JP2003247066A - スパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置 - Google Patents

スパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置

Info

Publication number
JP2003247066A
JP2003247066A JP2002047271A JP2002047271A JP2003247066A JP 2003247066 A JP2003247066 A JP 2003247066A JP 2002047271 A JP2002047271 A JP 2002047271A JP 2002047271 A JP2002047271 A JP 2002047271A JP 2003247066 A JP2003247066 A JP 2003247066A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base material
sputter target
sputtering
ions
plasma
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002047271A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3950709B2 (ja
Inventor
Tsuneaki Baba
恒明 馬場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagasaki Prefectural Government
Original Assignee
Nagasaki Prefectural Government
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagasaki Prefectural Government filed Critical Nagasaki Prefectural Government
Priority to JP2002047271A priority Critical patent/JP3950709B2/ja
Publication of JP2003247066A publication Critical patent/JP2003247066A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3950709B2 publication Critical patent/JP3950709B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Plasma Technology (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタリング効果を利用して簡便な方法で
固体イオンを基材の表面に注入して基材表面の表層改質
を図り、また所望の第三元素を含んだ炭素膜による基材
表面のコーティングを容易にする。 【解決手段】 真空容器4にプラズマ発生用原料ガス供
給装置8と真空排気装置9とを設け、真空容器4内に、
基材2を保持する基材ホルダー5と、基材2表面に対し
てスパッタターゲット3の表面を非接触状態で放電を生
じない間隔にあけてスパッタターゲット3を保持すると
共に高周波又は直流電圧の給電によりプラズマ発生源と
なるスパッタ装置6を配置し、基材2にマイナス電位の
パルス電圧を印加する高電圧パルス電源7を設け、スパ
ッタ装置6に高周波又は直流電源を接続した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、スパッタリング
効果を利用して簡便な方法で固体イオンを基材の表面に
注入させて基材表面の表層改質を図り、また所望の第三
元素を含んだ炭素膜で基材表面をコーティングするスパ
ッタ法を用いたイオン注入法及びその装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、イオン注入法は、数10keV〜
MeVに加速した粒子(イオン)を固体の基材表面に照
射し、固体の基材表面に打ち込む技術である。大きな運
動エネルギーを持ったイオンが固体の基材表面に衝突し
侵入する際に、様々な物理的現象及び化学的現象が起こ
り、これを利用して固体の基材表面の表層改質を図るこ
とができるのが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、固体イ
オン例えば金属イオンを固体の基材表面に注入する時
は、先ず金属を気化しプラズマ状態にした後、加速器に
より高い運動エネルギーを与える必要があるため、装置
が大がかりになる欠点があった。また、ダイヤモンドラ
イクカーボン膜(DLC膜)に代表される炭素膜は、高
硬度、低摩擦係数、摺動性に優れていることから、機械
部品、金型、治工具など機械金属分野で用いられつつあ
る。しかしながら、さらに摺動性を高めること、電気伝
導性を与えること、あるいは擾水性など化学的特性を付
与することが求められている。一方、プラズマに曝した
被処理材の基材に負の高電圧パルスを印加することを基
本原理としたプラズマソースイオン注入法は、立体物全
面へのイオン注入法および薄膜作製法として最近注目さ
れている方法である。しかしながら、プラズマソースイ
オン注入法を用いた簡便な金属イオン注入法および炭素
膜への金属あるいは半金属元素添加法は報告されていな
い。
【0004】本願発明は、上記のような課題に鑑み、そ
の課題を解決すべく創案されたものであって、その目的
とするところは、スパッタリング効果を利用して簡便な
方法で固体イオンを基材の表面に注入して基材表面の表
層改質を図り、また所望の第三元素を含んだ炭素膜によ
る基材表面のコーティングを容易にするスパッタ法を用
いたイオン注入法及びその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、減圧状態のプラズマ発生用原
料ガス中に、基材の表面とスパッタターゲットの表面と
を非接触状態で放電を生じない間隔にあけて対面状態に
配置し、スパッタターゲットの表面に対して傾斜角度を
有してプラズマ雰囲気のイオンを衝突させ、スパッタリ
ング効果を利用してスパッタターゲットの表面から固体
イオンを弾き飛ばして放出させ、放出した固体イオンを
対面に位置する基材の表面に注入させる手段よりなるも
のである。
【0006】また、請求項2の発明は、炭素有機化合物
ガスを含む減圧状態のプラズマ発生用原料ガス中に、基
材の表面とスパッタターゲットの表面とを非接触状態で
放電を生じない間隔にあけて対面状態に配置し、スパッ
タターゲットの表面に対して傾斜角度を有してプラズマ
雰囲気のイオンを衝突させ、スパッタリング効果を利用
してスパッタターゲットの表面から固体イオンを弾き飛
ばして放出させ、放出した固体イオンを対面に位置する
基材の表面をコーティングする炭素膜中に注入させる手
段よりなるものである。
【0007】また、請求項3の発明は、真空容器にプラ
ズマ発生用原料ガス供給装置と真空排気装置とを設け、
真空容器内に、基材を保持する基材ホルダーと、基材表
面に対してスパッタターゲットの表面を非接触状態で放
電を生じない間隔にあけてスパッタターゲットを保持す
ると共に高周波又は直流電圧の給電によりプラズマ発生
源となるスパッタ装置を配置し、基材にマイナス電位の
パルス電圧を印加する高電圧パルス電源を設け、スパッ
タ装置に高周波又は直流電源を接続した手段よりなるも
のである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面に記載の発明の実施の
形態に基づいて、本願発明をより具体的に説明する。こ
こで、図1はスパッタ法を用いたイオン注入装置の構成
図、図2はスパッタ装置の斜視図、図3(A)は概念
図、図3(B)は基材表面にコーティングした炭素膜の
部分拡大断面図である。
【0009】図において、スパッタ法を用いたイオン注
入装置1は、スパッタターゲット3の表面に対して傾斜
角度を有してプラズマ雰囲気のイオンを衝突させ、スパ
ッタリング効果を利用してスパッタターゲット3の表面
から固体イオン3aを弾き飛ばして放出させ、放出した
固体イオン3aを基材2の表面に注入させる装置であ
る。基材2の材質には導電性の金属、セラミックなどの
非金属も使用可能である。また、スパッタターゲット3
の材質には金属、セラミックなどの非金属も使用可能で
ある。
【0010】このスパッタ法を用いたイオン注入装置1
は、真空状態となる真空容器4、真空容器4の内部に配
置され基材2を保持する基材ホルダー5、真空容器4の
内部に配置されスパッタターゲット3を保持しプラズマ
発生源となるスパッタ装置6、真空容器4内部の基材2
にマイナス電位のパルス電圧を印加する高電圧パルス電
源7、真空容器4の内部にプラズマ発生用原料ガスを供
給するプラズマ発生用原料ガス供給装置8、真空容器4
の空気を排出して真空状態にする真空排気装置9などか
ら構成されている。
【0011】真空容器4は、内部の空気を排出して真空
状態にして、内部でプラズマaが発生する環境を造り出
す場所であり、真空容器4の内部には、スパッタリング
効果によってスパッタターゲット3の表面の固体イオン
3aが弾き飛ばされて基材2の表面に注入され易いよう
に、基材2の表面とスパッタターゲット3の表面とが非
接触状態で放電を生じない間隔で平行に配置されてい
る。
【0012】基材ホルダー5は、基材2を保持するもの
で、真空容器4の内部に配置されており、スパッタター
ゲット3を保持するスパッタ装置6と相対峙するように
配置されている。基材ホルダー5は真空容器4の内部壁
面に例えばアルミナ絶縁板5aを介して支持部材5bに
よって支持されている。基材ホルダー5は基材2の表面
がスパッタターゲット3の表面に平行になるように保持
して、スパッタターゲット3の表面に衝突するプラズマ
雰囲気のイオンがスパッタリングを生じ易いようにして
いる。基材ホルダー5は導電性の材料から造られてい
る。
【0013】スパッタ装置6は、スパッタターゲット3
を保持するもので、例えば円形の形状をしている。スパ
ッタ装置6は真空容器4の内部に配置されており、基材
2を保持する基材ホルダー5と相対峙するように配置さ
れている。スパッタ装置6は真空容器4の内部壁面に支
持部材によって支持されている。スパッタ装置6はスパ
ッタターゲット3の表面が基材2の表面に平行になるよ
うに保持して、スパッタターゲット3の表面に衝突する
プラズマ雰囲気のイオンがスパッタリングを生じ易いよ
うにしている。
【0014】高電圧パルス電源7は、例えば、電圧−2
0kV、周波数100Hz、パルスオン時間40μsの
パルス電圧を導電性の基材ホルダー5を介して基材2に
印加するものであり、通常の電圧に比べて、少ない電気
エネルギーで大きな電圧を得ることができる。高電圧パ
ルス電源7の一端は真空容器4内に延設されて基材ホル
ダー5に接続されている。高電圧パルス電源7には低電
圧パルス電源7aやオシロスコープ7bが接続されてい
【0015】プラズマ発生用原料ガス供給装置8は、真
空容器4の内部にプラズマ発生用原料ガスを供給する装
置で、真空容器4に一端が接続されている。プラズマ発
生用原料ガス供給装置8は複数の流量調整器(MFC)
8aの切り替えを通じて、プラズマ発生用原料ガスとし
ての例えばアルゴンガス、窒素ガス、炭素有機化合物ガ
スとしての例えばアセチレンガス等を適宜、真空容器4
に供給することができるようになっている。
【0016】真空排気装置9は、真空容器4の内部の空
気を排出して真空状態にする装置で、図示しない真空ポ
ンプを装備している。真空排気装置9は真空容器4の内
部を真空に近い状態まで減圧してプラズマaが発生し易
い状態にする。
【0017】次に、上記発明の実施の形態の構成に基づ
くスパッタ法を用いたイオンの注入方法について以下説
明する。真空容器4に基材2及びスパッタターゲット3
を入れ、基材2を基材ホルダー5に取り付けて保持させ
る。同様にスパッタターゲット3をスパッタ装置6に取
り付けて保持させる。この場合、基材2とスパッタター
ゲット3とは、非接触状態でしかも放電しない距離に離
してそれぞれ平行に配置する。
【0018】その後、真空排気装置9を作動して、真空
容器4の空気を排出する。真空容器4の内部の空気は真
空排気装置9の図示しない真空ポンプの作動により排出
されて内部は真空状態になる。真空状態としては例えば
10−2パスカルの真空度である。
【0019】真空容器4を真空状態にした後、プラズマ
発生用原料ガス供給装置8の流量調整器(MFC)8a
を切り替え調整してプラズマ発生用原料ガスとしての例
えばアルゴンガスと炭素有機化合物ガスのアセチレンガ
スを真空容器4内に導入して、高周波又は直流電圧をス
パッタ装置6に給電して作動させると、スパッタ装置6
はプラズマ発生源となり、スパッタ装置6の周辺のアル
ゴンガス及びアセチレンガスからプラズマaが発生す
る。発生したプラズマaはスパッタターゲット3や基材
2の周囲をプラズマ雰囲気にする。
【0020】そして、スパッタターゲット3や基材2の
周囲がプラズマ雰囲気になった後、高電圧パルス電源7
により、接地電位に対してマイナスの電圧をかけて基材
2をマイナスの電位状態にする。
【0021】基材2がマイナスの電位状態になると、基
材2とスパッタターゲット3との間の内部のアセチレン
ガスのプラズマ雰囲気からプラスの電位状態のイオン
は、マイナスの電位状態の基材2の表面に吸引加速さ
れ、運動エネルギーを持ち基材2の表面に衝突して、基
材2の表面に炭素が注入されて、基材2の表面を炭素膜
2aでコーティングする。
【0022】高電圧パルス電源7により基材2にパルス
電圧が印加されている間、基材2とスパッタターゲット
3の外側のイオンが基材2とスパッタターゲット3との
間に飛び込んでくるが、基材2の表面とスパッタターゲ
ット3の表面とは平行にしかも放電しない距離で接近し
て配置されているために、スパッタターゲット3の表面
に対して傾斜角度を有してイオンが飛び込んで衝突する
ために、飛び込んで衝突するイオンによってスパッタタ
ーゲット3の表面の固体イオン3aが弾き飛ばされる
(図3(A)参照)。
【0023】弾き飛ばされたスパッタターゲット3の表
面の固体イオン3aは、対面の基材2の表面に吸引加速
されるが、基材2の表面には炭素膜2aが形成されてお
り、固体イオン3aは炭素膜2a内に衝突して注入す
る。このようにして、基材2の表面の炭素膜2a内には
第三元素のスパッタターゲット3の材質が添加されるこ
とになる(図3(B)参照)。
【0024】また、基材2の表面の炭素膜中の金属や非
金属の固体イオン3aの割合は、不活性ガスに対する炭
素有機化合物ガスの割合を調整することで調整可能とな
る。例えば、炭素膜中の金属、非金属の割合を高めると
きには、不活性ガスに対する炭素有機化合物ガスの割合
を少なくする。逆に、炭素膜中の金属、非金属の割合を
小さくするときには、不活性ガスに対する炭素有機化合
物ガスの割合を多めにする。また、炭素の膜厚の調整は
作業時間で調整する。炭素の膜厚を厚くしたい場合には
作業時間を長くする。
【0025】また、基材2の表面に固体イオン3aを注
入したい場合には、不活性ガスの例えばアルゴンガスを
プラズマ発生用原料ガス供給装置8から真空容器4内に
減圧状態で導入すると、アルゴンガスのプラズマaが発
生する。発生したプラズマaはスパッタターゲット3や
基材2の周囲をプラズマ雰囲気にする。
【0026】高電圧パルス電源7により基材2にパルス
電圧が印加されている間、基材2とスパッタターゲット
3の外側のイオンが基材2とスパッタターゲット3との
間に飛び込んでくるが、基材2の表面とスパッタターゲ
ット3の表面とは平行にしかも放電しない距離で接近し
て配置されているために、スパッタターゲット3の表面
に対して傾斜角度を有してイオンが飛び込んで衝突する
ために、飛び込んで衝突するイオンによってスパッタタ
ーゲット3の表面の固体イオン3aが弾き飛ばされる。
【0027】弾き飛ばされたスパッタターゲット3の表
面の固体イオン3aは、対面の基材2の表面に吸引加速
されて注入されることにより、基材2の表面の表層改質
を図ることができる。
【0028】本願発明は、プラズマソースイオン注入法
を基本原理として用い、金属や非金属の固体イオン注入
および炭素膜に第三元素を添加するためのスパッタ法を
組み込んだものである。スパッタターゲット3を変える
ことにより様々な元素を容易に添加することができる。
【0029】また、作製される膜の密着強度が高い特徴
がある。プラズマ中で基材2に対し高電圧パルスを印加
することによるイオン注入技術は世界的に新しく、本発
明者がこの分野で著しい成果を挙げており、本発明のよ
うにプラズマソースイオン注入法とスパッタ法を用いて
金属イオン注入およぴ炭素膜に金属元素を添加した研究
はなく新規性がある。
【0030】本願発明は、真空容器4内に絶縁された基
材2を配置し、プラズマ源および添加したい金属源とス
パッタ装置6を取り付け、容器4内に所望のプラズマ発
生用原料ガスを導入すると同時に減圧状態に維持し、高
周波あるいは直流電力をスパッタ装置6に給電すること
によりプラズマを生成し、基材2にマイナス電位のパル
ス電圧を繰り返し印加することによって基材2にプラズ
マ中の正イオンを引き込み、照射する手段よりなる。こ
れにより基材表面に固体イオンを注入すること、および
原料ガスの一部として炭化水素を用いた場合、金属元素
を添加した炭素膜のコーティングを行うことができる。
【0031】
【実験例−1】実験は、従来のスパッタコーティング法
によりニオブをシリコンウエハの表面にコーティングし
た場合と、本願発明に係るスパッタ法を用いたイオン注
入法でニオブをシリコンウエハの表面にコーティングし
た場合である。 〔実験条件〕両者の共通条件は、高周波電力は150
W、アルゴンガス、真空度は1Paである。また、従来
法は高電圧パルスは0V、本願発明の高電圧パルスは、
マイナス15kV、1KHz、10μsである。 〔実験結果〕図4(A)は従来法による場合の基材表面
の組成分析結果、図4(B)は本願発明による場合の基
材表面の組成分析結果である。分析結果より、本願発明
の図4(B)は従来法の図4(A)に比べて、ニオブの
分布がブロードになっており、ニオブが基材中に注入さ
れていることがわかる。
【0032】
【実験例−2】実験は、本願発明によってニオブを添加
したDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)の摩擦
摩耗試験である。 〔実験条件〕炭素有機化合物ガスを含むプラズマ発生用
原料ガスの割合は、アルゴンガス:アセチレンガス=2
0:5である。高周波電力は150W、真空度は1Pa
である。また、高電圧パルスは、マイナス10kV、1
00Hz、100μsである。 〔実験結果〕図5の図中、(a)はDLC膜、(b)は
11at%のニオブを含むDLC膜、、(c)は34a
t%のニオブを含むDLC膜、(d)は50at%のニ
オブを含むDLC膜である。超硬合金ボルを加重200
gで試料に押さえつけながら試料を高速回転したときの
摩擦摩耗特性を調べた結果、(b)のニオブを11at
%添加したDLC膜の摩擦係数が最も低く、10000
回回転後も低い値を保ち、摩擦摩耗特性に優れているこ
とがわかる。
【0033】
【実験例−3】実験は、本願発明によるニオブを添加し
たDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)のX線回
析試験である。 〔実験条件〕炭素有機化合物ガスを含むプラズマ発生用
原料ガスの割合は、アルゴンガス:アセチレンガス=1
5:4〜30:4である。高周波電力は150W、真空
度は1〜3Paである。また、高電圧パルスは、マイナ
ス10kV、100Hz、100μsである。 〔実験結果〕図6より、ニオブ濃度増加に伴いニオブと
炭素の化合物が生成していることがわかる。
【0034】
【実験例−4】実験は、本願発明によるニオブを添加し
たDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)の電気抵
抗率に及ぼすニオブ添加量の影響について行った。 〔実験条件〕炭素有機化合物ガスを含むプラズマ発生用
原料ガスの割合は、アルゴンガス:アセチレンガス=1
5:4〜30:4である。高周波電力は150W、真空
度は1〜3Paである。また、高電圧パルスは、マイナ
ス10kV、100Hz、100μsである。 〔実験結果〕図7より、純粋なDLC膜(ダイヤモンド
ライクカーボン膜)の電気抵抗は非常に大きいが、膜中
へのニオブ添加に伴い急激に減少している。DLC膜へ
の金属元素添加は、DLC膜の電気的特性を制御するこ
とに効果的であることがわかる。
【0035】なお、本願発明は上記発明の実施の形態に
限定されるものではなく、本願発明の精神を逸脱しない
範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。
【0036】
【発明の効果】以上の記載より明らかなように、請求項
1〜請求項3の発明によれば、固体イオン例えば金属イ
オンを基材表面に注入する場合、従来では先ず金属を気
化しプラズマ状態にした後、加速器により高い運動エネ
ルギーを与える必要があるため、装置が大がかりになる
欠点があったが、本願発明ではスパッタリング効果を利
用することにより、固体イオンの基材表面への注入が簡
便な方法で可能となり、コストを廉価することができ、
経済的である。また、請求項2の発明によれば、基材表
面をコーティングする炭素膜に様々な第三元素の添加が
容易になった。本願発明によると、添加元素濃度の制御
が非常に容易であるため、制御性に優れた成膜法を供給
でき、産業界での炭素膜の用途が広まる。本願発明の応
用としては、機械金属部品、治工具、金型、表示器用電
解放射材料などへの応用が想定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態を示すスパッタ法を用い
たイオン注入装置の構成図である。
【図2】本願発明の実施の形態を示すスパッタ装置6の
斜視図である。
【図3】(A)は本願発明の実施の形態を示す概念図で
ある。(B)は本願発明の実施の形態を示す基材表面に
コーティングした炭素膜の部分拡大断面図である。
【図4】(A)は従来法によりニオブをコーティングし
たシリコンウエハの表面の組成分析を示す図である。
(B)は本願発明によりニオブをコーティングしたシリ
コンウエハの表面の組成分析を示す図である。
【図5】本願発明の実験例−2のニオブを添加したDL
C膜の摩擦摩耗試験を示す図である。
【図6】本願発明の実験例−3のニオブを添加したDL
C膜のX線回析を示す図である。
【図7】本願発明の実験例−4のDLC膜の電気抵抗率
に及ぼすニオブ添加量の影響を示す図である。
【符号の説明】
1 イオン注入装置 2 基材 2a 炭素膜 3 スパッタターゲット 3a 固体イオン 4 真空容器 5 基材ホルダー 5a アルミナ絶縁板 5b 支持部材 6 スパッタ装置 6a 高周波又は直流電源 7 高電圧パルス電源 7a 低電圧パルス電源 7b オシロスコープ 8 プラズマ発生用原料ガス供給装置 8a 流量調整器(MFC) 9 真空排気装置 a プラズマ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減圧状態のプラズマ発生用原料ガス中
    に、基材の表面とスパッタターゲットの表面とを非接触
    状態で放電を生じない間隔にあけて対面状態に配置し、
    スパッタターゲットの表面に対して傾斜角度を有してプ
    ラズマ雰囲気のイオンを衝突させ、スパッタリング効果
    を利用してスパッタターゲットの表面から固体イオンを
    弾き飛ばして放出させ、放出した固体イオンを対面に位
    置する基材の表面に注入させることを特徴とするスパッ
    タ法を用いたイオン注入法。
  2. 【請求項2】 炭素有機化合物ガスを含む減圧状態のプ
    ラズマ発生用原料ガス中に、基材の表面とスパッタター
    ゲットの表面とを非接触状態で放電を生じない間隔にあ
    けて対面状態に配置し、スパッタターゲットの表面に対
    して傾斜角度を有してプラズマ雰囲気のイオンを衝突さ
    せ、スパッタリング効果を利用してスパッタターゲット
    の表面から固体イオンを弾き飛ばして放出させ、放出し
    た固体イオンを対面に位置する基材の表面をコーティン
    グする炭素膜中に注入させることを特徴とするスパッタ
    法を用いたイオン注入法。
  3. 【請求項3】 真空容器にプラズマ発生用原料ガス供給
    装置と真空排気装置とを設け、真空容器内に、基材を保
    持する基材ホルダーと、基材表面に対してスパッタター
    ゲットの表面を非接触状態で放電を生じない間隔にあけ
    てスパッタターゲットを保持すると共に高周波又は直流
    電圧の給電によりプラズマ発生源となるスパッタ装置を
    配置し、基材にマイナス電位のパルス電圧を印加する高
    電圧パルス電源を設け、スパッタ装置に高周波又は直流
    電源を接続したことを特徴とするスパッタ法を用いたイ
    オン注入装置。
JP2002047271A 2002-02-25 2002-02-25 スパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置 Expired - Lifetime JP3950709B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002047271A JP3950709B2 (ja) 2002-02-25 2002-02-25 スパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002047271A JP3950709B2 (ja) 2002-02-25 2002-02-25 スパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003247066A true JP2003247066A (ja) 2003-09-05
JP3950709B2 JP3950709B2 (ja) 2007-08-01

Family

ID=28660373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002047271A Expired - Lifetime JP3950709B2 (ja) 2002-02-25 2002-02-25 スパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3950709B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006274387A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Nagasaki Prefecture 筒状体の内周側表面へのスパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置並びに筒状体の内周側表面へのスパッタ法を用いたコーティング法及びその装置
KR101181449B1 (ko) 2010-01-15 2012-09-19 한국과학기술연구원 인공 관절용 고분자 소재의 내마모성 향상 방법 및 그 장치
KR101282959B1 (ko) * 2009-11-03 2013-07-08 한국과학기술연구원 무기 박막 형성 방법 및 그를 위한 스퍼터링 시스템

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57174459A (en) * 1981-04-21 1982-10-27 Namiki Precision Jewel Co Ltd Formation of thin film
JPH06196178A (ja) * 1992-12-22 1994-07-15 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 固体電解質型燃料電池の製造方法
JPH0790553A (ja) * 1993-09-27 1995-04-04 Shojiro Miyake 摺動部品およびその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57174459A (en) * 1981-04-21 1982-10-27 Namiki Precision Jewel Co Ltd Formation of thin film
JPH06196178A (ja) * 1992-12-22 1994-07-15 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 固体電解質型燃料電池の製造方法
JPH0790553A (ja) * 1993-09-27 1995-04-04 Shojiro Miyake 摺動部品およびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006274387A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Nagasaki Prefecture 筒状体の内周側表面へのスパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置並びに筒状体の内周側表面へのスパッタ法を用いたコーティング法及びその装置
KR101282959B1 (ko) * 2009-11-03 2013-07-08 한국과학기술연구원 무기 박막 형성 방법 및 그를 위한 스퍼터링 시스템
KR101181449B1 (ko) 2010-01-15 2012-09-19 한국과학기술연구원 인공 관절용 고분자 소재의 내마모성 향상 방법 및 그 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP3950709B2 (ja) 2007-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3060876B2 (ja) 金属イオン注入装置
CN106663609A (zh) 用以实现高密度高sp3含量层的高功率脉冲磁控溅镀工艺
JPS61201769A (ja) 酸化物、窒化物、酸化窒化物および炭化物からなる層の反応的蒸着法
JP2007510258A (ja) 導電性メッシュを使用するプラズマ浸漬イオン埋め込み
JP5097936B2 (ja) 高温耐腐食性向上のためのセラミックコーティング及びイオンビームミキシング装置及びそれを使用したコーティング層と母材の界面を改質する方法
WO2000068451A2 (en) Magnetron negative ion sputter source
JPWO2016203585A1 (ja) 成膜方法及び成膜装置
EP2122006B1 (en) Methods and apparatus for forming diamond-like coatings
JP2005248322A (ja) 表面上への複合コーティングの蒸着プロセス
US9139902B2 (en) Method and apparatus for plasma ion implantation of solid element
JP5607760B2 (ja) Cvd装置及びcvd方法
CN110468381B (zh) 一种高频振荡脉冲磁控溅射方法
JP2013049885A (ja) 炭素薄膜成膜方法
CN100395371C (zh) 微波等离子体增强弧辉渗镀涂层的装置及工艺
KR101055396B1 (ko) 고체 원소 플라즈마 이온주입 방법 및 장치
JP2003247066A (ja) スパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置
JP7038366B2 (ja) 単一ビームプラズマ源
CN115505908B (zh) 一种dlc层制备装置及制备方法
JP2006274387A (ja) 筒状体の内周側表面へのスパッタ法を用いたイオン注入法及びその装置並びに筒状体の内周側表面へのスパッタ法を用いたコーティング法及びその装置
RU2342468C1 (ru) Способ формирования сверхтвердого легированного углеродного покрытия на кремнии в вакууме
KR20150076467A (ko) 조직제어가 가능한 알루미늄 코팅층 및 그 제조방법
JP4010201B2 (ja) 中空体内外両表面へのイオン注入法
JP2002069664A (ja) プラズマ加工方法及びプラズマ加工装置
JP4069199B2 (ja) プラズマイオン注入・成膜方法および装置
US20220364221A1 (en) Method for forming coating layer having plasma resistance

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070403

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070423

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3950709

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110427

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120427

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130427

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130427

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term