JP3946860B2 - レーダ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、目標とレーダ装置との間の相対位置関係の変化に基づく反射信号の変化、及び送信周波数の変化に基づく反射信号の変化を利用することにより、高い分解能を得ることができるレーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図23は、例えば、「Donald R. Wehner,〃High Resolution Radar〃, ArtechHouse, INC. 1987,pp273-339」や、特開平7−92257号公報に示された内容に従って構成した、一般に高分解能レーダ装置(ISAR:Inverse Synthetic Aperture Radar)と呼ばれる、従来のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0003】
図23において、1は送信機、2は送受切換器、3は送受信アンテナ、4は受信機、5はレンジ圧縮手段、6はレンジ補償回路、7は位相補償回路、8はクロスレンジ圧縮手段、9はモニタ・テレビ(以下、「モニタTV」と呼ぶ。)である。
【0004】
図24は、図23の従来のレーダ装置のレンジ補償回路の構成を示す図である。同図において、10は振幅最大レンジビン検出回路、11は平滑化回路、12はレンジ追尾手段、13はレンジ補償手段である。
【0005】
図25は、図23の従来のレーダ装置の位相補償回路の構成を示す図である。同図において、14は注目レンジビン決定手段、15は区分周波数分析手段、16はドップラー追尾手段、17は振幅最大周波数検出回路、11は平滑化回路、18は位相補償量算出手段、19は位相補償手段である。
【0006】
図26は、回転運動を行なう目標を観測するジオメトリを示す図である。同図において、20は目標、21はレーダ装置である。
【0007】
図27は、図26のジオメトリで観測した結果得られたISAR画像の一例を示す図である。同図において、22は目標のISAR画像である。
【0008】
図28は、並進運動を行なう目標を観測するジオメトリを示す図である。同図において、20、21は、図26のそれと、それぞれ同一である。
【0009】
図29は、レンジプロフィールのヒストリの最大振幅検出結果の一例を示す図である。
【0010】
図30は、レンジ補償処理を施した後のレンジプロフィールにおける最大振幅検出結果のヒストリの一例を示す図である。
【0011】
図31は、位相補償回路7の区分周波数分析手段15の処理内容を説明するための図である。同図において、23は注目レンジビンの受信信号列、24は区分周波数分布のヒストリである。
【0012】
図32は、区分周波数分布のヒストリの最大振幅検出結果の一例を示す図である。
【0013】
つぎに、前述した従来のレーダ装置の動作原理について図面を参照しながら説明する。
【0014】
まず、ISARの画像再生の原理について説明する。図26に示す通り、x−y平面の原点に設置されたレーダ装置21で、レンジr0の点oを通り紙面に垂直な軸を中心に角速度ωで反時計周りで回転する目標20を観測するジオメトリを考える。
【0015】
まず、送信機1では、時間とともに周波数が変化する信号(チャープ)に変調された高周波パルスを発生し、送受切換器2を介して送受信アンテナ3に供給する。目標20で反射された信号(エコー)は、送受信アンテナ3に入り、送受切換器2を介して受信機4で復調される。
【0016】
この復調された信号は、送信信号の瞬時周波数に対しレーダ装置21と目標20の間の電波伝搬の往復に要する時間分遅延したものであるから、レンジ圧縮手段5において、送信信号s(t)を用いて受信信号r(t)にマッチドフィルターをかけること、すなわち、式(1)に示すように、送信信号s(t)の共役信号s*(t)と受信信号r(t)とのコンボリューションを求めることにより、遅延に相当した時間にインパルスv(t)(以下では、「レンジプロフィール」と呼ぶ。)を得ることができる。このことにより、レンジ分解能が向上する。
【0017】
【数1】
【0018】
レーダが送信を繰り返すごとに上記レンジ圧縮された信号が得られるから、レーダの送信(ヒット)ごとにレンジ圧縮された信号をまとめることにより、レンジrとヒットhを軸とする二次元複素信号v(h、r)(以下では、レンジプロフィールの「ヒストリ」と呼ぶ。)が得られる。
【0019】
レンジrと時間tの間には、以下の関係がある。
r=(Δr/Δt)・t
ここで、Δtはサンプリング間隔(=1/B、Bは送信帯域)、Δrはレンジ分解能(=C/2B、Cは光速)である。
【0020】
目標20が図28に示すような運動、すなわち並進運動を行なう場合には、レーダ装置21から目標20までの距離の変化の影響を補償することにより、並進運動を行なう目標20を、等価的に、図26に示すような回転運動を行なう目標20とみなすことができる。
【0021】
レーダ21と目標20の間の距離の変化を補償するレンジ補償回路6、及び位相補償回路7の動作は後述することにし、以下では、目標20が回転運動を行なうもの、もしくは、なんらかの方法で、レーダ装置21から目標20までの距離の変化の影響を補償されたものとする。
【0022】
クロスレンジ圧縮手段8では、レンジプロフィールのヒストリv(h、r)を、次の式(2)に従って、各レンジごとに、ヒット方向にフーリエ変換することにより、レンジ、クロスレンジの両方について圧縮された複素信号u(c、r)を得る。ここに、cはクロスレンジ(方位)方向を示す。
【0023】
【数2】
【0024】
上式で、「hnum」はヒット数、「rnum」はレンジビン数である。この処理は、クロスレンジ方向の分解能を改善する効果がある。以下、この原理を説明する。
【0025】
図26に示す運動を行なう目標上のある部位(例えば、点a)で反射した信号のドップラー周波数fdは次の式(3)で表される。
【0026】
【数3】
【0027】
ここに、λは送信波長、xは反射を生じた部位の回転半径、θ(h)は観測の基準となるLOS(Line Of Sight)を基準とした目標部位の角度である。式(3)により、同じ角度θ上の点では、回転軸からの距離xに比例して、目標上のそれぞれの部位からの反射信号のドップラー周波数が変わる。従って、複素信号u(c、r)は、回転軸によって定まる投影面に目標を投影した画像を表していることになる。
【0028】
レンジ圧縮手段5とクロスレンジ圧縮手段8により、レンジ方向、クロスレンジ方向の両方について分解能が向上した複素信号u(c、r)は、その絶対値が目標のレーダ反射断面積に対応するから、モニタTV9上のレンジr、クロスレンジcの二次元平面にu(c、r)の絶対値またはその二乗に応じた輝度で表示を行なうことにより、図27に示すような、レンジとクロスレンジの両方について高分解能化された目標のISAR画像22を表示することができる。ここで、画像上で、例えばa点は、目標上で、レーダに近い位置にあるので、レンジが小さく、かつ、回転運動によりレーダから遠ざかる運動をしているのでドップラー周波数が小さくなっている。
【0029】
次に、上記説明で省略した、目標の並進運動の影響を補償する処理について説明する。観測時間内の、t0、t1、t2という時間において、並進運動により、図28のように位置が変化する目標20のISAR画像を生成する場合、各ヒットごとに得られたレンジプロフィールのヒストリv(h,r)をそのままヒット方向にフーリエ変換するだけでは、目標上の各点(例えば、点a)が観測時間中にレンジ方向に移動するため、レンジ、クロスレンジ方向にきちんと圧縮されず、結果として画像にぼけが生じてしまうのは、式(2)において、各レンジごとにフーリエ変換を行なうというその処理内容より明らかである。従って、ぼけのない鮮明な画像を得るためには、目標上の各々の点を観測時間中、同一レンジビン内に固定するための補償処理を必要とする。この処理をレンジ補償処理と呼ぶ。
【0030】
このレンジ補償処理を行なうレンジ補償回路6の処理内容について説明する。目標が図28に示す運動を行う場合について考える。ここで、電波の反射をする点は、図中a、b、cの三点のみとし、このうち、b点とc点は常に同じレンジビンにあるものとする。
【0031】
まず、レンジ補償回路6内のレンジ追尾手段12によりレンジ追尾を行なう。レンジ追尾手段12の中の振幅最大レンジビン検出回路10では、各ヒットごとに、レンジプロフィールの振幅が最大となるレンジビンを検出する。その結果の例を図29に示す。
【0032】
同図において、横軸はヒット、縦軸はレンジであり、図中、太実線で示した部分が、各ヒットのレンジプロフィールで振幅が最大となるレンジビンを示しているものとする。a、b、cは同一目標上の点であり、実際は、図中の点線に示されるように、同じ変化率でレンジが変化しているはずであるが、見込み角の変化に従う各点のレーダ断面積の変化や、同一レンジビン内に複数の反射点が存在する場合の干渉などの影響で、観測時間中に各点の存在するレンジビンの振幅が変動するため、振幅最大レンジビンの位置の変化に不連続な部分が発生する。
【0033】
この振幅最大レンジビンの位置の時間変化に対してレンジ補償回路6内の平滑化回路11では、例えば、最小二乗法などを用いて平滑化することにより、図中点線で示した、上述の目標のレンジの実際の時間変化を得る事ができる。このレンジの時間変化を観測時間中のレンジ方向の移動量を表すレンジ移動量sで定義する。
【0034】
レンジ補償回路6内のレンジ補償手段13では、レンジ追尾手段12で得られたシフト量から、各ヒットにおけるレンジ補償量sf(h)を式(4)により得る。
【0035】
【数4】
【0036】
次に、式(4)で得られたレンジ補償量sf(h)を用いて、各ヒットhにおけるレンジプロフィールのヒストリv(h、r)をレンジ方向に補償し、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2(h、r)を得る。レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2(h、r)で、各ヒットごとに、レンジプロフィールの振幅が最大となるレンジビンを検出した結果は、図30に示すようにそれぞれの点の反射信号が同一レンジビンに並ぶ。
【0037】
上記レンジ補償処理により、観測時間中の各点のレンジビンを超えた距離変化については除去することができたが、レンジビン内の距離変化については除去できていない。一般に、目標が加速運動、旋回運動をする時は勿論の事、等速直線運動を行なう場合でも、進行方向がLOS軸に沿った方向で無い限り、その距離変化は、線形な成分に加えて、非線形な加速度成分も含む。このうちの加速度成分の影響で、各点よりの反射信号のドップラー周波数(クロスレンジ)に広がりが生じるため、結果として生成した画像がクロスレンジ方向にぼけてしまう。上記加速度成分を除去するための補償処理が位相補償処理である。
【0038】
以下では、この位相補償処理を行なう位相補償回路7の処理内容について説明する。並進運動に伴う上記加速度成分は、すべてのレンジビンに対してほぼ等しく加わるため、ある一つのレンジビンに着目して、そのレンジビンに加わる加速度成分を推定し、その推定結果を用いて、すべてのレンジビンの位相補償を行なう。
【0039】
位相補償回路7内の注目レンジビン決定手段14では、レンジ補償後のレンジプロフィールv2(h、r)の各レンジrにおける平均電力を算出し、その値を最大とするレンジビンを注目レンジビンとして、そのレンジビンの受信信号列w(h)を出力する。例えば、図28のジオメトリの例では、点b、cを含むレンジビンが注目レンジビンとして選択されたものとする。
【0040】
位相補償回路7内の区分周波数分析手段15では、次の式(5)に従い、図31に示した注目レンジビンの受信信号列w(h)23を長さΔhで区分フーリエ変換して周波数分布のヒストリfs(h’,f)24を求める。
【0041】
【数5】
【0042】
位相補償回路7内のドップラー追尾手段16では、得られた周波数分布のヒストリfs(h’,f)の追尾を行なう。まず、ドップラー追尾手段16内の振幅最大周波数検出回路17では、各ヒットh’ごとに、周波数分布の振幅が最大となるドップラービンを検出する。
【0043】
その結果の例を図32に示す。同図において、横軸はヒット、縦軸はドップラービン(周波数)であり、図中太実線で示した部分が、各ヒットの周波数分布で振幅が最大となるドップラーを示しているものとする。見込み角の変化に従うレーダ断面積の変化のため、振幅最大周波数の位置が変動すること、および、周波数の折り返しの影響で、その位置の変化に不連続な部分が発生する。
【0044】
これに対し、レンジ追尾手段12と同様、平滑化回路11により平滑化を行なうことにより、図中点線で示した、上述の目標のドップラーの実際の時間変化を得ることができる。この時間変化を観測時間中のドップラー方向の移動量を表すシフト量sで定義する。
【0045】
位相補償回路7内の位相補償量算出手段18では、次の式(6)に従い、位相補償量ph(h)を計算する。
【0046】
【数6】
【0047】
位相補償回路7内の位相補償手段19では、位相補償量算出手段18で得られた位相補償量ph(h)を用いて、次の式(7)により、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2(h、r)の位相補償を行ない、最終的なレンジプロフィールのヒストリvL(h、r)を得る。
【0048】
【数7】
【0049】
以上の処理を経る事により、並進運動を行なう目標に関して、目標上の各点のレンジビンを超える移動、位相の二次の変動を補償することができるため、並進運動を伴わず、回転運動のみを行なう目標と同様に鮮明な高分解能画像が得られる。
【0050】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来のレーダ装置では、同一レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ移動量の異なる複数の目標のエコーが存在する場合に、レンジ移動量の異なる目標ごとにISAR画像を得ることができないという問題点があった。
【0051】
さらに、同一レンジプロフィールのヒストリ上にドップラー移動量の異なる複数の目標のエコーが存在する場合に、ドップラー移動量の異なる目標ごとにISAR画像を得ることができないという問題点があった。
【0052】
さらに、同一レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ移動量、もしくは、ドップラー移動量の異なる複数の目標のエコーが存在する場合に、レンジ移動量、および、ドップラー移動量の異なる目標ごとにISAR画像を得ることができないという問題点があった。
【0053】
また、同一レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ移動量の異なる複数の目標が存在するかしないかを判定して、複数の目標のISAR画像が重ならない、すなわち、レンジプロフィールのヒストリ上の目標数が1のときのみにISARの画像再生を行なうことにより、常に高品質な画像をえるようにすることができないという問題点があった。
【0054】
また、同一レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ移動量、もしくは、ドップラー移動量の異なる複数の目標のエコーが存在する場合に、レンジ移動量もしくは、ドップラー移動量の異なる目標の数を知ることができないという問題点があった。
【0055】
この発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、同一レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ移動量の異なる複数の目標が存在する場合に、各目標に関するISAR画像を、それぞれ結像させて得ることができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【0056】
また、各目標の進行経路が類似しているため、それぞれのレンジ移動量は等しいが、ドップラー周波数の移動量が異なるような複数の目標が同一レンジプロフィールのヒストリ上に存在する場合に、それぞれの目標のISAR画像を結像させて得ることができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【0057】
また、各目標の進行経路が類似しているため、それぞれのレンジ移動量は等しいが、ドップラー周波数の移動量が異なるような複数の目標が同一レンジプロフィールのヒストリ上に存在する場合で、特に、ある特定のレンジビンに、レンジプロフィールのヒストリ上に存在する全目標の信号成分が存在しない場合にでも、それぞれの目標のISAR画像を結像させて得ることができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【0058】
また、同一レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在し、これらが、レンジ移動量が異なるのか、ドップラー移動量のみがことなるのか判断できない場合、もしくは、レンジ移動量が異なる目標やドップラー移動量のみが異なる目標が混在する場合に、すべての目標のISAR画像を得ることができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【0059】
また、同一レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ変化量の異なる複数の目標が存在する場合に、特に、各目標の反射電力レベルが異なることの影響で、一つのスレッショルドを設定するのみではピークを探索できないような場合にも各目標に関するISAR画像を、それぞれ結像させて得ることができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【0060】
また、レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在するかしないかを判断して、複数の目標が存在しない場合にのみISAR画像の再生を行なえるため、複数の目標のISAR画像が重なりあって、画質が劣化する状況を回避して、常に高品質なISAR画像を得ることができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【0061】
さらに、同一レンジビン内に含まれる目標数と各目標のレンジ移動量とドップラー移動量を知ることができるので、多目標追尾を行なう場合に制約条件として用いて精度良く追尾を行なえるレーダ装置を得ることを目的とする。
【0062】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るレーダ装置は、移動する目標に対して電波を送信し、前記目標からの反射波を受信して前記目標の画像を得るためのレーダ装置において、レンジプロフィールのヒストリ上にレンジの変化量の異なる複数の目標が存在する場合に、目標数、各目標のレンジの変化量を推定して、目標毎に、目標上の各反射点が、観測時間中、同一レンジビンに位置するようにレンジプロフィールのヒストリを補正して、レンジの変化量の異なる目標毎に、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリを生成する複数目標レンジ補償回路と、レンジ変化量の異なる目標毎に得られたレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリについて個別に、各反射点が観測時間中、同一ドップラービンに位置するように、各レンジプロフィールのヒストリの位相補償を行なう位相補償回路と、レンジ変化量の異なる目標毎にレンジ補償、位相補償を行なって得られたレンジプロフィールのヒストリをクロスレンジ圧縮してISAR画像を生成するクロスレンジ圧縮回路とを備え、前記複数目標レンジ補償回路は、レンジプロフィールのヒストリに含まれるレンジ変化量の異なる目標数、及び、各目標に対応するレンジ変化量を推定する二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段を有し、前記二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段は、入力された画像上に存在する複数の線分について、傾きごとの信号電力の計算結果を出力する二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段を持ち、前記二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段は、レンジプロフィールのヒストリの振幅検出を行なう振幅検出手段と、前記振幅検出手段の出力を二次元フーリエ変換して、二次元フーリエ変換画像を得る二次元フーリエ変換画像作成手段と、二次元フーリエ変換画像をシフトさせる画像シフト手段と、前記画像シフト手段の出力画像において、画像の中心を通り、傾きの異なるさまざまな直線状の積分経路を設定し、各積分経路に沿って、前記画像シフト手段の出力画像を線積分することにより、もとの画像上の各軌跡に関して、各直線の各傾きごとの電力を計算する画像線積分手段とを含むものである。
【0063】
また、この発明に係るレーダ装置は、移動する目標に対して電波を送信し、前記目標からの反射波を受信して前記目標の画像を得るためのレーダ装置において、レンジプロフィールのヒストリ上にレンジの変化量の異なる複数の目標が存在する場合に、目標数、各目標のレンジの変化量を推定して、目標毎に、目標上の各反射点が、観測時間中、同一レンジビンに位置するようにレンジプロフィールのヒストリを補正して、レンジの変化量の異なる目標毎に、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリを生成する複数目標レンジ補償回路と、レンジ変化量の異なる目標毎に得られたレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリについて個別に、各反射点が観測時間中、同一ドップラービンに位置するように、各レンジプロフィールのヒストリの位相補償を行なう位相補償回路と、レンジ変化量の異なる目標毎にレンジ補償、位相補償を行なって得られたレンジプロフィールのヒストリをクロスレンジ圧縮してISAR画像を生成するクロスレンジ圧縮回路とを備え、前記複数目標レンジ補償回路は、レンジプロフィールのヒストリに含まれるレンジ変化量の異なる目標数、及び、各目標に対応するレンジ変化量を推定するシフト処理型複数目標移動量推定手段を有し、前記シフト処理型複数目標移動量推定手段は、二次元画像上に含まれる傾きの異なる直線について、傾きの異なる直線の種類数、及び、各直線の傾きに対応する補正量を推定するためのデータ列を算出するシフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段を持ち、前記シフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段は、レンジプロフィールのヒストリを各セルの振幅の大小で二値化する二値画像生成手段と、前記二値画像生成手段の出力画像に対して、さまざまな補正量を想定し、補正量毎に画像上に存在する複数の直線の傾きを変えるように線形に補正する画像線形補正手段と、前記画像線形補正手段で得られる各線形補正後の二値画像について、補正量を定義した軸上のセル毎に、その軸に直交する方向に並ぶ全セルの値を総和する各セルの総和算出手段と、前記各セルの総和算出手段で得られる各補正量ごとの一次元配列について、それぞれエントロピーの値を算出するエントロピー算出手段と、前記エントロピー算出手段で得られた各補正量のエントロピーの値の計算結果について正規化する正規化手段とを含むものである。
【0078】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0079】
図1において、101は複数目標レンジ補償回路である。
【0080】
図2は、図1のレーダ装置の複数目標レンジ補償回路101の構成を示す図である。同図において、102は二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段、103は複数目標レンジ補償手段である。
【0081】
図3は、図2の二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102の構成を示す図である。同図において、104は二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段、105は複数ピーク移動量推定手段である。また、106は振幅検出手段、107は二次元FFT手段、108は画像シフト手段、109は画像線積分手段である。さらに、110はスレッショルド設定手段、111はピーク数判定手段、112は各ピーク対応移動量推定手段である。さらに、113は移動量算出手段である。
【0082】
図4は、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102及び複数目標レンジ補償手段103の処理内容を示す図である。
【0083】
図5は、複数ピーク移動量推定手段105の処理内容を示すフローチャートである。
【0084】
つぎに、前述した実施の形態1の動作について図面を参照しながら説明する。
【0085】
本実施の形態では、複数の目標が並んで進行していたり、交差中であるようなことが原因で、レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ移動量の異なる複数の目標の反射点の軌跡が存在するような場合に、各目標ごとに、独立に画像再生処理を行って、ISAR画像を得ることを目的とする。
【0086】
送信機1で高周波パルスを生成して目標に照射し、受信信号をレンジ圧縮手段5でレンジ圧縮するまでの処理は、従来の技術と同一である。
【0087】
複数目標レンジ補償回路101では、レンジ圧縮後のレンジプロフィールのヒストリv(h,r)に対して、そのヒストリ上に含まれる目標の数を推定し、それぞれの目標ごとに、独立して、レンジ補償を行ない、その結果を、v2k(h,r)(k=0,1,…,K−1)として出力する。ただし、Kは推定した目標数を表している。この複数目標レンジ補償回路101の処理内容については後述する。
【0088】
位相補償回路7では、各目標ごとに得られるレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2k(h,r)について、従来技術と同じ方式で順次位相補償を行ない、位相補償後のレンジプロフィールのヒストリvLk(h,r)(k=0,1,…,K−1)を出力する。
【0089】
クロスレンジ圧縮回路8では、入力した、各目標ごとの位相補償後のレンジプロフィールのヒストリvLk(h,r)について、従来と同じ方式で順次クロスレンジ圧縮を行ない、各目標のISAR画像uk(c,r)(k=0,1,…,K−1)を得る。
【0090】
モニタTV9では、入力した各目標のISAR画像uk(c,r)を順次表示する。
【0091】
以上により、同一のレンジビンに複数の目標の軌跡が存在する場合に、各目標のISAR画像を得ることができる。
【0092】
次に、上で説明しなかった複数目標レンジ補償回路101の処理内容について説明する。
【0093】
複数目標レンジ補償回路101では、まず、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102で、入力された、レンジプロフィールのヒストリv(h,r)に含まれる目標数Kと各目標のレンジ移動量sk(k=0,1,…,K−1)を推定する。二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102の処理内容については後述する。
【0094】
複数目標レンジ補償手段103では、各目標ごとに得られた移動量skを用いて、従来技術と同じ方式でv(h,r)についてのレンジ補償を順次行ない、前述のレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2k(h,r)を得る。
【0095】
次に、上で説明しなかった二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102の処理内容について説明する。
【0096】
ここでは、次の式(8)で定義する、x−y二次元平面内の傾きa、y切片bの直線f(x,y)が、二次元フーリエ変換式(9)によりfx−fy二次元周波数平面上の原点を通り傾き−1/aの直線に変換されることを利用する。
【0097】
【数8】
【0098】
【数9】
【0099】
二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102は、図3に示すように、レンジプロフィールのヒストリ上に含まれる目標の数Kと各目標の移動量skを推定するためのデータを生成する、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段104と、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段104で生成されたデータをもとに、ピーク数Kと各ピークの存在する範囲を推定する複数ピーク移動量推定手段105と、複数ピーク移動量推定手段105の出力を基に、目標数Kと各目標のレンジ移動量skを出力する移動量算出手段113とで構成されている。
【0100】
まず、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段104の処理内容について説明する。
【0101】
ここで、図4(a)に示すような、画像g(x,y)(x=0,1,…,X−1、y=0,1,…,Y−1)を考える。ただし、g(x,y)は、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段104に入力されたレンジプロフィールのヒストリv(h,r)の各セルの振幅を振幅検出手段106により算出し、ヒットhをx、レンジビンrをyと置き換えて一般化したものである。図中に現れる線は、目標数が2の場合の、目標1、目標2上の各反射点の軌跡を示している。すなわち、画像g(x,y)上の各目標のy方向の移動量skを推定することを目的とする。
【0102】
ここで、目標1上の反射点の軌跡は、同一目標上の点であることから、画像g(x,y)上での傾きはそれぞれ等しくなる。これは目標2についても同様に当てはまる。ただし、目標1と目標2のy方向の移動量s1,s2が異なるので、それぞれの目標の軌跡の傾きは一致しない。
【0103】
この画像g(x,y)を、まず、二次元FFT手段107において、次の式(10)を用いて二次元FFTする。
【0104】
【数10】
【0105】
次に、得られた周波数画像G0(fx,fy)(fx=0,1,…,X−1、fy=0,1,…,Y−1)に対して、画像の中心に直流成分を持ってくるために、画像シフト手段108において変換して、周波数画像G(fx,fy)を得る。
【0106】
これを示したのが図4(b)である。式(8)及び(9)で示した性質により、各目標に属する反射点の軌跡は、周波数画像上で一本の軌跡になる。よって、g(x,y)上で移動量の異なる複数の目標が存在する場合には、周波数画像上では、その目標数に応じた本数の軌跡が現れる。かつ、これらの軌跡は、いずれも、画像の中心にある直流成分の画素を通る。
【0107】
そこで、画像線積分手段109では、図4(c)に示すような、画像の中心を通り、fx方向の移動量dj(j=0,1,…,J−1)を様々に変えた直線状の積分経路を設定し、各経路に沿ってそれぞれ線積分を行ない積分結果H(dj)を得る。
【0108】
この結果を示したのが図4(d)である。上述の積分経路が各目標の軌跡と重なった場合には、積分結果が高い値になることから、図4(d)の積分結果では、図4(c)の周波数画像における軌跡の本数、すなわち、目標数に対応した数Kのピークが現れる。
【0109】
また、各ピークの移動量dpk(k=0,1,…,K−1)は、後述するように、図4(a)の各目標のy方向の移動量skと1対1に対応する。すなわち、積分結果H(dj)は、目標数K及び各目標の移動量skの情報を含む。二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段104では、この値を出力する。
【0110】
次に、複数ピーク移動量推定手段105では、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段104の出力である積分値H(dj)を入力値とし、目標数K、各目標の移動量skを推定する。以下この処理内容について説明する。
【0111】
ステップST01において、まず、スレッショルド設定手段110では、積分値H(d)に対して、スレッショルドThを設ける。さらに、j=0、および、積分値H(dj)がスレッショルドをTh越える点数n=0とセットする。
【0112】
次に、ステップST02において、ピーク数判定手段111では、H(dj)がスレッショルドThを越えるかどうかを判定し、越える場合には、ステップST03に、越えない場合には、ステップST04に進む。
【0113】
次に、ステップST03において、H(dj)がスレッショルドを越えた場合のjをA(n)に格納し、n=n+1として、ST04に進む。
【0114】
次に、ステップST04において、現在のjが、J−1と等しいかどうかを判定し、等しい場合には、ステップST06へ、等しくない場合には、ステップST05へ進む。
【0115】
次に、ステップST05において、j=j+1としてステップST02へ戻る。以上により、積分値H(dj)がスレッショルドを越えたjの集合を得ることができる。
【0116】
次に、ステップST06において、現在のnを積分値H(dj)がスレッショルドを越えたjの数nをNとしてセットする。さらに、nおよびピーク数kを0にする。
【0117】
次に、ステップST07において、B(k,0)にA(n)を代入する。
【0118】
次に、ステップST08において、B(k,1)にA(n)を代入する。
【0119】
次に、ステップST09において、現在のnがN−1と等しいかどうかを判定し、等しければステップST13に、等しくなければステップST10に進む。
【0120】
次に、ステップST10において、n=n+1とする。
【0121】
次に、ステップST11において、A(n)−A(n−1)が1に等しいかどうかを判定し、等しければ、ステップST08に進み、等しくなければ、ステップST12に進む。
【0122】
次に、ステップST12において、k=k+1として、ステップST07へ戻る。
【0123】
次に、ステップST13において、ピーク数Kにk+1を代入する。以上の処理により、ピーク数をKとして、各ピークk(k=0,1,…,K−1)付近でスレッショルドThを越える範囲(図4(d)のハッチング部分)の始点の番号jをB(k,0)として、同じく終点の番号jをB(k,1)として得ることができる。ピーク数判定手段111では、以上で得られたピーク数、及び、各ピーク周辺でスレッショルドを越える範囲の始点と終点を出力する。
【0124】
次に、ステップST14において、各ピーク対応移動量推定手段112では、まず、k=0に設定する。
【0125】
次に、ステップST15において、c1に第kピークの範囲の始点のdj、c2に終点のdjを代入し、dpkをargmax(H(c1:c2))により得る。ここで、argmax(H(c1:c2))は、c1からc2の範囲のdjに対する積分値H(dj)を最大とするdjを出力する処理として定義する。
【0126】
次に、ステップST16において、kがK−1と等しいかどうかを判定し、等しい場合には処理を終了し、等しくない場合には、ステップST17に進む。
【0127】
次に、ステップST17において、k=k+1として、ステップST15に戻る。
【0128】
以上により、ピーク数Kおよび、各ピークのfx方向の移動量dpk(k=0,1,…,K−1)を得ることができたので、複数ピーク移動量推定手段105では、これらの値を出力する。
【0129】
移動量算出手段113では、複数ピーク移動量推定手段105において得られた各ピークごとのfx方向の移動量dpkから、もとの画像(図4(a))におけるy方向の移動量skを推定する。ここで、x方向の画素数がX、y方向の画素数がYであることに着目すると、もとの画像におけるy方向の移動量skと、周波数画像におけるfx方向の移動量dpkの関係は、分解能を考慮すると、次の式(11)の関係が成立する。
【0130】
【数11】
【0131】
移動量算出手段113では、以上の処理により、目標数Kおよび、各目標のy方向移動量skを出力する。すなわち、以上で得られたKがレンジプロフィールのヒストリ上に存在するレンジ移動量の異なる目標数に、各skが、それぞれの目標のレンジ移動量に対応する。
【0132】
以下、前述の処理により、複数目標レンジ補償回路101で、各目標ごとに、図4(e)、(f)に示すように、レンジ補償を行うことにより、各目標ごとのレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2k(h,r)を得ることができる。
【0133】
以上、複数目標レンジ補償回路101の処理内容について説明した。なお、位相補償回路7からモニタTV9までの動作は、前述の通りである。
【0134】
以上の構成をとることにより、同一レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在する場合に、各目標に関するISAR画像を、それぞれ結像させて得ることができる。また、送信機1から順に二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102までの構成のみを用いて、同一レンジプロフィールのヒストリ上の目標数を知ることができる。
【0135】
なお、本実施の形態では、目標数が2の場合を例にとってその動作を説明したが、目標数が3以上の場合、さらに、目標数が1の場合にも同様に適用できるのはいうまでもない。
【0136】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図6は、この発明の実施の形態2に係るレーダ装置の複数目標レンジ補償回路の構成を示す図である。なお、他の構成は上記実施の形態1と同様である。
【0137】
図6において、201はシフト処理型複数目標移動量推定手段である。
【0138】
図7は、図6の複数目標レンジ補償回路101内のシフト処理型複数目標移動量推定手段201の構成を示す図である。同図において、202は二値画像生成手段、203は画像線形補正手段、204は各セルの総和算出手段、205はエントロピー算出手段、206は正規化手段、207はシフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段である。なお、複数ピーク移動量推定手段105、移動量算出手段113は実施の形態1と同一である。
【0139】
図8、図9及び図10は、本実施の形態の処理内容を説明するための図である。
【0140】
次に、本実施の形態の処理内容を図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、複数の目標が並んで進行していたり、交差中であるようなことが原因で、レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ移動量の異なる複数の目標の反射点が存在するような場合に、各目標ごとに、独立に画像再生処理を行って、ISAR画像を得ることを目的とする。
【0141】
送信機1で高周波パルスを生成して目標に照射し、受信信号をレンジ圧縮手段5でレンジ圧縮するまでの処理、および、複数目標レンジ補償回路101で得られる各目標ごとのレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2k(h,r)(k=0,1,…,K−1)を位相補償回路7でそれぞれ位相補償し、クロスレンジ圧縮回路8でクロスレンジ圧縮し、モニタTV9に表示するまでの手段は、実施の形態1と同一である。
【0142】
本実施の形態は、図2に示した複数目標レンジ補償回路101の構成要素である、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102が、図6に示すようにシフト処理型複数目標移動量推定手段201に代わっている部分のみが、実施の形態1と異なる。
【0143】
そこで、以下では、シフト処理型複数目標移動量推定手段201の処理内容を中心に説明する。
【0144】
シフト処理型複数目標移動量推定手段201には、シフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段207と、複数ピーク移動量推定手段105と、移動量算出手段113が含まれている。
【0145】
シフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段207には、レンジ圧縮後のレンジプロフィールのヒストリv(h,r)が入力されるものとする。ここで、このレンジプロフィールのヒストリv(h,r)のヒットhをx、レンジビンrをyとした二次元画像g(x,y)を考える。
【0146】
図8(a)には、二次元画像g(x,y)の一例を示している。図中には、y方向の移動量が異なる目標1、目標2の2種類の目標上の反射点の軌跡が直線状に現れている。ただし、ここで、白から黒に近づくにつれ振幅大になっている。
【0147】
二値画像生成手段202では、各xにおいて、y方向に並ぶセルのうちの振幅の大きい順にL番目までのセルの値を1、それ以外のセルの値を0とするような、二値画像gD(x,y)を生成する。
【0148】
Lを2とした場合の二値画像gD(x,y)の生成結果を図8(b)に示す。画像線形補正手段203では、x=Xにおけるy方向補正量の補正量djを設定し、この値により、各xにおけるy方向の補正量dh(x)=x×dj/(X−1)(x=0,1,…,X−1)を得る。
【0149】
さらに、各xにおいて、二値画像gD(x,y)をdh(x)だけ各セルをy方向に平行移動させる。ここで、平行移動後のyがY−1より大きくなるセルについては、そのyをYで割った余りの値のyに、yが0より小さくなるセルについては、そのyにP×Y(Pは適当な自然数)を加えて、yが0からY−1の範囲に入る場合のyに移動させる。
【0150】
補正量dj(j=0,1,…,J−1)の値を変えることにより、図9(c)に示すように、二値画像上の各直線の傾きを変えることができる。ここで、djが−sk(skは第k目標のy方向移動量)になった場合には、第k目標の軌跡は、y軸と直交する。従って、各目標について、この直交が実現された時を検出できれば、その時のdjにマイナスを掛けることにより、その目標のy方向移動量skを得ることができる。
【0151】
各セルの総和算出手段204では、図8(d)に示すように、各djについて得られる補正画像gD(x,y)おいて、各yごとにx方向に並ぶ全セルを総和し、配列gT(y)(y=0,1,…,Y−1)を得る。
【0152】
ここで、補正画像上のある目標の軌跡とy軸が直交する場合には、gT(y)における、ある特定のいくつかのセルにその目標上の各反射点の信号が積み重なることになる。例えば、図8(d)の場合には、図(d−1)で目標2の信号が、図(d−3)で目標1の信号がある特定のセルyで積み重なっている。エントロピー算出手段205では、各補正量djごとに得られた配列gT(y)に対して、次の式(12)によりエントロピーE(dj)(j=0,1,…,J−1)を計算する。
【0153】
【数12】
【0154】
エントロピーはその定義からもわかるように、分布が一様であれば、大きな値を示し、逆に分布に偏りが有ると減少する。前述したように、補正画像上のある目標の軌跡がy軸と直交する場合には、ある特定のyセルに信号が多く積み重なる、すなわち、gT(y)の分布の片寄りが極値をとる。よって、djごとに得られるエントロピーE(dj)においても、図10(e)に示すように、いくつかの極小点が存在する。この極小点の数から目標数を、極小点の補正量djから、各目標の移動量を知ることができる。正規化手段206では、次段の複数ピーク移動量推定手段105が分布の極大値を探索することとの整合をとるために、エントロピー算出手段205で得られたE(dj)を次の式(13)により正規化する。
【0155】
【数13】
【0156】
ただし、式(13)において、min(・)は配列の最小値を、max(・)は配列の最大値を取り出す操作として定義する。この結果が、図10(f)である。シフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段207ではこの結果を出力する。
【0157】
複数ピーク移動量推定手段105では、実施の形態1で説明した動作により、ピーク数K、各ピークの補正量dpk(k=0,1,…,K−1)を得る。
【0158】
前述したように、補正量dpkにマイナスを掛けた値が、第k番目の目標の移動量に対応することから、移動量算出手段113では、実施の形態1と同様に、式(11)で、各目標の移動量sk(k=0,1,…,K−1)を得ることができる。シフト処理型複数目標移動量推定手段201では、以上で得られた目標数Kおよび各目標の移動量sk(k=0,1,…,K−1)を出力する。複数目標レンジ補償手段103では、実施の形態1と同一の処理で、各目標ごとのレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2k(h,r)(k=0,1,…,K−1)を出力する。
【0159】
以上の構成をとることにより、同一レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在する場合に、各目標に関するISAR画像を、それぞれ結像させて得ることができる。また、送信機1から順にシフト処理型複数目標移動量推定手段201までの構成のみを用いて、同一レンジプロフィールのヒストリ上の目標数を知ることができる。
【0160】
なお、本実施の形態では、目標数が2の場合を例にとってその動作を説明したが、目標数が3以上の場合、さらに、目標数が1の場合にも同様に適用できるのはいうまでもない。
【0161】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図11は、この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0162】
図11において、301は複数目標位相補償回路である。なお、他の構成は従来例と同様である。
【0163】
図12は、図11の複数目標位相補償回路301の構成を示す図である。同図において、14は注目レンジビン決定手段、15は区分周波数分析手段、18は位相補償量算出手段、19は位相補償手段、102は二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段である。
【0164】
図13は、本実施の形態の処理内容を説明するための図である。
【0165】
次に、本実施の形態の処理内容を図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、並んで進行しているような複数の目標について、各目標の進行経路が類似しているため、各目標のレンジ移動量は等しいが、ドップラー周波数の移動量が異なるような場合に、各目標ごとに、位相補償を行ない、それぞれのISAR画像を得ることを目的とする。
【0166】
送信機1で高周波パルスを生成して目標に照射し、受信信号をレンジ圧縮手段5でレンジ圧縮して、得られたレンジプロフィールのヒストリをレンジ補償回路6でレンジ補償するまでの処理は、従来の技術と同一である。
【0167】
複数目標位相補償回路301では、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2(h,r)上に存在する目標数Kおよび、各目標のドップラ−周波数の移動量sfk(k=0,1,…,K−1)を推定して、各目標ごとに位相補償を行なう。
【0168】
まず、注目レンジビン決定手段14では、従来の技術と同じ処理で、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2(h、r)の各レンジrにおける平均電力を算出し、その値を最大とするレンジビンを注目レンジビンとして、そのレンジビンの受信信号列w(h)を出力する。
【0169】
区分周波数分析手段15では、従来の技術と同様に、式(5)に従い、注目レンジビンの受信信号列w(h)を長さΔhで区分フーリエ変換して区分ドップラー周波数分布のヒストリfs(h’,f)を求める。
【0170】
ドップラー周波数移動量の異なる複数の目標が存在する場合の区分ドップラー周波数分布のヒストリの一例を図13に示す。図に示すように、各目標のドップラー移動量sfkに応じた傾きの反射点の軌跡が現れる。ここで、この区分ドップラー周波数分布のヒストリ上に存在する目標数K及び、各目標のドップラー移動量sfkを推定するために、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102を用いる。
【0171】
二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102の処理内容は、実施の形態1で詳細に説明した通りである。区分ドップラー周波数分布のヒストリfs(h’,f)を、h’をx、fをyとして、二次元画像g(x,y)に対応づけることにより、実施の形態1で説明した処理内容をそのまま適用して、目標数K及び各目標のドップラー移動量sfkを得ることができる。二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102では、これらの値を出力する。
【0172】
位相補償量算出手段18では、各目標ごとに、従来技術と同様に、式(6)に従い、位相補償量phk(h)(k=0,1,…,K−1)を算出し、これを出力する。
【0173】
この値を用いて位相補償手段19では、各目標ごとに、従来の技術と同じ処理でレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2(h,r)の位相補償を行ない、位相補償後のレンジプロフィールのヒストリvLk(h,r)を得る。複数目標位相補償回路301では、以上で得られた目標数K及び、各目標の位相補償後のレンジプロフィールのヒストリvLk(h,r)を出力する。
【0174】
以降、クロスレンジ圧縮手段8でそれぞれの目標に対応するレンジプロフィールのヒストリのクロスレンジ圧縮を行ない、得られたそれぞれの目標のISAR画像をモニタTV9に表示する処理は従来の方式と同一である。
【0175】
以上の構成をとることにより、各目標の進行経路が類似しているため、それぞれのレンジ移動量は等しいが、ドップラー周波数の移動量が異なるような場合に、それぞれの目標のISAR画像を結像させて得ることができる。
【0176】
また、送信機1から順に二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102までの構成のみを用いて、同一レンジプロフィールのヒストリ上の目標数を知ることができる。
【0177】
なお、本実施の形態では、目標数が2の場合を例にとってその動作を説明したが、目標数が3以上の場合、さらに、目標数が1の場合にも同様に適用できるのはいうまでもない。
【0178】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図14は、この発明の実施の形態4に係るレーダ装置の複数目標位相補償回路の構成を示す図である。なお、他の構成は上記実施の形態3と同様である。
【0179】
図14において、14は注目レンジビン決定手段、15は区分周波数分析手段、18は位相補償量算出手段、19は位相補償手段、201はシフト処理型複数目標移動量推定手段である。
【0180】
次に、本実施の形態の処理内容を図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、並んで進行しているような複数の目標について、各目標の進行経路が類似しているため、各目標のレンジ移動量は等しいが、ドップラー周波数の移動量が異なるような場合に、各目標ごとに、位相補償を行ない、それぞれのISAR画像を得ることを目的とする。
【0181】
送信機1で高周波パルスを生成して目標に照射し、受信信号をレンジ圧縮手段5でレンジ圧縮して、得られたレンジプロフィールのヒストリをレンジ補償回路6でレンジ補償し、複数目標位相補償回路301における注目レンジビン決定手段14で、注目レンジビンのデータ列w(h)を抽出し、区分周波数分析手段15で、図13に示すような区分周波数のヒストリfs(h’,f)を得るまでの処理は、実施の形態3と同一である。
【0182】
区分周波数分析手段15の次段で、シフト処理型複数目標移動量推定手段201を用いて、同一レンジプロフィールのヒストリ上に存在する目標の数K、および各目標のドップラー移動量sfk(k=0,1,…,K−1)を推定するという点が実施の形態3と異なる。
【0183】
シフト処理型複数目標移動量推定手段201の処理内容は、実施の形態2で述べた通りである。よって、実施の形態3と同様に、目標数K及び各目標のドップラー移動量dfk(k=0,1,…,K−1)を得ることができるので、シフト処理型複数目標移動量推定手段201では、これらの値を出力する。
【0184】
以降、位相補償量算出手段18から、モニタTV9までの処理内容は実施の形態3と同一である。
【0185】
以上の構成をとることにより、各目標の進行経路が類似しているため、それぞれのレンジ移動量は等しいが、ドップラー周波数の移動量が異なるような場合に、それぞれの目標のISAR画像を結像させて得ることができる。
【0186】
また、送信機1から順にシフト処理型複数目標移動量推定手段201までの構成のみを用いて、同一レンジプロフィールのヒストリ上の目標数を知ることができる。
【0187】
なお、本実施の形態では、目標数が2の場合を例にとってその動作を説明したが、目標数が3以上の場合、さらに、目標数が1の場合にも同様に適用できるのはいうまでもない。
【0188】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図15は、この発明の実施の形態5に係るレーダ装置の複数目標位相補償回路の構成を示す図である。なお、他の構成は上記実施の形態3と同様である。
【0189】
図15において、501は全レンジビン総和手段、15は区分周波数分析手段、18は位相補償量算出手段、19は位相補償手段、102は二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段である。
【0190】
図16は、全レンジビン総和手段501の処理内容を説明するための図である。
【0191】
次に、本実施の形態の処理内容について図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、並んで進行しているような複数の目標について、各目標の進行経路が類似しているため、各目標のレンジ移動量は等しいが、ドップラー周波数の移動量が異なるような場合に、各目標ごとに、位相補償を行ない、それぞれのISAR画像を得ることを目的とする。
【0192】
送信機1で高周波パルスを生成して目標に照射し、受信信号をレンジ圧縮手段5でレンジ圧縮して、得られたレンジプロフィールのヒストリをレンジ補償回路6でレンジ補償してレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2(h,r)を得るまでの処理は、実施の形態3と同一である。
【0193】
本実施の形態では、この次段に全レンジビン総和手段501を含む部分が実施の形態3と異なる。
【0194】
従来技術もしくは、実施の形態3では、区分周波数分析を行なうために注目するデータ列w(h)を、注目レンジビン決定手段14を用いて抽出した。注目レンジビン決定手段14では、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2(h、r)の各レンジrにおける平均電力を算出し、その値を最大とするレンジビンをw(h)として出力した。しかし、この処理の場合、注目するレンジビンに、レンジプロフィールのヒストリ上に存在する各目標上の反射点のエコーが含まれていなければならない。もし、注目するレンジビンに信号成分を持たない目標が存在した場合では、この目標の検出および画像化は不可能になる。
【0195】
そこで、全レンジビン総和手段501では、次の式(14)を用いて、区分周波数分析に用いるためのデータ列w(h)を得る。この処理をイメージしたのが図16である。
【0196】
【数14】
【0197】
全レンジビン総和手段501で得られたデータ列w(h)は、全レンジビンの信号、すなわち、レンジプロフィールのヒストリ上に存在するすべての目標の反射信号を含むので、上述の問題を発生しない。
【0198】
以下、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102で目標数K、および各目標のドップラー移動量sfk(k=0,1,…,K−1)を得る処理から、モニタTV9で、各目標のISAR画像を得るまでの処理は、実施の形態3と同一である。
【0199】
以上の構成をとることにより、各目標の進行経路が類似しているため、それぞれのレンジ移動量は等しいが、ドップラー周波数の移動量が異なるような場合に、それぞれの目標のISAR画像を結像させて得ることができる。
【0200】
さらに、ある特定のレンジビンに、レンジプロフィールのヒストリ上に存在する全目標の信号成分が存在しない場合にでも、全目標のドップラー移動量を推定できるので、すべての目標のISAR画像を得ることができる。
【0201】
また、送信機1から順に二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102までの構成のみを用いて、同一レンジプロフィールのヒストリ上の目標数を知ることができる。
【0202】
また、図15で二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102を用いるかわりに、実施の形態2で、図7を用いて処理内容を詳述したシフト処理型複数目標移動量推定手段201を用いても、同様の効果を実現できる。
【0203】
なお、本実施の形態では、目標数が2の場合を例にとってその動作を説明したが、目標数が3以上の場合、さらに、目標数が1の場合や、レンジ移動量とドップラー移動量がすべて等しい複数の目標の画像再生にも同様に適用できるのはいうまでもない。
【0204】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図17は、この発明の実施の形態6に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0205】
図17において、1は送信機、2は送受切換器、3は送受信アンテナ、4は受信機、5はレンジ圧縮手段、101は複数目標レンジ補償回路、301は複数目標位相補償回路、8はクロスレンジ圧縮回路、9はモニタTVである。
【0206】
次に、本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態は、同一レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在し、これらが、レンジ移動量が異なるのか、ドップラー移動量のみがことなるのか判断できない場合、もしくは、レンジ移動量が異なる目標やドップラー移動量のみが異なる目標が混在する場合に、すべての目標のISAR画像を得ることを目的としている。
【0207】
送信機1で高周波パルスを生成して目標に照射し、受信信号をレンジ圧縮手段5でレンジ圧縮するまでの処理は従来の技術と同一である。
【0208】
複数目標レンジ補償回路101では、レンジ圧縮手段5で得られたレンジプロフィールのヒストリv2(h,r)に対して、実施の形態1で述べた方式で、レンジ移動量の異なる目標群の数P、及び、各目標群に対するレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2p(h,r)(p=0,1,…,P−1)を得て、これを出力する。レンジ移動量は等しいがドップラー周波数が異なる目標同士については、この段階では分離することが不可能なので、ここでは、目標ではなく、目標群と呼んでいる。
【0209】
複数目標位相補償回路301では、複数目標レンジ補償回路101で得られたそれぞれの目標群に関するレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2p(h,r)に対して、それぞれ、実施の形態3で詳述した処理で、ドップラー移動量の異なる目標数Q(p)(p=0,1,…,P−1)、及び、各目標ごとに位相補償を行なって得られるレンジプロフィールのヒストリvTq(h,r)(p=0,1,…,P−1、q=0,1,…,Q(p)−1)を得る。以下、クロスレンジ圧縮回路8で位相補償後のレンジプロフィールのヒストリvTq(h,r)を順次クロスレンジ圧縮し、得られるISAR画像をモニタTV9に表示する。
【0210】
以上の構成をとることにより、同一レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在し、これらが、レンジ移動量が異なるのか、ドップラー移動量のみがことなるのか判断できない場合、もしくは、レンジ移動量が異なる目標やドップラー移動量のみが異なる目標が混在する場合に、すべての目標のISAR画像を得ることができる。
【0211】
また、送信機1から複数目標位相補償回路301までの構成のみを用いて、同一レンジプロフィールのヒストリ上の目標数を知ることができる。
【0212】
なお、以上の説明では、複数目標レンジ補償回路101の処理として、実施の形態1で述べた処理内容を用いたが、実施の形態2で述べた処理内容を用いても構わない。
【0213】
さらに、複数目標位相補償回路301の処理として、実施の形態3で述べた処理内容を用いたが、実施の形態4や実施の形態5で述べた処理手順を用いても構わない。すなわち、これらのうちのいずれの組み合わせを用いても、本実施の形態の効果を得ることができる。
【0214】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図18は、この発明の実施の形態7に係るレーダ装置の複数目標レンジ補償回路内の二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段内の複数ピーク移動量推定手段の構成を示す図である。なお、他の構成は上記実施の形態1と同様である。
【0215】
図18において、701は区分領域設定手段、702はピーク探索手段である。
【0216】
図19は、本実施の形態の処理内容を説明する図である。
【0217】
次に、本実施の形態の処理内容を図面を参照しながら説明する。実施の形態1で示した複数ピーク移動量推定手段105の動作では、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段104の出力である積分結果H(dj)(j=0,1,…,J−1)に対して、スレッショルド値Thを設定してその値を越えるH(dj)の領域数から目標数を、各領域においてH(dj)を最大とするdjから各目標のレンジ移動量を推定した。
【0218】
しかし、実施の形態1で述べた処理では、例えば、図19(a)に示したようなピークを持つ3つの目標が存在する場合には、どのようなスレッショルドを設定しても目標数を正しく3と推定することはできない。
【0219】
そこで、本実施の形態では、実施の形態1における、複数ピーク移動量推定手段105を、図18に示す構成にすることにより、この問題を解決する。
【0220】
送信機1で高周波パルスを生成して目標に照射し、受信信号をレンジ圧縮手段5でレンジ圧縮し、複数目標レンジ補償回路101内の二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102内の二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段104で複数目標の移動量推定用のデータである積分値H(dj)(j=0,1,…,J−1)を得るまでの処理は、実施の形態1と同一である。
【0221】
まず、区分領域設定手段701では、始点dj、終点dj+Q−1のQ点の領域を想定する。次に、ピーク探索手段702では、その領域内におけるH(di)を最大とするdiを探索し、もし、そのdiが図19(b)に示すように始点、もしくは終点に対応するなら、棄却する。
【0222】
図19(c)のように、始点にも終点にも対応しない場合には、その時のdiをピークとして登録する。jを0から、J−Qまで移動させて、各領域で上記の探索をすることにより目標数Kに応じた数のピークdpk(k=0,1,…,K−1)を得ることができる。複数ピーク移動量推定手段105では、得られた目標数Kおよび各目標に対応したdpk(k=0,1,…,K−1)を出力する。移動量算出手段113以降、画像再生後の各目標のISAR画像をモニタTV9に表示するまでの処理は、実施の形態1と同一である。
【0223】
以上の構成をとることにより、同一レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在する場合に、各目標に関するISAR画像を、それぞれ結像させて得ることができる。
【0224】
特に、各目標の反射電力レベルが異なることの影響で、一つのスレッショルドを設定するのみではピークを探索できないような場合にも適用できる。
【0225】
また、送信機1から順に二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102までの構成のみを用いて、同一レンジプロフィールのヒストリ上の目標数を知ることができる。
【0226】
なお、本実施の形態では、目標数が3の場合を例にとってその動作を説明したが、目標数が4以上の場合、さらに、目標数が2以下の場合にも同様に適用できるのはいうまでもない。
【0227】
さらに、本実施の形態では、実施の形態1を改良する内容の説明を行なったが、複数ピーク移動量推定手段105を用いる他のどの実施の形態に適用しても、同様の効果を得ることができるのはいうまでもない。
【0228】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図20は、この発明の実施の形態8に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0229】
図20において、1は送信機、2は送受切換器、3は送受信アンテナ、4は受信機、5はレンジ圧縮手段、102は二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段、801は画像再生実行判断手段、6はレンジ補償回路、7は位相補償回路、8はクロスレンジ圧縮回路、9はモニタTVである。
【0230】
次に、本実施の形態の処理内容を説明する。同一レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在する場合には、たとえ、各目標ごとにレンジ補償を行なってISAR画像を再生した場合でも、そのISAR画像に別の目標の反射信号が重なる場合がある。ここで、別の目標の反射信号は、ISAR画像上の不要雑音として寄与するため、高品質な画像を得るという目的のためには望ましくない。そこで、本実施の形態では、レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在するかどうかを判定し、単一の目標しか存在しない場合にのみ画像再生を行なうことにより、常に高品質なISAR画像を得ることを目的とする。
【0231】
送信機1で高周波パルスを生成して目標に照射し、受信信号をレンジ圧縮手段5でレンジ圧縮し、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102で、目標数K、および、各目標のレンジ移動量sk(k=0,1,…,K−1)を得るまでの動作は実施の形態1と同一である。
【0232】
画像再生実行判断手段801では、入力した目標数Kにより、画像再生を行なうか行なわないかの判断を行なう。Kが2以上の場合には、画像再生を行なわず、送信機1の処理に戻る。Kが1の場合には、レンジ補償回路6に進む。以下、レンジ補償回路6でレンジ補償を行なう処理から、再生したISAR画像をモニタTVに表示するまでの処理は、従来の技術と同様である。
【0233】
以上の処理を行なうことにより、レンジプロフィールのヒストリ上に複数の目標が存在するかしないかを判断して、複数の目標が存在しない場合にのみISAR画像の再生を行なえるので、複数の目標のISAR画像が重なりあって、画質が劣化する状況を回避して、常に高品質なISAR画像を得ることができる。
【0234】
なお、本実施の形態では、二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段102を用いたが、その代わりに実施の形態2で処理内容を詳細に説明した、シフト処理型複数目標移動量推定手段201を適用して構成しても同様の効果を得れるのはいうまでもない。
【0235】
実施の形態9.
この発明の実施の形態9に係るレーダ装置について図面を参照しながら説明する。図21は、この発明の実施の形態9に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0236】
図21において、1は送信機、2は送受切換器、3は送受信アンテナ、4は受信機、5はレンジ圧縮手段、101は複数目標レンジ補償回路、301は複数目標位相補償回路、901は目標数算出回路、9はモニタTVである。
【0237】
図22は、本実施の形態の処理内容を説明する図である。
【0238】
次に、本実施の形態の処理内容を図面を参照しながら説明する。送信機1で高周波パルスを生成して目標に照射し、複数目標レンジ補償回路101で、レンジ移動量の異なる目標数P、および、各目標のレンジ移動量s(p)(p=0,1,…,P−1)を推定し、それぞれ、レンジ補償を行ない、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリv2p(h,r)を得て、複数目標位相補償回路301で、各v2p(h,r)ごとに、ドップラー移動量の異なる目標数Q(p)(p=0,1,…,P−1)を推定する処理は実施の形態6と同一である。
【0239】
目標数算出回路901では、目標数Kを次の式(15)により算出する。
【0240】
【数15】
【0241】
さらに、モニタTV9では、目標数Kおよび、各目標のレンジ移動量、及び、ドップラー移動量を図22に示すように表示する。
【0242】
以上のような構成をとることにより、同一レンジビン内に含まれる目標数と各目標のレンジ移動量とドップラー移動量を知ることができるので、多目標追尾を行なう場合の制約条件として用いることにより、追尾精度を向上させることができる。
【0243】
【発明の効果】
この発明に係るレーダ装置は、以上説明したとおり、移動する目標に対して電波を送信し、前記目標からの反射波を受信して前記目標の画像を得るためのレーダ装置において、レンジプロフィールのヒストリ上にレンジの変化量の異なる複数の目標が存在する場合に、目標数、各目標のレンジの変化量を推定して、目標毎に、目標上の各反射点が、観測時間中、同一レンジビンに位置するようにレンジプロフィールのヒストリを補正して、レンジの変化量の異なる目標毎に、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリを生成する複数目標レンジ補償回路と、レンジ変化量の異なる目標毎に得られたレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリについて個別に、各反射点が観測時間中、同一ドップラービンに位置するように、各レンジプロフィールのヒストリの位相補償を行なう位相補償回路と、レンジ変化量の異なる目標毎にレンジ補償、位相補償を行なって得られたレンジプロフィールのヒストリをクロスレンジ圧縮してISAR画像を生成するクロスレンジ圧縮回路とを備え、前記複数目標レンジ補償回路は、レンジプロフィールのヒストリに含まれるレンジ変化量の異なる目標数、及び、各目標に対応するレンジ変化量を推定する二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段を有し、前記二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段は、入力された画像上に存在する複数の線分について、傾きごとの信号電力の計算結果を出力する二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段を持ち、前記二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段は、レンジプロフィールのヒストリの振幅検出を行なう振幅検出手段と、前記振幅検出手段の出力を二次元フーリエ変換して、二次元フーリエ変換画像を得る二次元フーリエ変換画像作成手段と、二次元フーリエ変換画像をシフトさせる画像シフト手段と、前記画像シフト手段の出力画像において、画像の中心を通り、傾きの異なるさまざまな直線状の積分経路を設定し、各積分経路に沿って、前記画像シフト手段の出力画像を線積分することにより、もとの画像上の各軌跡に関して、各直線の各傾きごとの電力を計算する画像線積分手段とを含むので、同一レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ移動量の異なる複数の目標が存在する場合に、各目標に関するISAR画像を、それぞれ結像させて得ることができるという効果を奏する。
【0244】
また、この発明に係るレーダ装置は、以上説明したとおり、移動する目標に対して電波を送信し、前記目標からの反射波を受信して前記目標の画像を得るためのレーダ装置において、レンジプロフィールのヒストリ上にレンジの変化量の異なる複数の目標が存在する場合に、目標数、各目標のレンジの変化量を推定して、目標毎に、目標上の各反射点が、観測時間中、同一レンジビンに位置するようにレンジプロフィールのヒストリを補正して、レンジの変化量の異なる目標毎に、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリを生成する複数目標レンジ補償回路と、レンジ変化量の異なる目標毎に得られたレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリについて個別に、各反射点が観測時間中、同一ドップラービンに位置するように、各レンジプロフィールのヒストリの位相補償を行なう位相補償回路と、レンジ変化量の異なる目標毎にレンジ補償、位相補償を行なって得られたレンジプロフィールのヒストリをクロスレンジ圧縮してISAR画像を生成するクロスレンジ圧縮回路とを備え、前記複数目標レンジ補償回路は、レンジプロフィールのヒストリに含まれるレンジ変化量の異なる目標数、及び、各目標に対応するレンジ変化量を推定するシフト処理型複数目標移動量推定手段を有し、前記シフト処理型複数目標移動量推定手段は、二次元画像上に含まれる傾きの異なる直線について、傾きの異なる直線の種類数、及び、各直線の傾きに対応する補正量を推定するためのデータ列を算出するシフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段を持ち、前記シフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段は、レンジプロフィールのヒストリを各セルの振幅の大小で二値化する二値画像生成手段と、前記二値画像生成手段の出力画像に対して、さまざまな補正量を想定し、補正量毎に画像上に存在する複数の直線の傾きを変えるように線形に補正する画像線形補正手段と、前記画像線形補正手段で得られる各線形補正後の二値画像について、補正量を定義した軸上のセル毎に、その軸に直交する方向に並ぶ全セルの値を総和する各セルの総和算出手段と、前記各セルの総和算出手段で得られる各補正量ごとの一次元配列について、それぞれエントロピーの値を算出するエントロピー算出手段と、前記エントロピー算出手段で得られた各補正量のエントロピーの値の計算結果について正規化する正規化手段とを含むので、同一レンジプロフィールのヒストリ上にレンジ移動量の異なる複数の目標が存在する場合に、各目標に関するISAR画像を、それぞれ結像させて得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1のレーダ装置の複数目標レンジ補償回路の構成を示す図である。
【図3】 この発明の実施の形態1のレーダ装置の複数目標レンジ補償回路の二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段の構成を示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態1の二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段の処理内容を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態1の複数ピーク移動量推定手段の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】 この発明の実施の形態2のレーダ装置の複数目標レンジ補償回路の構成を示す図である。
【図7】 この発明の実施の形態2のレーダ装置の複数目標レンジ補償回路のシフト処理型複数目標移動量推定手段の構成を示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態2の処理内容を示す図である。
【図9】 この発明の実施の形態2の処理内容を示す図である。
【図10】 この発明の実施の形態2の処理内容を示す図である。
【図11】 この発明の実施の形態3に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】 この発明の実施の形態3のレーダ装置の複数目標位相補償回路の構成を示す図である。
【図13】 この発明の実施の形態3の処理内容を示す図である。
【図14】 この発明の実施の形態4のレーダ装置の複数目標位相補償回路の構成を示す図である。
【図15】 この発明の実施の形態5のレーダ装置の複数目標位相補償回路の構成を示す図である。
【図16】 この発明の実施の形態5のレーダ装置の複数目標位相補償回路の全レンジビン総和手段の処理内容を示す図である。
【図17】 この発明の実施の形態6に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図18】 この発明の実施の形態7に係るレーダ装置の複数ピーク移動量推定手段の構成を示す図である。
【図19】 この発明の実施の形態7に係るレーダ装置の処理内容を示す図である。
【図20】 この発明の実施の形態8に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図21】 この発明の実施の形態9に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図22】 この発明の実施の形態9に係るレーダ装置の処理内容を示す図である。
【図23】 従来のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図24】 従来のレーダ装置のレンジ補償回路の構成を示す図である。
【図25】 従来のレーダ装置の位相補償回路の構成を示す図である。
【図26】 従来のレーダ装置の回転運動を行なう目標を観測するジオメトリを示す図である。
【図27】 従来のレーダ装置のISAR画像の一例を示す図である。
【図28】 従来のレーダ装置の並進運動を行なう目標を観測するジオメトリを示す図である。
【図29】 従来のレーダ装置のレンジプロフィールのヒストリの最大振幅検出結果の一例を示す図である。
【図30】 従来のレーダ装置のレンジ補償処理を施した後のレンジプロフィールのヒストリにおける最大振幅検出結果の一例を示す図である。
【図31】 従来のレーダ装置の区分周波数分析手段の処理内容を示す図である。
【図32】 従来のレーダ装置の区分周波数分布のヒストリの最大振幅検出結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 送信機、2 送受切換器、3 送受信アンテナ、4 受信機、5 レンジ圧縮手段、6 レンジ補償回路、7 位相補償回路、8 クロスレンジ圧縮回路、9 モニタ・テレビ、10 振幅最大レンジビン検出回路、11 平滑化回路、12 レンジ追尾手段、13 レンジ補償手段、14 注目レンジビン決定手段、15 区分周波数分析手段、16 ドップラー追尾手段、17 振幅最大周波数検出回路、18 位相補償量算出手段、19 位相補償手段、101 複数目標レンジ補償回路、102 二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段、103 複数目標レンジ補償手段、104 二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段、105 複数ピーク移動量推定手段、106 振幅検出手段、107 二次元FFT手段、108 画像シフト手段、109 画像線積分手段、110 スレッショルド設定手段、111 ピーク数判定手段、112 各ピーク対応移動量推定手段、113 移動量算出手段、201 シフト処理型複数目標移動量推定手段、202 二値画像生成手段、203 画像線形補正手段、204 各セルの総和算出手段、205 エントロピー算出手段、206 正規化手段、207 シフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段、301 複数目標位相補償回路、501 全レンジビン総和手段、701 区分領域設定手段、702 ピーク探索手段、801 画像再生実行判断手段、901 目標数算出回路。
Claims (2)
- 移動する目標に対して電波を送信し、前記目標からの反射波を受信して前記目標の画像を得るためのレーダ装置において、
レンジプロフィールのヒストリ上にレンジの変化量の異なる複数の目標が存在する場合に、目標数、各目標のレンジの変化量を推定して、目標毎に、目標上の各反射点が、観測時間中、同一レンジビンに位置するようにレンジプロフィールのヒストリを補正して、レンジの変化量の異なる目標毎に、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリを生成する複数目標レンジ補償回路と、
レンジ変化量の異なる目標毎に得られたレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリについて個別に、各反射点が観測時間中、同一ドップラービンに位置するように、各レンジプロフィールのヒストリの位相補償を行なう位相補償回路と、
レンジ変化量の異なる目標毎にレンジ補償、位相補償を行なって得られたレンジプロフィールのヒストリをクロスレンジ圧縮してISAR画像を生成するクロスレンジ圧縮回路とを備え、
前記複数目標レンジ補償回路は、
レンジプロフィールのヒストリに含まれるレンジ変化量の異なる目標数、及び、各目標に対応するレンジ変化量を推定する二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段を有し、
前記二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定手段は、
入力された画像上に存在する複数の線分について、傾きごとの信号電力の計算結果を出力する二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段を持ち、
前記二次元フーリエ変換型複数目標移動量推定用データ生成手段は、
レンジプロフィールのヒストリの振幅検出を行なう振幅検出手段と、
前記振幅検出手段の出力を二次元フーリエ変換して、二次元フーリエ変換画像を得る二次元フーリエ変換画像作成手段と、
二次元フーリエ変換画像をシフトさせる画像シフト手段と、
前記画像シフト手段の出力画像において、画像の中心を通り、傾きの異なるさまざまな直線状の積分経路を設定し、各積分経路に沿って、前記画像シフト手段の出力画像を線積分することにより、もとの画像上の各軌跡に関して、各直線の各傾きごとの電力を計算する画像線積分手段とを含む
ことを特徴とするレーダ装置。 - 移動する目標に対して電波を送信し、前記目標からの反射波を受信して前記目標の画像を得るためのレーダ装置において、
レンジプロフィールのヒストリ上にレンジの変化量の異なる複数の目標が存在する場合に、目標数、各目標のレンジの変化量を推定して、目標毎に、目標上の各反射点が、観測時間中、同一レンジビンに位置するようにレンジプロフィールのヒストリを補正して、レンジの変化量の異なる目標毎に、レンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリを生成する複数目標レンジ補償回路と、
レンジ変化量の異なる目標毎に得られたレンジ補償後のレンジプロフィールのヒストリについて個別に、各反射点が観測時間中、同一ドップラービンに位置するように、各レンジプロフィールのヒストリの位相補償を行なう位相補償回路と、
レンジ変化量の異なる目標毎にレンジ補償、位相補償を行なって得られたレンジプロフィールのヒストリをクロスレンジ圧縮してISAR画像を生成するクロスレンジ圧縮回路とを備え、
前記複数目標レンジ補償回路は、
レンジプロフィールのヒストリに含まれるレンジ変化量の異なる目標数、及び、各目標に対応するレンジ変化量を推定するシフト処理型複数目標移動量推定手段を有し、
前記シフト処理型複数目標移動量推定手段は、
二次元画像上に含まれる傾きの異なる直線について、傾きの異なる直線の種類数、及び、各直線の傾きに対応する補正量を推定するためのデータ列を算出するシフト処理型複 数目標移動量推定用データ生成手段を持ち、
前記シフト処理型複数目標移動量推定用データ生成手段は、
レンジプロフィールのヒストリを各セルの振幅の大小で二値化する二値画像生成手段と、
前記二値画像生成手段の出力画像に対して、さまざまな補正量を想定し、補正量毎に画像上に存在する複数の直線の傾きを変えるように線形に補正する画像線形補正手段と、
前記画像線形補正手段で得られる各線形補正後の二値画像について、補正量を定義した軸上のセル毎に、その軸に直交する方向に並ぶ全セルの値を総和する各セルの総和算出手段と、
前記各セルの総和算出手段で得られる各補正量ごとの一次元配列について、それぞれエントロピーの値を算出するエントロピー算出手段と、
前記エントロピー算出手段で得られた各補正量のエントロピーの値の計算結果について正規化する正規化手段とを含む
ことを特徴とするレーダ装置。
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