JP3947056B2 - 引き戸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複連引き戸等の引き戸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開2001−90453号公報に記載のような複連引き戸がある。この複連引き戸は、地面側に固定された固定扉体と、この固定扉体の前後一側に配置された後続扉体及び先頭扉体とを備えている。そして、固定扉体及び後続扉体の側面に、後続扉体及び先頭扉体側に突出する上下一対の案内溝をその長手方向に装着し、後続扉体及び先頭扉体の収縮方向側端部の側面に、固定扉体及び後続扉体側に突出するブラケットを介して、各案内溝に嵌合して案内される上下一対の竪戸車と、上側の案内溝に嵌合して案内される振れ止め用の横戸車とを装着し、後続扉体及び先頭扉体の伸長方向側の下端に地面上を走行する車輪を設けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この複連引き戸は、出入り口の閉鎖に際して先頭扉体側を伸長方向に操作すると、先ず先頭扉体が後続扉体に対して伸長方向へと移動し、次いで先頭扉体と一体に後続扉体が固定扉体に対して伸長方向へと移動する。また出入り口の開放に際して逆に先頭扉体を収縮方向へと操作すると、逆に先頭扉体が後続扉体に対して収縮方向へと移動し、次いで先頭扉体と一体に後続扉体が固定扉体に対して収縮方向へと移動する。
【0004】
この開閉時には、車輪が地面上を走行する。しかし、従来の複連引き戸では、上下一対の竪戸車が各扉体に対して上下動不能であるため、車輪が走行する地面に凹凸ができないようにガイドレール等を敷設するか、又は地面側を平坦状にする必要がある。
【0005】
即ち、上下一対の竪戸車と車輪は扉体の長手方向の両端側にあり、しかも上下一対の竪戸車を扉体の上下両側の離間位置に上下動不能に配置しているため、車輪が走行する地面側に凹凸があれば、上下一対の案内溝と上下一対の竪戸車との間にこじれが発生して、各扉体が相対的に移動不能に陥る惧れがある。
【0006】
従って、地面側にガイドレールを敷設するか、地面側を平坦状にする必要があり、また仮にガイドレールを敷設しても、その上に小さい障害物があれば、それによって各扉体が移動不能になることもある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、地面側に多少の凹凸があっても、円滑に開閉できる引き戸を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吊り元構造体3又はその長手方向に沿って左右方向に走行自在に配置された扉体5と、該吊り元構造体3又は該扉体5の前後の一側に左右方向に配置され且つ該吊り元構造体3又は該扉体5に沿って左右方向に走行自在な扉体5とを備え、吊り元構造体3又は前者扉体5と後者扉体5との一方側に左右方向に設けられた上下一対の案内溝6,7と、その他方側に設けられ且つ各案内溝6,7に左右方向に移動自在に係合する上下一対の案内ローラ8,9とを介して、吊り元構造体3又は前者扉体5と後者扉体5とを左右方向に伸縮移動自在に連結した引き戸において、上下一対の案内ローラ8,9の内の一方の案内ローラ8,9は上下一対の案内ローラ8,9間の間隔よりも小さい間隔で左右方向に複数個配置されており、該複数個の一方の案内ローラ8,9の少なくとも1個は前記他方側に対して上下動不能に固定された固定ローラであり、上下一対の案内ローラ8,9の内の他方の案内ローラ8,9は該固定ローラを支点として後者扉体5の戸当たり端側の上下動を許容するように前記他方側に対して上下動自在な可動ローラとし、後者扉体5の戸当たり端側に地上側を走行する車輪12を設けたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図8は吊り元案内溝式の複連引き戸に採用した本発明の第1の実施形態を例示する。
【0010】
この複連引き戸は、図1〜図3に示すように、塀1の内側近傍で出入口2の左右に配置された吊り元支柱3及び戸当たり支柱4と、吊り元支柱3の前後一側、例えば後側に前後方向に近接して配置された1枚又は複数枚、例えば3枚の扉体5とを備えている。そして、吊り元支柱3及び各扉体5は、後側の扉体5Aが先頭側となるように、前後に隣接する扉体5同士が開閉方向(長手方向)に相対移動自在に連結されている。
【0011】
吊り元支柱3と、先頭側の扉体5Aを除く他の各扉体5には、その後側に開口する上下一対の左右方向の案内溝6,7が設けられ、また各扉体5にはその前側の吊り元支柱3、扉体5の案内溝6,7に係合する上下一対の案内ローラ8,9が吊り元端側の端部から前側に突出して設けられている。
【0012】
各扉体5には左右方向の案内レール10がその下側に設けられ、また吊り元支柱3と、先頭側の扉体5Aを除く扉体5には、案内レール10に係合する振れ防止用の係合ローラ11が戸当たり端側の下部に設けられている。各扉体5には戸当たり端側の端部の下側に地面G上を走行する車輪12が設けられている。
【0013】
吊り元支柱3は左右方向に所定の間隔をおいて地面Gに立設された一対の支柱13と、この一対の支柱13間に左右方向に架設された上下一対の横枠14,15とを有する。戸当たり支柱4は地面Gに立設され、この戸当たり支柱4に、塀1との間の空間を遮蔽するパネル等の遮蔽部材16が塀1側に突出して固定されている。
【0014】
各扉体5は図4にも示すように、上下方向に所定の間隔をおいて配置された上下一対の左右方向の横框17,18と、一対の横框17,18の戸当たり端側の端部に配置された縦方向の縦框19と、一対の横框17,18の吊り元端側に、その先端から戸当たり端側に所定寸法L1離間して配置された縦方向の縦框20とを備え、これらの内部に扉面体21が設けられている。各扉体5の吊り元側端には横框17,18の一部により構成され、且つ縦框20から吊り元支柱3側へと突出する突出部17a,18aが設けられている。
【0015】
扉面体21は左右方向の中央に配置された中間枠22と、その両側に配置された左右方向に複数個の縦桟23等により縦格子状に構成されているが、横桟等による横格子状、その他の形状でも良い。なお、先頭側の扉体5Aを含む各扉体5には、略同一断面形状の横框17,18、縦框19,20等が使用されている。
【0016】
3枚の扉体5の内、先頭側の扉体5Aは伸長状態のときに戸当たり支柱4に当接可能であり、この扉体5Aの戸当たり端側の縦框19に開閉操作用の把手24と、施錠手段(図示省略)とが設けられている。
【0017】
吊り元支柱3と先頭側の扉体5Aを除く扉体5は、図1(B)に仮想線で示すように、吊り元支柱3の後側の退避位置(引き込み位置)Xに収縮状態で退避したときに左右方向の両端が揃うように左右方向に略同一長さである。また先頭側の扉体5Aは、その突出部17a,18aを吊り元支柱3及び他の扉体5と揃えたときに、把手24等を含む縦框19側が吊り元支柱3及び他の扉体5から戸当たり支柱4側に突出する長さであり、吊り元支柱3及び他の扉体5よりも若干長くなっている。
【0018】
吊り元支柱3の横枠14,15と各扉体5の横框17,18は、図3、図5及び図6に示すように略縦長矩形断面状の型材等により構成されており、吊り元支柱3の横枠14,15と、先頭側の扉体5Aを除く各扉体5の横框17,18には、前後一側の後側に開放する案内溝6,7が左右方向の略全長に設けられている。なお、案内溝6,7は吊り元支柱3、扉体5の前後方向の寸法(前後厚さ)内に納まっており、前後方向に突出していない。案内溝6,7の内部には、相対向する上下一対の突条6a,7aがその前後幅内の略中央に左右方向の略全長に設けられている。吊り元支柱3の横枠14,15と各扉体5の横框17,18の左右両端には、その開口端を塞ぐ端板25,26が固定されている。
【0019】
各扉体5には図2及び図4に示すように、その吊り元端側の端部の上下、即ち横框17,18の突出部17a,18a側に、その上側に少なくとも2個、下側に少なくとも1個の案内ローラ8,9と、上下各2個のストッパー27,28とが前側に突出して設けられている。案内ローラ8,9はその前側に隣接する吊り元支柱3、扉体5の案内溝6,7に相対移動自在に嵌合されている。ストッパー27,28はその前側に隣接する吊り元支柱3、扉体5の案内溝6,7内に突出している。
【0020】
上側の横框17の2個の案内ローラ8は、左右方向に所定間隔をおいて配置されると共に、その1個が突出部17aの先端側に、他の1個が縦框20の上側近傍に夫々設けられている。下側の横框18の1個の案内ローラ9は、上側の先端側の案内ローラ8と対応して横框18の突出部18aの先端側に配置されている。各案内ローラ8,9は外周に周溝8a,9aを有し、その周溝8a,9aに突条6a,7aが係合した状態で案内溝6,7内を左右方向に転動自在である。
【0021】
上下の案内ローラ8,9の内、その一方である下側の案内ローラ9は、図5及び図6に示すように、横框18内の支持体29により扉体5に対して所定範囲内で上下動自在に設けられている。即ち、支持体29は横框18の前壁18bと案内溝7の前壁との間で左右一対の固定体30間に上下摺動自在に配置され、この支持体29に前後方向の支軸31を介して回転自在に支持されている。支軸31はボルト等により構成され、横框18の前壁18bに形成された上下方向の長孔18cに挿通されている。従って、案内ローラ9は、扉体5の戸当たり端側の上下動を許容するように上下動自在な可動ローラとなっている。
【0022】
固定体30は横框18の前壁18bと案内溝7の前壁との間で横框18内に嵌合され、案内溝7側からネジ等により横框18に固定されている。そして、この一対の固定体30は左右方向の連結板32により上側が連結され、また一方の固定体30に端板26が固定されている。支持体29は左右の固定体30と横框18の前壁18bと案内溝7の前壁とにより上下方向に摺動自在に案内されている。上側の各案内ローラ8は横框17内でその前壁部と案内溝6の前壁部との間に固定された支持体41に前後方向の支軸33を介して軸心周りに回転自在に支持されている。支軸33は支軸31と同様に構成されている。
【0023】
上下各2個のストッパー27,28は、その上側の2個のストッパー27が2個の案内ローラ8を挟んでその左右両側に配置され、この2個のストッパー27に対応して下側に2個のストッパー28が配置されている。そして、上下2個のストッパー27,28の内、その吊り元端側のストッパー27,28は、収縮状態のときに隣接する扉体5の吊り元端側の端板25,26に、戸当たり端側のストッパー27,28は伸長状態のときに隣接する扉体5の戸当たり端側の端板25,26に夫々当接する。なお、端板25,26、ストッパー27,28により、前後に隣接する吊り元支柱3及び扉体5を左右方向に連結する連結手段が構成されている。またストッパー27,28は取り付け台34,35を介して横框17,18に固定されている。
【0024】
車輪12は扉体5の戸当たり端側において、図8に示すように横框18の下側に上下調整自在なブラケット47を介して前後方向の車軸周りに回転自在に取り付けられている。ブラケット47は上部に取り付けネジ48を有し、その取り付けネジ48が横框18内の固定体49に下側から上下調整自在に螺合され、ロックナット50等で固定されている。固定体49は案内溝7の前側で横框18内に嵌合され、端板26及び横框18とネジ等で固定されている。車輪12は固定体49が案内溝7の前側にあるため、図3に示すように扉体5の前後幅の中央よりも若干前側に偏位しており、ブラケット47の前面側が扉体5の前面側と略面一状になっている。
【0025】
案内レール10は下向きに開放する断面略コ字状であって、吊り元端側の一部と車輪12の取り付け部分とを除いて、扉体5の横框17,18の下側で且つその前後方向の寸法内に納まるように略中央に左右方向に配置されており、この案内レール10に取り付け板36の先端側の係合ローラ11が係合している。なお、吊り元支柱3の横枠15の下側には、その戸当たり端側の端部に案内レール10と略同一断面形状の取り付け部材37が設けられている。
【0026】
係合ローラ11は案内レール10に左右方向に移動自在に係合する係合手段を構成するためのもので、取り付け板36の先端に縦軸11aにより回転自在に支持され、案内レール10に下側から嵌脱自在に嵌合されている。取り付け板36はL字状であり、その基部側の起立部が扉体5の案内レール10、取り付け部材37の後側に固定されている。係合ローラ11は扉体5等を収縮状態、伸長状態の何れにした場合にも、案内レール10から外れないように戸当たり端から若干吊り元側に離間した位置に配置されている。
【0027】
吊り元支柱3と先頭側の扉体5Aを除く扉体5には、図7に示すようにその上部の戸当たり端側の端部に、これらに隣接する扉体5の上部側に対して転動自在な接触防止ローラ38が設けられている。この接触防止ローラ38は縦軸39廻りに回転自在であり、またその縦軸39は吊り元支柱3の横枠14、扉体5の横框17に固定された端板25等に一体又は別体の支持部40に挿通されている。なお、接触防止ローラ38は、平面視において扉体5の戸当たり端側の後隅部分に配置されている。
【0028】
このような構成の複連引き戸において、出入口の開閉に際しては、先頭側の扉体5Aの把手24を把持して左右方向に操作すると、各扉体5の案内ローラ8,9がその前側に隣接する扉体5又は吊り元支柱3の案内溝6,7に案内されながら、各車輪12が地面G上を走行して各扉体5が順次開閉方向(左右方向)へと移動する。
【0029】
例えば、出入口2を閉鎖状態から開放する場合には、先頭側の扉体5Aを吊り元支柱3側へとa矢示方向(図1(B))へと操作すると、先ず先頭側の扉体5Aの案内ローラ8,9がその前側の扉体5の案内溝6,7に沿ってa矢示方向へと移動する。そして、先頭側の扉体5Aの突出部17a,18aとその前側の扉体5の突出部17a,18aとの先端が揃う位置まで移動すると、扉体5Aの吊り元側のストッパー27,28が前側の扉体5の吊り元端側の端板25,26に当接して、2個の扉体5が一体にa矢示方向へと移動する。
【0030】
このようにして各扉体5を順次a矢示方向へと移動させ、3個の扉体5を図1(B)に示すように収縮状態で吊り元支柱3の後側の退避位置Xに退避させることによって、出入口2を開放できる。
【0031】
この複連引き戸では、案内ローラ8,9を各扉体5の吊り元端側に設け、この案内ローラ8,9を案内する案内溝6,7を吊り元支柱3と先頭側を除く各扉体5とに設けると共に、振れ防止用の係合ローラ11を吊り元支柱3と先頭側を除く各扉体5とに設け、係合ローラ11を案内する案内レール10を各扉体5に設けている。従って、案内ローラ8,9と係合ローラ11は、伸長状態では近接しているが、各扉体5を収縮させた場合には両者が扉体5の長手方向に遠ざかるため、開閉操作時に各扉体5が内外(前後)方向に振れることもなく、各扉体5を円滑に開閉操作できる。
【0032】
また各扉体5の開閉操作時に、その車輪12が地面G上を走行するが、上下の案内ローラ8,9の内、左右方向に所定の間隔をおいて2個配置された上側の案内ローラ8を上下動不能に設け、下側の1個の案内ローラ9を上下動自在な自由状態にしているため、車輪12が地面G側の凹凸部分を通過する場合に、扉体5が上側の2個の案内ローラ8の一方を支点として上下動しても、下側の案内ローラ9がその扉体5に追従して上下方向に移動する。
【0033】
従って、上下一対の案内溝6,7で上下一対の案内ローラ8,9を案内する構造とし、その上側の案内ローラ8を左右方向に2個配置しているにもかかわらず、地面G側に多少の凹凸があっても、各扉体5を無理なく円滑に開閉方向へと移動させることができる。また上側の左右方向に2個の案内ローラ8を上下動不能にし、下側の1個の案内ローラ9を上下動可能に設けているので、扉体5の吊り元端側を確実に支持できる。
【0034】
連結板32により左右に連結された左右一対の固定体30を横框18内に設け、この両固定体30間に、案内ローラ9を支持する支持体29を横框18に対して上下摺動自在に設けているため、比較的簡単な構造で案内ローラ9を上下方向に自由状態に支持できる。
【0035】
しかも、吊り元支柱3の横枠14,15、扉体5の横框17,18内に案内溝6,7を設けると共に、各扉体5の下側にその長手方向に案内レール10を設け、この案内レール10に係合ローラ11が下側から係合しているため、案内溝6,7、案内レール10を扉体5の前後方向に突出させて配置する場合に比較して、吊り元支柱3、扉体5を前後に接近させて配置でき、複連引き戸全体の前後方向の寸法を小さくできる。
【0036】
吊り元支柱3と、先頭側の扉体5Aを除く扉体5には、その戸当たり端側の端部に接触防止ローラ38と係合ローラ11とがあり、これらで吊り元支柱3とこれに隣接する扉体5、及び扉体5相互の接触を防止するようにしているので、吊り元支柱3、扉体5を前後に接近させて配置した場合でも、各扉体5を円滑に開閉できる。
【0037】
また各扉体5には、その横框17,18に吊り元端側の縦框20から突出する突出部17a,18aを設け、この突出部17a,18a側に案内ローラ8,9、ストッパー27,28等を設けているので、各扉体5を伸長状態にした場合には、各扉体5があたかも1枚の扉体5を構成するように見えることになり、外観上の意匠性が向上する。
【0038】
更に戸当たり支柱4に、この戸当たり支柱4と塀1との隙間を塞ぐパネル等の遮蔽部材16を設けているため、戸当たり支柱4と塀1との間を確実に遮断することができる。
【0039】
図9〜図13は吊り元ローラ式の複連引き戸に採用した本発明の第2の実施形態を例示する。この実施形態では、図9、図10に示すように吊り元支柱3と塀1との間、即ち吊り元支柱3の前側に前後方向に複数枚(例えば3枚)の扉体5が配置され、その最前側の扉体5Aが先頭側となっている。
【0040】
各扉体5には、第1の実施形態と同様にその上下の横框17,18に、後側に開放する案内溝6,7が形成されると共に、先頭側の扉体5Aを除く扉体5にその上下の横框17,18が、戸当たり端側に突出部17a,18aが夫々設けられている。
【0041】
そして、吊り元支柱3に隣接する扉体5には、その吊り元端側に塀1側に突出する遮蔽部材16が設けられ、また先頭側の扉体5Aを除く扉体5は、図9(B)に示すように出入口2の側方の退避位置Xに収縮状態で退避したときに、その左右両端が略揃うように突出部17a,18aを含む左右方向の長さが略同じである。先頭側の扉体5Aは、退避位置Xに退避する収縮状態のときに、その戸当たり端側が他の扉体5から出入口2側に突出するように、他の扉体5よりも長くなっている。
【0042】
吊り元支柱3には図10、図11に示すように、その左右の支柱13に左右一対の案内ローラ8,9と、この一対の案内ローラ8,9の左右両側に配置されたストッパー27,28が取り付け板42を介して設けられている。また先頭側の扉体5Aを除く各扉体5には、その横框17,18の突出部17a,18aに第1の実施形態と同様に案内ローラ8,9とストッパー27,28が上下に設けられている。なお、上下の各案内ローラ8,9は上下の案内溝6,7に嵌合し、ストッパー27,28は上下の案内溝6,7内に突出している。
【0043】
先頭側の扉体5Aの案内溝6,7内には、図11〜図13に示すように、戸当たり端側から略突出長さ分だけ吊り元端側に離れた位置に当接体44,45がネジ等により固定されており、収縮状態で吊り元端側が他の扉体5と略揃ったときに、後側の扉体5の先端(戸当たり端側)のストッパー27,28が当接体44,45に当接するようになっている。なお、他の各ストッパー27,28は、第1の実施形態と同様に端板25,26に当接可能である。
【0044】
各上下の案内ローラ8,9の内、その一方、例えば下側の案内ローラ9は吊り元支柱3、扉体5に対して上下動自在になっている。なお、扉体5の案内ローラ8,9は、上側の突出部17a,18aに2個、下側の突出部17a,18aに1個設けられている。上側の2個の案内ローラ8間の左右方向の間隔は、吊り元支柱3側の左右2個の案内ローラ8間の間隔と略同じか、又は若干短くなっている。
【0045】
各扉体5の内、吊り元支柱3の前側に隣接する扉体5にはその吊り元端側及び戸当たり端側の両端部に、他の扉体5にはその戸当たり端側の端部に夫々車輪12が設けられている。また先頭側の扉体5Aを除く扉体5の下側には左右方向の案内レール10が設けられている。吊り元支柱3の前側に隣接する扉体5を除く扉体5には、案内レール10に係合する係合ローラ11が吊り元端側の端部に設けられている。
【0046】
吊り元支柱3に隣接する扉体5を除く扉体5には、その扉体5の吊り元端側に接触防止ローラ38が設けられている。なお、先頭側の扉体5Aには、その下側に案内レール10と同様の部材46が同様に設けられている。その他の具体的な構成は、第1の実施形態と同様である。
【0047】
このように吊り元支柱3側に案内ローラ8,9を備えた複連引き戸の場合にも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
図14(A)〜(K)は本発明の第3の実施形態を例示する。扉体5の上下一対の案内ローラ8,9は、扉体5の戸当たり端側の上下動を許容できれば良く、図14(A)〜(K)に示すように、上下動可能に支持された可動ローラを一部に含んでおれば十分である。
【0049】
例えば、上部又は下部に左右(内外)一対の案内ローラ8a,8b又は9a,9bを、下部又は上部にその左(内側)の案内ローラ8a,9a又は右(外側)の案内ローラ8b,9bに対応する1個の案内ローラ9a,8a又は9b,8bを設ける場合には、その一部を上下動自在な可動ローラにより構成すれば良い。なお、図14中、斜線付きの案内ローラは8a,8b、9a,9bは固定ローラを示す。これは図15においても同様である。
【0050】
即ち、上部に内外2個の案内ローラ8a,8bを、下部の外側に1個の案内ローラ9bを設ける場合には、(A)に示すように上部の外側の案内ローラ8b、又は(B)に示すように上下の外側の案内ローラ8b,9bを固定ローラとし、他を可動ローラとしても良い。
【0051】
また上部に内外2個の案内ローラ8a,8bを、下部の内側に1個の案内ローラ9aを設ける場合には、(C)に示すように上部の2個の案内ローラ8a,8b、(D)に示すように上部の内側の案内ローラ8b、又は(E)に示すように上下の内側の案内ローラ8a,9aを固定ローラとし、他を可動ローラとしても良い。
【0052】
下部に内外2個の案内ローラ9a,9bと、上部の外側に1個の案内ローラ8bを設ける場合には、(F)に示すように下部の2個の案内ローラ9a,9b、(G)に示すように下部の外側の案内ローラ9b、又は(H)に示すように上下の外側の案内ローラ8b,9bを固定ローラとし、他を可動ローラとしても良い。
【0053】
下部に内外2個の案内ローラ9a,9bを、上部の内側に1個の案内ローラ8aを設ける場合には、(I)に示すように下部の2個の案内ローラ9a,9b、(J)に示すように下部の内側の案内ローラ9a、又は(K)に示すように上下の内側の案内ローラ8a,9aを固定ローラとし、他を可動ローラとしても良い。
【0054】
図15(A)〜(F)は本発明の第4の実施形態を例示する。扉体5の上下に左右(内外)一対の案内ローラ8,9を設ける場合にも、図15(A)〜(F)に示すように、その一部が上下動可能な可動ローラとなっておれば十分である。
【0055】
例えば、(A)に示すように上部の2個の案内ローラ8a,8b、又は(B)に示すように下部の2個の案内ローラ9a,9bを固定ローラとし、他を可動ローラとしても良い。また(C)に示すように上下の外側の2個の案内ローラ8b,9b、又は(D)に示すように上下の内側の2個の案内ローラ8a,9aを固定ローラとし、他を可動ローラとしても良い。
【0056】
更に内外の案内ローラ8a,8b、9a,9b間の間隔が短い場合には、(E)に示すように上部の外側の2個の案内ローラ8bと下部の内側の案内ローラ9a、又は(F)に示すように上部の内側の案内ローラ8aと下部の外側の案内ローラ9bとを固定ローラとし、他を可動ローラとしても良い。つまり、4個の案内ローラ8a,8b、9a,9bの内、一方の対角線方向の両側を固定ローラとし、他方対角線方向の両側を可動ローラとしても良い。
【0057】
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、本発明はこの各実施形態に限定されるものではない。例えば、各扉体5等の案内ローラ8,9は上下の両方を2個とするか、又は一方を2個とし、他方を1個とすることが望ましいが、両方を1個づつにしても良い。従って、案内ローラ8,9は扉体5の上下の一方側を少なくとも2個とし、他方側を少なくとも1個とするのが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0058】
また上側の案内ローラ8と下側の案内ローラ9との数が異なる場合に、その数の少ない方の案内ローラ8,9を上下動可能に自由状態に設けることが望ましい。左右方向に複数個(二個以上)の案内ローラを配置する場合には、そのローラ列の端部側の案内ローラを可動式にすることが望ましい。
【0059】
第1の実施形態では下側の案内ローラ9を各扉体5の吊り元端側に設けているが、この案内ローラ9は扉体5の戸当たり端側に設けても良い。また第2の実施形態では下側の案内ローラ9を先頭側の扉体5Aを除く扉体5の戸当たり端側に設けているが、この案内ローラ9は先頭側の扉体5Aを除く扉体5の吊り元端側に設けても良い。従って、上下の一対の案内ローラ8,9は扉体5,5Aの長手方向の同一側にある必要はなく、異なる側に配置しても良い。これらの場合にも、その下側の案内ローラ9は1個でも良いし、2個以上の複数個でも良い。
【0060】
第2の実施形態において、その車輪12は、先頭側の扉体5Aではその吊り元端側及び戸当たり端側の両側に配置し、他の扉体5ではその吊り元端側に配置しても良い。また先頭側の扉体5Aの車輪12は、首振り可能なキャスター車輪を使用しても良い。
【0061】
案内溝6,7に上下一対の突条6a,7aを設け、案内ローラ8,9に周溝8a,9aを設けているが、案内溝6,7の上下に左右方向の溝を設け、案内ローラ8,9の外周にフランジ等を設けても良いし、案内溝6,7内で案内ローラ8,9が前後方向に移動しないものであれば、突条6a,7a等のない案内溝6,7と、周溝8a,9a等のない案内ローラ8,9とを使用しても良い。
【0062】
案内レール10は係合ローラ11が左右方向に移動自在に係合する構造であれば良く、コ字状以外の断面形状のものを使用しても良い。また係合手段は、案内レール10内に係合して回転する回転式の係合ローラ11の他、摺動自在に係合する係合部材を使用しても良い。
【0063】
第1の実施形態では、吊り元構造体として塀1とは別に吊り元支柱3を設けているが、横枠14,15を塀1の内側に装着することも可能である。従って、吊り元構造体は、吊り元支柱3により構成する他、横枠14,15を塀1、家屋、その他のものに装着して構成することも可能である。
【0064】
また第2の実施形態では、左右の2本の支柱13により吊り元構造体を構成しているが、2本の支柱13に代えて、その間隔に相当する1本の広幅の支柱を設けても良いし、上下の各2個の案内ローラ8,9を塀、家屋、その他の構造物に取り付けても良い。要するに吊り元支柱3は、上下の各2個の案内ローラ8,9を取り付け得る構造のものであれば良い。第2の実施形態の上下の案内ローラ8,9は、その上側又は下側を左右方向に間隔を置いて複数個とし、他方を1個とすることも可能である。
【0065】
更に実施形態では、出入口2の左右両側に配置された吊り元支柱3及び戸当たり支柱4と、吊り元支柱3の前側又は後側に配置された3枚の扉体5とを備えた複連引き戸を例示しているが、その扉体5は2枚以上であれば良いし、1枚でも良い。また複数枚の扉体5の内、その先頭側又は後端側の扉体5が、左右方向の両側に車輪12を備えたものであれば、吊り元支柱3、戸当たり支柱4のないものでも良い。
【0066】
案内レール10と係合ローラ11とを設ける場合、吊り元支柱3とこれに隣接する扉体5、又は1の扉体5とこれに隣接する他の扉体5との内、案内ローラ8,9を有する一方側(例えば吊り元支柱3若しくは1の扉体5、又は隣接する扉体5若しくは他の扉体5)の下側にその長手方向に案内レール10を設け、案内溝6,7を有する他方側(例えば、隣接する扉体5若しくは他の扉体5、又は吊り元支柱3若しくは1の扉体5)に、その案内ローラ8,9と長手方向の反対側に、案内レール10に左右方向に移動自在に係合する係合手段を設けておけば良い。車輪12は、下側の案内ローラ9と左右方向の反対の端部にあれば良い。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、吊り元構造体3又はその長手方向に沿って左右方向に走行自在に配置された扉体5と、該吊り元構造体3又は該扉体5の前後の一側に左右方向に配置され且つ該吊り元構造体3又は該扉体5に沿って左右方向に走行自在な扉体5とを備え、吊り元構造体3又は前者扉体5と後者扉体5との一方側に左右方向に設けられた上下一対の案内溝6,7と、その他方側に設けられ且つ各案内溝6,7に左右方向に移動自在に係合する上下一対の案内ローラ8,9とを介して、吊り元構造体3又は前者扉体5と後者扉体5とを左右方向に伸縮移動自在に連結した引き戸において、上下一対の案内ローラ8,9の内の一方の案内ローラ8,9は上下一対の案内ローラ8,9間の間隔よりも小さい間隔で左右方向に複数個配置されており、該複数個の一方の案内ローラ8,9の少なくとも1個は前記他方側に対して上下動不能に固定された固定ローラであり、上下一対の案内ローラ8,9の内の他方の案内ローラ8,9は該固定ローラを支点として後者扉体5の戸当たり端側の上下動を許容するように前記他方側に対して上下動自在な可動ローラとし、後者扉体5の戸当たり端側に地上側を走行する車輪12を設けているので、地面G側に多少の凹凸があっても、円滑に開閉できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1の実施形態を示す複連引き戸式門扉の正面図、(B)はその平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す複連引き戸式門扉の概略構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す扉体の側面断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を示す扉体の正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態を示す要部の拡大正面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【図9】(A)は本発明の第2の実施形態を示す複連引き戸式門扉の正面図、(B)はその平面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態を示す複連引き戸式門扉の概略構成図である。
【図11】本発明の第2の実施形態を示す扉体の一部破断平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態を示す要部の正面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態を示す要部の正面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
【図15】本発明の第4の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
3 吊り元支柱(吊り元構造体)
5 扉体
6,7 案内溝
8,9 案内ローラ
12 車輪
Claims (1)
- 吊り元構造体(3)又はその長手方向に沿って左右方向に走行自在に配置された扉体(5)と、該吊り元構造体(3)又は該扉体(5)の前後の一側に左右方向に配置され且つ該吊り元構造体(3)又は該扉体(5)に沿って左右方向に走行自在な扉体(5)とを備え、吊り元構造体(3)又は前者扉体(5)と後者扉体(5)との一方側に左右方向に設けられた上下一対の案内溝(6)(7)と、その他方側に設けられ且つ各案内溝(6)(7)に左右方向に移動自在に係合する上下一対の案内ローラ(8)(9)とを介して、吊り元構造体(3)又は前者扉体(5)と後者扉体(5)とを左右方向に伸縮移動自在に連結した引き戸において、上下一対の案内ローラ(8)(9)の内の一方の案内ローラ(8)(9)は上下一対の案内ローラ(8)(9)間の間隔よりも小さい間隔で左右方向に複数個配置されており、該複数個の一方の案内ローラ(8)(9)の少なくとも1個は前記他方側に対して上下動不能に固定された固定ローラであり、上下一対の案内ローラ(8)(9)の内の他方の案内ローラ(8)(9)は該固定ローラを支点として後者扉体(5)の戸当たり端側の上下動を許容するように前記他方側に対して上下動自在な可動ローラとし、後者扉体(5)の戸当たり端側に地上側を走行する車輪(12)を設けたことを特徴とする引き戸。
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