で土中に押し込まれてゆく。
【0063】
この間、クローラクレーン10の運転で、同クレーン10から吊された掘削バケット50を用い、ケーシングチューブ70内を掘削するとともに、掘削を終えた掘削バケット50内の土を掘削孔となるケーシングチューブ70を避けた地点に排土する作業を行う。
【0064】
具体的には、掘削作業としては、まず、クローラクレーン10で吊られている掘削バケット50をケーシングチューブ70内に下ろした後、ある高さからウインチを解放して落下させる。
【0065】
すると、掘削バケット50の先端で開放しているシェル51が土中に突きささる。この状態からウインチを巻き上げると、掘削バケット50は、シェル51が閉じ、内部に土砂を抱えた状態で巻き上げられる。
【0066】
掘削バケット50の上部に取り付けてあるヘッド53がクラウン52に嵌まり込んだらウインチの巻き上げを止める。
これにより、土砂(土)を抱えた掘削バケット50は、排土板110の側方に配置される。
【0067】
続いて、排土板押し出しジャッキ112を操作して、排土板110を開く。
すると、図2に示されるように掘削孔の上方において土を内部に抱えた掘削バケット50は素早い動作で前方へ押し出され、同バケット50はそのまま掘削孔を避けた地点、例えばずり箱(図示しない)が在る地点に導かれる。
【0068】
そして、この押し出された地点で、掘削バケット50を操作してシェル51を開けば、同掘削バケット50内からずり箱へ土砂(土)が排土される。
排土を終えたら、排土板110を閉じて、掘削バケット50を掘削孔の上方へ戻した後、再び掘削バケット50を降下させて掘削を行う。
【0069】
ここで、ケーシングチューブ70は、全旋回ボーリングマシン60の旋回モータ64にて回転力が与えられているとともに引抜きシリンダ65にて押込み力が与えられているので、掘削が進むにしたがい地中に押し込まれていく。
【0070】
このとき、全旋回ボーリングマシン60は、ケーシングチューブ70を回転させる反力で回転しようとするが、この反力を、反力取りロッド123を介して、重量のあるクローラクレーン10で受け止めているので、回転しない。
【0071】
ケーシングチューブ70の全体が土中に押し込まれると、つぎのケーシングチューブ70を、ロックピン(図示しない)で継ぎ足し、所定の深さに達するまで掘削を行う(ケーシングチューブ70は長いもので通常6mで、ケーシングチューブ70は通常6m毎にロックピンにより継ぎ足される)。
【0072】
ここで、新しいケーシングチューブ70と継ぎ足した時点では、ケーシングチューブ70の上端は、図2に示されるように全旋回ボーリングマシン60に対して高い位置にあり、図3に示されるようにケーシングチューブ70を土中を押し込むにつれて低くなる。
【0073】
つまり、排土位置は掘削作業にしたがって変化する。
そこで、掘削中、スライドフレーム昇降シリンダ114を操作して、図3に示されるように排土板50の高さ位置をケーシングチューブ70の高さ変化に追従させて、能率が低下したり、土砂が飛散しないようにする。このとき掘削バケット50と排土板110との間隔や掘削バケット50の姿勢を調整したいときは、リーダー起伏シリンダ121、リーダーアジャストジャッキ122を操作すればよい。
【0074】
むろん、クローラクレーン10で旋回排土を行いたいときは、上部旋回体30を下部走行体20に対して旋回操作すればよい(通常のクレーンと同様)。
計画した深さまで掘削、すなわちケーシングチューブ70が下げられると、例えばクローラクレーン10から掘削バケット50を外し、図6に示されるように同クローラクレーン10で鉄筋篭103を吊り込んで、掘削した孔(掘削孔)の中に入れる。
【0075】
つぎに、生コンクリートを打設するためのトレミー管(図示しない)をセットし、トレミー管で生コンクリートを打設しつつ全旋回ボーリングマシン60でケーシングチューブ70を引き抜けば、生コンクリートの硬化に伴い土中に杭が完成する。
【0076】
そして、生コンクリートの打設の終了、ケーシングチューブ70の引抜きの終了により同掘削位置での作業は終り、つぎの掘削位置に全旋回ボーリングマシン60を移動させる。
【0077】
このときには、掘削中、取り外してあった昇降リンク124と昇降ロッド125の全旋回ボーリングマシン60側の端部を、リーダー支持フレーム起伏ジャッキ121の操作で全旋回ボーリングマシン60に対してピン位置合わせを行い、ピンで結合する。
【0078】
ついで、図7に示されるようにリーダー支持フレーム起伏ジャッキ121を伸長させれば、全旋回ボーリングマシン60は、ほぼ平行なリンク機構を形成している反力取りロッド123と昇降リンク124とで回転が抑制されつつ、地上に置かれた姿勢の保ちながら上昇していく。
【0079】
そして、所定位置にまで全旋回ボーリングマシン60を持上げたまま、クローラクレーン10を走行して、つぎの掘削地点に全旋回ボーリングマシン60を移動させ、移動先の掘削地点に全旋回ボーリングマシン60を下降させ据え付けて、同様に掘削作業を行えば、次々に杭が完成されていく。
【0080】
なお、このときには図7に示されるように機械の重心高さを下げ、かつ重心を後方に移すべく、ブーム32を最も縮めた状態で、かつ最も垂直に近く立てた状態で行うのが望ましい。
【0081】
このように排土板110を用いて、クレーンから吊された掘削バケット50を前方に押し出して排土すると、掘削・排土作業の上で、時間を費やす要因となっていたクレーンの旋回動作は必要でなくなる。
【0082】
この結果、旋回して排土するときに比べて排土時間が著しく短縮化されるようになり、排土作業が能率的に行われ、掘削能率の向上が図れる。
しかも、排土板50は、姿勢が調整可能なリーダー113に設置したので、掘削バケット50との間隔を適正に調整ですることができるようになり、常に良好に掘削バケット50を排土板50で押し出すことができ、良好な排土作業が期待できる。
【0083】
そのうえ、たとえ掘削作業が進んで、ケーシングチューブ70が土中に押し込まれて地上から出ているチューブ部分の高さ寸法が変化しても、排土板50を昇降させる昇降装置の採用により、変化するケーシングチューブ70に応じて排土板50の高さを下方へ変位させれば、能率の低下を防ぎつつ、さらには土砂を飛散防止しつつ良好な排土作業が行える。
【0084】
またこのような効果をもたらす排土装置100に加えて、昇降装置101をクレーンに取り付けると、全旋回ボーリングマシン60は、連結部における分解作業を行わずに、反力取りロッド123で連結されたまま吊って移設が行えるようになるので、移設時間も大幅に短縮されるようになる。しかも、移設に際し、吊荷の揺れがない上、クレーンの旋回中心側により接近して吊れるので、ベースマシンとなるクレーンの重量は軽くてよく、工場現場へ掘削機を輸送する際の機械の分解費、輸送費、再組立費が安価になる。そのうえ、全旋回ボーリングマシン60を輸送する際も、この昇降装置101を用いて全旋回ボーリングマシン60を持ち上げてトレーラーなどの運搬車の荷台に載せることができるから、別途、全旋回ボーリングマシン60を持ち上げるためのクレーンは必要でなく、輸送費も低減されるようになる。
【0085】
加えて、こうしたクレーンは、通常のクレーンとしての機能がそのまま確保されるので、相伴クレーンを必要とせずに、このクレーンだけで、工事に付随するケーシングチューブ70、鉄筋篭103、トレミー管(図示しない)などの揚重が行える利点もある。しかも、排土装置100、昇降装置101を外した状態では、通常のクレーンとして使用できるので、機械の稼働率の点にも優れる。
【0086】
なお、一実施形態では、スライドフレーム昇降シリンダ114のストロークに対してスライドフレーム111が該ストロークの2倍動く昇降構造を用いたが、これに限らず、スライドフレーム111とスライドフレーム昇降シリンダ114とを直結してスライドフレーム111を昇降させるようにしてもよい。また油圧ジャッキを用いても電動スクリュージャッキを用いてもよい。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、掘削作業において能率低下、作業時間を費やす要因となっていたクレーンの旋回動作を必要とせず、容易な排土板によるバケットの押出しで排土を行うことができる。
【0088】
この結果、排土時間の短縮化が図れ、排土作業を能率良く行うことができ、掘削能率の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、バケットとの間隔を適正に調整できるので、常に良好に排土板でバケットを掘削孔を避けた地点まで押し出すことができ、良好な排土作業が期待できる。
【0089】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、たとえ掘削作業が進んで排土高さが変化するようなときでも、排土板の高さを下方へ変位させれば良好な位置での排土が行えるので、能率の低下の防止はもちろん、土砂の飛散防止を図りつつ排土作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の排土装置を、同装置を搭載したクレーンと共に示す図。
【図2】同排土装置の排土板で掘削バケットを前方に押し出したときを説明するための図。
【図3】排土高さの変化に追従して排土板の高さを変化させたときを説明するための図。
【図4】同排土板を昇降させるスライドフレーム、排土板回りの構造を説明するための図。
【図5】同図4中のA〜A線に沿う断面図。
【図6】掘削を終えた掘削孔に鉄筋篭を挿入する付随工事を同一クレーンだけで行う作業を説明するための図。
【図7】つぎの掘削地点に全旋回ボーリングマシンを移す作業を説明するための図。
【図8】従来のクレーンから吊されたバケットを用いて掘削する作業を説明するための図。
【符号の説明】
10…クローラクレーン(クレーン)
60…全旋回ボーリングマシン
110…排土板
111…スライドフレーム
112…排土板押出しジャッキ(排土板駆動手段)
113…リーダー
115…昇降駆動装置(摺動手段)
120…リーダー支持フレーム(支持フレーム)
121…リーダー起伏ジャッキ(支持フレーム駆動手段)
122…リーダーアジャストジャッキ(調整手段)。
Claims (3)
- クレーンとクレーンにより吊されたバケットにより掘削を行う掘削機において、
前記クレーンに回動自在に設置された支持フレームと、この支持フレームを起伏させる支持フレーム駆動手段と、前記支持フレームに設置されたリーダーと、このリーダーに回動自在に設置された排土板と、この排土板を開閉させる排土板駆動手段とを有し、前記排土板を開くことにより前記バケットを前方に押し出し、前記バケットによる掘削孔を避けて前記バケット内の土を排土することを特徴とした掘削機の排土装置。 - 前記リーダーを前記支持フレームに回動自在に設置し、前記リーダーの姿勢を調整する調整手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の掘削機の排土装置。
- 前記リーダーに摺動自在に設置されたスライドフレームと、このスライドフレームを前記リーダーに沿って摺動させる摺動手段とを有し、前記排土板を前記スライドフレームに取付けたことを特徴とする請求項1に記載の掘削機の排土装置。
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