JP5159480B2 - 超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラム - Google Patents

超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラム Download PDF

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Description

本発明は、超音波を送受することによって取得したドプラ信号を利用して血流を2次元的に可視化する超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムに係り、特に同一方向への超音波の送信周期が不等間隔であるスキャンシーケンスに従ってスキャンを行う超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムに関する。
従来のカラードプラ超音波診断装置では、超音波を同一方向に等間隔にN回に亘って送受信することによって得られたパケットと呼ばれるN個のデータ列に基づいて血流の平均速度、分散およびパワー情報等の血流情報を算出および表示される。具体的には、超音波の送信の間隔時間である送信周期をT、自己相関法によって算出されるドプラ信号の平均位相差をΔθ、音速をC、受信される超音波の中心周波数をf0とすると、血流の平均速度Vは、式(1)により計算することができる。
Figure 0005159480
式(1)において|Δθ|≦πであるので、折り返しが生じないように測定することが可能な血流の最高流速Vmaxは式(2)で表される。
Figure 0005159480
従って、血流の最高流速Vmax以上の血流速度Vが存在すると折り返しが生じて正しい血流の方向と速度を計算することができなくなる。
この折り返し速度の制約を解消する方法として、互いに異なる送信周期T=T0, T0+Ts, T0+2Ts, T0+3Tsで超音波の送信を行う方法が考案されている(例えば特許文献1参照)。この方法は、主としてレーダーの技術分野においてスタガパルス法と呼ばれ、血流の平均速度Vが超音波の送信周期の逆数1/Tに比例するという式(1)から得られる性質を利用するものである。すなわち、異なる送信周期Tで超音波を送信して血流の平均速度Vの送信周期の逆数1/Tに対する傾きを求めれば、仮に折り返しが起きていても傾きから正しい血流の平均速度Vを計算することができる。
図1は、従来のスタガパルス法による超音波スキャンシーケンスを示す図である。
図1において横軸は時間を示す。図1に示すように、例えば超音波送信タイミングが不等間隔5Ts, 6Ts, 7Tsに設定され、複数の超音波の送信に続いて10個のデータ列が受信信号として受信される。
しかしながら、スタガパルス法では残留エコーの影響により血流が存在しない場所にあたかも血流が存在するかのように血流情報が表示される場合があるという問題がある。残留エコーとは、ある超音波エコーの受信用に送信される超音波よりも以前に送信された超音波によって発生する有効視野深度よりも深い位置で発生するエコーである。
図2は、従来の通常のカラードプラ法による超音波の送受において発生する残留エコーを示す図である。
図2において横軸は時間を示す。図2に示すように、超音波の送信周期を一定とした通常のカラードプラ法によるスキャンでは、超音波の送信タイミングが一定の間隔となる。このため、各送信タイミングで送信される超音波に続いて超音波エコーが受信信号として得られる。しかしながら、受信信号は、受信直前に送信された超音波に応答して発生した受信信号と、受信直前に送信された超音波よりも1つ前に送信された超音波に応答して発生した受信信号である残留エコーとが重ね合わさった多重信号となる。残留エコーは、受信信号の受信期間よりも長い時間をかけて超音波プローブに到達する信号であるため、有効視野深度よりも深い位置から発生した信号である。
図2に示すように、超音波の送信間隔が一定で、かつ超音波の送受対象となる物体が動いていない場合には、最初の受信信号の受信直前に送信された超音波よりも前に送信された超音波のみが他の受信信号の受信直前に送信された超音波よりも前に送信された超音波と異なる。このため、最初の受信信号に含まれる残留エコーを除く残留エコーが一定となる。そのために、通常のカラードプラ法による撮像では、パケットに含まれる最初のデータ列はイメージング用に使用されず、2番目以降の複数のデータ列がイメージング用に使用される。
そして、イメージング用の2番目以降の複数のデータ列に、動きのない物体あるいは動きの少ない物体からの信号を除去するためのMTI (moving target indication)フィルタが掛けられる。これにより、動きのない物体からの信号である残留エコーを受信データから除去することができる。このように、超音波の送信間隔が一定である通常のカラードプラスキャンでは、最初にダミー送信を行うことによって残留エコーの影響を除去することができる。
この他、送信間隔を等間隔として超音波の送受信を複数回に亘って行い、得られた受信データから組織や造影剤からのハーモニック成分を抽出する際に、残留エコーを除去する方法も考案されている(例えば特許文献2参照)。
これに対して、スタガパルス法によるスキャンでは、ダミー送信による残留エコー対策が原理的に不可能である。すなわち、スタガパルス法の場合には超音波の送信間隔が不等間隔であるために残留エコーがパケット内の受信データ毎に変化する。従って、MTIフィルタによって残留エコーを除去することができない。そして、残留エコーが受信データ毎に変化すると、静止している物体からのエコーが動いているように誤認される。このため、スタガパルス法により得られた受信データにカラードプラ処理を行うと、動いていない組織が血流として動いているように表示される恐れがあるという問題がある。
他方、折り返し速度の制約を解消する別の方法として、送信超音波のラスタ方向を交互に変えつつ等間隔で超音波を送信することによって同一のラスタ方向について超音波を不等間隔に送信する不等間隔交互(インターリーブ)キャン法が考案されている(例えば特許文献3および特許文献4参照)。この不等間隔交互スキャン法では、受信データに最小2乗法を利用したMTIフィルタを掛けて、最小間隔の受信データ間における血流の速度が計算される。これにより、折り返し速度を向上させ、高流速感度、低流速感度およびフレームレートの3者の両立を図ることができる。尚、通常はデータの観測時間が長い程、MTIフィルタの特性が向上するので低流速感度が向上する。また、フレームレートは、1フレームに対応する超音波の送信間隔および送信回数により決定される。
不等間隔交互スキャン法では、同一ラスタ方向への超音波の送信間隔が不等間隔ではあるが、ダミー送信を設ければ、MTIフィルタを受信データに掛けることによって残留エコーを除去することができる。
図3は、従来の不等間隔交互スキャンにおける送信超音波のラスタ方向と送信回数との関係を示す図である。
図3において横軸は送信超音波のラスタ方向を、縦軸は超音波の送信回数を示す。また、図3の斜線部分は、残留エコー対策のためのダミー送信を示し、網掛け部分は、イメージング用の有効な超音波の送信を示す。
図3に示すように、イメージング用の有効な超音波送受信時において残留エコーが常に同じ条件で発生するように、ラスタ方向が変わらないが超音波の送信間隔が変化する場合やラスタ方向が変わる度にダミー送信が設けられる。図3に示す例では、3つのラスタ方向a, b, cについてそれぞれ1つのパケットを得るために13回に亘る超音波の送信が行われ、13回の送信のうち5回がダミー送信となっている。
特開平11−94932号公報 特開2004−181209号公報 特開2005−176997号公報 特開2005−312632号公報
上述したように、超音波の送信間隔が異なる従来のスタガパルス法では、受信データから残留エコーを除去することができないという問題がある。
一方、従来の不等間隔交互スキャン法では、残留エコー対策のためのダミー送信が多数必要となり無駄なスキャン時間が増加するという問題がある。このスキャン時間の増加は、従来の不等間隔交互スキャン法において、交互スキャン法でありながら期待されるほどフレームレートが向上しない原因となっている。
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、同一のラスタ方向についての超音波の送信間隔を不等間隔として超音波ドプラ法によるスキャンを行う場合に、より少ないスキャン時間の増加量で残留エコーの影響を除去または低減させた超音波ドプラ像を得ることが可能な超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る超音波診断装置は、上述の目的を達成するために、同一のラスタ方向について複数回に亘って不等間隔で超音波を送受信し、かつ超音波を送受信するラスタ方向を変えることによって複数のラスタ方向からのドプラ受信データおよび補正エコーを取得するデータ取得手段と、前記補正エコーを用いて前記ドプラ受信データを補正することによって残留エコーが除去または低減されたドプラ受信データを取得するデータ補正手段と、前記残留エコーが除去または低減されたドプラ受信データから血流情報を求める血流情報取得手段とを備えるものである。
また、本発明に係る超音波診断装置の制御プログラムは、上述の目的を達成するために、超音波診断装置を制御することによって前記超音波診断装置を、同一のラスタ方向について複数回に亘って不等間隔で超音波を送受信し、かつ超音波を送受信するラスタ方向を変えることによって複数のラスタ方向からのドプラ受信データおよび補正エコーを取得するデータ取得手段、前記補正エコーを用いて前記ドプラ受信データを補正することによって残留エコーが除去または低減されたドプラ受信データを取得するデータ補正手段、および前記残留エコーが除去または低減されたドプラ受信データから血流情報を求める血流情報取得手段として機能させるものである。
本発明に係る超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムにおいては、同一のラスタ方向についての超音波の送信間隔を不等間隔として超音波ドプラ法によるスキャンを行う場合に、より少ないスキャン時間の増加量で残留エコーの影響を除去または低減させた超音波ドプラ像を得ることができる。
本発明に係る超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
(構成および機能)
図4は本発明に係る超音波診断装置の実施の形態を示す構成図である。
超音波診断装置1は、送信回路2、超音波プローブ3、受信回路4、Bモード処理系5、カラードプラ処理系6、座標変換部7A、7B、画像合成部8、表示モニタ9および制御回路10を備えている。Bモード処理系5は、エコーフィルタ部5A、検波部5BおよびLOG処理部5Cを有する。カラードプラ処理系6は、CORNER TURNING BUFFER6A,残留エコー補正部6B、MTI FILTER6C,自己相関演算部6Dおよび速度・分散・パワー推定部6Eを有する。超音波診断装置1の各構成要素は回路に限らず超音波診断装置の制御プログラムを読み込ませたコンピュータにより構築することができる。従って、図4に示す回路の全部または一部を同等の機能を備えたコンピュータに置換することもできる。
送信回路2は、所望の超音波画像を収集するために超音波プローブ3を制御するためのスキャンシーケンスを設定する機能、超音波プローブ3から被検体に送信されるべき超音波ビームの焦点位置や方向に応じた送信信号をスキャンシーケンスに従って生成する機能および超音波プローブ3に備えられる複数の超音波振動子にそれぞれ生成した送信パルス信号を所定の遅延時間を伴って印加する機能を有する。
特に送信回路2には、後述する受信回路4において生成されるドプラ受信信号から残留エコー成分を除去するための補正エコーの収集を伴うスキャンシーケンスを生成する機能が備えられる。スキャンシーケンスとしては、例えばスタガパルス法や不等間隔交互スキャン法によるシーケンスのように同一のラスタ方向についての超音波の送信間隔を不等間隔にするシーケンスとすることができる。尚、スタガパルス法は、送信超音波のラスタごとに、送信間隔を不等間隔に設定してスキャンを行い、順次スキャン対象となるラスタ方向を変えていく手法である。また、不等間隔交互スキャン法は、送信超音波のラスタ方向を交互に変えつつ等間隔で超音波を送信することによって同一のラスタ方向について超音波を不等間隔に送信する交互スキャン法である。
超音波プローブ3は、複数の超音波振動子を備えている。各超音波振動子は、それぞれ送信回路2から印加される電気信号としての送信パルス信号を送信超音波パルス信号に変換して被検体に送信する一方、被検体内において送信超音波パルスに応答して生じた超音波エコーを受信して電気信号としての受信信号に変換する機能と、得られた受信信号を受信回路4に出力する機能とを有する。
受信回路4は、超音波プローブ3の各超音波振動子からそれぞれ出力された受信信号に対して整相加算処理を含む信号処理を施すことによって受信データを生成する機能と、静止した組織の断層像であるBモード像用の受信データをBモード処理系5に、ダイナミックな血流情報を表すカラードプラ像用の受信データであるドプラ受信信号およびドプラ受信信号の補正用の補正エコー信号をカラードプラ処理系6に、それぞれ出力する機能を有する。
Bモード処理系5は、受信回路4から取得したBモード像の生成用の受信データに対してBモード像の生成処理を施すことによりBモード像データを生成する機能と、生成したBモード像データを対応する座標変換部7Aに出力する機能を有する。そのために、エコーフィルタ部5Aは受信回路4から取得した受信データにフィルタ処理を施すことにより不要な信号成分を除去する機能を、検波部5Bはフィルタ処理後の受信データに対して包絡線検波処理を施す機能を、LOG処理部5Cは検波後の受信データに対して対数変換処理を施して座標変換部7Aに出力する機能を、それぞれ有する。
カラードプラ処理系6は、受信回路4から取得したカラードプラ像用の受信データに対してカラードプラ像の生成処理を施すことによりカラードプラ像データを生成する機能と、生成したカラードプラ像データを対応する座標変換部7Bに出力する機能を有する。カラードプラ像の生成処理には、補正エコーデータを用いたカラードプラ像用の受信データの補正処理も含まれる。
そのために、CORNER TURNING BUFFER6Aは、受信回路4から取得した時系列の受信データを一時的に記憶する機能を有する。残留エコー補正部6Bは、CORNER TURNING BUFFER6Aから補正エコーデータおよび複数の受信データを読み込んで、補正エコーデータに基づいて各受信データから残留エコー成分を除去する残留エコー補正処理を行う機能を有する。MTI FILTER6Cは残留エコー補正処理後の複数の受信データに対してMTIフィルタ処理を施すことにより静止または動きの小さい組織等の物体からの信号成分のようにカラードプラ像データの生成に不用な成分を除去する機能を有する。自己相関演算部6DはMTIフィルタ処理によって得られるMTI FILTER6Cからの複数の出力信号の自己相関演算を行う機能を有する。速度・分散・パワー推定部6Eは、自己相関演算部6Dの出力信号に基づいて血流の速度、分散、パワー等の血流情報を計算する機能と、血流情報をカラードプラ像データとして座標変換部7Bに出力する機能を有する。
尚、残留エコー補正部6Bは、MTI FILTER6Cよりも前段であれば他の位置に設けてもよい。例えば、残留エコー補正部6Bを受信回路4の直後に設けることが可能であり、残留エコー補正部6Bの機能を受信回路4に設けることも可能である。
座標変換部7A、7Bは、それぞれBモード処理系5およびカラードプラ処理系6から出力されたBモード像データおよびカラードプラ像データのデータ座標軸をスキャン軸から表示画像用の直交軸に座標変換する機能を有する。
画像合成部8は、座標変換部7A、7Bからそれぞれ直交座標系のBモード像データおよびカラードプラ像データを取得して合成することにより、カラードプラ像とBモード像とを重ねて表示するための画像合成信号を生成する機能と、生成した画像合成信号を表示モニタ9に与えることによりカラードプラ像とBモード像の合成画像を表示モニタ9に表示させる機能とを有する。
制御回路10は、超音波診断装置1の超音波プローブ3を除く装置本体側における各構成要素を統括制御するための回路である。
(動作および作用)
次に超音波診断装置1の動作および作用について説明する。
超音波診断装置1では、上述したようにスタガパルス法や不等間隔交互スキャン法によるシーケンスのように同一のラスタ方向についての超音波の送信間隔を不等間隔にするシーケンスを設定してスキャンを行うことができる。そこで、スタガパルス法によるスキャンを行う場合と、不等間隔交互スキャン法によるスキャンを行う場合とについて説明する。
(不等間隔交互スキャン法によるスキャン)
不等間隔交互スキャン法では、超音波エコーの受信データを受信する最小の間隔で決定される折り返し速度が検出可能な最大の血流速度となる。また、不等間隔交互スキャン法では、受信データを受信する最小の間隔、すなわち超音波パルスの送信間隔は常に一定であるが、ラスタ方向を交互に変える交互スキャンを行うことにより観測時間の拡大とフレームレートの向上を図ることができる。
不等間隔交互スキャン法によるスキャンを行う場合には、送信回路2において不等間隔交互スキャン法によるスキャンシーケンスが設定される。
図5は、図4に示す超音波診断装置1により不等間隔交互スキャン法によりスキャンを行う場合における超音波エコーのラスタ方向と受信回数との関係の一例を示す図である。
図5において横軸は受信される超音波エコーのラスタ方向を、縦軸は超音波エコーが受信される順番を示す。また、図5の斜線部分は、超音波を送信せずにドプラ受信信号から残留エコーを除去するための補正エコーを超音波エコーとして受信するタイミングを示し、網掛け部分は、イメージング用に超音波送信パルスを送信して有効な超音波エコーを受信するタイミングを示す。
図5に示すように複数のラスタ方向a, b, c, dについて交互にイメージング用の超音波を送受信することによって同一のラスタ方向におけるイメージング用の超音波の送受信間隔が不等間隔となる。そして、イメージング用の超音波の送受信の間に、ドプラ受信信号から残留エコーを除去するための補正処理に必要な補正エコーが受信される。
尚、並列同時受信法を利用することによって、複数のラスタ方向からの補正エコーを同時に受信することができる。このため、より短時間で多くの補正エコーを受信することができる。並列同時受信法は、複数の超音波振動子を個別に制御して異なるラスタ方向からの複数の超音波エコーの受信用に割当てることによって同時に複数のラスタ方向からの超音波エコーを受信する技術である。図5の例では、同時に3つのラスタ方向からの補正エコーが並列に同時受信されている。
このように対応する超音波を送信せずに受信される補正エコーは、直前に送信された超音波に応答して生じた各ラスタ方向における残留エコーに相当する。従って、補正エコーの発生条件と同じ条件で生じた残留エコーを成分として含む受信データから補正エコーを減じれば、受信データから残留エコー成分を除去できることになる。このため、各ラスタ方向にそれぞれ送信される超音波の送信後に生じる各残留エコーがそれぞれ補正エコーとして受信されるように、補正エコーの受信タイミングが決定される。
例えば、図5において最初に並列に同時受信される3つのラスタ方向a, b, cからの補正エコーは、それぞれ直前にラスタ方向bに送信された超音波に応答して生じた各ラスタ方向a, b, cにおける残留エコーに相当する。また、2番目に並列に同時受信される3つのラスタ方向b, c, dからの補正エコーは、それぞれ直前にラスタ方向cに送信された超音波に応答して生じた各ラスタ方向b, c, dにおける残留エコーに相当する。
このように決定された超音波の送受信タイミングおよび補正エコーの受信タイミングに沿ってスキャンシーケンスが送信回路2において決定され、さらにスキャンシーケンスに従って送信パルス信号が生成される。生成された送信パルス信号は、送信回路2から超音波プローブ3の各超音波振動子に印加される。そうすると、各超音波振動子からは超音波送信パルスが被検体に送信される。これにより被検体内において超音波送信パルスに応答して超音波エコーが生じる。
超音波エコーは、スキャンシーケンスにより決定されたタイミングで各超音波振動子により受信され、イメージング用の受信信号として受信回路4に出力される。また、イメージング用の超音波エコーの受信タイミングよりも遅いタイミングに設定された補正エコーの受信タイミングにおいて、有効視野深度よりも深い位置で発生した残留エコーが各超音波振動子により受信される。補正エコーは電気信号として各超音波振動子から受信回路4に出力される。
受信回路4では、受信信号に対する整相加算処理を含む信号処理によって受信データが生成される。そして、Bモード像用の受信データはBモード処理系5に、カラードプラ像用の受信データはカラードプラ処理系6に、それぞれ出力される。
Bモード処理系5では、受信データに対するエコーフィルタ部5Aにおけるフィルタ処理、検波部5Bにおける包絡線検波処理、LOG処理部5Cにおける対数変換処理等のBモード像の生成処理によってBモード像データが生成される。生成されたBモード像データは、対応する座標変換部7Aに出力される。座標変換部7Aでは、Bモード像データの座標変換が行われ、直交座標系のBモード像データが画像合成部8に出力される。
一方、カラードプラ処理系6では、受信データの残留エコー補正処理を含むカラードプラ像の生成処理によってカラードプラ像データが生成される。すなわち、CORNER TURNING BUFFER6Aには、受信回路4から出力された時系列の受信データが一時的に保存される。CORNER TURNING BUFFER6Aには、イメージング用の受信データの他、補正エコーデータも保存される。次に、残留エコー補正部6Bは、CORNER TURNING BUFFER6Aから複数の時系列の受信データおよび対応する補正エコーデータを読み込んで、各受信データからそれぞれ対応する補正エコーデータを減じることにより残留エコー補正処理を行う。
図6は、図5に示す超音波の送受信によって収集されたラスタ方向cに対応する受信データを補正エコーによって補正して残留エコーを除去する方法を説明する図である。
図6において横軸は受信データのラスタ方向を、縦軸は受信データの受信タイミングを示す。また、図6の括弧内における数値は補正エコーを特定するためのパラメータ(ラスタ方向、受信タイミング)を示し、マイナス記号は当該補正エコーの減算処理を表している。
図6に示すように、イメージング用の各有効受信データに含まれる残留エコー成分に相当する補正エコーを各有効受信データからそれぞれ減じることにより有効受信データの残留エコー成分を除去する補正を行うことができる。
例えば、ラスタ方向cについて考えると、2番目にラスタ方向cから受信された補正エコー(c, 2)は、直前である1番目にラスタ方向bに送信された超音波パルスに応答して生じた残留エコーに相当する。また、10番目にラスタ方向cから受信された有効受信データ(c, 10)には、直前の9番目にラスタ方向bから受信される受信データ(b, 9)を取得するために送信された超音波パルスに応答して生じた残留エコーが含まれる。従って、10番目にラスタ方向cから受信された有効受信データ(c, 10)から2番目にラスタ方向cから同条件で受信された補正エコー(c, 2)を減じれば、有効受信データ(c, 10)から残留エコーを除去することができる。
図7は、図6に示す受信タイミングにおいて受信されたラスタ方向cにおける各有効受信データに対する減算処理方法を示す図である。
図7において左の欄は、有効受信データのパケット番号を、中央の欄は、有効受信データの受信タイミングを、左の欄は、受信データに対する減算処理を、それぞれ示す。また、減算処理の括弧内における数値は有効受信データおよび補正エコーを特定するためのパラメータ(ラスタ方向、受信タイミング)を示し、第1項は有効受信データを、第2項は補正エコーを、それぞれ示す。
図6に示す例では、ラスタ方向cからは8つのパケットが収集されるため、図7の左欄に示すようにパケット番号は1から8となる。パケット番号1の有効受信データは、10番目に受信された受信データ(c, 10)であるから、上述した通り、受信データ(c, 10)から2番目にラスタ方向cから受信された補正エコー(c, 2)を減じる減算処理が行われる。同様に、図6に示すようにパケット番号2から8までの有効受信データに対する残留エコー対策の減算処理が行われる。尚、パケット番号7の有効受信データ(c, 21)は、図6に示すように21番目に受信された受信データであり、直前の20番目には補正エコーが受信されており超音波が送信されていない。従って、パケット番号7の有効受信データ(c, 21)には、残留エコー成分が含まれていないため減算処理も行われていない。すなわち第2項が存在しない。
さらに、同様な残留エコー補正がラスタ方向ごとに行われ、ラスタ方向ごとに補正後のパケットが得られる。そして、残留エコー補正された同一ラスタ方向の各受信データは、1つのパケットとしてMTI FILTER6Cに入力される。MTI FILTER6Cでは、パケットに対するMTIフィルタ処理が施され、静止または動きの小さい組織からの信号成分がパケットを構成する受信データから除去される。MTIフィルタ処理は、具体的には、以下のように行うことができる。
パケットを構成するパケット番号1の受信データの受信時刻を1、受信データの受信間隔(超音波パルスの送信間隔)を1とすると、図7に示すパケット内における受信データ列の間隔は[0, 3, 5, 6, 7, 8, 11, 13]と記述することができる。この不等間隔の受信データ列を最小2乗法による2次多項式で近似し、近似した結果を原信号から減算することでMTIフィルタを構成することができる。従って、MTIフィルタを表すフィルタ行列Wは、式(3)で表される。
Figure 0005159480
ただし、式(3)において、Iは単位行列を、ATは、行列Aの転置行列を、A-1は、行列Aの逆行列を、それぞれ示す。そして、MTI FILTER6Cでは、パケット内における受信データ列をx、MTIフィルタの出力データ列をyとして式(4)の演算が行われる。これにより受信データからカラードプラ像データの生成に不用な成分が除去される。
Figure 0005159480
MTI FILTER6Cの出力データ列yは、自己相関演算部6Dに入力される。自己相関演算部6Dでは、MTI FILTER6Cの出力データ列yに対して式(5)で示すラグ1の自己相関関数を用いた自己相関演算が行われる。
Figure 0005159480
但し、式(5)において、y*は、yの共役複素数を、aおよびbは、同一のラスタ方向について連続してデータ収集されるデータ列の最初のパケット番号および最後のパケット番号を、それぞれ示す。図7に示すスキャンの場合には、a=3, b=6となる。
自己相関演算部6Dから出力される自己相関演算後のデータc1は、速度・分散・パワー推定部6Eに入力される。速度・分散・パワー推定部6Eでは、式(6)により自己相関演算後のデータc1に基づいて血流の速度V、分散Var、パワーPが計算される。
Figure 0005159480
但し、式(6)において、angle(c1)は、複素数c1の偏角Δθを計算する関数であり、Cは音速、f0は受信される超音波エコーの中心周波数である。
速度・分散・パワー推定部6Eにおいて計算された血流の速度V、分散Var、パワーP等の血流情報は、カラードプラ像データとして座標変換部7Bに入力される。
そうすると、座標変換部7A、7Bでは、Bモード処理系5およびカラードプラ処理系6から出力されたBモード像データおよびカラードプラ像データの座標変換が行われ、直交座標系のBモード像データおよびカラードプラ像データが画像合成部8に与えられる。画像合成部8では、Bモード像データおよびカラードプラ像データが合成され、カラードプラ像とBモード像の合成画像が表示モニタ9に表示される。
このように表示モニタ9に表示された超音波画像は、残留エコー対策のためのダミー送信を伴わず、補正エコーを受信して残留エコー補正を行うことにより生成されたものであるため、従来よりも短いスキャン時間で得ることができる。
例えば、図3に示す従来の不等間隔交互スキャンと図5に示す不等間隔交互スキャンとを比較すると、いずれもラスタ方向cの有効受信データ数は8で、最小データ受信間隔で受信される受信データの数は4である。従って、受信データ数は従来と同等である。一方、図3に示す従来の不等間隔交互スキャンでは、イメージングに用いられない無効な超音波の送受信回数が5回であるのに対して図5に示す不等間隔交互スキャンでは、並列同時受信を行うことによって、1ラスタ方向当たりの無効な超音波の平均受信回数が1回に減っている。尚、各ラスタ方向について2回の無効な超音波の受信が存在するが、3つのラスタ方向に跨って受信が行われるためフレームレートの計算に用いる無効な超音波の平均受信回数は1回となる。従って、図5に示す不等間隔交互スキャンのフレームレートは図3に示す従来の不等間隔交互スキャンから(8+5)/(8+1)=1.44倍に向上する。
ただし、図3に示す従来の不等間隔交互スキャンの1ラスタ方向当たりの観測時間(スキャン時間)は19であるのに対して図5に示す不等間隔交互スキャンの1ラスタ方向当たりの観測時間は13であり、短くなっている。このため、図5に示す不等間隔交互スキャンでは、図3に示す従来の不等間隔交互スキャンに比べて低流速の感度が低下する恐れがある。
そこで、不等間隔交互スキャンにおける受信データの受信タイミングを工夫しすることによって1ラスタ方向当たりの観測時間が短くならないようにすることができる。
図8は、図4に示す超音波診断装置1により不等間隔交互スキャン法によりスキャンを行う場合における超音波エコーのラスタ方向と受信回数との関係の別の例を示す図である。
図8において横軸は受信される超音波エコーのラスタ方向を、縦軸は超音波エコーが受信される順番を示す。また、図5の斜線部分は、補正エコーを受信するタイミングを示し、網掛け部分は、イメージング用の有効受信データを受信するタイミングを示す。
図8に示すように複数のラスタ方向a, b, c, d, eについて交互に不等間隔でイメージング用の超音波が送受信される。そして、イメージング用の超音波の送受信の間に、補正エコーが受信される。図8に示す不等間隔交互スキャンのフレームレートおよび低流速感度は図3に示す従来の不等間隔交互スキャンとほぼ同等であるが、図8に示す不等間隔交互スキャンでは、有効受信データ数が12、最小データ受信間隔で受信される受信データの数が6と向上している。すなわち、図8の例では、a=4, b=9となる。
このように、フレームレートおよび低流速感度を従来のフレームレートおよび低流速感度と同等に設定すると、受信データ数を増加させることができる。
一般に、組織や血流からの超音波エコー信号は位相干渉のため振幅および位相が位置ごとに変動する。また、血流のように観測対象が動いている場合にはノイズ成分によって振幅および位相の変動が同一のパケット内におけるデータ間で発生する。このため、少ないデータ数で血流の速度V、分散Var、パワーP等の血流情報を推定すると誤差が大きくなる。この誤差を小さくするためには、血流のパワーPおよび自己相関演算後のデータc1を計算する際の加算回数を多くして統計的精度を向上させることが有効である。
図8に示す不等間隔交互スキャンでは、図3に示す従来の不等間隔交互スキャンに比べてフレームレートおよび低流速感度が同等であるものの、血流のパワーPおよび自己相関演算後のデータc1を計算するためのデータ数が増加している。このため、図8に示す不等間隔交互スキャンを実行することにより、図3に示す従来の不等間隔交互スキャンを実行する場合に比べて安定した高精度の速度V、分散Var、パワーP等の血流情報画像を得ることができる。
血流のパワーPおよび自己相関演算後のデータc1を計算する際の加算回数を多くすることによる統計的精度の向上効果を定量化するのは困難であるが、以下に述べるようにデータ数が1つでも増えると効果が得られる。超音波エコー信号が位相干渉を起こすと、観測対象の動きによる位相変化に影響を与えるため、血流速度の推定精度が大幅に悪くなる。従って血流速度の推定に使用するデータが全て位相干渉を起こしている場合には精度が悪い。しかし、位相干渉を起こしたデータは振幅が小さい。そこで、1つでも位相干渉を起こしていないデータがあれば、位相干渉を起こしていないデータの振幅が大きいことから、位相干渉を起こしていないデータの寄与率が大きくなり、血流速度の推定精度が向上する。以上より、データ数が増えると精度が大幅に向上すると考えられる。
(スタガパルス法によるスキャン)
次に、スタガパルス法によるスキャンを行う場合について説明する。スタガパルス法では、同一のラスタ方向への超音波送信パルスの送信間隔を不等間隔とすることで、折り返し速度以上の速度を検出することが可能となる。この場合にも送信回路2においてスタガパルス法によるスキャンシーケンスが設定される。
図9は、図4に示す超音波診断装置1によりスタガパルス法によりスキャンを行う場合に設定されるスキャンシーケンスの一例を示す図であり、図10は、図9に示す2番目の送信パルスと3番目の送信パルスとの間において受信される受信エコーおよび補正エコーの拡大図である。
図9および図10において横軸は時間を示す。図9に示すように、例えば11回に亘って同一のラスタ方向に対して送信パルスが不等間隔で送信される。送信パルスは、例えば基準となる周期Tsの整数倍nTsとすることができる。そして、nの種類に応じて異なる複数の送信パルスの送信間隔を設定することができる。
図9の例では、5Ts, 6Ts, 7Tsの3種類の送信間隔で送信パルスが送信される。そうすると、同一のラスタ方向からイメージング用の受信データと残留エコーが重ね合わさった多重エコーが順次受信される。そして、このような送信パルスの送信および多重エコーの受信が各ラスタ方向について行われる。
このため、ラスタ方向が変わった場合において変更前のラスタ方向に送信された送信パルスにより生じる残留エコー対策として1番目の送信パルスはダミー送信とされる。すなわち1番目の送信パルスの送信後には多重エコーは受信されない。そして、2番目以降の各送信パルスが送信された後には、送信パルスの間隔に拠らず送信パルスの最小の送信間隔に相当する時間だけ多重エコーが受信される。
さらに、送信パルスの送信間隔が最長となる7Tsの期間に、残留エコーを除去するための補正エコーが受信される。図9の例では、2番目の送信パルスの後および11番目の送信パルスの後に補正エコーが受信されているが、送信パルスの送信間隔が最大である期間であれば任意のタイミングで補正エコーを受信することができる。
具体的には、図10に示すように、2番目の送信パルスの送信後、送信パルスの最小の送信間隔に相当する0から5Tsの期間に2番目の送信パルスに応答して生じた受信データがイメージング用の有効受信データとして受信される。次に、2番目の送信パルスに応答して有効視野深度よりも深い位置で発生したエコーが補正エコーとして有効受信データの受信後に受信される。図10の例では、送信パルスの送信後、6Tsから7Tsの期間に補正エコーが受信されている。
尚、通常、超音波診断装置では、受信の時刻に応じて受信フォーカス、受信開口、受信信号のゲイン等の受信条件を変化させるが、6Tsから7Tsの期間は、0から1Tsの期間と同じ受信条件で補正エコーが受信される。
同様に、11番目の送信パルスの送信後の5Tsから7Tsの期間に0から2Tsの期間と同じ受信条件で補正エコーが受信される。そうすると、送信パルスの送信後6Tsから7Tsの期間に受信される補正エコーは、ある有効受信データを取得するために送信された送信パルスと1つ前の送信パルスとの送信間隔が6Tsである場合において、1つ前の送信パルスにより6Tsから7Ts後の期間に生じた残留エコーに相当する。同様に、送信パルスの送信後5Tsから7Tsの期間に受信される補正エコーは、ある有効受信データを取得するために送信された送信パルスと1つ前の送信パルスとの送信間隔が5Tsである場合において、1つ前の送信パルスにより5Tsから7Ts後の期間に生じた残留エコーに相当する。
従って、多重受信エコーに含まれる残留エコー成分に相当する補正エコーを多重受信エコーから減算すれば、多重受信エコーから残留エコーを除去した受信データを得ることができる。すなわち、受信データの残留エコー補正処理を行うことができる。従って、送信パルスの送信間隔の最大送信間隔からの差分値に相当する期間に補正エコーが受信されるようにスキャンシーケンスが設定される。このため補正エコーは、最大でない送信間隔の種類の数だけ取得される。図9の例では、最大でない送信間隔は6Tsと5Tsの2種類であり、最大送信間隔7Tsからの差分値である1Ts, 2Tsの期間において2つの補正エコーが受信される。
そして、最長の送信間隔で送信パルスが送信される間のうち任意の期間において、受信エコーとともに必要な期間および数の補正エコーが受信され、最長でない送信間隔で送信パルスが送信された後に受信される多重エコーが補正エコーにより補正される。尚、多重エコーデータおよび補正エコーデータがCORNER TURNING BUFFER6Aに一時的に保存されるまでの流れは、不等間隔交互スキャン法によるスキャンの場合と同様である。そして、多重エコーからの補正エコーの減算処理は、残留エコー補正部6Bにおいて行われる。
具体的には、図9の例において、3番目の送信パルスと4番目の送信パルスとの間の送信間隔は6Tsであるが1つ前の送信パルスの送信間隔は最長の7Tsであるため、3番目の送信パルスに応答して得られた受信エコーデータに対する減算処理は行われない。
また、4番目の送信パルスの前における送信パルスの送信間隔は6Tsであるため、4番目の送信パルスの後に受信される受信エコーの0から1Tsの期間には3番目の送信パルスにより6Tsから7Ts後に生じた残留エコーが重畳している。そこで、この残留エコーに相当する、2番目の送信パルスの送信後6Tsから7Tsの期間に受信した補正エコーが4番目の送信パルスの後に受信される受信エコーから減算される。これにより、残留エコーが除去される。
5番目の送信パルスの後に受信される受信エコーに対する補正は4番目の送信パルスの後に受信される受信エコーに対する補正と同様である。
また、6番目の送信パルスの前における送信パルスの送信間隔は5Tsであるため、6番目の送信パルスの後に受信される受信エコーの0から2Tsの期間には5番目の送信パルスにより5Tsから7Ts後に生じた残留エコーが重畳している。そこで、この残留エコーに相当する、11番目の送信パルスの送信後5Tsから7Tsの期間に受信される補正エコーが6番目の送信パルスの後に受信される受信エコーから減算される。これにより、残留エコーが除去される。
そして、同様に7番目、8番目、9番目、10番目の各送信パルスの送信後において受信された受信エコーの残留エコー補正が行われる。11番目の送信パルスの送信後の0から5Tsの期間において受信される受信エコーは、補正せずにイメージングに使用することができる。
次に、残留エコー補正後の受信エコーデータのパケットは、MTI FILTER6CにおいてMTIフィルタ処理される。図9に示すスキャンシーケンスによって得られたパケットの場合、パケットを構成する複数のデータの間隔は[0, 7, 13, 19, 24, 29, 34, 40, 46, 53]Tsとなる。このため、式(7)に示すようなMTIフィルタ行列Wによって受信データに対するMTIフィルタ処理が行われる。
Figure 0005159480
ただし、式(7)において、Iは単位行列を、ATは、行列Aの転置行列を、A-1は、行列Aの逆行列を、それぞれ示す。そして、MTI FILTER6Cでは、パケット内における受信データ列をx、MTIフィルタの出力データ列をyとして式(8)の演算が行われる。これにより受信データからカラードプラ像データの生成に不用な成分が除去される。
Figure 0005159480
MTI FILTER6Cの出力データ列yは、自己相関演算部6Dに入力される。自己相関演算部6Dでは、MTI FILTER6Cの出力データ列yに対して式(9)で示す自己相関演算が行われる。
Figure 0005159480
但し、式(9)において、y*は、yの共役複素数を示す。すなわち、データ間隔が同じデータ同士でそれぞれ自己相関演算が行われる。式(9)は、図9の例の場合に対応しており、データ間隔が5Tsの3つのデータ、データ間隔が6Tsの4つのデータ、データ間隔が7Tsの2つのデータに対してそれぞれラグ1の自己相関関数を用いた自己相関演算が行われる。
自己相関演算部6Dから出力される自己相関演算後のデータc5, c6, c7は、速度・分散・パワー推定部6Eに入力される。速度・分散・パワー推定部6Eでは、式(10)に示すようにデータ間隔ごとの自己相関演算値であるデータc5, c6, c7の自己相関値がラグ1の自己相関関数を用いて計算され、得られた自己相関値の偏角を求めることにより受信データの位相差の位相差ΔΔθが求められる。
Figure 0005159480
但し、式(10)において、angle(c)は、複素数cの偏角Δθを計算する関数である。位相差の位相差ΔΔθは、1/Tsについての位相の変化率であるから、送信パルスの送信間隔が中央値5Tsのときの血流の速度は、式(11)のように求められる。
Figure 0005159480
但し、式(11)において、Cは音速、f0は受信される超音波エコーの中心周波数である。
そして、このように求められた血流情報は不等間隔交互スキャン法によるスキャンの場合と同様に、座標変換処理および画像合成処理を伴って、Bモード像上に重畳表示される。
式(11)に示すように、図9に示すスタガパルス法による不等間隔スキャンを行えば、等間隔5Tsで超音波を送受信した場合の折り返し速度の5倍の速度まで検出が可能になることが分かる。一般化すると、周期Tsのn倍に相当する等間隔nTsで超音波を送受信する場合における折り返し速度のn倍の速度をスタガパルス法による不等間隔スキャンによって検出することができる。このように、同一のラスタ方向からの受信間隔が異なるパルスペア間における位相差を利用することによって、最小の送信パルスの送信周期で決定される折り返し速度よりも高速の速度を検出することが可能となる。
加えて、補正エコーの減算処理によって残留エコーの影響が受信データから除去されるため、アーティファクトのない血流情報を得ることができる。
つまり以上のような超音波診断装置1は、同一のラスタ方向について不等間隔に超音波を送受信するカラードプラスキャンにおいて、残留エコーに相当する補正エコーを受信して受信データから減算することにより残留エコーの影響を除去した血流情報を求めることができるようにしたものである。
具体的には、不等間隔交互スキャン法によるスキャンの場合には、ダミー送信を行う代わりに、超音波の送信を行わずに1つ前の送信パルスによって生じた残留エコーを補正エコーとして受信し、補正エコーを受信データから減算することで残留エコーの影響を除去または低減することができる。また、スタガパルス法によるスキャンの場合には、送信パルス間の間隔が最長となる期間において深部からのエコーを補正エコーとして収集し、浅部から収集されたイメージング用の受信エコーから補正エコーを減算することで残留エコーの影響を除去または低減することができる。
(効果)
このため、上述した超音波診断装置1によれば、同一のラスタ方向についての超音波の送信間隔を不等間隔としてスキャンを行う場合に、より少ないスキャン時間の増加量で残留エコーの影響を除去または低減させた超音波ドプラ像を得ることができる。
例えば、従来の不等間隔交互スキャンにおいて残留エコー対策のために必要であったダミー送信を大幅に低減することができる。このため、従来の不等間隔交互スキャンに比べてデータ数が同じであればフレームレートを向上させることができ、フレームレートが同じであればパケット内のデータ数を増加させることにより描画性を向上させることができる。これにより、クラッタ除去能を向上させることができる。さらに、データ数を増加させることにより、位相干渉の悪影響を抑えることができる。このため、血流速度の推定精度を向上させることができる。
また、従来のスタガパルス法によるスキャンでは、残留エコーを低減させる方法がなかったが、上述した超音波診断装置1においては、スタガパルス法によるスキャンを行う場合であっても残留エコーを低減することが可能である。このため、血流が存在しないにも関わらず血流が存在するかのように見えるアーティファクトを低減することができる。
従来のスタガパルス法による超音波スキャンシーケンスを示す図。 従来の通常のカラードプラ法による超音波の送受において発生する残留エコーを示す図。 従来の不等間隔交互スキャンにおける送信超音波のラスタ方向と送信回数との関係を示す図。 本発明に係る超音波診断装置の実施の形態を示す構成図。 図4に示す超音波診断装置により不等間隔交互スキャン法によりスキャンを行う場合における超音波エコーのラスタ方向と受信回数との関係の一例を示す図。 図5に示す超音波の送受信によって収集されたラスタ方向cに対応する受信データを補正エコーによって補正して残留エコーを除去する方法を説明する図。 図6に示す受信タイミングにおいて受信されたラスタ方向cにおける各有効受信データに対する減算処理方法を示す図。 図4に示す超音波診断装置により不等間隔交互スキャン法によりスキャンを行う場合における超音波エコーのラスタ方向と受信回数との関係の別の例を示す図。 図4に示す超音波診断装置によりスタガパルス法によりスキャンを行う場合に設定されるスキャンシーケンスの一例を示す図。 図9に示す2番目の送信パルスと3番目の送信パルスとの間において受信される受信エコーおよび補正エコーの拡大図。
符号の説明
1 超音波診断装置
2 送信回路
3 超音波プローブ
4 受信回路
5 Bモード処理系
5A エコーフィルタ部
5B 検波部
5C LOG処理部
6 カラードプラ処理系
6A CORNER TURNING BUFFER
6B 残留エコー補正部
6C MTI FILTER
6D 自己相関演算部
6E 速度・分散・パワー推定部
7A、7B 座標変換部
8 画像合成部
9 表示モニタ
10 制御回路

Claims (8)

  1. 同一のラスタ方向について複数回に亘って不等間隔で超音波を送受信し、かつ超音波を送受信するラスタ方向を変えることによって複数のラスタ方向からのドプラ受信データおよび補正エコーを取得するデータ取得手段と、
    前記補正エコーを用いて前記ドプラ受信データを補正することによって残留エコーが除去または低減されたドプラ受信データを取得するデータ補正手段と、
    前記残留エコーが除去または低減されたドプラ受信データから血流情報を求める血流情報取得手段と、
    を備える超音波診断装置。
  2. 前記データ取得手段は、複数のラスタ方向間においてラスタを交互に変更しつつ等間隔で超音波を送受信する交互スキャンを行うことによって前記ドプラ受信データを受信し、対応する超音波の送信を伴わない受信タイミングにおいて前記補正エコーを受信するように構成され、
    前記データ補正手段は、前記ドプラ受信データに含まれる残留エコーに相当する補正エコーを前記ドプラ受信データが減算するように構成される請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記データ取得手段は、複数の超音波振動子を用いて同時かつ並列に異なる複数のラスタ方向からの補正エコーを受信するように構成される請求項2記載の超音波診断装置。
  4. 前記データ取得手段は、同一のラスタ方向への連続的な複数回に亘る超音波の不等間隔での送受信を複数のラスタ方向について順次行い、超音波送信パルスの送信間隔が最小でない期間において前記ドプラ受信データに続いて前記補正エコーを受信し、
    前記データ補正手段は、前記ドプラ受信データに含まれる残留エコーに相当する補正エコーを前記ドプラ受信データが減算するように構成される請求項1記載の超音波診断装置。
  5. 前記血流情報取得手段は、前記残留エコーが除去または低減されたドプラ受信データの不等間隔データ列に対して、最小2乗法による近似を行い原信号から減算することで静止または動きの小さい物体からの信号成分を除去するように構成される請求項2または4記載の超音波診断装置。
  6. 前記血流情報取得手段は、同一のラスタ方向からの受信間隔が異なるドプラ受信データのパルスペア間における位相差を利用することによって前記血流情報を求めるように構成される請求項4記載の超音波診断装置。
  7. 前記データ取得手段は、基準となる周期の整数倍となる3通り以上の複数の受信間隔で前記同一のラスタ方向から前記ドプラ受信データを受信するように構成され、
    前記血流情報取得手段は、互に同一の受信間隔で受信された複数のドプラ受信データのデータ列を用いてそれぞれ自己相関演算を行って、受信間隔ごとの自己相関演算値の自己相関の偏角を求めることにより前記ドプラ受信データの位相差の位相差を計算し、前記位相差の位相差に基づいて前記血流情報を求めるように構成される請求項4記載の超音波診断装置。
  8. 超音波診断装置を制御することによって前記超音波診断装置を、
    同一のラスタ方向について複数回に亘って不等間隔で超音波を送受信し、かつ超音波を送受信するラスタ方向を変えることによって複数のラスタ方向からのドプラ受信データおよび補正エコーを取得するデータ取得手段、
    前記補正エコーを用いて前記ドプラ受信データを補正することによって残留エコーが除去または低減されたドプラ受信データを取得するデータ補正手段、および
    前記残留エコーが除去または低減されたドプラ受信データから血流情報を求める血流情報取得手段、
    として機能させる超音波診断装置の制御プログラム。
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