JP3949604B2 - フォーム粉含有フェノール樹脂フォーム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノール樹脂フォームを再利用するフェノール樹脂フォームの製造方法及び、それにより得られるフォーム粉含有フェノール樹脂フォームに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種建築材料として幅広く使用されているフェノール樹脂フォームは、熱硬化性樹脂であり、加熱溶融による再利用等も難しいことから、製造工程で発生するフェノール樹脂フォーム端材及び廃材を、マテリアルリサイクルの観点から再利用することは困難であると思われていた。しかし近年、その再資源化の観点から、これら熱硬化性樹脂の廃棄物を再利用しようという各種試みがなされている。
【0003】
特開2000−103898号では、熱硬化性樹脂を用いて断熱性、成形性に優れた多孔質成型体を製造する方法が紹介されている。また、建築用廃材を細かく粉砕し水中に分散させバインダー成分を混合し、吸音・断熱材として再利用する方法(特開平7−204619号)や、粉体状の熱硬化性樹脂を再利用する方法(特開平10−330536号)が提案されている。また、熱硬化性樹脂発泡体と熱可塑性樹脂を特定の割合で混合、造粒、再生可能とする方法(特開平9−66527号)も提案されているが、いずれも充填材及び増量材として添加利用するに留まっている。
【0004】
一方、熱硬化性樹脂硬化物の粉末を配合し発泡体を得る方法が、特開平8−253613号で提案されている。また、フェノール樹脂フォーム粉を配合し発泡体を得る方法が本出願人による特願2002−017255号で提案されている。
【0005】
前者に関しては、各目的に応じた熱硬化性樹脂硬化物粉末を発泡剤組成物中に配合した発泡体に関するものであるが、熱硬化性樹脂硬化物粉末の充填材としての添加利用方法である。これに対して、後者はフェノール樹脂に配合する粉末をフェノール樹脂フォーム粉にしており、マテリアルリサイクルを実現させた方法といえるが、ここで記載の方法ではフェノール樹脂フォーム粉を混合したフェノール樹脂の粘度が高くなりやすく、フェノール樹脂通液配管内の圧力の上昇が起こるため装置に負荷がかかりやすく、また、発泡運転では発泡混合機内の圧力が上昇することでシェア発熱により温度が上昇しやすくなる為、その結果スケール付着が早まり、長時間安定的に生産運転を行うことが困難であった。一方、フェノール樹脂フォーム粉混合前のフェノール樹脂本来の粘度を低めに調整しようすると、フェノール樹脂の含水率を上げてしまうことになり、その為に連通化しやすいセル構造となり、フェノール樹脂フォーム中の発泡剤が空気と置換して断熱性能の低下を招くことになる問題があった。
【0006】
そこで、発泡に使用しているフェノール樹脂本来の粘度を変えずに、フェノール樹脂フォーム粉を混合しても粘度上昇を極力抑えることができるようにフェノール樹脂フォーム粉含有フェノール樹脂の流動性を改善し、長時間安定的に生産運転を行うことができるフェノール樹脂フォームを再利用するフェノール樹脂フォームの製造方法が望まれてきた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−103898号
【特許文献2】
特開平7−204619号
【特許文献3】
特開平10−330536号
【特許文献4】
特開平9−66527号
【特許文献5】
特開平8−253613号
【特許文献6】
特願2002−017255号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、廃材であるフェノール樹脂フォームを原料として使用しても、長時間安定的に通常のフェノール樹脂フォームと同等の性能を有するフェノール樹脂フォームを製造できるフェノール樹脂フォームの製造方法及び、それにより得られるフォーム粉含有フェノール樹脂フォームを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、発泡運転安定性を特に考慮し、鋭意検討を進めた結果、フェノール樹脂フォーム粉の嵩密度を高めることによって、フェノール樹脂フォーム粉含有フェノール樹脂の流動性を改善することが可能となり、長時間安定的にフェノール樹脂フォーム粉を混合したフェノール樹脂フォームを製造することができしかも、該製造方法により通常のフェノール樹脂フォームと同等の性能を有するフェノール樹脂フォームを提供できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1] フェノール樹脂、発泡剤、及び酸硬化触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合し、発泡、硬化して発泡体を製造する方法において、該発泡性フェノール樹脂組成物中に、嵩密度60kg/m3以上500kg/m3以下、平均粒径5μm以上300μm以下のフェノール樹脂フォーム粉を混合することを特徴としたフェノール樹脂フォームの製造方法、
[2] 混合するフェノール樹脂フォーム粉の割合が、フェノール樹脂100重量部に対して0.01重量部以上20重量部以下であることを特徴とする1記載のフェノール樹脂フォームの製造方法、
である。
【0011】
本発明においてフェノール樹脂フォームとは、多数の気泡が硬化反応によって成形されたフェノール樹脂中に一様に分散した状態で存在する発泡体である。
本発明におけるフェノール樹脂フォームの独立気泡率は80%以上が好ましく、さらに好ましくは90%以上である。独立気泡率が80%未満であるとフェノール樹脂フォーム中の発泡剤が空気と置換して断熱性能の低下が著しくなる恐れがあるばかりではなく、フェノール樹脂フォームの表面脆性が増加して機械的実用性能を満足しなくなる懸念がある。
【0012】
本発明におけるフェノール樹脂フォームの密度は、発泡剤の割合、硬化時のオーブン温度等の条件により所望の値を選択できるが、好ましくは10kg/m3以上80kg/m3以下であり、より好ましくは20kg/m3以上50kg/m3以下である。密度が10kg/m3未満だと圧縮強度等の機械的強度が小さくなり、発泡体の取り扱い時に破損が起こりやすくなり、表面脆性も増加する。逆に密度が80kg/m3を超えると樹脂部の伝熱が増大し断熱性能が低下する恐れがある。
【0013】
本発明におけるフェノール樹脂フォームの平均気泡径は10μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上150μm以下である。平均気泡径が10μm未満であると、気泡壁の厚さに限界があることから、必然的に発泡体密度が高くなり、その結果発泡体における樹脂部の伝熱割合が増加してフェノール樹脂フォームの断熱性能は不十分となる恐れがある。また、逆に200μmを超えると、輻射による熱伝導率が増加するようになり、発泡体の断熱性能が低下する。
【0014】
本発明における熱伝導率は0.010W/m・K以上0.032W/m・K以下であり、好ましくは0.010W/m・K以上0.030W/m・K以下、より好ましくは0.010W/m・K以上0.028W/m・K以下、更に好ましくは0.010W/m・K以上0.025W/m・K以下である。
本発明におけるフェノール樹脂フォームは、少なくともフェノール樹脂にフェノール樹脂フォーム粉、界面活性剤、発泡剤および硬化触媒を添加し、これらを一様に分散させオーブン等を用いて硬化させることによって得られる。
【0015】
本発明で使用するフェノール樹脂としては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物によって合成したレゾール型フェノール樹脂の他、酸触媒によって合成したノボラック型フェノール樹脂、アンモニアによって合成したアンモニアレゾール型フェノール樹脂、又はナフテン酸鉛などにより合成したベンジルエーテル型フェノール樹脂が挙げられ、中でもレゾール型フェノール樹脂が好ましい。
【0016】
本発明におけるフェノール樹脂フォーム粉とは、フェノール樹脂フォームを粉砕することによって得られる粉末のことであり、その嵩密度は60kg/m3以上500kg/m3以下が好ましく、より好ましくは110kg/m3以上500kg/m3以下、更に好ましくは150kg/m3以上500kg/m3以下である。嵩密度60kg/m3以下であると、フェノール樹脂と混合した際の粘度が高い為に扱いにくくなり、500kg/m3以上にするには多大のエネルギーが必要となり好ましくない。
【0017】
本発明におけるフェノール樹脂フォームの粉砕方法は特に限定しないが、転動ボールミル、転動ロッドミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、パンミル、ローラ−ミル、高速回転式ミル等の粉砕機を使用して得ることができるが、フェノール樹脂フォーム粉の嵩密度を高めるために振動ボールミルや振動ロッドミルのようにフェノール樹脂フォーム粉の圧密化効果が大きい微粉砕機を使用することが望ましい。
【0018】
フェノール樹脂フォーム粉の粒径は、300μmを超える粉が多量に混入すると配管内のフィルター詰まりを起こす等の運転上の問題を起こす可能性があるため好ましくない。そのため、フェノール樹脂フォーム粉は粉砕後に目開き500μm以下の篩等を使用して大きな粉を除くことが好ましい。また、平均粒径を5μm以下にするためには多大のエネルギーが必要となり好ましくない。そのため、好ましくは平均粒径5μm以上300μm以下、より好ましくは5μm以上150μm以下、更に好ましくは5μm以上100μm以下の粒径であるフェノール樹脂フォーム粉を使用する。
【0019】
フェノール樹脂と混合するフェノール樹脂フォーム粉の量は、フェノール樹脂フォーム含有フェノール樹脂の通液配管内の流動性を考慮すると、フェノール樹脂100重量部に対して20重量部以下が望ましいといえる。これはフェノール樹脂フォーム粉の添加量が多くなるとフェノール樹脂フォーム含有フェノール樹脂の粘度が高くなり、その流動性が低下するからである。
また、添加量が0.01重量部未満ではフェノール樹脂フォーム粉を添加する意味が薄れる。そのため、添加量は0.01重量部以上20重量部以下が好ましく、より好ましくは3重量部以上10重量部以下である。
【0020】
フェノール樹脂フォームは一般に触媒由来の遊離酸を含んでいるため、大量にフェノール樹脂にフェノール樹脂フォーム粉を添加した際、フェノール樹脂が反応して分子量が高くなり取り扱いが困難となったり、硬化したりする恐れがある。これを防止するため必要であればフェノール樹脂フォーム粉の洗浄等の処理を施すことができる。洗浄には水や弱アルカリ性水溶液等が利用できる。
本発明で使用するフェノール樹脂のフェノール類対アルデヒド類の出発モル比は1:1から1:4.5が好ましく、より好ましくは1:1.5から1:2.5の範囲内である。本発明においてフェノール樹脂合成の際に好ましく使用されるフェノール類としては、フェノール自体、および他のフェノール類であり、他のフェノール類の例としては、レゾルシノール、カテコール、o−、m−およびp−クレゾール、キシレノール類、エチルフェノール類、p−tertブチルフェノール等が挙げられる。2核フェノール類もまた使用できる。
【0021】
本発明で好ましく使用されるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド自体、および他のアルデヒド類であり、他のアルデヒド類の例としては、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられる。添加剤として尿素、ジシアンジアミドやメラミン等を加えてもよい。本発明において、これらの添加剤を加える場合、フェノール樹脂とは添加剤を加えた後のものを指す。
【0022】
レゾール型フェノール樹脂を使用する際には、40℃における粘度は3,000mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは5,000mPa・s以上50,000mPa・s以下である。また、水分量は3重量%以上30重量%以下が好ましい。
フェノール樹脂フォーム粉とフェノール樹脂との混合方法は特に限定されず、ハンドミキサーやピンミキサー等を利用して混合してもよいし、二軸押し出し機、混練機等を用いても良い。フェノール樹脂フォーム粉をフェノール樹脂に混合する段階も特に限定されず、フェノール樹脂を合成する際、原料と共に添加しておいても良いし、合成終了後、各添加剤を加える前後でも良い。粘度調整した後でも良いし、界面活性剤または/および発泡剤と共に混合しても良い。ただし、フェノール樹脂フォーム粉をフェノール樹脂に添加することで、全体の粘度は上昇するため、粘度調整前のフェノール樹脂にフェノール樹脂フォーム粉を添加する際には、フェノール樹脂の粘度調整は水分量等で推定しながら行うことが好ましい。また、フェノール樹脂、発泡剤、及び酸硬化触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物に混合しても良い。更に、フェノール樹脂フォーム粉はフェノール樹脂に必要量混合しておいても良いし、高濃度のフェノール樹脂フォーム粉入りフェノール樹脂をマスターバッチとして用意しておき、フェノール樹脂に必要量添加しても良い。
【0023】
フェノール樹脂フォーム粉含有フェノール樹脂の40℃における粘度は、フェノール樹脂通液配管内の圧力の上昇による装置の負荷を考慮すると、3,000mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは5,000mPa・s以上50,000mPa・s以下、更に好ましくは1,0000mPa・s以上m30,000Pa・s以下である。また、水分量は3wt%以上30wt%以下が好ましい。
【0024】
界面活性剤及び発泡剤は、フェノール樹脂に予め添加しておいても良いし、硬化触媒と同時に添加しても良い。
界面活性剤は、一般にフェノール樹脂フォームの製造に使用されるものを使用できるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるアルキレンオキサイドや、アルキレンオキサイドとヒマシ油の縮合物、アルキレンオキサイドとノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合生成物、更にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。界面活性剤は一種類で用いても良いし、二種類以上を組み合わせて用いても良い。また、その使用量についても特に制限はないが、フェノール樹脂組成物100重量部当たり0.3〜10重量部の範囲で好ましく使用される。
【0025】
本発明で使用する発泡剤としては、1,1,1,2−テトラフロオロエタン(HFC−134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)のHFC類、あるいはシクロヘキサン、シクロペンタン、ノルマルペンタン等のHC類、二酸化炭素等がある。これらの発泡剤は一種類で用いても、二種類以上の組み合わせでもよい。また、発泡核剤として窒素、ヘリウム、アルゴン、空気などの低沸点物質を発泡剤に添加して使用してもよい。
【0026】
本発明で使用する硬化触媒は特に限定はしないが、水を含む酸を使用すると発泡体気泡壁の破壊等が起こる恐れがある。そのため無水リン酸や無水アリールスルホン酸が好ましいと考えられる。無水アリールスルホン酸としてはトルエンスルホン酸やキシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等があげられ、これらを一種類で用いても、二種類以上の組み合わせでもよい。また、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o−メチロールフェノール)、p−メチロールフェノール等を添加してもよい。また、これらの硬化触媒を、ジエチレングリコール、エチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
【0027】
フェノール樹脂フォーム粉含有フェノール樹脂に硬化触媒を添加したら、ピンミキサー等を使用して出来るだけ速やかに硬化触媒を一様に分散させ、硬化させる。発泡剤の使用量は、その種類により異なる。例えば、発泡剤にHFC−134aを使用した場合、フェノール樹脂100重量部に対して、好ましくは3重量部以上30重量部以下、より好ましくは5重量部以上20重量部以下で使用される。ノルマルペンタン50重量%とイソブタン50重量%の混合物を用いた場合、好ましくは3重量部以上20重量部以下、より好ましくは5重量部以上17重量部未満で使用される。
【0028】
硬化触媒もその種類により使用量は異なり、無水リン酸を用いた場合、好ましくは5重量部以上30重量部以下、より好ましくは8重量部以上25重量部以下で使用される。パラトルエンスルホン酸一水和物60重量%とジエチレングリコール40重量%の混合物を使用する場合、フェノール樹脂100重量部に対して、好ましくは3重量部以上30重量部以下、より好ましくは5重量部以上20重量部以下で使用される。
硬化温度は好ましくは40℃以上130℃以下であり、より好ましくは60℃以上110℃以下である。硬化は一段階で行っても良いし、硬化の具合にあわせ硬化温度を変えて数段階に分けて硬化させても良い。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に実施例、比較例及び参考例によって本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
次に本発明におけるフェノール樹脂、フェノール樹脂フォームの組成、構造、特性の評価方法及び、フェノール樹脂フォーム粉の構造に関して説明をする。
本発明におけるフェノール樹脂の粘度は回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い40℃で測定した。
【0030】
フェノール樹脂の水分量は、以下のようにして測定した。
水分量を測定した脱水メタノール(関東化学(株)製)にフェノール樹脂を3wt%から7wt%の範囲で溶解して、その溶液の水分量を測定して、フェノール樹脂中の水分量を求めた。測定にはカールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製、MKC−510)を用いた。
独立気泡率は、フェノール樹脂フォームより直径35mm〜36mmの円筒試料をコルクボーラーで刳り貫き、高さ30mm〜40mmに切りそろえた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定する。その試料容積から、試料重量と樹脂密度から計算した気泡壁の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割った値であり、ASTM−D−2856に従い測定した。ここでフェノール樹脂の密度は1.3kg/lとした。
密度は、20cm角のフェノール樹脂フォームを試料とし、この試料の面材、サイディング材を取り除いて重量と見かけ容積を測定して求めた値であり、JIS−K−7222に従い測定した。
【0031】
本発明におけるフェノール樹脂フォームの平均気泡径とは、発泡体断面の50倍拡大写真上に9cmの長さの直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数の平均値で1,800μmを割った値であり、JIS−K−6402に準じて測定したセル数より計算した平均値である。
フェノール樹脂フォームの熱伝導率は、フェノール樹脂フォームサンプル200mm角、低温板5℃、高温板35℃でJIS−A−1412の平板熱流計法に従い測定した。
フェノール樹脂フォームの圧縮強さは、JIS−K−7220に従い、規定ひずみを0.05として測定した。
フェノール樹脂フォーム粉の嵩密度は、JIS−K−6911に従い測定した。
フェノール樹脂フォーム粉の平均粒径は、レーザー回析光散乱方式粒径分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラックHRA;9320−X100)を使用し、粉末を水中に一様に分散させるため超音波で1分間処理した後測定した。
【0032】
<フェノール樹脂の合成>
反応器に52重量%ホルムアルデヒド3500kgと99重量%フェノール2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が60センチストークス(25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の16モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50重量%水溶液でpHを6.4に中和した。
この反応液を、60℃で脱水処理して粘度および水分量を測定したところ、40℃における粘度は5,800mPa・s、水分量は5重量%であった。これをフェノール樹脂A−Uとする。
【0033】
【実施例1】
フェノール樹脂A−U:100重量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF製、プルロニックF−127)を3.5重量部の割合で混合した。
フェノール樹脂フォーム(旭化成(株)製、ネオマフォーム)端材を、転動ボールミル(乾式、直径900mm×1500mm)にて面材剥離及び粗粉砕してから、篩(篩目開き:1.2mm)により面材を除去した後、振動ボールミル(乾式、内径150mm、1筒15.5L×2筒)を用いて圧密化微粉砕を行い、嵩密度180kg/m3のフェノール樹脂フォーム粉を作製した。このフェノール樹脂フォーム粉をレーザー回析光散乱方式粒径分布測定装置で測定したところ、平均粒径は26.8μmであった。
【0034】
この粉末を、フェノール樹脂A−U:100重量部に対して5重量部添加し、二軸押し出し機((株)テクノベル製)によって混練した。フェノール樹脂フォーム粉含有フェノール樹脂100重量部に対して、発泡剤としてイソペンタン50重量%とイソブタン50重量%の混合物7重量部、硬化触媒としてキシレンスルホン酸80重量%とジエチレングリコール20重量%の混合物を11重量部からなる組成物を25℃に温調したミキシングヘッドに供給し、マルチポート分配管を通して、移動する下面材上に供給した。使用する混合機(ミキサー)は、特開平10−225993号公報に開示したものを使用した。すなわち、上部側面にフェノール樹脂組成物と発泡剤組成物の導入口があり、回転子が攪拌する攪拌部の中央付近の側面に硬化触媒の導入口を備えている。攪拌部以降はフォームを吐出するためのノズルに繋がっている。即ち、触媒導入口までを混合部(A)、触媒導入口〜攪拌終了部を混合部(B)、攪拌終了部〜ノズルを分配部(C)とし、これらにより構成されている。分配部(C)は先端に複数のノズルを有し、混合された発泡組成物が均一に分配されるように設計されている。また混合部(A)の中央側面と混合部(B)の最下部には系内の温度が測定できるように、温度センサーがセットされている。また、混合部(A)の中央側面には系内の圧力が測定できるように圧力センサーが付いており、この圧力値をミキサー内部圧力(kPa)と呼び、ミキサー内圧力の一つの指標にしている。さらに、各混合部及び分配部はそれぞれ温度調整を可能にするための温調用ジャケットを備えている。
【0035】
面材としてはポリエステル製不織布(旭化成(株)製「スパンボンドE05030」、秤量30g/m2、厚み0.15mm)を使用した。
次に発泡体を同種の上面材で被覆した後に、硬化中に発生する水分を外部に放出できるように設計したスラット型ダブルコンベアに連続的に供給した。ミキサーから出てきた混合物を不織布で挟み込むように88℃のダブルコンベアへ送り、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂フォームを得た。フェノールフォーム粉含有フェノール樹脂の粘度及び発泡運転時のミキサー内圧力、更に得られたフェノール樹脂フォームの評価結果を表1に示す。
【0036】
【実施例2】
実施例1記載の振動ボールミルを用いて圧密化微粉砕を行い、使用するフェノール樹脂フォーム粉の嵩密度が150kg/m3とする以外は実施例1と同様に行った。振動ボールミルの粉砕条件(粉砕時間)を変更することで嵩密度の違うフェノール樹脂フォーム粉を得た。触媒、発泡剤を加え、均一混練したのち、ミキサーから出てきた混合物を不織布で挟み込むように88℃のダブルコンベアへ送り、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂フォームを得た。フェノールフォーム粉含有フェノール樹脂の粘度及び発泡運転時のミキサー内圧力、更に得られたフェノール樹脂フォームの評価結果を表1に示す。
【0037】
【実施例3】
実施例1記載の振動ボールミルを用いて圧密化微粉砕を行い、使用するフェノール樹脂フォーム粉の嵩密度が110kg/m3とする以外は実施例1と同様に行った振動ボールミルの粉砕条件(粉砕時間)を変更することで嵩密度の違うフェノール樹脂フォーム粉を得た。触媒、発泡剤を加え、均一混練したのち、ミキサーから出てきた混合物を不織布で挟み込むように88℃のダブルコンベアへ送り、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂フォームを得た。フェノールフォーム粉含有フェノール樹脂の粘度及び発泡運転時のミキサー内圧力、更に得られたフェノール樹脂フォームの評価結果を表1に示す。
【0038】
【実施例4】
実施例1記載の振動ボールミルを用いて圧密化微粉砕を行い、使用するフェノール樹脂フォーム粉の嵩密度が60kg/m3とする以外は実施例1と同様に行った。振動ボールミルの粉砕条件(粉砕時間)を変更することで嵩密度の違うフェノール樹脂フォーム粉を得た。触媒、発泡剤を加え、均一混練したのち、ミキサーから出てきた混合物を不織布で挟み込むように88℃のダブルコンベアへ送り、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂フォームを得た。フェノールフォーム粉含有フェノール樹脂の粘度及び発泡運転時のミキサー内圧力、更に得られたフェノール樹脂フォームの評価結果を表1に示す。
【0039】
【実施例5】
実施例1と同様に粉砕したフェノール樹脂フォーム粉の添加量を10重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。触媒、発泡剤を加え、均一混練したのち、ミキサーから出てきた混合物を不織布で挟み込むように88℃のダブルコンベアへ送り、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂フォームを得た。フェノールフォーム粉含有フェノール樹脂の粘度及び発泡運転時のミキサー内圧力、更に得られたフェノール樹脂フォームの評価結果を表1に示す。
【0040】
【実施例6】
実施例1と同様に粉砕したフェノール樹脂フォーム粉の添加量を20重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。触媒、発泡剤を加え、均一混練したのち、ミキサーから出てきた混合物を不織布で挟み込むように88℃のダブルコンベアへ送り、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂フォームを得た。フェノールフォーム粉含有フェノール樹脂の粘度及び発泡運転時のミキサー内圧力、更に得られたフェノール樹脂フォームの評価結果を表1に示す。
【0041】
【参考例1】
フェノール樹脂フォーム粉を混合しなかった以外は実施例1と同様に行ってフェノール樹脂フォームを得た。フェノールフォーム粉含有フェノール樹脂の粘度及び発泡運転時のミキサー内圧力、更に得られたフェノール樹脂フォームの評価結果を表1に示す。
【0042】
【比較例1】
フェノール樹脂フォーム(旭化成(株)製、ネオマフォーム)端材の面材を人手で剥離した後、ヘンシルミキサー((株)三池三井製作所製、FM20B)にて粗粉砕してから、篩(篩目開き:63μm)により大粒径粉を除去した、嵩密度が40kg/m3のフェノール樹脂フォーム粉(平均粒径29.1μm)を使用する以外は実施例1と同様に行った。触媒、発泡剤を加え、均一混練したのち、ミキサーから出てきた混合物を不織布で挟み込むように88℃のダブルコンベアへ送り、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂フォームを得た。フェノールフォーム粉含有フェノール樹脂の粘度及び発泡運転時のミキサー内圧力、更に得られたフェノール樹脂フォームの評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明によって、フェノール樹脂フォームの積極的な再利用を行いながら、長時間安定的に性能良好なフェノール樹脂フォームを製造することができる。
Claims (2)
- フェノール樹脂、発泡剤、及び酸硬化触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合し、発泡、硬化して発泡体を製造する方法において、該発泡性フェノール樹脂組成物中に、嵩密度60kg/m3以上500kg/m3以下、平均粒径5μm以上300μm以下のフェノール樹脂フォーム粉を混合することを特徴としたフェノール樹脂フォームの製造方法。
- 混合するフェノール樹脂フォーム粉の割合が、フェノール樹脂100重量部に対して0.01重量部以上20重量部以下であることを特徴とする請求項1記載のフェノール樹脂フォームの製造方法。
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