JP2000186216A - 高屈折率材料およびそれを用いた反射防止用積層体 - Google Patents

高屈折率材料およびそれを用いた反射防止用積層体

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JP2000186216A JP10364647A JP36464798A JP2000186216A JP 2000186216 A JP2000186216 A JP 2000186216A JP 10364647 A JP10364647 A JP 10364647A JP 36464798 A JP36464798 A JP 36464798A JP 2000186216 A JP2000186216 A JP 2000186216A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた保存安定性を有する高屈折率材料およ
び優れた反射防止性を有する反射防止用積層体を提供す
る。 【解決手段】 (1)平均粒子径が0.1μm以下の金
属酸化物粒子100重量部、(2)水酸基含有重合体1
〜70重量部、(3)水酸基と反応し得る官能基を有す
る硬化剤1〜70重量部から構成され、硬化後の屈折率
が1.60以上である高屈折率材料およびそれを用いて
得られた反射防止用積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高屈折率材料およ
びそれを用いた反射防止用積層体に関する。より詳細に
は、保存安定性に優れた高屈折率材料およびそれを用い
た反射防止性に優れた反射防止用積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】反射防止膜の形成材料として、例えば、
熱硬化型ポリシロキサン組成物が知られており、特開昭
61−247743号公報、特開平6−25599号公
報、特開平7−331115号公報および特開平10−
232301号公報等に開示されている。しかしなが
ら、かかる熱硬化型ポリシロキサン組成物から得られる
反射防止膜は、高温で、長時間にわたって加熱処理をす
る必要があり、生産性が低かったり、あるいは適用基材
の種類が限定されるという問題が見られた。また、かか
る熱硬化型ポリシロキサン組成物は保存安定性に乏しい
ため、一般的に主剤と硬化剤とが分離した二液性タイプ
としてあり、取り扱いが煩雑であるという問題が見られ
た。
【0003】そこで、特開平8−94806号公報に開
示されているように、基材上に、微粒子を高屈折率バイ
ンダー樹脂中に極在化させた高屈折率膜(屈折率=1.
6以上)と、フッ素系共重合体からなる低屈折率膜(屈
折率=1.6未満)とを順次に積層した光学機能性フィ
ルムが提案されている。より具体的には、高屈折率膜を
形成するのに、200nm以下の金属酸化物粒子等の微
粒子層を工程紙上に予め形成しておき、それを基材上の
高屈折率バインダー樹脂に対して圧接することにより、
高屈折率バインダー樹脂中に微粒子層を埋設して、極在
化させている。また、低屈折率膜については、フッ化ビ
ニリデン30〜90重量%およびヘキサフルオロプロピ
レン5〜50重量%を含有するモノマー組成物が共重合
されてなるフッ素含有割合が60〜70重量%であるフ
ッ素含有共重合体100重量部と、エチレン性不飽和基
を有する重合性化合物30〜150重量部と、これらの
合計量を100重量部としたときに、0.5〜10重量
部の重合開始剤とからなる樹脂組成物を硬化して、膜厚
200nm以下の薄膜としている。
【0004】しかしながら、特開平8−94806号公
報に開示された光学機能性フィルムは、低屈折率材料に
おいて重合開始剤を用いているため、硬化反応が周囲に
存在する酸素(空気)の影響を受けやすく、結果として
硬化不良が生じやすいという問題点が見られた。また、
高屈折率膜に関しても、作る際の製造工程が複雑であ
り、結果として安定した光学機能性フィルムを作成する
ことが困難であった。また、高屈折率材料において、使
用する高分子体の種類や硬化剤の種類が適当でないため
に、高屈折率材料の保存安定性が乏しいという問題点が
見られた。さらに、特開平8−94806号公報に開示
された光学機能性フィルムは、低屈折率膜と、高屈折率
膜との相性が良好でなく、反射防止性が不十分であった
り、あるいは容易に界面で剥離するという問題点が見ら
れた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の発明者らは鋭
意検討した結果、高屈折率材料において、特定の平均粒
子径を有する金属酸化物粒子と、水酸基含有重合体と、
水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤とを、所定の
範囲内の添加量で混合することにより、上述した問題を
解決できることを見出した。すなわち、本発明は、保存
安定性に優れた高屈折率材料、およびそれを用いた優れ
た反射防止性を有する反射防止用積層体を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、高屈折率材料
に関し、(1)平均粒子径が0.1μm以下の金属酸化
物粒子100重量部と、(2)水酸基含有重合体1〜7
0重量部と、(3)水酸基と反応し得る官能基を有する
硬化剤1〜70重量部とから構成され、硬化後の屈折率
が1.60以上であることを特徴とする。このように構
成することにより、優れた保存安定性、例えば、室温
(25℃)、30日間以上の保管においても、金属酸化
物粒子の沈降がなく、しかも、保管時における水酸基含
有重合体と硬化剤との反応を有効に防止することができ
る。また、このような高屈折率材料から形成された高屈
折率膜は、低屈折率膜との相性が良好であり、優れた反
射防止性や密着力を得ることができる。
【0007】また、本発明の高屈折率材料を構成するに
あたり、金属酸化物粒子が、酸化ジルコニウムであり、
水酸基含有重合体がポリビニルブチラール樹脂であり、
かつ、硬化剤がメラミン化合物であることが好ましい。
このように酸化ジルコニウムを用いることにより、比較
的少量の添加で硬化後の屈折率の値を1.6以上の値に
容易に調節することができ、しかも、酸化ジルコニウム
は透明性が高い(着色性が少ない。)という利点があ
る。また、ポリビニルブチラール樹脂を用いることによ
り、高屈折率材料を調製する際において、金属酸化物粒
子の均一分散が容易となり、しかも、得られた反射防止
用層において、基材および低屈折率膜に対する密着力や
機械的特性を向上させることできる。さらに、このよう
にメラミン化合物を用いることにより、高屈折率材料の
保存安定性を向上させることができ、しかも、比較的低
温、例えば、200℃以下での短時間硬化が可能とな
る。
【0008】また、本発明の別の態様は、反射防止用積
層体に関し、 (1)平均粒子径が0.1μm以下の金属酸化物粒子 100重量部 (2)水酸基含有重合体 1〜70重量部 (3)水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤 1〜70重量部 から構成された高屈折率材料を硬化してなる反射防止膜
(高屈折率膜)を基材上に設け、かつ、当該反射防止膜
の屈折率を1.60以上の値とすることを特徴とする。
このように構成した反射防止膜(高屈折率膜)を含むこ
とにより、低屈折率膜と組み合わせた場合に、優れた反
射防止性、例えば反射率として、1%以下の値を得るこ
とができ、しかも、低屈折率膜との相性が良好であり、
優れた密着力を得ることができる。
【0009】また、本発明の反射防止用積層体を構成す
るにあたり、反射防止膜(高屈折率膜)上に、硬化性含
フッ素共重合体から構成された低屈折率材料を硬化して
なる低屈折率膜を設け、かつ、当該低屈折率膜の屈折率
を1.60未満の値とすることが好ましい。このように
構成すると、高屈折率膜と、低屈折率膜との密着力がよ
り良好となり、より優れた反射防止性、例えば1.0%
以下の反射率を得ることができる。なお、好ましい硬化
性含フッ素共重合体の一例として、水酸基を有する含フ
ッ素共重合体と、水酸基と反応し得る官能基を有する硬
化剤とを含む硬化性組成物が挙げられる。
【0010】また、本発明の反射防止用積層体を構成す
るにあたり、高屈折率膜と、低屈折率膜とが、同種の硬
化剤により硬化してなるものであることが好ましい。す
なわち、高屈折率材料と低屈折率材料とに、同種の硬化
剤を含有することが好ましい。このように構成すると、
高屈折率膜と、低屈折率膜との相性がより良好となり、
より優れた反射防止性や密着力を得ることができる。な
お、同種の硬化剤として、ヒドロキシルアルキル化アミ
ノ基含有メラミン化合物やアルコキシアルキル化アミノ
基含有メラミン化合物等のメラミン化合物が挙げられ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の高屈折率材料に関する実
施の形態(第1の実施形態)および反射防止用積層体に
関する実施の形態(第2および第3の実施形態)を具体
的に説明する。なお、第2の実施形態は、図1に示すよ
うに、基材上12に、高屈折率膜10と低屈折率膜14
とを順次に含む反射防止用積層体16である。また、第
3の実施形態は、図2に示すように、基材12と高屈折
率膜20との間にハードコート層18を介在させた構成
であり、すなわち、基材12上に、ハードコート層18
と、高屈折率膜20と、低屈折率膜22とを順次に含む
反射防止用積層体24である。
【0012】[第1の実施形態]本発明の第1の実施形
態は、高屈折率材料に関し、 (1)平均粒子径が0.1μm以下の金属酸化物粒子 100重量部、 (2)水酸基含有重合体 1〜70重量部、 (3)水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤 1〜70重量部、 (4)硬化触媒 0.1〜30重量部、 (5)有機溶媒 100〜20000重量部、 から構成されており、かつ、硬化後の屈折率を1.60
以上の値としてある。
【0013】(1)金属酸化物粒子 まず、高屈折率材料に使用する金属酸化物粒子の数平均
粒子径(凝集している場合には、一次粒子径)を0.1
μm以下の値とする必要がある。この理由は、金属酸化
物粒子の数平均粒子径が0.1μmを超えると、高屈折
率材料において金属酸化物粒子を均一に分散させること
が困難となり、また、金属酸化物粒子が沈降しやすくな
り、保存安定性に欠けるためである。さらには、金属酸
化物粒子の数平均粒子径が0.1μmを超えると、得ら
れる反射防止膜の透明性が低下したり、濁度(Haze
値)が上昇する場合があるためである。したがって、金
属酸化物粒子の数平均粒子径を0.01〜0.08μm
の範囲内の値とするのがより好ましく、0.02〜0.
05μmの範囲内の値とするのがより好ましい。
【0014】また、金属酸化物粒子の種類は、屈折率の
調整の容易さを考慮して決定することが好ましいが、よ
り具体的には、酸化ジルコニウム(ZrO2、屈折率
2.05)、酸化スズ(SnO2、屈折率2.00)、
酸化チタン(TiO2、屈折率2.3〜2.7)、酸化
亜鉛(ZnO、屈折率1.90)、酸化インジウムスズ
(ITO、屈折率1.95)、酸化アンチモン(Sb2
5、屈折率1.71)、酸化セレン(SeO2、屈折率
1.95)、酸化アルミニウム(Al23、屈折率1.
63)、酸化イットリウム(Y23、屈折率1.87)
等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられ
る。ただし、これらの金属酸化物粒子のうち、比較的少
量の添加で硬化後の屈折率の値を1.6以上の値に容易
に調節することができる点から、屈折率が2.0以上の
金属酸化物粒子を使用することが好ましい。具体的に
は、酸化ジルコニウムや酸化チタンが該当するが、さら
に、透明性が高く(着色性が少)、非導電性である点か
ら、酸化ジルコニウムが最も好ましい。
【0015】また、金属酸化物粒子の表面をカップリン
グ剤処理することが好ましい。このようにカップリング
剤処理することにより、金属酸化物粒子の分散性を向上
させ、高屈折率材料の保存安定性をより向上させること
ができる。ここで、カップリング剤処理において好まし
いカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシチタン、γ−アミノプロピルト
リエトキシアルミニウム等が挙げられる。
【0016】(2)水酸基含有重合体 水酸基含有重合体としては、分子内に水酸基を有する重
合体であれば、好適に使用することができる。より具体
的には、ポリビニルアセタール樹脂(ポリビニルブチラ
ール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂)、ポリビニルア
ルコール樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェノール系
樹脂、フェノキシ樹脂等の一種単独または二種以上の組
み合わせが挙げられる。ただし、これらの水酸基含有重
合体のうち、基材に対する密着力や機械的特性に優れて
おり、しかも、金属酸化物粒子の均一分散が比較的容易
な点から、ポリビニルブチラール樹脂(変性ポリビニル
ブチラール樹脂を含む。)が最も好ましい。また、ポリ
ビニルブチラール樹脂のうちでも、平均重合度が100
0以下であり、一分子中のポリビニルアルコール単位が
18重量%以上であり、かつ、ガラス転移点が70℃以
上の物性を有するものがより好ましい。
【0017】また、水酸基含有重合体の添加量を、金属
酸化物粒子100重量部に対して、1〜70重量部の範
囲内の値とするのが好ましい。この理由は、水酸基含有
重合体の添加量が1重量部未満となると、得られる反射
防止膜の基材に対する密着力が低下する場合があるため
であり、一方、水酸基含有重合体の添加量が70重量部
を超えると、相対的に金属酸化物粒子量が減少し、硬化
後における反射防止膜の屈折率の調整が困難となる場合
があるためである。したがって、金属酸化物粒子100
重量部に対し、水酸基含有重合体の添加量を3〜50重
量部の範囲内の値とするのがより好ましく、5〜30重
量部の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0018】(3)水酸基と反応し得る硬化剤 水酸基と反応し得る硬化剤としては、水酸基と反応し得
る官能基を有するものであれば、好適に使用することが
できる。より具体的には、メラミン化合物、尿素化合
物、グアナミン化合物、フェノール化合物、エポキシ化
合物、イソシアネート化合物、多塩基酸等の一種単独ま
たは二種以上の組み合わせが挙げられる。ただし、これ
らの硬化剤のうち、保存安定性に比較的優れている一
方、比較的低温硬化が可能な点から、分子内にメチロー
ル基およびアルコキシ化メチル基あるいはいずれか一方
を2個以上有するメラミン化合物が最も好ましい。ま
た、これらのメラミン化合物のうちでも、ヘキサメチル
エーテル化メチロールメラミン化合物、ヘキサブチルエ
ーテル化メチロールメラミン化合物、メチルブチル混合
エーテル化メチロールメラミン化合物、メチルエーテル
化メチロールメラミン化合物、ブチルエーテル化メチロ
ールメラミン化合物等のメチル化メラミン化合物がより
好ましい。
【0019】また、水酸基と反応し得る官能基を有する
硬化剤の添加量を、金属酸化物粒子100重量部に対し
て、1〜70重量部の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、硬化剤の添加量が1重量部未満となると、
水酸基含有重合体の硬化が不充分となる場合があるため
であり、一方、硬化剤の添加量が70重量部を超える
と、高屈折率材料の保存安定性が低下する場合があるた
めである。したがって、金属酸化物粒子100重量部に
対し、硬化剤の添加量を5〜60重量部の範囲内の値と
するのがより好ましく、10〜40重量部の範囲内の値
とするのがより好ましい。
【0020】(4)硬化触媒 また、高屈折率材料中に、硬化触媒を添加することが好
ましい。このような硬化触媒としては、水酸基含有重合
体と硬化剤との間の反応を促進するものであれば、好適
に使用することができる。より具体的には、脂肪族スル
ホン酸、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸、脂肪
族カルボン酸塩、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸
塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、金属塩、
リン酸エステル等の一種単独または二種以上の組み合わ
せが挙げられる。ただし、これらの硬化触媒のうち、水
酸基含有重合体に対するメチル化メラミン化合物等の硬
化剤の硬化速度をより向上させることができる点から、
芳香族スルホン酸が最も好ましい。
【0021】また、硬化触媒の添加量についても特に制
限されるものではないが、金属酸化物粒子100重量部
に対し、当該硬化触媒の添加量を0.1〜30重量部の
範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、硬化触媒
の添加量が0.1重量部未満となると、硬化触媒の添加
効果が発現しない場合があるためであり、一方、硬化触
媒の添加量が30重量部を超えると、高屈折率材料の保
存安定性が低下する場合があるためである。したがっ
て、金属酸化物粒子100重量部に対し、硬化触媒の添
加量を0.5〜20重量部の範囲内の値とするのがより
好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とするのがより
好ましい。
【0022】(5)有機溶媒 また、高屈折率材料中に、有機溶媒を添加することが好
ましい。このように有機溶媒を添加することにより、薄
膜の反射防止膜を均一に形成することができる。このよ
うな有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン、メチ
ルエチルケトン、メタノール、エタノール、t−ブタノ
ール、イソプロパノール等の一種単独または二種以上の
組み合わせが挙げられる。
【0023】また、有機溶媒の添加量についても特に制
限されるものではないが、金属酸化物粒子100重量部
に対し、当該有機溶媒の添加量を100〜20000重
量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、有
機溶媒の添加量が100重量部未満となると、高屈折率
材料の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一
方、有機溶媒の添加量が20000重量部を超えると、
高屈折率材料の保存安定性が低下したり、あるいは粘度
が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためで
ある。したがって、金属酸化物粒子100重量部に対
し、有機溶媒の添加量を300〜10000重量部の範
囲内の値とするのがより好ましく、500〜5000重
量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0024】(6)添加剤 高屈折率材料には、本発明の目的や効果を損なわない範
囲において、ラジカル性光重合開始剤、光増感剤、重合
禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、
界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電
防止剤、シランカップリング剤、無機充填剤、顔料、染
料等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
【0025】(7)屈折率 高屈折率材料の硬化膜形成後における屈折率(Na−D
線の屈折率、測定温度25℃)、すなわち、高屈折率膜
の屈折率を1.6以上の値とする必要がある。この理由
は、高屈折率膜の屈折率が1.6未満となると、低屈折
率膜と組み合わせた場合に、反射防止効果が著しく低下
する場合があるためである。したがって、高屈折率膜の
屈折率をより好ましくは1.6〜2.2の範囲内の値と
することであり、1.7〜2.2の範囲内の値とするこ
とがさらに好ましい。また、高屈折率材料の硬化後の屈
折率が2.2を超えると、使用可能な材料の種類が過度
に制限される場合がある。なお、高屈折率膜を複数層設
ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範
囲内の屈折率の値を有していれば良く、したがって、そ
の他の高屈折率膜は1.6未満の屈折率の値を有してい
ても良い。
【0026】[第2の実施形態]本発明の第2の実施形
態は、図1に示すように、基材上12に、高屈折率材料
から得られた高屈折率膜10と、低屈折率材料から得ら
れた低屈折率膜14とを順次に含む反射防止用積層体1
6である。この反射防止用積層体16においては、ハー
ドコート層を設けておらず、高屈折率膜10がハードコ
ート層の機能を担保している。したがって、反射防止用
積層体16の構成がシンプルとなり、しかも反射防止用
積層体16を精度良く形成することができる。以下、第
2の実施形態について具体的に説明する。
【0027】(1)高屈折率材料 第2の実施形態に使用する高屈折率材料およびそれから
得られた高屈折率膜における屈折率の値等は、第1の実
施形態の内容と同様である。したがって、ここでの具体
的な説明は省略する。
【0028】(2)低屈折率材料 また、低屈折率膜を形成するための低屈折率材料は、 水酸基を有する含フッ素共重合体 100重量部、 水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤 1〜70重量部、 硬化触媒 0.1〜15重量部、 有機溶媒 500〜10000重量部、 から構成されており、かつ、硬化後の屈折率を1.60
未満の値としてある。
【0029】 水酸基を有する含フッ素共重合体 水酸基を有する含フッ素共重合体としては、分子内に水
酸基を有する含フッ素共重合体であれば、好適に使用す
ることができる。より具体的には、フッ素原子を含有す
る単量体(a成分)と、水酸基またはエポキシ基を含有
する単量体(b成分)とを共重合して得ることができ
る。また、必要に応じて、a成分およびb成分以外のエ
チレン性不飽和単量体(c成分)を添加することが好ま
しい。
【0030】a成分であるフッ素原子を含有する単量体
としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプ
ロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチ
レン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレ
ン、(フルオロアルキル)ビニルエーテル、(フルオロ
アルコキシアルキル)ビニルエーテル、パーフルオロ
(アルキルビニルエーテル)、パーフルオロ(アルコキ
シビニルエーテル)、フッ素含有(メタ)アクリル酸エ
ステル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げ
られる。なお、水酸基を有する含フッ素共重合体におけ
るa成分の配合量は特に制限されるものではないが、例
えば、10〜99モル%の範囲内の値であることが好ま
しく、より好ましくは、15〜97モル%の範囲内の値
である。
【0031】また、b成分である水酸基またはエポキシ
基を含有する単量体としては、ヒドロキシエチルビニル
エーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロ
キシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニル
エーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ヒドロ
キシエチルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエ
ーテル、グリセロールモノアリルエーテル、アリルアル
コール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル
等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられ
る。なお、水酸基を有する含フッ素共重合体におけるb
成分の配合量は特に制限されるものではないが、例え
ば、1〜20モル%の範囲内の値であることが好まし
く、より好ましくは、3〜15モル%の範囲内の値であ
る。
【0032】次に、水酸基を有する含フッ素共重合体の
重合度について説明する。かかる重合度は、低屈折率膜
の機械的強度や塗布性を考慮して定めることが好ましい
が、例えば、固有粘度(N,N−ジメチルアセトアミド
溶媒使用、測定温度25℃)を0.05〜2.0dl/
gの範囲内の値とするのが好ましく、0.1〜1.5d
l/gの範囲内の値とするのがより好ましい。このよう
な範囲内の値とすることにより、低屈折率膜において、
優れた機械的強度や塗布性を得ることができる。なお、
このような固有粘度にするための重合方法は特に制限さ
れるものでなく、ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合
法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法等を採用する
ことができる。
【0033】 水酸基と反応し得る官能基を有する硬
化剤 水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤としては、高
屈折率材料における硬化剤と同様の硬化剤が使用可能で
ある。例えば、分子内にメチロール基およびアルコキシ
化メチル基あるいはいずれか一方を2個以上有するメラ
ミン化合物を使用することが好ましい。また、低屈折率
材料における硬化剤を、高屈折率材料における硬化剤と
同種とすることが好ましい。すなわち、高屈折率膜と、
低屈折率膜とが、それぞれ同種の硬化剤により硬化して
なるものであることが好ましい。このように構成する
と、高屈折率膜と、低屈折率膜との相性がより良好とな
り、より優れた反射防止性や密着力を得ることができ
る。なお、同種の硬化剤として、上述したメラミン化合
物が挙げられ、より具体的には、ヒドロキシルアルキル
化アミノ基含有メラミン化合物やアルコキシアルキル化
アミノ基含有メラミン化合物等が挙げられる。
【0034】 硬化触媒および有機溶媒 硬化触媒および有機溶媒の種類や添加量は、高屈折率材
料における内容と同様である。したがって、これらにつ
いての説明は省略する。
【0035】(3)低屈折率膜の屈折率 低屈折率膜における屈折率の値(Na−D線の屈折率、
測定温度25℃)は低い程、高屈折率膜と組み合わせた
場合に優れた反射防止効果が得られるものの、具体的
に、1.6未満の値とするのが好ましい。この理由は、
屈折率が1.6を超えると、高屈折率膜と組み合わせた
場合に、反射防止効果が著しく低下する場合があるため
である。したがって、低屈折率膜の屈折率を、より好ま
しくは1.3〜1.6の範囲内の値とすることであり、
1.3〜1.5の範囲内の値とすることがさらに好まし
い。なお、低屈折率膜の屈折率が1.3未満となると、
使用可能な材料の種類が過度に制限される場合がある。
また、低屈折率膜を複数設ける場合には、そのうちの少
なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有してい
れば良く、したがって、その他の低屈折率膜は1.6を
超える場合があっても良い。
【0036】また、低屈折率膜を設ける場合、より優れ
た反射防止効果が得られることから、高屈折率膜との間
の屈折率差を0.05以上の値とするのが好ましい。こ
の理由は、低屈折率膜と、高屈折率膜との間の屈折率差
が0.05未満の値となると、これらの反射防止膜層で
の相乗効果が得られず、却って反射防止効果が低下する
場合があるためである。したがって、低屈折率膜と、高
屈折率膜との間の屈折率差を0.1〜0.5の範囲内の
値とするのがより好ましく、0.15〜0.5の範囲内
の値とするのがさらに好ましい。
【0037】(4)厚さ 次に、高屈折率膜および低屈折率膜の厚さについて説明
する。まず、高屈折率膜の厚さは特に制限されるもので
はないが、例えば、50〜30,000nmの範囲内の
値であることが好ましい。この理由は、高屈折率膜の厚
さが50nm未満となると、低屈折率膜と組み合わせた
場合に、反射防止効果や基材に対する密着力が低下する
場合があるためであり、一方、厚さが30,000nm
を超えると、光干渉が生じて逆に反射防止効果が低下す
る場合があるためである。したがって、高屈折率膜の厚
さを50〜1,000nmの範囲内の値とするのがより
好ましく、60〜500nmの範囲内の値とするのがさ
らに好ましい。また、より高い反射防止性を得るため
に、高屈折率膜を複数層設けて多層構造とする場合に
は、その合計した厚さを50〜30,000nmの範囲
内の値とすれば良い。なお、高屈折率膜と基材との間に
ハードコート層を設ける場合には、高屈折率膜の厚さを
50〜300nmの範囲内の値とすることができる。
【0038】また、低屈折率膜の厚さについても特に制
限されるものではないが、例えば、50〜300nmの
範囲内の値であることが好ましい。この理由は、低屈折
率膜の厚さが50nm未満となると、下地としての高屈
折率膜に対する密着力が低下する場合があるためであ
り、一方、厚さが300nmを超えると、光干渉が生じ
て反射防止効果が低下する場合があるためである。した
がって、低屈折率膜の厚さを50〜250nmの範囲内
の値とするのがより好ましく、60〜200nmの範囲
内の値とするのがさらに好ましい。なお、より高い反射
防止性を得るために、低屈折率膜を複数層設けて多層構
造とする場合には、その合計した厚さを50〜300n
mの範囲内の値とすれば良い。
【0039】(5)基材 次に、高屈折率膜あるいはハードコート層等を設けるた
めの基材について説明する。かかる高屈折率膜等を設け
る基材の種類は特に制限されるものではないが、例え
ば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系
樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルアセテート樹脂
(TAC)等からなる基材を挙げることができる。これ
らの基材を含む反射防止用積層体とすることにより、カ
メラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、ある
いは液晶表示装置におけるカラーフィルター等の広範な
反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果を
得ることができる。
【0040】(6)形成方法 高屈折率材料や低屈折率材料からそれぞれ高屈折率膜や
低屈折率膜を形成する場合、基材(適用部材)に対して
コーテイングすることが好ましい。このようなコーテイ
ング方法としては、ディッピング法、スプレー法、バー
コート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテン
コート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、また
はインクジェット法等の方法を用いることができる。
【0041】また、高屈折率材料や低屈折率材料を硬化
する手段も特に制限されるものではないが、例えば、加
熱することが好ましい。その場合、30〜200℃の範
囲内の温度で、1〜180分間加熱するのが好ましい。
このように加熱することにより、基材や形成される反射
防止膜を損傷することなく、より効率的に反射防止性に
優れた反射防止用積層体を得ることができる。したがっ
て、50〜180℃の範囲内の温度で、2〜120分間
加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の
温度で、5〜60分間加熱するのがより好ましい。な
お、高屈折率材料や低屈折率材料の硬化程度は、硬化剤
としてメラミン化合物を用いた場合、メラミン化合物に
おけるメチロール基あるいはアルコキシ化メチル基量を
赤外分光分析したり、あるいは、ゲル化率をソックスレ
ー抽出器を用いて測定することにより、定量的に確認す
ることができる。
【0042】[第3の実施形態]第3の実施形態は、図
2に示すように、基材12と高屈折率膜20との間にハ
ードコート層18を介在させた反射防止用積層体24で
ある。このようにハードコート層18を介在させること
により、高屈折率膜20の基材12に対する密着力をよ
り向上させることができる。また、ハードコート層18
の機械的特性に起因して、反射防止用積層体24の耐久
性をより向上させることができる。以下、第3の実施形
態の特徴であるハードコート層について中心に説明する
が、基材、高屈折率膜、および低屈折率膜あるいはこれ
らの形成方法については、第2の実施形態で説明した内
容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0043】第3の実施形態におけるハードコート層
は、例えば、SiO2、エポキシ系樹脂、アクリル系樹
脂、メラミン系樹脂等の材料から構成するのが好まし
い。また、その厚さについても特に制限されるものでは
ないが、具体的に、1〜50μmの範囲内の値とするの
が好ましく、より好ましくは5〜10μmの範囲内の値
である。この理由は、ハードコート層の厚さが1μm未
満となると、反射防止膜の基材に対する密着力を向上さ
せることができない場合があり、一方、厚さが50μm
を超えると、均一に形成するのが困難となる場合がある
ためである。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、
本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるもので
はない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載の
ない限り重量部を意味している。
【0045】[実施例1] (高屈折率材料の調製)平均粒子径が20〜30nmの
酸化ジルコニウム16重量部と、デンカブチラール#2
000−L(電気化学工業(株)製、ポリビニルブチラ
ール樹脂、平均重合度約300、一分子中のポリビニル
アルコール単位21重量%以上、ガラス転移点71℃)
4重量部と、メチルイソブチルケトン48重量部と、t
−ブタノール32重量部とから構成された溶剤分散ジル
コニアゾル(固形分濃度20重量%)100重量部を撹
拌機付の容器内に仕込み、撹拌しながらサイメル303
(三井サイテック(株)製、メチル化メチロールメラミ
ン化合物)4重量部と、キャタリスト4050(三井サ
イテック(株)製、芳香族スルホン酸化合物)2.25
重量部(有効成分0.72重量部)とを順次添加し、1
0分間撹拌して、粘度5cps(測定温度25℃)、固
形分濃度23.3重量%の高屈折率材料(高濃度品:A
タイプ)を得た。次いで、得られた高屈折率材料(Aタ
イプ)100重量部を撹拌機付容器内に仕込み、撹拌し
ながらメチルイソブチルケトン219.2重量部と、t
−ブタノール146.2重量部とをさらに仕込んだ後、
10分間撹拌して、粘度2cps(測定温度25℃)、
固形分濃度5.0重量%の高屈折率材料(低濃度品:B
タイプ)を得た。得られた高屈折率材料(AおよびBタ
イプ)の保存安定性および塗布性それぞれ以下の基準で
評価した。
【0046】(1)高屈折率材料の保存安定性 ○:高屈折率材料を、室温で、30日間静置した後も、
金属酸化物粒子の沈降が観察されず、また、120℃、
10分の条件で加熱硬化することができる。 △:高屈折率材料を、室温で、30日間静置した後、金
属酸化物粒子のわずかな沈降が観察されるが、120
℃、10分の条件で加熱硬化することができる。 ×:高屈折率材料を、室温で、30日間静置した後、金
属酸化物粒子の顕著な沈降が観察されたり、あるいは、
120℃、10分の条件で加熱硬化することができな
い。
【0047】(2)高屈折率材料の塗布性 ○:高屈折率材料を、ワイヤーバーコータ(#3)を用
いて、均一な厚さに塗工することができた。 △:高屈折率材料を、ワイヤーバーコータ(#3)を用
いて、ほぼ均一な厚さに塗工することができた。 ×:高屈折率材料を、ワイヤーバーコータ(#3)を用
いて、均一な厚さに塗工することができなかった。
【0048】(3)高屈折率材料の屈折率 得られた高屈折率材料を、ワイヤーバーコータ(#3)
を用いて、シリコンウエファ(厚さ1mm)上に塗工
し、室温で5分間風乾して、塗膜を形成した。次いで、
オーブンを用いて120℃、10分の条件で加熱し、
0.1μmの厚さの高屈折率膜を硬化形成した。得られ
た高屈折率膜におけるNa−D線の屈折率を、測定温度
25℃の条件で、エリプソメーターを用いて測定した。
得られた結果を表1に示す。
【0049】(低屈折率材料の調製)内容積1.5Lの
電磁撹拌機付きステンレス製オートクレーブ内を窒素ガ
スで十分に置換した後、酢酸エチル500gと、エチル
ビニルエーテル(EVE)57.2gと、ヒドロキシブ
チルビニルエーテル(HBVE)10.2gおよび過酸
化ラウロイル3gを仕込み、ドライアイス−メタノール
で−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素
を除去した。次いで、ヘキサフルオロプロピレン(HF
P)146gを仕込み、昇温を開始した。オートクレー
ブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3kg
f/cm2を示した。その後、60℃で20時間撹拌下
に反応を継続し、圧力が1.5kgf/cm2に低下し
た時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。
室温に達した後、未反応ガスモノマーを放出し、オート
クレーブを開放して固形分濃度が28.1重量%である
ポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をメタノールに
投入し、ポリマーを析出させた後、さらにポリマーをメ
タノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い193
gの水酸基を有する含フッ素共重合体を得た。得られた
水酸基を有する含フッ素共重合体について、固有粘度
(N,N−ジメチルアセトアミド溶媒使用、測定温度2
5℃)が0.26dl/gであり、ガラス転移温度(D
SC測定、昇温速度5℃/分、窒素気流中)が20℃で
あり、フッ素含量(アリザリンコンプレクソン法)が5
3.4重量%であり、水酸基価(無水酢酸を用いたアセ
チル価法)が27.1mgKOH/gであることを確認
した。
【0050】次いで、撹拌機付の容器内に、水酸基を有
する含フッ素共重合体100重量部と、サイメル303
(三井サイテック(株)製、アルコキシ化メチルメラミ
ン化合物)10重量部と、メチルイソブチルケトン90
0重量部とをそれぞれ添加し、撹拌しながら、100
℃、5時間の条件で、水酸基を有する含フッ素共重合体
とサイメル303とを反応させた。次いで、キャタリス
ト4050(三井サイテック(株)製、芳香族スルホン
酸化合物)2重量部をさらに添加し、10分間撹拌し
て、粘度2cps(測定温度25℃)の低屈折率材料を
得た。
【0051】なお、得られた低屈折率材料の屈折率を、
高屈折率材料と同様に測定した。すなわち、低屈折率材
料を、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、シリコン
ウエファ(厚さ1mm)上に塗工し、室温で5分間風乾
して、塗膜を形成した。次いで、オーブンを用いて12
0℃、60分の条件で加熱し、厚さ0.1μmの低屈折
率膜を硬化形成した。得られた低屈折率膜におけるNa
−D線の屈折率を、測定温度25℃の条件で、エリプソ
メーターを用いて測定した。得られた結果を表1に示
す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】(反射防止用積層体の形成および評価)得
られた高屈折率材料(Aタイプ)を、ワイヤーバーコー
タ(#12)を用いて、ポリカーボネート板(厚さ1m
m、帝人化成(株)製)上に塗工し、室温で5分間風乾
して、塗膜を形成した。次いで、オーブンを用いて12
0℃、10分の条件で加熱し、厚さ6000nmの高屈
折率膜(Aタイプ)を硬化形成した。また、得られた高
屈折率材料(Bタイプ)を、ワイヤーバーコータ(#
3)を用いて、ハードコート付きポリカーボネート板
(ハードコートの屈折率1.55、ポリカーボネート板
の厚さ1mm、帝人化成(株)製)上に塗工し、室温で
5分間風乾して、塗膜を形成した。次いで、オーブンを
用いて120℃、10分の条件で加熱し、厚さ120n
mの高屈折率膜(Bタイプ)を硬化形成した。
【0055】次いで、低屈折率材料を、それぞれの高屈
折率膜(AおよびBタイプ)上に、ワイヤーバーコータ
(#3)を用いて塗工し、室温で5分間風乾して、塗膜
を形成した。次いで、オーブンを用いて120℃、60
分の条件で加熱し、厚さ110nmの低屈折率膜を硬化
形成し、基材上の高屈折率膜と合わせて反射防止用積層
体(IおよびIIタイプ)とした。すなわち、ハードコー
トを有しない反射防止用積層体がIタイプであり、ハー
ドコート付きの反射防止用積層体がIIタイプである。得
られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)における
反射防止性、透明性、濁度(Haze値)および硬度を
下記に示す測定法に拠り測定した。また、併せて、反射
防止膜と基材との間の密着性を以下の基準で評価した。
【0056】(1)反射防止性 得られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)におけ
る反射防止性を分光反射率測定装置(大型試料室積分球
付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度
計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長3
40〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。
すなわち、アルミの蒸着膜における反射率を基準(10
0%)として、各波長における反射防止用積層体(反射
防止膜)の反射率を測定し、そのうち波長550nmに
おける光の反射率から以下の基準で反射防止性を評価し
た。結果を表1に示す。 ◎:反射率が1%以下の値である。 ○:反射率が2%以下の値である。 △:反射率が3%以下の値である。 ×:反射率が3%を超える値である。
【0057】(2)透明性 得られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)におけ
る波長550nmの光透過率(T%)を、分光光度計を
用いて測定し、得られた光透過率から以下の基準で透明
性を評価した。得られた結果を表1に示す。 ○:光透過率が95%以上の値である。 △:光透過率が80〜95%未満の値である。 ×:光透過率が80%未満の値である。
【0058】(3)濁度 得られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)におけ
る濁度(Haze値)を、Haze計を用いて測定し
た。得られた結果を表1に示す。
【0059】(4)硬度 基材の柔らかさが影響しないように、ポリカーボネート
板の代わりに、硬度の値が高い石英板を用いて、下側か
ら高屈折率膜および低屈折率膜を順次に積層して、硬度
測定用の反射防止用積層体(ハードコート層なし)を作
成した。得られた反射防止用積層体における鉛筆硬度を
JIS K5400に準拠して測定した。また、鉛筆硬
度の判定は、傷の発生の有無を目視で観察することによ
り行った。得られた結果を表1に示す。
【0060】(5)密着性 得られた反射防止用積層体(IおよびIIタイプ)につい
て、JIS K5400に準拠した碁盤目試験を行い、
以下の基準で評価した。得られた結果を表1に示す。 ○:100個の碁盤目において、剥離が観察されなかっ
た。 △:100個の碁盤目において、1〜3個の碁盤目の剥
離が観察された。 ×:100個の碁盤目において、4個以上の碁盤目の剥
離が観察された。
【0061】[実施例2および3]実施例1の高屈折率
材料における酸化ジルコニアに対するポリビニルブチラ
ール樹脂および硬化剤の比率を増加させたほかは、実施
例1と同様に高屈折率材料(AおよびBタイプ)および
低屈折率材料をそれぞれ調製して、実施例1と同様に高
屈折率材料の保存安定性や、反射防止用積層体(Iおよ
びIIタイプ)における反射防止性等を評価した。得られ
た結果を表1に示す。
【0062】[比較例1]金属酸化物粒子として、平均
粒子径が150nmの酸化ジルコニウムを用いたほか
は、実施例1と同様にして高屈折率材料(CおよびDタ
イプ)を調製した。すなわち、Cタイプが高濃度品であ
り、Dタイプが低濃度品である。次いで、それぞれの高
屈折率材料(CおよびDタイプ)につき、実施例1と同
様に、保存安定性等の評価を行った。また、それぞれの
高屈折率材料から反射防止用積層体(IIIおよびIVタイ
プ)を形成し、反射防止性等を評価した。得られた結果
を表2に示す。
【0063】[比較例2〜3]硬化剤の添加量を本発明
の範囲外(比較例2では少なく、比較例3では多い。)
としたほかは、実施例1と同様にして高屈折率材料(C
およびDタイプ)を調製した。次いで、それぞれの高屈
折率材料につき、実施例1と同様に、保存安定性等の評
価を行った。また、それぞれの高屈折率材料を用いたほ
かは、実施例1と同様に反射防止用積層体(IIIおよびI
Vタイプ)を形成し、反射防止性等を評価した。得られ
た結果を表2に示す。
【0064】
【発明の効果】本発明の高屈折率材料によれば優れた保
存安定性が得られるようになり、また、本発明の反射防
止用積層体によれば、優れた反射防止性が得られるよう
になった。また、特定の高屈折率層と、特定の低屈折率
層とを組み合わせた本発明の反射防止用積層体によれ
ば、より優れた反射防止性、例えば1.0%以下の反射
防止率が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の断面を示す図である(その
1)。
【図2】本発明の積層体の断面を示す図である(その
2)。
【符号の説明】
10、20 高屈折率層 12 基材 14、22 低屈折率層 16、24 反射防止用積層体 18 ハードコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 直樹 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA05 AA15 BB02 BB14 BB24 BB28 CC03 CC22 CC26 CC33 DD06 4F100 AA17A AA27A AK01A AK17C AK21A AK23A AK45B AL01C AL05A AT00B BA02 BA03 BA07 BA10B BA10C CA02A DE01A GB90 JA05A JA05C JB12C JN06 JN18A JN18C YY00A YY00C 4J002 BD121 BD141 BD151 BD161 BE021 BE041 BE061 BG001 CH071 CH081 DE096 DE106 DE126 DE136 DE146 EJ007 EL027 ET017 EU187 FB136 FB146 FD147 GF00 GP00 GT00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)平均粒子径が0.1μm以下の金
    属酸化物粒子100重量部と、(2)水酸基含有重合体
    1〜70重量部と、(3)水酸基と反応し得る官能基を
    有する硬化剤1〜70重量部とから構成され、硬化後の
    屈折率が1.60以上であることを特徴とする高屈折率
    材料。
  2. 【請求項2】 (1)平均粒子径が0.1μm以下の金
    属酸化物粒子100重量部と、(2)水酸基含有重合体
    1〜70重量部と、(3)水酸基と反応し得る官能基を
    有する硬化剤1〜70重量部とから構成された高屈折率
    材料を硬化してなる高屈折率膜を基材上に設け、かつ、
    当該高屈折率膜の屈折率を1.60以上の値とすること
    を特徴とする反射防止用積層体。
  3. 【請求項3】 前記高屈折率膜上に、硬化性含フッ素共
    重合体を含む低屈折率材料を硬化してなる低屈折率膜を
    設け、かつ、当該低屈折率膜の屈折率を1.60未満の
    値とすることを特徴とする請求項2に記載の反射防止用
    積層体。
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