JP3951070B2 - バッテリーの充放電検査方法及び充放電用接触ピン装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば製造されたリチウムイオン電池等のバッテリーを製品として出荷する前に、バッテリーの良否を検査する方法及びその方法の実施に使用される充放電用接触ピンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にバッテリーの生産において、製造されたバッテリーに内部ショート等があったりすると、バッテリーとしての機能を果たさないばかりでなく、充放電時において、発熱が生ずると言う不都合が生じたりする虞がある。その不都合を避けるために、製造された全てのバッテリーに対して、個々のバッテリーが適正であるか否かの検査が行われている。
【0003】
その検査については、例えば、図6に略示したような手法が用いられている。即ち、検査すべき多数個のバッテリー1に対して、その陽極及び陰極にピン治具2,3の各接触ピン4,5を夫々接触させ、これらピン治具2,3を介して充電するための電力を供給する電源部6が接続されている。なお、放電の場合には、前記電源部6が、所謂負荷部となるものである。
【0004】
検査すべきバッテリー1は、通常200個程度が同時に検査されるようになっており、これら検査に供されるバッテリーは、図示していないが、所定数が縦列及び横列に整列した状態で上下が開放する専用のトレイに収納され、そのトレイ毎検査部に搬送されて、そのトレイに収納されている全部のバッテリーに対し、上下からピン治具2,3の接触ピン4,5を対応するバッテリー1に夫々接触させて同時に充電させ、また同時に放電させて検査を行うようにしている。
【0005】
この場合に、トレイに収納されているバッテリーの数及び配列に対応して、ピン治具2,3における接触ピン4,5が設けられており、夫々の接触ピンで対応するバッテリーに対し充放電を行って個々のバッテリーの善し悪しを判定するものであるが、個々のバッテリーの合否の基準は発熱状態によって判定されるために、各バッテリーに夫々接触させて温度センサーが配設されている。
【0006】
従来技術においては、先端に温度センサーを有する温度計測専用ピンが用いられている。この温度計測専用ピンは上下のピン治具2,3のいずれか一方に取り付けられるものであり、いずれか一方のピン治具の接触ピンの数だけ用意し、各接触ピンに夫々近接して取り付け、先端の温度センサーを各パッテリーに夫々直接接触させて温度の計測を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような温度計測専用ピンを用いると、温度計測専用ピン自体が高価であるため、検査装置全体がコストアップとなり、必然的に検査費用がコストアップになるという経済的な面で問題点がある。
【0008】
また、ピン治具に対して充放電用の接触ピンと温度計測専用ピンとを近接して別々に取り付けることにより、接触ピンはバッテリーの電極に、温度計測専用ピンはバッテリーの所定位置に接触させるように取り付けなければならず、その機械的取り付けが困難であると共に、例えば接触ピンが適正に接触していても、温度計測専用ピンに接触不良がある場合、又はその逆の場合には、適正な検査が行われないことになり、検査自体に問題が生ずる。
これは、一つのバッテリーに対して二つの接触部を持たせることに問題が生ずるのである。
【0009】
従って、従来例におけるバッテリーの検査においては、構成を簡単にして検査のためのコストを下げること、及び常に適正な検査が遂行できるようにすることに解決しなければならない課題を有している。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記従来例の課題を解決する具体的手段として本発明は、検査されるべきバッテリーの電極にピン治具の接触ピンを接触させて充放電を行わせるようにした充放電検査方法であって、前記ピン治具の接触ピンに充放電時のバッテリーの温度変化状態および電極との接触状態を検出する温度センサーを設けて充放電を行わせることを特徴とするバッテリーの充放電検査方法、並びに、検査されるべきバッテリーの電極に接触させて充放電を行わせるようにしたピン治具の接触ピンであって、前記接触ピンに充放電時のバッテリーの温度変化状態および電極との接触状態を検出する温度センサーを設けたことを特徴とするバッテリーの充放電用接触ピン装置を提供するものである。
【0011】
また、前記充放電用接触ピン装置においては、温度センサーは、接触ピンに対して着脱自在に設けてあること、及び接触ピンの内部に挿入して設けてあることを付加的要件として含むものである。
【0012】
本発明においては、充放電を行う接触ピンに温度センサーを設けたことにより充放電と温度検出とが一つの接触ピンを介して行われるので、余分な温度計測専用ピンを必要とせず、検査装置の構成が簡単でありながら、しかも一つのバッテリーに対する充放電または検査のための接触部位が電極であることから、充放電が適正に行えれば、適正な検査が行えるのである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明を図示の一実施例により更に詳しく説明する。尚、理解を容易にするため、従来例と同一部分には同一符号を付して説明する。
図1は、本発明の検査方法を実施するシステムを略示的に示したものである。このシステムにおいては、ホストコンピュータ10が使用され、トレイ番号リーダー11と、複数の充放電装置12a,12b、12c、……と、不良排出装置13とを制御するものである。
【0014】
トレイ番号リーダー11は、所定の本数のバッテリー1が縦列及び横列に整列して収納されたトレイ14の番号を読み取り、その番号をホストコンピュータ10に情報として入力する。ホストコンピュータ10は、その番号のトレイ14を複数あるどの充放電装置12a,12b、12c、……に搬送するかを指示し、例えば、ベルトコンベア等の搬送手段を介して指示された充放電装置に搬送して充放電による検査を行う。
【0015】
トレイ14は、例えば、図2に示したように、トレイ14の一部に、バーコード等の識別子15が貼着されており、それを読み取ることにより、トレイを特定することができると共に、そのトレイに整列して収納されている多数のバッテリー1は、製造されたばかりの例えばリチウムイオン電池であり、縦列及び横列で夫々特定された番地で個々のバッテリーを区別できるようになっている。なお、識別子15には、作業員が目視できるように対応する数字を併記しても良い。
【0016】
充放電装置12a,12b、12c、……は、前記従来例と略同様のピン治具が使用されるが、従来例のものと違う点は、接触ピンの構成も含めた温度検出手段である。
【0017】
そのピン治具における温度検出手段の第1実施例を、図3〜4に示してある。即ち、上下に配設されるピン治具2,3は、それぞれ多数の接触ピン4,5を有しており、トレイ14に収納された多数のバッテリー1の陽極と陰極とに夫々接触させて充放電を行う構成にしたものである。そして、これらピン治具2,3に電源部6が接続されており、放電の場合には、前記電源部6が負荷部となるものである。
【0018】
このピン治具2,3において、一方のピン治具2の個々の接触ピン4に対して温度センサー16が夫々着脱自在に取り付けられている。この取り付け構造は、例えば、接触ピン4を挟み付ける構成のバネ部材17に対して温度センサー16を取り付け、該バネ部材17を介して着脱自在に取り付けられる。このように着脱自在に取り付けることで、温度センサー16が劣化したときに簡単に取り替えることができるのである。温度センサー16からはリード線18が取り出されており、該リード線18を介して温度センサー16の情報が出力される。
【0019】
ピン治具における第2実施例を図5に示してある。この第2実施例においては、接触ピン4自体の構成を変えたものであり、内部に温度センサー16を取り付けたものである。つまり、接触ピン4を有低筒体に形成し、その内部に温度センサー16を収納して、例えば、熱導電性の良好な樹脂剤19を注入して固定してある。この場合に、温度センサ−16が位置する部位は、接触ピン4の電極との接触端側である。そして、リード線18は接触ピン4の上端部から取り出してある。なお、接触ピン4には充放電を行うための配線20が接続されている。
【0020】
前記実施例で使用される温度センサー16としては、一応サーミスター、熱電対、白金抵抗などが使用されるが、これに限定されるものではない。そして、前記不良排出装置13は、ホストコンピュータ10の指示に従って、検査済みのトレイ14から、不良と判定されたバッテリー1のみを除去するものであり、従来例のシステムに使用されているものがそのまま使用できる。
【0021】
このように構成されたシステムについて本発明の検査方法を説明すると、生産されたリチューム電池等のバッテリー1が所定数収納されたトレイ14をコンベアベルト等の搬送手段により検査のために搬送されてくる。その搬送されてきたトレイの固有の番号をトレイ番号リーダー11で読み取り、その情報をホストコンピュータ10に入力する。
【0022】
ホストコンピュータ10においては、多数ある充放電装置12a、12b、12c、……の中から、現在稼動していない充放電装置を探して、その稼動していない充放電装置にトレイを搬入するよう搬送手段に指示する。そして、指定された充放電装置に搬送されたトレイがセットされた後に、ホストコンピュータ10からその充放電装置に所定の充放電設定を送信する。この充放電設定は、バッテリーの容量または種類等によって予め充放電電圧、充放電電流、充放電時間、正常温度範囲等が設定されている。
【0023】
充放電設定を受信した充放電装置は、その設定通りに充放電を行う。そして、充放電中は各バッテリー1の電圧、電流、温度を監視し、異常が起きたバッテリーには充放電を中止し、その異常が起きたバッテリーの位置(番地)を記録しておく。一つのトレイ内の全てのバッテリーの充放電が終了した後に、その充放電装置からホストコンピュータ10に対して充放電が終了したことと異常バッテリーの番地を送信する。
【0024】
ホストコンピュータ10は、充放電完了の受信をしたら、その完了したトレイを不良排出装置13にまで搬送してセットするように搬送手段に対して指示し、同時にホストコンピュータ10は、不良排出装置13に対して不良バッテリーの位置を特定する番地を送信する。そして、不良バッテリーの番地を受信した不良排出装置においては、その番地に対応するバッテリーをトレイから速やかに除去し、良品の入っているトレイを次のステップに搬送する。
【0025】
一つのトレイの中で、不良のバッテリーがないときには、その信号を充放電装置から受け、ホストコンピュータ10は、そのトレイについては、不良排出装置13へ搬送しないように搬送手段に対して送信し、その送信に従って次のステップに搬送する。
【0026】
充放電装置における温度センサー16は、充放電の際に生ずる温度変化を監視するものであり、その温度変化が異常である場合、例えば、設定した温度範囲より著しく高温になった場合には、不良品と判定して直ちに充放電を中止し、そのバッテリーの番地を記憶して、ホストコンピュータ10に送信することは当然であるが、更に、充放電装置には温度センサー16自体をチェックする機能も有している。
【0027】
例えば、順次搬送されてくるトレイに対して充放電が順次行われる中で、違ったトレイの充放電で同じ番地の温度センサーが同じ温度変化を続けて示したときとか、或いは設定した温度変化を示さない場合(特に、接触ピンとの接触不良または接触ピンと電極との接触不良等も含む)等であって、このような時には、警報を発して温度センサーが異常であることを報知し、温度センサー16が適正に機能しているかどうかをチェックするのである。
【0028】
特に、接触ピンとバッテリー間の接触不良があった場合には、ジュール熱によりピン自体が発熱するので、接触不良の状態も検出できる。そして、温度センサーが接触ピン4に対して取り付けられていることから、前記のチェックが可能であり、しかも、充放電を行う接触ピンを介してバッテリーの温度変化をチェックしているのであるから、確実な動作が望めるのである。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るバッテリーの充放電検査方法は、検査されるべきバッテリーの電極にピン治具の接触ピンを接触させて充放電を行わせるようにした充放電検査方法であって、前記ピン治具の接触ピンに充放電時のバッテリーの温度変化状態および電極との接触状態を検出する温度センサーを設けて充放電を行わせるようにしたことにより、充放電に直接寄与する接触ピンを介してバッテリーの温度変化状態を検出して良否を検査し、且つ接触ピンとバッテリーの電極との接触不良の状態も検査されるため、正確な検査が遂行できるという優れた効果を奏する。
【0030】
また、バッテリーの充放電用接触ピン装置は、検査されるべきバッテリーの電極に接触させて充放電を行わせるようにしたピン治具の接触ピンであって、前記接触ピンに充放電時のバッテリーの温度変化状態および電極との接触状態を検出する温度センサーを設けた構成としたことにより、従来例のような別体の温度センサー専用ピンが不要になり、構成が著しく簡単になると共に、接触ピンとバッテリーの電極との接触不良の状態も検査できるため、正確な検査が遂行でき、しかもその検査のコストダウンが図れるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る検査方法を実施するシステムを略示的に示したブロック図である。
【図2】同方法に使用されるバッテリーの収納トレイの一例を示す斜視図である。
【図3】同方法に使用されるピン治具の要部のみを示す説明図である。
【図4】本発明の充放電用接触ピン装置の第1実施例を示す斜視図である。
【図5】同第2実施例の充放電用接触ピン装置の一部を切り欠いて示す側面図である。
【図6】従来例の充放電装置を示す略図である。
【符号の説明】
1 バッテリー; 2,3 ピン治具; 4,5 接触ピン; 6 電源部;
10 ホストコンピュータ; 11 トレイ番号リーダー;
12a,12b,12c,…… 充放電装置; 13 不良排出装置;
14 トレイ; 15 識別子; 16 温度センサー; 17 バネ部材;
18 リード線; 19 樹脂剤; 20 配線。

Claims (4)

  1. 検査されるべきバッテリーの電極にピン治具の接触ピンを接触させて充放電を行わせるようにした充放電検査方法であって、
    前記ピン治具の接触ピンに充放電時のバッテリーの温度変化状態および電極との接触状態を検出する温度センサーを設けて充放電を行わせること
    を特徴とするバッテリーの充放電検査方法。
  2. 検査されるべきバッテリーの電極に接触させて充放電を行わせるようにしたピン治具の接触ピンであって、
    前記接触ピンに充放電時のバッテリーの温度変化状態および電極との接触状態を検出する温度センサーを設けたこと
    を特徴とするバッテリーの充放電用接触ピン装置。
  3. 温度センサーは、
    接触ピンに対して着脱自在に設けてある
    請求項2に記載のバッテリーの充放電用接触ピン装置。
  4. 温度センサーは、
    接触ピンの内側に挿入して設けてある
    請求項2に記載のバッテリーの充放電用接触ピン装置。
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