JP3952569B2 - 3−クロロプロピオン酸クロライドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医農薬の中間体として有用な3−クロロプロピオン酸クロライドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
3−クロロプロピオン酸クロライドの製造方法としては、(1) 3−クロロプロピオン酸を三塩化リン、塩化チオニル、ホスゲン等の塩素化剤により塩素化する方法、(2) アクリル酸もしくはアクリロニトリルに塩化水素を付加させた後、三塩化リン、塩化チオニル、ホスゲン等の塩素化剤を作用させて塩素化する方法、(3) アクリル酸にホスゲンを反応させて一段で3−クロロプロピオン酸クロライドを製造する方法 (米国特許第4,213,919 号) 、および(4) アクリル酸にベンゾトリクロライド類を反応させる方法 (特開昭61−155351号公報) 等が知られている。
【0003】
しかし、これらの方法はいずれも工業的に満足できる製造方法とは言い難く、いくつかの問題点がある。
例えば、(1) の3−クロロプロピオン酸を原料とする方法は、3−クロロプロピオン酸が比較的高価であり、経済的に有利な方法とは言えない。一方、 (2)〜(4) の方法は、原料のアクリル酸またはアクリロニトリルを安価に入手できる点では有利である。
【0004】
(2) 〜(4) の中で最も一般的な方法は、(2) の方法であるが、塩化水素の付加反応と塩素化反応という二段反応であるため、工程が煩雑になる。また、塩素化剤のうち、三塩化リン等のリン化合物は反応後のリン化合物の後処理が厄介という問題を有し、ホスゲンは毒性がきわめて強いため、取り扱いが困難という問題を有する。
【0005】
(3) の方法は、一段階で目的とする3−クロロプロピオン酸クロライドを製造できるという利点はあるものの、前述したようにホスゲンの取り扱いが困難である。
【0006】
(4) の方法も一段階で目的物を高収率で製造できるが、3−クロロプロピオン酸クロライドと当量のベンゾイルクロライドが副生するため、蒸留等の手段により両者を分離する必要がある。しかし、3−クロロプロピオン酸クロライドは加熱により容易にアクリル酸クロライドとなるため、蒸留操作が難しく、工業的に製造するには問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
塩素化剤として塩化チオニルは、当量の塩化水素と二酸化硫黄が副生するため、それらのガスの中和処理が必要という問題はあるが、反応は良好に進行し、比較的安価で、塩素化剤の中では毒性も低く、液体であるため取り扱いも容易という点で工業的には優れている。
【0008】
従って、安価なアクリル酸を原料として塩素化剤に塩化チオニルを用い、一段階で3−クロロプロピオン酸クロライドを製造できれば、工業的に非常に有利と思われる。
【0009】
目的物は異なるが、アクリル酸を塩化チオニルにより塩素化した例が特開平5−331122号公報に記載されている。しかし、この公報の実施例に示されているように、アクリル酸を塩化チオニルにより塩素化すると、アクリル酸が塩素化されただけのアクリル酸クロライドと、さらに塩化水素が付加した3−クロロプロピオン酸クロライドが、モル比でそれぞれ65%と35%程度の割合で生成する。即ち、主生成物はアクリル酸クロライドであり、3−クロロプロピオン酸クロライドの収率は低くなる。
【0010】
本発明の具体的な目的は、アクリル酸を塩化チオニルにより塩素化することにより一段階で3−クロロプロピオン酸クロライドを収率よく製造する方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アクリル酸を原料として塩化チオニルで塩素化する際に、副生する塩化水素を有効に利用して3−クロロプロピオン酸クロライドを合成することを目指して検討した結果、アクリル酸と塩化チオニルを塩基性有機化合物の存在下で反応させることにより、高収率で3−クロロプロピオン酸クロライドを一段階で合成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
ここに、本発明は、アクリル酸と塩化チオニルを塩基性有機化合物の存在下に反応させることを特徴とする、3−クロロプロピオン酸クロライドの製造方法である。
本発明の方法の反応式を次に示す。
【0013】
【化1】
【0014】
上の反応式からわかるように、アクリル酸に塩化チオニルが作用すると、まずカルボン酸基が塩素化されてアクリル酸クロライドが生成し、塩化水素と二酸化硫黄が副生するが、生成したアクリル酸クロライドの二重結合に副生物の塩化水素が付加して、目的とする3−クロロプロピオン酸クロライドが生成する。
【0015】
二重結合への塩化水素の付加は、3位に塩素が、2位に水素が付加した3−クロロプロピオン酸クロライドが生成物となる。最初の反応で副生する2種類の酸性ガスのうち、塩化水素は反応系で消費されるため、反応系から放出されるのは二酸化硫黄が主になり、中和作業は比較的容易である。
【0016】
なお、原料のアクリル酸の全てが、上記の二段反応を上記の順序で受けるとは限らない。最初の反応で副生した塩化水素が反応系に残る未反応のアクリル酸と反応して、アクリル酸の二重結合に塩化水素が付加し、次いでこの付加生成物が塩化チオニルで塩素化されて3−クロロプロピオン酸クロライドが生成するという過程を経る原料も部分的には存在する可能性がある。
【0017】
塩基性有機化合物を存在させないと、特開平5−331122号公報に示されているように、最初の反応で反応が停止する確率が高くなり、アクリル酸クロライドが主生成物となる。これに対し、本発明に従って、塩基性有機化合物の存在下で反応を行うと、アクリル酸クロライドへの塩化水素の付加反応が進みやすくなり、3−クロロプロピオン酸クロライドを収率よく得ることができる。塩基性化合物として無機塩基(例、NaOH) を使用すると、これが最初の反応で副生した塩化水素と反応して塩 (例、NaCl) を形成するため、次の塩化水素の付加反応が進まなくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
上に示すように、本発明で利用する反応は二段反応であるが、実際にはアクリル酸に塩化チオニルを反応させるだけで上記の二段反応が進行するので、反応操作としては一段階である。即ち、アクリル酸と塩化チオニルを塩基性有機化合物の存在下で反応させると、自動的に上記の二段反応が進行する。
【0019】
塩化チオニルの使用量は、アクリル酸に対してモル比で 0.8〜1.5 倍が好ましく、より好ましくは 1.0〜1.2 倍である。塩化チオニルの量が少なすぎると、アクリル酸の転化率が低下し、逆に多すぎても未反応の塩化チオニルが残るだけで経済的ではない。
【0020】
塩基性有機化合物としては、所定反応条件下で反応系の溶液中に存在するものであれば特に限定されない。具体的な化合物を例示すると、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン (ラウリルアミン) 、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3− (2−エチルヘキシルオキシ) プロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、エタノールアミン等の脂肪族第一アミン類;ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジステアリルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリオクチルアミン、トリエチルヘキシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン等の脂肪族第三アミン類;テトラメチルエチレンジアミン、3− (ジブチルアミノ) プロピルアミン、3− (メチルアミノ) プロピルアミン、3− (ジメチルアミノ) プロピルアミン等のジアミン類;シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン類;アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルアニリン、トルイジン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒダントイン類等の酸アミド類;ピリジン、ピコリン、ルチジン等のピリジン類;キノリン、イソキノリン、メチルキノリン、ジメチルキノリン等のキノリン類;その他ピラジン類、ピペリジン類、ピペラジン等、イミダゾール類、ピロリジン類等が挙げられる。中でも、N,N-ジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0021】
塩基性有機化合物の使用量は、アクリル酸に対してモル比で0.01〜20倍とすることが好ましい。これより少ないと、塩素化は進行するが、二重結合への塩化水素の付加が十分に起こらずアクリル酸クロライドの生成割合が増え、望ましくない。多すぎても反応に悪影響はないが、効果は変わらない。より好ましい使用量は、上記モル比で 0.5〜10倍である。
【0022】
反応は、不活性な溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム等を使用して行うことも可能であるが、アクリル酸と塩化チオニルはいずれも室温で液体であるので、溶媒を使用しなくても反応は十分に行える。
反応温度は、特に制約はないが、常圧の場合で、常温から還流温度、例えば30〜110 ℃程度の温度で反応は十分に進行する。反応圧力は、通常は常圧で行うのが簡便でよいが、加圧下に行っても何ら問題ない。二重結合への塩化水素の付加反応は、加圧下の方が望ましいため、発生する二酸化硫黄ガスに対応可能であれば (例えば高圧仕様や圧力を調整できる反応設備を用いる等の対応ができれば) 加圧下で行う方が反応の進行には有利である。
【0023】
反応方式についても特に制約はないが、反応を制御するために、一方の反応成分、即ち、塩化チオニルもしくはアクリル酸のいずれかを滴下する方法で行った方が工業的には好ましい。その場合の仕込み順序には特に制限はないものの、塩素化により副生する塩化水素を二重結合への付加により有効に利用するには、最初からアクリル酸の全量を仕込んで、塩化チオニルを滴下した方が望ましい。前述したように、アクリル酸が最初の反応を受けていなくても、塩化水素が二重結合に付加できるからである。また、アクリル酸と塩化チオニルを同時に滴下する方法でも何ら問題ない。
【0024】
滴下時間は、仕込み容量、反応温度、除熱能力および二酸化硫黄ガスの除外能力等に合わせて決定されるが、通常 0.5〜24時間程度である。また、滴下終了後、同じ温度または昇温させて 0.1〜10時間攪拌下に保持し、反応を完結させることが望ましい。反応中に発生するガスは、上記のように二酸化硫黄を主とする酸性ガスであるので、適当な塩基 (例、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム) の水溶液に吸収させるといった方法で捕集すればよい。
【0025】
反応終了後、蒸留等の手段により3−クロロプロピオン酸クロライドを精製することも可能であるが、前述したように3−クロロプロピオン酸クロライドは熱的に安定とはいえないため、次の工程に支障がなければそのまま用いたほうが好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。実施例中、反応液の純度に関する%は重量%、収率に関する%はモル%である。
【0027】
[実施例1]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた200 mlガラス製フラスコに、アクリル酸73.0g(1.01 mol)とN,N-ジメチルホルムアミド 7.2g(0.10 mol)を入れ、攪拌しながら70℃まで加熱した。次に、塩化チオニル125.0 g(1.05 mol)を反応温度70℃に保ちながら5時間かけて滴下し、さらに0.5 時間同温度で攪拌し、反応液133.7 gを得た。
【0028】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸1.0 %、アクリル酸クロライド6.9 %、3−クロロプロピオン酸クロライド79.9%であり、アクリル酸クロライド収率10.1%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率83.0%であった。
【0029】
[実施例2]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた50 ml ガラス製フラスコに、アクリル酸 7.2g(0.10 mol)とN,N-ジメチルホルムアミド0.73g(0.01 mol)を入れ、攪拌しながら70℃まで加熱した。次に、塩化チオニル12.5g(0.11 mol)を反応温度70℃に保ちながら0.5 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液11.2gを得た。
【0030】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 0.6%、アクリル酸クロライド13.7%、3−クロロプロピオン酸クロライド79.7%であり、アクリル酸クロライド収率17.0%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率70.3%であった。
【0031】
[実施例3]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた50 ml ガラス製フラスコに、アクリル酸 7.2g(0.10 mol)とN,N-ジメチルホルムアミド0.07g(0.001mol)を入れ、攪拌しながら70℃まで加熱した。次に、塩化チオニル12.5g(0.11 mol)を反応温度70℃に保ちながら0.7 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液 8.5gを得た。
【0032】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 0.8%、アクリル酸クロライド36.0%、3−クロロプロピオン酸クロライド62.4%であり、アクリル酸クロライド収率35.3%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率61.1%であった。
【0033】
[実施例4]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた50 ml ガラス製フラスコに、アクリル酸 7.2g(0.10 mol)とN,N-ジメチルホルムアミド 7.2g(0.10 mol)を入れ、攪拌しながら70℃まで加熱した。次に、塩化チオニル12.5g(0.11 mol)を反応温度70℃に保ちながら1時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌して、反応液23.2gを得た。
【0034】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 0.1%、アクリル酸クロライド5.7 %、3−クロロプロピオン酸クロライド45.8%であり、アクリル酸クロライド収率14.5%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率83.6%であった。
【0035】
[実施例5]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とN,N-ジメチルホルムアミド1.46g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら30℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度30℃に保ちながら2.7 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液29.4gを得た。
【0036】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 1.1%、アクリル酸クロライド16.2%、3−クロロプロピオン酸クロライド62.7%であり、アクリル酸クロライド収率26.2%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率72.5%であった。
【0037】
[実施例6]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とN,N-ジメチルホルムアミド1.46g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら50℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度50℃に保ちながら2.2 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液27.1gを得た。
【0038】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 0.7%、アクリル酸クロライド 8.3%、3−クロロプロピオン酸クロライド80.0%であり、アクリル酸クロライド収率12.4%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率85.3%であった。
【0039】
[実施例7]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とN,N-ジメチルホルムアミド1.46g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら90℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度90℃に保ちながら1.7 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液24.4gを得た。
【0040】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 1.1%、アクリル酸クロライド 7.6%、3−クロロプロピオン酸クロライド75.1%であり、アクリル酸クロライド収率10.2%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率72.1%であった。
【0041】
[実施例8]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とN,N-ジメチルホルムアミド1.46g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら110 ℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度110 ℃に保ちながら1時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液18.8gを得た。
【0042】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 0.6%、アクリル酸クロライド 9.2%、3−クロロプロピオン酸クロライド72.8%であり、アクリル酸クロライド収率 9.6%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率54.0%であった。
【0043】
[比較例1]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた 50ml ガラス製フラスコに、アクリル酸 7.2g(0.10 mol)を入れ、攪拌しながら25℃まで加熱した。次に、塩化チオニル12.5g(0.11 mol)を反応温度25℃に保ちながら0.5 時間かけて滴下し、さらに7時間同温度で攪拌し、反応液9.6 gを得た。
【0044】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 5.5%、アクリル酸クロライド70.9%、3−クロロプロピオン酸クロライド22.3%であり、アクリル酸クロライド収率75.2%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率16.8%であった。
【0045】
[比較例2]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた 50ml ガラス製フラスコに、アクリル酸 7.2g(0.10 mol)を入れ、攪拌しながら50℃まで加熱した。次に、塩化チオニル12.5g(0.11 mol)を反応温度50℃に保ちながら1時間かけて滴下し、さらに1.5 時間同温度で攪拌し、反応液9.8 gを得た。
【0046】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 1.7%、アクリル酸クロライド54.6%、3−クロロプロピオン酸クロライド40.4%であり、アクリル酸クロライド収率58.9%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率31.0%であった。
【0047】
[比較例3]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)を入れ、攪拌しながら90℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度90℃に保ちながら2.2 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液20.9gを得た。
【0048】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 2.1%、アクリル酸クロライド40.0%、3−クロロプロピオン酸クロライド47.2%であり、アクリル酸クロライド収率46.3%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率38.9%であった。
【0049】
以上の実施例1〜8および比較例1〜3の反応条件と試験結果を表1にまとめて示す。
【0050】
【表1】
【0051】
比較例1〜3に示すように、塩基性有機化合物を存在させずにアクリル酸と塩化チオニルを反応させると、主生成物はアクリル酸クロライドとなり、3−クロロプロピオン酸クロライドの収率は40%以下と低くなった。これに対し、本発明に従って塩基性有機化合物の存在下で同じ反応を行うと、塩基性有機化合物の使用量がアクリル酸に対して0.01モル倍と少ない実施例3でも3−クロロプロピオン酸クロライドを60%以上の収率で得ることができ、条件によっては約85%という高収率をあげることができた。
【0052】
[実施例9]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とピリジン1.58g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら70℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度70℃に保ちながら2.3 時間かけて滴下し、さらに2時間同温度で攪拌し、反応液26.8gを得た。
【0053】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 2.5%、アクリル酸クロライド 8.7%、3−クロロプロピオン酸クロライド66.1%であり、アクリル酸クロライド収率12.9%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率69.9%であった。
【0054】
[実施例10]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とアニリン1.86g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら70℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度70℃に保ちながら2.3 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液23.1gを得た。
【0055】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 2.0%、アクリル酸クロライド 5.9%、3−クロロプロピオン酸クロライド68.9%であり、アクリル酸クロライド収率 7.5%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率62.6%であった。
【0056】
[実施例11]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とトリエチルアミン2.02g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら70℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度70℃に保ちながら1.8 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液27.4gを得た。
【0057】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 1.5%、アクリル酸クロライド 9.9%、3−クロロプロピオン酸クロライド43.3%であり、アクリル酸クロライド収率15.0%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率46.8%であった。
【0058】
[実施例12]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とトリオクチルアミン7.07g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら50℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度50℃に保ちながら2時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液33.0gを得た。
【0059】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 0.6%、アクリル酸クロライド18.5%、3−クロロプロピオン酸クロライド48.1%であり、アクリル酸クロライド収率33.8%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率62.4%であった。
【0060】
[実施例13]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とジ−2−メチルヘキシルアミン4.83g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら50℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度50℃に保ちながら2.2 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液29.9gを得た。
【0061】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 0.5%、アクリル酸クロライド12.2%、3−クロロプロピオン酸クロライド49.4%であり、アクリル酸クロライド収率20.1%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率58.1%であった。
【0062】
[実施例14]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)とジラウリルモノメチルアミン7.34g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら50℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度50℃に保ちながら2.3 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液34.2gを得た。
【0063】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 0.9%、アクリル酸クロライド15.8%、3−クロロプロピオン酸クロライド42.3%であり、アクリル酸クロライド収率29.8%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率57.0%であった。
【0064】
[実施例15]
攪拌機、温度計および還流冷却器を備えた100ml ガラス製フラスコに、アクリル酸14.4g(0.20 mol)と2−ピロリドン1.70g(0.02 mol)を入れ、攪拌しながら50℃まで加熱した。次に、塩化チオニル25.1g(0.21 mol)を反応温度50℃に保ちながら1.5 時間かけて滴下し、さらに1時間同温度で攪拌し、反応液25.3gを得た。
【0065】
反応液をガスクロマトグラフィで分析すると、アクリル酸 0.6%、アクリル酸クロライド12.9%、3−クロロプロピオン酸クロライド77.6%であり、アクリル酸クロライド収率18.1%、3−クロロプロピオン酸クロライド収率77.4%であった。
【0066】
以上の実施例9〜実施例15の反応条件および結果を表2にまとめて示す。
【0067】
【表2】
【0068】
表2からわかるように、反応系に存在させる塩基性有機化合物の種類を種々の化合物に変更しても、目的とする3−クロロプロピオン酸クロライドを高収率で得ることができた。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、アクリル酸という安価な原料を使用し、これに塩素化剤として取扱いの容易な塩化チオニルを反応させることにより、一段階の工程で効率的に3−クロロプロピオン酸クロライドを高収率で製造することができる。従って、本発明は、3−クロロプロピオン酸クロライドの工業的製造に適した有利な製造方法である。
Claims (1)
- アクリル酸と塩化チオニルを塩基性有機化合物の存在下に反応させることを特徴とする3−クロロプロピオン酸クロライドの製造方法。
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