JP3948175B2 - カプロラクタムの製造法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンからカプロラクタムを製造する新規な方法に関する。カプロラクタムは、ナイロン6繊維、ナイロン6樹脂の原料として広く利用される有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンはシクロヘキサノンに過酸化水素、アンモニアを作用させて簡便に製造できる。(J.Chem.Soc.,(C)2663(1969).)
そして、この1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンからカプロラクタムを製造する方法としては、ナトリウムメトキシド、臭化リチウム、塩化リチウムを触媒に用いる方法が報告されている。ナトリウムメトキシドを触媒に用いる場合では(特公昭46−8981号公報、特公昭45−19306号公報、特公昭46−20108号公報など)、主にアルコール溶媒が使用されている。臭化リチウム、塩化リチウム等の塩が触媒として用いられる場合では(特公昭45−20107号公報、特公昭47−11759号公報、特公昭46−26496号公報、特公昭46−25742号公報など)、触媒を溶解させる必要からジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびアルコール類等非炭化水素溶媒に限られて使用されている。
【0003】
しかしながら、これら非炭化水素溶媒を使用した場合では、反応で生成したカプロラクタムと触媒との分離および触媒の回収再使用操作が煩雑になるという問題があった。また、反応条件下において、これらジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびアルコール類等非炭化水素溶媒それ自身が、溶解した1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンを分解させることがあり、カプロラクタムを高収率で製造するためには問題がある。よって、より効率的な製造法が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、カプロラクタムを1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンから煩雑な単離操作もなく高収率で製造できる方法を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンを、周期律表IA族またはIIA族の元素の塩と第三ホスフィンオキシドを含有する炭化水素溶媒中で反応させることを特徴とするカプロラクタムの製造法によって達成される。
【0006】
【発明の実施形態】
以下本発明を詳しく説明する。
本発明で使用する1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは、例えばシクロヘキサノンに過酸化水素とアンモニアを作用させて得ることができ、そのまま、或いは有機溶媒からの晶析等により精製したものを用いても何ら問題はない。
【0007】
本発明で使用する周期律表IA族及び/またはIIA族の元素の塩において、その塩が使用できるIA族の元素としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。使用できるIIA族の元素としてはマグネシウム、カルシウム等が挙げられる。 また、これらの塩としてはハロゲン化物、過塩素酸塩、シアン化物、トリスルホン酸塩、スルホン酸塩、チオシアン酸塩等が挙げられ、具体例としてはフッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸マグネシウム、トリフルオロスルホン酸リチウム、p−トルエンスルホン酸リチウム等が挙げられる。もちろん、これらの塩は単独でも2種類以上を併用しても何ら問題はない。
【0008】
これら塩の使用量については、特に制限はない。しかし、多量に使用すると経済性を損なうので、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンに対して0.01〜10当量、好ましくは0.1〜5当量である。
【0009】
本発明で使用する第三ホスフィンオキシドとしては次の一般式で示されるものが有用である。
【化2】
(ただし、式中のR1,R2及びR3は、それぞれ炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルケニル基、炭素数7〜14のアラルキル基、炭素数6〜14のアリール基および炭素数1〜4のアルキル基で置換されたN,N−二置換アミノ基を示し、これらの各基はハロゲン原子、スルホニル基、アルコキシ基、フェノキシ基、シアノ基で置換されていてもよく、またR1,R2及びR3は、同一の基であっても異なった基であってもよい。)
【0010】
この一般式で表される化合物の具体例としては、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、トリプロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、メチルエチルペンチルホスフィンオキシド、メチルベンジルフェニルホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド、トリベンジルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリルジフェニルホスフィンオキシド、トリアリルホスフィンオキシド、トリス(クロロフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(2−シアノエチル)ホスフィンオキシド、トリス(フルオロフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(メトキシフェニル)ホスフィンオキシド、トリトリルホスフィンオキシド、ビニルジフェニルホスフィンオキシド、ブチルジフェニルホスフィンオキシド、シクロヘキシルジフェニルホスフィンオキシド、ジシクロヘキシルフェニルホスフィンオキシド、ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ジメチルフェニルホシフィンオキシド、ジビニルフェニルホスフィンオキシド、エチルジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニル[(フェニルスルホニル)メチル]ホスフィンオキシド、トリス[p−(ジメチルアミノ)フェニル]ホスフィンオキシド、トリ−1−シクロヘキセン−1−イルホスフィンオキシド、ジエチル(p−フェノキシフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(フェニルエチル)ホスフィンオキシドおよびヘキサメチルホスホンアミドなどが挙げられる。
これらは単独でも併用しても何ら問題はない。
【0011】
これら第三ホスフィンオキシドの使用量は、特に制限はないが多量に使用すると経済性を損なうので、周期律表IA族及び/またはIIA族の元素の塩に対して0.1〜10当量、好ましくは0.5〜5当量である。
【0012】
本発明で使用される炭化水素溶媒としては、炭素数6〜10の芳香族炭化水素や炭素数5〜10の脂肪族炭化水素が挙げられる。具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンやペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0013】
炭化水素溶媒の使用量は、特に制限はないが、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンに対して1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。
【0014】
反応は開放系常圧下で行っても、密閉系加圧下で行っても何ら問題はない。反応温度は40〜180℃の範囲で行うことが出来るが、なかでも50〜150℃で行うのが好ましい。反応温度が40℃よりも低すぎると反応速度があまりにも遅すぎる。反応温度が180℃より高すぎると1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンの分解が起こることもあり、好ましくない。
反応時間は、通常10分〜5時間であるが、長時間行っても反応自体には何ら問題はない。
【0015】
反応終了後、得られたカプロラクタムは、例えば反応液を水洗後、炭化水素溶媒を留去した後、カラムクロマト分離、蒸留等の通常の単離操作で分離、精製される。
【0016】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。収率、選択率は1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンの仕込みモル数に対する生成物のモル数の比率で求めた。
【0017】
実施例1
25mlのナス型フラスコに臭化リチウム0.174g(2.0mmol)、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)、トリブチルホスフィンオキシド1.747(8.0mmol)およびトルエン7mlを加え、3時間加熱還流した。放冷後、水20mlを加え、酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消失し、カプロラクタム0.359g、シクロヘキサノン0.370gが存在していることが判った。水層をガスクロマトグラフで分析した結果、カプロラクタムの存在量は0.002g以下であった。この結果カプロラクタム収率は79.4%、シクロヘキサノン収率は94.4%であった。なお、触媒系は水相に移行していた。
【0018】
実施例2
臭化リチウムの使用量を0.347g(4.0mmol)とするほかは実施例1と同様の操作を行った。その結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消費しており、カプロラクタムが収率82.7%、シクロヘキサノンが収率96.4%で生成していることが判った。
【0019】
実施例3
臭化リチウムの使用量を0.087g(1.0mmol)にし、トリブチルホスフィンオキシドの代わりにトリフェニルホスフィンオキシド0.278g(1.0mmol)を加え、反応時間を5時間にしたほかは実施例1と同様の操作を行った。その結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは0.094g残存し、カプロラクタムが収率73.8%(選択率83.0%)、シクロヘキサノンが収率88.2%(選択率99.3%)で生成していることが判った。
【0020】
実施例4
トリブチルホスフィンオキシドの代わりにヘキサメチルホスホンアミド0.358g(2.0mmol)を加えたほかは実施例1と同様の操作を行った。その結果1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンが0.019g残存し、カプロラクタムが収率69.6%(選択率71.2%)、シクロヘキサノンが収率77.8%(選択率79.6%)で生成していることが判った。
【0021】
実施例5
臭化リチウムの代わりに過塩素酸リチウム0.213g(2.0mmol)、トリブチルホスフィンオキシドの代わりにトリフェニルホスフィンオキシド0.557g(2.0mmol)を加えたほかは実施例1と同様の操作を行った。その結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消費されカプロラクタムが収率67.9%、シクロヘキサノンが収率89.7%で生成していることが判った。
【0022】
比較例1.
25mlのナス型フラスコに塩化リチウム0.085g(2.0mmol)、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)およびジメチルホルムアミド7mlを加え、3時間110℃に加熱した。減圧下溶媒留去した残渣に水20ml加えて酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消失し、カプロラクタム0.288g、シクロヘキサノン0.367gが存在していることが判った。また水層をガスクロマトグラフで分析した結果、カプロラクタム0.051gが存在していることが判った。この水層を20mlの酢酸エチルで3回抽出した後、再び水層をガスクロマトグラフで分析した結果、カプロラクタムの残量は0.003gであった。この結果、カプロラクタムのトータル収率は75.0%、シクロヘキサノンの収率は93.6%となった。
なお、触媒は水層に移行していた。
【0023】
比較例2
25mlのナス型フラスコに臭化リチウム0.174g(2.0mmol)、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)、トリブチルホスフィンオキシド0.437g(2.0mmol)およびブチルアルコール7mlを加え、3時間加熱還流した。放冷後、水20ml加えて酢酸エチル20mlで6回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消失し、カプロラクタム0.273g、シクロヘキサノン0.333gが存在していることが判った。水層をガスクロマトグラフで分析した結果、カプロラクタムの存在量は0.002g以下であった。この結果、カプロラクタムの収率は60.4%、シクロヘキサノンの収率は85.0%となった。
【0024】
比較例3
25mlのナス型フラスコに臭化リチウム0.174g(2.0mmol)、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)およびトルエン7mlを加え、3時間加熱還流した。放冷後、水20ml加えて酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.735g、シクロヘキサノン0.027gが存在し、カプロラクタムは存在していないことが判った。この結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンの転化率は13.0%であり、カプロラクタムの収率は0.0%、シクロヘキサノンの収率は6.9%となった。
【0025】
比較例4.
25mlのナス型フラスコに1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)、トリブチルホスフィンオキシド1.747g(8.0mmol)およびトルエン7mlを加え、3時間加熱還流した。放冷後水20mlを加え酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンが0.630g、カプロラクタムが0.031g、シクロヘキサノンが0.070g存在していることが判った。この結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンの転化率は25.4%であり、カプロラクタムの収率は6.6%、シクロヘキサノンの収率は17.9%となった。
【0026】
実施例1〜5、比較例1〜4の結果を表1に示す。
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明により、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンからカプロラクタムを製造する際に、周期律表IA族および/又はIIA族の元素の塩と第三ホスフィンオキシドを含有する炭化水素溶媒中で反応させることにより、高収率でしかも生成物を効率よく簡単な溶媒抽出等により分離・製造出来ることが可能となった。
【発明の属する技術分野】
本発明は1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンからカプロラクタムを製造する新規な方法に関する。カプロラクタムは、ナイロン6繊維、ナイロン6樹脂の原料として広く利用される有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンはシクロヘキサノンに過酸化水素、アンモニアを作用させて簡便に製造できる。(J.Chem.Soc.,(C)2663(1969).)
そして、この1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンからカプロラクタムを製造する方法としては、ナトリウムメトキシド、臭化リチウム、塩化リチウムを触媒に用いる方法が報告されている。ナトリウムメトキシドを触媒に用いる場合では(特公昭46−8981号公報、特公昭45−19306号公報、特公昭46−20108号公報など)、主にアルコール溶媒が使用されている。臭化リチウム、塩化リチウム等の塩が触媒として用いられる場合では(特公昭45−20107号公報、特公昭47−11759号公報、特公昭46−26496号公報、特公昭46−25742号公報など)、触媒を溶解させる必要からジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびアルコール類等非炭化水素溶媒に限られて使用されている。
【0003】
しかしながら、これら非炭化水素溶媒を使用した場合では、反応で生成したカプロラクタムと触媒との分離および触媒の回収再使用操作が煩雑になるという問題があった。また、反応条件下において、これらジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびアルコール類等非炭化水素溶媒それ自身が、溶解した1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンを分解させることがあり、カプロラクタムを高収率で製造するためには問題がある。よって、より効率的な製造法が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、カプロラクタムを1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンから煩雑な単離操作もなく高収率で製造できる方法を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンを、周期律表IA族またはIIA族の元素の塩と第三ホスフィンオキシドを含有する炭化水素溶媒中で反応させることを特徴とするカプロラクタムの製造法によって達成される。
【0006】
【発明の実施形態】
以下本発明を詳しく説明する。
本発明で使用する1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは、例えばシクロヘキサノンに過酸化水素とアンモニアを作用させて得ることができ、そのまま、或いは有機溶媒からの晶析等により精製したものを用いても何ら問題はない。
【0007】
本発明で使用する周期律表IA族及び/またはIIA族の元素の塩において、その塩が使用できるIA族の元素としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。使用できるIIA族の元素としてはマグネシウム、カルシウム等が挙げられる。 また、これらの塩としてはハロゲン化物、過塩素酸塩、シアン化物、トリスルホン酸塩、スルホン酸塩、チオシアン酸塩等が挙げられ、具体例としてはフッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸マグネシウム、トリフルオロスルホン酸リチウム、p−トルエンスルホン酸リチウム等が挙げられる。もちろん、これらの塩は単独でも2種類以上を併用しても何ら問題はない。
【0008】
これら塩の使用量については、特に制限はない。しかし、多量に使用すると経済性を損なうので、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンに対して0.01〜10当量、好ましくは0.1〜5当量である。
【0009】
本発明で使用する第三ホスフィンオキシドとしては次の一般式で示されるものが有用である。
【化2】
(ただし、式中のR1,R2及びR3は、それぞれ炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルケニル基、炭素数7〜14のアラルキル基、炭素数6〜14のアリール基および炭素数1〜4のアルキル基で置換されたN,N−二置換アミノ基を示し、これらの各基はハロゲン原子、スルホニル基、アルコキシ基、フェノキシ基、シアノ基で置換されていてもよく、またR1,R2及びR3は、同一の基であっても異なった基であってもよい。)
【0010】
この一般式で表される化合物の具体例としては、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、トリプロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、メチルエチルペンチルホスフィンオキシド、メチルベンジルフェニルホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド、トリベンジルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリルジフェニルホスフィンオキシド、トリアリルホスフィンオキシド、トリス(クロロフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(2−シアノエチル)ホスフィンオキシド、トリス(フルオロフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(メトキシフェニル)ホスフィンオキシド、トリトリルホスフィンオキシド、ビニルジフェニルホスフィンオキシド、ブチルジフェニルホスフィンオキシド、シクロヘキシルジフェニルホスフィンオキシド、ジシクロヘキシルフェニルホスフィンオキシド、ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ジメチルフェニルホシフィンオキシド、ジビニルフェニルホスフィンオキシド、エチルジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニル[(フェニルスルホニル)メチル]ホスフィンオキシド、トリス[p−(ジメチルアミノ)フェニル]ホスフィンオキシド、トリ−1−シクロヘキセン−1−イルホスフィンオキシド、ジエチル(p−フェノキシフェニル)ホスフィンオキシド、トリス(フェニルエチル)ホスフィンオキシドおよびヘキサメチルホスホンアミドなどが挙げられる。
これらは単独でも併用しても何ら問題はない。
【0011】
これら第三ホスフィンオキシドの使用量は、特に制限はないが多量に使用すると経済性を損なうので、周期律表IA族及び/またはIIA族の元素の塩に対して0.1〜10当量、好ましくは0.5〜5当量である。
【0012】
本発明で使用される炭化水素溶媒としては、炭素数6〜10の芳香族炭化水素や炭素数5〜10の脂肪族炭化水素が挙げられる。具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンやペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0013】
炭化水素溶媒の使用量は、特に制限はないが、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンに対して1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。
【0014】
反応は開放系常圧下で行っても、密閉系加圧下で行っても何ら問題はない。反応温度は40〜180℃の範囲で行うことが出来るが、なかでも50〜150℃で行うのが好ましい。反応温度が40℃よりも低すぎると反応速度があまりにも遅すぎる。反応温度が180℃より高すぎると1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンの分解が起こることもあり、好ましくない。
反応時間は、通常10分〜5時間であるが、長時間行っても反応自体には何ら問題はない。
【0015】
反応終了後、得られたカプロラクタムは、例えば反応液を水洗後、炭化水素溶媒を留去した後、カラムクロマト分離、蒸留等の通常の単離操作で分離、精製される。
【0016】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。収率、選択率は1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンの仕込みモル数に対する生成物のモル数の比率で求めた。
【0017】
実施例1
25mlのナス型フラスコに臭化リチウム0.174g(2.0mmol)、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)、トリブチルホスフィンオキシド1.747(8.0mmol)およびトルエン7mlを加え、3時間加熱還流した。放冷後、水20mlを加え、酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消失し、カプロラクタム0.359g、シクロヘキサノン0.370gが存在していることが判った。水層をガスクロマトグラフで分析した結果、カプロラクタムの存在量は0.002g以下であった。この結果カプロラクタム収率は79.4%、シクロヘキサノン収率は94.4%であった。なお、触媒系は水相に移行していた。
【0018】
実施例2
臭化リチウムの使用量を0.347g(4.0mmol)とするほかは実施例1と同様の操作を行った。その結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消費しており、カプロラクタムが収率82.7%、シクロヘキサノンが収率96.4%で生成していることが判った。
【0019】
実施例3
臭化リチウムの使用量を0.087g(1.0mmol)にし、トリブチルホスフィンオキシドの代わりにトリフェニルホスフィンオキシド0.278g(1.0mmol)を加え、反応時間を5時間にしたほかは実施例1と同様の操作を行った。その結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは0.094g残存し、カプロラクタムが収率73.8%(選択率83.0%)、シクロヘキサノンが収率88.2%(選択率99.3%)で生成していることが判った。
【0020】
実施例4
トリブチルホスフィンオキシドの代わりにヘキサメチルホスホンアミド0.358g(2.0mmol)を加えたほかは実施例1と同様の操作を行った。その結果1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンが0.019g残存し、カプロラクタムが収率69.6%(選択率71.2%)、シクロヘキサノンが収率77.8%(選択率79.6%)で生成していることが判った。
【0021】
実施例5
臭化リチウムの代わりに過塩素酸リチウム0.213g(2.0mmol)、トリブチルホスフィンオキシドの代わりにトリフェニルホスフィンオキシド0.557g(2.0mmol)を加えたほかは実施例1と同様の操作を行った。その結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消費されカプロラクタムが収率67.9%、シクロヘキサノンが収率89.7%で生成していることが判った。
【0022】
比較例1.
25mlのナス型フラスコに塩化リチウム0.085g(2.0mmol)、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)およびジメチルホルムアミド7mlを加え、3時間110℃に加熱した。減圧下溶媒留去した残渣に水20ml加えて酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消失し、カプロラクタム0.288g、シクロヘキサノン0.367gが存在していることが判った。また水層をガスクロマトグラフで分析した結果、カプロラクタム0.051gが存在していることが判った。この水層を20mlの酢酸エチルで3回抽出した後、再び水層をガスクロマトグラフで分析した結果、カプロラクタムの残量は0.003gであった。この結果、カプロラクタムのトータル収率は75.0%、シクロヘキサノンの収率は93.6%となった。
なお、触媒は水層に移行していた。
【0023】
比較例2
25mlのナス型フラスコに臭化リチウム0.174g(2.0mmol)、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)、トリブチルホスフィンオキシド0.437g(2.0mmol)およびブチルアルコール7mlを加え、3時間加熱還流した。放冷後、水20ml加えて酢酸エチル20mlで6回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンは完全に消失し、カプロラクタム0.273g、シクロヘキサノン0.333gが存在していることが判った。水層をガスクロマトグラフで分析した結果、カプロラクタムの存在量は0.002g以下であった。この結果、カプロラクタムの収率は60.4%、シクロヘキサノンの収率は85.0%となった。
【0024】
比較例3
25mlのナス型フラスコに臭化リチウム0.174g(2.0mmol)、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)およびトルエン7mlを加え、3時間加熱還流した。放冷後、水20ml加えて酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.735g、シクロヘキサノン0.027gが存在し、カプロラクタムは存在していないことが判った。この結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンの転化率は13.0%であり、カプロラクタムの収率は0.0%、シクロヘキサノンの収率は6.9%となった。
【0025】
比較例4.
25mlのナス型フラスコに1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミン0.845g(4.0mmol)、トリブチルホスフィンオキシド1.747g(8.0mmol)およびトルエン7mlを加え、3時間加熱還流した。放冷後水20mlを加え酢酸エチル20mlで3回抽出した。有機相をガスクロマトグラフで分析した結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンが0.630g、カプロラクタムが0.031g、シクロヘキサノンが0.070g存在していることが判った。この結果、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンの転化率は25.4%であり、カプロラクタムの収率は6.6%、シクロヘキサノンの収率は17.9%となった。
【0026】
実施例1〜5、比較例1〜4の結果を表1に示す。
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明により、1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンからカプロラクタムを製造する際に、周期律表IA族および/又はIIA族の元素の塩と第三ホスフィンオキシドを含有する炭化水素溶媒中で反応させることにより、高収率でしかも生成物を効率よく簡単な溶媒抽出等により分離・製造出来ることが可能となった。
Claims (2)
- 1,1’−ペルオキシジシクロヘキシルアミンを、周期律表IA族及び/またはIIA族の元素の塩と第三ホスフィンオキシドを含有する炭化水素溶媒中で反応させることを特徴とするカプロラクタムの製造法。
- 第三ホスフィンオキシドとして、一般式
で示される第三ホスフィンオキシドを用いることを特徴とする請求項1記載のカプロラクタムの製造法。
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