JP3946288B2 - 超音波カラードプラ診断装置および超音波カラードプライメージングの信号処理方法 - Google Patents

超音波カラードプラ診断装置および超音波カラードプライメージングの信号処理方法 Download PDF

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    • G01S15/8906Short-range imaging systems; Acoustic microscope systems using pulse-echo techniques
    • G01S15/8979Combined Doppler and pulse-echo imaging systems
    • G01S15/8981Discriminating between fixed and moving objects or between objects moving at different speeds, e.g. wall clutter filter

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波カラードプラ法を利用して生体内の血流の動態情報をカラーで得る超音波カラードプライメージングに係り、とくに、心筋などの臓器からの反射成分であるクラッタ成分を除去するために内蔵しているフィルタの性能向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波カラードプラ法は、超音波信号のドプラ効果を利用して、被検体内の血流動態の情報を体外から非観血的に得る手法で、これを実施する超音波診断装置は、今や目覚ましい進歩を遂げている。
【0003】
この超音波診断装置の一つのタイプとして、カラードプラ断層法(カラーフローマッピング(CFM)ともいう)を実施する装置が知られている。このカラードプラ断層法はレーダ分野で使用されているMTI(移動目標指示装置)の技術を利用したもので、断層面の血流速度の2次元分布像を得ることができる。
【0004】
この速度分布像を得るため、超音波パルスを送信したことに伴って生体から得られる超音波エコーは、対応する電気信号に変換された後、実数部、虚数部のエコー信号に分けられる。この実数部、虚数部のエコー信号は共に、直交位相検波器で基準信号に対して位相検波され、基準信号からの位相変化を表わすドプラ信号として抽出される。この実数部および虚数部のドプラ信号はそれぞれA/D変換器によりデジタル信号に変換された後、バッファメモリに一旦、各別に格納される。
【0005】
カラーフローマッピング(CFM)を実施するCFMモードの場合、同一走査線方向に複数N回(例えば16回)の超音波パルスの送受信が繰り返される。このため、1枚の画像を再構成するのに必要なデジタル量のドプラデータは、実数部および虚数部の信号それぞれについて、第1の次元、第2の次元および第3の次元から成る3次元データとなり、これがMTIフィルタのバッファメモリに格納される。第1の次元は各走査線数(番号)を表わし、第2の次元は各走査線に沿った深さ方向のピクセル数(番号)を表わし、および第3の次元は各ピクセルについて送受信の繰返しにより得られるドプラデータの数(番号)を表わす。
【0006】
このため、走査断面の同一ピクセル位置に着目すると、N回の超音波パルスの送受信により受信エコーが時系列的に得られ、その受信エコーに基づいて位相検波されたデジタルデータが第3の次元の方向に順次並べられたものである。この第3の次元の方向に見た時の信号の変化の速さがドプラ偏移周波数の大小、すなわち物体の移動速度の大小に対応する。
【0007】
このようにしてMTIフィルタのバッファメモリ内に形成された3次元デジタルデータ(ドプラ信号)は各ピクセル位置の第3の次元方向のデータ列毎に、そのクラッタ成分が除去される。このフィルタリング原理は以下のようである。
【0008】
受信エコーには、血球のようにある程度以上の速度で移動する移動体からのエコー信号と、実質臓器のような組織からのエコー信号(クラッタ成分という)とが混在している。信号強度についてはクラッタ成分の方が血流からのエコー信号よりも大きいが、移動速度については血流からのエコー信号の方がクラッタ成分よりも大きい。このため、MTIフィルタのフィルタ回路をハイパスフィルタとして構成し、その遮断周波数を、クラッタ成分を除去可能な値に設定しておく。これにより、検波されたドプラ信号からクラッタ成分が除去され、血流からのエコー信号が抽出される。
【0009】
このエコー信号は、その後、血流の運動状態(血流速度、パワー、分散など)の推定処理に付され、その推定情報に基づいて2次元画像が作成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようにMTIフィルタはクラッタ成分の除去に用いられているが、実質臓器は実際には様々な原因により微妙に動いている又は動くことがあるため、そのようなクラッタ成分と特に低速度の血流からのエコー信号とを明確に分別することができず、従来のMTIフィルタの場合、必ずしも満足のいくほど、クラッタ成分を的確且つ十分に除去できていないという問題がある。
【0011】
実質臓器は、(1)心臓の拍動(とくに、心臓内の血流を診る場合に問題となる)、(2)心臓の拍動により揺すられて発生する、その周辺臓器の動き、(3)被検者の呼吸に因る動き(体動)、および、(4)操作者の手振れによる動き、などにより動いている、または、動くことがある。
【0012】
このため、MTIフィルタの遮断周波数を図11(a)のように低く設定すると、クラッタ成分を十分に除去しきれず、検波信号にクラッタ成分が残ってしまう(同図の斜線部A参照)。この場合、血流の運動情報として診ている筈の画像にクラッタ成分が一体に入り込んでしまっているから、血流の運動情報の精度に欠け、誤診を招くなどの恐れがあった。
【0013】
反対に、図11(b)に示す如く、MTIフィルタの遮断周波数を高く設定すると、クラッタ成分は的確に除去できるが、同時に血流からのエコー信号もその一部または大半が除去されてしまう(同図斜線部B参照)。とくに、運動速度の低い血流は画面から消えてしまうような事態も起こり、到底、診断の目的を達成することはできない。
【0014】
このようにクラッタ成分の除去と血流からのエコー信号の抽出とに対する遮断特性の要求は相反するものがある。加えて、血流速度は診断部位、個人差に応じても変わる。このため、MTIフィルタの遮断周波数はどうしても妥協的な値に設定して置かざるを得ないことから、従来ではどうしてもクラッタ成分の低減効果を十分に得ることが難しいと同時に、低速度で運動する血流の検出能の低い状態を受容せざるを得ないという問題があった。
【0015】
本発明は、上述した従来のMTIフィルタが有する問題に鑑みてなされたもので、クラッタ成分と低速度の血流からのエコー成分とを確実かつ精細に分別できるようにすることで、動きのある実質臓器からのクラッタ成分を確実に除去し、かつ非常に低速度の血流も見逃すことなく検出し、高検出能の2次元分布の血流像を生成できる超音波診断装置を提供することを、その目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の超音波カラードプラ診断装置は、被検体内の断面に沿って超音波信号を各走査線方向に複数回ずつ送信するとともに当該被検体から反射されてくる超音波エコー信号を受信する送受信手段と、前記超音波エコー信号に基づき前記各走査線方向それぞれの同一位置から反射されてきたN時点のデータである複数の時系列のドプラデータから成るドプラ信号をその位置毎に得るドプラ信号抽出手段と、前記同一位置から生じた前記ドプラ信号それぞれの、前記被検体の臓器が前記超音波信号を反射したことに伴って生じるクラッタ成分の瞬時的な位相変化量を前記時系列のドプラデータの自己相関により推定する位相推定手段と、この位相推定手段で前記時系列のドプラデータの自己相関により求められた位相変化量に基づいて前記ドプラ信号それぞれの位相を補正して当該ドプラ信号それぞれから前記クラッタ成分を除去する位相補正手段と、この位相補正手段により位相補正された前記ドプラ信号それぞれに基づいて前記断面の血流の情報をカラー表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするものである
【0017】
好適には、さらに、前記位相補正手段により位相補正された前記ドプラ信号のそれぞれから前記クラッタ成分に相当する一定値を減算する減算手段を備える。
【0018】
例えば、前記位相推定手段は、前記ドプラ信号それぞれの一部のドプラデータのみを用いて前記瞬時的な位相変化量を推定する手段である。また例えば、前記位相推定手段は、前記一部のドプラデータとして時間的に隣接したドプラデータ間の複素共役乗算を含む演算を行って前記位相変化量を推定する手段である。さらに例えば、前記位相推定手段は、前記一部のドプラデータとして空間的に隣接した複数のサンプル点の平均された特徴に基づき前記位相変化量を推定する手段である。また、前記位相推定手段は、前記同一位置から得られる前記ドプラ信号全体のパワー値に応じて前記位相変化量を修正する修正手段を含むようにしてもよい。
【0019】
また、例えば、前記位相補正手段は、前記位相推定手段により推定された位相変化量に基づいて前記クラッタ成分の位相変化をキャンセルする複素数信号を生成する信号生成手段と、この信号生成手段により生成された複素数信号を前記ドプラ信号それぞれに乗算する乗算手段とを備える。
【0020】
さらに、前記減算手段は、前記ドプラ信号のそれぞれを形成する複数のドプラデータの内の任意番目のドプラデータを前記一定値として前記減算を行う手段であってもよい。
【0021】
さらに好適には、前記位相補正手段により位相補正された前記ドプラ信号のそれぞれを変更可能な遮断特性でフィルタリングするハイパスフィルタと、このハイパスフィルタの遮断特性をそのドプラ信号のそれぞれの特徴に応じて制御する遮断特性制御手段とを備えることである。また、前記位相補正手段は、前記位相補正手段により位相補正された前記ドプラ信号のそれぞれを変更可能な遮断特性でフィルタリングするハイパスフィルタと、このハイパスフィルタの遮断特性をそのドプラ信号のそれぞれの特徴に応じて制御する遮断特性制御手段とを備えることもできる。これらの場合に、前記遮断特性制御手段は、前記ドプラ信号それぞれの特徴として少なくともその信号のパワー値を演算する手段と、そのパワー値に応じて前記ハイパスフィルタの遮断周波数または次数の少なくとも一方を制御する制御手段とを備えることができる。
【0022】
た、前記位相補正手段により位相補正された前記ドプラ信号それぞれの補正位相量を打ち消す補正位相打消し手段を備えるようにしてもよい。この補正位相打消し手段は、前記信号生成手段により生成された複素数信号を位相反転させる位相反転手段と、この位相反転手段により位相反転された複素数信号を前記ハイパスフィルタから出力された前記ドプラ信号のそれぞれに乗算する乗算手段とを備えることができる。
【0023】
さらに、好適には、前記ドプラ信号抽出手段は、前記ドプラ信号のそれぞれについて実数部及び虚数部の別にそれぞれ直交位相検波を行う手段である。
【0024】
一方、本発明に係る超音波カラードプライメージングの信号処理方法は、超音波カラードプライメージング装置の送受信手段が超音波プローブを介して被検体内の断面に沿って超音波信号を各走査線方向に複数回ずつ送信するとともに当該被検体から反射されてくる超音波エコー信号を受信し、この超音波エコー信号から前記断面の血流の情報を得る超音波カラードプライメージング装置の信号処理方法において、前記装置の信号処理回路が、前記超音波エコー信号に基づき前記各走査線方向それぞれの同一位置から反射されてきたN時点のデータである複数の時系列のドプラデータから成るドプラ信号をその位置毎に得る工程と、前記装置の演算手段が、前記同一位置から生じた前記ドプラ信号それぞれの、前記被検体の臓器が前記超音波信号を反射したことに伴って生じるクラッタ成分の瞬時的な位相変化量を前記時系列のドプラデータの自己相関により推定し、次いで、この時系列のドプラデータの自己相関により求められた位相変化量に基づいて前記ドプラ信号それぞれの位相を補正して当該ドプラ信号それぞれから前記クラッタ成分を除去し、次いで、この位相補正された前記ドプラ信号のそれぞれから前記クラッタ成分に相当する一定値を減算する工程と、前記装置の表示手段が、前記演算回路から出力された前記ドプラ信号それぞれに基づいて前記断面における前記血流の前記情報をカラー表示する工程と、を有することを特徴とする方法である
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1〜図9に基づき第1の実施形態に係る超音波診断装置を説明する。
【0027】
図1に示す超音波診断装置は、超音波信号と電気信号の間で双方向に信号変換可能な超音波プローブ1と、この超音波プローブ1に接続された送信系回路2および受信・処理系回路3とを備える。
【0028】
超音波プローブ1は、その先端に配置されたアレイ型圧電振動子を備える。アレイ型振動子は複数の圧電素子を並列に配置し、その配置方向を走査方向としたもので、複数の圧電素子それぞれが送受信の各チャンネルを形成する。
【0029】
送信系回路2は、基準レートパルスを発生するパルス発生器11と、このパルス発生器11から出力された基準レートパルスをチャンネル毎に遅延して駆動パルスを発生させる送信回路12とを備える。送信回路12から出力されたチャンネル毎の駆動パルスは、超音波プローブ1の複数の振動子のそれぞれに供給される。駆動パルスの送信遅延時間は各チャンネル毎に制御され、レート周波数毎に繰返し供給される。駆動パルスの供給に応答して各振動子から超音波パルスが出射される。この超音波パルスは被検体内を伝搬ながら、制御された送信遅延時間により送信ビームを形成し、音響インピーダンスの異なる境界面でその一部が反射してエコー信号になる。戻ってきたエコー信号の一部または全部は振動子で受信され、対応する電気信号に変換される。
【0030】
一方、受信・処理系回路3は、超音波プローブ1に接続された受信回路21のほか、この受信回路21の出力側に置かれたBモード処理回路22、CFMモード処理回路23、および表示回路24を備える。受信回路21は、プローブ1の振動子に接続されたチャンネル毎のプリアンプと、このプリアンプのそれぞれに接続された遅延回路と、その遅延回路の遅延出力を加算する加算器とを備える。このため、プローブ1により受信されたエコー信号は、その対応する電気量のアナログ信号が受信回路21に取り込まれ、チャンネル毎に増幅された後、受信フォーカスのために遅延制御され、加算される。これにより、受信遅延時間の制御に応じて決まるフォーカス点を有する受信ビームが演算上で形成され、所望の指向性が得られる。
【0031】
受信回路21の出力端は、Bモード処理回路22およびCFMモード処理回路23に分岐して接続されている。Bモード処理回路22はBモードの白黒の断層像データを作成を担うもので、図示しない対数増幅器、包絡線検波器、およびA/D変換器を備えている。このため、受信回路21で整相加算されたエコー信号は対数増幅器で対数的に増幅され、その増幅信号の包絡線が包絡線検波器で検波され、さらにA/D変換器でデジタル信号に変換された表示系回路24にBモード画像信号として送られる。
【0032】
表示回路24は、Bモード用、CFM用のフレームメモリおよび書込み/読出し制御回路を備えたデジタルスキャンコンバータ(DSC)31、ピクセルのカラー付与処理を行うカラー処理器32、D/A変換器33、および表示用のTVモニタ34を備える。Bモード処理回路22から出力されたデジタル量の包絡線検波信号は、DSC31のBモード用フレームメモリに書き込まれる。
【0033】
さらにCFM処理回路23は、血流動態を観測するCFMモードの画像データの作成を担う回路群であり、その入力側は、受信回路21から出力されたエコー信号を実数部Q,虚数部Iに対応して2系統で入力するように分岐されている。実数部Qおよび虚数部Iの信号系毎に、ミキサ41A(41B)、LPF42A(42B)、およびA/D変換器43A(43B)をこの順に備える。CFM処理回路23はさらに、A/D変換器43A、43Bからの実数部および虚数部の処理信号を一旦格納するバッファメモリ44A,44B、この格納信号に基づいてフィルタリング処理を行うMTIフィルタ部45、およびこのフィルタ部出力に基づいて血流動態に関する各種の演算を行う演算回路46を備える。CFM処理回路23はさらに、参照用の基準信号を発振する基準発振器47と、この基準信号に正確に90度の位相差を与えてミキサ41A,41Bにそれぞれ供給する位相器48とを備える。基準発信器47と送信系回路2のパルス発生器21とは互いに同期して駆動する。基準信号は超音波信号と略同一の周波数を有する。
【0034】
このため、受信回路21から出力されたエコー信号は、実数部、虚数部の信号系それぞれにおいて、ミキサ41A(41B)により基準信号との間で乗算された後、LPF42A(42B)によりその高周波成分が除去されて、ベース帯域の信号となる。すなわち、エコー信号はその実数部、虚数部毎に、ミキサ41A(41B)およびLPF42A(42B)による位相検波(直交位相検波)がなされ、基準信号からの位相差を反映したベース帯域のドプラ信号として抽出される。このドプラ信号はその実数部、虚数部毎に、A/D変換器43A(43B)によりデジタルデータに変換され、バッファメモリ44A(44B)に一旦格納される。
【0035】
MTIフィルタ部45は、バッファメモリ44A,44Bに個別に格納されているドプラデータ群を用いて心臓壁などで反射してきた不要なエコー信号を除去するために介挿してある。このMTIフィルタ部45の処理は、本発明に係るフィルタリングの手法を達成するものである。その具体的な構成は図2に示すようであり、その処理については後述する。MTIフィルタ部45により、実質臓器からのドプラ成分(クラッタ成分と呼ぶ)が全体のドプラ信号から確実かつ精度良く除去されて血流からのドプラ成分のみが抽出される。
【0036】
MTIフィルタ部45でフィルタリングされた実数部、虚数部のドプラデータはそれぞれ演算回路46に送られる。演算回路46は、実数部、虚数部のドプラデータを用いて血流の動態情報を推定する、例えば自己相関器およびこの相関結果を用いる平均速度演算器、分散演算器、パワー演算器を有しており、血流の平均速度、速度分布の分散、血流からの反射信号のパワーなどの情報が推定演算される。この演算結果はCFMモード画像データとしてDSC31のCFM用フレームメモリに一旦格納される。
【0037】
DSC31では、Bモード用フレームメモリおよびCFMモード用フレームメモリに格納された画像データが各別に標準TV方式で読み出される。さらに、この読出しと並行して、両フレームメモリの共通画素同士の一方が択一的に選択され、Bモード画像(背景像)にCFMモード画像が重畳された1フレームの画像データが形成される。この画像データはカラー処理器32でカラー付与処理が施された後、D/A変換器により所定タイミング毎にアナログ信号に変換され、TVモニタ34に表示される。この結果、白黒のBモード像を背景に血流速度の2次元カラー像が表示される。
【0038】
続いて、MTIフィルタ部45の構成および動作の説明を、本発明のフィルタリングの原理説明と併せて行う。
【0039】
CFMモードの画像を作るには、同一の走査線方向への超音波パルスの送受信がN回(例えば16回)繰り返される。この送受信1回毎に得られるエコー信号に基づいて、バッファメモリ44A,44Bに直交位相検波されたドプラデータがそれぞれ格納される。このため、バッファメモリ44A,44Bのそれぞれに格納されるベース帯域のデジタルのドプラデータは3次元になる。図3に示すように、第1の次元は各走査線数(番号)1〜Lを表わし、第2の次元は各走査線に沿った深さ方向のピクセル数(番号)1〜Mを表わし、および第3の次元は各ピクセルについて送受信の繰返しにより得られるドプラデータの数(番号)1〜Nを表わす。ドプラデータの数を以下、「データ数」という。CFMモードでは、各ピクセルで時系列に得られたN個のドプラデータ(図3斜線部分参照)を独立に処理して各ピクセル毎の血流の動態情報を得る。
【0040】
このため、MTIフィルタ部45には、図4に示すように、バッファメモリ44A,44Bから実数部Q、虚数部Iのデジタル量のドプラ信号Zi(i=0〜N−1)が走査面の各位置毎に供給される。図4における縦軸方向は振幅値に相当する。
【0041】
このMTIフィルタ部45の動作上の特徴は以下の4つに集約される。
(1)隣接するドプラデータ間でのクラッタ成分の瞬時的な位相変化を推定し、その推定量に応じてドプラ信号全体の位相変化を補正する(すなわち、クラッタ成分の瞬時的な位相変化を打ち消す)。なお、本発明での「瞬時的」の用語はN個のドプラデータの観測時間よりも短いことを意味している。
(2)上記(1)の補正処理を行った後で、クラッタ成分に相当する一定振幅値を減算してクラッタ成分を除去する。
(3)上記(1)または(2)の処理後に、ハイパスフィルタリングを行ってクラッタ成分を除去する。そのフィルタリングの特性を上記(2)の処理による出力信号の特徴に応じて変化させる。
(4)必要に応じて上記(1)の処理に伴う位相変化の影響を打ち消して、従来から使用されてきている速度概念に合わせた血流速度情報を得る。
【0042】
以下の説明では、説明を分かり易くするため、走査断面上のある1点(ピクセル)からのドプラ信号を形成する上記N個のデジタル量のドプラデータ列について説明する(図3の斜線部分参照)。残りの点それぞれのN個のドプラデータ列についても同一の処理が実施されるものとする。
【0043】
上記の特徴(1)を実現するため、MTIフィルタ部45はその入力側に図2に示す如く、実数部、虚数部それぞれのドプラ信号Ziを受けるクラッタ位相変化量推定器45aおよび複素乗算器45cと、クラッタ位相変化量推定器45の推定信号を受ける乗算信号発生器45bとを備える。乗算信号発生器45bで発生した乗算信号は複素乗算器45cに供給される構成を採る。また特徴(2)を実現するため、複素乗算器45cで乗算された実数部、虚数部のドプラ信号をそれぞれ入力して一定値減算を行う一定値減算器45dを備える。
【0044】
まず、上記特徴(1)および(2)について、その処理の原理を説明する。各ピクセル位置のドプラデータ列(ドプラ信号)は、図4(a)に示すようにN個の離散的なドプラデータから成る。このデータ列は、実質臓器によりドプラ偏移を受けて戻ってきたドプラ信号(クラッタ成分)と血流によりドプラ偏移を受けて戻ってきたドプラ信号とに分けて(1)式のように記述することができる。
【0045】
【数1】
Figure 0003946288
【0046】
この(1)式において、第1項はクラッタ成分を、第2項は血流からのドプラ信号をそれぞれ表わしている。Aはクラッタ成分の振幅を、aは血流からのドプラ信号の振幅をそれぞれ表わしている。一般に、それらの振幅はA>>aである。図4(a)にはドプラ信号の波形を例示している。同図では、クラッタ成分の運動速度が観測時間の前半ほど遅く、後半になるほど早くなる場合を想定している。添字iはドプラ信号のデータ番号(0〜N−1)を意味し、φ、ψは最初のドプラデータの位相(初期位相)、φ、ψはi番目のドプラデータの0番目のドプラデータに対する位相差を表わしている。
【0047】
クラッタ成分および血流からのドプラ信号の位相項は、その周波数を一定と仮定するならば、それぞれ次式のように記述することができる。
【0048】
【数2】
Figure 0003946288
ここで、fcl、fb はそれぞれクラッタ成分、血流からのドプラ信号の観測時間内の平均ドプラ偏移周波数、Trは同一走査線方向への超音波送受信の繰返し周期である。
【0049】
ところが、クラッタ成分からのドプラ信号の周波数(ドプラ周波数)は一般に観測時間中に一定であるとは限らないため、「上記(2a)式による位相変化=一定」を基礎とする位相推定により得られた位相値を用いたのでは、十分にクラッタの位相変化をキャンセルすることができない。そこで、本発明では瞬時的な位相変化を考慮した位相推定演算を行うことを必須の要件とする。クラッタ成分の周波数が観測時間内で一定であるという仮定を基礎にすると、前述した特徴(1)で述べた、クラッタ成分の瞬時的な位相変化を打ち消すことができなくなる。
【0050】
そこで本発明では、位相検波されたドプラ信号に含まれているクラッタ成分を除去するため、ドプラ信号の各データZi(i=0,1,2,…,N−1)に対して、位相補正操作と一定値減算とを組み合わせた次式に示す処理を施す。
【0051】
【数3】
Figure 0003946288
この処理を実施することで、理想的にはクラッタ成分が除去され、血流からのドプラ信号のみを得ることができる。これを理想的またはそれに近い状態で実施するには、クラッタ成分の位相項φをいかに正確に推定するかが非常に重要になってくる。このクラッタ成分の位相項φの推定法を以下に説明する。
【0052】
まず容易に想到できる推定法は自己相関法である(ただし、本発明はこの推定法を採用していない)。自己相関法は一般に次式により定義されるもので、これを使えば観測時間内の平均周波数を計算することができる。すなわち観測時間(データ数N)での平均周波数は、
【数4】
Figure 0003946288
ここで、SはMTIフィルタ通過後のドプラ信号であり、は複素数の位相共役を意味する。
【0053】
しかしながら、上述したようにクラッタ成分の速度は観測時間(データ数N)内で必ずしも一定ではないことから、(4)式のようにN個のドプラデータに基づく観測時間内のクラッタの1個の平均周波数を用いたとしても、(3)式におけるクラッタ成分の除去能力は依然として低い。したがって、この手法は本発明の目指すところではない。
【0054】
本発明ではクラッタ成分の瞬時的な位相変化量を捕らえて、その位相変化量でドプラ信号を補正する。これにより、クラッタ成分の速度変化をその都度、補正(修正)し、クラッタ成分の位相変化をキャンセルしたドプラ信号を得る。これを実行するため、本発明では、より短い時間毎に平均処理して位相変化量を推定する。ドプラ信号の隣接データ間の位相変化量の推定演算自体は、上述の自己相関法と同様にデータ間の複素共役の乗算により行うが、これに加えて、位相変化量の推定の安定性を上げるために改善した平均手法を以下のようにいくつか提案する。
【0055】
第1の平均処理法は、上述の自己相関法による平均周波数の推定法と同様の複素演算を含むが、複素乗算結果の平均幅が観測時間よりも短く、瞬時的な位相変化量を推定できる手法である。つまり、上述した自己相関法の場合、観測時間 (データN)内において1つの位相補正値のみを出力するが、この第1の平均処理法によれば、「N−1」個の位相補正値を出力できる。第1の平均処理法は定量的には次のように表わされる。i番目とi+1番目のデータとの間のクラッタ成分の位相変化量は、その近傍の数データを用いて、
【数5】
Figure 0003946288
の式を用いて求められる。この式中、平均する幅(平均幅)「2×I+1」はデータ数Nに比べて十分小さく、クラッタ成分の位相変化量の推移に十分追随していけるように選択される。またデータ列の端部においては平均幅を狭めていき、両端では平均幅=1となるように設定することで、端部においても位相変化量を出力できるようにしている。なお、平均幅は必ずしも式(5)のように奇数である必要はなく、偶数でもよい。
【0056】
第2の平均処理法は、上記(5)式における処理の順序を変えるものである。具体的には、
【数6】
Figure 0003946288
のように平均処理する。この場合も平均幅「2I+1」をデータ数Nに比べて十分小さく設定する。さらに、ドプラデータ列の端部における平均処理も、上述した第1の平均処理法と同じに行う。
【0057】
さらに第3の平均処理法は、まず、
【数7】
Figure 0003946288
の式に基づいて隣接データ間での位相変化量を順次求める。得られた位相補正値の列に対して最小二乗法によりスムーズな曲線をフィッティングさせ、最終的な複数個の位相補正量を求める。この様子を図5に模式的に示す。
【0058】
これらの平均処理に基づくクラッタ成分の位相変化量の推定にはMTIフィルタ部に入力する信号、すなわち血流からのドプラ信号にクラッタ成分が混入している位相検波信号が使用されている。つまり、クラッタ成分のみが使用されている訳ではない。しかし、クラッタ成分の振幅は血流からのドプラ信号のそれに比べて十分大きいことから、殆どの場合、そのような入力信号から推定した位相変化量は近似的にクラッタ成分の位相変化量であると見做すことができる。
【0059】
しかしながら、血管が相当に太くなるほど、そのような仮定を適用できないことがある。一般的に、超音波信号の空間的な特性は超音波ビームの空間的な広がりに応じてにじみが在るため、血管内であっても、その外側からクラッタ成分が入り込んでくる。このため、血管が細い場合、クラッタ成分の血管内への入り込みが大きいから、上述した「入力信号から推定した位相変化量は近似的にクラッタ成分の位相変化量であると見做す」との仮定が成り立つ。しかし、血管が太くなるほど、図6(a),(b)に示すように、血管の中心部にまで入り込むクラッタ成分の量が少なくなってしまう場合も想定される。この場合、中心部ではクラッタ成分と血流からのドプラ信号の成分とが同程度または逆転してしまうことも考えられる。このような場合、本発明では、以下の2通りのいずれかの手法で対処する。
【0060】
第1の対処法は、クラッタ成分の瞬時的な位相変化量を求める式(5)に、さらに空間的に平均するファクタを加えて、以下の式のように演算する。
【0061】
【数8】
Figure 0003946288
ここで、k,j,iはそれぞれ走査線番号、各走査線上の深さ方向へのピクセル番号、各ピクセル位置での超音波送受信の繰返しに伴うデータ番号を示す添字である(図3参照)。それぞれの方向への平均幅は、「2K+1」,「2J+1」,「2I+1」である。
【0062】
本来、クラッタ成分は血流からのドプラ信号に比べて非常に大きいため、血管内の平均処理する空間範囲に血管外からクラッタ成分が入れば、推定される位相変化量はクラッタ成分により支配的に決定されることになる。空間平均を求める際、重み付け係数を用いて重み付け処理を行うこともできる。具体的な重み付け係数としては例えば、平均範囲の中心付近ほど大きく、端部では小さく設定される。このように平均処理された結果は、平均範囲の中心位置における位相補正量として用いられる。
【0063】
第2の対処法は、式(5),(6),(7)などを用いて求められた位相補正量を、ドプラ信号のパワー値に応じて修正する手法である。この修正処理は以下の式により実行される。
【0064】
【数9】
θi・k(p) …… (9)
ここで、pは入力するドプラ信号のパワー値、k(p)は係数を示す。
【0065】
係数k(p)は修正処理の本体であり、図7にその一例を示す。具体的には、血管外のようにクラッタ成分が非常に大きい部分(k(p)=1の部分)では位相補正量を修正しないが、血管の内部に入り、MTIフィルタへの入力信号が小さくなるにつれて、位相補正量に掛ける係数k(p)を徐々に小さくする。これにより、図6の血管中心部のようにクラッタ成分が小さいため、位相補正量が血流速度に大きく影響されるような場合、係数が小さくなり、位相補正があまり行われないようになる。この係数制御はクラッタ成分の除去という点においても合理性を有する。つまり、太い血管の内部では元々クラッタ成分が少ないから、本発明の手法を用いてクラッタ成分に対する低減性能を高めるという必要性は元来少ないのである。
【0066】
なお、上述した第1、第2の対処法は単独で実施してもよいし、また同時に実施してもよい。同時に実施した方がその効果は大きい。
【0067】
本発明では、上述のような各種の平均処理法(または対処法との組み合わせ手法)により得られた各ドプラデータ間での瞬時的な位相補正量θに基づき、次式のように演算を行い、クラッタ成分を除去する。
【0068】
【数10】
Figure 0003946288
この(10)式において、第1項目はクラッタ成分の推定位相値を用いた位相補正の複素乗算を表わし、第2項目はクラッタ成分の除去のための一定値(ドプラデータ列の最初の値)減算を表わしている。
【0069】
以上の原理を踏まえて、クラッタ位相変化量推定器45aは前述した式(5),式(6),(7)、式(4)を改善した式(8),または、式(5),(6)若しくは(7)を改善した式(9)に基づく演算を行って、クラッタ成分の瞬時的な位相変化量θを推定する。乗算信号発生器45bはクラッタ位相変化量推定器45aにより推定された現在のサンプリングの瞬時的な位相変化量およびそれ以前のサンプリングで推定していた位相変化量を用いて複素数の乗算信号
【数11】
Figure 0003946288
を発生させる。この乗算信号は複素乗算器45cに与えられる。複素乗算器45cには実数部、虚数部毎のデジタル量のドプラ信号Ziが供給されており、これにより、この乗算器45cにて、ドプラ信号Ziとの
【数12】
Figure 0003946288
複素乗算が実施される。
【0070】
いま、MTIフィルタ部45に入力するドプラ信号の虚数部I信号が例えば図4(a)のようになっているとする。この波形は、大きい振幅かつ低速度で変化するクラッタ成分のドプラ偏移成分に、図では表され難いが小振幅で変化する血流のドプラ偏移成分が重畳した状態となっている。この波形について、クラッタ成分の瞬時的な位相変化量による位相補正を行った信号波形は同図(b)のように、クラッタ成分に起因した大振幅かつ低周波の波形うねり分が無くなり、その殆どは血流が受けているドプラ偏移に対応した変動のみを有する、略一定値振幅の波形となる。
【0071】
次いで、一定値減算器45dにより、前述した式(10)の第2項目の減算が実施される。つまり、クラッタ成分の瞬時的な位相変化をキャンセルしたドプラ信号からその最初の位相φ時の振幅値「A・exp{j・φ}」をクラッタ成分の振幅値として見做して一律に減算する。このクラッタ成分除去を行った信号波形は図4(b)から同図(c)のようになる。つまり、波形の振幅値がほぼ零付近まで下がり、クラッタ成分が良好に除去される。
【0072】
なお、一定減算器45dにより除去する一定値は、ドプラ信号のN個のデータの中のある値(例えば、式(10)に示したような最初のドプラデータの値、または、それ以降のある瞬時の値)に設定してもよいし、また、そのN個のドプラデータの平均値に設定してもよい。
【0073】
ところで、式(10)第2項の一定値減算はクラッタ成分を除去するために行われるが、その後段でハイパスフィルタ処理を行う場合、一定値減算は必ずしも必要ではない。しかしながら、以下に説明するように、本発明の別の特徴である、ハイパスフィルタの遮断特性をドプラ信号の性質に応じて制御させる場合、その制御情報として式(10)の演算結果を利用するので、ハイパスフィルタを設置するか否かに関わらず、一定値減算までの処理が必要となる。
【0074】
続いて、MTIフィルタ部45の別の特徴(3)を説明する。この特徴(3)を実現するため、MTIフィルタ部45は図2に示すように、一定値減算器45dの出力信号を受けるハイパスフィルタ45gおよびクラッタ情報検出器45eを備えるとともに、クラッタ情報検出器45eの出力信号を受けてハイパスフィルタ45eの遮断特性を制御するフィルタ特性設定器45fを備える。ハイパスフィルタ45eの構成は、FIR型でも、IIR型であってもよく、フィルタ特性設定器45fが設定した次数、遮断周波数にしたがって通過信号をハイパスフィルタリングできるようになっている。図8には、IIR型のハイパスフィルタの構成例を示す(なお、同図にはドプラ信号の実数部または虚数部の一方に対するフィルタ構成のみを示す)。
【0075】
この特徴(3)を持たせる理由は以下のようである。図4(c)に示した曲線は、一定値減算によりクラッタ成分が完全に除去され、クラッタ成分よりも周波数が高い血流からのドプラ信号のみが残っている場合を想定している。しかし、実際には、クラッタ成分の瞬時的な位相変化量をその近傍の数データのみを用いて推定するにしても推定精度に限界があるため、式(10)に基づく処理だけではクラッタ成分がある程度残ることがある。この取り切れなかったクラッタ成分はハイパスフィルタによりさらに除去することとし、その遮断特性をアダプティブに制御するものである。
【0076】
具体的には、ハイパスフィルタの遮断特性をクラッタ成分除去(一定値減算)後のドプラ信号の性質に応じて制御するものである。ドプラ信号の性質を把握するための情報として上記(10)式の演算結果を用いて、パワー値および分散値が以下のように演算される。
【0077】
【数13】
Figure 0003946288
【0078】
【数14】
Figure 0003946288
このパワー値および/または分散値に基づいてハイパスフィルタの特性を設定する。仮にクラッタ成分の変化が小さければ、式(10)に基づく処理によりクラッタ成分の殆どが除去されるので、信号のパワー値は小さい。反対に、クラッタ成分の変化が大きければ、かかるパワー値は大きくなる。よって、パワー値が小さければ、後段のハイパスフィルタの遮断周波数は低く設定したとしてもクラッタ成分はフィルタにより十分低減されることになる。反対に、パワー値が大きければ、フィルタの遮断周波数を高く設定すれば、クラッタ成分は確実に除去される。
【0079】
このパワー値によるフィルタの遮断周波数の制御例を図9(a)に示す。ある一定値以下のパワー値の場合、フィルタの遮断周波数は予め定めた最低値fminに設定される。パワー値が高くなるにしたがってフィルタの遮断周波数fcが上げられる。遮断周波数だけでなく、フィルタの次数を上げ、減衰特性がより急峻になるように制御してもよい(図9(b)参照)。
【0080】
遮断特性の制御情報として、フィルタ入力信号のパワー値単独のほか、そのパワー値に分散値を組み合わせてもよい。この場合には例えば、同じパワー値の場合、分散値が大きいほど、残留クラッタ成分が高周波数帯にも広がっていると判断し、フィルタの遮断周波数を高く制御する。
【0081】
このようにクラッタ成分が一応除去された実数部、虚数部のドプラ信号は、さらにハイパスフィルタ45gによりハイパス処理される。このフィルタリングによって、残存していたクラッタ成分がさらに確実に除去される。とくに、このフィルタリング時には、ドプラ信号の性質が判定され、ハイパスフィルタ45gの特性がアダプティブに制御される。例えば、クラッタ成分除去後のドプラ信号のパワー値が大きいほど、クラッタ成分が未だ残っていると判断され、ハイパスフィルタ45gの遮断周波数が高められ、遮断帯域が広げられて、クラッタ成分の除去能力が強調される。パワー値が小さいと、クラッタ成分が既に十分除去されていると判断されて、遮断周波数が下げられ、血流からのドプラ信号成分の通過が強調される。
【0082】
さらに、MTIフィルタ部45の特徴(4)を説明する。MTIフィルタ部45は図2に示すように、ハイパスフィルタ45gの出力側に複素乗算器45iを備え、この複素乗算器45iに位相反転器45hから位相反転信号が供給されるようになっている。位相反転器45hは乗算信号発生器45bの出力信号を受けて所定の位相反転処理を後述するように行う構成である。
【0083】
この特徴(4)の趣旨は以下のようである。上記特徴(1)〜(3)に係る処理によってクラッタ成分は確実に除去されるが、除去されて残った血流からのドプラ信号は式(3)に示すように、クラッタ成分の位相変化量φだけ、位相シフトを受けている。この位相シフト後の位相値をそのまま受け入れれば、クラッタ成分に対する相対的な血流速度を得ることができる。つまり、この実質臓器に対する血流速度、すなわち真の血流速度が得られる。ところが、従来得ている血流速度はこれとは異なり、真の血流速度ではない、超音波プローブに対する速度である。しかし、慣習的に超音波プローブに対する速度が血流速度として長く使用されているので、本実施形態でもその慣習にしたがって血流速度を得ることも可能とする。その場合、式(10)で用いられている位相補正量を符号反転させて、次式のように作用させる。ハイパスフィルタ45gを通過した後のドプラ信号をSiとすると、
【数15】
Figure 0003946288
の処理を実行して血流の超音波プローブに対する速度を得る。
【0084】
具体的には、位相反転器45hが
【数16】
+j(θ+θ+…+θi−1
の位相反転演算を行って、位相補正量を逆位相にした複素信号を生成し、この信号を複素乗算器45iに与える。ハイパスフィルタ45gによりクラッタ成分が除去されたドプラ信号には、複素乗算器45iにより、その逆位相の信号が掛けられる。これにより、クラッタ成分に対する位相補正の影響が打ち消されて、超音波プローブに対する血流速度を求め得る信号に変換される。なお、組織に対する血流速度を推定、表示する場合には、かかる処理は必要がない。
【0085】
MTIフィルタ部45でこのように処理されたドプラ信号は演算回路46に送られ、血流速度、ドプラ信号のパワー、速度分布の分散などの血流情報が演算される。これらの情報は前述したように、TVモニタ34で適宜な態様で表示される。
【0086】
本実施形態のMTIフィルタ部45は以上のように構成され動作するので、クラッタ成分が心拍や呼吸などの影響により動いていても、クラッタ成分を確実かつ精度良く除去でき、殆ど血流からのドプラ信号のみを効果的に抽出できる。とくに、観測時間よりも短い、瞬時毎に位相変化量を求めてクラッタ成分の位相変化をその都度補正(キャンセル)しているので、観測時間全体で1つの位相補正量を使って位相補正する場合に比べて著しく位相補正精度が向上する。これにより、殆ど一定振幅値のクラッタ成分(これには未だ血流からのドプラ信号が重畳している)を抽出することができ、その後に実行するクラッタ成分除去のための一定値減算の処理が従来よりも極めて有効となる。このように前段階として、クラッタ成分のみをその特質を利用して分別除去するので、血流速度が遅い場合でもクラッタ成分に隠れている血流からのドプラ信号を確実に抽出でき、低速度の血流の検出能が飛躍的に向上する。したがって、診断能の高いかつ信頼性が向上した血流情報を提供できる。
【0087】
また、そのような除去処理を行っても未だ残存するクラッタ成分がある場合は、ハイパスフィルタにより確実に除去される。しかも、ハイパスフィルタの遮断特性はそのフィルタに入力するドプラ信号のパワー値などの性質に応じてアダプティブに制御される。これにより、依然としてクラッタ成分の除去能力を高く保持するか、または血流からのドプラ信号の通過能力を一層高めるか、その遮断特性が好適に制御される。したがって、これによって、クラッタ成分の性質が変動しても、常に高い安定したクラッタ成分の除去能力を保有でき、血流の表示能を一層高めることができる。
【0088】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図10に基づき説明する。
【0089】
図10には、第2の実施形態に係る超音波カラードプラ診断装置が採用するMTIフィルタ部45のブロック構成を示す。なお、そのほかの構成および動作は第1の実施形態のものと同等である。
【0090】
このMTIフィルタ部45は同図に示すように、ハイパスフィルタ45gを、第1の実施形態のときのように一定値減算器45dの出力端ではなく、1段目の複素乗算器45cの出力端に直接接続されている。この結果、クラッタ成分の位相補正がなされたドプラ信号は、クラッタ成分を除去することなく、直接ハイパスフィルタ45gに送られ、そこでクラッタ成分が除去される。このハイパスフィルタ45gの遮断特性は第1の実施形態のときと同じように、一定値減算貴意45dにより一定値減算がなされた(クラッタ成分が除去された)信号を用いて制御されている。
【0091】
このように処理できる理由は以下のようである。前述した式(10)で表されるクラッタ低減処理の内、第2項目の一定値減算処理は、位相補正された図4(b)の信号がほぼフラットになる場合、いわゆるDC分をカットの処理と等価になる。この場合、後段にハイパスフィルタ45g設置する場合、このフィルタによってDCカットを行えるから、必ずしも一定値減算の処理は必要がない。
【0092】
そこで図10に示す如く、ドプラ信号に対する一定値減算処理を省略し、クラッタ成分の性質を判定する回路にのみ一定値減算器45eを挿入すればよい。これにより、MTIフィルタ部の設計の自由度を上げることもできる。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る超音波カラードプラ診断装置およびその信号処理方法は、クラッタ成分が心拍や呼吸などに起因して微妙に動いているため、クラッタ成分の瞬時的な位相変化の除去を基礎に置くもので、ドプラ信号のドプラデータ間の瞬時的な位相量を推定し、その推定値でドプラ信号を逐次補正することで、クラッタ成分の位相変化を瞬時的に捕らえてそれをキャンセルでき、その後に続く一定値減算によってクラッタ成分を確実かつ精度良く除去できる。とくに、血流速度が遅い場合でもクラッタ成分を高精度に分離・除去して、血流からのドプラ信号を抽出できる。したがって、表示する血流情報にクラッタ成分の影響が現れるという好ましくない事態を確実に防止し、血流の検出能、表示能を向上させ、高精度の血流情報を装置使用者に提供することができる。
【0094】
加えて、ハイパスフィルタの遮断特性をその入力ドプラ信号のパワー値などの性質に応じてアダプティブに制御しているので、診断部位や使用条件が変わっても常に安定して高精度な血流検出能を維持でき、装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波カラードプラ診断装置のブロック図。
【図2】第1の実施形態に係るMTIフィルタ部のブロック図。
【図3】CFMモード時に得られる同一位置への複数回送受信に伴うエコーデータの組を模式的に示す説明図。
【図4】同一のピクセル位置で得られるドプラデータ列(ドプラ信号)の離散的な波形図。
【図5】位相補正量の1つの推定方法を説明する図。
【図6】血管が太い場合のクラッタ成分の血管空間へのにじみ説明する図。
【図7】血管が太い場合のクラッタ成分の影響を回避する1つの対処に関わる、信号パワー値と係数との関係図。
【図8】ハイパスフィルタの構成例を示す図。
【図9】ハイパスフィルタの遮断特性をアダプティブに制御するための遮断周波数の制御および帯域特性の制御の様子を個別に示すグラフ。
【図10】第2の実施形態に係るMTIフィルタ部のブロック図。
【図11】従来の1つタイプのMTIフィルタの遮断特性の不都合を説明する図。
【符号の説明】
1 超音波プローブ
2 送信系回路
3 受信・処理系回路
21 受信回路
24 表示回路
41A,41B ミキサ
42A,42B LPF
43A,43B A/D変換器
44A,44B バッファメモリ
45 MTIフィルタ部
46 演算回路
47 基準発信器
48 位相器
45a クラッタ位相変化量推定器
45b 乗算信号発生器
45c,45i 複素乗算器
45d 一定値減算器
45e クラッタ情報検出器
45f フィルタ特性設定器
45g HPF
45h 位相反転器

Claims (15)

  1. 被検体内の断面に沿って超音波信号を各走査線方向に複数回ずつ送信するとともに当該被検体から反射されてくる超音波エコー信号を受信する送受信手段と、
    前記超音波エコー信号に基づき前記各走査線方向それぞれの同一位置から反射されてきたN時点のデータである複数の時系列のドプラデータから成るドプラ信号をその位置毎に得るドプラ信号抽出手段と、
    前記同一位置から生じた前記ドプラ信号それぞれの、前記被検体の臓器が前記超音波信号を反射したことに伴って生じるクラッタ成分の瞬時的な位相変化量を前記時系列のドプラデータの自己相関により推定する位相推定手段と、
    この位相推定手段で前記時系列のドプラデータの自己相関により求められた位相変化量に基づいて前記ドプラ信号それぞれの位相を補正して当該ドプラ信号それぞれから前記クラッタ成分を除去する位相補正手段と、
    この位相補正手段により位相補正された前記ドプラ信号それぞれに基づいて前記断面の血流の情報をカラー表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする超音波カラードプラ診断装置。
  2. 前記位相補正手段により位相補正された前記ドプラ信号のそれぞれから前記クラッタ成分に相当する一定値を減算する減算手段を備えた請求項1記載の超音波カラードプラ診断装置。
  3. 前記位相推定手段は、前記ドプラ信号それぞれの一部のドプラデータのみを用いて前記瞬時的な位相変化量を推定する手段である請求項1又は2記載の超音波カラードプラ診断装置。
  4. 前記位相推定手段は、前記一部のドプラデータとして時間的に隣接したドプラデータ間の複素共役乗算を含む演算を行って前記位相変化量を推定する手段である請求項3記載の超音波カラードプラ診断装置。
  5. 前記位相推定手段は、前記一部のドプラデータとして空間的に隣接した複数のサンプル点の平均された特徴に基づき前記位相変化量を推定する手段である請求項3記載の超音波カラードプラ診断装置。
  6. 前記位相推定手段は、前記同一位置から得られる前記ドプラ信号全体のパワー値に応じて前記位相変化量を修正する修正手段を含む請求項1又は2記載の超音波カラードプラ診断装置。
  7. 前記位相補正手段は、前記位相推定手段により推定された位相変化量に基づいて前記クラッタ成分の位相変化をキャンセルする複素数信号を生成する信号生成手段と、この信号生成手段により生成された複素数信号を前記前記ドプラ信号それぞれに乗算する乗算手段とを備える請求項1又は2記載の超音波カラードプラ診断装置。
  8. 前記減算手段は、前記ドプラ信号のそれぞれを形成する複数のドプラデータの内の任意番目のドプラデータ又は平均値を前記一定値として前記減算を行う手段である請求項2記載の超音波カラードプラ診断装置。
  9. 前記減算手段により一定値が減算された前記ドプラ信号それぞれを変更可能な遮断特性でフィルタリングするハイパスフィルタと、このハイパスフィルタの遮断特性をそのドプラ信号のそれぞれの特徴に応じて制御する遮断特性制御手段とを備える請求項2記載の超音波カラードプラ診断装置。
  10. 前記位相補正手段により位相補正された前記ドプラ信号のそれぞれを変更可能な遮断特性でフィルタリングするハイパスフィルタと、このハイパスフィルタの遮断特性をそのドプラ信号のそれぞれの特徴に応じて制御する遮断特性制御手段とを備える請求項1又は2記載の超音波カラードプラ診断装置。
  11. 前記遮断特性制御手段は、前記ドプラ信号それぞれの特徴として少なくともその信号のパワー値を演算する手段と、そのパワー値に応じて前記ハイパスフィルタの遮断周波数または次数の少なくとも一方を制御する制御手段とを備えた請求項9または10記載の超音波カラードプラ診断装置。
  12. 前記位相補正手段により位相補正された前記ドプラ信号それぞれの補正位相量を打ち消す補正位相打消し手段を備えた請求項7記載の超音波カラードプラ診断装置。
  13. 前記補正位相打消し手段は、前記信号生成手段により生成された複素数信号を位相反転させる位相反転手段と、この位相反転手段により位相反転された複素数信号を前記ハイパスフィルタから出力された前記ドプラ信号のそれぞれに乗算する乗算手段とを備えた請求項12記載の超音波カラードプラ診断装置。
  14. 前記ドプラ信号抽出手段は、前記ドプラ信号のそれぞれについて実数部及び虚数部の別にそれぞれ直交位相検波を行う手段である請求項1記載の超音波カラードプラ診断装置。
  15. 超音波カラードプライメージング装置の送受信手段が超音波プローブを介して被検体内の断面に沿って超音波信号を各走査線方向に複数回ずつ送信するとともに当該被検体から反射されてくる超音波エコー信号を受信し、この超音波エコー信号から前記断面の血流の情報を得る超音波カラードプライメージング装置の信号処理方法において、
    前記装置の信号処理回路が、前記超音波エコー信号に基づき前記各走査線方向それぞれの同一位置から反射されてきたN時点のデータである複数の時系列のドプラデータから成るドプラ信号をその位置毎に得る工程と、
    前記装置の演算手段が、前記同一位置から生じた前記ドプラ信号それぞれの、前記被検体の臓器が前記超音波信号を反射したことに伴って生じるクラッタ成分の瞬時的な位相変化量を前記時系列のドプラデータの自己相関により推定し、次いで、この時系列のドプラデータの自己相関により求められた位相変化量に基づいて前記ドプラ信号それぞれの位相を補正して当該ドプラ信号それぞれから前記クラッタ成分を除去し、次いで、この位相補正された前記ドプラ信号のそれぞれから前記クラッタ成分に相当する一定値を減算する工程と、
    前記装置の表示手段が、前記演算回路から出力された前記ドプラ信号それぞれに基づいて前記断面における前記血流の前記情報をカラー表示する工程と、を有することを特徴とする超音波カラードプライメージング装置の信号処理方法。
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