JP3952672B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置に係り、特に、横電界方式の液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置として、画素を構成する表示領域にスイッチング素子として薄膜トランジスタTFT(TFT:Thin Film Transistor)素子を設けた構造のアクティブマトリックス方式が多く採用されている。この種の液晶表示装置においては、一対の基板の間に液晶層を挿入し、この液晶層を各基板で挟持した構造が採用されており、一方の基板(TFT基板)側にはTFT素子,画素電極,走査信号や映像信号の電極や配線、及び配線と外部駆動回路とを接続するための端子等が形成され、他方の基板(CF基板)側にはカラーフィルタと対向電極が形成されており、基板面にほぼ垂直な縦電界を印加して表示する、ツイストネマチック表示方式を採用している。
【0003】
この方式に対して、液晶表示装置の課題となっていた視野角とコントラストを改善できる方式として、カラーフィルタ基板側に配置していた対向電極に替って、TFT基板側に共通信号電極を配置し、櫛歯状の画素電極と共通信号電極間に電圧を印加することにより、基板面にほぼ平行な電界成分を表示に利用した横電界(in plain switching)方式の液晶表示装置が、特開平6−160878号公報に提案されている。画素電極及び共通信号電極は、メタル電極配線材料で構成してもよいし、特開平9−73101号公報のように、ツイストネマチック表示方式において、透明画素電極として用いられている酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)で構成してもよい。
【0004】
ITO電極を用いた例として、S.H.Lee等は、SID’98 DIJEST,P371(1998)、及びSID’99 DIJEST,P202(1999) において、画素電極と共通信号電極とを絶縁膜を挟む上下二層のITO電極で構成し、櫛歯状の画素電極と共通信号電極の電極幅、及び電極間距離を微細化する方向で最適化することで、上下二層のITO電極間に電圧を印加した際に、上層のITO電極上に広がるフリンジ電界を液晶駆動に利用できるようになると報告している。これによれば、横電界方式の液晶表示装置の実質的な開口率,透過率が向上でき、従って、輝度を向上することができる。これに関連して、特開平11−125836号公報,特開平11−202356号公報が出願されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術において、実際に液晶表示装置を歩留まりよく作製しようとする場合には、以下の4つの課題が生じる。
(1)絶縁膜の信頼性低下
従来技術では、画素電極と共通信号電極とを、絶縁膜を挟む上下二層のITO電極で構成しており、画素電極と共通信号電極の重畳した部分で容量を形成する。この構成においては、画素電極と共通信号電極の短絡防止のために、二層の透明電極間にピンホール,付きまわり不良等のない絶縁性に優れた絶縁膜を形成する必要がある。また、ピンホール,付きまわり不良等のない絶縁性に優れた絶縁膜を形成することは上層に位置する画素電極のパターン形成工程において、ピンホール,付きまわり不良部分からエッチング液が下層へ染み込み、共通電極や下層に位置する配線,電極が溶解,断線するのを防止する上でも重要である。共通信号電極として、下層に位置する透明電極にITO膜を使用した場合、絶縁膜の付きまわり不良や、緻密性に欠ける絶縁膜が生じ易い。理由を以下に説明する。
【0006】
上層絶縁膜の付きまわり確保のためにはパターン端部は順テーパー形状が望ましい。多結晶ITO膜を用いた場合、多結晶ITO膜のエッチングが結晶粒界に沿って進行するため、パターン端部の形状は多結晶ITO膜の膜質のみならず、端部に存在する結晶粒の配置,形状に大きく依存することになる。そのため、パターン端部は結晶粒界を反映した凹凸を生じることになり、端部形状を一定に制御することは困難であり、場合によってはほぼ垂直、もしくは逆テーパー形状にエッチングされる場合がある。この多結晶ITO膜パターン上に絶縁膜を形成すると、多結晶ITO膜パターン端部で空孔やクラックが生じ、絶縁膜の付きまわり不良が生じる。
【0007】
アモルファスのITO膜を用いた場合、一般にITO膜は低温で容易に結晶化しやすいため、室温で形成したアモルファス膜でも膜中に微結晶成分を含む膜となり易く、完全なアモルファス膜を得ることが極めて難しい(例えば、M.ando et al./Journal of Non-Crystalline Solids 190-200(1996)28-32) 。この微結晶部分のエッチング速度は、膜の大部分をしめるアモルファス部分に比べて、1〜2桁小さいため、アモルファスITO膜をエッチングした後に残渣となり、パターニング不良を起こしやすい。また、アモルファスITO膜形成時の成膜雰囲気に水素や水を添加して結晶化を抑制する方法が提案されているが、この方法で得られるITO膜は膜の一部にIn−OH基や吸着水分を含んだ膜となるため、エッチング速度の早い部分と遅い部分が混在した膜となり、エッチング速度の不均一を生じ易い。その結果、エッチング時のパターン端部のテーパー形状の安定性確保が困難となり、多結晶ITO膜と同様に絶縁膜の付きまわり不良が生じ易い。
【0008】
上述の理由で、ITO膜を使用すると、多結晶,アモルファスいずれの場合でもパターン端部のテーパー形状を安定的に確保することが難しい。また、上述した不均一,不均質な膜は、透明電極の微細なくし歯加工を要する場合においてはさらに不利となる。
【0009】
一方、TFTの層間絶縁膜には通常CVD法等で形成した窒化シリコン膜や酸化シリコン膜が用いられる。例えば、窒化シリコン膜を上下二層の透明電極間の絶縁膜として用いた場合、反応ガスとしては例えばモノシランやアンモニア等が用いられるため、膜形成雰囲気は活性水素を含む還元プラズマ雰囲気となる。従って共通電極上に窒化シリコン膜を形成する際には、酸化物透明導電膜である多結晶ITOが還元プラズマ雰囲気にさらされることになる。成膜条件によってはITO表面が還元されるとともに、還元されたITO表面を核に、窒化シリコンが異常成長を起こすことが知られている。その結果、得られた積層膜は、異常成長により表面凹凸が顕著になり白濁により透明性が失われるのみならず、窒化シリコン膜自体の緻密性,絶縁性も低下する。窒化シリコン膜の異常成長反応は、活性水素の供給源となる反応ガスの流量が多いほど、基板温度が高いほど起こりやすい。しかしながら、例えば、TFT素子のゲート絶縁膜用途等の良質な絶縁膜を得るためには基板温度を300℃程度、望ましくはより高温で窒化シリコン膜を形成する必要があり、異常成長が起こりやすい条件で膜が形成されることになる。従って、ITO膜上に窒化シリコン膜を形成するプロセスは、クラックやピンホール,付きまわり部分の被覆不良等が起こりやすい状況にあるといえる。(2)上層透明電極の断線
(1)で上述した下層に配置された第一の透明電極上の絶縁膜の付きまわり不良が生じた場合、絶縁膜の上層に配置される第二の透明電極や、金属配線,電極等が絶縁膜の付きまわり不良部を乗り越える際に絶縁膜のテーパー形状が確保されていないために同様な付きまわり不良を生じ、断線に至る不良のも生じ易くなる。上層の第二の透明電極の微細くし歯パターン加工する構成においては、さらに断線不良を生じ易い。
(3)共通信号配線,共通信号電極の溶解
より大型で、高精細,高性能な液晶表示装置を実現するためには、液晶表示装置に用いられる走査信号配線,映像信号配線,共通信号配線の抵抗を低減する必要がある。共通信号配線材料として低抵抗のAlもしくはAl合金膜を使用し、共通電極として多結晶ITO膜を使用し、Alと多結晶ITO膜が絶縁膜を介さずに同一平面状に存在する構成では、多結晶ITO膜からなる共通電極加工時にAlを含む共通信号配線が溶解するという課題も生じる。多結晶ITO膜を加工する際には、通常エッチング液としてHBr等の強酸が用いられる。強酸のエッチング液に対して、AlもしくはAl合金膜は容易にエッチングされてしまう。従って共通電極のエッチング工程で、同一平面状に露出して存在する共通信号配線も同様にエッチング液にさらされる構成では、共通信号配線パターンが溶解,断線してしまうという問題も生じる。また、共通信号配線と共通電極が絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して接続されている場合においても、絶縁膜にピンホール,クラック等が存在する場合には、同様に共通信号配線の溶解が起こる。また、映像信号配線に低抵抗のAl、もしくはAl合金膜を使用し、画素電極として多結晶ITO膜を使用した場合にも同様の課題が生じる。
【0010】
本課題の解決方法の一つとして、共通信号電極と共通配線の層順序を入れ替え、AlもしくはAl合金膜からなる共通信号配線を形成加工する前の工程で、多結晶ITO膜からなる共通電極を形成加工することで共通信号配線の溶解を防止する方法が考えられる。しかしながら、この場合、共通信号配線加工用のホトレジスト膜現像工程のアルカリ現像溶液中で、AlもしくはAl合金膜のピンホールを介して露出した多結晶ITO膜とAlもしくはAl合金膜との間で電池反応が起こり、多結晶ITO膜が溶解することが知られており(例えばJ.Electrochem.soc.139(1992)pp.385-)、共通電極と共通信号配線の層順序を入れ替える方法では解決が困難である。
(4)共通電極の断線
共通信号配線上に共通電極が配置される場合には、透明電極からなる共通電極が、共通信号配線をスルーホールを介さずに直接乗越えて接続されることになる。その場合、乗越え部分での共通電極の断線が問題となる。共通信号配線を形成した後、スパッタ等により多結晶ITO膜を形成する場合、乗越え部分では、ITO膜の結晶粒が共通信号配線パターン端部の段差に沿って成長するため、段差の起点となる部分では結晶粒の成長方向が競合し、膜の疎な部分が生じてしまう。その後、ITO膜パターニングのためのエッチング工程において、共通信号配線の段差を乗り越える部分の膜が疎なために、この部分でパターンのサイドエッチング不良を生じ易く、くさび状の亀裂が入ったような形状の電極細りを生じやすい。このくさび状電極細りが共通電極の断線の原因となる。共通電極の微細くし歯加工が必要な構成においては、さらに断線を生じ易い。解決方法として、くさび状の電極細りが入っても断線が起こらないように、線幅を太くする等の方法も考えられるが、本質的な問題は残り、信頼性に課題を残す構成となる。
【0011】
本質的な解決はくさび状の電極細りを低減することにある。段差乗越え部分でのパターンのサイドエッチング速度を段差非乗越え部分のそれと同等程度にする、つまり、段差乗越え部分においても均一な膜質の透明電極膜を形成し、これを加工することが、本課題の根本的な解決方法である。また、共通電極としてアモルファスのITO膜を使用した場合も、前述したようにエッチング挙動の異なる不均質な膜部分が存在するため、段差乗越え部分における信頼性を充分確保できない。よって、多結晶ITO膜を用いた場合と同様の課題が残る。
【0012】
薄膜トランジスタのソースドレイン電極を画素電極がスルーホールを介さずに直接乗り越える構成においても同様の課題が生じる。
【0013】
本発明の目的は画素電極、または共通信号電極として構成される二層の透明電極が絶縁膜を挟んで同一基板上に配置された液晶表示装置において、さらにはより大型で高精細,高精細より高性能化のために配線材料の一部に低抵抗なAlもしくはAl合金膜を適用した場合においても、上述した(1)から(4)の課題を解決でき、作製時における不良が低減できる構成の液晶表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本出願の一つの実施形態によれば、一対の基板と、この基板に挟持された液晶層と、一対の基板の第一の基板には、複数の走査信号配線とそれらにマトリックス状に交差する複数の映像信号配線と、これらの配線のそれぞれの交点に対応して形成された複数の薄膜トランジスタとを有し、複数の走査信号配線および、映像信号配線で囲まれるそれぞれの領域に対応して少なくとも一つの画素が構成され、それぞれの画素には複数の画素にわたって接続された共通信号電極と、対応する薄膜トランジスタに接続された画素電極とを有し、共通信号電極と画素電極とはその一部において、層間絶縁膜を介して重ね合わさり、共通信号電極と画素電極に印加される電圧により液晶層に電界を形成し、第一の基板に近い側に共通信号電極を配置し、共通信号電極の少なくとも一部に第一の透明電極を構成し、かつ液晶層に近い側に画素電極を配置し、画素電極の少なくとも一部に第二の透明電極を構成し、画素電極がスリット状、もしくは櫛歯状に加工されている液晶表示装置であって、複数の画素にわたって共通信号電極を接続し金属材料を用いた共通信号配線共通信号電極が少なくとも一部で積層し、共通信号配線が共通信号電極に対して第一の基板に近い側に配置された構成において、共通信号電極がアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウム、またはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜であるというものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる原理を本発明者らが得た実験結果を元にアモルファス酸化インジウム亜鉛(以下IZOと略記する:Indium Zinc Oxide)の場合を一例に説明する。
【0016】
図38に、実際に本発明のアモルファスIZO膜を、一例として3μmの微細くし歯パターンに加工した際のパターン形状の観察例を示す。アモルファスIZO膜のパターン端部の形状は、ほぼ45°の均一な順テーパー形状が確保されており、均一で制御性のよいエッチングが実現できていることが分かる。この上に絶縁膜を形成した場合には、パターン端部の付きまわりもよく、物理的,電気的に優れた絶縁特性を有する絶縁膜を得ることができる。また、さらに絶縁膜の上層で金属配線,透明電極等を加工形成した際においても、絶縁膜の付きまわりが確保されているため、エッチング液の浸析がなく、下層に既に形成しているアモルファスIZO膜の微細くし歯パターンの溶解を防止することができる。また、上層に形成する金属配線,透明電極等が絶縁膜を介してIZO微細くし歯パターン端部の段差を乗り越える際においても、上層の金属配線,透明電極の付きまわりを確保でき、断線を防止できる。また、IZO微細くし歯電極パターンと、上層に位置する金属配線,透明電極とのショート不良についても低減することができる。
【0017】
図39に本発明のIZO膜、および従来例のアモルファスITO膜のX線回折線スペクトルの測定例を比較して示す。室温で形成したIZO膜の結果については、スパッタ後の膜の他に、さらに熱処理を実施して結晶化を加速した場合の結果を併記している。IZO膜は図39(a)に示すように、スパッタ後、240℃および350℃の熱処理後においても結晶ピークが認められず、結晶成分のない均質な膜が得られていることが分かる。これに対して、従来例のアモルファスITO膜は図39(b)に示すように、スパッタ後の膜で緩やかなアモルファスピークの他に微結晶成分の存在を示す酸化インジウムピークが認められ、膜中に微結晶成分が含まれていることが分かる。
【0018】
図40にはIZO膜とアモルファスITO膜のエッチング途中の膜表面SEM写真の観察例を示す。図40(a)に示すように、アモルファスIZO膜は、膜のエッチング面に凹凸や残渣となる微結晶成分がほとんど存在せず、全体に均一な膜が形成できており、均一にエッチングできていることが分かる。これに対して、従来のアモルファスITO膜は、図40(b)に示すように膜の大部分はアモルファス状態であるが、膜中に微結晶成分が存在することがわかる。また、膜のアモルファス部分においても空孔のような凹凸が多数存在し、エッチング速度の早い、膜の疎な部分が存在することが分かる。アモルファスITOを用いた場合、この微結晶成分や膜の疎な部分の存在がエッチング時の不均一性を生み、エッチング残渣や電極細り等の不良の原因となる。
【0019】
アモルファスIZO膜は高温雰囲気にさらされても結晶化せず安定したアモルファス膜として存在することは図39で上述の通りである。また、IZO膜はITO膜と同様に酸化物透明導電膜であるが、すずを含むITO膜に比べ、亜鉛を含むIZO膜は還元プラズマ雰囲気に対する耐性に優れる。従って、IZO膜上にSiN膜を例えば350℃の高温で形成する場合においても、IZO膜表面の還元反応を抑制できる。これにより、SiN膜の異常成長を抑制でき、緻密性に優れた膜を得ることができる。これにより、透明導電膜上に絶縁膜としてSiNを用いた場合においても、透明導電膜として本発明のアモルファスIZO膜を用いることにより、絶縁性,緻密性に優れたSiN膜を形成することができる。ITO膜上に形成した場合に比べて、緻密でピンホールを低減できるため、上下二層の透明電極間で容量を形成する構成においても、電極間ショート不良を低減することができる。また、IZO膜上に形成したSiN上でさらに上層に位置する第二の透明電極をパターン形成する場合においてもピンホール部分からのエッチング液の浸析が生じず、下層に位置するアモルファスIZO膜の溶解も起こらない。
【0020】
つぎに、本発明のアモルファス透明導電膜とAlまたはAl合金膜からなる電極,配線を同一平面上に配置し、透明導電膜を加工した際の、Al膜またはAl合金膜へのダメージ低減効果に対する優位性を説明する。表1は各種透明導電膜のエッチング液に対する透明導電膜、およびAl膜のエッチング速度を示したものである。
【0021】
【表1】
Figure 0003952672
【0022】
本実施例においては一例として、強酸である臭化水素酸(48%,60℃),弱酸である蓚酸(2wt%,40℃)を使用し、それぞれのエッチング液に対する、アモルファスIZO膜,多結晶ITO膜,Al膜のエッチング速度を求めた。
【0023】
多結晶ITO膜のエッチング液として用いられる臭化水素酸では、多結晶ITO膜とAl膜のエッチング速度比(選択比)は1.2:0.9であった。これはAl膜表面が多結晶ITO膜のエッチング液である臭化水素酸にさらされた場合には、Al膜が溶解し、パターンが消失したり断線したりしやすいことを示している。また、多結晶ITO膜のエッチング液として弱酸である蓚酸を使用した場合には、多結晶ITO膜自身のエッチング速度が、臭化水素酸を用いた場合に比べて2桁以上小さくなるため、パターニングに時間を要し、実用的ではないことが分かる。また、蓚酸を用いた場合には、多結晶ITO膜に比べてむしろAl膜のエッチング速度が早くなる傾向であるため、長時間エッチング時の、パターンの消失,断線がより顕著になる。
【0024】
これに対して、アモルファスIZO膜のエッチング速度は、弱酸である蓚酸を用いた際においても十分大きなエッチング速度を確保できることが分かる。蓚酸を用いた際のアモルファスIZO膜とAl膜とのエッチング選択比は2.583 :0.005 であり、蓚酸に対してAl膜はほとんどエッチングされないことが分かる。これはAl膜表面がアモルファスIZO膜のエッチング時に蓚酸にさらされる場合においてもAl膜は溶解せず、パターンが消失したり断線したりしないことを意味している。つまり、本発明のアモルファスIZO膜を適用することにより、Al電極配線上にアモルファスIZO膜が直接接触する構成を容易に実現できることを示している。また、多結晶ITO膜のように塩酸や臭化水素酸等のハロゲン酸や硝酸等の強酸を用いる場合に比べて、エッチングの際のホトレジスト膜へのダメージを低減できるため、アモルファスIZO膜自身のパターン精度を向上でき、より微細加工が可能となる。
【0025】
次に本発明のアモルファス透明導電膜を用いた際の、段差乗越え部分の断線に対する優位性を説明する。
【0026】
図41は透明電極パターンが配線電極パターン端部の段差部分を乗り越えて配置された場合の、段差乗越え部分の平面摸式図である。この構成を用いて段差乗越え部の透明電極パターンの断線状況を調査した。前述したように、このような構成では、段差乗越え部分には、図41に示すようにくさび状の電極細りが発生しやすい。この電極細りの幅が大きい場合には断線が生じ易く、逆に電極細りの幅を小さくする、もしくはなくすことにより、段差乗越え部分での断線を低減、もしくは防止することができる。
【0027】
くさび状の電極細りは段差乗越え部分(a)と非乗越え部分(b)とでのサイドエッチング速度の違いにより発生する。従って、この両者のサイドエッチング速度を用いて断線に対する冗長性を評価することができる。具体的には、(a)と(b)のサイドエッチング速度が同じであれば、くさび状の電極細りが発生しないため、断線に対する冗長性があるといえる。ここで、注意を要するのは、膜の深さ方向のエッチング速度が大きい場合には、サイドエッチング速度が大きくても問題にならない場合があることである。そこで、サイドエッチング速度を膜の深さ方向のエッチング速度で規格化した値を用いて評価した。配線パターンの例としては、例えばCr等の金属を用いて模擬的に形成し、それと直交して乗り越えるように透明電極パターンを形成した。
【0028】
表2は本発明のアモルファスIZO膜の断線に対する冗長性の評価実施例を示す。具体的には(a)段差乗越え部分と(b)非乗越え部分における、アモルファスIZO膜のエッチング速度に対するサイドエッチング速度の比(以下、単にエッチング速度比と略記する)を、従来の多結晶ITO膜と比較して示したものである。パターニング時のエッチング液として、例えばアモルファスIZO膜は蓚酸、多結晶ITO膜は臭化水素酸を用いた。
【0029】
【表2】
Figure 0003952672
【0030】
アモルファスIZO膜のエッチング速度比は、僅かながら乗越え部分が早いものの、非乗越え部分のエッチング速度比と比べてそれほど変らないことが分かる。つまり、アモルファスIZO膜は乗越え部分,非乗越え部分とで、エッチング挙動にほとんど差がなく、断線に対して冗長性があることが分かる。一方、従来の多結晶ITO膜は非乗越え部分のエッチング速度比でさえ、アモルファスIZO膜の乗越え部分のエッチング速度比に比べて大きいばかりか、乗越え部分においては、多結晶ITO膜の非乗越え部分のエッチング速度比の約2倍も大きな値となっており、本発明のアモルファスIZO膜に比べて断線に対する冗長性がないことが分かる。
【0031】
この違いは透明導電膜の均質性の違いによるものである。透明導電膜が本発明の均一なアモルファス膜の場合には多結晶ITO膜のような結晶粒が存在しないため、段差乗越え部分においても膜が均一に付きまわって存在する。その結果、パターン形成のためのエッチングに際しても段差乗越え部と非乗越え部とでサイドエッチング速度がほぼ一定な均一なエッチングが実現でき、断線に至るようなくさび状の電極細りは生じにくい。一方、多結晶ITO膜は結晶粒の成長方向が段差部分で競合するため、段差乗越え部分で結晶粒が著しく不規則な配置となる。この結晶粒が不規則な部分のエッチング速度が段差非乗越え部でのそれに比べて早いため、段差乗越え部ではくさび状の電極細りが生じる。
【0032】
以上の実施例においては、従来例として多結晶ITO膜を例にとって説明したが、アモルファスITO膜においても図41に示したような膜の不均一性を内在しているため、多結晶ITO膜と同様な電極細りを生じ易い。
【0033】
次に本発明の塗布型絶縁膜を上下二層の透明電極間に追加した際のプロセス上の冗長効果について説明する。塗布型絶縁膜を追加することで、上下二層の透明電極間の層間絶縁膜の信頼性をさらに向上することができる。
【0034】
図42(a),(b)は塗布型絶縁膜の効果を検証するために使用した構成を示す図である。図42では二層の透明電極上の絶縁膜を、(a)窒化シリコン膜のみの構成、(b)窒化シリコン膜と塗布型絶縁膜を積層配置した構成とし、その構成で上層透明電極を加工した際に層間絶縁膜の不良部分を介して染み込んだエッチング液により下層の透明電極に生じたピンホールの大きさと数を評価した。
【0035】
表3は、図42(a),(b)の構成において、単位面積当たりのピンホールの発生数の一例をピンホールの直径毎に整理して示したものである。
【0036】
【表3】
Figure 0003952672
【0037】
結果から一目で分かるとおり、窒化シリコン膜と塗布型絶縁膜を積層形成した(b)の構成が、窒化シリコン膜のみの(a)の構成に対して、ピンホールの発生数をさらに約1/100以上に低減できていることがわかる。これは、プロセス中の発塵,フレーク等により、窒化シリコン膜に生じたピンホール,クラック,下層段差乗越え部の付きまわり不良部分を塗布型絶縁膜が埋め込んで被覆,補修する効果によるものである。本実施例は上下二層の透明導電膜を同じ材料とした場合であるが、異なる材料を用いた場合、例えば下層の透明電極をアモルファスのIZO膜とし、上層の透明導電膜を多結晶ITOとした場合には、多結晶ITO膜のエッチング液に対してアモルファスIZO膜はより溶解しやすいために、窒化シリコン膜のみの(a)の構成に対して、窒化シリコン膜と塗布型絶縁膜を積層形成した(b)の構成において、その効果がより顕著に現れるのは言うまでもない。
【0038】
このことから、上下二層の透明電極間の層間絶縁膜に、本発明の塗布型絶縁膜を用いることにより、上層透明電極加工時の下層透明電極の溶解,断線を大きく低減でき、歩留まりを大幅に向上できることが分かる。同様に、上層透明電極加工時に上層透明電極より下層に位置する金属材料からなる配線,電極等の腐食,溶解についても同様に防止することができる。
【0039】
また、上述した窒化シリコンの不良部分を被覆する効果により、上下二層の透明電極間の絶縁不良による短絡不良も低減できることは言うまでもない。
【0040】
また、塗布型絶縁膜には下地の段差を平坦化する効果がある。これにより上層に配置された透明電極の付きまわりを確保できるため、上層透明電極の断線も防止できる。
【0041】
ここで、塗布型絶縁膜は、膜厚が厚くなることによりピンホール,クラック等の埋め込み効果、および平坦化効果が向上するが、下層透明電極と上層透明電極間に印加する電圧が塗布型絶縁膜により降下し、液晶表示装置を構成した際には駆動電圧の向上が問題となる。一方、膜厚を薄くすることにより上述の電圧降下の課題は解決されるが、ピンホール,クラック等の埋め込み効果が小さくなる。以上のことから塗布型絶縁膜の膜厚は0.2〜4.0μm、より望ましくは0.2〜2.0μmの範囲がよい。
【0042】
また、上記の実施例において、窒化シリコン膜を例に塗布型絶縁膜との組み合わせの効果を説明したが、その他の絶縁膜、例えば、酸化シリコン膜を用いた場合においても同様の不良部分の埋め込み効果を得ることができた。
【0043】
上記において、透明導電膜は、DCスパッタリング法、またはRFスパッタリング法において、条件を変えて形成した。例えば、アモルファスIZO膜はインジウムに対する亜鉛の添加量が10at%のIZOターゲットを用い、スパッタリングガスはAr,または5%の酸素添加Arを用いた(酸素の添加量は得られるIZO膜の比抵抗値が最小となる添加量に調整した)。スパッタパワーは100〜1000W、スパッタガス圧力は0.27〜1.3Pa、基板温度は室温〜350℃、膜厚は50〜300nmとした。ITOについてはターゲットをITOに変更することにより形成した。a−ITO膜についてはスパッタリングガスはAr、または酸素添加Ar、または数%の水添加Arを用いて成膜した。酸素、および水の添加量は多すぎても少なすぎても膜の比抵抗、および膜中の微結晶成分を増加させてしまうため、最適値となる添加量に調整した。スパッタパワー,スパッタガス圧力はアモルファスIZOと同一、基板温度については基板加熱無しとした。膜厚は50〜300nmとした。多結晶ITO膜についてはスパッタリングガスはAr,または5%の酸素添加Arを用い、酸素添加量を調整して成膜した。スパッタパワー,スパッタガス圧力はアモルファスITOと同一とした。基板温度は180〜350℃、膜厚は50〜300nmとした。
【0044】
以上の本発明の原理にかかる実施例では、アモルファスIZO膜を例に説明したが、アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはアモルファスIZO,アモルファス酸化インジウムゲルマニウムを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜であれば上述したアモルファスIZO膜と同様の効果が得られることを確認している。
【0045】
以上の本発明の原理にかかる実施例では、アモルファスIZO膜中に添加したインジウムに対する亜鉛の添加量(X/In+X):In…インジウムの原子数、X…亜鉛の原子数)については10at%としたが、ドープ元素の添加量を3〜30at%の範囲としてもよい。また、アモルファス透明導電膜の均質性のみならず、透明性,比抵抗等の基本特性の観点からも、この添加量の範囲で得られた膜は充分実用的な特性が得られる。
【0046】
また、アモルファスIZO膜の膜厚は50〜300nmとしたが、この範囲とすることにより、着色がなく透過率の高いアモルファスIZO膜を得ることができた。より望ましくは50nm〜150nmの範囲とすることにより、より無着色,高透過率、のアモルファスIZO膜を得ることができた。
【0047】
またアモルファスIZO膜のパターン端部の順テーパー角を10°〜80°とすることにより上層に形成する絶縁膜の付きまわりを確保することができた。より望ましくはパターン端部の順テーパー角を30°〜60°とすることがのぞましい。
【0048】
以上の実施例から得られた知見を元に、本発明の具体的な実施形態を図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1から図10を用いて本発明の第一の実施例について説明する。
【0049】
図1から図10において、SUB1は薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板を、TFTは画素のスイッチング素子である薄膜トランジスタを、CLAはAl膜もしくはAl合金膜と高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜の積層構成からなる共通信号配線を、CEAはアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜からなる共通信号電極を、GEAはAl膜もしくはAl合金膜と高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜の積層構成からなる走査信号電極を、GLAはAl膜もしくはAl合金膜と高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜の積層構成からなる走査信号配線を、SIは半導体層を、SDは薄膜トランジスタのソースドレイン電極となる映像信号電極を、DLCはCrもしくはCr合金からなる映像信号配線を、PXAはアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜からなる画素電極を、GIは該薄膜トランジスタTFTのゲート絶縁膜を、PASは薄膜トランジスタの表面保護膜を、NSIは薄膜トランジスタのソースドレイン電極と半導体層のコンタクトを保証するためにリン等の不純物をドープしたシリコン膜からなる電極を、THはスルーホールを、BMは遮光パターンを、CFはカラーフィルタを、OCはオーバーコート膜を、SUB2はカラーフィルタ側の透明絶縁基板を示す。また、ORI1,2は配向膜を、LCは液晶層を、POL1,2は偏光板を、GTMは走査信号配線用端子を、DTMは映像信号配線用端子を、CTMは共通信号配線用端子を、CBは共通信号配線のバス配線を、SLはシール材を、TCAはアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜からなる走査信号配線,共通信号配線、および映像信号配線用端子のパッド電極それぞれ示す。
【0050】
図1は、本発明の第一の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の断面図で、後述する図2に示したA−A′で示した線に沿う断面図である。図2は本発明の第一の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の、単位画素の薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1の表面図を、図3は図2に示した、B−B′で示した線に沿う薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1の断面図を示す。
【0051】
薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1はTFT基板と称され、このTFT基板と液晶LCを介して対向配置される対向側の透明絶縁基板SUB2はCF基板と称される。
【0052】
図1に示すようにCF基板はその液晶層LC側の面に、まず各画素領域を画するようにして遮光パターンBMが形成され、この遮光パターンBMの実質的な画素領域を決定する開口部にはカラーフィルタCFが形成されている。そして、遮光パターンBM、およびカラーフィルタCFを覆って、例えば樹脂膜からなるオーバーコート膜OCが形成され、このオーバーコート膜OCの表面には配向膜ORI2が形成されている。TFT基板,CF基板それぞれの外側の面(液晶層LC側とは反対の面)には偏光板POL1,POL2が形成されている。
【0053】
一方、TFT基板側には第一の透明電極からなる共通信号電極CEA,第二の透明電極からなる画素電極PXAが配置されており、その二層の透明電極間の層間絶縁膜は、ゲート絶縁膜GI,薄膜トランジスタの表面保護膜PASで構成されている。
【0054】
本実施例においては、第一の透明導電膜である共通信号電極CEAのみならず、第二の透明電極である画素電極PXAについても本発明のアモルファスIZO膜とした構成とした。
【0055】
本実施例では図2に示すように、走査信号配線GLA、および映像信号配線DLにより分けられた領域に薄膜トランジスタTFT,画素電極PXA,共通信号電極CEAがそれぞれ1つずつ形成され、画素を構成している。画素電極PXAはスルーホールTHを介して薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極となる映像信号電極SDの一方に接続されており、映像信号電極SDの他方は映像信号配線DLに接続されている。また、共通信号電極CEAは少なくとも画素領域の周辺を除く単位画素領域の全領域に形成されている。X方向に併設される共通信号電極CEAは走査信号配線GLA,走査信号電極GEAと同一工程,同一材料で形成された共通信号配線CLAに接続されている。また、画素電極PXAの少なくとも一部が画素内で櫛歯状に複数に分割、またはスリット状に加工されている。
【0056】
本実施例においては、スリット状に加工された画素電極PXAの電極幅、及び電極間幅は、例えばそれぞれ3μm幅とした。
【0057】
薄膜トランジスタTFTは図3に示すように、逆スタガの薄膜トランジスタを用いている。ゲート電極GEAに薄膜トランジスタTFTのしきい値以上の電圧が加わると、半導体層SIが導通状態となり、薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極となる映像信号電極SD間が導通となる。その際に映像信号配線DLに印加されている電圧が、画素電極PXAに伝達される。またゲート電極GEAの電圧が、薄膜トランジスタのしきい値電圧以下の場合には薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極となる映像信号電極SD間が絶縁となり、映像信号配線DLに印加されている電圧は画素電極に伝達されず、画素電極PXAは映像信号電極SDが導通状態の時に伝達された電圧を保持する。
【0058】
スルーホールTHは薄膜トランジスタの表面保護膜PAS上に形成されている。スルーホールTHは薄膜トランジスタのソースドレイン電極となる映像信号電極SDの一方と画素電極PXAとを接続するために形成されており、画素電極
PXAはスルーホールTHの段差を乗り越えて、薄膜トランジスタのソースドレイン電極に接触し、電気的に接続されている。
【0059】
本実施例によれば、共通信号配線CLA上を第一の透明電極である共通信号電極CEAが直接乗り越えて接続した構成をとるが、共通信号電極CEAを本発明のアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜とすることにより、共通信号電極CEAをエッチングによりパターン形成する工程において、共通信号電極CEAが共通信号配線CLAを乗り越える部分でくさび状の電極細りを入れることなくパターン形成できるため、共通信号電極CEAの断線を低減することができ、歩留まり、および信頼性を向上させることができる。また、共通信号電極線CEAの端部形状を順テーパー形状に確保することができるため、ゲート絶縁膜GIが共通信号配線CEAを乗り越える部分での付きまわり不良を防止することができ、これにより絶縁性に優れたゲート絶縁膜GIを形成することができる。さらに、ゲート絶縁膜GIの付きまわりを確保できるため、ゲート絶縁膜GI上に形成された表面保護膜PASのつきまわりを確保できるため、さらには第二の透明電極である画素電極PXAが薄膜トランジスタの表面保護膜PASの段差部を乗り越える部分でのつきまわり不良による断線も低減することができる。
【0060】
本実施例によれば、ゲート絶縁膜として、特にSiN膜を使用した場合においても、共通信号電極CEAが本発明のアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜で構成されるため、共通信号電極CEA上に、異常成長のない緻密性に優れたゲート絶縁膜GIを高温で形成することができる。これにより、画素電極PXA加工時における下層共通信号配線CLA,共通信号電極CEA,走査信号配線GLA,走査信号電極GEA、および映像信号配線DLの溶解防止、および画素電極PXA,共通信号電極CEAが重畳する領域でのショート不良を低減することができる。
【0061】
また、本実施例によれば、共通信号電極CEAを本発明のアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜とすることにより、配線に対するダメージの小さい弱酸で加工できるようになるため、共通信号電極CEAと同一平面状に存在する走査信号配線GLA,共通信号配線CLAが、共通信号電極CEA加工時のエッチング液で溶解,断線することなく共通信号電極CEAのパターンを形成することができる。
【0062】
上述したように、配線に対するダメージのないエッチング加工が可能となるため、低抵抗配線材料であり、透明導電膜のエッチング液に対する対薬品性に乏しいAlやAl合金膜を共通信号電極CEAと同一平面上に位置する走査信号配線GLA,共通信号配線CLAとして使用することも可能である。ただし、AlやAl合金膜と、酸化物である酸化インジウム系の透明導電膜が直接接触して接続部分を構成する構造ではAlと透明導電膜の界面において、透明導電膜中の酸素がAl側に移行し、絶縁膜であるアルミの酸化物が形成され、電気的な接続不良を起こしやすいことが知られている。従って、実際に走査信号配線GLA,共通信号配線CLAにAlやAl合金を適用する際にはAlやAl合金膜が透明導電膜とコンタクトを形成する側の界面の少なくとも一部に酸素拡散を防止するための層、具体的にはCrやMo等の高融点金属,高融点金属の合金膜、または高融点金属のシリサイド膜からなる層が設けられた、積層電極,配線構成となることがより望ましい。
【0063】
また、本実施例においては、上層に位置する第二の透明電極である画素電極PXAについても本発明のアモルファスIZO膜を適用した構成であるため、塩酸や臭化水素酸等のハロゲン酸や硝酸とうの強酸を用いる場合に比べて、アモルファス透明導電膜をエッチングする際にホトレジスト膜が被るダメージについても同様に低減できる。そのため、透明導電膜自身のパターニング精度をさらに向上することができ、アモルファス透明導電膜自身の均一エッチングの効果と併せると、微細加工、具体的には画素電極PXAのくし歯加工、またはスリット状加工等、がさらに容易となる。
【0064】
次に、本実施例における液晶表示装置の基板端部の形状,電気回路、および外部駆動回路と接続する端子部分の形状について説明する。
【0065】
図4は本発明の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の電気回路の概略図を示す。図5は本発明の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の基板端部の断面模式図で(a)は走査信号配線用端子GTMが配置される側の端部、(b)は液晶封入口が配置される側の端部の模式図を示す。
【0066】
図4の電気回路に示すとおり、x方向に延在され、y方向に併設される前記各走査信号配線GLAには、走査信号配線用端子GTMを介して、垂直走査回路によって順次走査信号(電圧信号)が供給されるようになっている。走査信号配線GLAに沿って配置される、各画素領域の薄膜トランジスタTFTは、該走査信号によって駆動される。そして、この走査信号のタイミングに合わせて、映像信号駆動回路から、映像信号配線用端子DTMを介して、y方向に延在され、x方向に併設される各映像信号配線DLに映像信号が供給される。この映像信号は、各画素領域の該薄膜トランジスタTFTを介して、画素電極PXAに伝達される。各画素領域において、画素電極PXAと共に形成されている、共通信号電極CEAには、共通信号配線用端子CTMを介して、共通信号配線のバス配線CBから分岐した対向電圧が印加されており、画素電極PXAと共通信号電極CEA間に電界を発生させる。そして、この電界のうち、透明絶縁基板SUB1に対して支配的に平行な成分を有する電界(横電界)によって、液晶の光透過率を制御する構成である。同図において、各画素領域に示したR,G,Bの各符号は、各画素領域にそれぞれ赤色用フィルタ,緑色用フィルタ,青色用フィルタが形成されていることを示している。
【0067】
TFT基板の、CF基板に対する固定は、図5に示すようにCF基板の周辺に形成されたシール材SLによってなされ、このシール材SLは、透明絶縁基板SUB1,SUB2の間に液晶を封入するための封入材としての機能をも有している。このシール材SLの外側,TFT基板の周辺で、CF基板によって覆われていない領域には、それぞれ、走査信号配線用端子GTM,映像信号配線用端子DTM,共通信号配線用端子CTMが形成されている。図5では、このうち、走査信号配線GLA用端子GTMを例示してある。各端子は、導電粒子を接着剤中に分散させた異方性導電膜を介して、例えばTCP(Tape Carrier Package)、またはCOG(Chip On Glass)等の接続方式により、図4で前述した外部駆動回路と接続される。なお、このシール材SLの一部には、図示しない液晶封入口があり、ここから液晶を封入した後は、液晶封入材によって封止がなされる。
【0068】
図6は本発明の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線GLA用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図を示す。図7は、第一の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図を示す。
【0069】
走査信号配線用端子GTM部分は図6に示すように、まず、透明絶縁基板SUB1上の走査信号端子部分を形成する領域に、走査信号配線GLAの延在部が形成される。さらに走査信号配線GLAを覆ってゲート絶縁膜GI、及び薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが順次積層され、これらゲート絶縁膜GI、及び表面保護膜PASに設けたスルーホールTHによって、走査信号配線GLAの延在部の一部が露出される。その上にパッド電極TCAが画素電極PXAを形成した際と同一の材料で、同一の工程で形成され、走査信号配線用端子GTMを形成する。通常、液晶表示装置の端子露出部分は、金属材料ではなく、耐湿性,耐薬品性,腐食性に優れる透明導電膜材料で構成されるが、本実施例においても、走査信号配線用端子GTMの最表面は、耐湿性に優れたアモルファスのIZO膜で構成されるため、露出端子部分の信頼性を十分確保できる。
【0070】
本実施例においては、走査信号配線GLAと共通信号配線CLAとは、同一材料,同一工程で形成される。共通信号配線用端子CTMについても走査信号配線GLA用端子GTMと同一材料,同一工程で形成され、必然的に同一構成となる。この場合、図4に示すとおり、共通信号配線用端子CTMは走査信号配線用端子GTMとは反対の方向に引き出される。
【0071】
映像信号配線用端子DTM部分は図7に示すように、まず、透明絶縁基板SUB1上にゲート絶縁膜GIが形成されたのち、映像信号配線用端子DTMが形成される領域に映像信号配線DLの延在部が形成される。その後、薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが形成され、映像信号配線用端子DTMが形成される領域のうち、後の工程で作製する、パッド電極TCAが形成される領域の一部にスルーホールTHが開口される。その後、画素電極PXAを形成する際に使用する材料を用いて同一の工程でパッド電極TCAが形成され、映像信号配線用端子DTMが形成される。このパッド電極TCAはスルーホールTHを介して、映像信号配線DLと電気的に接続される。本構造とすることにより、映像信号配線用端子DTMも走査信号配線用端子GTMと同様に、耐湿性,耐薬品性,腐食性に優れ、露出端子部分の信頼性を十分確保できる。
【0072】
次に、第一の実施例において、TFT基板の各製造工程ごとの要部断面図を用いて、形成方法の具体例を図8から図10を用いて説明する。
【0073】
図8は本発明の第一の実施例の構成を実現するためのプロセスフローを示す図である。図9は図8のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、前記図2におけるA−A′で示した線に沿う断面図であり、図10は図8のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、前記図2におけるB−B′で示した線に沿う断面図である。
【0074】
実施例一においては、具体的には(A)〜(F)の、6段階のホトリソグラフィー工程を経てTFT基板SUB1が完成する。以下、工程順に説明する。
工程(A)
透明絶縁基板SUB1を用意し、その表面全域に、例えばスパッタリング法によって、Al、もしくはAl合金膜を100〜500nm、好ましくは150〜350nm、さらにその上に高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜を5〜200nm、好ましくは10〜100nmの膜厚で連続形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、Al膜,高融点金属膜を一括で自己整合的に選択エッチングし、画素領域内には走査信号電極GEA,走査信号配線GLA、及び共通信号配線CLAを、また、走査信号配線用端子GTM形成領域には、走査信号配線GLAの延在部を形成する。
工程(B)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、下層の第一の透明導電膜となるアモルファスIZO膜を50〜300nm、好ましくは50〜150nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、アモルファスIZO膜をエッチングし、画素領域内には共通信号電極CEAを形成する。
工程(C)
透明絶縁基板SUB1表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、ゲート絶縁膜GIとなる窒化シリコン膜を200〜700nm程度、好ましくは300〜500nmの膜厚で形成する。さらに、このゲート絶縁膜GIの表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、アモルファスシリコン膜を50〜300nm、好ましくは100〜200nmの膜厚で、及びn型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜を10〜100nm、好ましくは20〜60nmの膜厚で順次積層する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、アモルファスシリコン膜をエッチングし、画素領域内に薄膜トランジスタTFTの半導体層SIを形成する。
工程(D)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、Cr膜もしくはCr合金膜を100〜500nm、好ましくは150〜350nm形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、Cr膜をエッチングし、画素領域内には、薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極となる映像信号電極SD、および映像信号配線DLを、また、映像信号配線DL用端子DTM形成領域には、映像信号配線DLの延在部を形成する。その後、Cr膜をエッチングしたパターンをマスクとして、n型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜をエッチングする。
工程(E)
透明絶縁基板SUB1の表面の全域に、例えばプラズマCVD法によって、薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASとなる窒化シリコン膜を200nm〜900nm、好ましくは300〜500nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、表面保護膜PASをエッチングし、画素領域内に、該薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極SDの一部を露出するためのスルーホールTHを形成する。これとともに、走査信号配線、および共通信号配線用端子GTM,CTM形成領域には、表面保護膜PASの下層に位置するゲート絶縁膜GIにまで、スルーホールTHを貫通させて、走査信号配線GLA、および共通信号配線CLA用端子GTM,CTMのパッド電極TCAの一部を露出させるためのスルーホールTHを、映像信号配線用端子DTM形成領域には映像信号配線DLの延在部を露出するためのスルーホールTHを形成する。
工程(F)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、上層の第二の透明電極となるアモルファスIZO膜を50〜300nm、好ましくは50〜150nm形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、アモルファスIZO膜をエッチングし、画素領域内には、スルーホールTHを介して、薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極と接続された画素電極PXAを形成するとともに、走査信号配線,共通信号配線、および映像信号配線用端子GTM,CTM,DTM形成領域には接続用のパッド電極TCAを形成する。
【0075】
以上に示した工程により、TFT基板側が完成する。
【0076】
一方、CF基板側には染色法により作製したカラーフィルタCF、及びCr系、もしくは有機材料からなる遮光パターンBMが形成される。その後、平坦化層となるオーバーコート膜を形成し、TFT基板とCF基板を貼り合せ、間に液晶層LCを封入し、両基板の外側に偏光板POL1,POL2を配置することにより液晶表示装置となる。
(実施例2)
次に本発明の第二の実施例を図11から図17を用いて説明する。
【0077】
図11から図17において、前述の実施例と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0078】
図11から図17において、PXPは多結晶ITO膜からなる画素電極を、TCPは映像信号配線,走査信号配線、および共通信号配線用端子DTM,GTM,CTMのパッド電極を、CLCはCrもしくはCr合金膜からなる共通信号配線をそれぞれ示す。
【0079】
図11は、本発明の第二の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の断面図で、後述する図12に示した、A−A′で示した線に沿う断面図である。図12は本発明の第二の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の、単位画素の薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1の表面図を示す。
【0080】
本実施例において、図12に示したB−B′で示した線に沿う薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1の断面図は、実施例一のアモルファス酸化インジウム亜鉛,アモルファス酸化インジウムゲルマニウム、もしくはそれらを主成分とした酸化物透明導電膜からなる画素電極PXAを多結晶ITO膜からなる画素電極PXPに変更した構成となり、その他の構成は同一のため説明を省く。
【0081】
本実施例においては、図11に示すように上下二層の透明導電膜からなる第二の透明電極である画素電極PXP、第一の透明電極である共通信号電極CEA間の層間絶縁膜は、薄膜トランジスタの表面保護膜PASで構成されている。
【0082】
本実施例においては図12に示すようにY方向に併設され、X方向に延在される共通信号電極CEAは映像信号配線DL,映像信号電極SDと同一材料,同一工程で形成された共通信号配線CLCにより接続されている。本実施例においては、第二の透明電極からなる画素電極PXPについては多結晶ITO膜を用いた構成とした。
【0083】
本実施例においても、共通信号配線CLC上を第一の透明電極である共通信号電極CEAが直接乗り越えて接続した構成を取るが、共通信号配線CEAを本発明のアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜とすることにより、共通信号配線CLCを乗り越える部分でくさび状の電極細りを生じることなく共通信号電極CEAのパターンを形成できるため、共通信号配線の断線を低減することができ、歩留まり、およびプロセスの信頼性を向上させることができる。また、共通信号電極CEAの端部を順テーパー形状に確保できるため、薄膜トランジスタの表面保護膜PASが共通信号配線CEAを乗り越える部分での付きまわり不良を防止することができ、絶縁性に優れた表面保護膜PASを形成することができる。さらに、表面保護膜PASの付きまわりを確保できるため、不良を防止することにより、表面保護膜PAS上に形成された第二の透明電極である画素電極PXPがゲート絶縁膜の段差部を乗り越える部分でのつきまわり不良による断線を防止することができる。
【0084】
本実施例によれば、薄膜トランジスタの表面保護膜として、特にSiN膜を使用した場合においても、表面保護膜PAS形成時の形成温度を高くすることができるため、異常成長のない緻密性に優れた絶縁膜を形成することができ、画素電極PXP形成時の共通信号配線CLC,共通信号電極CEA,共通信号配線CLA,走査信号電極GEA,走査信号配線GLA、および映像信号配線DLの溶解防止、および画素電極PXP,共通信号電極CEAが重畳する領域でのショート不良を低減することができる。
【0085】
本実施例によれば、共通信号電極CEAを配線に対するダメージの小さい弱酸でパターン形成ができるようになるため、共通信号電極CEAより下層に存在する走査信号配線GLA,共通信号配線CLC,映像信号配線DLが共通信号電極CEA加工時のエッチング液にさらされて溶解,断線することを防止できる。
【0086】
図13には本実施例の電気回路の概略図を示す。Y方向に延在され、X方向に併設される共通信号電極CEAは映像信号配線DLと同一工程,同一材料で形成された共通信号配線CLCにより接続されている。その他の構成は実施例1と同一のため、説明を省く。
【0087】
図14は本発明の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図の例を示す。図15は、第一の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図を示す。
【0088】
走査信号配線用端子GTM部分は図14に示すように、まず、透明絶縁基板SUB1上の走査信号端子部分を形成する領域に、走査信号配線GLAの延在部が形成される。この走査信号配線GLAを覆ってゲート絶縁膜GI、及び薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが順次積層され、これらゲート絶縁膜GI、及び表面保護膜PASに設けたスルーホールTHによって、走査信号配線GLAの延在部の一部が露出される。その上にパッド電極TCPが、画素電極PXPを形成した際と同一の材料で、同一の工程で形成され、走査信号配線用端子GTMを形成する。通常、液晶表示装置の端子露出部分は、金属材料ではなく、耐湿性,耐薬品性,腐食性に優れる透明導電膜材料で構成されるが、本実施例においても、走査信号配線用端子GTMの最表面は、耐湿性に優れた多結晶ITO膜で構成されるため、露出端子部分の信頼性を十分確保できる。
【0089】
映像信号配線用端子DTM部分は図15に示すように、まず、透明絶縁基板SUB1上にゲート絶縁膜GIが形成されたのち、映像信号配線DL端子が形成される領域に映像信号配線DLの延在部が形成される。さらに、これらパッド電極TCA、及び映像信号配線DLを覆って薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが形成され、表面保護膜PASに設けたスルーホールTHによって、映像信号配線DLの延在部の一部が露出される。その上にパッド電極TCPが画素電極PXPを形成した際と同一の材料で、同一の工程で形成され映像信号配線DL用端子GTMを形成する。
【0090】
次に、第二の実施例において、TFT基板の各製造工程ごとの要部断面図を用いて、形成方法の具体例を図16から図17を用いて説明する。
【0091】
図16は本発明の第二の実施例の構成を実現するためのプロセスフローを示す図である。図17は図16のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、前記図12におけるA−A′で示した線に沿う断面図である。
【0092】
実施例1においては、具体的には(A)〜(F)の、6段階のホトリソグラフィー工程を経てTFT基板SUB1が完成する。以下、工程順に説明する。
工程(A)
透明絶縁基板SUB1を用意し、その表面全域に、例えばスパッタリング法によって、Al、もしくはAl合金膜を100〜500nm、好ましくは150〜350nm、高融点金属,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜を5〜200nm、好ましくは10〜100nmを連続形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、Al、もしくはAl合金膜、および高融点金属、もしくは高融点金属の合金膜を一括で自己整合的に選択エッチングし、画素領域内には走査信号電極GEA,走査信号配線GLAを、また、走査信号配線用端子GTM形成領域には、走査信号配線GLAの延在部を形成する。
工程(B)
透明絶縁基板SUB1表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、ゲート絶縁膜GIとなる窒化シリコン膜を200〜700nm程度、好ましくは300〜500nmの膜厚で形成する。さらに、このゲート絶縁膜GIの表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、アモルファスシリコン膜を50〜300nm、好ましくは100〜200nmの膜厚で、及びn型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜を10〜100nm、好ましくは20〜60nmの膜厚で順次積層する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、該アモルファスシリコン膜をエッチングし、画素領域内に薄膜トランジスタTFTの半導体層SIを形成する。
工程(C)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、Cr、もしくはCr合金膜を100〜500nm、好ましくは150〜350nm形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、Cr膜をエッチングし、画素領域内には、薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極となる映像信号電極SD、及び共通信号配線CLA、及び映像信号電極SDの延在部である映像信号配線DLを、また、映像信号配線用端子DTM形成領域には、映像信号配線DLの延在部を形成する。その後、Cr膜をエッチングしたパターンをマスクとして、n型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜をエッチングする。
工程(D)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、下層の第一の透明電極となるアモルファスIZO膜を50〜300nm、好ましくは50〜150nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、アモルファスIZO膜をエッチングし、画素領域内には共通信号電極CEAを形成する。
工程(E)
透明絶縁基板SUB1の表面の全域に、例えばプラズマCVD法によって、薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASとなる窒化シリコン膜を200nm〜900nm、好ましくは300〜500nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、表面保護膜PASをエッチングし、画素領域内に、薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極SDの一部を露出するためのスルーホールTHを形成する。これとともに、走査信号配線用端子GTM形成領域には、表面保護膜PASの下層に位置するゲート絶縁膜GIにまで、スルーホールTHを貫通させて、走査信号配線用GLAの延在部の一部を露出させるためのスルーホールTHを、映像信号配線、および共通信号配線の延在部の一部を露出するためのスルーホールTHを形成する。
工程(F)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、上層の第二の透明電極となる多結晶ITO膜を50〜300nm、好ましくは50〜200nm形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、多結晶ITO膜をエッチングし、画素領域内には、スルーホールTHを介して、薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極SDと接続された画素電極PXPを形成するとともに、走査信号配線,共通信号配線、および映像信号配線用端子GTM,CTM,DTM形成領域には接続用のパッド電極TCPを形成する。
【0093】
以上に示した工程により、TFT基板側が完成する。
(実施例3)
本発明の第三の実施例について図18から図23を用いて説明する。
【0094】
図18から図23において、前述の実施例と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。AOは走査信号配線GLA,共通信号配線CLA、および走査信号電極GEAに使用しているAlもしくはAl合金上に形成されたAl酸化物からなる絶縁膜,TCCは高融点金属,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜からなるパッド電極であり、AlもしくはAl合金膜からなる配線と酸化物透明導電膜からなる透明電極との電気的なコンタクトを補償するための相互拡散防止層として機能する。
【0095】
図18は、本発明の第一の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の断面図で、後述する図19に示した、A−A′で示した線に沿う断面図である。図20は本発明の第一の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の、単位画素の薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1の表面図を示す。図20は図19に示した、B−B′で示した線に沿う薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1の断面図を示す。
【0096】
第三の実施例においては図18に示すように、上下二層の透明導電膜からなる画素電極PXA、共通信号電極CEA間の層間絶縁膜は、ゲート絶縁膜GI,薄膜トランジスタの表面保護膜PASの二層で構成されている。Al酸化物AOは共通信号電極CEAと共通信号配線CLAがパッド電極TCCを介して接続する領域以外の少なくとも一部に形成され、ゲート絶縁膜GIとともに絶縁膜としての機能を有する。
【0097】
また、本実施例においては共通信号配線CLAと共通信号電極CEAはAl酸化物AOに開口したスルーホールを介して接続されているが、電気的接続を補償するために共通信号配線CLAと共通信号電極CEAとの間に酸素拡散防止層となるCr等の高融点金属,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜からなるパッド電極TCCを配置してパッド電極TCCを介して接続されている。
【0098】
本実施例においては、第一の実施例と同様、第一の透明電極である共通信号電極CEA、第二の透明電極PXAともに本発明のアモルファスIZO膜とした構成とした。また、共通信号配線CLAは走査信号配線GLA,走査信号電極GEAと同一工程,同一材料で形成した構成とした。
【0099】
本実施例においても本発明のアモルファス酸化インジウム亜鉛,アモルファス酸化インジウムゲルマニウム、あるいはそれらを主成分とする酸化物透明導電膜を適用することにより、前記した第一の実施例と同様の効果が得られる。共通信号電極CEAをパターン形成する工程において、Al酸化物AO上を乗り越える部分でくさび状の電極細りを防止できる。Al膜、もしくはAl合金膜からなる共通信号配線CLAの断線を低減することができ、歩留まり、およびプロセスの信頼性を向上させることができる。また、共通信号電極CEAの端部形状を順テーパー形状に確保することができるため、ゲート絶縁膜GI、および薄膜トランジスタの表面保護膜PASが共通信号配線CEAを乗り越える部分での付きまわり不良を防止することができ、絶縁性に優れたゲート絶縁膜GI、および薄膜トランジスタの表面保護膜PASを形成することができる。さらに、薄膜トランジスタ保護膜PASの付きまわりが確保できるため、薄膜トランジスタの表面保護膜PAS上に形成された第二の透明電極である画素電極PXAが表面保護膜PASの段差部を乗り越える部分での断線を防止することができる。
【0100】
本実施例においては図20に示すように薄膜トランジスタTFTはゲート電極GEAの絶縁膜として、Al酸化物、およびゲート絶縁膜GIの積層構成としている。これにより絶縁特性に優れたゲート絶縁膜を形成することができる。その他の構成は実施例1と同一のため説明を省く。
【0101】
次に、第三の実施例において、形成方法の具体例を図21から図23のTFT基板の各製造工程ごとの要部断面図を用いて説明する。
【0102】
図21は本発明の第三の実施例の構成を実現するためのプロセスフローを示す図である。図22、および図23はそれぞれ、図21のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、前記図19におけるA−A′で示した線に沿う断面図、B−B′で示した線に沿う断面図である。
実施例三においては、具体的には(A)〜(H)の、8段階のホトリソグラフィー工程を経てTFT基板SUB1が完成する。以下、工程順に説明する。
工程(A)
透明絶縁基板SUB1を用意し、その表面全域に、例えばスパッタリング法によって、AlもしくはAl合金膜を100〜500nm、好ましくは150〜350nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、Al合金膜をエッチングし、画素領域内には走査信号電極GEA,走査信号配線GLA、及び共通信号配線CLAを、また、走査信号配線用端子GTM形成領域には、走査信号配線GLAの延在部を形成する。
工程(B)
ホトリソグラフィー技術を用いて、Al酸化物を形成する以外の領域、具体的には走査信号配線GLA、および共通信号配線CLA用端子形成領域、および共通信号配線GLAと共通信号電極CLAの接続部分にレジストパターンを形成する。その後、透明絶縁基板SUB1と白金電極を、酒石酸を主成分とし、中性付近にpHを調整した陽極酸化液中に浸析し、透明絶縁基板SUB1と白金電極間に電圧を印加し、AlまたはAl合金膜の表面を陽極酸化することによりAl酸化物AOを形成する。
工程(C)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、高融点金属、もしくは高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜を5〜200nm、好ましくは10〜100nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、少なくともAl酸化物の形成されていない領域の一部にCr合金膜を残すようにエッチングし、画素領域内、走査信号配線、および共通信号配線用端子形成領域にパッド電極TCCを形成する。
工程(D)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、下層の第一の透明電極となるアモルファスIZO膜を50〜300nm、好ましくは50〜150nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、アモルファスIZO膜をエッチングし、画素領域内には共通信号電極CEAを形成する。
工程(E)
透明絶縁基板SUB1表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、ゲート絶縁膜GIとなる窒化シリコン膜を200〜700nm程度、好ましくは300〜500nmの膜厚で形成する。さらに、このゲート絶縁膜GIの表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、アモルファスシリコン膜を50〜300nm、好ましくは100〜200nmの膜厚で、及びn型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜を10〜100nm、好ましくは20〜60nmの膜厚で順次積層する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、該アモルファスシリコン膜をエッチングし、画素領域内に薄膜トランジスタTFTの半導体層SIを形成する。
工程(F)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、Cr、もしくはCr合金膜を100〜500nm、好ましくは150〜350nm形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、Cr膜をエッチングし、画素領域内には、薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極となる映像信号電極SD、及び該映像信号電極SDの延在部である映像信号配線DLを、また、映像信号配線用端子DTM形成領域には、映像信号配線DLの延在部を形成する。その後、Cr膜をエッチングしたパターンをマスクとして、n型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜をエッチングする。
工程(G)
透明絶縁基板SUB1の表面の全域に、例えばプラズマCVD法によって、薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASとなる窒化シリコン膜を200nm〜900nm、好ましくは300〜500nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、表面保護膜PASをエッチングし、画素領域内に、該薄膜トランジスタTFTのドレイン電極の一部を露出するためのスルーホールTHを形成する。これとともに、走査信号配線用端子GTM形成領域には、表面保護膜PASの下層に位置するゲート絶縁膜GIにまで、スルーホールTHを貫通させて、走査信号配線用端子GTM用のパッド電極TCA1の一部を露出させるためのスルーホールTHを、映像信号配線用端子DTM形成領域には映像信号配線DLの延在部を露出するためのスルーホールTHを形成する。
工程(H)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、上層の第二の透明電極となるアモルファスIZO膜を50〜300nm、好ましくは50〜150nm形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、アモルファスIZO膜をエッチングし、画素領域内には、スルーホールTHを介して、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極と接続された画素電極PXAを形成する。
【0103】
以上に示した工程により、TFT基板側が完成する。
(実施例4)
図24および図25を用いて本発明の第四の実施例について説明する。
【0104】
本実施例において、前述の実施例と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0105】
本実施例において、アクティブマトリックス型液晶表示装置の断面図、アクティブマトリックス型液晶表示装置の単位画素の薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1の表面図、および薄膜トランジスタの断面図、基板端部の形状,電気回路,構成を実現するためのプロセスフローは実施例一と同一のため、説明を省く。
【0106】
図24は本発明の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図を示す。図25は、第一の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図を示す。
【0107】
走査信号配線用端子GTM部分は、図24に示すように、まず、透明絶縁基板SUB1上の走査信号端子部分を形成する領域に、走査信号配線GLAの延在部が形成される。この走査信号配線GLAを覆ってゲート絶縁膜GI、及び薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが順次積層され、これらゲート絶縁膜GI、及び表面保護膜PASに設けたスルーホールTHによって、走査信号配線GLAの延在部の一部が露出され走査信号配線用端子GTMを形成する。
【0108】
映像信号配線用端子DTM部分は図25に示すように、まず、透明絶縁基板SUB1上にゲート絶縁膜GIが形成されたのち、映像信号配線用端子が形成される領域に映像信号配線DLの延在部が形成される。さらに、映像信号配線DLを覆って薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが順次積層され、表面保護膜PASに設けたスルーホールTHによって、映像信号配線DLの延在部が露出され、映像信号配線端子用端子DTMが形成される。
【0109】
本実施例においては、走査信号配線用端子GTM、および映像信号配線用端子DTMの露出部分の表面が酸化物透明導電膜で被覆,保護されない構成となる。(実施例5)
図26から図28を用いて本発明の第五の実施例について説明する。
【0110】
本実施例において、前述の実施例と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0111】
第五の実施例において、TCAPは本発明のアモルファスIZO膜からなるパッド電極の一部分をレーザーアニール等により選択的に結晶化して形成した多結晶透明導電膜からなるパッド電極である。
【0112】
図26は本発明の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線GLA用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図を示す。図27は、第一の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図を示す。
【0113】
走査信号配線用端子GTM部分は、図26に示すように、まず透明絶縁基板SUB1上の走査信号端子部分を形成する領域に、走査信号配線GLAの延在部が形成される。この走査信号配線GLAを覆ってゲート絶縁膜GI、及び薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが順次積層され、これらゲート絶縁膜GI、及び表面保護膜PASに設けたスルーホールTHによって、走査信号配線GLAの延在部の一部が露出される。その上にパッド電極TCAPが、本発明のアモルファスIZO膜からなる第二の透明電極である画素電極PXAを形成した際と、同一材料,同一工程で形成される。その後、レーザーアニール,ランプアニール,電子ビームアニール等の局所アニールにより走査信号配線用GLA端子GTM部に形成されたパッド電極のTCAPみを結晶化し、多結晶IZO膜とし、走査信号配線GLA端子GTMが形成される。液晶表示装置の端子露出部分は、金属材料ではなく、耐湿性,耐薬品性,腐食性に優れる透明導電膜材料で構成されることがより望ましいが、本実施例においても、走査信号配線用端子GTMの最表面は、耐湿性に優れた多結晶IZO膜で構成されるため、露出端子部分の信頼性を十分確保できる。
【0114】
映像信号配線用端子DTM部分は、図27に示すように、まず、透明絶縁基板SUB1上にゲート絶縁膜GIが形成されたのち、映像信号配線用端子が形成される領域に映像信号配線DLの延在部が形成される。さらに、映像信号配線DLを覆って薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが順次積層され、表面保護膜PASに設けたスルーホールTHによって、映像信号配線DLの延在部が露出される。その上にパッド電極TCAPが、本発明のアモルファスIZO膜からなる第二の透明電極である画素電極PXAを形成した際と、同一材料,同一工程で形成される。このパッド電極TCAPも走査信号配線用端子GTMに形成されたパッド電極TCAPと同一の工程で選択的に結晶化し、多結晶化する。
【0115】
実施例5においては、図28に示すように具体的には(A)〜(F)の6段階のホトリソグラフィー工程とアモルファスIZO膜の選択結晶化工程を経てTFT基板SUB1が完成する。本工程は実施例二の工程の最後に本発明のアモルファスIZO膜からなるパッド電極パターンの選択結晶化の工程を付け加えた工程となっているため詳細な説明は省く。
(実施例6)
図29から図36を用いて、本発明の塗布型絶縁膜を適用した第六の実施例について説明する。
【0116】
本実施例において、前述の実施例と同一の構成要素については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0117】
図29から図36において、OILは本発明の塗布型絶縁膜からなる層間絶縁膜である。
【0118】
図29は、本発明の第一の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の断面図で、後述する図30に示した、A−A′で示した線に沿う断面図である。図30は本発明の第一の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の、単位画素の薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1の表面図を、図31は図30に示した、B−B′で示した線に沿う薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板SUB1の断面図を示す。
【0119】
第六の実施例においては、上下二層の透明導電膜からなる画素電極PXA,共通信号電極CEA間の層間絶縁膜は、ゲート絶縁膜GI,薄膜トランジスタの表面保護膜PAS、の二層の絶縁膜に加えて、塗布型絶縁膜OILで構成されている。
【0120】
本実施例によれば、二層の透明導電膜の間に塗布型絶縁膜OILを配置することにより、ゲート絶縁膜GI,薄膜トランジスタの表面保護膜PASの二層構成の場合よりもさらに層間絶縁膜の信頼性を向上することができる。上層の第二の透明電極を多結晶ITO膜とし、第二の透明電極からなる画素電極PXPをエッチング形成する際においても、共通信号配線CLA、および共通信号電極CEA,映像信号配線DLの溶解を防止する効果をさらに高めることができる。また、電極配線材料として、AlもしくはAl合金膜を用いた場合にはさらに効果的である。
【0121】
また、本実施例によれば、二層の透明導電膜の間に塗布型絶縁膜OILを配置することにより、塗布型絶縁膜OILより下層に配置されたパターンによって形成された段差を、塗布型絶縁膜OILが平坦化する。平坦化により、上層に配置された画素電極PXPが乗り越える段差を小さくできるため、段差乗越え部分における画素電極PXPの断線を防止することができる。
【0122】
図32に示すように、スルーホールTHは薄膜トランジスタの表面保護膜PAS、および塗布型絶縁膜OIL上を開口するように形成されている。画素電極PXAはスルーホールTHの段差を乗り越えて、薄膜トランジスタのソースドレイン電極となる映像信号電極SDの一方に接触し、電気的に接続されている。
【0123】
本実施例においては、図30に示すように共通信号電極CEAも画素電極PXAと同様にスリット状に加工している。共通信号電極CEAのパターンが画素電極PXAのスリット部の間隙に位置するように絶縁膜を挟んで交互に配置されており、かつ、共通信号配線CEAと、画素電極PXPはその一部において、重畳して容量を形成している。共通信号電極CEA、および画素電極PXPのスリット状に加工された電極幅、及び電極間幅は、例えばそれぞれ3μm幅とした。
【0124】
本実施例の構成をとることにより、共通信号電極CEAと画素電極PXP間の寄生容量を低減することができ、寄生容量による、信号遅延を低減することができる。
【0125】
本実施例において、電気回路、およびTFT基板のCFに対する固定は実施例1と同様のため、説明を省く。
【0126】
図35は本発明の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線GL用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図を示す。図36は、第六の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図を示す。
【0127】
走査信号配線用端子GTM部分は図32に示すように、まず、透明絶縁基板SUB1上の走査信号端子部分を形成する領域に、走査信号配線GLAの延在部、接続用のパッド電極TCAが形成される。接続用のパッド電極TCAは共通信号電極CEAを形成した際と同一の材料で、同一の工程で形成される。パッド電極TCAは、走査信号配線GLAの端部において、走査信号配線GLAを覆うようにして形成されている。さらに、これらパッド電極TCA、及び走査信号配線GLAを覆ってゲート絶縁膜GI、及び薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが順次積層され、これらゲート絶縁膜GI、及び表面保護膜PASに設けたスルーホールTHによって、パッド電極TCAの一部が露出される。その後、その上に塗布型絶縁膜OILが形成され、この塗布型絶縁膜OILに設けたスルーホールにより、パッド電極TCAの一部が露出される。その上にパッド電極TCPが画素電極PXPを形成した際と同一の材料で、同一の工程で形成され、走査信号配線用端子GTMを形成する。本実施例においても、走査信号配線用端子GTMの最表面は、耐湿性に優れたアモルファスのIZO膜で構成されるため、露出端子部分の信頼性を十分確保できる。また、スルーホールTH開口の際にはフッ素系のエッチングガスを用いたドライエッチング法を使用するが、スルーホール開口部はフッ素系のエッチングガスに対して耐エッチング性に優れたアモルファスのIZO膜を配置しているため、スルーホール開口の工程における信頼性を十分に確保できる。
【0128】
映像信号配線用端子DTM部分は図33に示すように、まず、透明絶縁基板SUB1上にゲート絶縁膜GIが形成されたのち、映像信号配線用端子が形成される領域に映像信号配線DLの延在部が形成される。その後、薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASが形成され、映像信号配線用端子DTMが形成される領域のうち、後の工程で作製する、パッド電極TCPが形成される領域の一部にスルーホールTHが開口される。薄膜トランジスタの表面保護膜PASの上には塗布型絶縁膜OILが形成され、映像信号配線用端子DTMが形成される領域のうち、後の工程で作製する、パッド電極TCPが形成される領域の一部にスルーホールTHが開口される。
【0129】
さらに前述した画素電極PXPを形成する際に使用する材料を用いて、同一工程でパッド電極TCPが形成される。このパッド電極TCPはスルーホールTHを介して、映像信号配線DLと電気的に接続される。本構造を採用することにより、映像信号配線用端子DTMも走査信号配線用端子GTMと同様に、耐湿性,耐薬品性,腐食性に優れる透明導電膜材料で構成されるため、露出端子部分の信頼性を十分確保できる。
【0130】
次に第六の実施例において、TFT基板の各製造工程ごとの要部断面図を用いて、形成方法の具体例を図34から図36を用いて説明する。
【0131】
図34は本発明の第六の実施例の構成を実現するためのプロセスフローを示す図である。図35は図34のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、前記図30におけるA−A′で示した線に沿う断面図であり、図36は図34のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、前記図30におけるB−B′で示した線に沿う断面図である。
【0132】
実施例六においては、具体的には(A)〜(G)の、7段階のホトリソグラフィー工程を経てTFT基板SUB1が完成する。以下、工程順に説明する。
工程(A)
透明絶縁基板SUB1を用意し、その表面全域に、例えばスパッタリング法によって、AlもしくはAl合金膜を100〜500nm、好ましくは150〜350nm、高融点金属もしくは高融点金属の合金膜をを5〜200nm、好ましくは10〜100nmを連続形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、該Al、もしくはAl合金膜、および高融点金属、もしくは高融点金属の合金膜を一括で自己整合的に選択エッチングし、画素領域内には走査信号電極GE,配線GLA、及び共通信号配線CLAを、また、走査信号配線用端子GTM形成領域には、走査信号配線GLAの延在部を形成する。
工程(B)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、下層の透明導電膜となるアモルファスIZO膜を50〜300nm、好ましくは50〜150nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、アモルファスIZO膜をエッチングし、画素領域内にはスリット状に加工された共通信号電極CEAを、また、走査信号配線用端子GTM形成領域、および共通信号配線用端子CTM形成領域には、走査信号配線用端子GTM用および、共通信号配線用端子CTM用のパッド電極TCAをそれぞれ形成する。
工程(C)
透明絶縁基板SUB1表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、ゲート絶縁膜GIとなる窒化シリコン膜を200〜700nm程度、好ましくは300〜500nmの膜厚で形成する。さらに、このゲート絶縁膜GIの表面全域に、例えばプラズマCVD法によって、アモルファスシリコン膜を50〜300nm、好ましくは100〜200nmの膜厚で、及びn型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜を10〜100nm、好ましくは20〜60nmの膜厚で順次積層する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、アモルファスシリコン膜をエッチングし、画素領域内に薄膜トランジスタTFTの半導体層SIを形成する。
工程(D)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、Cr膜を100〜500nm、好ましくは150〜350nm形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、Cr膜をエッチングし、画素領域内には、薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極となる映像信号電極SD、及び映像信号電極SDの延在部である映像信号配線DLを、また、映像信号配線用端子DTM形成領域には、映像信号配線DLの延在部を形成する。その後、Cr膜をエッチングしたパターンをマスクとして、n型不純物としてリンをドーピングしたアモルファスシリコン膜をエッチングする。
工程(E)
透明絶縁基板SUB1の表面の全域に、例えばプラズマCVD法によって、薄膜トランジスタTFTの表面保護膜PASとなる窒化シリコン膜を200nm〜900nm、好ましくは300〜500nmの膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、表面保護膜PASをエッチングし、画素領域内に、該薄膜トランジスタTFTのドレイン電極の一部を露出するためのスルーホールTHを形成する。これとともに、走査信号配線、および共通信号配線用端子GTM,CTM形成領域には、表面保護膜PASの下層に位置するゲート絶縁膜GIにまで、スルーホールTHを貫通させて、走査信号配線、および共通信号配線用端子GTM,CTM用のパッド電極TCAの一部を露出させるためのスルーホールTHを、映像信号配線用端子DTM形成領域には映像信号配線DLの延在部を露出するためのスルーホールTHを形成する。
工程(F)
透明絶縁基板SUB1の表面の全域に、例えばスピンコート法によって、ポリイミド系,アクリル系ポリマー,エポキシ系ポリマー,ベンジシクロブテン系ポリマー等の種々の有機系の樹脂、もしくは有機溶媒に可溶なSiを含む無機ポリマー、例えば、SOG膜等の絶縁膜からなる塗布型絶縁膜OIL1を200nm〜4μm、好ましくは200nm〜1.5μm の膜厚で形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、走査信号配線,共通信号配線、および映像信号配線用端子部GTM,CTM,DTM、および、画素電極PXPとソースドレイン電極SDを接続する部分にスルーホールTHを開口する。
工程(G)
透明絶縁基板SUB1の表面全域に、例えばスパッタリング法によって、上層の透明導電膜となる多結晶ITO膜を50〜300nm、好ましくは50〜150nm形成する。次に、ホトリソグラフィー技術を用いて、多結晶ITO膜をエッチングし、画素領域内には、スルーホールTHを介して、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極と接続された画素電極PXPを形成するとともに、走査信号配線用端子GTM形成領域には接続用のパッド電極TCPを、映像信号配線用端子DTM形成領域には、接続用のパッド電極TCAを形成する。
【0133】
以上に示した工程により、TFT基板側が完成する。
【0134】
本実施例において、塗布型絶縁膜としては、例えばスピンコート法によって、ポリイミド系,アクリル系ポリマー,エポキシ系ポリマー,ベンジシクロブテン系ポリマー等の種々の有機系の樹脂、もしくは有機溶媒に可溶なSiを含む無機ポリマー、例えば、SOG膜等を使用したが、すべての場合において、上述した効果が得られた。
【0135】
本実施例において、塗布型絶縁膜とゲート絶縁膜GI,保護膜PASのスルーホールTH形成は別のホトリソグラフィー工程を用いて実施したが、塗布型絶縁膜のスルーホールTH形成後に、塗布型絶縁膜のスルーホールパターンをマスクとして、ゲート絶縁膜GI,保護膜PASのスルーホールを自己整合的に形成してもよい。この場合、ゲート絶縁膜GI,保護膜PASのスルーホール形成のためのホトリソグラフィー工程を省略することができ、プロセスの簡略化を図ることができる。
(実施例7)
図37を用いて本発明の第七の実施例について説明する。
【0136】
本実施例において、前述の実施例と同様の構成要素,材料については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0137】
本実施例では実施例一の画素電極PXAに屈曲部を設けた実施例を示す。本実施例は、上述した実施例一を、いわゆるマルチドメイン方式の液晶表示装置に適用したものである。ここで、マルチドメイン方式とは、液晶の広がり方向に発生する電界(横電界)において、各画素領域内に横電界の方向が異なる領域を形成するようにし、各領域の液晶分子のねじれ方向を逆にする(図37中のLC1,LC2)ことにより、例えば、表示領域を左右からそれぞれ見た場合に生じる着色差を、相殺させる効果を付与したものである。具体的には、図37において、一方向に延在し、それと交差する方向に併設させた帯状の各画素電極PXAを、前記一方向に対して角度θ(P型液晶で、配向膜ORI1のラビング方向を映像信号配線DLの方向と位置づけた場合、5〜40°の範囲が適当)に傾けて延在された後に、角度(−2θ)に屈曲させて延在させることを繰り返してジグザグ状に形成し、共通信号電極CEAに、絶縁膜を介して上層に、上述した構成の画素電極PXAが重畳するように配置させるだけで、前述したマルチドメイン方式の効果を奏することができる。そして、特に、画素電極PXAの屈曲部の近傍において共通信号電極CEAとの間に発生する電界は、画素電極PXAの他の部分において共通信号電極CEAとの間に発生する電界と、まったく同様に発生することが確かめられており、画素電極PXAの屈曲部の近傍において、光透過率の低下というような不具合を生じない効果を奏する。(従来は、いわゆるディスクリネーション領域と称され、液晶分子のねじれの方向がランダムになって不透過部分が発生していた。)なお、本実施例においては、画素電極PXAは、図37中のy方向に延在させて形成しているが、図中のx方向に延在させるようにして、これに対して屈曲部を設けて、マルチドメインの効果を得る様にしてもよい。
【0138】
このようなマルチドメイン方式においても本発明の透明電極構成を適用することにより、前記した所望の効果が得られることは言うまでもない。
【0139】
上述したすべての実施例において、本発明の透明電極構成材料として、アモルファスIZO膜を用いた例を説明したが、アモルファスIZO膜に替わって、アモルファスの酸化インジウムゲルマニウム、またはアモルファスのIZO膜、もしくはアモルファス酸化インジウムゲルマニウムを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜であれば同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0140】
実施例一から実施例七に記載したAl合金膜とはAlの他にSi,Cu,Ti,Ta,Mo,Cr,Ni,Y,La,Nd,Gd,Tb,Pd,Zr,WまたはDyのうち少なくとも一種を含む金属膜である。
【0141】
実施例一から実施例七に記載した高融点金属膜は、Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta、もしくはWのいずれかで、高融点金属の合金膜は前記高融点金属膜の組み合わせからなる合金膜で、高融点金属のシリサイド膜は前記高融点金属膜とSiの金属間化合物のことである。
【0142】
実施例一から実施例七に記載のAl、もしくはAl合金膜と高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜からなる積層膜で構成される電極、もしくは配線に替わって、高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜からなる単層膜、あるいはこれらの積層膜で構成しても同様の効果が得られる。
【0143】
実施例一から実施例七に記載の映像信号配線DL、及び共通信号配線CLCを構成する一例としてCrを使用しているが、Cr以外にも例えば、スパッタリング、または蒸着法等で形成されたTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta、もしくはW等の高融点金属、これらの合金膜またはこれら高融点金属シリサイド膜、または低抵抗配線材料であるAl,Al合金、またはこれらの材料からなる積層膜で構成されても構わない。
【0144】
上記の全ての実施例において、本発明の透明導電膜構成を、逆スタガ型のTFTをスィッチング素子に用いた液晶表示装置に適用した例を説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えば正スタガ型のTFT、あるいはコプレナー型のTFT等、異なる構造のTFTを用いた場合も適用可能である。
【0145】
上記の全ての実施例において、上下二層の透明電極の役割については実施例毎にいずれかの場合しか示していないが、一方が共通信号電極で他方が画素電極で、かつ共通信号電極,画素電極のうちより下層に配置された透明電極が、本発明のアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウム、またはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜であれば本発明の効果は変らないことはいうまでもない。
【0146】
上記のすべての実施例において、上層に配置された透明電極の材料は特に規定しない。例えば、下層に配置された本発明のアモルファスの酸化インジウム亜鉛、酸化インジウムゲルマニウム、もしくはそれらを主成分とする酸化物透明導電膜と同一材料で構成してもよいし、多結晶ITO膜で構成してもよい。その場合、上記実施例で述べたようにそれぞれに付随した効果を得ることができる。
【0147】
上記の全ての実施例において、半導体,不純物をドープしたシリコン膜からなる電極NSIを構成するシリコン膜としてはアモルファスシリコン膜を使用しているが、例えば、アモルファスシリコン膜を熱処理、またはレーザーアニール処理して結晶化した多結晶シリコン膜を用いてもよい。
【0148】
上記の全ての実施例において、ゲート絶縁膜,保護絶縁膜は、例えばプラズマCVD、またはスパッタリング法等で形成された窒化シリコン膜を使用しているが、例えば、酸化シリコン膜等の絶縁膜で構成しても構わない。
【0149】
上記の全ての実施例において、共通信号配線は走査信号配線、もしくは映像信号配線のいずれか一方と同一材料,同一工程で形成しているが、共通信号配線のみを形成するプロセスを新たに追加しても構わない。
【0150】
実施例六に示した、塗布型絶縁膜の適用例は、実施例一から実施例五,実施例七においても同様に塗布型絶縁膜を適用することにより本発明の効果が得られることは言うまでもない。
【0151】
実施例六に示した共通信号電極のくし歯状、もしくはスリット状の加工形状を実施例一から実施例五,実施例七に適用した場合においても本発明の効果が得られることは言うまでもない。
【0152】
実施例七に示したマルチドメイン方式の適用例として、実施例一の構成を例にとり上層の透明電極に屈曲部を設けた構成を示したが、実施例二から実施例六においても同様に、上層透明電極に屈曲部分を設けることにより、それぞれに示した本発明の透明電極構成による効果に加えて、マルチドメインの効果が付与されることは言うまでもない。
【0153】
このような実施例の構成によれば、
(1)下層に配置した第一の透明電極上の絶縁膜の信頼性向上
(2)上層に配置した第二の透明電極の断線低減
(3)下層に配置した第一の透明電極と同一平面上に絶縁膜を介さずに配置され、
第一の透明電極と直接接続された配線,電極の溶解防止
(4)上記(3)の接続部分に生じた段差部分を乗り越える際の第一の透明電極の断線低減
が可能となる。
【0154】
【発明の効果】
高透過率で高性能な液晶表示装置を、歩留まりよく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の断面図で、後述する図2に示した、A−A′で示した線に沿う断面図。
【図2】本発明の第一の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の単位画素の薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板側の表面図。
【図3】図2に示した、B−B′で示した線に沿う薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板側の断面図。
【図4】本発明の第一の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の電気回路を示す概略図。
【図5】本発明の第一の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の基板端部の断面模式図。
【図6】本発明の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図7】第一の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図8】本発明の第一の実施例の構成を実現するためのプロセスフローを示す図。
【図9】図8のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、図2におけるA−A′で示した線に沿う断面図。
【図10】図8のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、図2におけるB−B′で示した線に沿う断面図。
【図11】本発明の第二の実施例を示す断面図で、後述する図12に示した、A−A′で示した線に沿う、対向基板を含む断面図。
【図12】本発明の第二の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の、単位画素のTFT基板側の表面図。
【図13】本発明の第二の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の電気回路を示す概略図。
【図14】本発明の第二の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図15】本発明の第二の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図16】本発明の第二の実施例の構成を実現するためのプロセスフローを示す図。
【図17】図16のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の図12におけるA−A′で示した線に沿う断面図。
【図18】本発明の第三の実施例を示す断面図で、後述する図19に示した、A−A′で示した線に沿う、対向基板を含む断面図。
【図19】本発明の第三の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の、単位画素のTFT基板側の表面図。
【図20】本発明の第三の実施例にかかる図20に示した、B−B′で示した線に沿うTFT基板側の断面図。
【図21】本発明の第三の実施例の構成を実現するためのプロセスフローを示す図。
【図22】図21のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、図18におけるA−A′で示した線に沿う断面図。
【図23】図21のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、図18におけるB−B′で示した線に沿う断面図。
【図24】本発明の第四の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図25】本発明の第四の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図26】本発明の第五の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図27】本発明の第五の実施例であるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図28】本発明の第五の実施例の構成を実現するためのプロセスフローを示す図。
【図29】本発明の第六の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の断面図で、後述する図30に示した、A−A′で示した線に沿う断面図。
【図30】本発明の第六の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の単位画素の薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板側の表面図。
【図31】図30に示した、B−B′で示した線に沿う薄膜トランジスタが配置される側の透明絶縁基板側の断面図。
【図32】本発明の第六の実施例に係る、アクティブマトリックス型液晶表示装置の、走査信号配線用端子GTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図33】本発明の第六の実施例にかかるアクティブマトリックス型液晶表示装置の、映像信号配線用端子DTM部分の要部平面図(a)と、(b)A−A′で示した線に沿う断面図。
【図34】本発明の第六の実施例の構成を実現するためのプロセスフローを示す図。
【図35】図34のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、図30におけるA−A′で示した線に沿う断面図。
【図36】図34のプロセスフローに則ってTFT基板を作製した際の、図30におけるB−B′で示した線に沿う断面図。
【図37】本発明の第七の実施例を示すアクティブマトリックス型液晶表示装置の断面図。
【図38】アモルファスIZO膜の微細くし歯パターン加工時の観察例。
【図39】アモルファスIZO膜、およびアモルファスITO膜のX線回折スペクトルの測定例。
【図40】アモルファスIZO膜、およびアモルファスITO膜のエッチング途中の膜表面のSEM写真観察例。
【図41】透明電極パターンが配線パターンを乗り越えて配置された場合の平面摸式図。
【図42】塗布型絶縁膜の効果の検証のための構成図である。
【符号の説明】
SUB1…TFTが配置される側の透明絶縁基板、TFT…画素のスイッチング素子である薄膜トランジスタ、CLA…AlもしくはAl合金膜の単層膜、もしくはAlもしくはAl合金膜と高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜の積層構成からなる共通信号配線、CLC…CrもしくはCr合金膜からなる共通信号配線、CEA…アモルファス酸化インジウム亜鉛,アモルファス酸化インジウムゲルマニウム、もしくはこれらを主成分とする酸化物透明導電膜からなる共通信号電極、GEA…AlもしくはAl合金膜の単層膜、もしくはAlもしくはAl合金膜と高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜の積層構成からなる走査信号電極、GLA…AlもしくはAl合金膜の単層膜、もしくはAlもしくはAl合金膜と高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜の積層構成からなる走査信号配線、PXA…アモルファス酸化インジウム亜鉛,アモルファス酸化インジウムゲルマニウム、もしくはこれらを主成分とする酸化物透明導電膜からなる画素電極、PXP…多結晶ITO膜からなる画素電極、SI…半導体層、SD…薄膜トランジスタTFTのソースドレイン電極となる映像信号電極、DL…映像信号配線、GI…薄膜トランジスタのゲート絶縁膜、PAS…薄膜トランジスタの表面保護膜、NSI…コンタクトを保証するためにリン等の不純物をドープしたシリコン膜からなる電極、TH…スルーホール、OIL…塗布型絶縁膜、BM…遮光パターン、CF…カラーフィルタ、SUB2…カラーフィルタCF側の透明絶縁基板、ORI1,2…配向膜、LC…液晶層、POL1,2…偏光板、GTM…走査信号配線用端子、DTM…映像信号配線用端子、CTM…共通信号配線用端子、CB…共通信号配線のバス配線、SL…シール材、TCA…アモルファス酸化インジウム亜鉛,アモルファス酸化インジウムゲルマニウム、もしくはこれらを主成分とする酸化物透明導電膜からなるパッド電極、TCP…多結晶ITO膜からなるパッド電極、TCAP…アモルファス酸化インジウム亜鉛,アモルファス酸化インジウムゲルマニウム、もしくはこれらを主成分とする酸化物透明導電膜を選択的に結晶化することにより多結晶化した膜からなるパッド電極、TCC…Al膜もしくはAl合金膜からなる配線と酸化物透明導電膜との接続部分で、電気的な接続を補償するパッド電極。

Claims (26)

  1. 一対の基板と、
    この基板に挟持された液晶層と、
    前記一対の基板の第一の基板には、複数の走査信号配線とそれらにマトリックス状に交差する複数の映像信号配線と、これらの配線のそれぞれの交点に対応して形成された複数の薄膜トランジスタとを有し、
    前記複数の走査信号配線および、前記映像信号配線で囲まれるそれぞれの領域に対応して少なくとも一つの画素が構成され、
    それぞれの画素には複数の画素にわたって接続された共通信号電極と、
    対応する薄膜トランジスタに接続された画素電極とを有し、
    前記共通信号電極と前記画素電極とはその一部において、層間絶縁膜を介して重ね合わさり、
    前記共通信号電極と前記画素電極に印加される電圧により前記液晶層に電界を形成し、
    記第一の基板に近い側に前記共通信号電極を配置し、前記共通信号電極の少なくとも一部に第一の透明電極を構成し、かつ前記液晶層に近い側に前記画素電極を配置し、前記画素電極の少なくとも一部に第二の透明電極を構成し、
    前記画素電極がスリット状、もしくは櫛歯状に加工されている液晶表示装置であって、
    複数の画素にわたって前記共通信号電極を接続し金属材料を用いた共通信号配線前記共通信号電極が少なくとも一部で積層し、前記共通信号配線が前記共通信号電極に対して前記第一の基板に近い側に配置された構成において、
    前記共通信号電極がアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウム、またはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜であることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 請求項1に記載の液晶表示装置において、
    前記共通信号線が高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜からなる単層膜で形成された電極、もしくは配線であることを特徴とする液晶表示装置。
  3. 請求項1に記載の液晶表示装置において、
    前記共通信号線の少なくとも一部が二層以上の異なる金属膜、もしくは合金膜からなる積層膜で形成された配線であり、前記二層以上の積層膜のうち、最も液晶層に近い側の金属膜が高融点金属,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜からなる第二の導電膜であり、少なくとも前記第二の導電膜が配置された領域の一部で前記共通信号電極と前記共通信号線が接続されていることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 請求項3に記載の液晶表示装置において、
    前記二層以上の金属膜のうち前記第二の導電膜以外の導電膜のうちの少なくとも一層以上がAlもしくはAl合金膜であることを特徴とする液晶表示装置。
  5. 請求項3に記載の液晶表示装置において、
    前記共通信号線を形成する多層膜を自己整合的にエッチングすることにより前記共通信号線を形成したことを特徴とする液晶表示装置。
  6. 一対の基板と、
    この基板に挟持された液晶層と、
    前記一対の基板の第一の基板には、複数の走査信号配線とそれらにマトリックス状に交差する複数の映像信号配線と、これらの配線のそれぞれの交点に対応して形成された複数の薄膜トランジスタとを有し、
    前記複数の走査信号配線および、前記映像信号配線で囲まれるそれぞれの領域に対応して少なくとも一つの画素が構成され、
    それぞれの画素には複数の画素にわたって接続された共通信号電極と、
    対応する薄膜トランジスタに接続された画素電極とを有し、
    前記共通信号電極と前記画素電極とはその一部において、層間絶縁膜を介して重ね合わさり、
    前記共通信号電極と前記画素電極に印加される電圧により前記液晶層に電界を形成し、
    記第一の基板に近い側に前記共通信号電極を配置し、前記共通信号電極の少なくとも一部に第一の透明電極を構成し、かつ前記液晶層に近い側に前記画素電極を配置し、前記画素電極の少なくとも一部に第二の透明電極を構成し、
    前記画素電極がスリット状、もしくは櫛歯状に加工されている液晶表示装置であって、
    AlもしくはAl合金膜で形成され、AlもしくはAl合金膜の最表面の少なくとも一部にAl酸化膜が形成された第一の導電膜と、前記第一の導電膜の少なくともAl酸化物が形成されていない領域の一部に配置され、前記第一の導電膜と接続された、高融点金属膜,高融点金属の合金膜、もしくは高融点金属のシリサイド膜からなる第二の導電膜、の少なくとも2種類の導電膜を用いて形成された共通信号配線と、
    前記共通信号電極とが、
    少なくとも前記高融点金属膜、前記高融点金属の合金膜、もしくは前記融点金属のシリサイド膜の合金膜が配置された領域の一部で積層することにより前記高融点金属膜、前記高融点金属の合金膜、もしくは前記融点金属のシリサイド膜の合金膜と接続され、
    前記共通信号線が前記共通信号電極に対して前記第一の基板に近い側に配置された構成において、
    前記共通信号電極がアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜であることを特徴とする液晶表示装置。
  7. 請求項2,3、もしくは6に記載の液晶表示装置において、
    前記高融点金属膜がTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta、もしくはWのいずれかであり、前記高融点金属の合金膜が前記高融点金属膜の合金膜であり、前記高融点金属のシリサイド膜が前記高融点金属とSiとの金属間化合物であることを特徴とする液晶表示装置。
  8. 一対の基板と、
    この基板に挟持された液晶層と、
    前記一対の基板の第一の基板には、複数の走査信号配線とそれらにマトリックス状に交差する複数の映像信号配線と、これらの配線のそれぞれの交点に対応して形成された複数の薄膜トランジスタとを有し、
    前記複数の走査信号配線および、前記映像信号配線で囲まれるそれぞれの領域に対応して少なくとも一つの画素が構成され、
    それぞれの画素には複数の画素にわたって接続された共通信号電極と、
    対応する薄膜トランジスタに接続された画素電極とを有し、
    前記共通信号電極と前記画素電極とはその一部において、層間絶縁膜を介して重ね合わさり、
    前記共通信号電極と前記画素電極に印加される電圧により前記液晶層に電界を形成し、
    記第一の基板に近い側に前記共通信号電極を配置し、前記共通信号電極の少なくとも一部に第一の透明電極を構成し、かつ前記液晶層に近い側に前記画素電極を配置し、前記画素電極の少なくとも一部に第二の透明電極を構成し、
    前記画素電極がスリット状、もしくは櫛歯状に加工されている液晶表示装置であって、
    前記共通信号電極がアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウム、またはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜であることを特徴とする液晶表示装置。
  9. 一対の基板と、
    この基板に挟持された液晶層と、
    前記一対の基板の第一の基板には、複数の走査信号配線とそれらにマトリックス状に交差する複数の映像信号配線と、これらの配線のそれぞれの交点に対応して形成された複数の薄膜トランジスタとを有し、
    前記複数の走査信号配線および、前記映像信号配線で囲まれるそれぞれの領域に対応して少なくとも一つの画素が構成され、
    それぞれの画素には複数の画素にわたって接続された共通信号電極と、
    対応する薄膜トランジスタに接続された画素電極とを有し、
    前記共通信号電極と前記画素電極とはその一部において、層間絶縁膜を介して重ね合わさり、
    前記共通信号電極と前記画素電極に印加される電圧により前記液晶層に電界を形成し、
    記第一の基板に近い側に前記共通信号電極を配置し、前記共通信号電極の少なくとも一部に第一の透明電極を構成し、かつ前記液晶層に近い側に前記画素電極を配置し、前記画素電極の少なくとも一部に第二の透明電極を構成し、
    前記画素電極がスリット状、もしくは櫛歯状に加工されている液晶表示装置であって、
    前記共通信号電極はアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜であり、
    前記共通信号電極に対してより第一の基板に近い側に配置され、前記共通信号電極と絶縁膜を介さずに直接接続された共通信号配線を走査信号配線と同一工程,同一材料で形成したことを特徴とする液晶表示装置。
  10. 一対の基板と、
    この基板に挟持された液晶層と、
    前記一対の基板の第一の基板には、複数の走査信号配線とそれらにマトリックス状に交差する複数の映像信号配線と、これらの配線のそれぞれの交点に対応して形成された複数の薄膜トランジスタとを有し、
    前記複数の走査信号配線および、前記映像信号配線で囲まれるそれぞれの領域に対応して少なくとも一つの画素が構成され、
    それぞれの画素には複数の画素にわたって接続された共通信号電極と、
    対応する薄膜トランジスタに接続された画素電極とを有し、
    前記共通信号電極と前記画素電極とはその一部において、層間絶縁膜を介して重ね合わさり、
    前記共通信号電極と前記画素電極に印加される電圧により前記液晶層に電界を形成し、
    記第一の基板に近い側に前記共通信号電極を配置し、前記共通信号電極の少なくとも一部に第一の透明電極を構成し、かつ前記液晶層に近い側に前記画素電極を配置し、前記画素電極の少なくとも一部に第二の透明電極を構成し、
    前記画素電極がスリット状、もしくは櫛歯状に加工されている液晶表示装置であって、
    前記共通信号電極アモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜とし、
    前記共通信号電極に対してより第一の基板に近い側に配置され、前記共通信号電極と絶縁膜を介さずに直接接続された共通信号配線を映像信号配線と同一工程,同一材料で形成したことを特徴とする液晶表示装置。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の液晶表示装置において、
    前記共通信号電極と前記画素電極との間に配置された絶縁膜のうちの少なくとも一部に、印刷,スピンコート等で形成される材料で、より具体的には、有機系の樹脂絶縁膜、もしくはSiを含む塗布型の絶縁膜が配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
  12. 請求項11に記載の液晶表示装置において、
    前記共通信号電極と前記画素電極に配置された絶縁膜が、前記塗布型絶縁膜の他に、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜の機能を有する絶縁膜、もしくは薄膜トランジスタの表面保護膜のうちの少なくともいずれかを含む積層構成であることを特徴とする液晶表示装置。
  13. 請求項11、もしくは12に記載の液晶表示装置において、
    前記塗布型絶縁膜が、フォトイメージ形成型であることを特徴とする液晶表示装置。
  14. 請求項12に記載の液晶表示装置において、前記共通信号電極と前記画素電極に配置された絶縁膜を塗布型絶縁膜のパターン形状を用いて一括で自己整合的に加工することによりスルーホールを開口したことを特徴とする液晶表示装置。
  15. 請求項11から14のいずれかに記載の液晶表示装置において、
    前記塗布型絶縁膜の膜厚が0.2μm〜4.0μm、より望ましくは0.2〜2.0μmであることを特徴とする液晶表示装置。
  16. 請求項1から15のいずれかに記載の液晶表示装置において、
    前記画素電極をアモルファスの酸化インジウム亜鉛,アモルファスの酸化インジウムゲルマニウムまたはこれらを主成分とするアモルファスの酸化物透明導電膜であることを特徴とする液晶表示装置。
  17. 請求項1から16のいずれかに記載の液晶表示装置において、
    前記走査信号配線、前記映像信号配線、前記共通信号配線のうちの少なくともいずれかの外部駆動回路と接続される端子部分の露出部、または露出部の最表面の一部が前記走査信号配線、前記映像信号配線、前記共通信号電極のうちの少なくともいずれかと同一材料,同一工程で形成した金属膜,合金膜もしくはこれらの積層膜からなる第一の端子引き出し用パッド電極であることを特徴とする液晶表示装置。
  18. 請求項1から17のいずれかに記載の液晶表示装置において、
    前記走査信号配線、前記映像信号配線、前記共通信号配線のうちの少なくともいずれかの外部駆動回路と接続される端子部分の露出部、または露出部の最表面の一部が前記走査信号配線、前記映像信号配線、前記共通信号配線のうちの少なくともいずれかと同一材料,同一工程で形成した金属膜,合金膜、もしくはこれらの積層膜からなる第一の端子引き出し用パッド電極と、前記第一の端子引き出し用パッド電極上に、前記共通信号電極、もしくは前記画素電極と同一工程,同一材料で形成された第二の端子引き出し用パッド電極を積層した構成であることを特徴とする液晶表示装置。
  19. 請求項18に記載の液晶表示装置において、
    前記端子部分に配置された透明電極からなる前記第二の端子引き出し用パッド電極をアモルファスの透明導電膜で形成し、選択的に結晶化することにより多結晶透明導電膜としたことを特徴とする液晶表示装置。
  20. 請求項18に記載の液晶表示装置において、
    前記画素電極を多結晶の透明導電膜で形成し、前記走査信号配線、前記映像信号配線、前記共通信号配線のうちの少なくともいずれかの外部駆動回路と接続される端子部分の露出部、または露出部の最表面の一部が前記画素電極を形成する際の材料、および工程で形成される第三の端子引き出し用パッド電極であることを特徴とする液晶表示装置。
  21. 請求項20に記載の液晶表示装置において、
    前記多結晶透明導電膜からなる第三の端子引き出し用パッド電極と、前記走査信号配線、前記映像信号配線、前記共通信号配線のうち少なくともいずれかとを接続する際に、前記第三の端子引き出し用パッド電極と前記第二の端子引き出し用パッド電極とを接続し、前記第二の端子引き出し用パッド電極と前記走査信号配線、前記映像信号配線、前記共通信号配線の少なくともいずれかの延在部分とを接続したことを特徴とする液晶表示装置。
  22. 請求項1から21のいずれかに記載の液晶表示装置において、
    前記酸化物透明導電膜に含まれる亜鉛、もしくはゲルマニウムの添加量がインジウムに対して3〜30at%の範囲にあることを特徴とする液晶表示装置。
  23. 請求項1から22のいずれかに記載の液晶表示装置において、
    前記酸化物透明導電膜のパターン端部のテーパー角が10〜80°、より望ましくは
    30〜60°の範囲にあることを特徴とする液晶表示装置。
  24. 請求項1から23のいずれかに記載の液晶表示装置において、
    前記アモルファスの酸化物透明導電膜として酸化インジウム亜鉛を使用し、かつ酸化インジウム亜鉛の膜厚を50〜150nmとしたことを特徴とする液晶表示装置。
  25. 請求項1から24に記載の液晶表示装置において、
    前記共通信号電極が櫛歯状、もしくはスリット状に加工されたことを特徴とする液晶表示装置。
  26. 請求項1から25に記載の液晶表示装置において、
    前記共通信号電極と前記画素電極の間に配置された絶縁膜のうちの少なくとも一部が窒化シリコン膜であることを特徴とする液晶表示装置。
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