JP4405182B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B8/00Diagnosis using ultrasonic, sonic or infrasonic waves
    • A61B8/48Diagnostic techniques
    • A61B8/481Diagnostic techniques involving the use of contrast agent, e.g. microbubbles introduced into the bloodstream

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に係り、特に、残留エコーの影響を排除することによってアーチファクトの少ない高解像度の超音波画像を得ることが可能な超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された超音波振動子から発生した超音波を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射信号を前記超音波プローブによって受信してモニタ上に表示するものである。
【0003】
この診断方法は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの2次元画像が容易に観察できるため、心臓などの機能検査や各種臓器の形態診断に広く用いられている。
【0004】
従来の超音波診断法においては、診断部位に最適な超音波周波数を選択し、この周波数を中心周波数とする超音波パルスを被検体内に放射し、この周波数とほぼ等しい超音波反射波を被検体内から受信して画像化を行なってきた。
【0005】
これに対して、近年、組織ハーモニックイメージング(以下、THIと呼ぶ)なる新しい画像化技術が開発され、臨床の場で広く普及し始めている。このイメージングは、被検体の組織において生ずる超音波非線形現象を有効に利用した方法であり、例えば、中心周波数がfoの超音波パルスを被検体内に放射した場合、被検体の組織の非線型現象によって新たに発生する2倍の高調波成分2foを受信して画像化を行なう。
【0006】
この高調波成分の発生は、被検体の組織の性状や反射部位までの伝搬距離、あるいは反射部位における超音波強度に依存し、特に、超音波強度の依存性は、従来の超音波画像においてアーチファクトの要因であったサイドローブの発生を抑えることができる。このため、高調波成分を用いた画像化方法、即ち、THIによって鮮明な画像を得ることが可能となった。
【0007】
基本波成分と高調波成分が混在した超音波反射波から、高調波成分を抽出する最も一般的な方法はフィルタリング法であるが、前記の各々の成分が広帯域である場合には夫々の周波数成分の一部は重なり合うため、フィルタリングによって高調波成分のみを精度よく抽出することは困難である。
【0008】
このような広帯域信号における高調波成分の抽出法としてパルスインバージョン法が開発された。この方法は、所定の方向に対して超音波の送受信を行なう場合に、極性の異なる2種類の超音波パルスを交互に複数回送信し、このとき得られる受信信号を加算することによって基本波成分を相殺して高調波成分のみを抽出する方法である。この方法は、高調波成分の波形が基本波成分の波形振幅の2乗に比例して形成されることに着目しており、超音波パルスの極性を反転させた場合、超音波反射波中の基本波成分も同様に反転するが、高調波成分は反転しない性質に基づいている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0009】
但し、この方法は、1回の超音波送受信(1レート)に要する時間だけ、時間差をもって同一部位からの極性の異なる受信信号を得るため、基本波成分を精度よく相殺するためには、1レート区間中において超音波反射源は静止していることが前提となっている。従って、実際の被検体にこの方法を適用した場合、体動、あるいは臓器の動きのために基本波成分が残存し、いわゆるモーションアーチファクトが発生する。
【0010】
このような問題に対して、パルスインバージョン法とフィルタ法を組み合わせ、パルスインバージョン法において残存する高調波成分を更にフィルタリング法によって低減する方法(例えば、特許文献1参照。)や、この1レート区間中の体動の移動量を、1レート前後のそれぞれの受信信号から検出し、得られた移動量に基づいて受信信号を補正した後に加算する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
【0011】
一方、心臓や腹部の超音波診断において、血管内に超音波造影剤(以下、造影剤と呼ぶ)を注入し、この造影剤からの超音波反射波を得ることによって血流状態の診断を行なう方法が普及しつつある。造影剤として、一般に微小気泡(マイクロバブル)が用いられ、このマイクロバブルは血液と比較して超音波反射係数が大きいため、比較的大きな反射波を得ることができる反面、診断に用いられる通常の超音波エネルギーが照射されることによって破砕される性質を有している。一方、破砕され難いマイクロバブルの使用、あるいはマイクロバブルの繰り返し使用は被検体に対して侵襲度が増すため好ましくない。
【0012】
即ち、マイクロバブルを用いた造影剤は、超音波照射により短時間のうちに崩壊してしまうため、血流状態を安定して観測することは困難とされてきた。このような従来の造影法の問題点に対し、造影剤が注入された被検体の同一部位に例えば2回の超音波送受信を行ない、夫々の超音波送受信によって得られた2つの受信信号を減算することによって造影剤からの超音波反射波の成分のみを感度よく抽出する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0013】
即ち、特許文献3の方法によれば、同一走査方向に対して、先ず1回目の超音波送受信を行なう。このとき、被検体内に放射された超音波パルスの一部は、造影剤や被検体組織において反射して第1の超音波反射波が得られる。一方、超音波が照射された造影剤は、その全てあるいは一部が破砕されて消失する。このため、引き続いて行なわれる2回目の超音波送受信においては、造影剤からの超音波反射波は消失あるいは著しく減弱し、一方、被検体組織からの超音波反射波は1回目とほぼ同じ大きさを有した第2の超音波反射波が得られる。従って、前記第1の超音波反射波と第2の超音波反射波に基づいた2つの受信信号との間で減算を行なうことによって造影剤からの超音波反射波の成分のみを抽出することが可能となる。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−165796号公報(第4頁、第2−5図)
【0015】
【特許文献2】
特開2001−286472号公報(第5頁、第6−9図)
【0016】
【特許文献3】
特開平8−336527号公報(第3−5頁、第1−3図)
【0017】
【非特許文献1】
阿比留巌、鎌倉友男共著「超音波パルスの非線形伝搬」信学技法、US89−23、p53、1989.
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
画像のフレーム周波数(毎秒表示される画像枚数)を高め、画像のリアルタイム性を向上するとともに、モーションアーチファクトを低減するために超音波送受信周期(以下では、レート周期と呼ぶ。)を短くした場合、深部から反射される超音波反射波が超音波プローブによって受信される前に、次の超音波パルスが放射される。このような状態のままでパルスインバージョンや造影剤のイメージングを行なった場合、異なる超音波送受信によって得られる超音波反射波が一つのレート区間中に混在するため、受信信号は完全に打ち消されずアーチファクトとして残存する。
【0019】
図16は、レート周期Trを短縮した場合に発生するアーチファクトを説明したものである。図16(a)に示した被検体のモデルでは、反射体1及び反射体3が被検体組織、又反射体2は造影剤であり、特に、反射体3に対しての超音波送受信に要する時間はレート周期Trより長い場合を想定している。そして、セクタ走査用の超音波プローブ1から放射される超音波は、レート区間▲1▼及びレート区間▲2▼で最初の走査方向(第1の走査方向)に対して超音波送受信を行ない、レート区間▲3▼及びレート区間▲4▼で隣接した第2の方向に対して超音波送受信を行なう。
【0020】
一方、図16(b)は、超音波パルスの放射タイミングを決定するレートパルスを示しており、又、図16(c)は、レート区間▲1▼乃至レート区間▲4▼における反射体1乃至反射体3からの受信信号の大きさを矢印の大きさで模式的に示している。更に、図16(d)は、レート区間▲1▼とレート区間▲2▼、及びレート区間▲3▼とレート区間▲4▼において得られる受信信号の減算結果を示している。
【0021】
即ち、レート区間▲1▼において走査方向θ1に放射した超音波パルスは、反射体1の反射点A1、反射体2の反射点A2,反射体3の反射点A3において反射し、夫々の超音波反射波は超音波プローブ1によって反射強度a11乃至a31の受信信号として検出される。
【0022】
次に、レート区間▲2▼において同一の走査方向θ1に放射した超音波パルスは、反射点A1乃至A3において反射し、反射強度a12乃至a32の受信信号が得られる。但し、レート区間▲1▼の超音波パルスが反射点A3で反射して超音波プローブ1によって受信される前に、レート区間▲2▼の超音波パルスが放射される。
【0023】
このため、反射点A3からの超音波反射波は、レート区間▲2▼において反射点A1及び反射点A2から得られる超音波反射波に混入して受信される。従って、図16(d)に示すように、レート区間▲1▼における受信信号からレート区間▲2▼における受信信号を減算した場合、反射体A1からの受信信号は相殺されるが反射点A3からの受信信号は残存する。尚、反射点A3からの超音波反射波にように、次のレート区間において受信される超音波反射波を以下では残留エコーと呼ぶ。
【0024】
一方、レート区間▲2▼において得られる造影剤からの受信信号の大きさa22は、レート区間▲1▼の超音波照射による造影剤の破砕により、レート区間▲1▼の受信信号の大きさa21に対して著しく減弱している。このため、レート区間▲1▼における造影剤からの受信信号と第2のレート区間▲2▼における造影剤からの受信信号の減算によって変化量a21−a22が検出される。
【0025】
レート区間▲1▼及びレート区間▲2▼と同様に、レート区間▲3▼及びレート区間▲4▼において得られる受信信号に対して減算を行なった場合には、残留エコーの変化量に基づく成分a32−b31と造影剤からの受信信号の変化量b21−b22が検出される。尚、レート区間▲3▼及びレート区間▲4▼において超音波パルスが照射される反射点B3はレート区間▲1▼及びレート区間▲2▼における反射点A3と異なるため、一般にa32≠b31となり、従って図16(d)に示すように、この場合も残留エコーの影響が残存する。
【0026】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、同一方向に対して複数回の超音波送受信を行なって得られる受信信号の間で加減算処理することによって、モーションアーチファクトを増加させることなく残留エコーの影響の排除を可能とした超音波診断装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の超音波診断装置は、被検体に対して設定された複数からなる超音波走査方向の各々に対して超音波パルスを送信し前記超音波走査方向からの超音波反射波を受信信号に変換する超音波振動子を備えた超音波プローブと、前記超音波走査方向の各々に対し駆動パルスの極性を交互に反転させながら前記超音波振動子を所定のレート周期で複数回駆動して前記超音波パルスを送信する超音波送信手段と、前記超音波パルスを送信する複数のレート区間にて前記被検体から得られる超音波反射波を受信する超音波受信手段と、前記超音波受信手段により最初のレート区間を除く複数のレート区間にて得られた受信信号を加算処理して前記超音波反射波の高調波成分を抽出するハーモニック抽出手段と、前記超音波反射波の高調波成分を信号処理して画像データを生成する信号処理手段と、前記画像データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0028】
又、請求項4に係る本発明の超音波診断装置は、被検体に対して設定された複数からなる超音波走査方向の各々に対して超音波パルスを送信し前記超音波走査方向からの超音波反射波を受信信号に変換する超音波振動子を備えた超音波プローブと、前記超音波走査方向の各々に対し駆動パルスの極性を交互に反転させながら前記超音波振動子を所定のレート周期で複数回駆動して前記超音波パルスを送信する超音波送信手段と、前記超音波パルスを送信する複数のレート区間及びこれらのレート区間に後続する1つあるいは複数からなる受信専用のレート区間にて前記被検体から得られる超音波反射波を受信する超音波受信手段と、前記超音波受信手段により前記レート区間にて得られた受信信号を加算処理して前記超音波反射波の高調波成分を抽出するハーモニック抽出手段と、前記超音波反射波の高調波成分を信号処理して画像データを生成する信号処理手段と、前記画像データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0029】
更に、請求項6に係る本発明の超音波診断装置は、超音波造影剤が注入された被検体に対して設定される複数からなる超音波走査方向の各々に対して超音波パルスを送信し前記超音波走査方向からの超音波反射波を受信信号に変換する超音波振動子を備えた超音波プローブと、前記超音波走査方向の各々に対し前記超音波振動子を所定のレート周期で複数回駆動して前記超音波パルスを送信する超音波送信手段と、前記超音波パルスを送信する複数のレート区間及びこれらのレート区間に後続する1つあるいは複数からなる受信専用のレート区間にて前記被検体から得られる超音波反射波を受信する超音波受信手段と、前記超音波受信手段により前記レート区間にて得られた受信信号を加減算処理して前記超音波造影剤からの超音波反射波に基づいた受信信号を抽出する造影剤反射波抽出手段と、前記受信信号を信号処理して画像データを生成する信号処理手段と、前記画像データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0030】
、請求項7に係る本発明の超音波診断装置は、超音波造影剤が注入された被検体に対して設定される複数からなる超音波走査方向の各々に対して超音波パルスを送信し前記超音波走査方向からの超音波反射波を受信信号に変換する超音波振動子を備えた超音波プローブと、前記超音波走査方向の各々に対し前記超音波振動子を所定のレート周期で複数回駆動して前記超音波パルスを送信する超音波送信手段と、前記超音波パルスを送信する複数のレート区間及びこれらのレート区間に後続する1つあるいは複数からなる受信専用のレート区間にて前記被検体から得られる超音波反射波を受信する超音波受信手段と、
前記超音波受信手段により前記レート区間にて得られた受信信号を加減算処理して前記超音波造影剤からの超音波反射波に基づいた受信信号を抽出する造影剤反射波抽出手段と、前記造影剤反射波抽出手段によって抽出された前記受信信号を信号処理して第1の画像データを生成する第1の信号処理手段と、前記超音波受信手段により前記レート区間にて得られた前記受信信号を加減算処理して被検体組織からの超音波反射波に基づいた受信信号を収集する組織反射波増強手段と、前記組織反射波増強手段によって収集された前記受信信号を信号処理して第2の画像データを生成する第2の信号処理手段と、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0031】
従って、本発明によれば、モーションアーチファクトを増加させることなく残留エコーの影響の排除を行なうことが可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態では、THIにおいて、所定の方向に対し駆動波形の極性を交互に反転させながらNx回の送受信を行なう場合、Nx−1回目の送受信によって得られる受信信号とNx回目の送受信によって得られる受信信号を加算することによって受信信号の高調波成分を抽出することを特徴としている。
【0034】
(装置の構成)
本実施の形態における装置全体の概略構成を図1のブロック図を用いて説明する。
【0035】
超音波診断装置100は、被検体に対して超音波パルス(送信超音波)を送信すると共に、超音波反射波(受信超音波)を受信信号に変換する超音波プローブ1と、超音波プローブ1に対して駆動パルスを供給すると共に、この超音波プローブ1から得られる受信信号に基づいて画像データを生成する超音波診断装置本体50を備えている。
【0036】
超音波診断装置本体50は、被検体の所定の方向に超音波パルスを放射するための駆動パルスを生成する超音波送信部2と、被検体の所定方向からの超音波反射波を受信する超音波受信部3と、この受信信号から高調波成分を抽出するためのハーモニック抽出部4と、この高調波成分から画像データを生成するための信号処理を行なう信号処理部5を備えている。
【0037】
更に、超音波診断装置本体50は、前記画像データを一旦保存した後、テレビフォーマットに変換して超音波画像として表示する画像表示部8と、操作者によって種々のコマンド信号や超音波の送受信条件などが入力される入力部7と、これら各ユニットを統括的に制御するシステム制御部6を備えている。
【0038】
超音波プローブ1は、図示しない1次元に配列された複数個(M個)の超音波振動子を、その先端部分に有し、被検体に対して先端部分を接触させ超音波の送受信を行なう。又、超音波プローブ1の超音波振動子の各々は、多芯ケーブル26を介して超音波診断装置本体50の超音波送信部2及び超音波受信部3に接続されている。超音波振動子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動信号)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、又受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。
【0039】
この超音波プローブ1には、セクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等があり、操作者は診断部位に応じて任意に選択することが可能であるが、本実施の形態の説明では、M本の超音波振動子を備えたセクタ走査用の超音波プローブ1を用いた場合について述べる。
【0040】
次に、超音波診断装置本体50の超音波送信部2は、レートパルス発生器11と、送信遅延回路12と、パルサ13を備えている。
【0041】
レートパルス発生器11は、被検体内に放射する超音波パルスの繰り返し周期(レート周期)を決定するレートパルスを発生して送信遅延回路12に供給する。次いで、送信遅延回路12は、送信に使用される超音波振動子と同数のMチャンネルの独立な遅延回路から構成され、超音波パルスを所定の深さに集束するための集束用遅延時間と、超音波パルスを所定の方向に送信するための偏向用遅延時間を受信したレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ13に供給する。又、パルサ13は、送信遅延回路12と同数のMチャンネルの独立な駆動回路を有しており、超音波プローブ1に内蔵された超音波振動子を駆動し、被検体内に超音波パルスを放射する。
【0042】
パルサ13は、送信遅延回路12と同数のMチャンネルの独立な駆動回路を有しており、超音波プローブ1に内蔵された超音波振動子を駆動し、被検体内に超音波を放射する。このMチャンネルのパルサ13の各々は、送信遅延回路12からの出力信号によって正極性の駆動パルスを発生するパルサ13aと、負極性の駆動パルスを発生するパルサ13bとが対になって構成されており、パルサ13bの駆動波形は、パルサ13aの駆動波形を反転させたものとなっている。
【0043】
一方、超音波受信部3は、プリアンプ14と、A/D変換器15と、ビームフォーマ16と、加算器25を備えている。プリアンプ14は、超音波振動子によって電気的な受信信号に変換された微小信号を増幅し、十分なS/Mを確保するように設計されており、このプリアンプ14において所定の大きさに増幅された受信信号の基本波成分及び高調波成分は、A/D変換器15にてデジタル信号に変換され、ビームフォーマ16に送られる。
【0044】
ビームフォーマ16は、所定の深さからの超音波反射波を集束するための集束用遅延時間と、超音波反射波の受信指向性を順次変更して被検体を走査するための偏向用遅延時間をデジタル信号に変換された受信信号に与え、加算器25は、これらビームフォーマ16からの出力を整相加算(所定の方向から得られた受信信号を位相を合わせて加算)する。
【0045】
ハーモニック抽出部4は、波形メモリ17と、加算器18と、フィルタ回路19を備えており、波形メモリ17は、所定の方向におけるNx−1回目の送受信によって得られる受信信号を一旦記憶する。又加算器18は、前記所定の方向におけるNx回目の送受信によって得られる受信信号と、前記波形メモリ17に保存されている受信信号を加算し、基本波成分の相殺を行なう。
【0046】
一方、フィルタ回路19は、臓器の動きや体動などが原因で、パルスインバージョン法では消去させることができなかった基本波成分を低減するフィルタであり、一般には、バンドパスフィルタ(BPF)、あるいはハイパスフィルタ(HPF)で構成される。
【0047】
次に、信号処理部5は、包絡線検波器20と対数変換器21とを備えており、ハーモニック抽出部4の出力信号に対して信号処理を行ない画像データの生成を行なう。そして、包絡線検波器20は、入力された受信信号に対して包絡線検波の演算を行ない、その包絡線を検出する。又、対数変換器21は、入力値を対数変換して出力するルックアップテーブルを備え、この対数変換器21において受信信号の振幅を対数変換して弱い信号を相対的に強調する。一般に、被検体内からの受信信号は、80dB以上の広いダイナミックレンジをもった振幅を有しており、これを30dB程度のダイナミックレンジをもつ通常のテレビモニタに表示するには、弱い信号を強調する振幅圧縮が必要となる。
【0048】
一方、画像表示部8は、表示用画像メモリ22と、変換回路23と、CRTモニタ24とを備えている。表示用画像メモリ22には、信号処理部5から供給される画像データと、この画像データに関連する文字や数字などの付帯データが合成されて一旦保存され、保存された画像データと付帯データは、変換回路23においてD/A変換とテレビフォーマット変換が行なわれてCRTモニタ24に表示される。
【0049】
入力部7は、操作パネル上に液晶表示パネルやキーボード、トラックボール、マウス等の入力デバイスを備え、操作者は、この入力部7より患者情報やレート周期Trなどの送受信条件の入力、あるいは画像表示モードの選択などを行なう。又、パルスインバージョンを用いたTHIにおける画像データの生成開始コマンドや、送受信回数Nxの設定の際の重み付け係数Kについても入力する。
【0050】
システム制御部6は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部7からの指示信号に基づいて超音波送信部2、超音波受信部3、ハーモニック抽出部4、画像表示部8などの各ユニットの制御やシステム全体を統括して制御する。特に本実施の形態では、パルサ13における駆動パルスの極性の切り換え制御信号を超音波送信部2に、又、フィルタ回路19における中心周波数や周波数帯域などのフィルタ特性を決定するための制御信号や、波形メモリ17及び加算器18における加算制御信号をハーモニック抽出部4に供給する。
【0051】
(画像データの生成手順)
次に、図1乃至図7を用いて第1の実施の形態における画像データの生成手順を説明する。尚、図2は画像データの生成手順を示すフローチャートである。
【0052】
装置の操作者は、入力部7において本実施の形態を実行する画像表示モード、即ちインバージョンパルスを用いたTHIモードを選択し、更に、このTHIモードによる画像化範囲(セクタ角度と視野深度)やレート周期などの送受信条件を設定する(図2のステップS1)。システム制御部6は、入力部7から撮影表示モードの開始コマンド信号や送受信条件の入力を受け、更に超音波プローブ1からプローブID情報を読み取る。
【0053】
一方、システム制御部6の図示しない記憶回路には、受信信号の最大受信時間Thが各々のプローブIDに対応して予め保存されており、システム制御部6は、超音波プローブ1から送られるプローブIDに対応する最大受信時間Thと、レート周期Trを読み出す。そして、システム制御部6のCPUは、同一方向に対して極性を交互に反転させながら行なう超音波送受信回数Nxを式(1)に基づいて算出する(図2のステップS2)。
【0054】
NX=[Th/Tr]+1…(1)
但し、式(1)の[]は小数点以下を切り上げて整数とすることを意味し、例えば、1<Th/Tr≦2ならばNX=3となる。以下では、NX=3の場合における本実施の形態について述べる。
【0055】
図3は、超音波プローブ1の送信エネルギーなどによって決定される受信信号の最大受信時間Thとレート周期Trとの関係を示した図であり、図3(a)は、レートパルス発生器11よりレート周期Trで繰り返し出力されるレートパルス、図3(b)は、このレートパルスによってパルサ13より出力される超音波振動子の駆動パルスを示す。又、図3(c)は、駆動パルスによる超音波振動子の駆動によって行なわれる超音波の送受信において得られる画像データを示している。即ち、被検体の深部からの反射や多重反射等のために、受信信号の最大受信時間Thがレート周期Trより長い場合には、図3(c)に示すように、第2の駆動パルスによって超音波の送受信が行なわれる第2のレート区間においても、第1の駆動パルスによる受信信号が残留エコーとして受信される。
【0056】
超音波送受信回数NXの設定が終了したならば、システム制御部6は、このプローブID情報に基づいて、システム制御部6の記憶回路に予め保存されている超音波プローブ1の超音波周波数や周波数帯域に関する情報を読み出し、この情報に基づいてハーモニック抽出部4のフィルタ回路19における中心周波数や帯域幅、更には遮断帯域における減衰量などのフィルタ特性を設定する。
【0057】
例えば、超音波プローブ1を構成する超音波振動子の共振周波数がfoの場合には、バンドパスフィルタで構成されるフィルタ回路19の通過帯域の中心周波数を2foに設定する。尚、このTHIモード以外の場合には、ハーモニック抽出部4を図示しない電子スイッチによってバイパスするように構成してもよい。
【0058】
THIモードの設定が終了したならば、操作者によりTHIモードの開始コマンドが入力部7からシステム制御部6に送られ、画像データ(ハーモニック画像データの生成が開始される(図2のステップS3)。
【0059】
超音波の送信に際して、レートパルス発生器11は、システム制御部6からの制御信号に従って、被検体内に放射する超音波パルスのレート周期Trを決定するレートパルスを送信遅延回路12に供給する。送信遅延回路12は、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに超音波を集束するための遅延時間と、最初の走査方向θ1に超音波を放射するための遅延時間を第1のレート区間のレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ13aに供給する。
【0060】
次いで、パルサ13aは、供給されたレートパルスに基づいて生成した正極性の駆動パルスによって超音波プローブ1の超音波振動子を駆動し、被検体に中心周波数foの超音波パルスを放射する(図2のステップS4)。この送信遅延回路12及びパルサ13は、Mチャンネルから構成されており、多芯ケーブル26を介して超音波プローブ1の超音波振動子の各々に独立に接続されている。
【0061】
被検体内に放射された超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体の臓器境界面、あるいは組織にて反射する。この場合、反射された超音波は被検体組織の非線型特性により、中心周波数が2foの超音波反射波が新たに発生する。即ち、被検体の組織にて反射して超音波プローブ1に戻る超音波反射波は、送信時と同じ中心周波数foの受信信号(基本波成分)と、中心周波数が2foの受信信号(高調波成分)が混在したものとなる。
【0062】
この高調波の発生原因は、超音波パルスの被検体組織内の伝播速度が超音波の音圧に依存するためであり、この性質のために受信信号に波形歪が生じ、高調波成分が発生することが知られている。この高調波成分のみを用いて超音波画像データを得ることによって、従来、画像上に発生するアーチファクトの主要因であったサイドローブが抑制できるため良好な画像が得られる。
【0063】
図4に、このとき受信される超音波信号の周波数スペクトラムを示す。図4(a)は、被検体内に送信される超音波パルスの周波数スペクトラムであり、foを中心に分布している。これに対して、図4(b)に示した被検体内からの超音波反射波の周波数スペクトラムは、foを中心に分布する基本波成分と、2foを中心に分布する高調波成分を有し、一般に、高調波成分は、基本波成分に対して約20dB小さい。
【0064】
ところで、超音波診断装置100では、高分解能の画像を得るために広帯域の周波数スペクトルを有する超音波パルスを用いるため、超音波反射波の基本波成分及び高調波成分も広帯域となり、図4に示すように基本波成分の高域部分と高調波成分の低域部分は周波数領域では分離されない場合が多い。
【0065】
尚、前記第1の駆動パルスによる超音波の送信は、その残留エコーを、後述する第2のレート区間において受信することを目的に行なうものであり、第1のレート区間における受信信号を画像データとして収集保存する必要はない。
【0066】
次に、システム制御部6は、超音波送信部2に制御信号を送り、使用するパルサ13をパルサ13aからパルサ13bに切り換え、第1の走査方向θ1に対して負極性の駆動パルスを用いて超音波の送受信を行なう。即ち、レートパルス発生器11は、第2のレート区間のレートパルスを送信遅延回路12に供給し、送信遅延回路12は、第1のレート区間のレートパルスの場合と同様のビーム集束用遅延時間と、θ1方向に超音波を送信するための偏向用遅延時間を第2のレート区間のレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ13bに供給する。
【0067】
パルサ13bは、負極性の駆動パルスによって超音波プローブ1の超音波振動子を駆動して被検体に超音波パルスを放射し、放射された超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体の臓器境界面、あるいは組織にて反射する。
【0068】
被検体内にて反射された超音波反射波は、送信時と同じ超音波プローブ1によって受信されて超音波反射波から電気的な受信信号に変換され、超音波受信部3のプリアンプ14にて所定の大きさに増幅された後、A/D変換器15にてデジタル信号に変換される。更に、デジタル信号に変換された受信信号は、ビームフォーマ16にて、システム制御部6からの制御信号に基づいて所定の遅延時間が与えられた後、加算器25において加算合成される。
【0069】
このとき、ビームフォーマ16では、所定の深さからの超音波反射波を集束するための遅延時間と、超音波反射波に対して第1の走査方向θ1の方向に強い受信指向性をもたせるための遅延時間が、システム制御部6からの制御信号によって設定される。
【0070】
加算器25において合成された受信信号のうち、第2のレート区間のレートパルスからレート周期Trの間に受信される受信信号はハーモニック抽出部4の波形メモリ17に保存される(図2のステップS5)。但し、このとき保存される受信信号には図3に示したように、第1の駆動パルスによる残留エコーが混在している。
【0071】
次いで、システム制御部6は、超音波送信部2のパルサ13bを再びパルサ13aに切り換え、同一方向(θ1)に対して超音波の送受信を行なう。即ち、レートパルス発生器11は、第3のレート区間のレートパルスを送信遅延回路12に供給し、送信遅延回路12は、第1のレート区間及び第2のレート区間のレートパルスの場合と同様の集束用遅延時間と、偏向用遅延時間を第3のレート区間のレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ13aに供給する。
【0072】
パルサ13aは、正極性の駆動パルスによって超音波プローブ1の超音波振動子を駆動して被検体に超音波パルスを放射する。そして、被検体内から反射した超音波反射波は、超音波プローブ1によって受信されて受信信号に変換され、超音波受信部3のプリアンプ14、A/D変換器15、ビームフォーマ16を介して加算器25に供給されて加算合成される(図2のステップS6)。
【0073】
加算器25において合成された受信信号のうち、第3のレート区間のレートパルスからレート周期Trの間に受信される受信信号はハーモニック抽出部4の加算器18に送られる。但し、この場合にも、第3のレート区間のレートパルスからレート周期Trの間に受信される受信信号には第2の駆動パルスによる残留エコーが混在している。システム制御部6は、第2の駆動パルスによる受信信号を波形メモリ17から読み出し、この受信信号と前記第3の駆動パルスによる受信信号を加算器18において加算合成する(図2のステップS7)。
【0074】
このようにして、負極性の駆動パルスによって得られる受信信号と、正極性の駆動パルスによって得られる受信信号は加算器18において加算され、その出力はフィルタ回路19に送られる。更に、フィルタ回路19の出力は信号処理部5に送られ、包絡線検波器20、及び対数変換器21において包絡線検波と対数変換とがなされて画像データが生成される(図2のステップS8)。そして、生成された画像データは、画像表示部8の表示用画像メモリ22に一旦保存される。
【0075】
上述の手順にて、第1の走査方向θ1におけるハーモニック画像データの生成と保存が終了したならば、超音波の送受信方向をΔθずつ順次更新させながらθp=θ1+(p−1)Δθ(p=2〜P)に偏向し、前記と同様な手順で超音波の送受信を行なう。このとき、システム制御部6は、その制御信号によって送信遅延回路12及びビームフォーマ16の遅延時間を超音波送受信方向に対応させて順次切り替えながら、画像データを生成する(図2のステップS4乃至S10)。
【0076】
このようにして、第1の走査方向θ1乃至第Pの走査方向θPに対して超音波によるセクタ走査を行ない、1枚分の画像データの生成が終了したならば、システム制御部6は、表示用画像メモリ22に保存されている画像データを読み出し、変換回路23を介してCRTモニタ24に表示する(図2のステップS11)。
【0077】
次に、本実施の形態における基本波成分の残留エコーの除去につき図5を用いて説明する。
【0078】
図5(a)に示すように、セクタ走査用の超音波プローブ1から放射される超音波は第1のレート区間▲1▼乃至第3のレート区間▲3▼で第1の走査方向θ1の超音波送受信を行ない、次に、第4のレート区間▲4▼乃至第6のレート区間▲6▼でその隣接部の第2の走査方向θ2(θ2=θ1+Δθ)における超音波送受信を行なう。この被検体のモデルにおいても図16と同様に、反射体1乃至反射体3が超音波送受信方向に位置し、特に、反射体3に対しての超音波送受信に要する時間はレート周期Trより長い場合を想定している。
【0079】
一方、図5(b)は、超音波振動子の超音波パルスの駆動タイミングを決定するレートパルスを示し、図5(c)は第1のレート区間▲1▼乃至第6のレート区間▲6▼において、前記複数の反射体1,2,3からの受信される受信信号の基本波成分の大きさと極性を矢印によって模式的に示している。但し、この場合の極性は、便宜上、正極性の駆動パルスによって得られる反射信号は+の極性で示し、負極性の駆動パルスによって得られる反射信号は−の極性で示している。
【0080】
そして、図5(d)は、第2のレート区間▲2▼と第3のレート区間▲3▼において得られる夫々の受信信号の基本波成分の加算結果と、第5のレート区間▲5▼と第6のレート区間▲6▼において得られる受信信号の基本波成分の加算結果を示している。この場合、例えば、第1の駆動パルス、第3の駆動パルス、第4の駆動パルス及び第6の駆動パルスはパルサ13aを用い、超音波振動子を正極性の駆動パルスによって駆動する。一方、第2の駆動パルス、及び第5の駆動パルスはパルサ13bを用い、超音波振動子を負極性の駆動パルスによって駆動する。
【0081】
即ち、正極性の駆動パルスによって第1の走査方向θ1に放射した超音波パルスは反射点A1乃至A3において反射され、反射強度が夫々a1+、a2+、a3+の正極性を有する基本波成分が受信される。
【0082】
次いで、同じ走査方向θ1に対して負極性の駆動パルスによって放射する超音波パルスは、反射点A1乃至A3において反射強度a1−、a2−、a3−の負極性を有する基本波成分が反射され、超音波振動子によって受信される。但し、第1の駆動パルスによる反射点A3からの反射信号a3+が受信される前に、第2の駆動パルスによる超音波パルスが放射されるため、反射点A3からの受信信号a3+は第2の駆動パルスによる反射点A1からの受信信号a1−などに混入して受信される。即ち、第2のレート区間▲2▼においては、反射体A1及び反射体A2から反射する負極性の受信信号a1−とa2−に混入して反射体A3からの正極性の受信信号a3+が受信される。
【0083】
更に、同じ走査方向θ1に対して、正極性の第3の駆動パルスによって放射される超音波パルスは、第1の駆動パルスの場合と同様にして、反射点A1乃至A3にて反射し、反射強度a1+、a2+及びa3+の正極性を有する基本波成分が受信信号として得られる。この場合も、第3のレート区間▲3▼において反射体A1及び反射体A2から反射する正極性の受信信号a1+とa2+に混入して反射体A3からの負極性の受信信号a3−が受信される。
【0084】
このようにして、受信される第2のレート区間▲2▼の基本波成分a1−、a2−及びa3+と第3のレート区間▲3▼の基本波成分a1+、a2+及びa3−は、夫々のレート区間内の同じ位置に極性を反転して生ずるため、図5(d)に示すように、これらの受信信号を加算した場合には、全ての基本波成分を相殺することが可能となる。
【0085】
超音波の送受信方向が第2の走査方向θ2の場合においても、第4のレート区間▲4▼乃至第6のレート区間▲6▼において同様な効果を得ることができる。即ち、正極性の第4の駆動パルスによってθ2方向に放射した超音波パルスは、反射点B1,B2及びB3において反射することによってb1+、b2+及びb3+の基本波成分を有する受信信号が得られる。
【0086】
次に、同じ走査方向θ2に対して負極性の第5の駆動パルスによって放射する超音波パルスは反射点B1,B2及びB3において反射し、b1−、b2−及びb3−の基本波成分を有する受信信号が受信される。但し、第4の駆動パルスによる反射点A3からの反射信号が受信される前に、第5の駆動パルスによって次の超音波パルスが放射されるため、第4のレート区間▲4▼においては、反射体B1及び反射体B2から反射する負極性の受信信号b1−及びb2−に混入して、反射体A3からの正極性の受信信号b3+が受信される。
【0087】
更に、走査方向θ2に対して、正極性の第6の駆動パルスによって放射する超音波パルスは、第4の駆動パルスの場合と同様に、反射点B1乃至B3からは反射強度b1、b2及びb3で正極性の基本波成分が受信信号として得られる。この場合も、第6のレート区間▲6▼においては反射体B1及び反射体B2から反射する正極性の受信信号b1+及びb2+に混入して反射体B3からの負極性の受信信号b3−が受信される。従って、図5(d)に示すように第5のレート区間▲5▼と第6のレート区間▲6▼において得られる夫々の受信信号を加算することによって基本波成分を除去することができる。
【0088】
以上の説明では基本波成分についてのみ説明したが、高調波成分については駆動波形の極性によらずに同じ極性の受信信号が得られることは周知のとおりである。
【0089】
図6は、パルスインバージョン法における基本波成分及び高調波成分の極性と、各成分の加算結果について示した図であり、図6(a)に示す基本波の受信信号は、既に述べたように正極性の駆動パルスの場合(図6(a)−1)と負極性の駆動パルスの場合(図6(a)−2)では極性が反転するため、両者を加算することによって相殺することができる(図6(a)−3)。
【0090】
一方、このとき得られる高調波の受信信号は、正極性の駆動パルスの場合(図6(b)−1)、及び負極性の駆動パルスの場合(図6(b)−2)において得られる受信信号の極性は変らないため、これらを加算することによって振幅は2倍に増大する(図6(b)−3)。
【0091】
ところで、残留エコーの影響を排除するために、従来は、レート区間を長く設定する方法が採られてきた。この従来方法にパルスインバージョン法を適用した場合の問題点は、体動などによるモーションアーチファクトが発生し易いことである。この問題点に対する本実施の形態の効果について図7を用いて説明する。
【0092】
図7(a)は本実施の形態による残留エコーの対策方法を、又、図7(b)は従来のレート間隔を長くした残留エコーの対策方法について示している。尚、ここでは受信波の最大受信時間(Td)がレート周期Trの約2倍(2Tr)の場合について従来法と比較する。即ち、本実施の形態では、加算に用いられる受信信号、即ち、第2の駆動パルスと第3の駆動パルスによって得られる夫々の受信信号の時間差はTrとなる。これに対して従来法では、レート周期が2Trとなるため、加算に必要な第1の駆動パルスによる受信信号と第2の駆動パルスによる受信信号の時間差も2Trとなり、本実施の形態の場合より体動などの影響を受けやすい。
【0093】
このような方法を用いた、本発明の第1の実施の形態によれば、パルスインバージョン法によって高調波成分を抽出する際に、加算に用いる受信信号間の時間差を短くすることができるため、モーションアーチファクトを増加させることなく残留エコーを除去することが可能である。
【0094】
又、本実施の形態においてはフィルタリング法を併用しているため、モーションアーチファクトとして残存した残留エコーの基本波成分を更に低減することができる。
【0095】
(第1の実施の形態の変形例)
次に、本実施の形態の変形例について述べる。前述の第1の実施の形態においては、被検体の深部に大きな反射体がある場合、あるいは多重反射が著しい場合の残留エコーを完全に除去するには、受信信号の最大受信時間Thを大きな値に設定する必要がある。しかしながら、Thの増大は、同一方向の超音波送受信回数Nを増加させ、フレーム周波数の低下を招く。
【0096】
このように、残留エコーとフレーム周波数はトレードオフの関係があるため、最適なNxの値は臨床の場において装置の操作者が設定することが望ましい。本変形例では、超音波送受信回数Nxは下式(2)に基づいて設定される。
【0097】
Nx=[Th×K/Tr]+1 (0<K≦1) …(2)
但し、式(1)と同様にして、式(2)のThは超音波振動子が駆動されてから超音波反射波が完全に消失するまでの最大受信時間を示し、[]は小数点以下を切り上げて整数とすることを意味する。一方、Kは重み付け係数であり、操作者は、この値を入力部7より設定することが可能な構成になっている。例えば、循環器領域における超音波診断のように、残留エコーの低減より画像のリアルタイム性を重視する場合には、操作者は入力部7より比較的小さなKの値を入力する。
【0098】
以上述べた変形例によれば、パルスインバージョンを用いたハーモニックエコー法において、操作者は、フレーム周波数と残留エコーに対する最適化を画像観察下で容易に行なうことが可能となる。
【0099】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、所定の方向に対して駆動パルスの極性を交互に反転させて2回の送受信を行なった後、新たな超音波の送信を停止し、レート区間を超えて受信される深部からの反射波や多重反射波の受信のみを継続して行なう。そして、同一の方向において得られた受信信号の全てを加算することによって残留エコーの影響を除去する。
【0100】
この第2の実施の形態における装置全体の構成は、第1の実施の形態において示した図1と同様であるため、その詳細な説明は省略し、画像データの生成手順について図8乃至図9を用いて説明する。但し、図8は画像データの生成手順を示すフローチャートである。
【0101】
操作者は、入力部7においてTHIモードを選択し、更にこのTHIモードにおける送受信条件を設定する(図8のステップS21)。システム制御部6は、入力部7から画像表示モードの選択信号や送受信条件を受け、更に超音波プローブ1からプローブID情報を読み取る。
【0102】
一方、システム制御部6の記憶回路には、受信信号の最大受信時間Thが各々のプローブIDに対応して予め保存されており、システム制御部6は、超音波プローブ1から送られるプローブIDに対応する最大受信時間Thと、入力部7にて設定される送受信条件から決定されるレート周期Trを読み出す。そして、同一方向に対して極性を交互に反転させて行なう2回の超音波送受信の他に、受信のみを行なう超音波受信回数Nyを式(3)によって設定する(図8のステップS22)。
【0103】
Ny=[Th/Tr]−1 …(3)
但し、式(3)の[]は小数点以下を切り上げて整数とすることを意味し、例えば、1<Th/Tr≦2ならばNy=1となる。以下では、Ny=1の場合における本実施の形態について述べる。
【0104】
Nyの設定が終了したならば、システム制御部6は、このプローブID情報に基づいて、予めシステム制御部6の記憶回路に保存されている超音波プローブ1の超音波周波数や周波数帯域に関する情報を読み出し、この情報に基づいてハーモニック抽出部4のフィルタ回路19における中心周波数や帯域幅、更には遮断帯域における減衰量などのフィルタ特性を設定する。
【0105】
THIモードの設定が終了したならば、操作者によりTHIモードの撮影開始コマンドが入力部7からシステム制御部6に送られ、超音波の送受信が開始される(図8のステップS23)。
【0106】
超音波の送信に際して、レートパルス発生器11は、システム制御部6からの制御信号に従ってレートパルスを送信遅延回路12に供給する。この送信遅延回路12は、送信時の集束用遅延時間と偏向用遅延時間を第1のレート区間のレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ13aに供給する。
【0107】
パルサ13aは、正極性の駆動パルスによって超音波プローブ1の超音波振動子を駆動し、被検体に超音波パルスを放射する。そして、被検体にて反射された超音波反射波は、前記超音波振動子によって受信されて電気的な受信信号に変換される。この受信信号は、超音波受信部3のプリアンプ14にて所定の大きさに増幅された後、A/D変換器15にてデジタル信号に変換され、更に、ビームフォーマ16にてシステム制御部6からの制御信号に基づいて所定の遅延時間が与えられた後、加算器25において加算合成される。
【0108】
そして、加算器25において合成された受信信号のうち、第1のレート区間で受信される受信信号は、ハーモニック抽出部4の波形メモリ17に保存される。(図8のステップS24)。
【0109】
次に、システム制御部6は、超音波送信部2に制御信号を送り、使用するパルサ13をパルサ13aからパルサ13bに切り換えて同一の走査方向θ1に対して超音波の送受信を行なう。即ち、レートパルス発生器11は、第2のレート区間のレートパルスを送信遅延回路12に供給し、この送信遅延回路12は、第1のレート区間のレートパルスの場合と同様の集束用遅延時間と、走査方向θ1に超音波を送信するための偏向用遅延時間を第2のレート区間のレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ13bに供給する。
【0110】
パルサ13bは、負極性の駆動パルスによって超音波振動子を駆動して被検体に超音波パルスを放射し、放射された超音波の一部は音響インピーダンスの異なる被検体の臓器境界面や組織にて反射する。
【0111】
被検体にて反射された超音波反射波は、前記超音波振動子によって受信されて超音波反射波から電気的な受信信号に変換され、超音波受信部3のプリアンプ14にて所定の大きさに増幅された後、A/D変換器15にてデジタル信号に変換される。更に、この受信信号は、ビームフォーマ16にて所定の遅延時間が与えられた後、加算器25において加算合成される。
【0112】
加算器25において合成された受信信号のうち、第2のレート区間で受信される受信信号は波形メモリ17に保存される。但し、このとき保存される受信信号には図3において示したように、第1の駆動パルスによる残留エコーが混在している(図8のステップS25)。
【0113】
次いで、システム制御部6は、第3のレート区間においてパルサ13の駆動を一旦停止し、同一の走査方向θ1に対しての超音波の受信のみを行なう。このとき、被検体内からの超音波反射波は、第2の駆動パルスによる残留エコーであり、この超音波反射波は超音波振動子によって受信されて受信信号に変換され、超音波受信部3のプリアンプ14、A/D変換器15、ビームフォーマ16を介して加算器25に供給され、加算合成される(図8のステップS26)。
【0114】
この加算器25において合成された受信信号のうち、第3のレート区間で受信される受信信号は波形メモリ17を通過し加算器18に送られる。加算器18は、既に波形メモリ17に保存されている第1のレート区間の受信信号と第2のレート区間の受信信号を読み出し、第3のレート区間の受信信号と加算合成を行なう。(図8のステップS27)。
【0115】
次に、加算器18の出力は、ハーモニック抽出部4のフィルタ回路19に送られ、体動など反射体の時間的変化のためにパルスインバージョンでは完全に除去することができなかったモーションアーチファクト成分の低減を行なう。このフィルタ回路19の出力は信号処理部5に送られ、包絡線検波器20と対数変換器21において包絡線検波と対数変換とがなされ、得られた画像データは画像表示部8の表示用画像メモリ22に一旦保存される(図8のステップS28)。
【0116】
上述の手順にて、第1の走査方向θ1におけるハーモニック画像データの生成と保存が終了したならば、超音波の送受信方向をΔθずつ順次更新させながら走査方向θp=θ1+(p−1)Δθ(p=2〜P)に対して前記と同様な手順で超音波の送受信を行なう。このとき、システム制御部6は、その制御信号によって送信遅延回路12及びビームフォーマ16の遅延時間を前記超音波送受信方向に対応させて順次切り替えながら、画像データを生成する(図8のステップS24乃至S30)。
【0117】
このようにして、1枚分の画像データの生成が終了したならば、システム制御部6は、表示用画像メモリ22に保存されている画像データを読み出し、変換回路23を介してCRTモニタ24にて表示する(図8のステップS31)。
【0118】
次に、上述の第2の実施の形態における残留エコーの基本波成分除去につき図9を用いて説明する。
【0119】
図9(a)に示すセクタ走査用超音波プローブ1は、第1のレート区間▲1▼乃至第3のレート区間▲3▼で第1の走査方向θ1の超音波送受信を行ない、第4のレート区間▲4▼乃至第6のレート区間▲6▼で隣接した第2の走査方向θ2における送受信を行なう。この被検体のモデルにおいても、既に示した図5や図10と同様に、反射体1乃至反射体3が超音波送受信方向に位置し、特に、反射体3に対しての超音波送受信に要する時間はレート周期Trより長い場合を想定している。
【0120】
一方、図9(b)は、超音波パルスの放射タイミングを決定するレートパルスを示し、図9(c)は、第1のレート区間▲1▼乃至第6のレート区間▲6▼において前記複数の反射体から受信される基本波成分の大きさと極性を矢印によって模式化して示している。又、図9(d)は、第1のレート区間▲1▼乃至第3のレート区間▲3▼において受信される基本波成分の加算結果と、第4のレート区間▲4▼乃至第6のレート区間▲6▼において受信される基本波成分の加算結果を示している。
【0121】
この場合、例えば、第1のレート区間▲1▼と第4のレート区間▲4▼においては、パルサ13aを用いて超音波振動子を正極性の駆動パルスによって駆動し、第2のレート区間▲2▼及び第5のレート区間▲5▼は負極性の駆動パルスによって駆動を行なう。又、第3のレート区間▲3▼及び第6のレート区間▲6▼は新たな超音波パルスの放射は行なわず、第2の駆動パルス及び第5の駆動パルスによる残留エコーのみを受信する。
【0122】
即ち、第1のレート区間▲1▼において、正極性の駆動パルスによってθ1方向に放射した超音波パルスは反射点A1乃至A3において反射し、反射強度がa1+、a2+及びa3+の正極性を有する基本波成分が受信される。
【0123】
次に、第2のレート区間▲2▼においては、同じθ1方向に対し負極性の駆動信号によって超音波パルスを放射する。このとき、反射点A1乃至A3からは負極性を有する基本波成分a1−、a2−及びa3−が得られる。但し、第1の駆動パルスによる反射点A3からの反射信号が受信される前に、第2のレート区間▲2▼において新たな超音波パルスが放射されるため、この反射点A3からの反射信号は残留エコーとして第2のレート区間▲2▼において受信される。即ち、第2のレート区間▲2▼においては、反射体A3からの正極性の受信信号a3+が反射体A1及び反射体A2から反射する負極性の受信信号a1−及びa2−に混入して受信される。
【0124】
次の第3のレート区間▲3▼では超音波の送信は停止し、θ1方向に対しての受信のみを行なう。従って、このとき得られる受信信号は第2のレート区間▲2▼において受信できなかった反射体A3からの残留エコーa3−のみである。
【0125】
このようにして得られた第1のレート区間▲1▼、第2のレート区間▲2▼及び第3のレート区間▲3▼の受信信号は、加算器18において加算合成されることによって図9(d)に示すように、受信信号の基本波成分を除去することが可能となる。同様にして、第2の走査方向θ2についても第4のレート区間▲4▼乃至第6のレート区間▲6▼において超音波の送受信方法を行なうことによって、受信信号の基本波成分の除去が可能となる。
【0126】
以上述べた本発明の第2の実施の形態によれば、パルスインバージョン法によって高調波成分を抽出する際に、加算に用いる受信信号間の時間差を短くすることができるため、モーションアーチファクトを増加させることなく残留エコーを除去することが可能である。更に、所定方向において受信信号を収集するレート区間中、超音波パルスの照射は2回のみであるため、被検体に照射する超音波エネルギーを低減することが可能である。例えば、第1の実施の形態と比較すれば超音波照射エネルギーを2/Nxに減らすことができる。
【0127】
又、本実施の形態においてもフィルタリング法を併用しているため、モーションアーチファクトとして残存した残留エコーの基本波成分を更に低減することが可能である。尚、第1の実施の形態において述べた変形例を本実施の形態に適用することによって同様な効果が得られる。
【0128】
更に、上述の実施の形態では受信信号における高調波成分を抽出する方法について述べたが、連続する各レート区間の受信信号に対して減算を行なうことによって基本波成分を抽出することも可能である。
【0129】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、同極性の駆動信号を用い、第1のレート区間及び第2のレート区間において同一方向に対し2回の送受信を行なう。そして、この超音波送受信に引き続いた第3のレート区間以降でNy回の超音波受信を行なって前記方向からレート区間を超えて得られる残留エコーのみの受信を継続して行なう。
【0130】
次いで、前記Ny+2のレート区間において得られた受信信号を加減算することによって残留エコーを含む被検体組織から得られる受信信号を相殺して造影剤からの受信信号に基づく画像データの生成を行なう。
【0131】
尚、以下では、説明を簡潔にするために造影剤からの超音波反射波に基づく受信信号は造影剤からの受信信号と、また被検体組織からの超音波反射波に基づく受信信号は被検体組織からの受信信号と記す。
【0132】
(装置の構成)
本実施の形態における装置全体の概略構成を図10のブロック図を用いて説明する。図10に示した第2の実施の形態における超音波診断装置100において、既に図1に示した第1の実施の形態との差異は、ハーモニック抽出部4の代わりに造影剤からの超音波反射波に基づく受信信号を抽出する造影剤反射波抽出部4Aと、抽出された受信信号に基づいて画像データを生成する信号処理部5Aが備えられていることである。
【0133】
造影剤反射波抽出部4Aは、波形メモリ17Aと、演算器18Aと、フィルタ回路19Aを備えている。そして、波形メモリ17Aは、所定の方向に対して2回の超音波送受信によって得られる受信信号と、この超音波送受信に引き続いて行われるNy回の超音波受信によって得られる受信信号を保存する。又、演算器18Aは、前記所定の方向に対して得られた前記受信信号に対して加減算処理を行ない、被検体組織からの受信信号の相殺を行なう。
【0134】
一方、フィルタ回路19Aは、造影剤から得られた受信信号に含まれている基本波成分とその高調波成分の分離を行なうためのフィルタ回路である。特許文献3にも記載されているように、中心周波数がfoの超音波パルスを被検体組織あるいは造影剤に照射した場合、非線型現象によって例えば2倍の高調波成分(2fo)が新たに発生し、この高調波成分は、基本波成分(fo)とともに超音波プローブ1によって受信されることが知られている。
【0135】
尚、フィルタ回路19Aは、波形メモリ17Aの前段に配置してもよい。この場合、各レート区間において得られた被検体組織及び造影剤からの受信信号は、フィルタ回路19において基本波成分あるいは高調波成分が選択されて波形メモリ17Aに保存される。そして、演算器18Aは、保存された受信信号に対して加減算を行なって造影剤からの受信信号を抽出する。
【0136】
次に、システム制御部6は、入力部7からの指示信号に基づいて超音波送信部2、超音波受信部3、造影剤反射波抽出部4A、画像表示部8などの各ユニットの制御やシステム全体を統括して制御する。このシステム制御部6は、図示しない記憶回路とCPUを備え、記憶回路には入力部7から送られる患者情報、送受信条件、画像表示モードなどが保存され、更に、接続される超音波プローブ1のIDに対応した最大受信時間Thが予め保存されている。
【0137】
一方、システム制御部6のCPUは、入力部7から入力された画像表示モード情報と超音波プローブ1から供給されたプローブIDに基づいて、造影剤反射波抽出部4Aのフィルタ回路19Aにおける中心周波数や周波数帯域などのフィルタ特性を設定する。更に、システム制御部6のCPUは、前記プローブIDに対応した最大受信時間Thと入力部7にて設定されたレート周期Trを読み出し、同一方向に対して行なう超音波受信回数Nyを算出する。そして、この算出結果に基づいて造影剤反射波抽出部4Aの演算器18Aにおける加減算処理を制御する。
【0138】
(画像データ収集の手順)
次に、図10乃至図12を用いて第3の実施の形態における画像データの生成手順を説明する。尚、図11は画像データの生成手順を示すフローチャートである。
【0139】
装置の操作者は、入力部7において患者情報の入力と本実施の形態を実行する画像表示モード、即ち高調波成分を用い造影剤の表示を行なう画像表示モードの選択を行ない、更に、レート周期Trなどの送受信条件の入力を行なう(図11のステップS41)。次いで、システム制御部6は、入力部7から患者情報、画像表示モード、送受信条件などの情報を受信し、更に、超音波プローブ1からプローブID情報を読み取る。
【0140】
一方、システム制御部6の図示しない記憶回路には、受信信号の最大受信時間Thが各々のプローブIDに対応して予め保存されており、システム制御部6は、超音波プローブ1から送られるプローブIDに対応する最大受信時間Thと、レート周期Trを読み出す。そして、システム制御部6のCPUは、同一方向に対して2回の超音波送受信に後続して行なう超音波受信の回数Nyを既に示した式(3)に基づいて算出する(図11のステップS42)。
【0141】
次に、操作者は、被検体の診断対象部位に造影剤を注入し、入力部7より画像データ生成の開始コマンド信号を入力する。そして、入力された開始コマンド信号は、入力部7からシステム制御部6に送られ、造影剤に関する画像データの生成が開始される(図11のステップS43)。
【0142】
超音波の送信に際して、レートパルス発生器11は、被検体内に放射される超音波パルスのレート周期Trを決定するレートパルスを送信遅延回路12に供給する。送信遅延回路12は、所定の深さに超音波を集束するための遅延時間と、最初の走査方向θ1に超音波を放射するための遅延時間を第1のレート区間のレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ13に供給する。
【0143】
パルサ13は、供給されたレートパルスに基づいて生成した駆動パルスによって超音波プローブ1の超音波振動子を駆動し、造影剤が注入された被検体の第1の走査方向θ1に対して中心周波数foの超音波パルスを放射する。
【0144】
被検体内に放射された超音波パルスの一部は、臓器境界面や組織内部あるいは造影剤において反射する。この場合、被検体組織や造影剤の非線型特性により、例えば2倍の高調波成分を有した超音波が新たに発生する。即ち、被検体組織や造影剤にて反射して超音波プローブ1に戻る超音波反射波は、送信時と同じ中心周波数foの超音波反射波(基本波成分)と、中心周波数が2foの超音波反射波(高調波成分)が混在したものとなる。
【0145】
被検体組織あるいは造影剤にて反射した超音波反射波は、前記超音波振動子によって受信されて電気的な受信信号に変換される。この受信信号は、超音波受信部3のプリアンプ14にて所定の大きさに増幅された後、A/D変換器15にてデジタル信号に変換され、更に、ビームフォーマ16にて所定の遅延時間が与えられた後、加算器25において加算合成される。そして、加算器25で加算合成された受信信号のうち、第1のレート区間にて受信された受信信号は造影剤反射波抽出部4Aの波形メモリ17Aに一旦保存される。(図11のステップS44)。
【0146】
次に、システム制御部6は、超音波送信部2に制御信号を送り、同じ第1の走査方向θ1に対して超音波の送受信を行なう。即ち、レートパルス発生器11は、第2のレート区間のレートパルスを送信遅延回路12に供給し、この送信遅延回路12は、第1のレート区間のレートパルスの場合と同様の集束用遅延時間と偏向用遅延時間を第2のレート区間のレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ13に供給する。
【0147】
そして、パルサ13は、超音波振動子を駆動して被検体の第1の走査方向θ1に対して超音波パルスを放射し、放射された超音波の一部は被検体組織や造影剤にて反射する。但し、被検体に予め注入された造影剤は前記第1のレート区間における超音波照射によって、その多くが破砕されているため、第2のレート区間における造影剤からの超音波反射波の大きさは、第1のレート区間に比較して顕著に減弱している。一方、第2のレート区間における被検体組織からの超音波反射波の大きさは第1のレート区間とほぼ等しい。
【0148】
被検体組織や造影剤にて反射された超音波反射波は、超音波振動子によって受信されて電気的な受信信号に変換され、超音波受信部3のプリアンプ14にて所定の大きさに増幅された後、A/D変換器15にてデジタル信号に変換される。更に、この受信信号は、ビームフォーマ16にて所定の遅延時間が与えられた後、加算器25において加算合成される。
【0149】
加算器25において合成される受信信号のうち、第2のレート区間において受信された受信信号は造影剤反射波抽出部4Aの波形メモリ17Aに保存される。但し、このとき保存される受信信号には、第1の駆動パルスによる残留エコーが混在している(図11のステップS45)。
【0150】
次に、システム制御部6は、第3のレート区間においてパルサ13の駆動を一旦停止し、前記第1の走査方向θ1に対して超音波反射波の受信のみを行なう。このとき、受信される超音波反射波は、第2のレート区間の駆動パルスによる残留エコーであり、この残留エコーは、超音波振動子によって受信信号に変換され、超音波受信部3のプリアンプ14、A/D変換器15、ビームフォーマ16を介し加算器25に供給されて加算合成される。
【0151】
そして、加算器25において合成された受信信号のうち、第3のレート区間で受信された受信信号は造影剤反射波抽出部4Aの波形メモリ17Aを通過し演算器18Aに直接送られる(図11のステップS46)。次いで、演算器18Aは、既に波形メモリ17Aに保存されている第1のレート区間の受信信号と第2のレート区間の受信信号を読み出し、第3のレート区間の受信信号との間での加減算を行なって造影剤からの受信信号を抽出する。(図3のステップS47)。
【0152】
次いで、演算器18Aにおいて抽出された造影剤からの受信信号はフィルタ回路19Aに送られる。フィルタ回路19Aは、造影剤からの受信信号の高調波成分を抽出するためのフィルタ特性が既にシステム制御部6によって設定されており、このフィルタ回路19Aによって抽出された造影剤からの受信信号の高調波成分は信号処理部5Aに送られる。そして、信号処理部5Aの包絡線検波器20Aと対数変換器21Aにおいて包絡線検波と対数変換とがなされて生成された画像データは、画像表示部8の表示用画像メモリ22に一旦保存される(図11のステップS48)。
【0153】
上述の手順にて、第1の走査方向θ1方向における画像データの生成と保存が終了したならば、超音波送受信方向をΔθずつ順次更新させながらθp=θ1+(p−1)Δθ(p=2〜P)の各々に対して前記と同様な手順で超音波の送受信を行なう。このとき、システム制御部6は、その制御信号によって送信遅延回路12及びビームフォーマ16の遅延時間を前記超音波送受信方向に対応させて順次切り替えながら、画像データの生成を行ない、生成された画像データを付帯データと共に画像表示部8の表示用画像メモリ22に保存する。(図11のステップS44乃至S50)。
【0154】
このようにして1枚分の画像データとその付帯データの生成と保存が終了したならば、システム制御部6は、表示用画像メモリ22に保存されている画像データを読み出し、変換回路23を介してCRTモニタ24に表示する(図11のステップS51)。
【0155】
次に、本実施の形態における残留エコーの除去につき図12を用いて説明する。
【0156】
図12(a)において、セクタ走査用の超音波プローブ1から放射される超音波パルスは、レート区間▲1▼乃至レート区間▲3▼で第1の走査方向θ1の超音波送受信を行ない、レート区間▲4▼乃至第6のレート区間▲6▼でその隣接部における第2の走査方向θ2における超音波送受信を行なう。尚、この被検体のモデルにおいても、既に示した図16と同様に、反射体1及び反射体3は被検体組織、反射体2は造影剤であり、特に、反射体3に対しての超音波送受信に要する時間はレート周期Trより長い場合を想定している。
【0157】
一方、図12(b)は、超音波パルスの放射タイミングを決定するレート周期Trのレートパルスを示し、図12(c)はレート区間▲1▼乃至レート区間▲6▼において前記反射体1乃至反射体3から得られる受信信号の高調波成分の大きさを矢印によって模式的に示している。又、図12(d)は、レート区間▲1▼乃至レート区間▲3▼において得られる受信信号の加減算処理結果と、レート区間▲4▼乃至レート区間▲6▼において得られる受信信号の加減算処理結果を示している。
【0158】
この場合、例えば、レート区間▲1▼とレート区間▲2▼、及びレート区間▲4▼とレート区間▲5▼においては、夫々θ1方向及びθ2方向に対して超音波送受信を行ない、一方、レート区間▲3▼及びレート区間▲6▼においては、θ1方向及びθ2方向に対して残留エコーの受信のみを行なっている。即ち、図12(c)に示すように、レート区間▲1▼において、θ1方向に放射した超音波パルスは、反射点A1乃至A3において反射し、反射強度がa11、a21及びa31の受信信号が得られる。
【0159】
次に、レート区間▲2▼においては、同じ第1の走査方向θ1に対し超音波パルスを放射し、反射点A1乃至反射点A3から反射強度a12、a22、a32の受信信号を受信する。但し、a11=a12、a31=a32、a21≫a22である。又、レート区間▲1▼の駆動パルスによる反射点A3からの受信信号が受信される前に、レート区間▲2▼において次の超音波パルスが放射されるため、この反射点A3からの超音波反射波は残留エコーとしてレート区間▲2▼において受信される。即ち、レート区間▲2▼においては反射体A1及び反射体A2からの受信信号に混入して反射体A3からの残留エコーに基づく受信信号が受信される。
【0160】
次のレート区間▲3▼では超音波の送信を停止し、第1の走査方向θ1からの受信のみを行なうため、第2のレート区間▲2▼において受信できなかった反射体A3からの残留エコーに基づく受信信号のみが得られる。
【0161】
このようにしてレート区間▲1▼、レート区間▲2▼及びレート区間▲3▼において得られた受信信号は、演算器18において加減算されることによって、図12(d)に示すように、残留エコーを含めた被検体組織からの受信信号を除去し、造影剤からの受信信号のみを抽出することが可能となる。尚、式(3)においてNy=1とした本実施の形態における演算器18は、レート区間▲1▼の受信信号とレート区間▲3▼の受信信号の和からレート区間▲2▼の受信信号を減算する処理を行なっている。次いで、走査方向θ2乃至走査方向θPに対する超音波送受信によって得られた受信信号に対し同様な演算を行なうことによって、造影剤からの受信信号を感度よく抽出することが可能となる。
【0162】
以上述べた本発明の第3の実施の形態によれば、被検体組織からの超音波反射波の成分を排除し、造影剤からの超音波反射波の成分のみを抽出することができるため、被検体における血流状態を良好に表示することが可能となる。更に、被検体組織からの残留エコーを除去することができるため、レート周期の短縮が可能となる。このため、モーションアーチファクトが低減できるとともに、表示される画像のフレーム周波数が増加するため、時間分解能に優れた超音波画像を表示することが可能となる。
【0163】
尚、前記第1の実施の形態の説明では、式(3)のNy=1の場合について述べたが、他の値の場合においても有効である。例えば、式(1)においてNy=2の場合には、同一方向においてレート区間▲1▼及びレート区間▲2▼の超音波送受信とレート区間▲3▼及びレート区間▲4▼の超音波受信が行なわれ、造影剤反射波抽出部4Aの演算器18Aは、レート区間▲1▼の受信信号とレート区間▲3▼の受信信号の和からレート区間▲2▼の受信信号とレート区間▲4▼の受信信号の和を減算する処理を行なうことによって、残留エコーの影響を排除することができる。
【0164】
(変形例)
次に、本実施の形態の変形例につき図13を用いて説明する。この変形例では、所定の走査方向に対し、少なくとも3つの連続したレート区間において超音波送受信を行ない、次いで、式(3)によって算出されるNyのレート区間において超音波受信を行なう。そして、超音波送受信の最初のレート区間と最後のレート区間、及び超音波受信のNyのレート区間において得られた受信信号に対して加減算処理を行なって造影剤からの受信信号の抽出を行なう。尚、図13の実施の形態では、同一方向の超音波送受信回数を4、超音波受信回数Nyを1とした場合について述べるがこれらの値に限定されるものではない。
【0165】
図13(a)において、セクタ走査用の超音波プローブ1から放射される超音波パルスは、レート区間▲1▼乃至レート区間▲5▼で第1の走査方向θ1の超音波送受信及び超音波受信を行ない、レート区間▲6▼以降の5つのレート区間でその隣接部の第2の走査方向θ2における超音波送受信を行なう。そして、この被検体のモデルにおいても、反射体1及び反射体3は被検体組織、反射体2は造影剤による反射体であり、特に、反射体3に対しての超音波送受信に要する時間はレート周期Trより長い場合を想定している。
【0166】
又、図13(b)は、超音波パルスの放射タイミングを決定するレート周期Trのレートパルスを示し、図13(c)は、レート区間▲1▼乃至レート区間▲5▼において第1の走査方向θ1の反射体1乃至反射体3から得られる受信信号の大きさを矢印によって模式化して示している。又、図13(d)は、レート区間▲1▼とレート区間▲4▼、及びレート区間▲5▼において得られた受信信号の加減算処理結果を示している。
【0167】
即ち、レート区間▲1▼乃至レート区間▲4▼において第1の走査方向θ1に対し超音波の送受信を行ない、レート区間▲5▼においては、同じ走査方向θ1に対し残留エコー成分の受信のみを行なう。そして、レート区間▲1▼において、走査方向θ1に放射した超音波パルスは反射点A1乃至A3において反射し、反射強度がa11、a21及びa31の受信信号が得られる。
【0168】
同様にして、レート区間▲2▼乃至レート区間▲4▼においても、同じ第1の走査方向θ1に対して超音波パルスを放射し、このとき、反射点A1からは反射強度がa12乃至a14、反射点A2からはa22乃至a24、反射点A3からはa32乃至a34の受信信号が夫々得られる。但し、a11=a12=a13=a14、a31=a32=a33=a34、a21>a22>a23>a24である。又、レート区間▲2▼乃至レート区間▲4▼の受信信号には、レート区間▲1▼乃至レート区間▲3▼の超音波送受信による反射体3からの受信信号が残留エコー成分として混入している。
【0169】
次のレート区間▲5▼では超音波の送信は停止し、第1の走査方向θ1に対しての受信のみを行なうため、レート区間▲4▼の超音波送受信による反射体A3からの受信信号のみが残留エコー成分として受信される。
【0170】
このようにして得られた受信信号の中から、レート区間▲1▼とレート区間▲4▼、及びレート区間▲5▼の受信信号を選択し、演算器18Aにおいて加減算することによって図13(d)に示すように、残留エコーを含めた被検体組織からの受信信号を除去し、造影剤からの受信信号のみを抽出することが可能となる。尚、本変形例における演算器18Aは、レート区間▲1▼の受信信号とレート区間▲5▼の受信信号の和からレート区間▲4▼の受信信号を減算する処理を行なっている。
【0171】
同様にして、走査方向θ2乃至走査方向θPの超音波の送受信によって得られた受信信号に対しても演算を行なうことによって、造影剤からの受信信号を感度よく抽出することが可能となる。
【0172】
本変形例は、1回の超音波照射による造影剤の破砕が顕著でない場合に有効である。即ち、本変形例では、造影剤からの受信信号に対する加減算処理はレート区間▲1▼の受信信号とレート区間▲4▼の受信信号を用いて行なわれる。そして、レート区間▲4▼の超音波送受信は、既に3回の超音波照射が行なわれて十分破砕された造影剤に対して行われるため、このとき得られる造影剤からの受信信号は、レート区間▲1▼において得られる造影剤からの受信信号と比較して著しく小さい。従って、前記加減算処理によって造影剤からの受信信号を感度よく得ることが可能となる。
【0173】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態につき図14及び図15を用いて説明する。この第4の実施の形態の特徴は、第3の実施の形態と同様な手順により、同一方向に対して複数回の超音波送受信と超音波受信を行ない、得られる複数の受信信号の加減算処理により造影剤からの受信信号を抽出して画像データ(第1の画像データ)を生成すると共に、被検体組織からの受信信号についても並行して収集して画像データ(第2の画像データ)を生成することにある。尚、本実施の形態では、図13に示した第3の実施の形態の変形例と同様に同一方向の送受信回数を4、受信回数Nを1とした場合について述べるがこれらの回数に限定されない。
【0174】
(装置の構成)
図14は、第4の実施の形態における超音波診断装置100の構成を示すブロック図であり、既に図10に示した第3の実施の形態との差異は、超音波診断装置本体50において、被検体組織からの受信信号に基づいて画像データを生成するための組織反射波増強部4Bと信号処理部5Bが追加されていることである。
【0175】
この組織反射波増強部4Bは、波形メモリ17Bと、演算器18Bと、フィルタ回路19Bを備えている。そして、波形メモリ17Bは、所定の方向における第1のレート区間乃至第4のレート区間の超音波送受信によって得られた受信信号と、第5のレート区間の超音波受信によって得られた受信信号の保存を行なう。
【0176】
又、演算器18Bは、所定の方向における第1のレート区間乃至第4のレート区間の超音波送受信によって得られた受信信号の加算を行ない、更に、この加算結果と第5のレート区間の超音波受信によって得られた受信信号との減算を行なうことによって、被検体組織から得られる受信信号の増強と残留エコーによる影響の低減を行なう。
【0177】
そして、フィルタ回路19Bは、造影剤から得られた受信信号に含まれている基本波成分とその高調波成分の分離を行なう。尚、前記フィルタ回路19Bは、波形メモリ17Bの前段に配置してもよい。
【0178】
一方、信号処理部5Bは、包絡線検波器20Bと対数変換器21Bとを備えており、組織反射波増強部4Bの出力信号に対して信号処理を行ない画像データ(第2の画像データ)の生成を行なう。そして、包絡線検波器20Bは、入力されたデジタル信号に対して包絡線検波を行ない、対数変換器21Bは、受信信号の振幅を対数変換して弱い信号を相対的に強調する。
【0179】
(画像データの生成手順)
次に、図14及び図15を用いて本実施の形態における画像データの生成手順について説明する。第3の実施の形態と同様の手順によって、システム制御部6は第1のレート区間乃至第4のレート区間において超音波送信部2及び超音波受信部3に制御信号を送り、第1の走査方向θ1に対して超音波の送受信を行なう。そして、超音波振動子から得られた受信信号を超音波受信部3の加算器25において加算合成する。次いで、加算器25で合成された夫々のレート区間における受信信号を、造影剤反射波抽出部4A及び組織反射波増強部4Bに供給し、夫々の波形メモリ17A及び波形メモリ17Bに保存する。
【0180】
次いで、システム制御部6は、第5のレート区間において前記第1の走査方向θ1の超音波受信を行ない、このとき加算器25から得られた受信信号、即ち、第4のレート区間の残留エコー成分を造影剤反射波抽出部4A及び組織反射波増強部4Bの波形メモリ17A及び波形メモリ17Bに夫々保存する。
【0181】
そして、造影剤反射波抽出部4Aの演算器18Aは、波形メモリ17Aに保存されている第1の走査方向θ1における5つの受信信号の中から第1のレート区間と第4のレート区間、更に、第5のレート区間の受信信号を夫々読み出して加減算処理することによって、残留エコーを含めた被検体組織からの受信信号を除去し、造影剤からの受信信号のみを抽出する。
【0182】
次いで、演算器18Aにおいて抽出された造影剤からの受信信号は、フィルタ回路19Aに送られる。そして、フィルタ回路19Aによって選択された造影剤からの受信信号の高調波成分は、信号処理部5Aの包絡線検波器20Aと対数変換器21Aにおいて包絡線検波と対数変換が行なわれて造影剤に対する第1の画像データが生成され、この第1の画像データは画像表示部8の表示用画像メモリ22に一旦保存される。
【0183】
一方、組織反射波増強部4Bの演算器18Bは、波形メモリ17Bに保存されている第1の走査方向における第1のレート区間乃至第4のレート区間の信号を読み出して加算する。次いで、第5のレート区間の受信信号を読み出し、加算された受信信号から第5のレート区間の受信信号を減算する。このような加減算処理によって、S/Nが向上し、しかも残留エコーが除かれた被検体組織及び造影剤からの受信信号を得ることが可能となる。尚、前記加減算処理に際して、第5のレート区間の受信信号を予め3倍に増幅しておく必要がある。
【0184】
次いで、演算器18Bにおいて抽出された造影剤及び被検体組織からの受信信号はフィルタ回路19Bに送られる。そして、フィルタ回路19Bによって選択された受信信号の高調波成分は、信号処理部5Bの包絡線検波器20Bと対数変換器21Bにおいて包絡線検波と対数変換が行なわれて造影剤を含んだ被検体組織に対する第2の画像データが生成され、この第2の画像データは、画像表示部8の表示用画像メモリ22に保存される。
【0185】
上述の手順によって、第1の走査方向θ1における画像データの生成と保存が終了したならば、超音波の送受信方向をΔθずつ順次更新させながらθp=θ1+(p−1)Δθ(p=2〜P)の各々に対して前記と同様な手順で超音波の送受信を行なう。そして、生成された第2の画像データは付帯データと共に画像表示部8の表示用画像メモリ22に保存される。このようにして保存された1枚分の造影剤の第1の画像データと被検体組織の第2の画像データは、システム制御部6からの制御信号に従って表示用画像メモリ22から読み出され、変換回路23を介してCRTモニタ24に表示される。
【0186】
尚、前記の造影剤に関する第1の画像データと被検体組織に関する第2の画像データは、並列表示あるいは重畳表示されることが好適であるが、特に重畳表示の場合には、例えば、造影剤に関する第1の画像データをカラー表示することによって、被検体組織の第2の画像データとの識別を容易にすることができる。
【0187】
次に、本実施の形態の効果につき図15を用いて説明する。但し、造影剤反射波抽出部4Aについては、図13によって示した第3の実施の形態の変形例と同様であるため、その説明は省略し、ここでは組織反射波増強部4Bについてのみ説明する。
【0188】
図15(a)において、セクタ走査用超音波プローブ1から放射される超音波パルスは、レート区間▲1▼乃至レート区間▲5▼で第1の走査方向θ1の超音波送受信及び超音波受信を行ない、レート区間▲6▼以降の5つのレート区間でその隣接部の第2の走査方向θ2における超音波送受信及び超音波受信を行なう。そして、この被検体のモデルにおいても、反射体1及び反射体3は被検体組織、反射体2は造影剤であり、特に、反射体3に対しての超音波送受信に要する時間はレート周期Trより長い場合を想定している。
【0189】
又、図15(b)は、超音波パルスの放射タイミングを決定するレート周期Trのレートパルスを示し、図15(c)はレート区間▲1▼乃至レート区間▲5▼において得られる第1の走査方向θ1の反射体1乃至反射体3からの受信信号の大きさを矢印によって模式的に示している。一方、図15(d)は、レート区間▲1▼乃至レート区間▲5▼において得られる受信信号の加減算結果を示している。
【0190】
即ち、レート区間▲1▼乃至レート区間▲4▼において、第1の走査方向θ1に対し超音波の送受信を行ない、レート区間▲5▼においては第1の走査方向θ1からの残留エコー成分の受信のみを行なう。そして、レート区間▲1▼において、第1の走査方向θ1に放射した超音波パルスは反射点A1乃至A3において反射し、反射強度がa11、a21及びa31の受信信号が得られる。
【0191】
同様にして、レート区間▲2▼乃至レート区間▲4▼においても同じ第1の走査方向θ1に対し超音波パルスを放射し、反射点A1から反射強度がa12乃至a14、反射点A2からa22乃至a24、反射点A3からa32乃至a34の受信信号を夫々受信する。但し、a11=a12=a13=a14、a31=a32=a33=a34、a21>a22>a23>a24であり、レート区間▲2▼乃至レート区間▲4▼の受信信号には、レート区間▲1▼乃至レート区間▲3▼の超音波送受信による反射体3からの受信信号が残留エコー成分として混入される。
【0192】
次のレート区間▲5▼では超音波の送信は停止し、第1の走査方向θ1からの受信のみを行なうため、レート区間▲4▼の超音波送受信による反射体A3からの残留エコー成分のみが受信される。
【0193】
演算器18Bは、上述の方法によって得られたレート区間▲1▼乃至レート区間▲4▼、及びレート区間▲5▼の受信信号に対して加減算処理を行ない、造影剤を含む被検体組織からの受信信号のシステムノイズに対するS/N改善と残留エコー成分の排除を行なう。尚、この実施の形態では、レート区間▲1▼乃至レート区間▲4▼の受信信号の和から3倍に増幅したレート区間▲5▼の受信信号を減算することによって残留エコー成分の打消しを行なっている。
【0194】
同様にして、第2の走査方向θ2乃至第Pの走査方向θPに対しての超音波送受信によって得られた受信信号に対して加減算処理を行なうことにより、造影剤を含む被検体組織からの受信信号のS/N改善と残留エコーの排除を行なう。
【0195】
尚、前記第2の画像データには被検体組織からの受信信号と造影剤からの受信信号が混入されているが、レート区間▲1▼乃至レート区間▲4▼の受信信号の加算の代わりに、例えば、レート区間▲2▼乃至レート区間▲4▼、あるいはレート区間▲3▼及びレート区間▲4▼の受信信号を加算することによって造影剤の成分を大幅に低減することが可能となる。
【0196】
以上述べた本発明の第4の実施の形態によれば、被検体組織からの超音波反射波の成分から造影剤からの超音波反射波の成分を分離することができるため、被検体における血流状態を良好に表示することが可能となる。更に、被検体組織からの残留エコーを除去することができるため、レート周期の短縮が可能となる。このため、モーションアーチファクトが低減できるとともに、表示される画像のフレーム周波数が増加するため時間分解能に優れた超音波画像を表示することが可能となる。
【0197】
更に、本実施の形態によれば、造影剤からの受信信号に基づいた第2の画像データと、被検体組織からの受信信号に基づいた第2の画像データを並行して生成することができる。従って、これらの画像データを並列表示あるいは重畳表示することによって、造影剤の被検体組織あるいは被検体臓器に対する位置関係を正確に捉えることが可能となる。
【0198】
尚、上述の第4の実施の形態では、造影剤を含む被検体組織からの受信信号に基づいた画像データの生成について述べたが、この方法は、造影剤を用いない通常の超音波診断法における被検体組織からの受信信号のS/Nの改善と残留エコーの排除にも有効である。
【0199】
以上、本発明の実施の形態について述べてきたが、上述の実施の形態に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば、所定方向の超音波送受信回数や超音波受信回数は前記実施の形態の値に限定されるものではない。
【0200】
又、第1の実施の形態、及び第2の実施の形態における駆動パルスの極性は、いずれも正極性から開始する例について示したが、負極性から開始してもよく、又各送受信方向単位で最初の駆動パルスの極性を任意に設定してもかまわない。また、これらの実施の形態における高調波成分は2次高調波について示したが、高調波の次数についても限定されるものではなく、更に、パルスインバージョン法とフィルタリング法を併用した場合について述べたが、フィルタ回路19は必ずしも必要ではなく、特に体動や臓器の動きが少ない場合には除外してもよい。
【0201】
一方、第3の実施の形態及び第4の実施の形態における駆動パルスの極性は、同一極性の場合について示したが、正極性の駆動パルスと負極の駆動パルスを使用して同一方向に対する超音波送受信を行なってもよい。又、これらの実施の形態では、造影剤からの受信信号及び被検体組織からの受信信号の高調波成分を選択して第1の画像データ及び第2の画像データの生成を行ったが、第1の画像データと第2の画像データの少なくとも何れかは基本波成分に基づいて生成されてもよい。
【0202】
更に、第3の実施の形態及び第4の実施の形態では、フィルタ回路19A及び19Bを用いて高調波成分の選択を行なう場合について説明したが、基本波成分や基本波成分と高調波成分が合成されたものを用いてもよく、この場合にはフィルタ回路19Aあるいはフィルタ回路19Bは必ずしも必要としない。又、フィルタ回路19A及びフィルタ回路19Bは、波形メモリ17A及び波形メモリ17Bの前段に設けてもよい。
【0203】
【発明の効果】
本発明によれば、同一方向に対して複数回の超音波送受信を行なって得られる受信信号に対して加減算処理することにより、モーションアーチファクトを増加させることなく残留エコーを排除することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1及び第2の実施の形態における超音波診断装置全体の構成を示すブロック図。
【図2】 本発明の第1の実施の形態における画像データ生成手順を示すフローチャート。
【図3】 同実施の形態における残留エコーを説明する図。
【図4】 超音波反射波の高調波成分を示す図。
【図5】 本発明の第1の実施の形態における残留エコー除去を示す図。
【図6】 パルスインバージョン法における基本波及び高調波の極性を示す図。
【図7】 本発明の第1の実施の形態におけるモーションアーチファクトの低減効果を説明する図。
【図8】 本発明の第2の実施の形態における画像データ生成手順を示すフローチャート。
【図9】 同実施の形態における残留エコー除去を示す図。
【図10】 本発明の第3の実施の形態における超音波診断装置全体の構成を示すブロック図。
【図11】 同実施の形態における画像データの生成手順を示すフローチャート。
【図12】 同実施の形態における残留エコー除去を示す図。
【図13】 同実施の形態の変形例における残留エコー除去を示す図。
【図14】 本発明の第4の実施の形態における超音波診断装置全体の構成を示すブロック図。
【図15】 同実施の形態における残留エコー除去を示す図。
【図16】 従来法における残留エコーの発生を示す図。
【符号の説明】
1…超音波プローブ
2…超音波送信部
3…超音波受信部
4…ハーモニック抽出部
5…信号処理部
6…システム制御部
7…入力部
8…画像表示部
11…レートパルス発生器
12…送信遅延回路
13…パルサ
14…プリアンプ
15…A/D変換器
16…ビームフォーマ
17…波形メモリ
18…加算器
19…フィルタ回路
20…包絡線検波器
21…対数変換器
22…表示用画像メモリ
23…変換回路
24…CRTモニタ
25…加算器
26…多芯ケーブル
50…超音波診断装置本体
100…超音波診断装置

Claims (12)

  1. 被検体に対して設定された複数からなる超音波走査方向の各々に対して超音波パルスを送信し前記超音波走査方向からの超音波反射波を受信信号に変換する超音波振動子を備えた超音波プローブと、
    前記超音波走査方向の各々に対し駆動パルスの極性を交互に反転させながら前記超音波振動子を所定のレート周期で複数回駆動して前記超音波パルスを送信する超音波送信手段と、
    前記超音波パルスを送信する複数のレート区間にて前記被検体から得られる超音波反射波を受信する超音波受信手段と、
    前記超音波受信手段により最初のレート区間を除く複数のレート区間にて得られた受信信号を加算処理して前記超音波反射波の高調波成分を抽出するハーモニック抽出手段と、
    前記超音波反射波の高調波成分を信号処理して画像データを生成する信号処理手段と、
    前記画像データを表示する表示手段とを
    備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 駆動回数設定手段を備え、前記駆動回数設定手段は、前記超音波プローブの識別情報に基づいて予め設定される最大受信時間と前記レート周期に基づいて前記超音波走査方向の各々に対する駆動回数を設定することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 残留エコーの低減及び前記画像データのリアルタイム性等を考慮した重み付け係数を設定する重み付け係数設定手段と前記超音波走査方向の各々に対する駆動回数を設定する駆動回数設定手段を備え、前記駆動回数設定手段は、前記超音波プローブの識別情報に基づいて予め設定される最大受信時間と前記レート周期と前記重み付け係数に基づいて前記駆動回数を設定することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  4. 被検体に対して設定された複数からなる超音波走査方向の各々に対して超音波パルスを送信し前記超音波走査方向からの超音波反射波を受信信号に変換する超音波振動子を備えた超音波プローブと、
    前記超音波走査方向の各々に対し駆動パルスの極性を交互に反転させながら前記超音波振動子を所定のレート周期で複数回駆動して前記超音波パルスを送信する超音波送信手段と、
    前記超音波パルスを送信する複数のレート区間及びこれらのレート区間に後続する1つあるいは複数からなる受信専用のレート区間にて前記被検体から得られる超音波反射波を受信する超音波受信手段と、
    前記超音波受信手段により前記レート区間にて得られた受信信号を加算処理して前記超音波反射波の高調波成分を抽出するハーモニック抽出手段と、
    前記超音波反射波の高調波成分を信号処理して画像データを生成する信号処理手段と、
    前記画像データを表示する表示手段とを
    備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 前記ハーモニック抽出手段は、前記高調波成分に残存した基本波成分を排除するためのフィルタ回路を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した超音波診断装置。
  6. 超音波造影剤が注入された被検体に対して設定される複数からなる超音波走査方向の各々に対して超音波パルスを送信し前記超音波走査方向からの超音波反射波を受信信号に変換する超音波振動子を備えた超音波プローブと、
    前記超音波走査方向の各々に対し前記超音波振動子を所定のレート周期で複数回駆動して前記超音波パルスを送信する超音波送信手段と、
    前記超音波パルスを送信する複数のレート区間及びこれらのレート区間に後続する1つあるいは複数からなる受信専用のレート区間にて前記被検体から得られる超音波反射波を受信する超音波受信手段と、
    前記超音波受信手段により前記レート区間にて得られた受信信号を加減算処理して前記超音波造影剤からの超音波反射波に基づいた受信信号を抽出する造影剤反射波抽出手段と、
    前記受信信号を信号処理して画像データを生成する信号処理手段と、
    前記画像データを表示する表示手段とを
    備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 超音波造影剤が注入された被検体に対して設定される複数からなる超音波走査方向の各々に対して超音波パルスを送信し前記超音波走査方向からの超音波反射波を受信信号に変換する超音波振動子を備えた超音波プローブと、
    前記超音波走査方向の各々に対し前記超音波振動子を所定のレート周期で複数回駆動して前記超音波パルスを送信する超音波送信手段と、
    前記超音波パルスを送信する複数のレート区間及びこれらのレート区間に後続する1つあるいは複数からなる受信専用のレート区間にて前記被検体から得られる超音波反射波を受信する超音波受信手段と、
    前記超音波受信手段により前記レート区間にて得られた受信信号を加減算処理して前記超音波造影剤からの超音波反射波に基づいた受信信号を抽出する造影剤反射波抽出手段と、
    前記造影剤反射波抽出手段によって抽出された前記受信信号を信号処理して第1の画像データを生成する第1の信号処理手段と、
    前記超音波受信手段により前記レート区間にて得られた前記受信信号を加減算処理して被検体組織からの超音波反射波に基づいた受信信号を収集する組織反射波増強手段と、
    前記組織反射波増強手段によって収集された前記受信信号を信号処理して第2の画像データを生成する第2の信号処理手段と、
    前記第1の画像データ及び前記第2の画像データを表示する表示手段とを
    備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  8. 前記表示手段は、前記第1の信号処理手段によって生成される第1の画像データと前記第2の信号処理手段によって生成される第2の画像データを重畳あるいは並列表示することを特徴とする請求項7記載の超音波診断装置。
  9. 前記表示手段は、前記第1の画像データと前記第2の画像データを色別表示することを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
  10. 前記造影剤反射波抽出手段は、前記超音波造影剤からの超音波反射波に基づいた受信信号の中から高調波成分を抽出するためのフィルタ回路を備えていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載した超音波診断装置。
  11. 受信専用のレート区間数を設定する受信区間数設定手段を備え、前記受信区間数設定手段は、前記超音波プローブの識別情報に基づいて予め設定される最大受信時間と前記レート周期に基づいて前記超音波走査方向の各々に対する受信専用のレート区間数を設定することを特徴とする請求項4又は請求項6又は請求項7に記載した超音波診断装置。
  12. 残留エコーの低減及び前記画像データのリアルタイム性等を考慮した重み付け係数を設定する重み付け係数設定手段と受信専用のレート区間数を設定する受信区間数設定手段を備え、前記受信区間数設定手段は、前記超音波プローブの識別情報に基づいて予め設定される最大受信時間と前記レート周期と前記重み付け係数に基づいて前記レート区間数を設定することを特徴とする請求項4又は請求項6又は請求項7に記載した超音波診断装置。
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