JP3946073B2 - 高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材およびその製造方法 - Google Patents

高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モータ、アクチュエータなどに用いられる低ロスヨーク、トランス、チョークコイルなどの磁心には軟磁性焼結材料が用いられることは知られており、この軟磁性焼結材料は、
純鉄粉末などの鉄粉末、
Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末(例えばFe−3%Si粉末)、
Si:0.1〜10質量%、Al:0.1〜20を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−9%Si−5%Alからなる組成を有するセンダスト粉末)、
Al:0.1〜20を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−15%Alからなる組成を有するアルパーム粉末)、
Cr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以下、Si:5%以下の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、または、
Ni:35〜85%を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるニッケル基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−79%Ni粉末)(以上、%は質量%を示す。)などの金属軟磁性粉末を焼結して得られることが知られており、さらにスピネル構造を有するフェライトなど金属酸化物粉末を焼結して得られることが知られている。前記スピネル構造を有するフェライトは、一般に(MeFe)34(但し、MeはMn,Zn,Ni,Mg,Cu,FeもしくはCoまたはこれらの混合物)で表されることが知られている。
【0003】
しかし、これら金属軟磁性焼結材料は、飽和磁束密度が高いが、高周波特性が悪く、一方、スピネル構造を有するフェライトなど金属酸化物粉末を焼結して得られた酸化物軟磁性焼結材料は、高周波特性に優れ、初透磁率が比較的高いが、飽和磁束密度が低い欠点があり、これらを改善するために、金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層を被覆してなる複合軟磁性粉末を焼結して得られた複合軟磁性焼結材が提案されている(特開昭56−38402号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層を被覆してなる複合軟磁性粉末を焼結して得られた複合軟磁性焼結材は、スピネル構造を有するフェライト層が酸化物であるために焼結性が悪く、したがって、十分な密度を有する複合軟磁性焼結材が得られないという欠点があり、さらに磁気特性を一層向上させた複合軟磁性焼結材が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、かかる課題を解決すべく研究を行った。その結果、
(イ)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基合金軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末を用意し、この複合軟磁性粉末に平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して得られた混合粉末は燒結性が向上し、この二酸化ケイ素粉末を混合して得られた混合粉末を圧粉成形、高圧成形、温間成形もしくは冷間静水圧成形したのち焼結するかまたは熱間静水圧成形もしくはホットプレスすることにより得られた複合軟磁性焼結材は密度が向上するところから機械的強度が向上し、さらに磁気特性、特に高周波における比透磁率が向上する、
(ロ)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基合金軟磁性粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を混合した混合粉末を圧粉成形、高圧成形、温間成形もしくは冷間静水圧成形したのち焼結するかまたは熱間静水圧成形もしくはホットプレスすると、同じ種類のフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末を圧粉成形、高圧成形、温間成形もしくは冷間静水圧成形したのち焼結するかまたは熱間静水圧成形もしくはホットプレスするよりも焼結性が向上し、その結果、得られた複合軟磁性焼結材は密度が向上するので機械的強度が向上し、さらに磁気特性、特に高周波における比透磁率が向上する、
(ハ)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基合金軟磁性粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を混合した混合粉末に、さらに平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して得られた混合粉末は、燒結性が一層向上し、この二酸化ケイ素粉末を混合して得られた混合粉末を圧粉成形、高圧成形、温間成形もしくは冷間静水圧成形したのち焼結するかまたは熱間静水圧成形もしくはホットプレスすることにより得られた複合軟磁性焼結材は密度が一層向上するので機械的強度が一層向上し、さらに磁気特性、特に高周波における比透磁率が一層向上する、
(ニ)前記(イ)で得られた複合軟磁性焼結材は、鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子がスピネル構造を有するフェライト相により被覆されて分散しており、添加した平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末は焼結してもフェライト相とは固溶しないのでフェライト相に挟まれた状態で分散しているところから、フェライト相中に平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子が分散している組織を有し、フェライト相中に分散する二酸化ケイ素粒子は二酸化ケイ素粉末の添加量と同じ量の0.05〜1.0質量%含まれている、
(ホ)前記(ロ)で得られた複合軟磁性焼結材は、鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子が成分組成の異なるスピネル構造を有するフェライト相により被覆されて分散している組織を有する、
(ヘ)前記(ハ)で得られた複合軟磁性焼結材は、鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子が成分組成の異なるスピネル構造を有するフェライト相により被覆されて分散しており、添加した平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末は焼結してもフェライト相とは固溶しないので成分組成の異なるスピネル構造を有するフェライト相に挟まれた状態で分散しているところから、成分組成の異なるスピネル構造を有するフェライト相中に平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子が分散している組織を有し、成分組成の異なるスピネル構造を有するフェライト相中に分散する二酸化ケイ素粒子は二酸化ケイ素粉末の添加量と同じ量の0.05〜1.0質量%含まれている、
(ト)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基合金軟磁性粉末の表面に被覆されているスピネル構造を有するフェライト層は、化学メッキ法、高速で衝撃撹拌を行なって機械的に被覆する高速衝撃撹拌被覆法または樹脂接着によって被覆するバインダー被覆法により形成することができる、などの研究結果が得られたのである。
【0006】
この発明は、かかる研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子がスピネル構造を有するフェライト相により被覆されて分散しており、該フェライト相中には平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子が分散している組織を有する複合軟磁性焼結材であって、該二酸化ケイ素粒子は0.05〜1.0質量%含まれている高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材、
(2)鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子が成分組成の異なるスピネル構造を有するフェライト相で被覆されて分散している組織を有する高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材、
(3)鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子が成分組成の異なるスピネル構造を有するフェライト相により被覆されて分散しており、該フェライト相中には平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子が分散している組織を有する複合軟磁性焼結材であって、該二酸化ケイ素粒子は0.05〜1.0質量%含まれている高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材、
(4)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末に、平均粒径:1〜100nmの二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を圧粉成形、高圧成形、温間成形または冷間静水圧成形したのち焼結する前記(1)記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、
(5)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末に、平均粒径:1〜100nmの二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を熱間静水圧成形またはホットプレスする前記(1)記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、
(6)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を用意し、この2種以上の複合軟磁性粉末を混合し圧粉成形、高圧成形、温間成形または冷間静水圧成形したのち焼結する前記(2)記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、
(7)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を用意し、この2種以上の複合軟磁性粉末を混合し熱間静水圧成形またはホットプレスする前記(2)記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、
(8)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を用意し、この2種以上の複合軟磁性粉末の混合粉末にさらに平均粒径:1〜100nmの二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を圧粉成形、高圧成形、温間成形または冷間静水圧成形したのち焼結する前記(3)記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、
(9)鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を用意し、この2種以上の複合軟磁性粉末の混合粉末にさらに平均粒径:1〜100nmの二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を熱間静水圧成形またはホットプレスする前記(3)記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、
(10)前記鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末は、フェライト層を化学メッキ法、高速衝撃撹拌被覆法またはバインダー被覆法により前記鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に形成した複合軟磁性粉末である前記(4)、(5)、(6)、(7)、(8)または(9)記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、に特徴を有するものである。
【0007】
この発明の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法において使用する前記鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末は、従来から一般に知られている軟磁性合金粉末であり、先に従来の技術として述べた鉄粉末、Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Si:0.1〜10質量%、Al:0.1〜20を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Al:0.1〜20を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Cr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以下、Si:5%以下の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、または、Ni:35〜85%を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下農地の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるニッケル基軟磁性合金粉末などの金属軟磁性粉末を使用することができる。
したがって、この発明の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の組織における鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子は、前記金属軟磁性粉末と同じ成分組成の金属軟磁性粒子で構成され、この金属軟磁性粒子を被覆しこれら粒子を隔離するスピネル構造を有するフェライト相は、一般式(MeFe)34(但し、MeはMn,Zn,Ni,Mg,Cu,Feまたはこれらの混合物)で表されるフェライト相である。
そして、この発明の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材を製造するための原料粉末である前記鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末は、フェライト層を化学メッキ法、高速衝撃撹拌被覆法またはバインダー被覆法により作製することができる。
このようにして作製した複合軟磁性粉末を用いて前記(4)〜(9)記載の方法によりの発明の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材を製造することができる。
なお、前記(4)、(6)および(8)記載の方法において行なわれる圧粉成形と高圧成形とは成形圧力が異なる点でのみ相違し、高圧成形は通常の圧粉成形よりも高い圧力で圧粉成形する方法であって、高圧成形して得られた圧粉体は焼結温度を幾分低くすることができるメリットがある。
また、この発明の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法において「焼結」とは固相焼結だけでなく液相焼結をも含むものである。したがって、前記(4)、(6)および(8)記載の方法において行なわれる焼結は固相焼結だけでなく液相焼結をも含むものである。
【0008】
この発明の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材に含まれる二酸化ケイ素粉末の平均粒径を100nm以下に限定した理由は、二酸化ケイ素粉末の平均粒径が100nmを越えると焼結性向上効果が低下すると共に比透磁率が低下するからである。この二酸化ケイ素粉末の平均粒径の下限は製造コストの面から平均粒径:1nm以上であることが好ましい。
また、平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粉末の添加量を0.05質量%以上にした理由は、平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素が0.05質量%未満含まれていても焼結性に大きく影響を及ぼすことはなく、また比透磁率が低下するからであり、一方、1.0質量%を越えて含有すると非磁性相の割合が多くなり、比透磁率の低下をもたらすので好ましくないことによるものである。二酸化ケイ素粉末の添加量の一層好ましい範囲は0.1〜0.5質量%である。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施例1
合金原料を高周波溶解して溶湯を作製し、これら溶湯を水アトマイズしてアトマイズ粉末を作製し、そのアトマイズ粉末を分級処理してアトマイズ原料粉末を作製した。このアトマイズ原料粉末をさらに風力分級機により分級し、表1〜2に示される成分組成および平均粒径を有する純鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、およびニッケル基軟磁性合金粉末などの軟磁性粉末(以下、これら軟磁性粉末を金属軟磁性粉末という)を作製し、これら金属軟磁性粉末をイオン交換水に浸漬してよく撹拌したのち、窒素により十分に脱酸素を行なった。
【0010】
これに予め窒素により十分に脱酸素を行なったイオン交換水に、金属塩化物(MCl2,ただしM=Fe、Ni、Zn、Cu、Mn、Mg)を溶かし表1〜2に示す酸化物膜組成が得られるよう調製された金属塩化物水溶液を静かに注ぎ、その後NaOH水溶液によりpHを7.0に調整した。この混合液を70℃一定に保ち、0.5〜3時間に渡り空気を吹き込みながら緩やかに撹拌し、金属軟磁性粉末の表面にフェライト被覆層を成膜した。その後、フェライト被覆層を有する金属軟磁性粉末を濾過、水洗、乾燥することにより複合軟磁性粉末を得た。
【0011】
得られた複合軟磁性粉末に、表1〜2に示す平均粒径のSiO2粉末を表1〜2に示す割合となるように混ぜ、6ton/cm2の成形圧をかけることにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を酸素分圧を制御した不活性ガス雰囲気中、600〜1200℃の温度で焼結することによりリング状焼結体からなる本発明複合軟磁性焼結材1〜16、比較複合軟磁性焼結材1〜3および従来複合軟磁性焼結材を作製した。このようにして得られたリング状焼結体の組織をSEMで観察した結果、本発明複合軟磁性焼結材1〜16および比較複合軟磁性焼結材1〜3にはいずれもSiO2粉末がフェライト相中に分散している組織を有していた。さらにこれから本発明複合軟磁性焼結材1〜16、比較複合軟磁性焼結材1〜3および従来複合軟磁性焼結材について相対密度を測定し、その結果を表3〜4に示した。さらに、本発明複合軟磁性焼結材1〜16、比較複合軟磁性焼結材1〜3および従来複合軟磁性焼結材について表3〜4に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表3〜4に示した。
【0012】
【表1】
Figure 0003946073
【0013】
【表2】
Figure 0003946073
【0014】
【表3】
Figure 0003946073
【0015】
【表4】
Figure 0003946073
【0016】
表1〜4に示される結果から、金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末にSiO2粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合し圧粉成形し焼結して得られた本発明複合軟磁性焼結材1〜16は、従来複合軟磁性焼結材に比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。しかし、比較複合軟磁性焼結材1〜3は密度または比透磁率の内の少なくともいずれかが劣るので好ましくないことが分かる。
【0017】
実施例2
溶湯を水アトマイズしてアトマイズ粉末を作製し、そのアトマイズ粉末を分級処理してアトマイズ原料粉末を作製した。このアトマイズ原料粉末をさらに風力分級機により分級し、表5に示される成分組成および平均粒径を有する金属軟磁性粉末を作製し、これら金属軟磁性粉末をイオン交換水に浸漬してよく撹拌したのち、窒素により十分に脱酸素を行なった。
【0018】
これに予め窒素により十分に脱酸素を行なったイオン交換水に、金属塩化物(MCl2,ただしM=Fe、Zn、Cu、Mn、Mg)を溶かし表5に示す酸化物膜組成が得られるよう調製された金属塩化物水溶液を静かに注ぎ、その後NaOH水溶液によりpHを7.0に調整した。この混合液を70℃一定に保ち、0.5〜3時間に渡り空気を吹き込みながら緩やかに撹拌し、金属軟磁性粉末表面にフェライト被覆層を成膜した。その後、フェライト被覆層を有する金属軟磁性粉末を濾過、水洗、乾燥することにより表5に示されるフェライト被覆層を形成した複合軟磁性粉末A〜Gを得た。
【0019】
得られた複合軟磁性粉末A〜Gを表6〜7に示す割合となるように混合し、6ton/cm2の成形圧をかけることにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を酸素分圧を制御した不活性ガス雰囲気中、600〜1200℃の温度で焼結することによりリング状焼結体からなる本発明複合軟磁性焼結材17〜30および従来複合軟磁性燒結材1〜7を作製した。このようにして得られた本発明複合軟磁性焼結材17〜30および従来複合軟磁性燒結材1〜7について相対密度を測定し、その結果を表6〜7に示した。さらに、本発明複合軟磁性焼結材17〜30および従来複合軟磁性燒結材1〜7について表6〜7に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表6〜7に示した。
【0020】
【表5】
Figure 0003946073
【0021】
【表6】
Figure 0003946073
【0022】
【表7】
Figure 0003946073
【0023】
表5〜7に示される結果から、金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有し異なる成分組成のフェライト被覆層が形成されている複合軟磁性粉末を混合し燒結して得られた本発明複合軟磁性焼結材17〜30は、従来複合軟磁性燒結材1〜7に比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。
【0024】
実施例3
実施例2で作製した複合軟磁性粉末A〜GにさらにSiO2粉末を表8に示される割合で配合し混合し、6ton/cm2の成形圧をかけることにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を酸素分圧を制御した不活性ガス雰囲気中、600〜1200℃の温度で焼結することによりリング状焼結体からなる本発明複合軟磁性焼結材31〜36を作製した。このようにして得られた本発明複合軟磁性焼結材31〜36について相対密度を測定し、その結果を表8に示した。さらに、本発明複合軟磁性焼結材31〜36について表8に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表8に示した。
【0025】
【表8】
Figure 0003946073
【0026】
金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有し異なる成分組成のフェライト被覆層が形成されている複合軟磁性粉末にSiO2粉末を表8に示される割合で配合し混合し燒結して得られた表8に示される本発明複合軟磁性焼結材31〜36は、実施例2で作製した表7で示される従来複合軟磁性燒結材1〜7に比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。
【0027】
実施例4
表9に示される金属軟磁性粉末にフェライト粉末を金属軟磁性粉末:フェライト粉末=98:2の割合で配合し、得られた配合粉末を6000rpmの回転速度で羽が回転している高速衝撃混合機に投入し、2分間処理することにより表9に示されるフェライト被覆層が形成された複合軟磁性粉末AS,BS,CS,DS,ES、FSおよびGSを作製した。
得られた複合軟磁性粉末AS,BS,CS,DS,ES、FSおよびGSに、平均粒径:50nmを有するSiO2粉末を表10に示す割合となるように混ぜ、800℃、2ton/cm2の条件のホットプレスを行なうことにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状焼結体からなる本発明複合軟磁性焼結材37〜43を作製した。このようにして得られたリング状焼結体の組織をオージェ電子分光装置(AES)で観察した結果、本発明複合軟磁性焼結材37〜43にはいずれもSiO2粉末がフェライト相中に分散している組織を有していた。さらにこれら本発明複合軟磁性焼結材37〜43について相対密度を測定し、その結果を表10に示した。さらに、本発明複合軟磁性焼結材37〜43について表10に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表10に示した。
【0028】
【表9】
Figure 0003946073
【0029】
【表10】
Figure 0003946073
【0030】
表9〜10に示される結果から、高速衝撃撹拌被覆法により金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末AS,BS,CS,DS,ES、FSおよびGSに、SiO2粉末:0.05〜1.0質量%を添加し混合しホットプレスすることにより得られた本発明複合軟磁性焼結材37〜43は、表7の従来複合軟磁性焼結材に1〜7比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。
【0031】
実施例5
実施例4で作製した表9に示される複合軟磁性粉末AS,BS,CS,DS,ES、FSおよびGSを表11に示す割合となるように混合し、得られた混合粉末を800℃、2ton/cm2の条件でホットプレスすることにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状焼結体からなる本発明複合軟磁性焼結材44〜53を作製した。このようにして得られた本発明複合軟磁性焼結材44〜53について相対密度を測定し、その結果を表11に示した。さらに、本発明複合軟磁性焼結材44〜53について表11に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表11に示した。
【0032】
【表11】
Figure 0003946073
【0033】
表11に示される結果から、金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有し異なる成分組成のフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末を混合し燒結して得られた本発明複合軟磁性焼結材44〜53は、表7の従来複合軟磁性焼結材に1〜7比べて比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。
【0034】
実施例6
実施例4で作製した表9に示される複合軟磁性粉末AS〜GSを2種以上混合し、さらに平均粒径:50nmを有するSiO2粉末を表12に示される割合で配合し混合し、得られた混合粉末を800℃、2ton/cm2の条件でホットプレスすることにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状焼結体からなる本発明複合軟磁性焼結材54〜59を作製した。このようにして得られた本発明複合軟磁性焼結材54〜59について相対密度を測定し、その結果を表12に示した。さらに、本発明複合軟磁性焼結材54〜59について表12に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表12に示した。
【0035】
【表12】
Figure 0003946073
【0036】
金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有し異なる成分組成のフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末にSiO2粉末を表12に示される割合で配合し混合し燒結して得られた表12に示される本発明複合軟磁性焼結材54〜59は、実施例2で作製した表7で示される従来複合軟磁性燒結材1〜7に比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。
【0037】
実施例7
表13に示される成分組成を有する金属軟磁性粉末を撹拌転動造粒装置に投入し、回転数:1000rpmで撹拌しながら3%濃度のポリビニルアルコール溶液を200ml、さらに金属軟磁性粉末に対してフェライト粉末を2質量%加えながら、30分間混合するバインダー被覆法により表13に示される複合軟磁性粉末AB,BB,CB,DB,EB、FBおよびGBを作製した。
得られた複合軟磁性粉末AB,BB,CB,DB,EB、FBおよびGBに、平均粒径:50nmを有するSiO2粉末を表14に示す割合となるように配合し混合して混合粉末を作製し、この混合粉末を10ton/cm2の高圧成形を行なうことにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を窒素ガス雰囲気中、500〜1200℃の温度で焼結することによりリング状焼結体からなる本発明複合軟磁性焼結材60〜66を作製した。このようにして得られたリング状焼結体の組織をオージェ電子分光装置(AES)で観察した結果、本発明複合軟磁性焼結材60〜66にはいずれもSiO2粉末がフェライト相中に分散している組織を有していた。
この発明の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材は、SiO2がフェライト相中に分散している組織を有することを一層具体的に示すために、本発明複合軟磁性焼結材61の粒界部をオージェ電子分光装置(AES)により撮影した二次電子像組織写真を図1に示し、さらにその粒界部をオージェ電子分光装置(AES)を用いて撮影したSiのオージェ電子像写真を図2に示す。図2の粒界部のオージェ電子像写真において白点がSiO2粒子であり、SiO2粒子が粒界部のフェライト相中に分散していることが分かる。
さらにこれから本発明複合軟磁性焼結材60〜66について相対密度を測定し、その結果を表14に示した。さらに、本発明複合軟磁性焼結材60〜66について表14に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表14に示した。
【0038】
【表13】
Figure 0003946073
【0039】
【表14】
Figure 0003946073
【0040】
表13〜14に示される結果から、バインダー被覆法により金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末AB,BB,CB,DB,EB、FBおよびGBにSiO2粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合しホットプレスして得られた本発明複合軟磁性焼結材60〜66は、表7の従来複合軟磁性焼結材に1〜7比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。
【0041】
実施例8
実施例7で作製した表13に示される複合軟磁性粉末AB,BB,CB,DB,EB、FBおよびGBを表15に示す割合となるように混合し、得られた混合粉末を10ton/cm2の高圧成形を行なうことにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状焼結体からなる本発明複合軟磁性焼結材67〜76を作製した。このようにして得られた本発明複合軟磁性焼結材67〜76について相対密度を測定し、その結果を表15に示した。さらに、本発明複合軟磁性焼結材67〜76について表15に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表15に示した。
【0042】
【表15】
Figure 0003946073
【0043】
表15に示される結果から、金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有し異なる成分組成のフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末を混合し燒結して得られた本発明複合軟磁性焼結材67〜76は、表7の従来複合軟磁性焼結材1〜7に比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。
【0044】
実施例9
実施例7で作製した表13に示される複合軟磁性粉末AB〜GBを2種以上混合し、さらに平均粒径:50nmを有するSiO2粉末を表16に示される割合で配合し混合し、得られた混合粉末を800℃、2ton/cm2の条件でホットプレスすることにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状焼結体からなる本発明複合軟磁性焼結材77〜82を作製した。このようにして得られた本発明複合軟磁性焼結材77〜82について相対密度を測定し、その結果を表16に示した。さらに、本発明複合軟磁性焼結材77〜82について表16に示される周波数の高周波における比透磁率をインピーダンスアナライザで測定し、その結果を表16に示した。
【0045】
【表16】
Figure 0003946073
【0046】
金属軟磁性粉末の表面にスピネル構造を有し異なる成分組成のフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末にSiO2粉末を表16に示される割合で配合し混合し燒結して得られた表16に示される本発明複合軟磁性焼結材77〜82は、実施例2で作製した表7で示される従来複合軟磁性燒結材1〜7に比べて高密度を有すると共に高周波における比透磁率が優れていることが分かる。
【0047】
【発明の効果】
この発明は、高密度で機械的強度が優れ、さらに高周波の比透磁率の高い複合軟磁性焼結材を提供することができ、電気および電子産業において優れた効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明複合軟磁性焼結材61の粒界部をオージェ電子分光装置(AES)により撮影した二次電子像組織写真である。
【図2】本発明複合軟磁性焼結材61の粒界部をオージェ電子分光装置(AES)により撮影したSiのオージェ電子像写真である。

Claims (10)

  1. 鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子がスピネル構造を有するフェライト相により被覆されて分散しており、該フェライト相中には平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子が分散している組織を有する複合軟磁性焼結材であって、該二酸化ケイ素粒子は0.05〜1.0質量%含まれていることを特徴とする高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材。
  2. 鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子が成分組成の異なるスピネル構造を有するフェライト相で被覆されて分散している組織を有することを特徴とする高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材。
  3. 鉄粒子、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粒子、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粒子またはニッケル基軟磁性合金粒子が成分組成の異なるスピネル構造を有するフェライト相により被覆されて分散しており、該フェライト相中には平均粒径:100nm以下の二酸化ケイ素粒子が分散している組織を有する複合軟磁性焼結材であって、該二酸化ケイ素粒子は0.05〜1.0質量%含まれていることを特徴とする高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材。
  4. 鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末に、平均粒径:1〜100nmの二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を圧粉成形、高圧成形、温間成形または冷間静水圧成形したのち焼結することを特徴とする請求項1記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  5. 鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末に、平均粒径:1〜100nmの二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を熱間静水圧成形またはホットプレスすることを特徴とする請求項1記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  6. 鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を用意し、この2種以上の複合軟磁性粉末を混合し圧粉成形、高圧成形、温間成形または冷間静水圧成形したのち焼結することを特徴とする請求項2記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  7. 鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を用意し、この2種以上の複合軟磁性粉末を混合し熱間静水圧成形またはホットプレスすることを特徴とする請求項2記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  8. 鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を用意し、この2種以上の複合軟磁性粉末の混合粉末にさらに平均粒径:1〜100nmの二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を圧粉成形、高圧成形、温間成形または冷間静水圧成形したのち焼結することを特徴とする請求項3記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  9. 鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に成分組成の異なったスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている2種以上の複合軟磁性粉末を用意し、この2種以上の複合軟磁性粉末の混合粉末にさらに平均粒径:1〜100nmの二酸化ケイ素粉末を0.05〜1.0質量%添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を熱間静水圧成形またはホットプレスすることを特徴とする請求項3記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  10. 前記鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面にスピネル構造を有するフェライト層が被覆されている複合軟磁性粉末は、フェライト層を化学メッキ法、高速衝撃撹拌被覆法またはバインダー被覆法により前記鉄粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末またはニッケル基軟磁性合金粉末の表面に形成した複合軟磁性粉末であることを特徴とする請求項4、5、6、7、8または9記載の高密度および高透磁性を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
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