JP3951775B2 - 記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録材に記録を行う記録部と、該記録部へ被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、該搬送ローラの回動量を検出するエンコーダとを備えた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置の一つとしてプリンタがあり、プリンタには、被記録材としての印刷用紙に印刷を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドの上流側に設けられ、該記録ヘッドへ印刷用紙を一定ピッチで搬送する搬送ローラとを備えるものがある。また、前記搬送ローラが、回動駆動される搬送駆動ローラと、該搬送駆動ローラに圧接して従動回動する搬送従動ローラとから構成され、前記搬送駆動ローラと前記搬送従動ローラとで印刷用紙をニップし、そして前記搬送駆動ローラを回動駆動することによって印刷用紙を搬送するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、搬送駆動ローラの回動軸は、該回動軸と、該回動軸を軸支する軸受部との間にクリアランスがある場合には、印刷用紙の搬送動作時に、印刷用紙から受ける搬送負荷によって、印刷用紙の搬送方向に微動する(僅かに変位する)場合がある。
【0004】
しかし、この様に搬送駆動ローラの回動軸が微動すると、印刷用紙の頭出し位置が僅かに変動し、これによって印刷用紙上において目的とする正しい位置から印刷を開始することができず、意図した印刷結果を得られないといった不具合が生じることがある。
【0005】
そこで本発明はこの様な問題に鑑みなされたものであり、その課題は、搬送駆動ローラの微動状態を検出することにより、以て適切な印刷結果を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る記録装置は、被記録材に記録を行う記録部と、該記録部へ被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、該搬送ローラの回動量を検出するエンコーダと、を備えた記録装置であって、前記搬送ローラが、駆動モータによって回動駆動される駆動歯車と、前記搬送ローラの回動軸に設けられる従動歯車とに掛架される無端ベルトによって回動駆動される様に構成され、前記エンコーダが、円周方向に光遮断部と光透過部とが一定ピッチで交互に配置されてなる回転検出用パターンを外周部に備えた、前記搬送ローラの回動軸に取り付けられる円盤状スケールと、該円盤状スケールの回転に伴う前記回転検出用パターンの状態変化を電気信号に変換する、発光部と受光部とからなるセンサと、を備え、前記センサが、前記円盤状スケールの回動中心に対し、被記録材の搬送方向と略直交する方向またはその近傍に配置されていることを特徴とする。
【0007】
搬送ローラの回動量を検出するエンコーダは、円周方向に光透過部と光遮断部とが一定ピッチで交互に配置されてなる回転検出用パターン(放射状スリット)が付された円盤状スケールと、回転検出用パターンの回転を検出して前記回転を電気信号に変換するセンサと、から構成され、前記円盤状スケールを、被回転検出軸としての搬送ローラの回動軸に取り付けることにより、前記回転検出用パターンの状態変化をセンサで検出し、該センサからの出力信号によって被記録材の搬送量や搬送速度を求める様になっている。
【0008】
そこで、本発明の第1の態様は、前記センサを、前記円盤状スケールの回動中心に対し、被記録材の搬送方向と略直交する方向またはその近傍に配置した。従ってこれにより、被記録材の搬送動作の際に搬送ローラの回動軸が被記録材の搬送方向に微動(僅かに変位)すると、前記搬送ローラの回動軸に設けられた円盤状スケールもこれに伴って微動し、これによって前記センサが前記回転検出用パターンの状態変化を検出することになる。故に、搬送ローラの回動量を検出するエンコーダによって搬送ローラの微動状態(微動方向、微動量)が検出可能となって、従ってこれを用いることにより、適切な被記録材の搬送動作を行うことが可能となる。
【0009】
つまり、前記センサによって回転検出用パターン(放射状スリット)の状態変化を検出可能な方向(前記センサにおける、前記円盤状スケールの外周の接線方向)に対して、前記円盤状スケール(前記搬送ローラ)が微動する方向が略平行となり、これにより、専用のセンサ等を別途設けることなく、既存の構成要素である前記エンコーダを利用して、低コストに前記搬送ローラの微動状態を検出して、適切な被記録材の搬送動作を行うことが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る記録装置は、被記録材に記録を行う記録部と、該記録部へ被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、該搬送ローラの回動量を検出するエンコーダと、を備えた記録装置であって、前記搬送ローラが、駆動モータによって回動駆動される駆動歯車と、前記搬送ローラの回動軸に設けられる従動歯車とに掛架される無端ベルトによって回動駆動される様に構成され、前記エンコーダが、円周方向に光遮断部と光透過部とが一定ピッチで交互に配置されてなる回転検出用パターンを外周部に備えた、前記搬送ローラの回動軸に取り付けられる円盤状スケールと、該円盤状スケールの回転に伴う前記回転検出用パターンの状態変化を電気信号に変換する、発光部と受光部とからなるセンサと、を備え、前記センサが、前記円盤状スケールの回動中心に対し、被記録材搬送時に前記搬送ローラの回動軸が微動する方向と略直交する方向またはその近傍に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、エンコーダにおいて回転検出用パターンの状態変化を電気信号に変換する前記センサを、前記円盤状スケールの回動中心に対し、被記録材搬送時に前記搬送ローラの回動軸が微動する方向と略直交する方向またはその近傍に配置したので、前述した本願請求項1記載の発明と同様に、前記センサによって回転検出用パターン(放射状スリット)の状態変化を検出可能な方向(前記センサにおける、前記円盤状スケールの外周の接線方向)に対して、前記円盤状スケール(前記搬送ローラ)が微動する方向が略平行となり、これにより、専用のセンサ等を別途設けることなく、既存の構成要素である前記エンコーダを利用して、低コストに前記搬送ローラの微動状態を検出して、適切な被記録材の搬送動作を行うことが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る記録装置は、第1のまたは第2の態様において、前記駆動歯車と、前記搬送ローラの回動軸と、前記センサとが略一直線上に配置されていることを特徴とする。前記搬送ローラの回動軸は、該駆動軸に設けられた従動歯車と、回動駆動される駆動歯車とに掛架された無端ベルトによって回動駆動されるので、前記無端ベルトのテンションが変動すると、前記搬送ローラの回動軸がテンション方向(おおよそ、前記駆動歯車と、前記従動歯車とを結ぶ直線方向)に微動し、これにより、前記円盤状スケールが前記センサに対して相対的に移動し、正確な回転検出を行うことができないといった不具合が生じる場合もある。
【0013】
しかし、本発明の第3の態様は、エンコーダにおいて回転検出用パターンの状態変化を電気信号に変換するセンサと、前記駆動歯車と、前記被回転検出軸とを略一直線上に配置したので、これによって前記円盤状スケールは、前記センサに対して径方向に微動することになり、従って前記円盤状スケールの微動動作が前記センサによって検出されず、よって正確な回転検出を行うことが可能となる。
【0014】
つまり、前記センサによって回転検出用パターン(放射状スリット)の状態変化を検出可能な方向に対して、前記円盤状スケールが微動する方向が略直交することとなるので、前記円盤状スケールが微動しても、前記センサによる回転検出に影響を及ぼさない様にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下では先ず、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)100の概略構成について図1を参照しつつ説明する。ここで、図1はプリンタ100の側断面概略図である。尚、以下では、図1の左側(プリンタ100の後方側)を「上流側」(用紙搬送経路の上流側)と言い、図1の右側(プリンタ100の前方側)を「下流側」(用紙搬送経路の下流側)と言うこととする。
【0016】
プリンタ100は、上流側に給紙装置1を備え、該給紙装置1から印刷用紙を装置前方側へと1枚ずつ給送する。ここで、図1に示す様に給紙装置1は、給紙ローラ3と、ホッパ5と、分離パッド7とを備えている。
【0017】
図示しない駆動モータによって回動駆動される給紙ローラ3は側面視略D形の形状をなし、ローラ本体3aと、該ローラ本体3aの外周部に巻回されるゴム材3bとから構成されている。給紙ローラ3は、その円弧部分によって用紙Pを給送する一方、平坦部分によって用紙Pを通過させて、下流側の搬送ローラ17による搬送動作時に搬送負荷を与えない様になっている。
【0018】
ホッパ5は板状体からなり、図示する様に傾斜姿勢に設けられ、且つ、上部に設けられた回動軸5aを中心に図1の時計方向及び反時計方向に揺動可能に設けられている。そして、図示しないカム機構によって揺動駆動されることにより、下端部が給紙ローラ3に対して圧接及び離間動作する様になっている。従って、ホッパ5が給紙ローラ3に対して圧接方向に揺動すると、ホッパ5上に堆積された用紙Pの束は給紙ローラ3に圧接し、そして当該圧接状態で給紙ローラ3が回動することにより、堆積された用紙Pの最上位のものが下流側へと給送される。
【0019】
分離パッド7は、高摩擦部材からなり、給紙ローラ3と対向する位置に設けられている。給紙ローラ3が回動すると、給紙ローラ3の円弧部分と分離パッド7とが圧接し、圧接部が形成される。給紙ローラ3の円弧部分によって繰り出された最上位の用紙Pは、前記圧接部を通過して下流側へと進むが、最上位の用紙Pにつられて下流側へと進もうとする次位以降の用紙Pは、前記圧接部により、下流側への進行が阻止され、これによって用紙Pの重送が防止される。
【0020】
次に、給紙装置1の下流には板状体からなる紙案内15が略水平に設けられ、給紙ローラ3によって繰り出された用紙Pの先端が該紙案内15に斜めに当接し、滑らかに下流側に案内される。紙案内15から下流には回動駆動される搬送駆動ローラ17aと、該搬送駆動ローラ17aに圧接する搬送従動ローラ17bとからなる搬送ローラ17が設けられ、用紙Pは、当該搬送駆動ローラ17aと搬送従動ローラ17bとにニップされて、一定ピッチで下流側に搬送される。ここで、搬送従動ローラ17bは搬送従動ローラホルダ21の下流側に軸支されていて、当該搬送従動ローラホルダ21は、回動軸21aを中心に図1の時計方向及び反時計方向に回動可能に設けられ、且つ、図示しないねじりコイルばねによって搬送従動ローラ17bが常に搬送駆動ローラ17aに圧接する方向(図1の時計方向)に回動付勢されている。尚、搬送駆動ローラ17aは、主走査方向(図1の紙面表裏方向)に長い軸体からなり、搬送従動ローラ17bと搬送従動ローラホルダ21とは、共に搬送駆動ローラ17aの軸方向に複数配設されている(図示は省略)。
【0021】
次に、最も0桁側(図1の紙面裏側)に位置する搬送従動ローラホルダ21近傍には、用紙Pの通過を検出する、センサ本体部19bと検出レバー19aとからなる紙検出器19が配設されている。検出レバー19aは側面視略「く」の字の形状をなし、その中央付近の回動軸19cを中心に図1の時計方向及び反時計方向に回動可能に設けられている。検出レバー19aの上方に位置するセンサ本体部19bは発光部(図示せず)及び該発光部からの光を受ける受光部(図示せず)を備え、検出レバー19aの回動軸19cから上側が、その回動動作により、前記発光部から前記受光部に向かう光の遮断及び通過を行う様になっている。従って、図1に示す様に用紙Pの通過に伴って検出レバー19aが上方に押し上げられるように回動すると、検出レバー19aの上側がセンサ本体部19bから外れ、これによって前記受光部が受光状態となって、用紙Pの通過を検出する様になっている。
【0022】
続いて、搬送駆動ローラ17aの下流には、プラテン27及びインクジェット記録ヘッド25が上下に対向する様に配設され、搬送ローラ17によってインクジェット記録ヘッド25の下へ搬送される用紙Pは、プラテン27によって下から支持される。インクジェット記録ヘッド25はインクカートリッジ24を搭載するキャリッジ23の底部に設けられ、該キャリッジ23は、主走査方向(図1の紙面表裏方向)に延びるキャリッジガイド軸14によって主走査方向にガイドされる。ここで、キャリッジ23は、図2に示す様にCR(キャリッジ)モータ61によって回動駆動される駆動プーリ62と、自由回動可能な従動プーリ(図示せず)とに掛架された無端ベルト60の一部に固着され、これにより、キャリッジ23は、CRモータ61の回動によって主走査方向に往復動する様になっている。
【0023】
次に、図1に戻ってインクジェット記録ヘッド25から下流は排紙部となっていて、回動駆動される排紙駆動ローラ29aと、自由回動可能な排紙従動ローラ29bとからなる排紙ローラ29が設けられている。従ってインクジェット記録ヘッド25によって印刷の行われた用紙Pは、排紙駆動ローラ29aと排紙従動ローラ29bとによってニップされた状態で排紙駆動ローラ29aが回動することにより、矢印方向に排出される。
【0024】
ところで、搬送ローラ17と排紙ローラ29とは、協働して以下の様な作用効果を奏している。即ち、図1に示す様に、搬送ローラ17において搬送駆動ローラ17aと搬送従動ローラ17bとのニップ点がやや下流側に設定されていて、また、排紙ローラ29においては、排紙駆動ローラ29aと排紙従動ローラ29bとのニップ点がやや上流側に設定されている。従ってこれにより、搬送ローラ17と排紙ローラ29との間においては、用紙Pは図示する様に下に凸となる様な緩やかな湾曲状態となり、これにより、用紙Pがプラテン27に押し付けられる様になっている。その結果、用紙Pのプラテン27からの浮き上がりが防止され、印刷面と記録ヘッド25との距離が一定に保たれるので、印刷品質の低下を防止できる様になっている。
【0025】
以上がプリンタ100の用紙搬送経路の構成であり、以下、図2を参照しつつ、プリンタ100の制御部50の構成について説明する。ここで、図2は、制御部50のブロック図である。制御部50は、プリンタ100に印刷情報を送信するホスト・コンピュータ200との間でデータの送受信が可能に構成され、ホスト・コンピュータ200とのインタフェース部(以下「IF」と言う)51と、ASIC52,RAM53,PROM54,EEPROM55,CPU56,発振回路57,DCユニット58,紙送りモータドライバ59,CRモータドライバ65,ヘッドドライバ66を備えている。
【0026】
CPU56はプリンタ100の制御プログラムを実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行い、発信回路57は、CPU56に対して各種処理に必要な周期的な割り込み信号を発生させる。ASIC52は、ホスト・コンピュータ200からIF51を介して送信される印刷データに基づいて印刷解像度や記録ヘッド25の駆動波形等を制御するものである。RAM53は、ASIC52およびCPU56の作業領域や他のデータの1次格納領域として用いられ、PROM54およびEEPROM55には、プリンタ100を制御する為に必要な制御プログラム(ファームウェア)および処理に必要なデータが格納されている。
【0027】
紙送りモータドライバ59は、DCユニット58の制御の下、紙送りモータ67を駆動制御して、複数の駆動対象、即ち、前述した給紙ローラ3、搬送駆動ローラ17a、排紙駆動ローラ29aを回動させる。CRモータドライバ65は、DCユニット58の制御の下、CRモータ61を駆動制御することによりキャリッジ23を主走査方向に往復動させ、または停止・保持させる。ヘッドドライバ66は、CPU56の制御の下、ホスト・コンピュータ200から送信された印刷データに従って記録ヘッド25を駆動制御する。
【0028】
CPU56およびDCユニット58には、搬送される用紙Pの始端および終端を検出する紙検出器19からの検出信号と、後に詳述する、搬送駆動ローラ17aの回動量を検出するロータリエンコーダ30からの出力信号と、キャリッジ23の主走査方向における絶対位置を検出するリニアエンコーダ64からの出力信号とが与えられる。リニアエンコーダ64は、主走査方向に長い符号板63と、該符号板63において主走査方向に複数形成されたスリットに対して発光する発光部(図示せず)および前記スリットを通過した光を受光する受光部(図示せず)から構成され、前記スリットを通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを出力し、キャリッジ23の主走査方向における絶対位置を検出する。ロータリエンコーダ30は、後述する様に搬送駆動ローラ17aの回動状態を検出し、制御部50は、ロータリエンコーダ30からの出力信号を受信することによって、搬送駆動ローラ17aの回動量および回動速度を算出し、これにより、適切な紙送り制御を実行することができる様になっている。
【0029】
以上が制御部50の概略構成であり、続いて、プリンタ100の装置本体の側面に設けられる動力伝達装置40およびロータリエンコーダ30の詳細な構成について図3乃至図8を参照しつつ説明する。ここで、図3はプリンタ100の装置本体の側面図、図4は円盤状スケール31の平面図および部分拡大図、図5はロータリエンコーダ30の平面図である。また、図6はピニオン歯車41、搬送駆動ローラ17a、フォトインタラプタ34の位置関係を示す説明図であり、図7および図8は円盤状スケール31とフォトインタラプタ34との位置関係を示す説明図である。
【0030】
先ず、図3において、動力伝達装置40は、プリンタ100の基体を構成するサイドフレーム2に設けられている。尚、サイドフレーム2は、プリンタ100の装置本体の両側に立設されているが、図3に示す動力伝達装置40は、プリンタ100の装置本体の左側に立設されたサイドフレーム2に設けられている。
【0031】
サイドフレーム2は、図1を参照しつつ説明した搬送駆動ローラ17aを軸支する。搬送駆動ローラ17aの軸端には、搬送駆動ローラ歯車46が設けられている。搬送駆動ローラ17aから後方(プリンタ100の後方)下側には、図2を参照しつつ説明した紙送りモータ67が、その回動軸67aを搬送駆動ローラ17aの軸方向と平行にした状態で、且つ、回動軸67aをサイドフレーム2の外側(図3の紙面表側)に突出する様に、サイドフレーム2にねじ固定されている。
【0032】
紙送りモータ67の回動軸にはピニオン歯車41が取り付けられ、該ピニオン歯車41と搬送駆動ローラ歯車46との間には、無端ベルト42が掛架されている。従ってこれにより、紙送りモータ67が回動すると、無端ベルト42が稼働して、これによって搬送駆動ローラ17aが回動する様になっている。また、図1を参照しつつ説明した排紙駆動ローラ29aの、回動軸29cの軸端には、排紙駆動ローラ歯車45が設けられている。そして、該排紙駆動ローラ歯車45と、搬送駆動ローラ歯車46とともに2段歯車を構成する伝達歯車43との間には伝達歯車44が設けられ、これらの歯車が噛合した状態となっている。従って紙送りモータ67が回動すると、搬送駆動ローラ17aが回動するとともに排紙駆動ローラ29aが回動する様にもなっている。
【0033】
以上が動力伝達装置40の構成であり、以下、ロータリエンコーダ30の構成について説明する。図3および図4に示す様に、ロータリエンコーダ30は、サイドフレーム2に取り付けられるセンサ部32と、搬送駆動ローラ17aの軸端に取り付けられ、「被回転検出軸」としての搬送駆動ローラ17aと共に回転する円盤状スケール31とから大略構成されている。
【0034】
サイドフレーム2に取り付けられるセンサ部32は、基体となるセンサホルダ32aに、フォトインタラプタ34と、基板38とを備えている。基板38には、外部への電気信号の送信用端子及び外部からの電力供給用端子を有するコネクタ39が設けられていて、ロータリエンコーダ30は、当該コネクタ39を介して制御装置50(図2)と接続される。
【0035】
フォトインタラプタ34は、図4に示す様に光を放射する発光部34aと、発光部34aの放射光を受光する受光部34bとから構成されていて、両者の間には、間隔34cが形成されている。そして、当該間隔34cには、サイドフレーム2のなす平面と平行に設けられた円盤状スケール31の外周部が挟入する様になっていて、発光部34aから受光部34bに放射される光の光軸が、円盤状スケール31の外周部を垂直に貫く様に、発光部34a、受光部34b、円盤状スケール31とが配設されている。
【0036】
円盤状スケール31は、図5に示す様に、その外周部に光透過部33aと光遮断部33bとが円周方向に一定ピッチで交互に繰り返し形成されてなる回転検出用パターン(スリットパターン)33を有している。そして、円盤状スケール31は、図4に示す様にフォトインタラプタ34の発光部34aと受光部34bとに接触しない様に、その外周部が間隔34cに挟入する様に設けられている。
【0037】
次に、図3および図4に戻ってセンサホルダ32aには、発光部34aの下部から上部付近に伸びる様なアーム部35と、受光部34bの上部付近において該受光部34bを挟む様に配置される内側規制部36及び37が、センサホルダ32aと一体的に形成されている。アーム部35の先端部には、円盤状スケール31の表面(図3の紙面表側面:図4の右側面)と対向する側に、円盤状スケール31に向かって突出する様な突起状の外側規制部35aが形成されていて、内側規制部36および37は、円盤状スケール31の裏面(図3の紙面裏側面:図4の左側面)に向かって突出する様な突起形状をなしている。
【0038】
ここで、外側規制部35aは、図4において発光部34aの発光面から円盤状スケール31側に僅かに突出し、且つ、円盤状スケール31の表面との間に僅かな隙間を形成し、円盤状スケール31が表側(図4の右側)に撓まない様に規制を行っている。また、内側規制部36および37は、同様に受光部34bの受光面から円盤状スケール31に向かって僅かに突出し、且つ、円盤状スケール31の裏面との間に微小な隙間を形成し、円盤状スケール31が裏側(図4の左側)に撓まない様に規制を行っている。
【0039】
そして、間隔34cに挟入する円盤状スケール31の外周部において、回転検出用パターン33がフォトインタラプタ34の光軸上に位置する様に、センサホルダ32aの取り付け位置が調整されている。従って、円盤状スケール31が搬送駆動ローラ17aの回動に伴って回転すると、回転検出用パターン33は、発光部34aから受光部34bに向かう光の透過と遮断とを繰り返すこととなる。すると、フォトインタラプタ34からはONとOFFとを交互に繰り返す矩形波の信号が制御部50(図2)に与えられ、制御部50は、この矩形波の個数から搬送駆動ローラ17aの回動量を求めると同時に、矩形波の繰り返し周期から搬送駆動ローラ17aの回動速度を求め、必要な印刷制御を行う様になっている。
【0040】
以上がロータリエンコーダ30の構成であり、以下、図6乃至図8を参照しつつ、本実施形態に係るロータリエンコーダ30の作用効果について詳説する。 図6において、線Sは、ピニオン歯車41と搬送駆動ローラ17aの中心を結ぶ線である。前述の様に、搬送駆動ローラ17aは、該搬送駆動ローラ17aの軸端に設けられた搬送駆動ローラ歯車46と、回動駆動されるピニオン歯車41とに掛架された無端ベルト42が稼働することによって回動駆動される様に構成されている為、搬送駆動ローラ17aには、無端ベルト42のテンションが付与された状態となっている。
【0041】
そして、無端ベルト42が稼働すると、無端ベルト42のテンションの変動によって搬送駆動ローラ17aがテンション方向(線Sに沿う方向)に微動(僅かに変位)する。これは、サイドフレーム2における搬送駆動ローラ17aの軸受部に、僅かにクリアランスが存在する為である。すると、円盤状スケール31もフォトインタラプタ34に対して相対的に移動し、これによって、搬送駆動ローラ17aの回転検出に影響を及ぼす虞がある。
【0042】
特に、センサ部32が、図6において仮想線および符号32’で示す様な位置、つまり上記テンション方向に対して直交する様な位置に配設されていると、図5に示した回転検出用パターン33が、フォトインタラプタ34に対して検出方向(フォトインタラプタ34における、円盤状スケール31の外周の接線方向)に微動することとなり、搬送駆動ローラ17aの回動状態に関わらず、搬送駆動ローラ17aの微動動作がロータリエンコーダ30によって検出されてしまうことになる。
【0043】
ここで、図7は、搬送駆動ローラ17aと、フォトインタラプタ34と、円盤状スケール31との位置関係を模式的に表した図であり、図中、符号2aはサイドフレーム2における搬送駆動ローラ17aの軸受部を、符号34dは、フォトインタラプタ34における受光部34b(図4)の検出エリアを、符号Cで示す直線は、搬送駆動ローラ17a、円盤状スケール31、検出エリア34dの中心を通る直線を示している。また、円盤状スケール31の外周に符号0〜3とともに示したスリット形状は、図5に示した光遮断部33bを模式的に示したものである。そして、図7(a)は、検出エリア34d内に、符号0で示す光遮断部33bが位置している様子を示している。
【0044】
図7(a)から明かな様に、図7(a)に示す均衡状態から検出エリア34d(フォトインタラプタ34)に対して搬送駆動ローラ17aが左右方向に微動した場合は、符号0で示す光遮断部33bが検出エリア34dから外れ、搬送駆動ローラ17aの回動状態に関わらず、一定の回動状態を検出することになる。これは、図6において符号32’および仮想線で示す位置にセンサ部32を配置した様な場合である。
【0045】
しかし、本実施形態においてセンサ部32は、図6に示す様に円盤状スケール31(搬送駆動ローラ軸17a)の微動方向としての線Sの近傍にフォトインタラプタ34が位置する様に配設されているので、無端ベルト42のテンション変動に伴って搬送駆動ローラ17aが微動しても、図7(b)に示す様に符号0で示す光遮断部33bは検出エリア34d内から外れず、従ってロータリエンコーダ30は一定の回動状態を検出することは無い。
【0046】
つまり、フォトインタラプタ34によって回転検出用パターン33の状態変化を検出可能な方向(検出エリア34dにおける、円盤状スケール31の外周の接線方向:図7の左右方向)に対して、円盤状スケール31が微動する方向が略直交することとなるので(図7の上下方向)、無端ベルト42の稼働に伴って無端ベルト42のテンションが変動しても、円盤状スケール31は、回転検出が行われる方向とは無関係な方向に微動し、以てフォトインタラプタ34による回転検出に影響を及ぼさない様にすることが可能となっている。
【0047】
尚、本実施形態においてはピニオン歯車41と、搬送駆動ローラ17aと、フォトインタラプタ34とを略一直線上(線S上)に配置しているが、無端ベルト42のテンション変動による搬送駆動ローラ17aの微動方向は、テンション分布の非対称性によって必ずしも線Sで示す方向(ピニオン歯車41と搬送駆動ローラ歯車46との中心を結ぶ直線の方向)とはならず、やや外れる場合もある。その場合は、その様な搬送駆動ローラ17aの微動方向の延長線上又はその近傍にフォトインタラプタ34を配置すれば、確実に上述した作用効果を得ることが可能となる。
【0048】
次に、搬送駆動ローラ17aは、用紙Pの搬送動作時に、用紙Pから受ける搬送負荷によって、用紙Pの搬送方向(搬送駆動ローラ17aの軸方向と直交する方向)に微動する場合がある。即ち、図6において、線Tは搬送駆動ローラ17aと搬送従動ローラ17bとの中心を結ぶ線であり、従って搬送駆動ローラ17aは用紙Pの搬送動作に際して用紙Pから線Tと直交する方向、即ち、用紙Pの搬送方向に微動する場合がある。そして、この様に搬送駆動ローラ17aが微動すると、例えば用紙Pの頭出し位置が僅かに変動し、これによって正しい位置から印刷動作を開始することができず、意図した印刷結果を得られないといった不具合が生じる虞がある。
【0049】
しかし、本実施形態においては、図6に示す様にフォトインタラプタ34を、円盤状スケール31の回動中心に対し、用紙Pの搬送方向、即ち搬送駆動ローラ17aが微動する方向と略直交する方向である、線Tの近傍に配置した。従って、用紙Pの搬送動作の際に、搬送駆動ローラ17aが用紙Pの搬送方向に微動すると、これに伴って円盤状スケール31も用紙Pの搬送方向に微動し、従って図8(a)から(b)への変化に示す様に検出エリア34dから、符号0で示す光遮断部33bが外れて、フォトインタラプタ34が円盤状スケール33の状態変化を検出することになる。
【0050】
そして、隣接する光遮断部33bの円周方向ピッチ(図5参照)は予め判明しているから、ロータリエンコーダ30によって、搬送駆動ローラ17aの微動状態(微動方向、微動量)が検出可能となって、これを用いれば、適切な用紙Pの搬送動作を行うことが可能となる。即ち、用紙Pの頭出し動作の際に搬送駆動ローラ17aが微動しても、これを補正することができ、以て正確な頭出し動作を行うことができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、エンコーダを構成するセンサを、エンコーダを構成する円盤状スケールの回動中心に対し、被記録材の搬送方向と略直交する方向に配置したので、被記録材の搬送動作の際に搬送ローラの回動軸が被記録材の搬送方向に微動(僅かに変位)すると、前記搬送ローラの回動軸に設けられた円盤状スケールもこれに伴って微動し、これによって前記センサが前記回転検出用パターンの状態変化を検出することになる。故に、搬送ローラの回動量を検出するエンコーダによって搬送ローラの微動状態(微動方向、微動量)が検出可能となって、従ってこれを用いることにより、適切な被記録材の搬送動作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの側断面概略図である。
【図2】本発明に係るインクジェットプリンタの、制御部のブロック図である。
【図3】本発明に係るインクジェットプリンタの、装置本体の側面図である。
【図4】円盤状スケールの平面図および部分拡大図である。
【図5】ロータリエンコーダの平面図である。
【図6】ピニオン歯車、搬送駆動ローラ、フォトインタラプタの配置関係を示す説明図である。
【図7】円盤状スケールとフォトインタラプタとの位置関係を示す説明図である。
【図8】円盤状スケールとフォトインタラプタとの位置関係を示す説明図である。
【符号の説明】
2 サイドフレーム
17 搬送ローラ
17a 搬送駆動ローラ
17b 搬送従動ローラ
30 ロータリエンコーダ
31 円盤状スケール
32 センサ部
33 回転検出用パターン
34 フォトインタラプタ
34a 発光部
34b 受光部
35 外側規制部
36,37 内側規制部
38 基板
39 コネクタ
40 動力伝達装置
41 ピニオン歯車
42 無端ベルト
43 伝達歯車
44 伝達歯車
45 排紙駆動ローラ歯車
46 搬送駆動ローラ歯車
50 制御部
67 紙送りモータ
100 インクジェットプリンタ
P 印刷用紙
Claims (2)
- 被記録材に記録を行う記録部と、
該記録部へ被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、
該搬送ローラの回動量を検出するエンコーダと、を備えた記録装置であって、
前記搬送ローラが、駆動モータによって回動駆動される駆動歯車と、前記搬送ローラの回動軸に設けられる従動歯車とに掛架される無端ベルトによって回動駆動される様に構成され、
前記エンコーダが、円周方向に光遮断部と光透過部とが一定ピッチで交互に配置されてなる回転検出用パターンを外周部に備えた、前記搬送ローラの回動軸に取り付けられる円盤状スケールと、
該円盤状スケールの回転に伴う前記回転検出用パターンの状態変化を電気信号に変換する、発光部と受光部とからなるセンサと、を備え、
前記センサが、前記円盤状スケールの回動中心に対し、被記録材搬送時に前記搬送ローラの回動軸が微動する方向と略直交する方向またはその近傍に配置されている、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1において、前記駆動歯車と、前記搬送ローラの回動軸と、前記センサとが略一直線上に配置されている、
ことを特徴とする記録装置。
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