JP3060876B2 - 金属イオン注入装置 - Google Patents

金属イオン注入装置

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JP3060876B2
JP3060876B2 JP7051896A JP5189695A JP3060876B2 JP 3060876 B2 JP3060876 B2 JP 3060876B2 JP 7051896 A JP7051896 A JP 7051896A JP 5189695 A JP5189695 A JP 5189695A JP 3060876 B2 JP3060876 B2 JP 3060876B2
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/32Gas-filled discharge tubes
    • H01J37/32009Arrangements for generation of plasma specially adapted for examination or treatment of objects, e.g. plasma sources
    • H01J37/32412Plasma immersion ion implantation

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばクランクシャ
フト等の自動車部品、ドリル等の一般産業部品、人工
骨、カテーテル等の医用材料等のような基体に金属イオ
ンを注入する金属イオン注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】上記のような自動車部品、一
般産業部品、医用材料等の基体は、通常は複雑な形状を
しているが、そのような基体に金属イオンを注入するこ
とにより、基体の耐摩耗性、耐食性、硬度および潤滑性
等を向上させる試みが成されている。例えば、クランク
シャフト等の部品にチタンを注入すると耐摩耗性が向上
する。また、カテーテルに銀を注入すると抗菌作用が向
上する。人工骨にチタンを注入すると耐摩耗性が向上
し、カルシウムを注入すると生の骨と一体化しやすくな
る。
【0003】基体に金属イオンの注入ではなく、金属薄
膜を被覆する装置は、従来から種々提案されている。図
7にその一例を示す。
【0004】この薄膜形成装置は、例えば特開昭63−
458号公報に開示されているのと同様のものであり、
図示しない真空排気装置によって真空排気される真空容
器2と、その内部に設けられていて処理しようとする基
体10を保持するホルダ12と、この基体10に向くよ
うに真空容器2に取り付けられたアーク式蒸発源16と
を備えている。真空容器2内には、図示しないガス源か
ら不活性ガス、反応ガス等のガス4が導入される。
【0005】アーク式蒸発源16は、金属または金属化
合物(アロイ)から成るカソード18を有していてそれ
とアノードを兼ねる真空容器2との間のアーク放電によ
ってカソード18を局部的に溶解させてカソード物質1
8aを蒸発させるものである。このカソード18と真空
容器2との間には、直流のアーク電源20から、前者を
負側にして直流のアーク放電電圧が供給される。このア
ーク放電電圧の大きさは、例えば数十V〜数百V程度で
ある。なお、アーク放電起動用のトリガ電極等は図示を
省略している。17は絶縁物、19は金属フランジであ
る。
【0006】ホルダ12およびそれに保持される基体1
0には、直流のバイアス電源14から、真空容器2の電
位を基準にして負の直流バイアス電圧が印加される。こ
のバイアス電圧の大きさは、例えば数百V〜数kV程度
である。
【0007】膜形成に際しては、真空容器2内を例えば
10-6Torr程度に排気した後、真空容器2内に所要
のガス4を導入し、そして基体10に前記のようなバイ
アス電圧を印加した状態で、アーク式蒸発源16におい
てアーク放電を行わせる。それによって、カソード18
からカソード物質18aが蒸発させられると共に、カソ
ード18の前方近傍にアーク放電によるプラズマ(図示
省略)が生成され、カソード物質18aの一部はイオン
化される。そしてこのイオン化したカソード物質18a
が、負のバイアス電圧が印加された基体10に引き付け
られて入射堆積し、その表面にカソード物質18aから
成る薄膜が形成(被覆)される。ガス4が反応ガスの場
合は、カソード物質18aと反応ガスとが化合した化合
物薄膜が形成される。このような成膜法は、イオンプレ
ーティングの一種である。
【0008】上記のような薄膜形成装置では、基体10
の表面に金属薄膜を被覆することはできても、金属イオ
ンを注入することはできない。なぜなら、基体10に金
属イオンを注入するためには、基体10に、前述したバ
イアス電圧よりも遙かに大きいバイアス電圧、例えば5
kV〜数百kV程度のバイアス電圧を印加して、金属イ
オンを基体10に向けて大きな電圧で加速しなければな
らない。ところが、雰囲気の真空度が10-4Torr程
度の場合を例に取ると、理想的には(即ち平等電界でか
つ塊状粒子のような異物のない電極間に電圧を印加する
場合には)、パッシェンの法則に従って数十kVまでの
バイアス電圧を印加することは可能だが、上記装置の場
合は、一方がカソード18の前方近傍に作られたプラズ
マによるプラズマ電極、他方が通常は凹凸のある基体1
0による電極であるため不平等電界となり、また電極間
に異物(塊状のカソード物質18a)を含むため、現実
的には数kVで、プラズマ電極と基体10との間でせん
絡(ブレークダウン)が起こってバイアス電源14が停
止してしまう。このような理由から、基体10に大きな
直流のバイアス電圧を印加することは困難であり、従っ
てこのような装置で基体10に金属イオン注入を行うこ
とはできない。
【0009】基体に金属イオン注入を行うには、通常は
金属イオン源が用いられている。そのような金属イオン
源の一例を図8に示す。
【0010】この金属イオン源は、例えば実開平3−7
9153号公報に開示されているのと同様のものであ
り、オーブン24内で金属を加熱して得られる金属蒸気
26をプラズマ生成容器22内に供給し、そこでアーク
放電、高周波放電等によって金属蒸気26をプラズマ化
して金属プラズマ28を作り、そこから引出し電極系3
0に印加した電圧によって金属イオン32を引き出すよ
う構成されている。引出し電極系30は、多数の孔31
をそれぞれ有する何枚かの電極で構成されている。
【0011】このような金属イオン源によれば、引出し
電極系30に数kV〜数十kV程度の電圧を印加して、
数keV〜数十keV程度のエネルギーの金属イオン3
2を引き出してそれを基体に照射して金属イオン注入を
行うことは可能である。
【0012】しかしながら、引出し電極系30から金属
イオン32を引き出すにつれて、金属が電極に付着して
その孔31が塞がり、金属イオン32の引き出しが困難
になる。そのため、引出し電極系30のクリーニングを
頻繁に行わなければならずメンテナンスが容易でない。
また、長時間の連続運転が困難である。
【0013】しかも、引出し電極系30から引き出す金
属イオン32は直進して指向性が強いため、複雑な形状
の基体に均一に金属イオン注入を行うことは困難であ
る。これを行うには、上記のような金属イオン源を複数
台用いなければならず、そのようにすると、各金属イオ
ン源自体が高価なばかりでなく、それ用の各種電源も複
数台ずつ必要になるため、非常に高価になる。
【0014】そこでこの発明は、複雑な形状の基体に対
しても均一に金属イオン注入が可能であり、しかも長時
間の連続運転が可能でメンテナンスが容易であり、かつ
安価である金属イオン注入装置を提供することを主たる
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の金属イオン注入装置は、真空容器と、こ
の真空容器内に設けられていて処理しようとする基体を
保持するホルダと、前記真空容器に、その内部のホルダ
に保持される基体を囲むように取り付けられていて、金
属または金属化合物から成るカソードを有していてそれ
とアノードを兼ねる前記真空容器との間のアーク放電に
よってカソードを局部的に溶解させてカソード物質を蒸
発させてカソード物質を含む金属プラズマを生成する複
数のアーク式蒸発源と、この各アーク式蒸発源のカソー
ドと真空容器との間に前者を負側にして、前記アーク放
電を生じさせるアーク放電電圧をそれぞれ供給する複数
のアーク電源と、このアーク電源とは別個の電源であっ
て、前記ホルダおよびそれに保持される基体に、真空容
器の電位を基準にして負のパルス状のバイアス電圧を印
して、このバイアス電圧によって前記金属プラズマか
ら金属イオンを引き出してそれを基体に注入するバイア
ス電源とを備えることを特徴とする。
【0016】
【作用】上記構成によれば、各アーク式蒸発源に各アー
ク電源からアーク放電電圧をそれぞれ供給して、各アー
ク式蒸発源においてアーク放電を起こさせると、各カソ
ードの近傍にカソード物質を含む金属プラズマが生成さ
れる。
【0017】その状態で、ホルダおよびそれに保持され
る基体にバイアス電源から負のパルス状のバイアス電圧
を印加すると、その電圧によって、前記金属プラズマか
ら金属イオンが引き出され、それが基体に引き込まれ
る。
【0018】この場合、バイアス電圧が直流の場合は、
前述したような理由からブレークダウンが起こりやすい
ためにバイアス電圧をあまり大きくすることはできない
が、パルス状のバイアス電圧の場合は、そのパルス幅を
適宜選択するとこによって、ブレークダウンに至る前に
電圧が0または0近くになるようにすることができるの
で、大きな負バイアス電圧を基体に印加することができ
る。
【0019】その結果、各アーク式蒸発源によって作ら
れた金属プラズマから大きな電圧で金属イオンを引き出
してそれを基体に注入することができる。即ち基体に金
属イオン注入を行うことができる。
【0020】その場合、複数のアーク式蒸発源を、ホル
ダに保持される基体を囲むように配置しており、しかも
各アーク式蒸発源によって作られる金属プラズマはカソ
ードの近傍の空間に広がるので、基体の周りから基体に
対して金属イオンを注入することができ、それによって
複雑な形状の基体に対しても均一に金属イオン注入を行
うことができる。
【0021】しかも、金属プラズマ中の金属イオンを負
バイアス電圧によって直接引き出すので、金属イオン源
の場合と違って引出し電極系が不要であり、その孔が金
属によって塞がれるという問題も生じない。従って、長
時間の連続運転が可能であり、かつメンテナンスも容易
である。従って生産性が非常に高い。
【0022】また、アーク式蒸発源は、金属イオン源と
違って引出し電極系およびそれ用の電源が不要で構成が
簡単であるため、アーク式蒸発源を複数台設けても、金
属イオン源を複数台設ける場合よりも遙かに安価であ
る。
【0023】
【実施例】図1は、この発明に係る金属イオン注入装置
の一例を示す縦断面図である。図2は、図1の装置の横
断面図である。
【0024】この実施例の金属イオン注入装置は、真空
排気装置8によって真空排気される真空容器2を備えて
いる。この真空容器2内には、ガス源6から不活性ガ
ス、反応ガス等のガス4が導入される。不活性ガスは、
例えばアルゴンガスである。反応ガスは、後述するアー
ク式蒸発源16のカソード18がアーク蒸発したときに
イオン化された蒸発物質と反応して化合物を作るガスで
あり、例えば窒化物を作る場合は窒素ガス、炭化物を作
る場合はメタンガス、エチレンガス等である。
【0025】真空容器2内には、処理しようとする基体
10を保持するホルダ12が設けられている。このホル
ダ12の形状は、図示例のようなものに限定されるもの
ではなく、基体10を保持することができるものであれ
ば任意である。
【0026】このホルダ12は、基体10の全面により
均一にイオン注入を行うことができるようにするため
に、回転式にするのが好ましい。そのためにこの実施例
では、ホルダ12を回転軸56によって支持し、真空容
器2外に設けた回転駆動装置58によって、ホルダ12
および基体10を例えば矢印A方向に回転させるように
している。回転軸56が真空容器2を貫通する部分に
は、この例では回転軸56と真空容器2間を真空シール
する機能および両者間を電気絶縁する機能を有する軸受
部60が設けられている。
【0027】基体10は、例えば前述したようなクラン
クシャフト等の自動車部品、ドリル等の一般産業部品、
人工骨、カテーテル等の医用材料等であり、その形状は
図示例のようなものに限定されず任意である。
【0028】基体10が非導電性の場合は、ホルダ12
から当該基体10にバイアス電圧を印加することができ
るようにするために、イオン注入に先立って基体10の
表面に金属等の導電薄膜を被覆しておいたり、予め基体
10の内部に金属等の導電材を導入しておいたりするの
が好ましい。
【0029】真空容器2には、複数台のアーク式蒸発源
16が、内部のホルダ12に保持される基体10を取り
囲むように取り付けられている。より具体的には、図2
にも示すように、この例では真空容器2は平面形状が四
角形をしており、その四側面にアーク式蒸発源16をそ
れぞれ取り付けて、ホルダ12に保持された基体10を
四方から取り囲むように配置している。真空容器2の上
面にも、基体10に向けてアーク式蒸発源16を設けて
も良い。
【0030】各アーク式蒸発源16は、金属または金属
化合物から成るカソード18を有していて、当該カソー
ド18とアノードを兼ねる真空容器2との間でアーク放
電(図1中の34はそのアークを模式的に示す)を起こ
させてカソード18を局部的に溶解させてカソード物質
を蒸発させるものであり、そのとき、各カソード18の
前方近傍に、アーク放電によって、カソード物質を含む
金属プラズマ36が生成される。
【0031】なお、各アーク式蒸発源16には、例えば
特開昭63−18056号公報に開示されているよう
に、通常は、アーク放電起動用のトリガ電極等が設けら
れているが、ここではその図示を省略している。17は
絶縁物、19は金属フランジである。
【0032】各アーク式蒸発源16のカソード18と真
空容器2との間には、両者間に、カソード18を負側に
してアーク放電電圧VA をそれぞれ供給するアーク電源
40がそれぞれ接続されている。
【0033】各アーク電源40は、この実施例では、後
述するような種々の処理を行うことができるようにする
ために、カソード18と真空容器2との間に前者を負側
にして直流のアーク放電電圧を供給する直流アーク電源
42と、同カソード18と真空容器2との間に負の(カ
ソード18側に負の)パルス状のアーク放電電圧を供給
するパルスアーク電源44とを備えており、これによっ
て各カソード18に、直流のアーク放電電圧とパルス状
のアーク放電電圧とを択一的に切り換えて供給すること
ができるようにしている。そのために、両アーク電源4
2、44は、この例では、スイッチ46、47によって
択一的にカソード18に接続されるようにしているが、
回路構成はこれに限定されるものではない。
【0034】更に、この実施例では後述するような種々
の処理を行うことができるようにするために、各アーク
式蒸発源16のカソード18と真空容器2との間をそれ
ぞれ開閉する複数のスイッチ48を設けている。
【0035】ホルダ12には、当該ホルダ12およびそ
れに保持される基体10に、真空容器2の電位(この電
位は通常はこの例のように接地電位)を基準にして負の
パルス状のバイアス電圧VB を印加するバイアス電源5
0が、この例では回転軸56を介して接続されている。
但し、回転軸56を絶縁物として、それ以外のリード線
等によってホルダ12にバイアス電圧VB を印加するよ
うにしても良い。
【0036】バイアス電源50は、この実施例では後述
するような種々の処理を行うことができるようにするた
めに、負の直流バイアス電圧VD を出力する直流バイア
ス電源52と、それに直列に接続されていて、この負の
直流バイアス電圧VD に負のパルスバイアス電圧VP
重畳させるパルスバイアス電源54とを備えている。な
お、直流バイアス電源52に、その不使用時にそれをバ
イパスするスイッチ(図示省略)を接続しておいても良
い。
【0037】上記のような金属イオン注入装置における
基本的な動作を説明すると、各アーク式蒸発源16に、
所望の金属、例えばチタン、銀等から成るカソード18
を取り付けておき、かつホルダ12に所望の基体10を
保持しておき、そして真空容器2内を真空排気装置8に
よって所定の真空度(例えば10-5〜10-6Torr程
度)に排気する。その後、必要に応じて、真空容器2内
にガス源6からガス4を導入する。例えば、カソード物
質とガス4とを反応させて化合物を作る場合には、真空
容器2内に窒素ガス、メタンガス、エチレンガス等の反
応ガスを、真空容器2内が例えば10-2〜10-3Tor
r程度になるように導入する。また、そのような化合物
を作らない場合は、各アーク式蒸発源16においてアー
ク放電が安定して生じるようにするために、真空容器2
内にアルゴン等の不活性ガスを、真空容器2内が例えば
10-3〜10-4Torr程度になるように導入するのが
好ましい。
【0038】そしてそのような状態で、各アーク式蒸発
源16に各アーク電源40からアーク放電電圧VA をそ
れぞれ供給して、各アーク式蒸発源16においてアーク
放電を起こさせると、各カソード18の前方近傍に、カ
ソード物質を含む金属プラズマ36がそれぞれ生成され
る。
【0039】その状態で、ホルダ12およびそれに保持
された基体10にバイアス電源50から負のパルス状の
バイアス電圧VB を印加すると、その電圧によって、金
属プラズマ36から金属イオン38が引き出され、それ
が基体10に引き込まれる。
【0040】この場合、バイアス電圧が直流の場合は、
前述したような理由から、プラズマを介してホルダ12
や基体10と真空容器2との間でブレークダウンが起こ
りやすいためにバイアス電圧をある程度以上大きくする
ことはできないが、パルス状のバイアス電圧VB の場合
は、そのパルス幅を適宜選択することによって、ブレー
クダウンに到る前に電圧が0または0近くになるように
することができる。即ち、金属プラズマ36中にはドロ
ップレットと呼ばれる金属の塊が含まれており、このド
ロップレットによって惹き起こされる閃絡までの時間を
tとし、バイアス電圧VB のパルス幅をW(図3および
図4参照)とすると、W<tなる条件を満たすようにす
れば、ブレークダウンに到る前に電圧が無くなるので、
ブレークダウンを防止することができる。従って、大き
なバイアス電圧を基体10に印加することが可能にな
る。
【0041】このパルス状のバイアス電圧VB のパルス
幅Wを短くするほど、ブレークダウンに到りにくくなる
が、供給できるパワーが小さくなり、パルス幅Wを大き
くすると、真空容器2内の圧力や基体10の形状等にも
依るが、ブレークダウンに到りやすくなるので、これら
を考慮すると、パルス幅Wは、数μs〜数msの範囲内
に選定するのが好ましい。
【0042】また、パルス状の電圧であるため、大きな
パワーを供給するためには、バイアス電圧VB の周波数
(繰り返し数)をある程度以上高く、具体的には数百H
z〜数kHzにするのが好ましい。
【0043】このような条件で、絶対値が約5kV〜数
百kVのバイアス電圧VB をホルダ12および基体10
に印加することが可能である。
【0044】上記範囲内のバイアス電圧VB の典型例を
示すと、大きさが−30kV〜−125kV、パルス幅
が10〜30μs、周波数が200Hz〜2kHzであ
る。
【0045】このようにこの金属イオン注入装置によれ
ば、各アーク式蒸発源16によって作られた金属プラズ
マ36から大きな電圧で金属イオン38を引き出してそ
れを基体10に注入することができる。即ち基体10に
金属イオン注入を行うことができる。
【0046】その場合、複数のアーク式蒸発源16を、
ホルダ12に保持される基体10を囲むように配置して
おり、しかも各アーク式蒸発源16によって作られる金
属プラズマ36はカソード18の近傍の空間に広がるの
で、基体10の周りから基体10に対して金属イオン3
8を注入することができ、それによって複雑な形状の基
体10に対しても均一に金属イオン注入を行うことがで
きる。
【0047】しかも、金属プラズマ36中の金属イオン
38をバイアス電圧VB によって直接引き出すので、金
属イオン源の場合と違って引出し電極系が不要であり、
その孔が金属によって塞がれるという問題も生じない。
従って、長時間の連続運転が可能であり、かつメンテナ
ンスも容易である。従って生産性が非常に高い。
【0048】また、アーク式蒸発源16は、金属イオン
源と違って引出し電極系およびそれ用の電源が不要で構
成が簡単であるため、アーク式蒸発源16を複数台設け
ても、金属イオン源を複数台設ける場合よりも遙かに安
価である。
【0049】次に、上記のような金属イオン注入装置を
用いて種々の処理を行う場合の例を説明する。
【0050】〔例1:金属イオン注入のみを行う場合
1〕この場合は、アーク電源40中のパルスアーク電源
44およびバイアス電源50中のパルスバイアス電源5
4のみを用いる。従って、その他の直流アーク電源4
2、直流バイアス電源52等は不要である。従ってこの
例の処理のみを行う場合は、アーク電源40をパルスア
ーク電源44のみで構成し、バイアス電源50をパルス
バイアス電源54のみで構成しておいても良い。
【0051】そして各パルスアーク電源44から、例え
ば図3に示すような負パルス状のアーク放電電圧V
A を、各アーク式蒸発源16のカソード18に供給す
る。かつ、パルスバイアス電源54から、例えば図3に
示すような負パルス状のバイアス電圧VB を、ホルダ1
2およびそれに保持された基体10に印加する。しか
も、両電圧VA およびVB は互いに同期させておき、か
つ前者のパルス幅WA よりも後者のパルス幅Wを長くし
ておく。このパルス状のバイアス電圧VB の振幅(絶対
値)V、パルス幅Wおよび周波数の好ましい範囲は、前
述のとおりである。
【0052】この例の場合は、アーク放電電圧VA がパ
ルス状であるので、各アーク式蒸発源16におけるアー
ク放電は断続的に起こり、金属プラズマ36も断続的に
生成される。そして、金属プラズマ36が生成されると
きは常に、ホルダ12および基体10にはバイアス電圧
B が印加されているので、基体10に対して、前述し
たような作用によって金属イオン38の注入は行われる
が、低バイアス電圧あるいは無バイアス電圧によるカソ
ード物質(金属)の被覆は行われない。従って、基体1
0に対して金属イオン注入のみを行うことができる。
【0053】〔例2:金属イオン注入のみを行う場合
2〕この場合は、アーク電源40側は直流アーク電源4
2のみを用いる。従ってその他のパルスアーク電源4
4、スイッチ48等は不要である。バイアス電源50側
は直流バイアス電源52およびパルスバイアス電源54
の両方を用いる。従ってこの例の処理のみを行う場合
は、アーク電源40を直流アーク電源42のみで構成
し、バイアス電源50を直流バイアス電源52およびパ
ルスバイアス電源54で構成しておいても良い。
【0054】そして各直流アーク電源42から、直流の
アーク放電電圧VA を、各アーク式蒸発源16のカソー
ド18に供給する。かつ、バイアス電源50から、例え
ば図4に示すように、負の直流バイアス電圧VD に負の
パルスバイアス電圧VP を重畳させたバイアス電圧VB
を、ホルダ12およびそれに保持された基体10に印加
する。
【0055】この場合、直流バイアス電圧VD の大きさ
(絶対値)は、800V〜数kV程度にするのが好まし
く、その内でも1kV程度にするのがより好ましい。こ
のような電圧では、スパッタ効率が高いので、特に1k
V付近ではスパッタ効率が最も高いので、基体10に蒸
着されるカソード物質は、自らの金属プラズマ36のエ
ネルギーによってスパッタされ完全に除去される。これ
はイオンボンバードと呼ばれる方法であり、これによっ
て基体10の表面を清浄化(クリーニング)することは
できるが、カソード物質の被覆は行われない。
【0056】パルスバイアス電圧VP の振幅V、パルス
幅Wおよび周波数の好ましい範囲は前述のとおりであ
る。
【0057】この例の場合は、アーク放電電圧VA は直
流であるので、処理中は各アーク式蒸発源16における
アーク放電は持続しており、金属プラズマ36は常に生
成されている。そして、基体10に印加した直流バイア
ス電圧VD によるイオンボンバードによって基体10の
表面を清浄化しながら、基体10に印加したパルスバイ
アス電圧VP によって、基体10に対して金属イオン3
8の注入が行われる。即ち、基体10の表面に不純物や
酸化膜等が付着していないきれいな状態で金属イオン注
入が行われるので、不純物混入の少ないより良好な金属
イオン注入を行うことができる。
【0058】〔例3:金属膜被覆と金属イオン注入を交
互に行う場合〕この場合の電源構成、アーク放電電圧V
A およびバイアス電圧VB の特性は、上記例2の場合と
同様である。従って、ホルダ12および基体10には、
図4に示したようなバイアス電圧VB を印加する。但
し、ホルダ12および基体10に印加する直流バイアス
電圧VD の大きさは、金属プラズマ36によるスパッタ
を小さくしてカソード物質(金属)の被覆を可能にする
ために、数百V〜500V程度にするのが好ましい。
【0059】この例の場合、アーク放電電圧VA は直流
であるので、処理中は各アーク式蒸発源16におけるア
ーク放電は持続しており、金属プラズマ36は常に生成
されている。従って、基体10には、各アーク式蒸発源
16から蒸発したカソード物質が入射堆積すると共に、
直流バイアス電圧VD によって金属イオン38が引き込
まれ、このようにして基体10の表面に金属薄膜が形成
(被覆)される。これはイオンプレーティングと呼ばれ
るものである。これと同時に、直流バイアス電圧VD
重畳したパルスバイアス電圧VP によって、当該パルス
バイアス電圧V P のパルス幅W(図4参照)の期間中
は、基体10に対して金属イオン38の注入が行われ
る。従ってこの例の場合は、イオンプレーティングによ
る金属薄膜の被覆と、パルスバイアス電圧VP による金
属イオン注入と交互に繰り返し行われる。
【0060】この方法によれば、図5に示すように、基
体10の表面に金属薄膜62を形成しながら、金属イオ
ン38を注入することができる。このとき金属イオン3
8は、イオンのエネルギーによる蒸着原子の励起、
蒸着原子の基体10中への押し込み、基体原子および
蒸着原子の叩き出し、イオン自体の基体10中への侵
入、の作用をし、この〜の作用によって、基体10
と金属薄膜62との界面付近に両者の構成元素から成る
混合層64が形成され、基体10に対する金属薄膜62
の密着性が向上する。また、の作用(これはイオンア
シストと呼ばれる)によって、金属薄膜62の結晶化が
促進される。
【0061】〔例4:化合物膜被覆と金属イオン注入を
交互に行う場合〕この場合の電源構成、アーク放電電圧
A およびバイアス電圧VB の特性ならびに直流バイア
ス電圧VD の大きさは、上記例3の場合と同様である。
但しこの場合は、真空容器2内にガス4として、アーク
式蒸発源16のカソード18を構成する物質と反応して
化合物を作る反応ガスを導入する。
【0062】この例の場合、基体10の表面には、金属
薄膜ではなく、イオン化したカソード物質と雰囲気中の
反応ガスとが化合して、化合物薄膜が形成される。例え
ば、各カソード18がチタンでガス4が窒素ガスの場
合、窒化チタン(TiN)というセラミックス膜が形成
される。そしてこの化合物薄膜の被覆と、パルスバイア
ス電圧VP による金属イオン注入とが交互に繰り返し行
われ、これによって化合物の多層膜が形成される。
【0063】この方法の場合も、金属イオン38による
前述したような押し込み、叩き出しおよび侵入作用によ
って、化合物薄膜と基体10との界面付近に両者の構成
元素から成る混合層が形成され、基体10に対する化合
物薄膜の密着性が向上する。また、多層膜の各層間付近
にも同様にして混合層が形成され、多層膜層間の密着性
が向上する。
【0064】また、複数台あるアーク式蒸発源16のカ
ソード18を互いに異種のものとしても良く、その場合
は三元以上の化合物の多層膜を形成することができる。
例えば、カソード18をチタンとアルミニウムにし、ガ
ス4を窒素ガスとすれば、(TiAl)Nという三元化合
物の多層膜を形成することができる。
【0065】また、成膜中に、カソード18からのカソ
ード物質の蒸発量等を制御することにより、組成が膜厚
方向に変化している傾斜機能膜を形成することも可能で
ある。
【0066】〔例5:ガスイオン注入と金属イオン注入
の2工程を行う場合〕この場合は、各アーク式蒸発源1
6のカソード18と真空容器2との間を開閉するスイッ
チ48を用いる。
【0067】第1の工程では、図6に示すように、各ス
イッチ48を閉じた状態にしておく。従ってこの状態で
は、各アーク式蒸発源16を働かせるのではなく、それ
を単に真空容器2と同電位にしておくだけである。この
状態で真空容器2内を所定の真空度まで排気した後、所
望のガス4を導入して真空容器2内のガス圧を、基体1
0と真空容器2との間で直流グロー放電を生じさせるの
に都合の良い圧力に、例えば数mTorr〜数十mTo
rr程度に保つ。
【0068】その状態で、バイアス電源50を構成する
直流バイアス電源52から、ホルダ12およびそれに保
持された基体10に負の直流バイアス電圧VD を印加し
て、真空容器2をアノードにしホルダ12および基体1
0をカソードにして、両者間で直流グロー放電を起こさ
せる。このときの直流バイアス電圧VD の大きさは、例
えば数百V程度にする。これによって、真空容器2内に
導入されたガス4が電離されて、真空容器2内にガスプ
ラズマ66が生成される。その場合、負電位のホルダ1
2および基体10の表面近傍には、電子が排除されて主
としてイオンのみが存在するイオンシース68が形成さ
れる。
【0069】この状態で、バイアス電源50を構成する
パルスバイアス電源54からホルダ12および基体10
に、負のパルスバイアス電圧VP を直流バイアス電圧V
D に重畳させて印加すると、その電界によってガスプラ
ズマ66あるいはイオンシース68中のガスイオン70
が基体10に向けて加速される。これによって、基体1
0に対してガスイオン注入を行うことができる。これが
第1の工程である。
【0070】第2の工程では、例えば図1に示した状態
に戻り、各アーク式蒸発源16を働かせる。即ち、各ス
イッチ48を開いた状態で、各アーク電源40から各ア
ーク式蒸発源16にアーク放電電圧VA を供給して各ア
ーク式蒸発源16を動作させて金属プラズマ36を生成
すると共に、バイアス電源50を構成するパルスバイア
ス電源54から基体10に負のパルスバイアス電圧VP
を印加して、当該金属プラズマ36中の金属イオン38
を基体10に引き込んで金属イオン注入を行う。この第
2の工程では、より具体的には、前記例1〜例4に示し
た種々の処理を行うことができる。
【0071】このように、図1に示した金属イオン注入
装置では、一つの装置で、基体10に対するガスイオン
注入と金属イオン注入の2工程を行うことができる。
【0072】例えば、第1の工程で真空容器2内に窒素
ガスを導入して基体10に窒素イオンを注入して下地処
理を行った後に、第2の工程で前記のようにして、当該
基体10に金属イオン注入または薄膜被覆と金属イオン
注入とを行うができる。即ち、この下地処理は窒化処理
であり、それによって基体10の表面を硬くした上に、
薄膜被覆等を行うことができるので、硬度等のより優れ
た薄膜を被覆することができる。
【0073】また、上記とは逆に、第2の工程を先に行
って基体10に金属イオン注入または薄膜被覆と金属イ
オン注入とを行った後に、第1の工程によってガスイオ
ン注入を行うこともできる。それによって、先の工程で
基体10の表面に形成した金属薄膜または化合物薄膜に
更にガスイオンを注入して、それらとは別のより多元の
化合物薄膜を形成することができる。例えば、TiC、
TiAl、TiZr等から成る薄膜に窒素イオンを注入し
て、(TiC)N、(TiAl)N、(TiZr)Nのよう
な化合物薄膜を形成することもできる。
【0074】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0075】請求項1および2記載の金属イオン注入装
置によれば、ホルダおよびそれに保持される基体に負の
パルス状のバイアス電圧を印加するバイアス電源を備え
ているので、大きな負バイアス電圧を基体に印加するこ
とができ、それによって、各アーク式蒸発源によって作
られた金属プラズマから大きな電圧で金属イオンを引き
出してそれを基体に注入することができる。
【0076】しかも、複数のアーク式蒸発源を、ホルダ
に保持される基体を囲むように配置しており、しかも各
アーク式蒸発源によって作られる金属プラズマはカソー
ドの近傍の空間に広がるので、基体の周りから基体に対
して金属イオンを注入することができ、それによって複
雑な形状の基体に対しても均一に金属イオン注入を行う
ことができる。
【0077】また、金属プラズマ中の金属イオンをバイ
アス電圧によって直接引き出すので、金属イオン源の場
合と違って引出し電極系が不要であり、その孔が金属に
よって塞がれるという問題も生じない。従って、長時間
の連続運転が可能であり、かつメンテナンスも容易であ
る。従って生産性が非常に高い。
【0078】また、アーク式蒸発源は、金属イオン源と
違って引出し電極系およびそれ用の電源が不要で構成が
簡単であるため、アーク式蒸発源を複数台設けても、金
属イオン源を複数台設ける場合よりも遙かに安価であ
る。
【0079】請求項3記載の金属イオン注入装置によれ
ば、ホルダおよびそれに保持される基体を真空容器内で
回転させる手段を更に備えているので、基体が複雑な形
状であっても、基体の全面により均一に金属イオン注入
を行うことができる。
【0080】請求項4記載の金属イオン注入装置によれ
ば、アーク式蒸発源によって金属プラズマが生成される
ときは常に、基体にパルス状のバイアス電圧が印加され
るので、基体に対して金属イオン注入は行われるけれど
も、低バイアス電圧または無バイアス電圧による金属膜
の被覆は行われない。従って、基体に対する金属イオン
注入のみを行うことができる。
【0081】請求項5記載の金属イオン注入装置によれ
ば、アークプラズマを連続的に発生させた状態で、直流
バイアス電圧によるイオンボンバードによって基体の表
面を清浄化しながら、パルスバイアス電圧によって基体
に対して金属イオン注入を行うことができるので、不純
物混入の少ないより良好な金属イオン注入を行うことが
できる。
【0082】また、直流バイアス電圧の大きさをイオン
ボンバード時よりも小さくすることによって、基体の表
面にイオンプレーティングによって金属薄膜を被覆しな
がら、パルスバイアス電圧によって基体に対して金属イ
オン注入を行うことができる。その結果、金属薄膜と基
体との界面付近に混合層を形成して金属薄膜の密着性を
向上させることができると共に、イオンアシストによっ
て金属薄膜の結晶化を促進することができる。
【0083】請求項6記載の金属イオン注入装置によれ
ば、アーク電源が直流アーク電源とパルスアーク電源と
を含んでいるので、それらを切り換えて使用することが
でき、それによって、請求項4記載の装置が奏する効果
および請求項5記載の装置が奏する効果を奏することが
できる。
【0084】請求項7記載の金属イオン注入装置によれ
ば、真空容器内に反応ガスを導入する手段を更に備えて
いるので、基体の表面に化合物薄膜を被覆することがで
きる。
【0085】請求項8記載の金属イオン注入装置によれ
ば、真空容器内にガスを導入する手段と、各アーク式蒸
発源のカソードと真空容器間をそれぞれ開閉する複数の
スイッチとを更に備えているので、各スイッチを閉じて
真空容器内にガスプラズマを生成して基体にガスイオン
注入を行う工程と、各スイッチを開いて真空容器内に金
属プラズマを生成して基体に金属イオン注入を行う工程
とを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る金属イオン注入装置の一例を示
す縦断面図である。
【図2】図1の装置の横断面図である。
【図3】アーク放電電圧およびバイアス電圧の波形の一
例を示す図である。
【図4】バイアス電圧の波形の他の例を示す図である。
【図5】金属薄膜を被覆した基体の一例を示す概略断面
図である。
【図6】図1の装置を用いて基体にガスイオン注入を行
う場合の一例を示す図である。
【図7】従来のアーク式蒸発源を用いた薄膜形成装置の
一例を示す概略断面図である。
【図8】従来の金属イオン源の一例を示す概略断面図で
ある。
【符号の説明】
2 真空容器 4 ガス 10 基体 12 ホルダ 16 アーク式蒸発源 18 カソード 36 金属プラズマ 38 金属イオン 40 アーク電源 42 直流アーク電源 44 パルスアーク電源 48 スイッチ 50 バイアス電源 52 直流バイアス電圧 54 パルスバイアス電圧 58 回転駆動装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/317 C23C 14/48

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器と、この真空容器内に設けられ
    ていて処理しようとする基体を保持するホルダと、前記
    真空容器に、その内部のホルダに保持される基体を囲む
    ように取り付けられていて、金属または金属化合物から
    成るカソードを有していてそれとアノードを兼ねる前記
    真空容器との間のアーク放電によってカソードを局部的
    に溶解させてカソード物質を蒸発させてカソード物質を
    含む金属プラズマを生成する複数のアーク式蒸発源と、
    この各アーク式蒸発源のカソードと真空容器との間に前
    者を負側にして、前記アーク放電を生じさせるアーク放
    電電圧をそれぞれ供給する複数のアーク電源と、このア
    ーク電源とは別個の電源であって、前記ホルダおよびそ
    れに保持される基体に、真空容器の電位を基準にして負
    のパルス状のバイアス電圧を印加して、このバイアス電
    圧によって前記金属プラズマから金属イオンを引き出し
    てそれを基体に注入するバイアス電源とを備えることを
    特徴とする金属イオン注入装置。
  2. 【請求項2】 前記負のパルス状のバイアス電圧の絶対
    値が30kV〜125kV、パルス幅が10μs〜30
    μsおよび周波数が200Hz〜kHzである請求項
    1記載の金属イオン注入装置。
  3. 【請求項3】 前記ホルダおよびそれに保持される基体
    を前記真空容器内で回転させる手段を更に備える請求項
    1または2記載の金属イオン注入装置。
  4. 【請求項4】 前記各アーク電源が、パルス状のアーク
    放電電圧を出力するパルスアーク電源であり、前記バイ
    アス電源が、当該パルス状のアーク放電電圧に同期して
    いてしかもそれよりもパルス幅の長い負のパルスバイア
    ス電圧を出力するパルスバイアス電源である請求項1、
    2または3記載の金属イオン注入装置。
  5. 【請求項5】 前記各アーク電源が、直流のアーク放電
    電圧を出力する直流アーク電源であり、前記バイアス電
    源が、負の直流バイアス電圧を出力する直流バイアス電
    源と、この負の直流バイアス電圧に負のパルスバイアス
    電圧を重畳させるパルスバイアス電源とを含む請求項
    1、2または3記載の金属イオン注入装置。
  6. 【請求項6】 前記バイアス電源が、負の直流バイアス
    電圧を出力する直流バイアス電源と、この負の直流バイ
    アス電圧に負のパルスバイアス電圧を重畳させるパルス
    バイアス電源とを含み、前記各アーク電源がそれぞれ、
    各アーク式蒸発源のカソードと真空容器との間に直流の
    アーク放電電圧を供給する直流アーク電源と、同カソー
    ドと真空容器との間に、前記パルスバイアス電源から出
    力されるパルスバイアス電圧に同期していてしかもそれ
    よりもパルス幅の短いパルス状のアーク放電電圧を供給
    するパルスアーク電源とを含む請求項1、2または3記
    載の金属イオン注入装置。
  7. 【請求項7】 前記真空容器内に、前記アーク式蒸発源
    のカソードがアーク蒸発したときにイオン化された蒸発
    物質と反応する反応ガスを導入する手段を更に備える請
    求項1、2、3、4、5または6記載の金属イオン注入
    装置。
  8. 【請求項8】 前記真空容器内にガスを導入する手段
    と、前記各アーク式蒸発源のカソードと真空容器との間
    をそれぞれ開閉する複数のスイッチとを更に備える請求
    項6記載の金属イオン注入装置。
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