JP3645133B2 - レーダ装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、観測すべき移動する目標に対して電波を送信してその目標からの反射波を受信して目標の画像を得るためのレーダ装置に関し、特に、移動目標とレーダ装置との間の相対位置関係の変化に基づく反射信号の変化、及び、送信周波数の変化に基づく反射信号の変化を補償する補償回路を有するレーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のレーダ装置は、一般に高分解能レーダ装置と呼ばれ、例えば、Donald R. Wehner,''High Resolution Radar'',Artech House, INC.1987,pp.273-339に記載されているISAR(Inverse Synthetic Aperture Radar)、及び、特開平10−268041号公報に記載のものがある。
【0003】
図12は、上記公報に示された従来のレーダ装置を示すブロック構成図である。図において、501は送信機、502は送受切換器、503は送受信アンテナ、504は受信機、505はレンジ圧縮手段、506はレンジ補償回路、507は位相補償回路、508はアジマス圧縮手段、509はモニタ・テレビ(以下、モニタTVと呼ぶ)である。
【0004】
図13は、図12の従来のレーダ装置のブロック構成図におけるレンジ補償回路506の内部構成を記した構成図である。図において、510は振幅検出手段、511は二次元FFT手段、512は画像線積分手段、513はこれらの構成要素510〜512からなる移動量推定回路、514はレンジ移動量算出手段、515はレンジ補償手段である。
【0005】
図14は、図12の従来のレーダ装置のブロック構成図における位相補償回路507の内部構成を記した構成図である。図において、516は参照レンジセル選択回路、517は短時間フーリエ変換回路、518は位相補償量算出手段、519は位相補償手段である。なお、513は、上述した図13の移動量推定回路と同一である。
【0006】
また、図15は、回転運動を行なう目標を観測するジオメトリである。図において、550は目標、551は図12の従来のレーダ装置である。また、図16は、図15のジオメトリで観測した結果得られたISAR画像の一例である。図16において、552は目標550のISAR画像である。
【0007】
図17は、並進運動を行なう目標を観測するジオメトリである。図において、550及び551は、図15のそれと、それぞれ同一である。
【0008】
次に、これらの図を用いて、上記従来のレーダ装置の動作原理について説明する。まず、ISARの画像再生の原理について説明する。図15に示す通り、x−y平面の原点に設置されたレーダ装置551で、レンジr0の点oを通り紙面に垂直な軸を中心に角速度ωで反時計周りで回転する目標550を観測するジオメトリを考える。まず、図12に示す構成のレーダ装置551において、送信機501では、時間とともに周波数が変化する信号(チャープ信号)に変調された高周波パルスを発生し、送受切換器502を介して送受信アンテナ503に供給する。送受信アンテナ503は、供給された高周波パルスを送信する。
【0009】
送信した高周波パルスは目標550で反射され、この反射された信号(エコー)は、送受信アンテナ503に入り、送受切換器502を介して受信機504で復調される。受信機504で復調された信号は、送信信号の瞬時周波数に対しレーダ装置551と目標550の間の電波伝搬の往復に要する時間分遅延したものであるから、レンジ圧縮手段505において、送信信号s(t)を用いて受信信号r(t)にマッチドフィルターをかけること、すなわち、次式(1)に示すように、送信信号s(t)の共役信号s*(t)と受信信号r(t)とのコンボリューションを求めることにより、遅延に相当した時間にインパルスv(t)(以下では、レンジプロフィールと呼ぶ。)を得ることができる。このことにより、レンジ分解能が向上する。
【0010】
【数1】
Figure 0003645133
【0011】
レーダ装置551が送信を繰り返すごとに上記レンジ圧縮された信号が得られるから、レーダ装置551の送信ごと、即ち、ヒットごとにレンジ圧縮された信号をまとめることにより、レンジrとヒットhを軸とする二次元複素信号v(h、r)(以下では、レンジヒストリと呼ぶ。)が得られる。尚、レンジrと時間tの間には、r=(Δr/Δt)・tなる関係がある。ここで、Δtはサンプリング間隔(=1/B、Bは送信帯域)、Δrはレンジ分解能(=C/2B、Cは光速)である。
【0012】
目標550が図17に示すような運動、すなわち、並進運動を行なう場合には、レーダ装置551から目標550までの距離の変化の影響を補償することにより、並進運動を行なう目標550を、等価的に、図15に示すような回転運動を行なう目標550とみなすことができる。この点については、後で述べる。
【0013】
レーダ装置551と目標550の間の距離の変化を補償するレンジ補償回路506、及び、位相補償回路507の動作は後述することにし、以下では、目標550が図15に示すような回転運動を行なうもの、もしくは、なんらかの方法で、レーダ装置551から目標550までの距離の変化の影響を補償されたものとして説明する。
【0014】
アジマス圧縮手段508では、レンジヒストリv(h、r)を、式(2)に従って、各レンジごとに、ヒット方向にフーリエ変換することにより、レンジ及びアジマスの両方について圧縮された複素信号u(c、r)を得る。ここに、cはアジマス方向を示す。
【0015】
【数2】
Figure 0003645133
【0016】
上式(2)で、Hはヒット数、Rはレンジセル数である。この処理は、アジマス方向の分解能を改善する効果がある。以下、この原理を説明する。
【0017】
図15に示す運動を行なう目標550上のある部位(例えば点a)で反射した信号のドップラー周波数fdは次の式で表される。
【0018】
【数3】
Figure 0003645133
【0019】
ここに、λは送信波長、Lは反射を生じた部位の回転半径、θは観測の基準となるLOS(Line Of Sight、x−y平面の原点と、レンジr0の点oを結ぶ直線)を基準としたときの目標物550の(中心線との)角度を示している。
【0020】
目標550が図17に示すような並進運動を行なう場合には、上述の角度θはt=t0〜t2に変わるにつれて変化することになる。このことから、レーダ装置551から目標550までの距離の変化の影響を補償すれば、並進運動を行なう目標550を、等価的に角度θが変化する回転運動を行なう目標550とみなすことができることがわかる。
【0021】
また、上式(3)からわかるように、同じ角度θ上の点では、回転軸からの距離Lに比例して、目標550上のそれぞれの部位からの反射信号のドップラー周波数が変わるという特性を有する。
【0022】
図12に示したレンジ圧縮手段505とアジマス圧縮手段508により、レンジ及びアジマスの両方について分解能が向上した複素信号u(c、r)は、その絶対値が目標のレーダ反射断面積に対応するから、モニタTV509上のレンジr及びアジマスcの二次元平面にu(c、r)の絶対値またはその二乗に応じた輝度で表示を行なうことにより、図16に示すような、レンジとアジマスの両方について高分解能化された目標のISAR画像552を表示することができる。
【0023】
ここで、図16の画像552上で、例えば、a点は、目標550上で、レーダ装置551に近い位置にあるので、レンジが小さく、かつ、回転運動によりレーダ装置551から遠ざかる運動をしているので、ドップラー周波数が小さくなっている。
【0024】
次に、上記説明で省略した、目標の並進運動の影響を補償する処理について説明する。観測時間内のt0,t1,t2という時間において、並進運動により、図17のように位置が変化する目標550のISAR画像を生成する場合、各ヒットごとに得られたレンジヒストリv(h,r)をそのままヒット方向にフーリエ変換するだけでは、目標550上の各点(例えば点a)が観測時間中にレンジ方向に移動するため、レンジ及びアジマス方向にきちんと圧縮されず、結果として画像にぼけが生じてしまうのは、上式(2)において、各レンジごとにフーリエ変換を行なうというその処理内容より明らかである。
【0025】
従って、ぼけのない鮮明な画像を得るためには、目標550上の各々の点を観測時間中、同一レンジセル内に固定するための補償処理を必要とする。この処理をレンジ補償処理と呼ぶ。
【0026】
レンジ補償処理を行なうレンジ補償回路506(図13)の処理内容について説明する。目標550が図17に示す運動を行う場合について考える。ここで、電波の反射をする点は、図中a、b、cの三点のみとし、このうち、b点とc点は常に同じレンジセルにあるものとする。
【0027】
レンジヒストリv(h,r)に対して、各ヒットhごとに振幅最大レンジセルの検出を行った結果の例が図18のグラフである。図18中、太実線で示した部分が、各ヒットのレンジプロフィールで振幅が最大となるレンジセルを示しているものとする。a、b、cは同一目標550上の点であり、実際は、図中の点線に示されるように、同じ変化率でレンジが変化しているはずであるが、見込み角の変化に従う各点のレーダ断面積の変化や、同一レンジセル内に複数の反射点が存在する場合の干渉などの影響で、観測時間中に各点の存在するレンジセルの振幅が変動するため、振幅最大レンジセルの位置の変化に不連続な部分が発生するため、振幅最大レンジセルの追尾から、全ヒットHでの目標のレンジ移動量Srを推定して、図19に示すように各反射点のレンジ移動を補償するのは困難になる。
【0028】
ここで、各反射点は同一の目標550上の点であることから、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡のレンジの変化は近似的に等しく、かつ、目標の加速度が十分小さい場合、各軌跡は近似的に直線とみなせる。すなわち、レンジヒストリの上の各反射点の軌跡から、目標550のレンジ移動量を推定する問題は、図20(a)に示すx−y二次元画像g(x,y)(x=0,1,…,Nx−1,y=0,1,…,Ny−1)上の同じ傾き(Sy/Nx)の複数の直線の傾き推定問題に帰着される。ここで、Nxは、x方向のセル数(画素数)であり、Nyは、y方向の画素数である。二次元平面上の傾きgrの任意の直線は、空間周波数平面上では、原点を通り、傾きが−1/grの直線に投影されることを考慮すると、g(x,y)上のy方向の総移動量がSyの直線は、g(x,y)空間周波数画像であるG(fx,fy)上では、図20(b)に示すように、原点を通り、fx方向の移動量Sfxが次式(4)で与えられる直線となる。
【0029】
【数4】
Figure 0003645133
【0030】
ただし、空間周波数画像G(fx,fy)におけるfx,fy方向の空間周波数の分解能が1/Nx,1/Nyで与えられることを考慮している。図13の移動量推定回路513では、入力してきたx−y二次元画像の振幅分布を振幅検出手段510で算出し、この出力を二次元FFT(Fast Fourier Transform)手段511でフーリエ変換し、空間周波数画像G(fx,fy)を得る。よって、レンジヒストリを二次元平面とみなした場合の空間周波数平面上の原点を通り、fx方向の移動量が異なる複数の直線を仮定し、各直線に沿って線積分した場合、G(fx、fy)上の軌跡と積分経路が一致した時に、積分値が最大になることから、次に、画像線積分手段512で、空間周波数画像G(fx,fy)の線積分を行い、積分値を最大とするfx方向移動量を用いて式(4)より画像f(x,y)上の軌跡のy方向の総移動量Syを得る。移動量推定回路513では、この値を出力する。移動量推定回路513にレンジヒストリが入力された場合には、出力Syが、レンジヒストリ上の各軌跡の総レンジ移動量Srに対応する。レンジ移動量算出手段514では、各ヒットhにおけるレンジ移動量sr(h)を次式(5)で得る。
【0031】
【数5】
Figure 0003645133
【0032】
レンジ補償手段515では、上式(5)で得られたレンジ移動量sr(h)を打ち消すように、各ヒットhにおけるレンジヒストリv(h、r)をレンジ方向に補償する。具体的には、レンジ移動量sr(h)を整数に四捨五入して、その値を打ち消すようにレンジプロフィールをレンジセル単位で平行移動させる。なお、得られたレンジ補償後のレンジヒストリv2(h、r)とする。レンジ補償後のレンジヒストリv2(h、r)で、各ヒットごとに、レンジプロフィールの振幅が最大となるレンジセルを検出した結果は、図19に示すようにそれぞれの点の反射信号が同一レンジセルに並ぶ。
【0033】
上記レンジ補償処理により、観測時間中の各点のレンジセルを超えた距離変化については除去することができたが、レンジセル内の距離変化については除去できていない。一般に、目標が加速運動、旋回運動をする時は勿論の事、等速直線運動を行なう場合でも、進行方向がLOS軸に沿った方向で無い限り、その距離変化は、線形な成分に加えて、非線形な加速度成分も含む。このうちの加速度成分の影響で、各点よりの反射信号のドップラー周波数(アジマス)に広がりが生じるため、結果として生成した画像がアジマス方向にぼけてしまう。上記加速度成分の影響を除去するための補償処理が位相補償処理である。ここで、各反射点は同一目標に属することから、そのドップラー周波数の移動量は等しく、かつ、旋回中の目標550以外では、時間に関する一次の変化と近似的にみなすことができる。
【0034】
以下では、この位相補償処理を行なう位相補償回路507(図14)の処理内容について説明する。並進運動に伴う上記加速度成分は、すべてのレンジセルに対してほぼ等しく加わるため、ある一つのレンジセルに着目して、そのレンジセルに加わる加速度成分を推定し、その推定結果を用いて、すべてのレンジセルの位相補償を行なう。
【0035】
参照レンジセル選択回路516では、レンジ補償後のレンジヒストリv2(h,r)の各レンジrにおける平均電力を算出し、その値を最大とするレンジセルを参照レンジセルとして、そのレンジセルの受信信号列w(h)を出力する。例えば、図17のジオメトリの例では、点b、cを含むレンジセルが参照レンジセルとして選択されたものとする。
【0036】
次に、短時間フーリエ変換回路517では、次式(6)に従い、図21に示した参照レンジセルの受信信号列w(h)553を長さΔhで短時間フーリエ変換してドップラースペクトル(周波数スペクトル)のヒストリ(以下では、ドップラーヒストリと呼ぶ)fs(h’,f)554を求める。
【0037】
【数6】
Figure 0003645133
【0038】
各ヒットごとの見込み角の変化に従うレーダ断面積の変化のため、振幅最大周波数の位置が変動すること、および、周波数の折り返しの影響で、その位置の変化に不連続な部分が発生して、最大反射点の追尾でドップラー移動量を推定するのは困難となるため、移動量推定回路513では、レンジ補償の場合と同様に、周波数ヒストリ554を二次元画像とみなして入力信号とし、ドップラー総移動量Sfを得る。
【0039】
位相補償量算出手段518では、次式(7)に従い、位相補償量ph(h)を計算する。
【0040】
【数7】
Figure 0003645133
【0041】
位相補償手段519では、位相補償量算出手段518で得られた位相補償量ph(h)を用いて、式(8)により、レンジ補償後のレンジヒストリv2(h,r)の位相補償を行ない、最終的なレンジヒストリvL(h,r)を得る。
【0042】
【数8】
Figure 0003645133
【0043】
以上の処理を経る事により、図17に示すような並進運動を行なう目標550に関して、目標550上の各点のレンジセルを超える移動、及び、位相の二次の変動を補償することができるため、並進運動を伴わず、回転運動のみを行なう目標550と同様に鮮明な高分解能画像が得られる。なお、図22は、ドップラーヒストリの最大振幅検出結果の一例である。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のレーダ装置においては、目標550の加速度が大きく、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合には、正しくレンジ補償を行えず、そのために、ISAR画像が結像しないという問題点があった。
【0045】
また、目標550の加速度が大きい場合には、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡の幅が広くなってしまい、これに伴う位相補償量推定誤差が発生し、ISAR画像が結像しないという問題点があった。
【0046】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、目標の加速度が大きくレンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合や、同じく、目標の加速度が大きく、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡の幅が広くなった場合においても、レンジや位相の補償量を正しく推定し、ISAR画像を結像させることができるレーダ装置を得ることを目的としている。
【0047】
【課題を解決するための手段】
この発明は、移動する目標に対して電波を送信し、目標からの反射波を受信して、目標の画像を得るレーダ装置であって、受信した反射波から得られる受信信号をレンジ圧縮してレンジヒストリを生成するレンジ圧縮手段と、受信信号のドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換手段と、ドップラーヒストリから、受信信号のドップラー移動量を推定する移動量推定手段と、ドップラー移動量に基づいて当該移動を除去するための位相補償量を算出する位相補償量算出手段と、位相補償量算出手段から出力された位相補償量を目標の時間に対する二次のレンジ変化に変換する位相−距離変換手段と、位相−距離変換手段の出力である上記目標の二次のレンジ変化を除去するための補償を行う高次レンジ補償手段とを備えたレーダ装置である
【0048】
また、移動する目標に対して電波を送信する送信手段と、目標からの反射波を受信する受信手段と、受信された反射波から得られる受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段と、参照データ列を短時間フーリエ変換して、ドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路と、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路と、ドップラー移動量に基づいて、目標の距離の移動を除去するために、レンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段と、ドップラー移動量から、ドップラー移動量に対応する目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、高次レンジ補償回路の出力であるレンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次のレンジ移動成分を推定して補償するレンジ補償回路と、レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを位相補償量算出手段の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、位相補償手段の出力である、すべてのレンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し、目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、を備えている。
【0049】
また、移動する目標に対して電波を送信する送信手段と、目標からの反射波を受信する受信手段と、受信された反射波から得られる受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、レンジ圧縮で得られるレンジヒストリ上の各反射点のレンジ移動成分のうちの時間に対する一次の変化成分を推定して補償するレンジ補償回路と、レンジ補償回路の出力であるレンジ補償後のレンジヒストリから、所定のレンジ範囲のデータ列を切り出す切出手段と、切出手段の出力である切り出し後のレンジヒストリを各ヒットごとにレンジ方向に総和して参照データ列を生成する総和手段と、参照データ列を短時間フーリエ変換して、ドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路と、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路と、移動量推定回路の出力であるドップラー移動量に基づいて、目標の距離の移動を除去するためにレンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段と、ドップラー移動量から、ドップラー移動量に対応する目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、高次レンジ補償回路の出力である高次レンジ補償後のレンジヒストリを、位相補償量算出手段の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、位相補償手段の出力である、すべてのレンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し、目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、を備えている。
【0050】
また、位相補償手段の後段に、レンジヒストリ上の各反射点のレンジ移動成分のうちの時間に対する一次の変化成分を推定して補償する第二のレンジ補償回路を、さらに備えている。
【0051】
また、移動する目標に対して電波を送信する送信手段と、目標からの反射波を受信する受信手段と、受信された反射波から得られる受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段と、参照データ列のドップラー移動量と、ドップラー移動量に基づく位相補償量とを、短時間フーリエ変換の点数を逐次的に変化させることにより推定する逐次位相補償量算出手段と、受信信号のドップラー移動量から、ドップラー移動量に対応する目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、高次レンジ補償回路の出力である二次レンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次の距離変化成分を推定して補償するレンジ補償回路と、レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを逐次位相補償量算出手段の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、位相補償手段の出力である、レンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮して上記目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、を備えている。
【0052】
また、逐次位相量算出手段が、総和手段の出力である参照データ列のドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路と、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路と、移動量推定回路の出力であるドップラー移動量に基づいて、目標の距離の移動を除去するためにレンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段と、参照データ列を位相補償量算出手段で得られた位相補償量で位相補償して、再び短時間フーリエ変換回路に戻す参照データ位相補償手段と、参照データ位相補償手段の処理を終えるごとに、短時間フーリエ変換の点数を増やすように制御するフーリエ変換点数制御手段と、各処理のループごとに得られる位相補償量を蓄積する二次位相量蓄積手段と、二次位相量蓄積手段に蓄積された各位相補償量を各ヒットごとに総和して、出力する二次補償量総和手段と、から構成されている。
【0053】
また、目標に対して電波を送信する送信手段と、目標からの反射波を受信する受信手段と、受信された反射波から得られた受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段と、参照データ列の位相に最小二乗法を適用して、二次以上の高次の高次の位相成分を推定する最小二乗型位相補償量推定回路と、最小二乗型位相補償量推定回路で得られた受信信号の時間に対する二次以上の高次の高次の位相成分を基に、目標のレンジ移動の時間に対する二次以上の高次の成分を推定する高次位相−距離変換手段と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する高次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、高次レンジ補償回路の出力である高次レンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次の距離変化成分を推定して補償するレンジ補償回路と、レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを最小二乗型位相補償量推定回路の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、位相補償手段の出力である、レンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し上記目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、を備えている。
【0054】
また、最小二乗型位相補償量推定回路が、総和手段の出力である参照データ列のドップラースペクトルの最大値をとる周波数の値から、一次の位相成分を推定してこれに基づき参照データ列の位相の一次成分を補償する一次位相補償回路と、位相の一次成分を除去した後の参照データ列の位相の2πごとの折り返しをアンラップする位相アンラップ回路と、位相アンラップ後の参照データ列の位相に最小二乗法を適用して、二次以上の高次の位相成分を推定する最小二乗法回路と、から構成されている。
【0055】
また、高次レンジ補償回路が、レンジ圧縮手段及びレンジ補償回路のいずれか一方の出力であるレンジヒストリのレンジに関する周波数分布のヒストリを算出するFFT手段と、位相−距離変換手段及び高次位相−距離変換手段のいずれか一方の出力である目標の時間に対する二次の距離変化を打ち消すために上記周波数分布のヒストリを位相補償する周波数領域補償回路と、周波数領域補償回路の出力である、位相補償後の周波数分布を逆フーリエ変換して、目標の時間に対する二次の距離変化を補償したレンジヒストリを出力するIFFT手段と、から構成されている。
【0056】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示す構成図である。本発明のレーダ装置は例えば合成開口レーダ装置等から構成される。図1に示すように本実施の形態によるレーダ装置は、目標(図15または図17の550参照)に対して電波を送信する送信手段である送信機501と、目標550からの反射波を受信する受信手段である受信機504と、送信機501及び受信機504の切り換えを行う送受切換器502と、電波の送受信を行う送受信アンテナ503と、受信された反射波から得られた受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジプロフィールのヒストリ(以下、レンジヒストリ)を得るレンジ圧縮手段505と、レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段1と、参照データ列を短時間フーリエ変換して、ドップラースペクトルのヒストリー(以下、ドップラーヒストリ)を生成する短時間フーリエ変換回路517と、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路513と、移動量推定回路513の出力であるドップラー移動量に基づいて、この移動を除去するためにレンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段518と、受信信号のドップラー移動量から、これに対応する目標550の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段2と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路6と、高次レンジ補償回路6の出力であるレンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次のレンジ移動成分を推定して補償するレンジ補償回路506と、レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを位相補償量算出手段518の出力である位相補償量で補償する位相補償手段519と、位相補償手段の出力である、すべてのレンジ補償、位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し目標550の画像を生成するアジマス圧縮手段508と、目標550の画像を表示するモニタTV509とを有している。
【0057】
また、高次レンジ補償回路6は、図1に示すように、レンジ圧縮手段505の出力であるレンジヒストリのレンジに関する周波数分布のヒストリを算出するFFT手段4と、位相−距離変換手段2の出力である目標550の時間に対する二次の距離変化を打ち消すために周波数分布のヒストリを位相補償する周波数領域補償回路3と、周波数領域補償回路3の出力である、位相補償後の周波数分布を逆フーリエ変換して、目標550の時間に対する二次の距離変化を補償したレンジヒストリを出力するIFFT手段5から構成されている。図2は、本実施の形態による図1のレーダ装置の処理を説明する図である。なお、本実施の形態におけるジオメトリは、上述の図15または図17を参照することとする。
【0058】
図1及び図2を用いて、本実施の形態の動作を説明する。501〜505までの動作は、上述の図12と同様であるため、ここでは説明を省略する。図2(a)は、レンジヒストリv(h,r)を示している。図中の線は、各ヒットにおける目標550上の反射点の軌跡を表しており、目標550の加速度が大きいことを想定して、その軌跡を二次曲線で表している。本実施の形態では、各反射点の軌跡がこのように二次曲線で表されるような目標550の加速度が大きい場合において、各ヒットにおけるレンジ移動量を推定して、これを補償するための方式を提案する。
【0059】
ここで、時間に対する二次の距離変化成分は、受信信号では、二次の位相変化成分として表され、これは、ドップラー周波数の一次変化として現れる。そこで、受信信号のドップラー周波数の一次変化を推定することで、距離の二次の変化成分を推定できる。これを行うために、まず、総和手段1では、次式(9)に従い、レンジヒストリv(h、r)をレンジ方向に総和し、参照データ列w(h)を得る。
【0060】
【数9】
Figure 0003645133
【0061】
得られたw(h)には、レンジヒストリ上の全受信信号成分が含まれている。これに対して、短時間フーリエ変換回路517で、上述した従来のレーダ装置と同様に点数Δhの短時間フーリエ変換を行い、図2(b)のように得られたドップラーヒストリfs(h’,f)を、移動量推定回路513に入力してドップラー移動量Sfを得る。位相補償量算出手段518では、式(7)で、上述した従来のレーダ装置と同様に、位相補償量ph(h)を推定すると共に、式(7)中に含まれている次式(10)で示される係数aをヒットh=0,1,2,…を時間とみなした場合のドップラー周波数の変化率として出力する。
【0062】
【数10】
Figure 0003645133
【0063】
さて、各ヒットにおけるドップラー周波数fd(h)(h=0,1,…,H−1)は定数項を無視すると次式(11)で表せる。
【0064】
【数11】
Figure 0003645133
【0065】
よって、一次のドップラー周波数変化に対応した各ヒットごとの位相変化φd(h)は次式で表される。
【0066】
【数12】
Figure 0003645133
【0067】
一方、受信信号の各ヒットにおける位相φ(h)とレーダからの距離r(h)の関係は、送信信号の初期位相を0[rad]とすると次式(13)で与えられる。
【0068】
【数13】
Figure 0003645133
【0069】
ただし、λは送信波証、rn(h)(n=0,1,2,…)はヒットに対するn次の距離変化成分、φn(h)(n=0,1,2,…)は、rn(h)に対応した位相成分を表す。式(13)中の二次の位相成分φ2(h)が、ドップラー変化率aより定まる式(12)の位相変化成分φd(h)と等しいことから、目標の二次の距離変化成分r2(h)は、次式(14)で表される。
【0070】
【数14】
Figure 0003645133
【0071】
よって、各ヒットhにおける、レンジ分解能Δ[m]で正規化したレンジ補償量Δr(h)(h=0,1,…,H−1)は次式(15)で与えられる。
【0072】
【数15】
Figure 0003645133
【0073】
位相−距離変換手段2では、以上の処理に基づき、レンジ分解能で正規化した、レンジ補償量Δr(h)を得る。さて、以上得られたレンジ補償量Δr(h)を用いて、レンジヒストリのレンジ補償を行えるが、具体的な補償方式が問題となる。レンジ補償の一つの方式として、上述した従来のレーダ装置と同様に、上記レンジ補償量Δr(h)を各ヒットごとに整数値に離散化して、その値だけ、レンジプロフィールをレンジ方向にレンジセル単位で平行移動する方式が考えられる。しかし、この方式では、離散化の影響で、アジマス圧縮後のドップラー周波数方向に虚像が発生する問題がある。そこで、ここでは、レンジヒストリを各ヒットごとに、まずレンジ方向にフーリエ変換し、得られた空間周波数分布のヒストリの位相補償を行うことで、整数値以下のレンジ補償を行う。
【0074】
まず、高次レンジ補償回路6内のFFT手段4では、次式(16)により、各ヒットhにおける空間周波数分布U(h,k)を得る。
【0075】
【数16】
Figure 0003645133
【0076】
ここで、周波数分布を直流成分を中心として取り扱うために、次式(17)の関数を導入する。
【0077】
【数17】
Figure 0003645133
【0078】
周波数領域補償回路3では、位相−距離変換手段2の出力である、レンジ分解能で正規化したレンジ補償量Δr(h)、及び、FFT手段4の出力である空間周波数分布のヒストリU(h,k)を用いて次式(18)で位相補償を行い、位相補償後の空間周波数分布のヒストリU2(h,k)を得る。
【0079】
【数18】
Figure 0003645133
【0080】
IFFT手段5では、得られたU2(h,k)を次式(19)により、各ヒットごとに逆フーリエ変換して、二次のレンジ補償を行う。
【0081】
【数19】
Figure 0003645133
【0082】
得られたv2(h,r)が、二次のレンジ移動成分を除去した後のレンジヒストリである。
【0083】
さて、以上の処理により、目標550の加速度成分に伴う2次のレンジ移動成分は除去されたので、得られたレンジヒストリv2(h,r)上の各反射点の軌跡は、図2(c)に示すように直線になる。
【0084】
よって、以下からは上述した従来のレーダ装置と同様の処理を行えば良い。まず、レンジ補償回路506では、従来のレーダ装置と同じ方式で、レンジ補償を行う。位相補償手段519では、レンジ補償回路506でレンジ補償されたあとのレンジヒストリと、先に、位相補償量算出手段518で得られた位相補償量ph(h)とを用いて、従来のレーダ装置と同様に位相補償を行い、アジマス圧縮手段508では、位相補償手段519で得られた位相補償後のレンジヒストリのアジマス圧縮を行い、ISAR画像を得る。最後に、得られた結果をモニタTV509に表示する。
【0085】
以上のように、本実施の形態においては、まず、目標の加速度が大きく、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合においても、ドップラー周波数の時間変化を用いることで、レンジヒストリ上の各軌跡の二次の変化の補償が可能になり、ISAR画像の分解能劣化を防ぐことができる。また、レンジ補償をレンジヒストリの各ヒットにおける空間周波数分布の位相補償により行うので、レンジ分解能で離散化されたレンジ補償を行う場合に比べて、ISAR画像上のアジマス方向の虚像の発生を除去できるため、鮮明な画像を得ることができる。
【0086】
実施の形態2.
図3は、本実施の形態によるレーダ装置の構成を示す図である。図において、11は、レンジ補償後のレンジヒストリからある所定のレンジ範囲のデータ列を切り出すための切出手段である。本実施の形態と上述した実施の形態1との相違点は、主に、実施の形態1では高次レンジ補償回路6の後段に設けられていたレンジ補償回路506が、高次レンジ補償回路6の前段に設けられていることと、総和手段1の前段に切出手段11が追加されている点である。
【0087】
すなわち、本実施の形態におけるレーダ装置は、図3に示すように、目標550に対して電波を送信する送信機501と、目標550からの反射波を受信する受信機504と、受信された反射波から得られた受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段505と、レンジ圧縮で得られるレンジヒストリ上の各反射点のレンジ移動成分のうちの時間に対する一次の変化成分を推定して補償するレンジ補償回路506と、レンジ補償後のレンジヒストリから所定のレンジ範囲のデータ列を切り出す切出手段11と、切出手段11の出力である、切り出し後のレンジヒストリを各ヒットごとにレンジ方向に総和して参照データ列を生成する総和手段1と、参照データ列を短時間フーリエ変換して、ドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路517と、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路513と、移動量推定回路513の出力であるドップラー移動量に基づいて、この移動を除去するために前記レンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段518と、受信信号のドップラー移動量から、これに対応する目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段2と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路6と、高次レンジ補償回路6の出力である高次レンジ補償後のレンジヒストリを位相補償量算出手段518の出力である位相補償量で補償する位相補償手段519と、位相補償手段519の出力である、すべてのレンジ補償、位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し目標550の画像を生成するアジマス圧縮手段508とを有している。図4は、本実施の形態のレーダ装置の処理を説明する図である。
【0088】
次に、図3及び図4を用いて、本実施の形態の処理内容を説明する。まず、レンジ補償回路506では、図4(a)に示すレンジヒストリv(h,r)に従来のレンジ補償を適用して一次のレンジ移動を補償し、図4(b)に示すレンジ補償後のレンジヒストリv2(h,r)を得る。
【0089】
次に、切出手段11では、v2(h,r)の信号電力が大きいレンジ範囲r1〜r1+ΔR−1のデータ列を、次式(20)に従い、図4(c)に示すように切り出し、これをw0(h,r)とする。
【0090】
【数20】
Figure 0003645133
【0091】
総和手段1では、得られたw0(h,r)を次式(21)により総和し、参照データ列w(h)を得る。
【0092】
【数21】
Figure 0003645133
【0093】
以下、短時間フーリエ変換回路517から位相−距離変換手段2までの処理は、実施の形態1と同一であるため、ここでは説明を省略する。また、レンジ補償回路506の出力であるレンジヒストリの二次のレンジ移動を高次レンジ補償回路で補償する処理も実施の形態1と同一である。
【0094】
すでに一次のレンジ移動成分は補償されているので、位相補償量算出手段518で得られた位相補償量を用いて、位相補償手段519で、二次のレンジ移動成分を補償した後のレンジヒストリの位相補償を行う。結果をアジマス圧縮手段508でアジマス圧縮してISAR画像を生成し、結果をモニタTV509に表示する。
【0095】
本実施の形態においては、以上の構成を取ることにより、上述した実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、まず最初にレンジ補償を行い、信号電力の高い部分のみのデータ列を切り出して参照信号とするようにしたため、従来のレーダ装置に比べて耐雑音性能が向上する。
【0096】
実施の形態3.
図5は、本実施の形態によるレーダ装置の構成を示す図である。本実施の形態の構成において、上述した実施の形態2の構成と異なる点は、位相補償手段519の後段にレンジ補償回路506がもう1つ追加されていることである。図5において、1、2、6は図1と、11は図3と同一である。また、501〜506、508、509は図12と、513は図13と、517〜519は図14と同一である。
【0097】
次に、図5を用いて本実施の形態の動作を説明する。上述したように、本実施の形態では、実施の形態2の構成に比べて位相補償手段519の後段に、レンジ補償回路506が追加されている。すなわち、送信機501から位相補償手段519までの処理で、二次のレンジ移動とドップラー移動については補償が完了している。
【0098】
また、一次のレンジ移動成分については、上述した実施の形態2では、レンジ圧縮手段505の後段のレンジ補償回路506により完全に除去されるものとしたが、実際は、レンジ補償回路506でレンジ補償量を推定する際には、レンジ移動成分に、二次成分も含まれるため、一次成分のみを正しく推定して補償するのは困難と思われる。そこで、この実施の形態においては、先にのべたように、位相補償手段519の後段にさらにレンジ補償回路506が追加されている。
【0099】
つまり、位相補償手段519までの処理により、レンジ移動に関しては、2次の成分が補償されているので、例え、レンジ移動成分が残存していた場合でも、各反射点のレンジヒストリ上の軌跡は直線で与えられる。よって、従来のレーダ装置と同じ方式を適用するのみで、この成分を推定/補償することができる。
【0100】
本実施の形態においては、以上の構成にすることにより、上述の実施の形態1及び実施の形態2と同様の効果が得られるとともに、さらに、レンジ補償精度の向上によるISAR画像の分解能劣化発生の抑圧を行うことができる。
【0101】
実施の形態4.
図6は本実施の形態によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、41は、参照データ列のドップラー移動量と、これに基づく位相補償量とを、短時間フーリエ変換の点数を逐次に変えて推定する位相補償量算出手段である。なお、1、2、6は図1と、501〜506、508、509は図12と、519は図14と同一である。
【0102】
すなわち、本実施の形態におけるレーダ装置は、図6に示すように、目標550に対して電波を送信する送信機501と、目標550からの反射波を受信する受信機504と、受信された反射波から得られた受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段505と、レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段1と、参照データ列のドップラー移動量と、これに基づく位相補償量を短時間フーリエ変換の点数を逐次的に変えて推定する逐次位相補償量算出手段41と、受信信号のドップラー移動量から、これに対応する目標550の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段2と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路6と、高次レンジ補償回路の出力である二次レンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次の距離変化成分を推定して補償するレンジ補償回路506と、レンジ補償回路506の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを逐次位相補償量算出手段41の出力である位相補償量で補償する位相補償手段519と、位相補償手段519の出力である、すべてのレンジ補償、位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮して目標の画像を生成するアジマス圧縮手段508を有している。
【0103】
また、図7は、逐次位相補償量算出手段41の内部構成を示すブロック図である。図において、42は、参照データ列を前記位相補償量算出手段で得られた位相補償量で位相補償して、これを再び短時間フーリエ変換回路517に戻す参照データ位相補償手段、43は、各処理のループごとに得られる位相補償量を蓄積する二次位相量蓄積手段、44は、二次位相量蓄積手段43に蓄積された各位相補償量を各ヒットごとに総和してこれを出力する二次補償量総和手段、45は、参照データ位相補償手段42の処理を終えるごとに、短時間フーリエ変換の点数を増やすように制御するフーリエ変換点数制御手段である。また、513は図13と、517及び518は図14と同一である。図8は本実施の形態のレーダ装置の処理内容を説明するための図である。
【0104】
次に、図6、図7、図8を用いて本実施の形態の動作を説明する。本実施の形態では、目標の加速度が大きい場合に、短時間フーリエ変換で得られるドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡が図8(a)に示すように太くなり、ドップラー移動量の推定精度が劣化することと、この問題を避けるために、短時間フーリエ変換の点数を少なくすると、今度は、ドップラー分解能の劣化のために、ドップラー移動の推定精度が劣化することとを問題とし、これらの問題を解決することを目的とする。
【0105】
ここで、参照データ列から位相補償量を推定する際に、最初は少ないフーリエ変換点数で位相補償量を推定してこれを蓄積すると共に、この補償量で参照データ列の二次の位相成分を補償する処理を、フーリエ変換点数を増やしながら繰り返すことで、上記の問題を解決できる。
【0106】
以下では、この考え方に基づく、位相補償量推定の考え方について述べる。なお、この実施の形態の構成は、図6に示すように、実施の形態1における、位相補償量を推定するための、短時間フーリエ変換回路517、移動量推定回路513、位相補償量算出手段518のブロックが、逐次位相補償量算出手段41に代っている部分が相違点である。
【0107】
逐次位相補償量算出手段41には、総和手段1で得られた参照データ列w(h)(h=0,1,…H−1)が入力される。フーリエ変換点数制御手段45(図7)では、まず、あるフーリエ変換点数Δh1を設定する。例えば、Δh1=2^k1(ここでA^BはAのB乗を表す。また、k1は周波数ヒストリ上の反射点の軌跡の幅が広くならないような適当な数)としてk1を与えても構わない。短時間フーリエ変換回路517では上記Δh1をフーリエ変換点数とした短時間フーリエ変換を行い、移動量推定回路513では、ドップラー周波数の総移動量sf1を推定する。位相補償量算出手段518では、sf1及びΔh1から、参照データ列w(h)の二次の位相補償量p1(h)を算出し、これを二次位相量蓄積手段43に蓄える。
【0108】
さらに、参照データ位相補償手段42では、p1(h)に基づきw(h)の位相補償を行う。ここでは、Δh1の点数が小さく周波数分解能が劣化した状態で位相補償量を算出したため、この補償の精度は悪いが、主要な成分は補償される。これを再び短時間フーリエ変換回路517に送る。
【0109】
フーリエ変換点数制御手段45では、Δh2>Δh1となるフーリエ変換点数を設定する。ここで、例えばk2=k1+1として、Δh2=2^k2としてフーリエ変換点数を設定しても構わない。
【0110】
短時間フーリエ変換回路517では、参照データ位相補償手段42の出力であるp1(h)で位相補償後の参照データ列をフーリエ変換点数Δh2で再び短時間フーリエ変換する。得られるドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡は、単にフーリエ変換点数を増やしたのみでは、ドップラー移動量が大きいために、幅が広がってしまうが、本実施の形態の処理では、先に、参照データ列位相補償手段42で主要な二次位相すなわち、一次のドップラー変化を低減しているため、ドップラー移動量が小さく抑えられており、ドップラーヒストリ上の軌跡の幅も広がらない。
【0111】
得られた周波数ヒストリに対してフーリエ変換点数がΔh1の場合と同様の処理を適用することで、二次位相量蓄積手段43に位相補償量p2(h)を蓄積すると共に、w(h)の位相補償を行う。以下、フーリエ変換点数をΔh3,Δh4,…(もしくはk3,k4,…)と変えていき、同じ処理を繰り返す。
【0112】
このような処理を繰り返した結果、二次位相量蓄積手段43には、各フーリエ変換点数での位相補償量がpj(h)(j=1,2,…)が蓄積されており、逐次位相補償量算出手段41に入力されたw(h)の二次位相補償量ph(h)はこれらの和で次式(22)のように与えられる。
【0113】
【数22】
Figure 0003645133
【0114】
ここで、Jはフーリエ変換点数を変えて行う処理の繰り返し回数である。二次補償量総和手段44では、式(22)に従い、最終的な二次位相補償量ph(h)を算出し、結果を出力する。
【0115】
この実施の形態における位相−距離変換手段2以下の処理は上述した実施の形態1と同様である。なお、図6では、実施の形態1の処理ブロックの変更の内容で、その処理内容を説明したが、実施の形態2及び実施の形態3の変更として本実施の形態を構成しても、同様に動作することは言うまでもない。
【0116】
以上のように、この実施の形態においては、上述の実施の形態1〜3と同様の効果が得られるとともに、目標の加速度が大きく、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡の幅が広がってしまい、これに伴う位相補償量の推定に誤差が発生して、ISAR画像が結像しない、また、各軌跡の幅を狭くするために短時間フーリエ変換の点数を小さくした場合には、ドップラー分解能の劣化に伴い位相補償の推定に誤差が発生してISAR画像が結像しない、という相反する問題点を解決して、ISAR画像を結像させることができる。
【0117】
実施の形態5.
図9は、本実施の形態によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。図において、51は最小二乗型位相補償量推定回路、55は高次位相−距離変換手段である。なお、1及び6は図1と、501〜505、508、509は図12と、519は図14と同一である。
【0118】
すなわち、本実施の形態におけるレーダ装置は、目標550に対して電波を送信する送信機501と、目標550からの反射波を受信する受信機504と、受信された反射波から得られた受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段505と、レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段1と、参照データ列の位相に最小二乗法を適用して、二次以上の高次の高次の位相成分を推定する最小二乗型位相補償量推定回路51と、最小二乗型位相補償量推定回路51で得られた受信信号の時間に対する二次以上の高次の高次の位相成分を基に、目標550のレンジ移動の時間に対する二次以上の高次の成分を推定する高次位相−距離変換手段55と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する高次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路6と、高次レンジ補償回路6の出力である高次レンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次の距離変化成分を推定して補償するレンジ補償回路506と、レンジ補償回路506の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを最小二乗型位相補償量推定回路51の出力である位相補償量で補償する位相補償手段519と、位相補償手段519の出力である、すべてのレンジ補償、位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し目標550の画像を生成するアジマス圧縮手段508とを有している。
【0119】
図10は最小二乗型位相補償量推定回路51の内部構成を示すブロック図である。最小二乗型位相補償量推定回路51は、図のように、入力した参照データ列のドップラースペクトルの最大値をとる周波数の値から、一次の位相成分を推定して、これに基づき参照データ列の位相の一次成分を補償する一次位相補償回路52と、位相の一次成分を除去した後の参照データ列の位相の2πごとの折り返しをアンラップする位相アンラップ回路53と、位相アンラップ後の参照データ列の位相に最小二乗法を適用して、二次以上の高次の位相成分を推定する最小二乗法回路54とから構成されている。なお、図11は、本実施の形態の処理内容を説明するための図である。
【0120】
次に、図9、図10、図11を用いて本実施の形態の動作を説明する。本実施の形態では、目標の加速度の影響で、三次以上の位相成分が発生した場合を考える。そのために、参照データ列の位相に直接最小二乗法を適用して、位相成分を推定する。ただし、そのためには、図11(a)に示す2πごとの位相の折り返しを除去(位相アンラップ)する必要がある。後述するように、隣接ヒット間の位相の差分が±πを越えると位相アンラップを正しく行えなくなるため、一次位相補償回路52では、まず、位相の主要項となる、一次の位相成分を除去する。一次の位相成分の除去は以下の処理を経て実現される。
【0121】
まず、次式により、参照データ列w(h)のドップラースペクトルW(f)を得る。
【0122】
【数23】
Figure 0003645133
【0123】
このW(f)の電力を図11(b)に示すように最大とするfを用いて次式のように一次の位相量φ1(h)を推定する。
【0124】
【数24】
Figure 0003645133
【0125】
次に、得られたφ1(h)を用いて次式(25)により一次成分の位相補償を行う。
【0126】
【数25】
Figure 0003645133
【0127】
得られた、参照信号w2(h)においては、主要な一次の位相成分が除去されているので、phase(z)を複素数zの位相を算出するオペレータとして定義した場合に、次式(26)により得られるw2(h)の位相φ2(h)は、図11(c)に示すように一次の位相成分除去前に比べて、変動が緩やかになる。
【0128】
【数26】
Figure 0003645133
【0129】
一次位相補償回路52では、上式(26)の位相φ2(h)を出力する。φ2(h)の値域は、−π<φ2(h)≦πであり、隣接ヒット間のφ2(h)の差分δ(h)(=φ2(h)−φ2(h−1))の値域は、−2π<δ(h)<2πとなる。折り返し前のヒット間の位相差が±πを越えないという仮定を導入すると、これを、(a):−2π<δ(h)≦−π,(b):−π<δ(h)≦π,(c):π<δ(h)≦2π;の3つの場合に分けて、それぞれを、(a):π−ε1 → −π+ε2の折り返し発生,(b):折り返し発生せず,(c):−π+ε2→π−ε1の折り返し発生,(ただし,ε1,ε2>0,ε1+ε2<π)とみなすことができる。
【0130】
そこで、次式(27)で各ヒットh(h=1,2,…H−1)の折り返しの補正量Δφ(h)を求め、次式(28)でアンラップ後の位相φu(h)を得ることができる。
【0131】
【数27】
Figure 0003645133
【0132】
【数28】
Figure 0003645133
【0133】
これを図示すると図11(d)のようになる。位相アンラップ回路53では以上の処理により、位相アンラップ後の参照信号の位相φu(h)を算出して、これを出力する。この方式では、折り返し前の各ヒット間の位相差がπを越える場合には、アンラップを正しく実行できないため、一次位相補償回路52でヒット間の位相差を低減した。
【0134】
最小二乗法回路54では、得られたφu(h)にN次の最小二乗法を適用して、次式(29)のように、N次以下の多項式で、位相成分φL(h)を推定する。
【0135】
【数29】
Figure 0003645133
【0136】
位相成分φL(h)には折り返しが発生していないことから、レンジ分解能Δで正規化したレンジ補償量Δr(h)とφL(h)の関係は次式(30)で与えられる。
【0137】
【数30】
Figure 0003645133
【0138】
ただし、λは波長である。得られたレンジ補償量Δr(h)には、3次以上の距離変化成分も含まれている。周波数領域補償回路3以降で、高次位相−距離変換手段55で得られたレンジ補償量Δr(h)を用いてレンジ補償を行う処理から、最終的にモニタTV509にISAR画像を表示するまでの処理は実施の形態1と同一である。
【0139】
本実施の形態では、実施の形態1の処理を改良する形で処理内容を説明した。しかし、実施の形態2、実施の形態3の処理の改良としても同様に実現できる。
【0140】
以上のように、この実施の形態においては、上述の実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3と同様の効果を得ることができるとともに、さらに、目標の加速度運動の影響で、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡が時間に対する三次以上のレンジ移動が生じる場合にも、これに伴うISAR画像の分解能劣化を抑えて画像再生を行える。
【0141】
【発明の効果】
この発明は、移動する目標に対して電波を送信し、目標からの反射波を受信して、目標の画像を得るレーダ装置であって、受信した反射波から得られる受信信号をレンジ圧縮してレンジヒストリを生成するレンジ圧縮手段と、受信信号のドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換手段と、ドップラーヒストリから、受信信号のドップラー移動量を推定する移動量推定手段と、ドップラー移動量に基づいて当該移動を除去するための位相補償量を算出する位相補償量算出手段と、位相補償量算出手段から出力された位相補償量を目標の時間に対する二次のレンジ変化に変換する位相−距離変換手段と、位相−距離変換手段の出力である上記目標の二次のレンジ変化を除去するための補償を行う高次レンジ補償手段とを備えたレーダ装置であるので、目標の加速度が大きくレンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合等においても、レンジや位相の補償量を正しく推定し、ISAR画像を結像させることができるという効果が得られる。
【0142】
また、移動する目標に対して電波を送信する送信手段と、目標からの反射波を受信する受信手段と、受信された反射波から得られる受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段と、参照データ列を短時間フーリエ変換して、ドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路と、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路と、ドップラー移動量に基づいて、目標の距離の移動を除去するために、レンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段と、ドップラー移動量から、ドップラー移動量に対応する目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、高次レンジ補償回路の出力であるレンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次のレンジ移動成分を推定して補償するレンジ補償回路と、レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを位相補償量算出手段の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、位相補償手段の出力である、すべてのレンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し、目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、を備えるようにしたので、まず、目標の加速度が大きく、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合においても、ドップラー周波数の時間変化を用いることで、レンジヒストリ上の各軌跡の二次の変化の補償が可能になり、ISAR画像の分解能劣化を防ぐことができる。また、レンジ補償をレンジヒストリの各ヒットにおける空間周波数分布の位相補償により行うので、レンジ分解能で離散化されたレンジ補償を行う場合に比べて、ISAR画像上のアジマス方向の虚像の発生を除去できるため、鮮明な画像を得ることができる。
【0143】
また、移動する目標に対して電波を送信する送信手段と、目標からの反射波を受信する受信手段と、受信された反射波から得られる受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、レンジ圧縮で得られるレンジヒストリ上の各反射点のレンジ移動成分のうちの時間に対する一次の変化成分を推定して補償するレンジ補償回路と、レンジ補償回路の出力であるレンジ補償後のレンジヒストリから、所定のレンジ範囲のデータ列を切り出す切出手段と、切出手段の出力である切り出し後のレンジヒストリを各ヒットごとにレンジ方向に総和して参照データ列を生成する総和手段と、参照データ列を短時間フーリエ変換して、ドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路と、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路と、移動量推定回路の出力であるドップラー移動量に基づいて、目標の距離の移動を除去するためにレンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段と、ドップラー移動量から、ドップラー移動量に対応する目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、高次レンジ補償回路の出力である高次レンジ補償後のレンジヒストリを、位相補償量算出手段の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、位相補償手段の出力である、すべてのレンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し、目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、を備えるようにしたので、まず、目標の加速度が大きく、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合においても、ドップラー周波数の時間変化を用いることで、レンジヒストリ上の各軌跡の二次の変化の補償が可能になり、ISAR画像の分解能劣化を防ぐことができる。また、レンジ補償をレンジヒストリの各ヒットにおける空間周波数分布の位相補償により行うので、レンジ分解能で離散化されたレンジ補償を行う場合に比べて、ISAR画像上のアジマス方向の虚像の発生を除去できるため、鮮明な画像を得ることができる。さらに、まず最初にレンジ補償を行い、信号電力の高い部分のみのデータ列を切り出して参照信号とするようにしたため、従来のレーダ装置に比べて耐雑音性能が向上する。
【0144】
また、位相補償手段の後段に、レンジヒストリ上の各反射点のレンジ移動成分のうちの時間に対する一次の変化成分を推定して補償する第二のレンジ補償回路を、さらに備えるようにしたので、レンジ補償精度の向上によるISAR画像の分解能劣化発生の抑圧を行うことができる。また、目標の加速度が大きく、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合においても、ドップラー周波数の時間変化を用いることで、レンジヒストリ上の各軌跡の二次の変化の補償が可能になり、ISAR画像の分解能劣化を防ぐことができる。また、レンジ補償をレンジヒストリの各ヒットにおける空間周波数分布の位相補償により行うので、レンジ分解能で離散化されたレンジ補償を行う場合に比べて、ISAR画像上のアジマス方向の虚像の発生を除去できるため、鮮明な画像を得ることができる。さらに、まず最初にレンジ補償を行い、信号電力の高い部分のみのデータ列を切り出して参照信号とするようにしたため、従来のレーダ装置に比べて耐雑音性能が向上する。
【0145】
また、移動する目標に対して電波を送信する送信手段と、目標からの反射波を受信する受信手段と、受信された反射波から得られる受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段と、参照データ列のドップラー移動量と、ドップラー移動量に基づく位相補償量とを、短時間フーリエ変換の点数を逐次的に変化させることにより推定する逐次位相補償量算出手段と、受信信号のドップラー移動量から、ドップラー移動量に対応する目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、高次レンジ補償回路の出力である二次レンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次の距離変化成分を推定して補償するレンジ補償回路と、レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを逐次位相補償量算出手段の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、位相補償手段の出力である、レンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮して上記目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、を備えているので、目標の加速度が大きく、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡の幅が広くなった場合等においても、レンジや位相の補償量を正しく推定し、ISAR画像を結像させることができる。
【0146】
また、逐次位相量算出手段が、総和手段の出力である参照データ列のドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路と、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路と、移動量推定回路の出力であるドップラー移動量に基づいて、目標の距離の移動を除去するためにレンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段と、参照データ列を位相補償量算出手段で得られた位相補償量で位相補償して、再び短時間フーリエ変換回路に戻す参照データ位相補償手段と、参照データ位相補償手段の処理を終えるごとに、短時間フーリエ変換の点数を増やすように制御するフーリエ変換点数制御手段と、各処理のループごとに得られる位相補償量を蓄積する二次位相量蓄積手段と、二次位相量蓄積手段に蓄積された各位相補償量を各ヒットごとに総和して、出力する二次補償量総和手段と、から構成されているので、目標の加速度が大きく、ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡の幅が広がってしまい、これに伴う位相補償量の推定に誤差が発生して、ISAR画像が結像しない、また、各軌跡の幅を狭くするために短時間フーリエ変換の点数を小さくした場合には、ドップラー分解能の劣化に伴い位相補償の推定に誤差が発生してISAR画像が結像しない、という相反する問題点を解決して、ISAR画像を結像させることができる。
【0147】
また、目標に対して電波を送信する送信手段と、目標からの反射波を受信する受信手段と、受信された反射波から得られた受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段と、参照データ列の位相に最小二乗法を適用して、二次以上の高次の高次の位相成分を推定する最小二乗型位相補償量推定回路と、最小二乗型位相補償量推定回路で得られた受信信号の時間に対する二次以上の高次の高次の位相成分を基に、目標のレンジ移動の時間に対する二次以上の高次の成分を推定する高次位相−距離変換手段と、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する高次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、高次レンジ補償回路の出力である高次レンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次の距離変化成分を推定して補償するレンジ補償回路と、レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを最小二乗型位相補償量推定回路の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、位相補償手段の出力である、レンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し上記目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、を備えているので、目標の加速度が大きくレンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合等においても、レンジや位相の補償量を正しく推定し、ISAR画像を結像させることができるとともに、さらに、目標の加速度運動の影響で、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡が時間に対する三次以上のレンジ移動が生じる場合にも、これに伴うISAR画像の分解能劣化を抑えて画像再生を行うことができる。
【0148】
また、最小二乗型位相補償量推定回路が、総和手段の出力である参照データ列のドップラースペクトルの最大値をとる周波数の値から、一次の位相成分を推定してこれに基づき参照データ列の位相の一次成分を補償する一次位相補償回路と、位相の一次成分を除去した後の参照データ列の位相の2πごとの折り返しをアンラップする位相アンラップ回路と、位相アンラップ後の参照データ列の位相に最小二乗法を適用して、二次以上の高次の位相成分を推定する最小二乗法回路と、から構成されているので、目標の加速度が大きくレンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合等においても、レンジや位相の補償量を正しく推定し、ISAR画像を結像させることができるとともに、さらに、目標の加速度運動の影響で、レンジヒストリ上の各反射点の軌跡が時間に対する三次以上のレンジ移動が生じる場合にも、これに伴うISAR画像の分解能劣化を抑えて画像再生を行うことができる。
【0149】
また、高次レンジ補償回路が、レンジ圧縮手段及びレンジ補償回路のいずれか一方の出力であるレンジヒストリのレンジに関する周波数分布のヒストリを算出するFFT手段と、位相−距離変換手段及び高次位相−距離変換手段のいずれか一方の出力である目標の時間に対する二次の距離変化を打ち消すために上記周波数分布のヒストリを位相補償する周波数領域補償回路と、周波数領域補償回路の出力である、位相補償後の周波数分布を逆フーリエ変換して、目標の時間に対する二次の距離変化を補償したレンジヒストリを出力するIFFT手段と、から構成されているので、目標の加速度が大きくレンジヒストリ上の各反射点の軌跡が曲線で表される場合等においても、レンジや位相の補償量を正しく推定し、ISAR画像を結像させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態1によるレーダ装置の処理を説明するためのグラフである。
【図3】 本発明の実施の形態2によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】 本発明の実施の形態2によるレーダ装置の処理を説明するためのグラフである。
【図5】 本発明の実施の形態3によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図6】 本発明の実施の形態4によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 本発明の実施の形態4によるレーダ装置内に設けられた逐次位相補償量算出手段の構成を示すブロック図である。
【図8】 本発明の実施の形態4によるレーダ装置の処理を説明するためのグラフである。
【図9】 本発明の実施の形態5によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図10】 本発明の実施の形態5によるレーダ装置内に設けられた最小二乗型位相補償量推定回路の構成を示すブロック図である。
【図11】 本発明の実施の形態5によるレーダ装置の処理を説明するためのグラフである。
【図12】 従来のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図13】 従来のレーダ装置内に設けられたレンジ補償回路の構成を示すブロック図である。
【図14】 従来のレーダ装置内に設けられた位相補償回路の構成を示すブロック図である。
【図15】 回転運動を行う目標を観測するジオメトリである。
【図16】 ISAR画像の一例である。
【図17】 並進運動を行う目標を観測するジオメトリである。
【図18】 レンジヒストリの最大振幅検出結果の一例を示したグラフである。
【図19】 レンジ補償処理を施した後のレンジプロフィールにおける最大振幅検出結果のヒストリの一例を示したグラフである。
【図20】 移動量推定回路の動作を説明する図である。
【図21】 短時間フーリエ変換回路の処理内容を説明する図である。
【図22】 ドップラーヒストリの最大振幅検出結果の一例を示したグラフである。
【符号の説明】
1 総和手段、2 位相−距離変換手段、3 周波数領域補償回路、4 FFT手段、5 IFFT手段、6 高次レンジ補償回路、11 切出手段、41 逐次位相補償量算出手段、42 参照データ位相補償手段、43 二次位相量蓄積手段、44 二次補償量総和手段、45 フーリエ変換点数制御手段、51 最小二乗型位相補償量推定回路、52 一次位相補償回路、53 位相アンラップ回路、54 最小二乗法回路、55 高次位相−距離変換手段、501 送信機、502 送受切換器、503 送受信アンテナ、504 受信機、505 レンジ圧縮手段、506 レンジ補償回路、508 アジマス圧縮手段、509モニタ・テレビ、513 移動量推定回路、517 短時間フーリエ変換回路、518 位相補償量算出回路、519 位相補償手段。

Claims (9)

  1. 移動する目標に対して電波を送信し、上記目標からの反射波を受信して、上記目標の画像を得るレーダ装置であって、
    受信した上記反射波から得られる受信信号をレンジ圧縮してレンジヒストリを生成するレンジ圧縮手段と、
    上記受信信号のドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換手段と、
    上記ドップラーヒストリから、上記受信信号のドップラー移動量を推定する移動量推定手段と、
    上記ドップラー移動量に基づいて当該移動を除去するための位相補償量を算出する位相補償量算出手段と、
    上記位相補償量算出手段から出力された上記位相補償量を上記目標の時間に対する二次のレンジ変化に変換する位相−距離変換手段と、
    上記位相−距離変換手段の出力である上記目標の二次のレンジ変化を除去するための補償を行う高次レンジ補償手段とを
    備えていることを特徴とするレーダ装置。
  2. 移動する目標に対して電波を送信する送信手段と、
    上記目標からの反射波を受信する受信手段と、
    上記受信された反射波から得られる受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、
    上記レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段と、
    上記参照データ列を短時間フーリエ変換して、ドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路と、
    上記ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路と、
    上記ドップラー移動量に基づいて、上記目標の距離の移動を除去するために、上記レンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段と、
    上記ドップラー移動量から、上記ドップラー移動量に対応する上記目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段と、
    上記レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、
    上記高次レンジ補償回路の出力であるレンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次のレンジ移動成分を推定して補償するレンジ補償回路と、
    上記レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを上記位相補償量算出手段の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、
    上記位相補償手段の出力である、レンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し、上記目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、
    を備えたことを特徴とするレーダ装置。
  3. 移動する目標に対して電波を送信する送信手段と、
    上記目標からの反射波を受信する受信手段と、
    上記受信された反射波から得られる受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、
    上記レンジ圧縮で得られるレンジヒストリ上の各反射点のレンジ移動成分のうちの時間に対する一次の変化成分を推定して補償するレンジ補償回路と、
    上記レンジ補償回路の出力であるレンジ補償後のレンジヒストリから、所定のレンジ範囲のデータ列を切り出す切出手段と、
    上記切出手段の出力である、切り出し後のレンジヒストリを各ヒットごとにレンジ方向に総和して参照データ列を生成する総和手段と、
    参照データ列を短時間フーリエ変換して、ドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路と、
    上記ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路と、
    上記移動量推定回路の出力であるドップラー移動量に基づいて、上記目標の距離の移動を除去するために上記レンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段と、
    上記ドップラー移動量から、上記ドップラー移動量に対応する上記目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段と、
    上記レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、
    上記高次レンジ補償回路の出力である高次レンジ補償後のレンジヒストリを、上記位相補償量算出手段の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、
    上記位相補償手段の出力である、すべてのレンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し、上記目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、
    を備えたことを特徴とするレーダ装置。
  4. 上記位相補償手段の後段に、上記レンジヒストリ上の各反射点のレンジ移動成分のうちの時間に対する一次の変化成分を推定して補償する第二のレンジ補償回路を、さらに備えたことを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。
  5. 移動する目標に対して電波を送信する送信手段と、
    上記目標からの反射波を受信する受信手段と、
    上記受信された反射波から得られる受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、
    上記レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段と、
    上記参照データ列のドップラー移動量と、上記ドップラー移動量に基づく位相補償量とを、短時間フーリエ変換の点数を逐次的に変化させることにより推定する逐次位相補償量算出手段と、
    上記受信信号のドップラー移動量から、上記ドップラー移動量に対応する上記目標の時間に対する二次の距離変化を算出する位相−距離変換手段と、
    上記レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する二次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、
    上記高次レンジ補償回路の出力である二次レンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次の距離変化成分を推定して補償するレンジ補償回路と、
    上記レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを上記逐次位相補償量算出手段の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、
    上記位相補償手段の出力である、レンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮して上記目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、
    を備えたことを特徴とするレーダ装置。
  6. 上記逐次位相量算出手段が、
    上記総和手段の出力である上記参照データ列のドップラーヒストリを生成する短時間フーリエ変換回路と、
    上記ドップラーヒストリ上の各反射点の軌跡からドップラー移動量を抽出する移動量推定回路と、
    上記移動量推定回路の出力であるドップラー移動量に基づいて、上記目標の距離の移動を除去するために上記レンジヒストリの位相補償を行う際の補償量を算出する位相補償量算出手段と、
    上記参照データ列を上記位相補償量算出手段で得られた位相補償量で位相補償して、再び上記短時間フーリエ変換回路に戻す参照データ位相補償手段と、
    上記参照データ位相補償手段の処理を終えるごとに、短時間フーリエ変換の点数を増やすように制御するフーリエ変換点数制御手段と、
    各処理のループごとに得られる位相補償量を蓄積する二次位相量蓄積手段と、上記二次位相量蓄積手段に蓄積された各位相補償量を各ヒットごとに総和して、出力する二次補償量総和手段と、
    から構成されていることを特徴とする請求項5記載のレーダ装置。
  7. 目標に対して電波を送信する送信手段と、
    上記目標からの反射波を受信する受信手段と、
    上記受信された反射波から得られた受信信号列をレンジ圧縮してヒットとレンジに関するレンジヒストリを得るレンジ圧縮手段と、
    上記レンジヒストリを各ヒットごとにレンジに関して総和して参照データ列を生成する総和手段と、
    上記参照データ列の位相に最小二乗法を適用して、二次以上の高次の高次の位相成分を推定する最小二乗型位相補償量推定回路と、
    上記最小二乗型位相補償量推定回路で得られた受信信号の時間に対する二次以上の高次の高次の位相成分を基に、上記目標のレンジ移動の時間に対する二次以上の高次の成分を推定する高次位相−距離変換手段と、
    上記レンジヒストリ上の各反射点の軌跡の時間に関する高次の距離変化を補償する高次レンジ補償回路と、
    上記高次レンジ補償回路の出力である高次レンジ補償後のレンジヒストリにおいて、各反射点の時間に対する一次の距離変化成分を推定して補償するレンジ補償回路と、
    上記レンジ補償回路の出力である各反射点の一次及び二次以上の高次のレンジ補償を完了したレンジヒストリを上記最小二乗型位相補償量推定回路の出力である位相補償量で補償する位相補償手段と、
    上記位相補償手段の出力である、レンジ補償及び位相補償の完了したレンジヒストリをアジマス圧縮し上記目標の画像を生成するアジマス圧縮手段と、
    を備えていることを特徴とするレーダ装置。
  8. 上記最小二乗型位相補償量推定回路が、
    上記総和手段の出力である上記参照データ列のドップラースペクトルの最大値をとる周波数の値から、一次の位相成分を推定してこれに基づき参照データ列の位相の一次成分を補償する一次位相補償回路と、
    上記位相の一次成分を除去した後の上記参照データ列の位相の2πごとの折り返しをアンラップする位相アンラップ回路と、
    位相アンラップ後の上記参照データ列の位相に最小二乗法を適用して、二次以上の高次の位相成分を推定する最小二乗法回路と、
    から構成されていることを特徴とする請求項7に記載のレーダ装置。
  9. 上記高次レンジ補償回路が、
    上記レンジ圧縮手段及び上記レンジ補償回路のいずれか一方の出力であるレンジヒストリのレンジに関する周波数分布のヒストリを算出するFFT手段と、
    上記位相−距離変換手段及び上記高次位相−距離変換手段のいずれか一方の出力である上記目標の時間に対する二次の距離変化を打ち消すために上記周波数分布のヒストリを位相補償する周波数領域補償回路と、
    上記周波数領域補償回路の出力である、位相補償後の周波数分布を逆フーリエ変換して、上記目標の時間に対する二次の距離変化を補償したレンジヒストリを出力するIFFT手段と、
    から構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のレーダ装置。
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