JP3746119B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に係り、とくに、組織からの超音波エコー成分よりも強度の小さい血流からの超音波エコー成分を的確に検出して血流分布像を得る超音波診断装置に関する。中でも、おもに、被検体の血管内に注入した超音波造影剤の超音波散乱波を利用したり、超音波造影剤の強い非線形散乱特性に因ってエコー信号が増強される性質を利用したりして超音波造影剤の2次元分布像(すなわち、血流分布像)を得る超音波診断装置に関する。また、超音波造影剤を注入しないで、かかる血流分布像を得る超音波診断装置にも関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、超音波信号を被検体内に送信し、その反射信号に基づいて被検体の組織構造や血流の情報を得る装置である。とくに、被検体内の血流分布像を得る場合、超音波信号のドプラ効果を利用する超音波カラードプラ法を実施する装置が多用されている。
【0003】
その一方で、近年、超音波造影剤を静脈から注入して左心系の評価が可能な超音波診断法が試みられている。この診断法は、超音波造影剤の非線形散乱特性を利用した高調波造影モード法(単に「ハーモニックモード法」とも呼ばれる)として研究されている。この撮像法は、送信した超音波信号の基本波成分が超音波造影剤で散乱するときに生じる高次の高調波成分(例えば2次高調波成分)を受信エコーからフィルタにより抽出して映像化することを要旨とするものである。この静脈注入によるハーモニックモード法は、動脈注入に拠るものよりも被検体への侵襲性が著しく低いことも手伝って、頭部、腹部などの診断への有用性の期待も高く、現在、試験・研究が盛んに行われている。
【0004】
また、このような状況の元で、心筋、腹部の抹消部位など、血管周囲の組織エコー(「固定エコー」または「クラッタ成分」とも呼ばれる)の影響が大きい部位においても、静脈注入に拠るハーモニックモード法を実施して、組織エコーの影響を極力排除した、造影剤に拠る血流の輝度増強像を得ることができる超音波診断装置の研究も試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したハーモニックモード法には、依然として以下のような未解決の課題が在る。
【0006】
(1)生体組織内を伝搬する超音波信号には、その周波数に比例して減衰する性質が在ることが知られている。従来のハーモニックモード法で用いる高周波成分は基本波成分の整数倍の周波数成分、すなわち基本波成分よりも大きな周波数成分である。このため、高周波成分の生体内での減衰(生体減衰)は基本波成分を映像化する場合よりも大きく、したがってハーモニックモード法は通常の断層像法の場合よりもS/N比が低くなってしまう。また、生体減衰の割合は超音波信号の伝搬距離に比例するので、生体深部(伝搬距離が長くなる)になるにつれて生体減衰の影響はより顕著になる。この結果、従来のハーモニックモード法の場合、S/N比の低下は必然であったから、逆に言えば、基本波成分を映像化する通常の断層像よりも浅い部位までしか画像(血流像)として実用に供しないという未解決の問題があった。
【0007】
また、従来のハーモニックモード法の場合、基本波成分除去のために高次フィルタを多数チャンネル用意しなければならず、受信用のフィルタ回路の規模が大型化するという問題もあった。
【0008】
ましてや、超音波造影剤の中には、造影効果が小さい(すなわち、非線形散乱特性が良好ではなく、高次高調波成分の強度が低い)種類のものがあるから、そのような造影剤を採用した場合、上述した不都合はより顕著になる。
【0009】
(2)高次の高周波成分を受信エコーから抽出する手段として、従来では、基本波成分を除去するフィルタが使用されているが、このフィルタにおける基本波成分の漏れの問題も未解決であった。つまり、心筋、腹部の抹消部位など、血管周囲から生じる組織エコーの基本波成分の強度が非常に大きい場合、フィルタでは基本波成分を十分に減衰させることができず、漏れを生じる。この結果、高周波成分のみを確実に抽出するという目的は十分に果たせず、高周波成分による造影効果が低くなってしまう。
【0010】
本発明は、このような従来のハーモニックモード法の未解決の問題に鑑みてなされたもので、従来よりも深い生体部位においても十分診断に耐え得る高S/N比の、超音波造影剤の輝度増強を確実に反映した血流画像を提供することを、第1の目的とする。
【0011】
また、血管周囲から生じる組織エコーの基本波成分の強度が非常に大きい場合であっても、エコー信号中の基本波成分を十分に低減させ、基本波成分の漏れを確実に防止して、超音波造影剤の非線形散乱特性に因る高周波成分(非基本波成分)の輝度増強効果を良好に反映した、血流検出能および診断能の高い画像を提供することを、第2の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成させるため、本発明の第1の態様に係る超音波診断装置は、超音波および電気量の信号を互いに双方向に変換可能なプローブと、超音波造影剤を投与した被検体の断層面を、前記プローブを駆動して超音波スキャンする駆動手段と、前記プローブの駆動に伴って当該プローブから時系列的に出力される前記超音波スキャンに呼応した電気量のエコー信号を受信する受信手段と、この受信手段から出力されるエコー信号から成る複数フレーム分のエコーデータに基づいて、前記断層面の各サンプル点におけるフレーム方向のエコーデータの現フレーム近傍の位相変化を順次、相殺させるように当該エコーデータ列を補正する位相補正手段と、この位相補正手段が位相補正した各サンプル点におけるエコーデータ列から振幅変化の少ない成分を除去するフィルタリング手段と、このフィルタリング手段から出力されたエコーデータに基づき前記断層面の振幅値を反映した超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段が生成した画像データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
具体的には、前記振幅変化の少ない成分は、前記被検体の組織からの超音波信号の散乱に対応した信号成分であり、当該被検体の血流からの超音波信号の散乱に対応した信号成分の変化よりも小さい値である。
【0014】
好適には、前記位相補正手段は、前記エコー信号列の現フレーム近傍の位相変化を当該エコーデータ列自体から推定する推定手段と、この推定手段の推定量に基づいて前記エコーデータ列の位相の変化を相殺させる補正処理手段とを備える。前記画像データ生成手段は、例えば、前記フィルタリング手段から時系列的に出力された信号を検波する検波器と、この検波器の出力信号を対数圧縮する対数圧縮器とを備える。さらに、前記フィルタリング手段は、前記振幅変化の少ない成分を除去するハイパスフィルタを備える。
【0015】
この第1の態様の装置は、例えば視野深度が深く、非基本波成分による画像化が不利な場合には上述した態様の超音波診断装置による診断が好適である。生体内において、血流は組織内を移動しているので、血中に投与された超音波造影剤は組織に対して相対速度を有する。ここでは、受信したエコー信号の内の組織からのエコー成分が支配的に大きいという性質が利用されている。エコー信号自体を用いて組織の移動(体動など)に伴う時系列的な現フレーム近傍の位相変化量が順次推定され、この推定位相量を用いてエコー信号の位相変化が相殺されるように位相補正される。位相補正されたエコー信号はその後に、フレーム間のハイパスフィルタ処理に付される。この結果、位相補正されたエコー信号に含まれる時系列的に固定の組織散乱成分が除去され、時間的に位相変動の大きな成分、すなわち組織に対して移動している造影剤散乱成分のみが好適に抽出される。
【0016】
第1の態様の装置の変形として、前記対数圧縮器と前記表示手段との間に、当該対数圧縮器の出力信号から成る複数フレーム分のデータをその各ピクセルについて重み付け加算する処理手段を介挿することもできる。この場合には、超音波造影剤を注入しなくても撮像できる。
【0017】
また、第2の目的を達成するため、本発明の第2の態様に係る超音波診断装置は、超音波および電気量の信号を互いに双方向に変換可能なプローブと、基本波成分に対する非基本波成分のレベルを減少させて実質的にその基本波成分から成る駆動パルス信号で前記プローブを駆動して、超音波造影剤を投与した被検体の断層面を超音波スキャンする駆動手段と、前記プローブの駆動に伴って当該プローブから時系列的に出力される前記超音波スキャンに呼応した電気量のエコー信号を受信する受信手段と、この受信手段から出力されるエコー信号から成る複数フレーム分のエコーデータの、フレーム方向のエコーデータ列から振幅変化の少ない成分を前記断層面のサンプル点毎に時系列に除去するフィルタリング手段と、このフィルタリング手段から出力されたエコーデータに基づき前記断層面の超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段が生成した画像データを表示する表示手段と、を備えことを特徴とする。
【0018】
好適には、前記駆動手段は、実質的に前記基本波成分のみを通過させるフィルタを備え、このフィルタから出力された前記駆動パルス信号を前記プローブに供給する。また、前記フィルタリング手段は、前記振幅変化の少ない成分を除去するハイパスフィルタを備える。さらに、前記受信手段は、前記エコー信号を整相加算する整相加算手段と、この整相加算手段で整相加算された信号から前記基本波成分および前記非基本波成分を各別に抽出する第1および第2のフィルタ手段と、この第1および第2のフィルタ手段の抽出信号の一方を選択して前記フィルタリング手段に供給する選択手段とを備えることが望ましい。
【0019】
この第2の態様の装置は、対象とする視野深度が浅く、非基本波成分による画像化が有利な場合に好適に適用される。駆動手段から被検体に入射される超音波ビーム信号は実質的に基本波成分のみとなるから、エコー信号に含まれる非基本波成分は造影剤の非線形散乱に依存したものとなる。この非基本波成分の信号が画像化され、造影剤の流れ、すなわち血流が把握される。ここでの受信系には、非基本波成分を抽出する手段に加えて、フレーム間のハイパスフィルタ処理が時系列的に実施され、ドプラ偏移の少ない基本波成分の漏れが一層低減され、非基本波成分が確実に検出される。この結果、非基本波成分/基本波成分の比が改善される。
【0020】
さらに本発明では、第1、第2の目的を選択的に達成できる、第3の態様の超音波診断装置も提供できる。具体的には、超音波および電気量の信号を互いに双方向に変換可能なプローブを備える超音波診断装置において、被検体に注入した超音波造影剤が超音波信号を散乱した成分に基づく第1の撮像モードおよびその超音波造影剤の超音波信号に対する非線形散乱に起因した成分に基づく第2の撮像モードの内の一方を択一的に指令する指令手段と、前記指令手段により前記第1の撮像モードが指令されたときに駆動パルス信号で前記プローブを駆動して被検体の断層面を超音波スキャンする第1の駆動手段と、前記指令手段により前記第2の撮像モードが指令されたときに基本波成分に対する非基本波成分のレベルを減少させて実質的にその基本波成分から成る駆動パルス信号で前記プローブを駆動して被検体の断層面を超音波スキャンする第2の駆動手段と、前記プローブの駆動に伴って当該プローブから時系列的に出力される前記超音波スキャンに呼応した電気量のエコー信号を受信して整相加算する手段を含む受信処理手段と、前記指令手段により前記第2の撮像モードが指令されたときに前記受信処理手段で整相加算されたエコー信号から前記非基本波成分を抽出する抽出手段と、前記受信処理手段により整相加算されたエコー信号から成る複数フレーム分の受信データまたは前記抽出手段により抽出された信号から成る複数フレーム分の受信データのいずれか一方に基づいて、前記断層面の各サンプル点におけるフレーム方向のエコーデータ列から振幅変化の少ない成分を除去するフィルタリング手段を含むフレーム間データ処理手段と、このフィルタリング手段から出力されたエコーデータに基づき前記断層面の振幅値を反映した超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段が生成した画像データを表示する表示手段と、を備え、前記フレーム間データ処理手段は、前記指令手段により前記第1の撮像モードが指令されたときにのみ、前記受信処理手段から出力されるエコー信号から成る複数フレーム分のエコーデータに基づいて、前記断層面の各サンプル点におけるフレーム方向のエコーデータ列の現フレーム近傍の位相変化を順次、相殺させるように当該エコーデータ列を補正する位相補正手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
さらに好適には、前記指令手段は、前記第1および第2の駆動手段の出力段に共用状態で介挿された送信切換スイッチと、前記受信処理手段および前記抽出手段と前記フレーム間データ処理手段との間に介挿された受信切換スイッチと、検査者が前記第1および第2の撮像モードをマニュアルで択一的に指令可能な操作器と、この操作器への操作内容に応じて前記送信切換スイッチおよび前記受信切換スイッチを切り換える切換制御手段とを備える。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
第1の実施形態に係る超音波診断装置を図1〜図6を参照して説明する。なお、ここでの超音波診断装置は、超音波造影剤を静脈注入して撮像するが、その画像化は超音波造影剤の非線形散乱特性には特に依存せず、受信エコーに含まれる超音波造影剤からの反射成分全体(すなわち基本波、非基本波の両成分が含まれる)を検出して血流分布像を2次元表示するコントラストエコー法を実施するものである。
【0025】
A:全体構成およびその動作
図1に示す超音波診断装置は、被検体の体表に当接させて使用する超音波プローブ11を備えるとともに、この超音波プローブ11に接続された送信系回路12および受信系回路13、その受信系回路の出力側に装備された位相補正処理部14およびフレーム間フィルタ処理部15、ならびに、フレーム間フィルタ処理部の出力側に装備された検波器16、対数圧縮器17、および表示器18を備える。
【0026】
超音波プローブ11はその先端部分に、機械的振動と電気的信号とを可逆的に変換可能な複数の圧電素子を1次元的に配列した振動子を備えている。圧電素子の1つまたは隣接する複数個が、各チャンネルの超音波信号の送受信を担っており、送受信回路12および受信回路13に接続されている。
【0027】
送信系回路12は、図示しないクロック発生器、分周器、送信遅延回路、およびパルサを備えている。クロック発生器は所定のクロックパルスを発生し、このクロックパルスが分周器で例えば6kHzのレートパルスに分周されるようになっている。このレートパルスは所定チャンネル数だけ介挿されている送信遅延回路に分配され、送信遅延回路のそれぞれによって各送信チャンネルの遅延時間が与えられる。遅延時間パターンは、送信チャンネル全体として、超音波信号をビーム状に集束するための第1の遅延時間要素と、超音波ビームを送信(走査)方向に振る第2の遅延時間要素との和により決められ、この遅延時間パターンから送信チャンネル個々の遅延時間が決められている。第2の遅延時間要素を制御することにより、例えばセクタ電子スキャン、リニア電子スキャン、コンベックス電子スキャンなどが行われる。
【0028】
送信遅延が掛けられたレートパルスのそれぞれは、送信チャンネル毎のパルサに供給される。パルサは各々、レートパルスの受信時に、パルス状の駆動電圧を発生し、この駆動電圧がプローブ11の送信チャンネル毎の圧電素子に与えられる。これにより、圧電素子から超音波信号が発生し、プローブ全体として送信フォーカスが掛けられた超音波ビーム信号が被検体内に送信される。
【0029】
この超音波ビーム信号は被検体内の音響インピーダンスが異なる境界で反射し、その一部が超音波プローブ11に戻ってくる。戻ってきた超音波反射波は、超音波プローブ11の受信を担う振動子群で受信され、受信チャンネル毎に、対応する電圧量のエコー信号に変換される。このエコー信号は受信チャンネル毎に、受信系回路13に送られる。
【0030】
受信系回路13は図示していないが、受信チャンネル毎のプリアンプ、A/D変換器、および受信遅延回路と、受信遅延出力全体を加算する加算器とを備える。このため、受信チャンネル毎に、エコー信号がプリアンプで増幅され、さらにA/D変換器でデジタル量に変換される。このA/D変換器では1本の走査線に対して、例えば0.5mm間隔に相当するサンプリング周波数でサンプリングされ、そのサンプル点毎にデジタル信号に変換される。デジタル化されたエコー信号は、受信チャンネル毎に、受信遅延回路で所望の受信フォーカスに対応した遅延時間だけ遅延制御される。この遅延制御に係る遅延時間パターンも、ビーム状の集束のための第1の遅延時間要素と、反射波の受信方向を決めるための第2の遅延時間要素との和に応じて決められ、その遅延時間パターンから個々の受信チャンネルの遅延時間が決められる。この受信方向と送信(走査)方向とは通常、一致させて使用される。受信遅延制御された受信チャンネル毎のエコー信号は加算器に送られて加算される。この加算により、所望の受信方向からの反射成分が強調されたデジタル量のエコー信号が演算上で形成され、受信フォーカスが掛けられる。このエコー信号には、被検体の組織間の音響インピーダンスの違いを反映した振幅情報と、血流などの移動体の動き(運動速度)を反映した位相情報(ドプラ情報)とが含まれる。エコー信号は後段のフレーム間フィルタ処理部15に与えられる。なお、上述した受信遅延回路および加算器の具体例としては、例えば特公平6−14934号に記載のデジタルビームフォーマが好適である。
【0031】
位相補正処理部14およびフレーム間フィルタ部15は、例えば図2に示すように一体的に構成されている(これについては後で詳述する)。位相補正処理部14は、エコー信号の内の組織散乱成分Cmのフレーム間の位相変化αmをエコー信号自身を用いて推定し、その位相変化量に応じて位相補正するようになっている。フレーム間フィルタ部15は低域阻止型の特性を有するハイパスフィルタを備え、位相補正されたエコー信号にハイパスフィルタ処理を施し、血流の流れ状態を反映している超音波造影剤からのエコー成分としてその殆どを抽出できるようになっている。
【0032】
フレーム間フィルタ処理部15でハイパスフィルタ処理された造影剤エコー信号はその後、検波器15に送られる。検波器15はエコー信号の振幅が非常に小さいことを考慮して、例えば非線形の2乗検波方式のものが使用される。検波器15は、振幅変調を受けているエコー信号から振幅を検波して振幅情報を取り出し、この検波信号を対数圧縮器17に送る。対数圧縮器17は非線形回路で構成され、例えば220もあるエコー信号のダイナミックレンジを、例えば表示器18で扱える程度の比較的狭いダイナミックレンジに圧縮する。この圧縮により形成された画像信号が表示器18に送られ、図示しないD/A変換器でアナログ量に戻された後、ディスプレイに表示される。
【0033】
B:血流画像化の原理
ここで、実施形態を通して具体化されている本発明に係る血流画像化の原理を図3〜図6に基づいて説明する。
【0034】
いま、超音波ビーム信号を例えばセクタスキャンして複数枚のフレームデータを時系列に得る場合、そのフレームデータが形成する動画像空間は図3に模式的に示すように表すことができる。同図中、r:走査断面のスキャン方向の位置、d:走査断面の深さ方向の位置、i:フレームの番号、である。
【0035】
図3の動画像空間f(r,d,i)において、あるフレームiについて、位置r,dを固定したある点に対応する受信エコー信号をxとする。この信号xには、組織からの超音波散乱成分(組織散乱成分)C、血流からの超音波散乱成分(血流散乱成分)b、および血流に含まれる造影剤からの超音波散乱成分(造影剤散乱成分)Sが線形加算されて含まれていると考えられ、
【数1】
=C+S+b ……(1)
で記述することができる。組織散乱成分Cは音場のサイドローブに因って血管内に畳み込まれる成分であり、音場および血管径の条件にも依るが、一般的に血流散乱成分biに対して40〜80dB程度の、非常に大きいパワーを有する。したがって、(1)式は血流散乱成分biを無視して、
【数2】
Figure 0003746119
と書き換えられる。
【0036】
【外1】
Figure 0003746119
【0037】
【数3】
Figure 0003746119
と表すことができる。ここで、
α,β:組織散乱成分、造影剤散乱成分の最初のデータ(m=0)の初期位相、α,β:組織散乱成分、造影剤散乱成分のm番目のデータの最初のデータに対する位相差を表す(図4(a),(b)参照)。またC,Sはそれぞれの散乱成分の振幅成分を表わすもので、図4(a),(b)のように図示できる。同図(c)には、(3)式により記述された受信エコー信号xをベクトル量として表す。
【0038】
仮に、
【数4】
=X・exp[jθ] ……(4)
とおくと、
【数5】
Figure 0003746119
【数6】
Figure 0003746119
と記述できる。
【0039】
仮に、振幅比でC>>Sなる条件が成立する場合、さらに、
【数7】
Figure 0003746119
と変形でき、したがって、
【数8】
Figure 0003746119
と記述できる。
【0040】
この場合、位相補正量φは、
【数9】
φ=α ……(8)
であり、位相補正後の受信エコー信号x′は、
【数10】
Figure 0003746119
となる。この(10)式から分かるように、第1項目のC・exp[jα]はmに依らない一定値(DC成分)を示し、第2項目のS・exp[j(β+β−α)]はmに依って変動する項(ドプラ信号)を示し、受信エコー信号x′はそれらの和として記述されることを示している。
【0041】
(10)式による位相補正後の受信エコー信号x′の一例を図示すると図5のように表すことができる。これを周波数軸上で表現すると、
【数11】
Figure 0003746119
である。
【0042】
ゆえに、α≠βであれば、HPF処理HPF[ ]によって、HPF出力ymは、
【数12】
Figure 0003746119
となる。そこで、検波して振幅を抽出すれば、
【数13】
Figure 0003746119
となり、造影剤散乱成分(すなわち血流成分)のみを検出できることになる。
【0043】
C:位相補正量φmの推定
位相補正量φmの推定法には種々のものが考えれる。その一つとして、動画像空間f(r,d,i)のある位置(r,d)のi軸方向(フレーム方向)のN個のデータから成るデータ列を考えると、その各データの位相変化量を、近傍の数個のデータを用いて以下のように推定できる。各データについてフレーム方向の前後1データを用いて推定する場合、データ間の位相変化ψmは、
【数14】
Figure 0003746119
で求められる。m=0およびm=N−1のときはN個のデータから成るデータ列の端部に相当するもので、位相変化量推定の特別な処理(端部処理)を示している。そこで、この場合の位相補正量φmは、
【数15】
Figure 0003746119
の式により推定される。
【0044】
この位相補正量φの推定法は、組織散乱成分Cがデータ間(フレーム間)で一様に変動しない場合であっても比較的良好に推定でき、複雑に変化すると考えられている生体内での組織散乱成分の追随に適している。
【0045】
D:位相補正処理部及びフレーム間フィルタ処理部の具体的構成・処理
上述した補正原理に基づいて構成されている位相補正処理部14およびフレーム間フィルタ処理部15を図2により詳述する。
【0046】
フレーム間フィルタ処理部15は、その入力側に装備されたN−1個のフレームメモリ21…21と、その出力側に装備されたハイパスフィルタ22を備え、図示の如くNタップのFIR型に構成されている。信号の流れとしては、フレームメモリ21…21とハイパスフィルタ22の間に、位相補正処理部14が介挿された構成になっている。すなわち、位相補正処理部14は、フレームメモリ21…21に関わる信号を受けて前述した原理に基づく位相補正処理を行い、その補正結果をハイパスフィルタ22に出力するようになっている。
【0047】
【外2】
Figure 0003746119
【数16】
Figure 0003746119
の処理を行う。
【0048】
一方、位相補正処理部14は、N個の離散的なエコー信号x(x,xi− ,xi−2,…,xi−N+1)をそれぞれ入力する位相補正量推定回路35および位相補正器36を備える。位相補正量推定回路35は、例えば複素共役器、複素乗算回路、および加算器で構成され、前記(13)式に基づいてデータ間の位相変化ψを演算する回路と、逆正接演算回路および累積加算器で構成され前記(14)式に基づいて位相補正量φを演算する回路と、から構成されている。演算された位相補正量φ(φ,φ,φ,…,φN−1)は位相補正器36に出力される。位相補正器36は好適には、信号xに−φの位相回転を与える複素乗算回路で構成され、前述した(9)式に基づきエコー信号に位相補正を施こす。この結果得られた新たなエコー信号x′は上述した如くハイパスフィルタ22に出力され、組織散乱成分除去のためのハイパスフィルタ処理が実行される。
【0049】
E:全体動作および効果
本超音波診断装置では、超音波造影剤を静脈から注入してコントラストエコー法を実施する。造影対象は門脈などの大血管よりむしろ微小な血流であり、とくに臨床上重要な腫瘍血流などの微小な血管を診断することを想定する。
【0050】
超音波プローブ11を送信系回路12で駆動することにより、受信系回路13からは超音波ビームに拠るスキャン断面の各サンプル点毎の電気量のエコー信号xが得られる。このエコー信号xには前述したように、組織散乱成分C、血流散乱成分b、および造影剤散乱成分Sが含まれる。この内、血流散乱成分bは一般にほかの散乱成分に比べて、その振幅は非常に小さいので、無視することができる。
【0051】
画像化対象の断面は時系列に次々とスキャンされるから、断面上のあるサンプル点について見ると、やはり時系列のエコー信号xが得られることになる。このエコー信号xは定量的には前述した式(3)のように与えられる。式(3)は、式(4)〜(6)のようにも表現される。
【0052】
【外3】
Figure 0003746119
【0053】
このことは取りも直さず、「エコー信号xを用いて推定した位相補正量φによって組織散乱成分Cの位相変化αを近似的に補正することができる」、ことを意味している。換言すれば、「受信したエコー信号そのものを用いて、呼吸や心臓の動きに起因して生じる組織散乱成分の位相変化を相殺するようにエコー信号の位相補正を行うことは近似的に可能である」、となる。
【0054】
このことを基礎としてフレーム間フィルタ処理部15および位相補正処理部14は上述したように動作する。位相補正量推定回路35によりエコー信号xから位相補正量φが推定され、位相補正器36によりエコー信号xに「−φ」の位相回転が与えられて位相補正が行われる。この位相補正の結果、組織散乱成分Cはデータ間(すなわちフレーム間)で一定のDC成分(振幅一定の成分)と見做せる値になる。位相補正後のエコー信号はx′は、式(10)のように、かかるDC成分および造影剤散乱成分の和として表される。
【0055】
組織内を血流が流れているとき(組織に対して血流が相対的に変動するとき)、血流に含まれる造影剤からの散乱成分はデータ間(フレーム間)で変動している。したがって、位相補正されたエコー信号x′がハイパスフィルタ22によりハイパスフィルタ処理されると、DC成分となった組織散乱成分が確実に除去または低減され、経時的に変動する造影剤散乱成分(基本波成分、非基本波成分の両方を含む)のみが殆ど確実に検出される。つまり、血流の動き反映したエコー信号成分のみを抽出できる。
【0056】
このように処理されて殆どが造影剤散乱成分のみとなったエコー信号はその後、検波および対数圧縮などの処理を受けて画像データに変換され、表示器18のモニタにBモード断層像として表示される。この断層像には、造影剤の動き、すなわち血流分布が殆どリアルタイムに表示される。
【0057】
以上のように本実施形態の場合、組織散乱成分Cのデータ間(フレーム間)の位相変化量αを受信エコー信号それ自体を用いて推定し、その推定量分だけ受信エコー信号の位相変化を補正した後で、ハイパスフィルタ処理を行う。このため、ハーモニックモード法のように造影剤散乱成分の非基本波成分のみを画像化する場合に比べて、最もパワーの大きい基本波成分を主体とする造影剤散乱成分(非基本波成分も畳み込まれている)を用いている分だけ、生体減衰量が少なくなり、生体のより深い部位まで高S/N比で画像化することができる。したがって、生体深部の腫瘍血流など細かい血管を良好に画像化できる。また本実施形態の画像化は、超音波造影剤の非線形散乱特性のみには依存しなくて済むので、非線形散乱の効果が小さい超音波造影剤をも用いることができ、撮像コストの低減化にも寄与可能になる。さらには、造影効果を低下させずに、受信フィルタの構成を簡略化してハード規模を小形化できる。
【0058】
(第2の実施の形態)
第2の実施形態に係る超音波診断装置を図7〜図11を参照して説明する。この超音波診断装置は、静脈から注入した超音波造影剤の非線形散乱により生じる2次高調波成分を効率良く検出し、その検出信号に基づいて血流分布像を2次元表示するコントラストエコー法(すなわち、「ハーモニックモード法」)を実施するものである。
【0059】
なお、前述した図1、2のものと同一または同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0060】
A:全体構成およびその動作
図7に示す超音波診断装置は、超音波プローブ11を備えるとともに、この超音波プローブ11に接続された送信系回路12および受信系回路13、その受信系回路の出力側に装備されたフレーム間フィルタ処理部39、検波器16、対数圧縮器17、および表示器18を備える。
【0061】
送信系回路12は図示の如く、クロック発生部41を備え、このクロック発生部41の出力側に、送信遅延部42、パルサ回路43、および送信系フィルタ44を順に備える。クロック発生部41は超音波信号の送信タイミングや送信周波数を決めるクロック信号を発生して、送信遅延部42に出力するようになっている。送信遅延部42は送信チャンネルの全体数分の遅延回路を有し、指令された遅延時間パターンに基づきクロック信号に送信遅延を掛け、その遅延制御したクロック信号を送信チャンネル毎にパルサ回路43に出力する。パルサ回路43は送信チャンネルの全体数分のパルサを備えており、遅延制御されたクロック信号の入力に付勢して駆動電圧パルスを送信チャンネル毎に送信系フィルタ44に出力する。
【0062】
送信系フィルタ44は、この実施形態により具体化されている本発明の特徴の1つの要素を成すもので、超音波造影剤の非線形散乱に由来するエコー信号の2次高周波成分を効率良く検出するために装備されている。この送信系フィルタ44は、送信超音波信号の非基本波成分のみを除去し、基本波成分を良好に通過させるフィルタ特性を有したフィルタ回路で構成される。これにより、殆どが基本波成分となった駆動電圧パルスは送信チャンネル毎に、プローブ11の送信用の振動子に供給される。このため、送信時に発生する高周波成分を所望レベルまで低減できるので、受信系で受信されるエコー信号に含まれる2次高周波成分の殆どは、超音波造影剤の非線形散乱特性に起因した成分であると見做すことができる。
【0063】
受信系回路13は、超音波プローブ11の複数の受信用振動子それぞれに接続されたプリアンプを有するプリアンプ回路51を備え、このプリアンプ回路51の出力側に受信ビームフォーマ部52、並列装備の基本波用BPF53および非基本波用BPF54、ならびに受信切換スイッチ55を順に備えている。プリアンプ回路51の各プリアンプは受信チャンネル毎に電気量の受信エコー信号を増幅し、受信ビームフォーマ部52に送るようになっている。受信ビームフォーマ部52は、指定された走査線方向かつ指定深さ位置に応じてエコー信号の整相加算を実施し、受信フォーカスを掛けたエコー信号を演算上で生成する。
【0064】
また基本波用BPF53および非基本波用BPF54は共に、整相加算されたエコー信号を受け、設定されている受信帯域の信号のみを通過させるバンドパスフィルタで構成されている。基本波用BPF53の通過帯域はエコー信号の基本波成分の周波数帯域に合致し、非基本波用BPF54のそれはここでは2次高周波成分の周波数帯域に合致させている。
【0065】
受信切換スイッチ55は、その信号経路切換によって基本波用BPF53または非基本波用BPF54のいずれかの出力信号を択一的にフレーム間フィルタ処理部39に送る。この受信切換スイッチ55は切換コントローラ56から切換制御信号を受け、その信号経路を切り換えるようになっている。切換コントローラ56にはオペレータが操作卓の切換スイッチ57から切換制御のための指令を与えるようになっている。このため、この切換コントローラ56により受信切換スイッチ55の経路が「基本波側」に切り換わると、基本波用BPF53から通常のBモードの画像データ用のエコー信号が得られる。また切換コントローラ56により受信切換スイッチ55の経路が「非基本波側」に切り換わると、ハーモニックモード法による造影剤からの非線形散乱成分(ここでは2次高周波)を実質的に主要成分とするエコー信号が非基本波用BPF54から得られる。
【0066】
さらにフレーム間フィルタ処理部39は図8に示すように、前述した第1の実施形態のものから位相補正処理部を除いた状態で形成されている。すなわち、入力するエコー信号xをフレーム毎に遅延するN−1個のフレームメモリ21…21と、このフレームメモリ21…21により遅延信号を受けるハイパスフィルタ22とを備え、エコー信号xをハイパスフィルタ処理に付す。
【0067】
この処理信号はその後、検波器16、対数圧縮器17を介して表示器18に送られ、ディスプレイにハーモニックモード法による血流の分布像として表示される。
【0068】
B:血流画像化のためのフィルタ処理
ここで、本実施形態において具体化している、本発明の別の血流画像化法に係るフィルタ処理を図9〜図11に基づいて説明する。
【0069】
ハーモニックモード法を実施する場合、一般的に、造影剤で散乱した非線形のエコー成分、すなわち2次高調波成分の信号強度は基本波成分よりも微弱である。とくに微小な血流を対象とするときに、そのような大小関係が顕著になる。この微弱な2次高調波成分を確実に検出するには、理想的には、非基本波用BPF54の遮断特性が受信エコー信号中の基本波成分を十分に低減できなければならない。しかしながら、現状で使用可能なBPFの特性が、そのような要求を完全に満足させることは殆ど不可能であり、基本波成分の漏れが発生するという問題がある。つまり、図9(a)に示すように、非基本波用BPFの通過特性が2次高調波成分2fのそれをカバーしている場合でも、そのBPF出力特性には大なり小なり、同図8(b)に示すような基本波成分fの漏れが発生し(点線部分参照)、「2次高周波成分/基本波成分」の比が制限されてしまう。このため、2次高周波成分を信号対象とするときのS/N比を十分に確保し難い。
【0070】
そこで、この基本波成分の漏れの低減をフレーム間フィルタ処理部39に負わせている。速度vで移動する物体があるとき、同一点における受信エコー信号がフレーム間の時間差に相当する間に受けるドプラ偏移周波数fdは、基本波成分と2次高周波成分とでは異なるので、この性質を利用したハイパスフィルタ処理を行うようにフレーム間フィルタ処理部39を構成している。これにより上記漏れを低減させている。
【0071】
いま、図10に示す如くスキャン面X,Yを時系列(フレーム)方向Fに並べた仮想空間を考え、ある点P(X,Y)を時系列F方向に観測する。この点Pを通る速度vの移動物体(ここでは血流に含まれる超音波造影剤)が在る場合のドプラ偏移周波数は、
【数17】
fd=(2・v・cosθ・f)/C
で表される。ここで、θは超音波ラスタと移動方向の成すスキャン面上の角度、Cは音速、fは送信超音波の中心周波数である。この式から分かるように、f=fの成分(基本波成分)に比べて、f=2fの成分(2次高周波成分)は速度v一定の場合でも、2倍のドプラ偏移周波数fdを有する。
【0072】
そこで、前述したように構成したフレーム間フィルタ処理部39のハイパスフィルタ22のカットオフ周波数を図11に示す如く、2fのドプラ偏移成分の大部分を通過させ且つfのドプラ偏移成分の大部分を遮断するように設定しておく。
【0073】
この結果、図10に示したスキャン面から得られる、2次高周波成分と基本波成分の漏れとが含まれる、3つの次元を有する受信データ構造のエコー信号S(X,Y,F)のそれぞれに対して、その時系列F方向に、図11に示すフィルタ特性のハイパスフィルタ処理がハイパスフィルタ22により施される。これにより、非基本波用BPF54のフィルタ処理により基本波成分の漏れ分が更に低減される。
【0074】
C:実施態様の効果
本実施形態の超音波診断装置によりハーモニックモード法を実施する。送信系回路12から超音波プローブ11を介して被検体に入射させる超音波ビームは送信系フィルタ44の非基本波成分の除去作用により、実質的に基本波成分のみとなる。このため、プローブ11を通して得られるエコー信号に含まれる非基本波成分は、血流内の超音波造影剤の非線形散乱に起因した成分となる。
【0075】
上述したように、受信エコー信号は増幅され、整相加算された後に、最初の非基本波用BPF54とその後のフレーム間フィルタ処理部39のハイパスフィルタ22との2段階のフィルタ処理を受ける(このとき受信切換スイッチ55は
「非基本波側」)。エコー信号は最初の非基本波用BPF54によりその非基本波成分が抽出される。この最初のフィルタ処理により基本波成分が漏れても、その後のハイパスフィルタ22によりその漏れ分が更に追加的に除去される。すなわち、対象血流が移動している場合、2次高周波成分が受けるドプラ偏移周波数fdは基本波成分のそれの約2倍であることを利用して、かかるハイパスフィルタ処理によっても、低いドプラ偏移周波数の基本波成分の漏れ分が抑制され且つ高いドプラ偏移周波数を有する2次高周波成分が効率良く抽出される。
【0076】
このように非基本波BPFとフレーム間フィルタ処理部とを組み合わせて使用して、「2次高周波成分/基本波成分」の比が改善される。この改善されたエコー信号は検波器16、対数圧縮器17を通して表示器18に送られ、非基本波成分が2次元分布像として映像化される。この結果、造影剤の流れ、すなわち血流をより鮮明に把握することができる。
【0077】
とくに有利な点として、基本波成分による組織エコーの影響が大きい部位に対しても、静脈注入に拠るコントラストエコー法を実施して、例えば心筋分布像による心筋内血流の潅流域の評価を好適に行うことも可能になる。
【0078】
また、本実施形態の超音波診断装置は、例えば対象とする視野深度が浅く、非基本波成分による映像化が有利な場合にとくに好適である。
【0079】
(第3の実施の形態)
第3の実施形態に係る超音波診断装置を図12を参照して説明する。この超音波診断装置は、(1):超音波造影剤の非線形散乱に依存することなく、受信エコー信号に含まれる造影剤散乱成分全体を抽出し、その抽出信号に基づいて造影剤(すなわち血流)の2次元分布像を得るコントラストエコー法(第1の撮像モード)の回路構成と、(2):超音波造影剤の非線形散乱により生じる2次高調波成分を効率良く抽出し、その抽出信号に基づいて造影剤(すなわち血流)の2次元分布像を得るコントラストエコー法(すなわち、ハーモニックモード法:第2の撮像モード)の回路構成とを併設し、検査者が必要に応じていずれかの撮像モードを選択できるようにしたものである。
【0080】
なお、上記実施形態のものと同一または同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0081】
図12に示す超音波診断装置は、超音波プローブ11、このプローブを駆動する送信系回路12、およびプローブ11で変換した電気量のエコー信号を受ける受信系回路13を備える。受信系回路13の出力側にはフレーム間フィルタ処理部15、位相補正処理部14、検波器16、対数圧縮器17、および表示器18が装備されている。
【0082】
送信系回路12は、前述した第2の実施形態と同様に、クロック発生部41、送信遅延部42、パルサ回路43、および送信系フィルタ44を備えるとともに、送信系フィルタの出力側に送信切換スイッチ45を介挿している。この送信切換スイッチは送信チャンネルそれぞれに2入力1出力タイプのスイッチ回路を有し、その一方の入力端はパルサ回路43の各送信チャンネルのパルサに、もう一方の入力端は送信系フィルタ44の各送信チャンネルのフィルタに各々接続されている。また出力端は送信チャンネル毎にプローブ11の振動子に接続されている。この送信切換スイッチ45には切換コントローラ56から切換制御信号が与えられ、これによりその送信経路を「パルサ側」または「送信系フィルタ側」に選択的に切換可能になっている。
【0083】
受信系回路13は図示のように、プリアンプ回路51、受信ビームフォーマ部52、非基本波用BPF54、および送信切換スイッチ55を備える。送信切換スイッチ55も2入力1出力タイプのスイッチ回路であり、その一方の入力端は受信ビームフォーマ部52の出力端に、もう一方の入力端は非基本波用BPF54を介して受信ビームフォーマ部52の出力端に各々接続されている。この受信切換スイッチ55には切換コントローラ56から切換制御信号が与えられ、これによりその受信経路を「バイパス側」(すなわち、受信ビームフォーマ側)または「非基本波側」に選択的に切換可能になっている。
【0084】
また、フレーム間フィルタ処理部15および位相補正処理部14は第1の実施形態で説明したと同様の回路構成を有するが、位相補正処理部14には切換コントローラ56から位相補正を実施するか否かの制御信号CSが与えられるようになっている。この「制御信号CS=位相補正の実施」を表しているとき(第1の撮像モードのとき)、位相補正処理部14は第1の実施形態のときと同様にエコー信号の位相変化量を推定し、位相補正を実施する。しかし、「制御信号CS=位相補正の不実施」を表しているとき(第2の撮像モードのとき)、位相補正処理部14の位相補正量推定回路35はエコー信号の位相推定を実施せずに、位相補正量φを単にφ=0に強制設定するように動作する。位相補正器36はφ=0の状態で位相補正を行うから、実質的に位相補正を実施しないのと等価な状態になる。
【0085】
切換コントローラ56は操作卓上の切換スイッチ57からのスイッチ信号を受けて、撮像モードを判断し、判断モードに応じて上述した送信切換スイッチ45、受信切換スイッチ55に切換制御信号を、また位相補正処理部14に位相補正実施か否かを表す制御信号CSを供給する。ここでは撮像モードとして前述した第1、第2の撮像モードが用意されており、検査者が切換スイッチ57からモードを選択できるようになっている。切換コントローラ56は、第1の撮像モードが指令されると、その切換制御信号を介して送信切換スイッチ45を「パルサ側」に、受信切換スイッチ55を「バイパス側」にそれぞれ切り換える一方で、第2の撮像モードが指令されると、その切換制御信号を介して送信切換スイッチ45を「送信系フィルタ側」に、受信切換スイッチ55を「非基本波側」にそれぞれ切り換える。同時に、第2の撮像モードが指令されたとき、切換コントローラ56は「制御信号CS=位相補正の実施」から「制御信号CS=位相補正の不実施」の信号に変える。
【0086】
その他の構成は、前述した各実施形態のものと同一である。
【0087】
本実施形態の超音波診断装置は以上のように構成され機能する。このため、検査者が切換スイッチ57を介して第1の撮像モードを指令すると、切換コントローラ56の切換制御により、送信切換スイッチ45が「パルサ側」に、受信切換スイッチ55が「バイパス側」に切り換えられるとともに、位相補正処理部14がその通常の位相補正処理を実施する。
【0088】
これにより、前述した第1の実施形態のものと同一の回路構成および動作状態になる。したがって、超音波造影剤の非線形散乱には各別に依存せず、受信エコー信号に含まれる造影剤散乱成分の全体に基づく血流分布像が表示される。
【0089】
また、検査者が切換スイッチ57を介して第2の撮像モードを指令すると、切換コントローラ56の切換制御により、送信切換スイッチ45が「送信系フィルタ側」に、受信切換スイッチ55が「非基本波側」に切り換えられるとともに、位相補正処理部14が位相補正処理を実質的に停止する。
【0090】
これにより、前述した第2の実施形態のものと同一の回路構成および動作状態が得られる。ただし、フレーム間フィルタ処理部15に入力するエコー信号には2次高調波成分、すなわち造影剤散乱成分が支配的に含まれているため、そのエコー信号の位相補正は実質的に行われず、ハイパスフィルタ処理のみ実施される。これにより、第2の実施形態のものと等価な処理信号が得られる。ハイパスフィルタ処理後のエコー信号に基づき、超音波造影剤の非線形散乱に依存した2次高周波成分に基づく血流分布像が表示される。
【0091】
検査者はこのようにして必要な撮像モードを選択でき、診断に必要なモードの画像を表示させることができるから、非常に使い勝手の良い便利なシステムを提供できる。
【0092】
なお、図12の構成の変形例として撮像モードの切換タイミングを以下のように制御できる。送信切換スイッチ45および受信切換スイッチ55の切換を時分割で(例えば1フレーム単位で)、かつ、この時分割タイミングに合わせて、位相補正処理部14およびフレーム間フィルタ処理部15の処理も時分割で実施するように、切換コントローラ56に制御させることもできる。この場合、第1、第2の撮像モードの血流分布像の画像データが同時に得られるから、表示器にはそれらを例えば分割表示させる。これにより、単一撮像モードの場合よりもフレームレートは低下するものの、検査者が両方の撮像モードの画像を同時に見比べることができ、画像自体を比較検討できるとともに、その後に第1、第2の撮像モードのいずれを採用したらよいかの選定を補助することもできる。
【0093】
(第4の実施の形態)
第4の実施形態に係る超音波診断装置を図13に基づき説明する。ここでは第1の実施形態と同一または同等の構成には同一符号を用いる。
【0094】
前述した第1〜第3の実施形態では全て超音波造影剤を被検体に注入した状態でコントラストエコー法を実施する装置について説明してきたが、この第4の実施形態の装置は「超音波造影剤を注入しない」状態で血流分布像を得る。
【0095】
図13に示す超音波診断装置は、この目的で動作するように構成したもので、第1の実施形態で説明した原理に基づく位相補正により組織散乱成分を低減し、血流散乱成分を抽出できるように構成している。被検体には超音波造影剤を注入していないから、前記式(1)において造影剤散乱成分S=0となる。式(2)以降の説明においてはSをbに置換することで、造影剤散乱成分に代えて血流散乱成分が抽出されることが分かる。
【0096】
これを実現するため、具体的には図13に示すように、受信系回路13の後段に、第1の実施形態で説明したフレーム間フィルタ処理部15および位相補正処理部14を備えている。位相補正処理部14によりエコー信号の位相変化が補正され、組織散乱成分が除去される。フレーム間フィルタ処理部15のハイパスフィルタにより、フレーム間の時系列データに対してハイパスフィルタ処理が施され、血流散乱成分が抽出される。
【0097】
さらに本実施形態では図13に示すように、対数圧縮器17と表示器18の間にフレーム相関処理部61を介挿させている。この介挿理由は以下のようである。フレーム間フィルタ処理部15により抽出される血流散乱成分の信号強度は、例えば撮像対象の血管が太いなど、条件が良い場合でも組織散乱成分と比較して小さい。ましてや、微小血管など、撮像対象の組織散乱成分に関する条件に恵まれていない場合、超音波造影剤を用いる撮像に比肩できるS/N比を得ることは殆ど困難である。そこで、フレーム相関処理部61を上述のように追加的に介挿させている。
【0098】
フレーム相関処理部61は、画像データ中の各画素点毎に、複数フレーム分の画像データを重み付け加算する処理を行い、これにより各画像データのS/N比を向上させるようにしている。すなわち、フレームの加算枚数を適宜に増加させることで、S/N比を上げることができる。この加算枚数は、不必要に増加させると見掛けのリアルタイム性を低下させることにもなるので、最適数に設定し、最適な重み付け処理がなされるようにすることが望ましい。
【0099】
このように、エコー信号の位相補正処理、そのハイパスフィルタ処理、さらにはフレーム相関処理を組み合わせることで、超音波造影剤を使用しなくても血流の分布像を好適に表示させることができる。この撮像には造影剤注入が不要であり、侵襲性が皆無となるから、患者の負担も極めて軽いものとなる。
【0100】
ただし、本実施形態では、フレーム間の時系列データを各サンプル点毎にハイパスフィルタ処理して抽出するため、本装置が対象とする血流速度は一般に、極めて低い、「極低速度」の速度範囲(例えば2cm/s〜3cm/s程度)に制限される。この速度範囲は、送信する超音波パルス信号の繰返し周期(レート周期)単位の時系列データを用いて血流分布像(カラーアンジオとも呼ばれる)を得る装置が通常、検出対象としている血流速度に比べても低い値である。
【0101】
その反面、このパルス繰返し周期単位の時系列データを用いる装置では、かかる時系列データを得るために同一走査線上で複数回の走査(レート数)が必要なる。したがって、1枚のフレーム画像データを得るために必要な総レート数が非常に多くなる。これに比べ、この第4の実施形態の装置の場合、総レート数は走査線数分のレート数で十分であるので、高いフレームレートを確保できる利点がある。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1の態様に係る超音波診断装置によれば、超音波造影剤を用いた血流分布像を得るに際し、撮像断面のサンプル点毎に、エコー信号から組織の時系列的な位相変化量を現フレーム近傍で推定し、この位相推定量でエコー信号の位相変化が相殺させるように位相補正し、この後にエコー信号のフレーム間のハイパスフィルタ処理を行うようにしたため、そのハイパスフィルタ処理の遮断周波数を血流速度に合わせて適宜に設定することで、組織に対して相対移動する造影剤散乱成分、すなわち血流の動き情報のみを効率的に抽出することができる。非基本波造影法(ハーモニックモード法)と比較して生体減衰が少ないことから、信号振幅値に拠るS/N比が良い造影像が得られ、より深部での撮像に適する。加えて、非線形散乱の効果が小さい超音波造影剤を用いた撮像も可能になる。
【0103】
また本発明の第2の態様に係る超音波診断装置は、超音波造影剤を注入して造影剤の非線形散乱に起因した非基本波成分に基づく血流分布像を得るもので、非基本波成分を積極的に除去した超音波信号を送信するとともに、受信したエコー信号から非基本波成分を抽出し、その抽出信号をさらに基本成分と非基本波成分の受けるドプラ偏移周波数の違いに着目した時系列的なフレーム間ハイパスフィルタ処理に付す。これにより、非基本波成分に比べて生体の動きに起因したドプラ偏移周波数の小さな基本波成分のみを効率良く除去でき、残った2次高調波成分などの非基本波成分に基づく血流分布像を高品質で得ることができる。とくに、「非基本波成分/基本波成分」の比が大きく、基本波成分による組織エコーの影響が大きい部位に対しても、静脈注入によるコントラストエコー法を実施して例えば心筋分布像を得て、心筋内血流の潅流域の評価を好適に行うことができる。
【0104】
さらに本発明の第3の態様に係る超音波診断装置によれば、超音波造影剤を注入して血流分布像を得るときに、視野深度に対してS/N比が十分であれば、造影剤の非線形散乱に起因した非基本波成分に基づく血流分布像の表示を選択でき、一方、視野深度に対してS/N比が不足する場合、非基本波成分のみには依存しないで、組織散乱成分及び造影剤散乱成分(基本波成分、非基本波成分を含む)を含むエコー信号の位相補正後のフレーム間ハイパスフィルタ処理結果に基づく血流分布像の表示を選択できる。このように診断対象の深さに応じて撮像モードを選択でき、診断に最適な画像を提供できる。
【0105】
さらに、上述した本発明の第1の態様に係る超音波診断装置は、超音波造影剤を注入しないで血流分布像を得る場合にも使用可能なもので、組織に対して相対移動する血流からのエコー成分のみを好適に抽出できる。これに加えて、この血流エコー成分の信号をフレーム間で加算・増強して表示することで、S/N比を向上させることができ、超音波造影剤を投与しなくても高S/N比の血流分布像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる超音波診断装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態におけるフレーム間フィルタ処理部および位相処理部の構成を示すブロック図。
【図3】動画像空間における受信データを模式的に説明する図。
【図4】信号と位相の関係を示すベクトル図。
【図5】位相補正を説明するベクトル図。
【図6】位相補正を周波数スペクトルで説明する図。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかる超音波診断装置の概略構成を示すブロック図。
【図8】第2の実施形態におけるフレーム間フィルタ処理部のブロック図。
【図9】非基本波用BPFの動作に伴う基本波成分の漏れを説明する図。
【図10】動画像空間における受信データを模式的に説明する図。
【図11】基本波成分の漏れとハイパスフィルタの特性との関係を説明する図。
【図12】本発明の第3の実施の形態にかかる超音波診断装置の概略構成を示すブロック図。
【図13】本発明の第4の実施の形態にかかる超音波診断装置の概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
11 超音波プローブ
12 送信系回路(駆動手段)
13 受信系回路(受信手段/受信処理手段)
14 位相補正処理部(位相補正手段/フレーム間データ処理手段)
15 フレーム間フィルタ処理部
16 検波器
17 対数圧縮器
18 表示器
21 フレームメモリ(位相補正手段/フィルタリング手段)
22 ハイパスフィルタ(フィルタリング手段)
35 位相補正量推定回路(推定手段)
36 位相補正器(補正手段)
39 フレーム間フィルタ処理部(フレーム間データ処理手段)
41 クロック発生部(第1、第2の駆動手段)
42 送信遅延部(第1、第2の駆動手段)
43 パルサ回路(第1、第2の駆動手段)
44 送信系フィルタ(第2の駆動手段)
45 送信切換スイッチ(指令手段)
51 プリアンプ(受信処理手段)
52 受信ビームフォーマ部(整相加算手段/受信処理手段)
53 基本波用BPF(第1のフィルタ手段)
54 非基本波用BPF(第2のフィルタ手段/抽出手段)
55 受信切換スイッチ(選択手段/指令手段)
56 切換コントローラ(指令手段/切換制御手段)
57 切換スイッチ(指令手段/操作器)
61 フレーム相関処理部(処理手段)

Claims (16)

  1. 超音波および電気量の信号を互いに双方向に変換可能なプローブと、
    超音波造影剤を投与した被検体の断層面を、前記プローブを駆動して超音波スキャンする駆動手段と、
    前記プローブの駆動に伴って当該プローブから時系列的に出力される前記超音波スキャンに呼応した電気量のエコー信号を受信する受信手段と、
    この受信手段から出力されるエコー信号から成る複数フレーム分のエコーデータに基づいて、前記断層面の各サンプル点におけるフレーム方向のエコーデータの現フレーム近傍の位相変化を順次、相殺させるように当該エコーデータ列を補正する位相補正手段と、
    この位相補正手段が位相補正した各サンプル点におけるエコーデータ列から振幅変化の少ない成分を除去するフィルタリング手段と、
    このフィルタリング手段から出力されたエコーデータに基づき前記断層面の振幅値を反映した超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、
    この画像データ生成手段が生成した画像データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記位相補正手段は、前記エコー信号列の現フレーム近傍の位相変化を当該エコーデータ列自体から推定する推定手段と、この推定手段の推定量に基づいて前記エコーデータ列の位相の変化を相殺させる補正処理手段とを備える請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記推定手段は、前記各エコーデータにおける近傍の数時系列間でのデータ同士の位相変化量を用いて前記位相変化を推定する手段である請求項2記載の超音波診断装置。
  4. 前記画像データ生成手段は、前記フィルタリング手段から時系列的に出力された信号を検波する検波器と、この検波器の出力信号を対数圧縮する対数圧縮器とを備える請求項1記載の超音波診断装置。
  5. 前記対数圧縮器と前記表示手段との間に、当該対数圧縮器の出力信号から成る複数フレーム分のデータをその各ピクセルについて重み付け加算する処理手段を介挿した請求項4記載の超音波診断装置。
  6. 前記フィルタリング手段は、前記振幅変化の少ない成分を除去するハイパスフィルタを備える請求項1記載の超音波診断装置。
  7. 超音波および電気量の信号を互いに双方向に変換可能なプローブと、
    基本波成分に対する非基本波成分のレベルを減少させて実質的にその基本波成分から成る駆動パルス信号で前記プローブを駆動して、超音波造影剤を投与した被検体の断層面を超音波スキャンする駆動手段と、
    前記プローブの駆動に伴って当該プローブから時系列的に出力される前記超音波スキャンに呼応した電気量のエコー信号を受信する受信手段と、
    この受信手段から出力されるエコー信号から成る複数フレーム分のエコーデータの、フレーム方向のエコーデータ列から振幅変化の少ない成分を前記断層面のサンプル点毎に時系列に除去するフィルタリング手段と、
    このフィルタリング手段から出力されたエコーデータに基づき前記断層面の超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、
    この画像データ生成手段が生成した画像データを表示する表示手段と、を備えことを特徴とした超音波診断装置。
  8. 前記駆動手段は、実質的に前記基本波成分のみを過させるフィルタを備え、このフィルタから出力された前記駆動パルス信号を前記プローブに供給するようにした請求項7記載の超音波診断装置。
  9. 前記フィルタリング手段は、前記振幅変化の少ない成分を除去するハイパスフィルタを備える請求項8記載の超音波診断装置。
  10. 前記受信手段は、前記エコー信号を整相加算する整相加算手段と、この整相加算手段で整相加算された信号から前記基本波成分および前記非基本波成分を各別に抽出する第1および第2のフィルタ手段と、この第1および第2のフィルタ手段の抽出信号の一方を選択して前記フィルタリング手段に供給する選択手段とを備えた請求項7記載の超音波診断装置。
  11. 超音波および電気量の信号を互いに双方向に変換可能なプローブを備えた超音波診断装置において、
    被検体に注入した超音波造影剤が超音波信号を散乱した成分に基づく第1の撮像モードおよびその超音波造影剤の超音波信号に対する非線形散乱に起因した成分に基づく第2の撮像モードの内の一方を択一的に指令する指令手段と、
    前記指令手段により前記第1の撮像モードが指令されたときに駆動パルス信号で前記プローブを駆動して被検体の断層面を超音波スキャンする第1の駆動手段と、
    前記指令手段により前記第2の撮像モードが指令されたときに基本波成分に対する非基本波成分のレベルを減少させて実質的にその基本波成分から成る駆動パルス信号で前記プローブを駆動して被検体の断層面を超音波スキャンする第2の駆動手段と、
    前記プローブの駆動に伴って当該プローブから時系列的に出力される前記超音波スキャンに呼応した電気量のエコー信号を受信して整相加算する手段を含む受信処理手段と、
    前記指令手段により前記第2の撮像モードが指令されたときに前記受信処理手段で整相加算されたエコー信号から前記非基本波成分を抽出する抽出手段と、
    前記受信処理手段により整相加算されたエコー信号から成る複数フレーム分の受信データまたは前記抽出手段により抽出された信号から成る複数フレーム分の受信データのいずれか一方に基づいて、前記断層面の各サンプル点におけるフレーム方向のエコーデータ列から振幅変化の少ない成分を除去するフィルタリング手段を含むフレーム間データ処理手段と、
    このフィルタリング手段から出力されたエコーデータに基づき前記断層面の振幅値を反映した超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、
    この画像データ生成手段が生成した画像データを表示する表示手段と、を備え、
    前記フレーム間データ処理手段は、前記指令手段により前記第1の撮像モードが指令されたときにのみ、前記受信処理手段から出力されるエコー信号から成る複数フレーム分のエコーデータに基づいて、前記断層面の各サンプル点におけるフレーム方向のエコーデータ列の現フレーム近傍の位相変化を順次、相殺させるように当該エコーデータ列を補正する位相補正手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  12. 前記位相補正手段は、前記エコー信号列の現フレーム近傍の位相変化を当該エコーデータ列自体から推定する推定手段と、この推定手段の推定量に基づいて前記エコーデータ列の位相の変化を相殺させる補正処理手段とを備える請求項11記載の超音波診断装置。
  13. 前記第2の駆動手段は、実質的に前記基本波成分のみを通過させフィルタを備え、このフィルタから出力された前記駆動パルス信号を前記プローブに供給するようにした請求項11又は12記載の超音波診断装置。
  14. 前記フィルタリング手段は、前記振幅変化の少ない成分を除去するハイパスフィルタを備える請求項11に記載の超音波診断装置。
  15. 前記指令手段は、前記第1および第2の駆動手段の出力段に共用状態で介挿された送信切換スイッチと、前記受信処理手段および前記抽出手段と前記フレーム間データ処理手段との間に介挿された受信切換スイッチと、検査者が前記第1および第2の撮像モードをマニュアルで択一的に指令可能な操作器と、この操作器への操作内容に応じて前記送信切換スイッチおよび前記受信切換スイッチを切り換える切換制御手段とを備える請求項11記載の超音波診断装置。
  16. 記振幅変化の少ない成分は、前記被検体の組織からの超音波信号の散乱に対応した信号成分であり、当該被検体の血流からの超音波信号の散乱に対応した信号の振幅成分の変化よりも小さい値である請求項1、7、又は12に記載の超音波診断装置。
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