JP3950709B2 - スパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、スパッタリング効果を利用して簡便な方法で固体イオンを基材の表面に注入させて基材表面の表層改質を図り、また所望の第三元素を含んだ炭素膜で基材表面をコーティングするスパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、イオン注入法は、数10keV〜MeVに加速した粒子(イオン)を固体の基材表面に照射し、固体の基材表面に打ち込む技術である。大きな運動エネルギーを持ったイオンが固体の基材表面に衝突し侵入する際に、様々な物理的現象及び化学的現象が起こり、これを利用して固体の基材表面の表層改質を図ることができるのが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、固体イオン例えば金属イオンを固体の基材表面に注入する時は、先ず金属を気化しプラズマ状態にした後、加速器により高い運動エネルギーを与える必要があるため、装置が大がかりになる欠点があった。
また、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)に代表される炭素膜は、高硬度、低摩擦係数、摺動性に優れていることから、機械部品、金型、治工具など機械金属分野で用いられつつある。しかしながら、さらに摺動性を高めること、電気伝導性を与えること、あるいは擾水性など化学的特性を付与することが求められている。
一方、プラズマに曝した被処理材の基材に負の高電圧パルスを印加することを基本原理としたプラズマソースイオン注入法は、立体物全面へのイオン注入法および薄膜作製法として最近注目されている方法である。しかしながら、プラズマソースイオン注入法を用いた簡便な金属イオン注入法および炭素膜への金属あるいは半金属元素添加法は報告されていない。
【0004】
本願発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、スパッタリング効果を利用して簡便な方法で固体イオンを基材の表面に注入して基材表面の表層改質を図り、また所望の第三元素を含んだ炭素膜による基材表面のコーティングを容易にするスパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、減圧状態のプラズマ発生用原料ガス中に、基材の表面とスパッタターゲットの表面とを非接触状態で放電を生じない間隔にあけて対面状態に配置し、スパッタターゲットの表面に対して傾斜角度を有してプラズマ雰囲気のイオンを衝突させ、スパッタリング効果を利用してスパッタターゲットの表面から固体イオンを弾き飛ばして放出させ、放出した固体イオンを対面に位置する基材の表面に注入させる手段よりなるものである。
【0006】
また、請求項2の発明は、炭素有機化合物ガスを含む減圧状態のプラズマ発生用原料ガス中に、基材の表面とスパッタターゲットの表面とを非接触状態で放電を生じない間隔にあけて対面状態に配置し、スパッタターゲットの表面に対して傾斜角度を有してプラズマ雰囲気のイオンを衝突させ、スパッタリング効果を利用してスパッタターゲットの表面から固体イオンを弾き飛ばして放出させ、放出した固体イオンを対面に位置する基材の表面をコーティングする炭素膜中に注入させる手段よりなるものである。
【0007】
また、請求項3の発明は、真空容器にプラズマ発生用原料ガス供給装置と真空排気装置とを設け、真空容器内に、基材を保持する基材ホルダーと、基材表面に対してスパッタターゲットの表面を非接触状態で放電を生じない間隔にあけてスパッタターゲットを保持すると共に高周波又は直流電圧の給電によりプラズマ発生源となるスパッタ装置を配置し、基材にマイナス電位のパルス電圧を印加する高電圧パルス電源を設け、スパッタ装置に高周波又は直流電源を接続した手段よりなるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に記載の発明の実施の形態に基づいて、本願発明をより具体的に説明する。
ここで、図1はスパッタ法を用いたイオン注入装置の構成図、図2はスパッタ装置の斜視図、図3(A)は概念図、図3(B)は基材表面にコーティングした炭素膜の部分拡大断面図である。
【0009】
図において、スパッタ法を用いたイオン注入装置1は、スパッタターゲット3の表面に対して傾斜角度を有してプラズマ雰囲気のイオンを衝突させ、スパッタリング効果を利用してスパッタターゲット3の表面から固体イオン3aを弾き飛ばして放出させ、放出した固体イオン3aを基材2の表面に注入させる装置である。基材2の材質には導電性の金属、セラミックなどの非金属も使用可能である。また、スパッタターゲット3の材質には金属、セラミックなどの非金属も使用可能である。
【0010】
このスパッタ法を用いたイオン注入装置1は、真空状態となる真空容器4、真空容器4の内部に配置され基材2を保持する基材ホルダー5、真空容器4の内部に配置されスパッタターゲット3を保持しプラズマ発生源となるスパッタ装置6、真空容器4内部の基材2にマイナス電位のパルス電圧を印加する高電圧パルス電源7、真空容器4の内部にプラズマ発生用原料ガスを供給するプラズマ発生用原料ガス供給装置8、真空容器4の空気を排出して真空状態にする真空排気装置9などから構成されている。
【0011】
真空容器4は、内部の空気を排出して真空状態にして、内部でプラズマaが発生する環境を造り出す場所であり、真空容器4の内部には、スパッタリング効果によってスパッタターゲット3の表面の固体イオン3aが弾き飛ばされて基材2の表面に注入され易いように、基材2の表面とスパッタターゲット3の表面とが非接触状態で放電を生じない間隔で平行に配置されている。
【0012】
基材ホルダー5は、基材2を保持するもので、真空容器4の内部に配置されており、スパッタターゲット3を保持するスパッタ装置6と相対峙するように配置されている。基材ホルダー5は真空容器4の内部壁面に例えばアルミナ絶縁板5aを介して支持部材5bによって支持されている。基材ホルダー5は基材2の表面がスパッタターゲット3の表面に平行になるように保持して、スパッタターゲット3の表面に衝突するプラズマ雰囲気のイオンがスパッタリングを生じ易いようにしている。基材ホルダー5は導電性の材料から造られている。
【0013】
スパッタ装置6は、スパッタターゲット3を保持するもので、例えば円形の形状をしている。スパッタ装置6は真空容器4の内部に配置されており、基材2を保持する基材ホルダー5と相対峙するように配置されている。スパッタ装置6は真空容器4の内部壁面に支持部材によって支持されている。スパッタ装置6はスパッタターゲット3の表面が基材2の表面に平行になるように保持して、スパッタターゲット3の表面に衝突するプラズマ雰囲気のイオンがスパッタリングを生じ易いようにしている。
【0014】
高電圧パルス電源7は、例えば、電圧−20kV、周波数100Hz、パルスオン時間40μsのパルス電圧を導電性の基材ホルダー5を介して基材2に印加するものであり、通常の電圧に比べて、少ない電気エネルギーで大きな電圧を得ることができる。高電圧パルス電源7の一端は真空容器4内に延設されて基材ホルダー5に接続されている。高電圧パルス電源7には低電圧パルス電源7aやオシロスコープ7bが接続されている
【0015】
プラズマ発生用原料ガス供給装置8は、真空容器4の内部にプラズマ発生用原料ガスを供給する装置で、真空容器4に一端が接続されている。プラズマ発生用原料ガス供給装置8は複数の流量調整器(MFC)8aの切り替えを通じて、プラズマ発生用原料ガスとしての例えばアルゴンガス、窒素ガス、炭素有機化合物ガスとしての例えばアセチレンガス等を適宜、真空容器4に供給することができるようになっている。
【0016】
真空排気装置9は、真空容器4の内部の空気を排出して真空状態にする装置で、図示しない真空ポンプを装備している。真空排気装置9は真空容器4の内部を真空に近い状態まで減圧してプラズマaが発生し易い状態にする。
【0017】
次に、上記発明の実施の形態の構成に基づくスパッタ法を用いたイオンの注入方法について以下説明する。
真空容器4に基材2及びスパッタターゲット3を入れ、基材2を基材ホルダー5に取り付けて保持させる。同様にスパッタターゲット3をスパッタ装置6に取り付けて保持させる。この場合、基材2とスパッタターゲット3とは、非接触状態でしかも放電しない距離に離してそれぞれ平行に配置する。
【0018】
その後、真空排気装置9を作動して、真空容器4の空気を排出する。真空容器4の内部の空気は真空排気装置9の図示しない真空ポンプの作動により排出されて内部は真空状態になる。真空状態としては例えば10−2パスカルの真空度である。
【0019】
真空容器4を真空状態にした後、プラズマ発生用原料ガス供給装置8の流量調整器(MFC)8aを切り替え調整してプラズマ発生用原料ガスとしての例えばアルゴンガスと炭素有機化合物ガスのアセチレンガスを真空容器4内に導入して、高周波又は直流電圧をスパッタ装置6に給電して作動させると、スパッタ装置6はプラズマ発生源となり、スパッタ装置6の周辺のアルゴンガス及びアセチレンガスからプラズマaが発生する。発生したプラズマaはスパッタターゲット3や基材2の周囲をプラズマ雰囲気にする。
【0020】
そして、スパッタターゲット3や基材2の周囲がプラズマ雰囲気になった後、高電圧パルス電源7により、接地電位に対してマイナスの電圧をかけて基材2をマイナスの電位状態にする。
【0021】
基材2がマイナスの電位状態になると、基材2とスパッタターゲット3との間の内部のアセチレンガスのプラズマ雰囲気からプラスの電位状態のイオンは、マイナスの電位状態の基材2の表面に吸引加速され、運動エネルギーを持ち基材2の表面に衝突して、基材2の表面に炭素が注入されて、基材2の表面を炭素膜2aでコーティングする。
【0022】
高電圧パルス電源7により基材2にパルス電圧が印加されている間、基材2とスパッタターゲット3の外側のイオンが基材2とスパッタターゲット3との間に飛び込んでくるが、基材2の表面とスパッタターゲット3の表面とは平行にしかも放電しない距離で接近して配置されているために、スパッタターゲット3の表面に対して傾斜角度を有してイオンが飛び込んで衝突するために、飛び込んで衝突するイオンによってスパッタターゲット3の表面の固体イオン3aが弾き飛ばされる(図3(A)参照)。
【0023】
弾き飛ばされたスパッタターゲット3の表面の固体イオン3aは、対面の基材2の表面に吸引加速されるが、基材2の表面には炭素膜2aが形成されており、固体イオン3aは炭素膜2a内に衝突して注入する。このようにして、基材2の表面の炭素膜2a内には第三元素のスパッタターゲット3の材質が添加されることになる(図3(B)参照)。
【0024】
また、基材2の表面の炭素膜中の金属や非金属の固体イオン3aの割合は、不活性ガスに対する炭素有機化合物ガスの割合を調整することで調整可能となる。例えば、炭素膜中の金属、非金属の割合を高めるときには、不活性ガスに対する炭素有機化合物ガスの割合を少なくする。逆に、炭素膜中の金属、非金属の割合を小さくするときには、不活性ガスに対する炭素有機化合物ガスの割合を多めにする。また、炭素の膜厚の調整は作業時間で調整する。炭素の膜厚を厚くしたい場合には作業時間を長くする。
【0025】
また、基材2の表面に固体イオン3aを注入したい場合には、不活性ガスの例えばアルゴンガスをプラズマ発生用原料ガス供給装置8から真空容器4内に減圧状態で導入すると、アルゴンガスのプラズマaが発生する。発生したプラズマaはスパッタターゲット3や基材2の周囲をプラズマ雰囲気にする。
【0026】
高電圧パルス電源7により基材2にパルス電圧が印加されている間、基材2とスパッタターゲット3の外側のイオンが基材2とスパッタターゲット3との間に飛び込んでくるが、基材2の表面とスパッタターゲット3の表面とは平行にしかも放電しない距離で接近して配置されているために、スパッタターゲット3の表面に対して傾斜角度を有してイオンが飛び込んで衝突するために、飛び込んで衝突するイオンによってスパッタターゲット3の表面の固体イオン3aが弾き飛ばされる。
【0027】
弾き飛ばされたスパッタターゲット3の表面の固体イオン3aは、対面の基材2の表面に吸引加速されて注入されることにより、基材2の表面の表層改質を図ることができる。
【0028】
本願発明は、プラズマソースイオン注入法を基本原理として用い、金属や非金属の固体イオン注入および炭素膜に第三元素を添加するためのスパッタ法を組み込んだものである。スパッタターゲット3を変えることにより様々な元素を容易に添加することができる。
【0029】
また、作製される膜の密着強度が高い特徴がある。プラズマ中で基材2に対し高電圧パルスを印加することによるイオン注入技術は世界的に新しく、本発明者がこの分野で著しい成果を挙げており、本発明のようにプラズマソースイオン注入法とスパッタ法を用いて金属イオン注入およぴ炭素膜に金属元素を添加した研究はなく新規性がある。
【0030】
本願発明は、真空容器4内に絶縁された基材2を配置し、プラズマ源および添加したい金属源とスパッタ装置6を取り付け、容器4内に所望のプラズマ発生用原料ガスを導入すると同時に減圧状態に維持し、高周波あるいは直流電力をスパッタ装置6に給電することによりプラズマを生成し、基材2にマイナス電位のパルス電圧を繰り返し印加することによって基材2にプラズマ中の正イオンを引き込み、照射する手段よりなる。これにより基材表面に固体イオンを注入すること、および原料ガスの一部として炭化水素を用いた場合、金属元素を添加した炭素膜のコーティングを行うことができる。
【0031】
【実験例−1】
実験は、従来のスパッタコーティング法によりニオブをシリコンウエハの表面にコーティングした場合と、本願発明に係るスパッタ法を用いたイオン注入法でニオブをシリコンウエハの表面にコーティングした場合である。
〔実験条件〕
両者の共通条件は、高周波電力は150W、アルゴンガス、真空度は1Paである。また、従来法は高電圧パルスは0V、本願発明の高電圧パルスは、マイナス15kV、1KHz、10μsである。
〔実験結果〕
図4(A)は従来法による場合の基材表面の組成分析結果、図4(B)は本願発明による場合の基材表面の組成分析結果である。分析結果より、本願発明の図4(B)は従来法の図4(A)に比べて、ニオブの分布がブロードになっており、ニオブが基材中に注入されていることがわかる。
【0032】
【実験例−2】
実験は、本願発明によってニオブを添加したDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)の摩擦摩耗試験である。
〔実験条件〕
炭素有機化合物ガスを含むプラズマ発生用原料ガスの割合は、アルゴンガス:アセチレンガス=20:5である。高周波電力は150W、真空度は1Paである。また、高電圧パルスは、マイナス10kV、100Hz、100μsである。
〔実験結果〕
図5の図中、(a)はDLC膜、(b)は11at%のニオブを含むDLC膜、、(c)は34at%のニオブを含むDLC膜、(d)は50at%のニオブを含むDLC膜である。
超硬合金ボルを加重200gで試料に押さえつけながら試料を高速回転したときの摩擦摩耗特性を調べた結果、(b)のニオブを11at%添加したDLC膜の摩擦係数が最も低く、10000回回転後も低い値を保ち、摩擦摩耗特性に優れていることがわかる。
【0033】
【実験例−3】
実験は、本願発明によるニオブを添加したDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)のX線回析試験である。
〔実験条件〕
炭素有機化合物ガスを含むプラズマ発生用原料ガスの割合は、アルゴンガス:アセチレンガス=15:4〜30:4である。高周波電力は150W、真空度は1〜3Paである。また、高電圧パルスは、マイナス10kV、100Hz、100μsである。
〔実験結果〕
図6より、ニオブ濃度増加に伴いニオブと炭素の化合物が生成していることがわかる。
【0034】
【実験例−4】
実験は、本願発明によるニオブを添加したDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)の電気抵抗率に及ぼすニオブ添加量の影響について行った。
〔実験条件〕
炭素有機化合物ガスを含むプラズマ発生用原料ガスの割合は、アルゴンガス:アセチレンガス=15:4〜30:4である。高周波電力は150W、真空度は1〜3Paである。また、高電圧パルスは、マイナス10kV、100Hz、100μsである。
〔実験結果〕
図7より、純粋なDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)の電気抵抗は非常に大きいが、膜中へのニオブ添加に伴い急激に減少している。DLC膜への金属元素添加は、DLC膜の電気的特性を制御することに効果的であることがわかる。
【0035】
なお、本願発明は上記発明の実施の形態に限定されるものではなく、本願発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
【0036】
【発明の効果】
以上の記載より明らかなように、請求項1〜請求項3の発明によれば、固体イオン例えば金属イオンを基材表面に注入する場合、従来では先ず金属を気化しプラズマ状態にした後、加速器により高い運動エネルギーを与える必要があるため、装置が大がかりになる欠点があったが、本願発明ではスパッタリング効果を利用することにより、固体イオンの基材表面への注入が簡便な方法で可能となり、コストを廉価することができ、経済的である。
また、請求項2の発明によれば、基材表面をコーティングする炭素膜に様々な第三元素の添加が容易になった。本願発明によると、添加元素濃度の制御が非常に容易であるため、制御性に優れた成膜法を供給でき、産業界での炭素膜の用途が広まる。本願発明の応用としては、機械金属部品、治工具、金型、表示器用電解放射材料などへの応用が想定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態を示すスパッタ法を用いたイオン注入装置の構成図である。
【図2】本願発明の実施の形態を示すスパッタ装置6の斜視図である。
【図3】(A)は本願発明の実施の形態を示す概念図である。
(B)は本願発明の実施の形態を示す基材表面にコーティングした炭素膜の部分拡大断面図である。
【図4】(A)は従来法によりニオブをコーティングしたシリコンウエハの表面の組成分析を示す図である。
(B)は本願発明によりニオブをコーティングしたシリコンウエハの表面の組成分析を示す図である。
【図5】本願発明の実験例−2のニオブを添加したDLC膜の摩擦摩耗試験を示す図である。
【図6】本願発明の実験例−3のニオブを添加したDLC膜のX線回析を示す図である。
【図7】本願発明の実験例−4のDLC膜の電気抵抗率に及ぼすニオブ添加量の影響を示す図である。
【符号の説明】
1 イオン注入装置
2 基材
2a 炭素膜
3 スパッタターゲット
3a 固体イオン
4 真空容器
5 基材ホルダー
5a アルミナ絶縁板
5b 支持部材
6 スパッタ装置
6a 高周波又は直流電源
7 高電圧パルス電源
7a 低電圧パルス電源
7b オシロスコープ
8 プラズマ発生用原料ガス供給装置
8a 流量調整器(MFC)
9 真空排気装置
a プラズマ

Claims (3)

  1. 減圧状態のプラズマ発生用原料ガス中に、基材の表面とスパッタターゲットの表面とを非接触状態で放電を生じない間隔にあけて対面状態に配置し、スパッタターゲットの表面に対して傾斜角度を有してプラズマ雰囲気のイオンを衝突させ、スパッタリング効果を利用してスパッタターゲットの表面から固体イオンを弾き飛ばして放出させ、放出した固体イオンを対面に位置する基材の表面に注入させることを特徴とするスパッタ法を用いたイオン注入法。
  2. 炭素有機化合物ガスを含む減圧状態のプラズマ発生用原料ガス中に、基材の表面とスパッタターゲットの表面とを非接触状態で放電を生じない間隔にあけて対面状態に配置し、スパッタターゲットの表面に対して傾斜角度を有してプラズマ雰囲気のイオンを衝突させ、スパッタリング効果を利用してスパッタターゲットの表面から固体イオンを弾き飛ばして放出させ、放出した固体イオンを対面に位置する基材の表面をコーティングする炭素膜中に注入させることを特徴とするスパッタ法を用いたイオン注入法。
  3. 真空容器にプラズマ発生用原料ガス供給装置と真空排気装置とを設け、真空容器内に、基材を保持する基材ホルダーと、基材表面に対してスパッタターゲットの表面を非接触状態で放電を生じない間隔にあけてスパッタターゲットを保持すると共に高周波又は直流電圧の給電によりプラズマ発生源となるスパッタ装置を配置し、基材にマイナス電位のパルス電圧を印加する高電圧パルス電源を設け、スパッタ装置に高周波又は直流電源を接続したことを特徴とするスパッタ法を用いたイオン注入装置。
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