JP3952619B2 - 高屈折率材料およびそれを用いた反射防止用積層体 - Google Patents

高屈折率材料およびそれを用いた反射防止用積層体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高屈折率材料およびそれを用いた反射防止用積層体に関する。より詳細には、保存安定性に優れた高屈折率材料およびそれを用いた反射防止性に優れた反射防止用積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止膜の形成材料として、例えば、熱硬化型ポリシロキサン組成物が知られており、特開昭61−247743号公報、特開平6−25599号公報、特開平7−331115号公報および特開平10−232301号公報等に開示されている。
しかしながら、かかる熱硬化型ポリシロキサン組成物から得られる反射防止膜は、高温で、長時間にわたって加熱処理をする必要があり、生産性が低かったり、あるいは適用基材の種類が限定されるという問題が見られた。また、かかる熱硬化型ポリシロキサン組成物は保存安定性に乏しいため、一般的に主剤と硬化剤とが分離した二液性タイプとしてあり、取り扱いが煩雑であるという問題が見られた。
【0003】
そこで、特開平8−94806号公報に開示されているように、基材上に、微粒子を高屈折率バインダー樹脂中に極在化させた高屈折率膜(屈折率=1.6以上)と、フッ素系共重合体からなる低屈折率膜(屈折率=1.6未満)とを順次に積層した光学機能性フィルムが提案されている。
より具体的には、高屈折率膜を形成するのに、200nm以下の金属酸化物粒子等の微粒子層を工程紙上に予め形成しておき、それを基材上の高屈折率バインダー樹脂に対して圧接することにより、高屈折率バインダー樹脂中に微粒子層を埋設して、極在化させている。
また、低屈折率膜については、フッ化ビニリデン30〜90重量%およびヘキサフルオロプロピレン5〜50重量%を含有するモノマー組成物が共重合されてなるフッ素含有割合が60〜70重量%であるフッ素含有共重合体100重量部と、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物30〜150重量部と、これらの合計量を100重量部としたときに、0.5〜10重量部の重合開始剤とからなる樹脂組成物を硬化して、膜厚200nm以下の薄膜としている。
【0004】
しかしながら、特開平8−94806号公報に開示された光学機能性フィルムは、低屈折率材料において重合開始剤を用いているため、硬化反応が周囲に存在する酸素(空気)の影響を受けやすく、結果として硬化不良が生じやすいという問題点が見られた。
また、高屈折率膜に関しても、作る際の製造工程が複雑であり、結果として安定した光学機能性フィルムを作成することが困難であった。また、高屈折率材料において、使用する高分子体の種類や硬化剤の種類が適当でないために、高屈折率材料の保存安定性が乏しいという問題点が見られた。
さらに、特開平8−94806号公報に開示された光学機能性フィルムは、低屈折率膜と、高屈折率膜との相性が良好でなく、反射防止性が不十分であったり、あるいは容易に界面で剥離するという問題点が見られた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の発明者らは鋭意検討した結果、高屈折率材料において、特定の平均粒子径を有する金属酸化物粒子と、水酸基含有重合体と、水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤とを、所定の範囲内の添加量で混合することにより、上述した問題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、保存安定性に優れた高屈折率材料、およびそれを用いた優れた反射防止性を有する反射防止用積層体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高屈折率材料に関し、(1)平均粒子径が0.1μm以下の金属酸化物粒子100重量部と、(2)ポリビニルブチラール樹脂1〜70重量部と、(3)メラミン化合物1〜70重量部とから構成され、硬化後の屈折率が1.60以上であることを特徴とする。このように構成することにより、優れた保存安定性、例えば、室温(25℃)、30日間以上の保管においても、金属酸化物粒子の沈降がなく、しかも、保管時における水酸基含有重合体と硬化剤との反応を有効に防止することができる。また、このような高屈折率材料から形成された高屈折率膜は、低屈折率膜との相性が良好であり、優れた反射防止性や密着力を得ることができる。
【0007】
また、本発明の高屈折率材料を構成するにあたり、金属酸化物粒子が、酸化ジルコニウムであり、水酸基含有重合体がポリビニルブチラール樹脂であり、かつ、硬化剤がメラミン化合物であることが好ましい。
このように酸化ジルコニウムを用いることにより、比較的少量の添加で硬化後の屈折率の値を1.6以上の値に容易に調節することができ、しかも、酸化ジルコニウムは透明性が高い(着色性が少ない。)という利点がある。
また、ポリビニルブチラール樹脂を用いることにより、高屈折率材料を調製する際において、金属酸化物粒子の均一分散が容易となり、しかも、得られた反射防止用層において、基材および低屈折率膜に対する密着力や機械的特性を向上させることできる。
さらに、このようにメラミン化合物を用いることにより、高屈折率材料の保存安定性を向上させることができ、しかも、比較的低温、例えば、200℃以下での短時間硬化が可能となる。
【0008】
また、本発明の別の態様は、反射防止用積層体に関し、
(1)平均粒子径が0.1μm以下の金属酸化物粒子 100重量部
(2)水酸基含有重合体 1〜70重量部
(3)水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤 1〜70重量部
から構成された高屈折率材料を硬化してなる反射防止膜(高屈折率膜)を基材上に設け、かつ、当該反射防止膜の屈折率を1.60以上の値とすることを特徴とする。
このように構成した反射防止膜(高屈折率膜)を含むことにより、低屈折率膜と組み合わせた場合に、優れた反射防止性、例えば反射率として、1%以下の値を得ることができ、しかも、低屈折率膜との相性が良好であり、優れた密着力を得ることができる。
【0009】
また、本発明の反射防止用積層体を構成するにあたり、反射防止膜(高屈折率膜)上に、硬化性含フッ素共重合体から構成された低屈折率材料を硬化してなる低屈折率膜を設け、かつ、当該低屈折率膜の屈折率を1.60未満の値とすることが好ましい。
このように構成すると、高屈折率膜と、低屈折率膜との密着力がより良好となり、より優れた反射防止性、例えば1.0%以下の反射率を得ることができる。
なお、好ましい硬化性含フッ素共重合体の一例として、水酸基を有する含フッ素共重合体と、水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤とを含む硬化性組成物が挙げられる。
【0010】
また、本発明の反射防止用積層体を構成するにあたり、高屈折率膜と、低屈折率膜とが、同種の硬化剤により硬化してなるものであることが好ましい。すなわち、高屈折率材料と低屈折率材料とに、同種の硬化剤を含有することが好ましい。
このように構成すると、高屈折率膜と、低屈折率膜との相性がより良好となり、より優れた反射防止性や密着力を得ることができる。
なお、同種の硬化剤として、ヒドロキシルアルキル化アミノ基含有メラミン化合物やアルコキシアルキル化アミノ基含有メラミン化合物等のメラミン化合物が挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の高屈折率材料に関する実施の形態(第1の実施形態)および反射防止用積層体に関する実施の形態(第2および第3の実施形態)を具体的に説明する。
なお、第2の実施形態は、図1に示すように、基材上12に、高屈折率膜10と低屈折率膜14とを順次に含む反射防止用積層体16である。また、第3の実施形態は、図2に示すように、基材12と高屈折率膜20との間にハードコート層18を介在させた構成であり、すなわち、基材12上に、ハードコート層18と、高屈折率膜20と、低屈折率膜22とを順次に含む反射防止用積層体24である。
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、高屈折率材料に関し、
(1)平均粒子径が0.1μm以下の金属酸化物粒子 100重量部、
(2)水酸基含有重合体 1〜70重量部、
(3)水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤 1〜70重量部、
(4)硬化触媒 0.1〜30重量部、
(5)有機溶媒 100〜20000重量部、
から構成されており、かつ、硬化後の屈折率を1.60以上の値としてある。
【0013】
(1)金属酸化物粒子
まず、高屈折率材料に使用する金属酸化物粒子の数平均粒子径(凝集している場合には、一次粒子径)を0.1μm以下の値とする必要がある。この理由は、金属酸化物粒子の数平均粒子径が0.1μmを超えると、高屈折率材料において金属酸化物粒子を均一に分散させることが困難となり、また、金属酸化物粒子が沈降しやすくなり、保存安定性に欠けるためである。さらには、金属酸化物粒子の数平均粒子径が0.1μmを超えると、得られる反射防止膜の透明性が低下したり、濁度(Haze値)が上昇する場合があるためである。
したがって、金属酸化物粒子の数平均粒子径を0.01〜0.08μmの範囲内の値とするのがより好ましく、0.02〜0.05μmの範囲内の値とするのがより好ましい。
【0014】
また、金属酸化物粒子の種類は、屈折率の調整の容易さを考慮して決定することが好ましいが、より具体的には、酸化ジルコニウム(ZrO2、屈折率2.05)、酸化スズ(SnO2、屈折率2.00)、酸化チタン(TiO2、屈折率2.3〜2.7)、酸化亜鉛(ZnO、屈折率1.90)、酸化インジウムスズ(ITO、屈折率1.95)、酸化アンチモン(Sb25、屈折率1.71)、酸化セレン(SeO2、屈折率1.95)、酸化アルミニウム(Al23、屈折率1.63)、酸化イットリウム(Y23、屈折率1.87)等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
ただし、これらの金属酸化物粒子のうち、比較的少量の添加で硬化後の屈折率の値を1.6以上の値に容易に調節することができる点から、屈折率が2.0以上の金属酸化物粒子を使用することが好ましい。具体的には、酸化ジルコニウムや酸化チタンが該当するが、さらに、透明性が高く(着色性が少)、非導電性である点から、酸化ジルコニウムが最も好ましい。
【0015】
また、金属酸化物粒子の表面をカップリング剤処理することが好ましい。このようにカップリング剤処理することにより、金属酸化物粒子の分散性を向上させ、高屈折率材料の保存安定性をより向上させることができる。
ここで、カップリング剤処理において好ましいカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシチタン、γ−アミノプロピルトリエトキシアルミニウム等が挙げられる。
【0016】
(2)水酸基含有重合体
水酸基含有重合体としては、分子内に水酸基を有する重合体であれば、好適に使用することができる。より具体的には、ポリビニルアセタール樹脂(ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェノール系樹脂、フェノキシ樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
ただし、これらの水酸基含有重合体のうち、基材に対する密着力や機械的特性に優れており、しかも、金属酸化物粒子の均一分散が比較的容易な点から、ポリビニルブチラール樹脂(変性ポリビニルブチラール樹脂を含む。)が最も好ましい。また、ポリビニルブチラール樹脂のうちでも、平均重合度が1000以下であり、一分子中のポリビニルアルコール単位が18重量%以上であり、かつ、ガラス転移点が70℃以上の物性を有するものがより好ましい。
【0017】
また、水酸基含有重合体の添加量を、金属酸化物粒子100重量部に対して、1〜70重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、水酸基含有重合体の添加量が1重量部未満となると、得られる反射防止膜の基材に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、水酸基含有重合体の添加量が70重量部を超えると、相対的に金属酸化物粒子量が減少し、硬化後における反射防止膜の屈折率の調整が困難となる場合があるためである。
したがって、金属酸化物粒子100重量部に対し、水酸基含有重合体の添加量を3〜50重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、5〜30重量部の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0018】
(3)水酸基と反応し得る硬化剤
水酸基と反応し得る硬化剤としては、水酸基と反応し得る官能基を有するものであれば、好適に使用することができる。より具体的には、メラミン化合物、尿素化合物、グアナミン化合物、フェノール化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、多塩基酸等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
ただし、これらの硬化剤のうち、保存安定性に比較的優れている一方、比較的低温硬化が可能な点から、分子内にメチロール基およびアルコキシ化メチル基あるいはいずれか一方を2個以上有するメラミン化合物が最も好ましい。また、これらのメラミン化合物のうちでも、ヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン化合物、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン化合物、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン化合物、メチルエーテル化メチロールメラミン化合物、ブチルエーテル化メチロールメラミン化合物等のメチル化メラミン化合物がより好ましい。
【0019】
また、水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤の添加量を、金属酸化物粒子100重量部に対して、1〜70重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、硬化剤の添加量が1重量部未満となると、水酸基含有重合体の硬化が不充分となる場合があるためであり、一方、硬化剤の添加量が70重量部を超えると、高屈折率材料の保存安定性が低下する場合があるためである。
したがって、金属酸化物粒子100重量部に対し、硬化剤の添加量を5〜60重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、10〜40重量部の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0020】
(4)硬化触媒
また、高屈折率材料中に、硬化触媒を添加することが好ましい。このような硬化触媒としては、水酸基含有重合体と硬化剤との間の反応を促進するものであれば、好適に使用することができる。より具体的には、脂肪族スルホン酸、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸塩、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、金属塩、リン酸エステル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
ただし、これらの硬化触媒のうち、水酸基含有重合体に対するメチル化メラミン化合物等の硬化剤の硬化速度をより向上させることができる点から、芳香族スルホン酸が最も好ましい。
【0021】
また、硬化触媒の添加量についても特に制限されるものではないが、金属酸化物粒子100重量部に対し、当該硬化触媒の添加量を0.1〜30重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、硬化触媒の添加量が0.1重量部未満となると、硬化触媒の添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、硬化触媒の添加量が30重量部を超えると、高屈折率材料の保存安定性が低下する場合があるためである。
したがって、金属酸化物粒子100重量部に対し、硬化触媒の添加量を0.5〜20重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0022】
(5)有機溶媒
また、高屈折率材料中に、有機溶媒を添加することが好ましい。このように有機溶媒を添加することにより、薄膜の反射防止膜を均一に形成することができる。このような有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、t−ブタノール、イソプロパノール等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0023】
また、有機溶媒の添加量についても特に制限されるものではないが、金属酸化物粒子100重量部に対し、当該有機溶媒の添加量を100〜20000重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、有機溶媒の添加量が100重量部未満となると、高屈折率材料の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一方、有機溶媒の添加量が20000重量部を超えると、高屈折率材料の保存安定性が低下したり、あるいは粘度が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためである。
したがって、金属酸化物粒子100重量部に対し、有機溶媒の添加量を300〜10000重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、500〜5000重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0024】
(6)添加剤
高屈折率材料には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、ラジカル性光重合開始剤、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、無機充填剤、顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
【0025】
(7)屈折率
高屈折率材料の硬化膜形成後における屈折率(Na−D線の屈折率、測定温度25℃)、すなわち、高屈折率膜の屈折率を1.6以上の値とする必要がある。この理由は、高屈折率膜の屈折率が1.6未満となると、低屈折率膜と組み合わせた場合に、反射防止効果が著しく低下する場合があるためである。したがって、高屈折率膜の屈折率をより好ましくは1.6〜2.2の範囲内の値とすることであり、1.7〜2.2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。また、高屈折率材料の硬化後の屈折率が2.2を超えると、使用可能な材料の種類が過度に制限される場合がある。
なお、高屈折率膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していれば良く、したがって、その他の高屈折率膜は1.6未満の屈折率の値を有していても良い。
【0026】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、図1に示すように、基材上12に、高屈折率材料から得られた高屈折率膜10と、低屈折率材料から得られた低屈折率膜14とを順次に含む反射防止用積層体16である。この反射防止用積層体16においては、ハードコート層を設けておらず、高屈折率膜10がハードコート層の機能を担保している。したがって、反射防止用積層体16の構成がシンプルとなり、しかも反射防止用積層体16を精度良く形成することができる。以下、第2の実施形態について具体的に説明する。
【0027】
(1)高屈折率材料
第2の実施形態に使用する高屈折率材料およびそれから得られた高屈折率膜における屈折率の値等は、第1の実施形態の内容と同様である。したがって、ここでの具体的な説明は省略する。
【0028】
(2)低屈折率材料
また、低屈折率膜を形成するための低屈折率材料は、
▲1▼ 水酸基を有する含フッ素共重合体 100重量部、
▲2▼ 水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤 1〜70重量部、
▲3▼ 硬化触媒 0.1〜15重量部、
▲4▼ 有機溶媒 500〜10000重量部、
から構成されており、かつ、硬化後の屈折率を1.60未満の値としてある。
【0029】
▲1▼ 水酸基を有する含フッ素共重合体
水酸基を有する含フッ素共重合体としては、分子内に水酸基を有する含フッ素共重合体であれば、好適に使用することができる。より具体的には、フッ素原子を含有する単量体(a成分)と、水酸基またはエポキシ基を含有する単量体(b成分)とを共重合して得ることができる。また、必要に応じて、a成分およびb成分以外のエチレン性不飽和単量体(c成分)を添加することが好ましい。
【0030】
a成分であるフッ素原子を含有する単量体としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、(フルオロアルキル)ビニルエーテル、(フルオロアルコキシアルキル)ビニルエーテル、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、パーフルオロ(アルコキシビニルエーテル)、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、水酸基を有する含フッ素共重合体におけるa成分の配合量は特に制限されるものではないが、例えば、10〜99モル%の範囲内の値であることが好ましく、より好ましくは、15〜97モル%の範囲内の値である。
【0031】
また、b成分である水酸基またはエポキシ基を含有する単量体としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、水酸基を有する含フッ素共重合体におけるb成分の配合量は特に制限されるものではないが、例えば、1〜20モル%の範囲内の値であることが好ましく、より好ましくは、3〜15モル%の範囲内の値である。
【0032】
次に、水酸基を有する含フッ素共重合体の重合度について説明する。かかる重合度は、低屈折率膜の機械的強度や塗布性を考慮して定めることが好ましいが、例えば、固有粘度(N,N−ジメチルアセトアミド溶媒使用、測定温度25℃)を0.05〜2.0dl/gの範囲内の値とするのが好ましく、0.1〜1.5dl/gの範囲内の値とするのがより好ましい。このような範囲内の値とすることにより、低屈折率膜において、優れた機械的強度や塗布性を得ることができる。
なお、このような固有粘度にするための重合方法は特に制限されるものでなく、ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法等を採用することができる。
【0033】
▲2▼ 水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤
水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤としては、高屈折率材料における硬化剤と同様の硬化剤が使用可能である。例えば、分子内にメチロール基およびアルコキシ化メチル基あるいはいずれか一方を2個以上有するメラミン化合物を使用することが好ましい。
また、低屈折率材料における硬化剤を、高屈折率材料における硬化剤と同種とすることが好ましい。すなわち、高屈折率膜と、低屈折率膜とが、それぞれ同種の硬化剤により硬化してなるものであることが好ましい。このように構成すると、高屈折率膜と、低屈折率膜との相性がより良好となり、より優れた反射防止性や密着力を得ることができる。
なお、同種の硬化剤として、上述したメラミン化合物が挙げられ、より具体的には、ヒドロキシルアルキル化アミノ基含有メラミン化合物やアルコキシアルキル化アミノ基含有メラミン化合物等が挙げられる。
【0034】
▲3▼ 硬化触媒および有機溶媒
硬化触媒および有機溶媒の種類や添加量は、高屈折率材料における内容と同様である。したがって、これらについての説明は省略する。
【0035】
(3)低屈折率膜の屈折率
低屈折率膜における屈折率の値(Na−D線の屈折率、測定温度25℃)は低い程、高屈折率膜と組み合わせた場合に優れた反射防止効果が得られるものの、具体的に、1.6未満の値とするのが好ましい。この理由は、屈折率が1.6を超えると、高屈折率膜と組み合わせた場合に、反射防止効果が著しく低下する場合があるためである。したがって、低屈折率膜の屈折率を、より好ましくは1.3〜1.6の範囲内の値とすることであり、1.3〜1.5の範囲内の値とすることがさらに好ましい。なお、低屈折率膜の屈折率が1.3未満となると、使用可能な材料の種類が過度に制限される場合がある。
また、低屈折率膜を複数設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していれば良く、したがって、その他の低屈折率膜は1.6を超える場合があっても良い。
【0036】
また、低屈折率膜を設ける場合、より優れた反射防止効果が得られることから、高屈折率膜との間の屈折率差を0.05以上の値とするのが好ましい。この理由は、低屈折率膜と、高屈折率膜との間の屈折率差が0.05未満の値となると、これらの反射防止膜層での相乗効果が得られず、却って反射防止効果が低下する場合があるためである。
したがって、低屈折率膜と、高屈折率膜との間の屈折率差を0.1〜0.5の範囲内の値とするのがより好ましく、0.15〜0.5の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0037】
(4)厚さ
次に、高屈折率膜および低屈折率膜の厚さについて説明する。まず、高屈折率膜の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、50〜30,000nmの範囲内の値であることが好ましい。この理由は、高屈折率膜の厚さが50nm未満となると、低屈折率膜と組み合わせた場合に、反射防止効果や基材に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが30,000nmを超えると、光干渉が生じて逆に反射防止効果が低下する場合があるためである。
したがって、高屈折率膜の厚さを50〜1,000nmの範囲内の値とするのがより好ましく、60〜500nmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率膜を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜30,000nmの範囲内の値とすれば良い。
なお、高屈折率膜と基材との間にハードコート層を設ける場合には、高屈折率膜の厚さを50〜300nmの範囲内の値とすることができる。
【0038】
また、低屈折率膜の厚さについても特に制限されるものではないが、例えば、50〜300nmの範囲内の値であることが好ましい。この理由は、低屈折率膜の厚さが50nm未満となると、下地としての高屈折率膜に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが300nmを超えると、光干渉が生じて反射防止効果が低下する場合があるためである。
したがって、低屈折率膜の厚さを50〜250nmの範囲内の値とするのがより好ましく、60〜200nmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
なお、より高い反射防止性を得るために、低屈折率膜を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜300nmの範囲内の値とすれば良い。
【0039】
(5)基材
次に、高屈折率膜あるいはハードコート層等を設けるための基材について説明する。かかる高屈折率膜等を設ける基材の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルアセテート樹脂(TAC)等からなる基材を挙げることができる。これらの基材を含む反射防止用積層体とすることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、あるいは液晶表示装置におけるカラーフィルター等の広範な反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果を得ることができる。
【0040】
(6)形成方法
高屈折率材料や低屈折率材料からそれぞれ高屈折率膜や低屈折率膜を形成する場合、基材(適用部材)に対してコーテイングすることが好ましい。このようなコーテイング方法としては、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、またはインクジェット法等の方法を用いることができる。
【0041】
また、高屈折率材料や低屈折率材料を硬化する手段も特に制限されるものではないが、例えば、加熱することが好ましい。その場合、30〜200℃の範囲内の温度で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材や形成される反射防止膜を損傷することなく、より効率的に反射防止性に優れた反射防止用積層体を得ることができる。したがって、50〜180℃の範囲内の温度で、2〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で、5〜60分間加熱するのがより好ましい。
なお、高屈折率材料や低屈折率材料の硬化程度は、硬化剤としてメラミン化合物を用いた場合、メラミン化合物におけるメチロール基あるいはアルコキシ化メチル基量を赤外分光分析したり、あるいは、ゲル化率をソックスレー抽出器を用いて測定することにより、定量的に確認することができる。
【0042】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、図2に示すように、基材12と高屈折率膜20との間にハードコート層18を介在させた反射防止用積層体24である。このようにハードコート層18を介在させることにより、高屈折率膜20の基材12に対する密着力をより向上させることができる。また、ハードコート層18の機械的特性に起因して、反射防止用積層体24の耐久性をより向上させることができる。
以下、第3の実施形態の特徴であるハードコート層について中心に説明するが、基材、高屈折率膜、および低屈折率膜あるいはこれらの形成方法については、第2の実施形態で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0043】
第3の実施形態におけるハードコート層は、例えば、SiO2、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等の材料から構成するのが好ましい。
また、その厚さについても特に制限されるものではないが、具体的に、1〜50μmの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは5〜10μmの範囲内の値である。この理由は、ハードコート層の厚さが1μm未満となると、反射防止膜の基材に対する密着力を向上させることができない場合があり、一方、厚さが50μmを超えると、均一に形成するのが困難となる場合があるためである。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り重量部を意味している。
【0045】
[実施例1]
(高屈折率材料の調製)
平均粒子径が20〜30nmの酸化ジルコニウム16重量部と、デンカブチラール#2000−L(電気化学工業(株)製、ポリビニルブチラール樹脂、平均重合度約300、一分子中のポリビニルアルコール単位21重量%以上、ガラス転移点71℃)4重量部と、メチルイソブチルケトン48重量部と、t−ブタノール32重量部とから構成された溶剤分散ジルコニアゾル(固形分濃度20重量%)100重量部を撹拌機付の容器内に仕込み、撹拌しながらサイメル303(三井サイテック(株)製、メチル化メチロールメラミン化合物)4重量部と、キャタリスト4050(三井サイテック(株)製、芳香族スルホン酸化合物)2.25重量部(有効成分0.72重量部)とを順次添加し、10分間撹拌して、粘度5cps(測定温度25℃)、固形分濃度23.3重量%の高屈折率材料(高濃度品:Aタイプ)を得た。
次いで、得られた高屈折率材料(Aタイプ)100重量部を撹拌機付容器内に仕込み、撹拌しながらメチルイソブチルケトン219.2重量部と、t−ブタノール146.2重量部とをさらに仕込んだ後、10分間撹拌して、粘度2cps(測定温度25℃)、固形分濃度5.0重量%の高屈折率材料(低濃度品:Bタイプ)を得た。
得られた高屈折率材料(AおよびBタイプ)の保存安定性および塗布性それぞれ以下の基準で評価した。
【0046】
(1)高屈折率材料の保存安定性
○:高屈折率材料を、室温で、30日間静置した後も、金属酸化物粒子の沈降が観察されず、また、120℃、10分の条件で加熱硬化することができる。
△:高屈折率材料を、室温で、30日間静置した後、金属酸化物粒子のわずかな沈降が観察されるが、120℃、10分の条件で加熱硬化することができる。
×:高屈折率材料を、室温で、30日間静置した後、金属酸化物粒子の顕著な沈降が観察されたり、あるいは、120℃、10分の条件で加熱硬化することができない。
【0047】
(2)高屈折率材料の塗布性
○:高屈折率材料を、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、均一な厚さに塗工することができた。
△:高屈折率材料を、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、ほぼ均一な厚さに塗工することができた。
×:高屈折率材料を、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、均一な厚さに塗工することができなかった。
【0048】
(3)高屈折率材料の屈折率
得られた高屈折率材料を、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、シリコンウエファ(厚さ1mm)上に塗工し、室温で5分間風乾して、塗膜を形成した。次いで、オーブンを用いて120℃、10分の条件で加熱し、0.1μmの厚さの高屈折率膜を硬化形成した。得られた高屈折率膜におけるNa−D線の屈折率を、測定温度25℃の条件で、エリプソメーターを用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
【0049】
(低屈折率材料の調製)
内容積1.5Lの電磁撹拌機付きステンレス製オートクレーブ内を窒素ガスで十分に置換した後、酢酸エチル500gと、エチルビニルエーテル(EVE)57.2gと、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)10.2gおよび過酸化ラウロイル3gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。次いで、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)146gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3kgf/cm2を示した。その後、60℃で20時間撹拌下に反応を継続し、圧力が1.5kgf/cm2に低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応ガスモノマーを放出し、オートクレーブを開放して固形分濃度が28.1重量%であるポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノールに投入し、ポリマーを析出させた後、さらにポリマーをメタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い193gの水酸基を有する含フッ素共重合体を得た。
得られた水酸基を有する含フッ素共重合体について、固有粘度(N,N−ジメチルアセトアミド溶媒使用、測定温度25℃)が0.26dl/gであり、ガラス転移温度(DSC測定、昇温速度5℃/分、窒素気流中)が20℃であり、フッ素含量(アリザリンコンプレクソン法)が53.4重量%であり、水酸基価(無水酢酸を用いたアセチル価法)が27.1mgKOH/gであることを確認した。
【0050】
次いで、撹拌機付の容器内に、水酸基を有する含フッ素共重合体100重量部と、サイメル303(三井サイテック(株)製、アルコキシ化メチルメラミン化合物)10重量部と、メチルイソブチルケトン900重量部とをそれぞれ添加し、撹拌しながら、100℃、5時間の条件で、水酸基を有する含フッ素共重合体とサイメル303とを反応させた。次いで、キャタリスト4050(三井サイテック(株)製、芳香族スルホン酸化合物)2重量部をさらに添加し、10分間撹拌して、粘度2cps(測定温度25℃)の低屈折率材料を得た。
【0051】
なお、得られた低屈折率材料の屈折率を、高屈折率材料と同様に測定した。すなわち、低屈折率材料を、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、シリコンウエファ(厚さ1mm)上に塗工し、室温で5分間風乾して、塗膜を形成した。次いで、オーブンを用いて120℃、60分の条件で加熱し、厚さ0.1μmの低屈折率膜を硬化形成した。得られた低屈折率膜におけるNa−D線の屈折率を、測定温度25℃の条件で、エリプソメーターを用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0003952619
【0053】
【表2】
Figure 0003952619
【0054】
(反射防止用積層体の形成および評価)
得られた高屈折率材料(Aタイプ)を、ワイヤーバーコータ(#12)を用いて、ポリカーボネート板(厚さ1mm、帝人化成(株)製)上に塗工し、室温で5分間風乾して、塗膜を形成した。次いで、オーブンを用いて120℃、10分の条件で加熱し、厚さ6000nmの高屈折率膜(Aタイプ)を硬化形成した。
また、得られた高屈折率材料(Bタイプ)を、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、ハードコート付きポリカーボネート板(ハードコートの屈折率1.55、ポリカーボネート板の厚さ1mm、帝人化成(株)製)上に塗工し、室温で5分間風乾して、塗膜を形成した。次いで、オーブンを用いて120℃、10分の条件で加熱し、厚さ120nmの高屈折率膜(Bタイプ)を硬化形成した。
【0055】
次いで、低屈折率材料を、それぞれの高屈折率膜(AおよびBタイプ)上に、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて塗工し、室温で5分間風乾して、塗膜を形成した。次いで、オーブンを用いて120℃、60分の条件で加熱し、厚さ110nmの低屈折率膜を硬化形成し、基材上の高屈折率膜と合わせて反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)とした。すなわち、ハードコートを有しない反射防止用積層体がIタイプであり、ハードコート付きの反射防止用積層体がIIタイプである。
得られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)における反射防止性、透明性、濁度(Haze値)および硬度を下記に示す測定法に拠り測定した。また、併せて、反射防止膜と基材との間の密着性を以下の基準で評価した。
【0056】
(1)反射防止性
得られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)における反射防止性を分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。すなわち、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止用積層体(反射防止膜)の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率から以下の基準で反射防止性を評価した。結果を表1に示す。
◎:反射率が1%以下の値である。
○:反射率が2%以下の値である。
△:反射率が3%以下の値である。
×:反射率が3%を超える値である。
【0057】
(2)透明性
得られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)における波長550nmの光透過率(T%)を、分光光度計を用いて測定し、得られた光透過率から以下の基準で透明性を評価した。得られた結果を表1に示す。
○:光透過率が95%以上の値である。
△:光透過率が80〜95%未満の値である。
×:光透過率が80%未満の値である。
【0058】
(3)濁度
得られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)における濁度(Haze値)を、Haze計を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
【0059】
(4)硬度
基材の柔らかさが影響しないように、ポリカーボネート板の代わりに、硬度の値が高い石英板を用いて、下側から高屈折率膜および低屈折率膜を順次に積層して、硬度測定用の反射防止用積層体(ハードコート層なし)を作成した。得られた反射防止用積層体における鉛筆硬度をJIS K5400に準拠して測定した。また、鉛筆硬度の判定は、傷の発生の有無を目視で観察することにより行った。得られた結果を表1に示す。
【0060】
(5)密着性
得られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)について、JIS K5400に準拠した碁盤目試験を行い、以下の基準で評価した。得られた結果を表1に示す。
○:100個の碁盤目において、剥離が観察されなかった。
△:100個の碁盤目において、1〜3個の碁盤目の剥離が観察された。
×:100個の碁盤目において、4個以上の碁盤目の剥離が観察された。
【0061】
[実施例2および3]
実施例1の高屈折率材料における酸化ジルコニアに対するポリビニルブチラール樹脂および硬化剤の比率を増加させたほかは、実施例1と同様に高屈折率材料(AおよびBタイプ)および低屈折率材料をそれぞれ調製して、実施例1と同様に高屈折率材料の保存安定性や、反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)における反射防止性等を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0062】
[比較例1]
金属酸化物粒子として、平均粒子径が150nmの酸化ジルコニウムを用いたほかは、実施例1と同様にして高屈折率材料(CおよびDタイプ)を調製した。すなわち、Cタイプが高濃度品であり、Dタイプが低濃度品である。
次いで、それぞれの高屈折率材料(CおよびDタイプ)につき、実施例1と同様に、保存安定性等の評価を行った。また、それぞれの高屈折率材料から反射防止用積層体(IIIおよびIVタイプ)を形成し、反射防止性等を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0063】
[比較例2〜3]
硬化剤の添加量を本発明の範囲外(比較例2では少なく、比較例3では多い。)としたほかは、実施例1と同様にして高屈折率材料(CおよびDタイプ)を調製した。次いで、それぞれの高屈折率材料につき、実施例1と同様に、保存安定性等の評価を行った。また、それぞれの高屈折率材料を用いたほかは、実施例1と同様に反射防止用積層体(IIIおよびIVタイプ)を形成し、反射防止性等を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0064】
【発明の効果】
本発明の高屈折率材料によれば優れた保存安定性が得られるようになり、また、本発明の反射防止用積層体によれば、優れた反射防止性が得られるようになった。
また、特定の高屈折率層と、特定の低屈折率層とを組み合わせた本発明の反射防止用積層体によれば、より優れた反射防止性、例えば1.0%以下の反射防止率が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の断面を示す図である(その1)。
【図2】本発明の積層体の断面を示す図である(その2)。
【符号の説明】
10、20 高屈折率層
12 基材
14、22 低屈折率層
16、24 反射防止用積層体
18 ハードコート層

Claims (6)

  1. (1)平均粒子径が0.1μm以下の金属酸化物粒子100重量部と、
    (2)ポリビニルブチラール樹脂1〜70重量部と、
    (3)メラミン化合物1〜70重量部と
    から構成され、硬化後の屈折率が1.60以上であることを特徴とする高屈折率材料。
  2. 前記(1)の金属酸化物粒子が、酸化ジルコニウムであることを特徴とする請求項1に記載の高屈折率材料。
  3. 前記(3)メラミン化合物が、ヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン化合物、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン化合物、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン化合物、メチルエーテル化メチロールメラミン化合物およびブチルエーテル化メチロールメラミン化合物からなる群から選択されるメチル化メラミン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の高屈折率材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高屈折率材料を硬化してなる高屈折率膜を基材上に有することを特徴とする反射防止用積層体。
  5. 前記高屈折率膜上に、(4)水酸基を有する含フッ素共重合体、及び(5)水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤を含む低屈折率材料を硬化してなる、屈折率が1.60未満の低屈折率膜を有することを特徴とする請求項4に記載の反射防止用積層体。
  6. 前記(5)水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤が、メラミン化合物であることを特徴とする請求項5に記載の反射防止積層体。
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