JP3942461B2 - ポリオレフィン製水道管路の異形部用浸透対策シート - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はポリオレフィン製水道管路の異形部用浸透対策シートに関し、特にたとえば、ガソリン,灯油,有機溶剤等のような汚染物質による土壌汚染地域あるいはそのおそれのある地域に埋設されるポリオレフィン製水道管路の異形部に装着されて、管路内への汚染物質の浸透を防止する、ポリオレフィン製水道管路の異形部用浸透対策シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン管は耐薬品性や屈曲性に優れているため、これを水道管路に用いることが一般に行われている。しかしながら、ポリオレフィン系合成樹脂は、これと溶解度パラメータが近いガソリン,灯油等のような有機溶剤に対しては十分な耐性がなく、接触した場合には膨潤によって分子密度が低下して有機溶剤が浸透するおそれがある。ここで、ガソリン,灯油または有機溶剤等のポリオレフィン系合成樹脂に浸透するおそれのあるものを汚染物質というものとする。そして、汚染物質によって土壌が汚染された地域またはそのおそれのある地域(たとえばガソリンスタンド,車両工場,化学工場等の周辺地域)において、ポリオレフィン管をそのまま使用して水道管路を埋設した場合には、管路内の水道水に臭気が移行してしまい、その水道水を飲料水として用いることができなくなるおそれがあった。
【0003】
そこで、汚染物質による土壌汚染地域にポリオレフィン製水道管路を埋設する際には、たとえば、金属製管や塩ビ管等が鞘管として使用され、または、図14に示すように、浸透防止性を有する円筒状のスリーブ1が使用されて、このスリーブ1内に管路を構成するポリオレフィン管2が挿通されて被覆される。このスリーブ1は、たとえば、ポリオレフィン系樹脂よりもガス透過率の小さいナイロンまたはエチレンビニルアルコール等のような材料からなる層を含む構造のシートないしフィルムにより構成され、したがって、汚染物質を遮断することができる。このように、ポリオレフィン製水道管路の直管部においては、簡単に汚染物質の浸透対策が施される。
【0004】
他方、ポリオレフィン製水道管路の異形部(分岐部,バルブ接合部等)においては、その形状が複雑であるために、直管用のスリーブ1をそのまま使用することができない。そこで、従来、スリーブ1に対して施工現場で多数の切込みないし切れ目を入れたり切り開いたりする等の加工を施し、これを異形部に巻き付けたり重ね合わせたりすることによって異形部を覆うようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、このような煩雑な作業を施工現場で行わねばならないので、作業性が悪かった。しかも、煩雑な作業のため作業者による質の差が生じ易く、場合によっては切込みや重ね合わせ部分等の間に隙間が生じてしまって、隙間から汚染物質が侵入するなどシール性の問題もあり、スリーブによる浸透防止効果が失われてしまうおそれがあった。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、作業性を向上でき、しかも浸透防止性を向上できる、ポリオレフィン製水道管路の異形部用浸透対策シートを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、主管路部と主管路部から立ち上がる分岐管路部とを含む異形管、主管路部に接続される主管路、および分岐管路部に接続される分岐管路を有するポリオレフィン製水道管路の異形部を被覆する、かつ汚染物質の浸透を防止可能な材料で形成され浸透対策シートであって、その一方端部に主管路の一方側が挿通される第1開口と主管路部の一方端部を覆う端部被覆部とが設けられ、かつ、その他方端部に第1切込みが設けられる筒状の第1主管路シート、その一方端部に主管路の他方側が挿通される第2開口と主管路部の他方端部を覆う端部被覆部とが設けられ、かつ、その他方端部に第2切込みが設けられる筒状の第2主管路シート、およびその一方端部に分岐管路が挿通される第3開口分岐管路部を覆う分岐管路被覆部とが設けられ、かつ、その他方端部に2つの第3切込みと、2つの第3切込みの間で分岐管路被覆部に一体的に形成されて対向する2つの主管路被覆部とが設けられる筒状の分岐管路シートを備え、主管路部において、第1主管路シートの他方端部と第2主管路シートの他方端部と分岐管路シートの主管路被覆部とが重ねられ、第1主管路シートの端部被覆部が主管路部および主管路のいずれか一方の一方端部に固定部材で固定され、第2主管路シートの端部被覆部が主管路部および主管路のいずれか一方の他方端部に固定部材で固定され、分岐管路被覆部が分岐管路部および分岐管路のいずれか一方に固定部材で固定される、浸透対策シートである。
【0010】
請求項2の発明は、主管路部と主管路部から立ち上がる分岐管路部とを含む異形管、主管路部に接続される主管路、および分岐管路部に接続される分岐管路を有するポリオレフィン製水道管路の異形部を被覆する、かつ汚染物質の浸透を防止可能な材料で形成され浸透対策シートであって、形管をその内部に挿通可能な大きさに形成される、分岐管路部より大径の開口を有する、かつその両端のそれぞれに主管路部が挿通される第1開口と第2開口とを有する筒状の主管路被覆部、および大径の開口の周縁から連続的に立ち上がって主管路被覆部に一体的に形成される、かつその先端に分岐管路部が挿通される第3開口を有する筒状の分岐管路被覆部を備え、主管路被覆部で主管路部が覆われた後、主管路被覆部の両端部のそれぞれが主管路部および主管路のいずれか一方に固定部材で固定され、分岐管路被覆部で分岐管路部が覆われた後、分岐管路被覆部の先端部が分岐管路部および分岐管路のいずれか一方に固定部材で固定される、浸透対策シートである。
【0011】
【作用】
第1の発明の浸透対策シートは、異形部の形成前に、まず、分岐管路被覆部から分岐管に被せられる。そして、この浸透対策シートを異形部側から分岐管路側へ避けておいて、異形管と主管路および分岐管路とをそれぞれ接続して異形部を形成する。異形部の形成後、避けておいた浸透対策シートを異形部へ移動させ、分岐管路被覆部に分岐管路部を挿通させてこれを覆うとともに、2つ主管路被覆部を主管路部の両側面にそれぞれ覆い被せる。そして、2つの主管路被覆部で主管路部の外周を包み込むようにして、互いに重ねることによって主管路部の外周を覆う。その後、固定部材を装着することによって浸透対策シートを異形部において固定する。このようにして、この浸透対策シートによって異形部の外周が簡単に被覆され、異形部に浸透防止対策が施される。
【0012】
第2の発明の浸透対策シートは、異形部の形成前に、まず、一方端側の開口から主管路の一方側に被せられる。そして、この浸透対策シートを異形部側から主管路の一方側へ避けておいて、異形管と主管路および分岐管路とをそれぞれ接続して異形部を形成する。異形部の形成後、避けておいた浸透対策シートを異形部へ移動させ、主管路被覆部の一方端部に主管路部の一方端部を挿通させてこれを覆うとともに、分岐管路被覆部を分岐管路部の外面に被せ、主管路被覆部の他方端部を主管路部の他方端部に被せる。浸透対策シートは、第1切込みおよび第2切込みによって主管路の他方側および分岐管路側において開放されるので、分岐管路部を回避しつつ異形部に被せることができる。そして、主管路被覆部の第1切込みによる開放端部どうしを重ね、かつ、分岐管路被覆部の第2切込みによる開放端部どうしを重ねることによって、主管路部および分岐管路部の外周を覆う。その後、固定部材を装着することによって浸透対策シートを異形部において固定する。このようにして、この浸透対策シートによって異形部の外周が簡単に被覆され、異形部に浸透防止対策が施される。
【0013】
第3の発明の浸透対策シートは、複数のシート部材、すなわち、第1主管路シート,第2主管路シートおよび分岐管路シートを含む。この浸透対策シートにおいては、異形部の形成前に、まず、第1主管路シートが主管路の一方側の管端部に第1開口側から被せられ、第2主管路シートが主管路の他方側の管端部に第2開口側から被せられ、分岐管路シートが分岐管の端部に分岐管路被覆部から被せられる。次に、各シートを異形部から避けておいて、異形管と分岐管および主管路とをそれぞれ接続する。異形部の形成後、第1主管路シート,第2主管路シートおよび分岐管路シートを順に異形部へ移動させてこれを覆う。第1主管路シートおよび第2主管路シートには、それぞれ第1切込みおよび第2切込みが分岐管路側において形成されているため、分岐管路部を回避しつつ主管路部に被せることができる。そして、主管路部の一方端部は第1主管路シートの一方端部に挿通されて覆われ、主管路部の他方端部は第2主管路シートの一方端部に挿通されて覆われ、分岐管路部は分岐管路シートの分岐管路被覆部に挿通されて覆われる。それとともに、主管路部の外面においては、第1主管路シートの他方端部と第2主管路シートの他方端部と分岐管路シートの主管路被覆部とが重ねられ、主管路部の外周が被覆される。その後、固定部材を装着することによってこの浸透対策シートを異形部に固定する。このようにして、複数のシート部材を組み合わせることによって簡単に異形部の外周が被覆され、異形部に浸透防止対策が施される。
【0014】
第4の発明の浸透対策シートは、異形部の形成前に、まず、主管路の一方側の管端部に主管路被覆部の一方端の開口から被せられる。次に、この浸透対策シートを異形部から主管路側へ避けておいて、異形管と主管路とを接続する。接続後、避けておいた浸透対策シートを異形管の位置へ移動させる。主管路被覆部の大きさは異形管を挿通可能にされているので、異形管を主管路被覆部内に収容できる。続いて、分岐管路被覆部に異形管の分岐管路部を差し込む。そして、異形管と分岐管とを接続するために、接続部分から分岐管路被覆部を避けておいて、分岐管路部と分岐管とを接続する。接続後、分岐管路被覆部に分岐管路部を挿通してこの外周を覆うとともに、主管路部の外周を主管路被覆部で覆う。その後、固定部材を装着することによって、この浸透対策シートを異形部に固定する。このようにして、この浸透対策シートによって異形部の外周が簡単に被覆され、異形部に浸透防止対策が施される。
【0015】
【発明の効果】
この発明によれば、施工現場でシートに切込みを入れたり、シートを切り開いたりすることなく、簡単に異形部を被覆することができ、したがって、作業性を向上できる。さらに、簡単に被覆できるので隙間が生じ難くなり、隙間から汚染物質が侵入するようなおそれがなくなる。したがって、シール性を向上でき、ひいては浸透防止性を向上できる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0017】
【実施例】
図1に示すこの実施例のポリオレフィン製水道管路の異形部用浸透対策シート(以下、単に「浸透対策シート」という。)10は、たとえば、ガソリン,灯油,有機溶剤等のような汚染物質による土壌汚染地域あるいはそのおそれのある地域において埋設されるポリオレフィン製水道管路の異形部12(図1中、二点鎖線で示される)に装着されて、管路内への汚染物質の浸透を防止するためのものである。
【0018】
ここで、異形部とは、管路において主管路から立ち上がって分岐される部分をいい、具体的には、たとえばチーズまたはサドルあるいはT字管やY字管等のような異形管を用いて構成される分岐部等を含み、また被覆の必要があればバルブ接合部等であってもよい。したがって、異形部12は、後述および図示される異形管(チーズ)12aによるものに限定されず適宜変更され得る。また、異形部12は、主管路14に接続される主管路部16および主管路14から立ち上がって分岐管路18に接続される分岐管路部20を含む。
【0019】
浸透対策シート10は、汚染物質の浸透を防止可能な浸透防止性を有する材料で形成されるものであり、たとえば、ポリオレフィン系樹脂よりもガス透過率の小さいナイロンまたはエチレンビニルアルコール等のような材料からなる層を含む構造のシートないしフィルムに等よって構成される。詳しくは、浸透対策シート10は、たとえば、共押出等によって、ナイロン,エチレンビニルアルコール等からなる内層の上下に接着層を介してポリオレフィン系合成樹脂等からなる外層が積層された5層構造を有するものであってよいし、単にナイロン層またはエチレンビニルアルコール層の外側に接着層を介してポリオレフィン層を積層した3層構造を有するもの等であってもよい。市販品ではたとえば宇部フィルム株式会社製の「シュペレン」(商品名)等が構成材として用いられ得る。浸透対策シート10は、このような浸透防止性を有するフィルム等の構成材を使用して異形部12の形状に合う形状に成形される。
【0020】
この実施例の浸透対策シート10は、分岐管路部20が挿通される開口22aを有する分岐管路被覆部22、および分岐管路被覆部22と一体的に形成されて主管路部16の外周を覆う2つ(2枚)の対向する主管路被覆部24aおよび24bを含む。主管路被覆部24aおよび24bは、開口22aを規定する周縁における対向する位置から延びて形成される。
【0021】
具体的には、浸透対策シート10は、たとえば矩形状等にされた薄板状の本体ないし被覆部24を含み、被覆部24の所定位置に分岐管路部20より大径の開口22aが形成され、この開口22aの周縁から連続的に分岐管路被覆部22が立ち上がって略筒状に形成される。被覆部24の大きさは、主管路部16を覆うことができるように、たとえば主管路部16の外面よりも大きくされ、少なくともその長さ(主管路部16の外周方向に対応する方向の大きさ)は、主管路部16の外径よりも大きく設定される。この被覆部24の開口22aから見て長さ方向の一方側が一方の主管路被覆部24aとなり、他方側が他方の主管路被覆部24bとなる。この実施例では、一方の主管路被覆部24aが短く、他方の主管路被覆部24bが長く設定されており、さらに、一方の主管路被覆部24aの長さは主管路部16の外面に沿って被覆したときにその底部を越えないように設定されている。これら2つの主管路被覆部24aおよび24bを重ね合わせることによって、主管路部16の外周が覆われる。また、分岐管路被覆部22の高さは、分岐管路部20を覆うことができるように、望ましくは分岐管路部20の高さよりも大きく設定される。分岐管路被覆部22は全周にわたって連続する筒状体であり、差し込むことで分岐管路部20の外周が覆われる。
【0022】
なお、後述するように主管路14および分岐管路18には従来技術のスリーブ等が装着され、主管路部16の両端部付近および分岐管路部20の上端部付近でこれらの端部が重ねられるので、被覆部24の幅(主管路部16の軸方向に対応する方向の長さ)および分岐管路被覆部22の高さは、少なくともこれらスリーブ等と重なり合うことが可能な程度に設定されていればよい。
【0023】
また、浸透対策シート10の製造方法は任意であるが、浸透対策シート10は、たとえば略筒状に成形した分岐管路被覆部22と開口を形成した被覆部24とを準備し、分岐管路被覆部22の下端縁部分と被覆部24の開口の周縁部分とを重ね合わせて溶着すること等によって形成され得る。
【0024】
浸透対策シート10を使用する際には、水道管路の異形部12の施工現場に浸透対策シート10を持ち込む。そして、異形部12の形成前に、まず、図2(A)に示すように、分岐管路18を構成するポリオレフィン製の分岐管18aの端部に分岐管路被覆部22の上端(先端)からこの浸透対策シート10を被せる。次に、図2(B)に示すように、この浸透対策シート10を接続が行われる異形部12の位置から分岐管路18側へ避けてあるいは逃がしておいて、異形部12を形成する。つまり、たとえば、分岐管18aの接続口(この実施例では差口)と異形管12aの分岐管路部20の接続口(この実施例では受口)とを熱融着または電気融着等によって接続する。また、この接続後または前に、異形管12aの主管路部16の両接続口(この実施例では受口)と主管路14を構成するポリオレフィン製の管14aおよび14bの接続口(この実施例では差口)とを同様に熱融着等によってそれぞれ接続する。なお、浸透対策シート10を異形部12から逃がしておくのは、接合作業の妨げになるのを防止するとともに、融着等の接合の影響が浸透対策シートに及ばないようにする等のためである。異形部12を形成した後、逃がしておいた浸透対策シート10を異形部12へ移動させて、図2(C)に示すように、その分岐管路被覆部22に分岐管路部20を挿通させて分岐管路部20を覆うとともに、主管路被覆部24aおよび24bを主管路部16の両側面にそれぞれ垂れ下げるようにしてこれに覆い被せる。
【0025】
そして、2つの主管路被覆部24aおよび24bで主管路部16の外周を包み込むようにして、これらを互いに重ねることによって主管路部16の外周を被覆する。たとえば、まず、他方の主管路被覆部24bを主管路部16の外面に添わせて巻き回すようにし、次に、一方の主管路被覆部24aの端部を他方の主管路被覆部24bの外面側に重ねることによって、主管路部16の外周を覆う。この実施例では、一方の主管路被覆部24aの長さが主管路部16の底部を越えない程度に設定され、かつ、一方の主管路被覆部24aが外面側となるように重ねているので、重ね合わせ部分の切れ目(継ぎ目)を下向きとすることができ、したがって、この継ぎ目からは汚染物質が侵入し難くなる。
【0026】
そして、図3に示すように、ゴムバンド,紐または粘着テープ等のような固定部材26を、たとえば主管路部16の両端側で締結または貼着等することにより装着し、主管路被覆部24aおよび24bを主管路14または主管路部16に固定して、密着シールするとともに、分岐管路部20の上端側で固定部材26を同様に装着し、分岐管路被覆部22を分岐管路18または分岐管路部20に固定して、密着シールする。また、汚染物質の侵入防止をより確かなものとするために、重ね合わせ部分の継ぎ目やシートと管路との継ぎ目等には、たとえば、1/2ラップでアルミテープ巻きし、さらに防食のために、防食テープ巻きするようにしてもよい。このようにして、この浸透対策シート10によって異形部12の外周が簡単に被覆され、異形部12に浸透防止対策が施される。
【0027】
なお、主管路14および分岐管路18の外周には、たとえば従来技術で示した直管部用のスリーブ等が、浸透対策シート10により被覆された主管路部16の両端部および分岐管路部20の上端部にそれぞれ重ねられた状態で装着され、浸透防止対策が施される。
【0028】
この実施例によれば、施工現場で浸透対策シート10に切込みを入れたり、浸透対策シート10を切り開いたりする必要がなく、簡単に異形部12を被覆することができ、したがって、作業性を向上できる。さらに、簡単に被覆できるので、隙間が生じ難くなり、汚染物質がこの隙間から侵入するようなおそれがなくなる。したがって、シール性を向上でき、ひいては浸透防止性を向上できる。
【0029】
なお、図1実施例では、分岐管路被覆部22を被覆部24に形成された開口から略筒状に設けるようにしているが、分岐管路被覆部22はこれに限定されるものではなく、たとえば、図4に示すように、被覆部ないし本体24の所定位置に放射状に切込み28を形成することによって設けられてもよい。この実施例では、たとえば、幅方向略中央かつ長さ方向一方端側において、放射状に切込み28が形成され、切込み28の長さは分岐管路部20の径の半分よりも大きく設定される。そして、この切込み28形成により形成される複数の切込み片30が分岐管路被覆部22に相当する。
【0030】
この浸透対策シート10(図4実施例)では、図5に示すように、切込み28の形成によって形成されることとなる開口(孔)に分岐管路部20が挿通され、図1実施例の場合と同様にして異形部12が被覆される。つまり、分岐管路部20が分岐管路被覆部22(切込み片30)で覆われるとともに、一方の主管路被覆部24aを他方の主管路被覆部24bに重ねることによって主管路部16の外周が被覆される。そして、固定部材26を装着することによって浸透対策シート10は異形部12に固定される。なお、この実施例でも、図1実施例と同様に、主管路被覆部24aおよび24bの重ね合わせ部分の継ぎ目や切込み片30の継ぎ目等には、アルミテープ巻きおよび防食テープ巻き等を施してもよいのは言うまでもない。
【0031】
また、上述の各実施例では、分岐管路部20が挿通される分岐管路被覆部22を形成するようにしているが、浸透対策シートは主管路部16のいずれか一方側端部が挿通される開口が設けられた主管路被覆部を形成するようにしてもよい。
【0032】
すなわち、たとえば、図6に示す他の実施例の浸透対策シート32は、その一方端部に主管路部16の一方側が挿通される開口34が設けられて主管路部16の外周を覆う主管路被覆部36,および主管路被覆部36と一体的に形成されて分岐管路部20の外周を覆う分岐管路被覆部38を含む。主管路被覆部36の他方端部には第1切込み40が設けられ、分岐管路被覆部38における主管路部16の他方側には第1切込み40と連続する第2切込み42が設けられる。
【0033】
具体的には、主管路被覆部36はたとえば略筒状に形成され、その軸方向略中央部において分岐管路18側に分岐管路部20よりも大径の開口が形成され、この開口の周縁から連続的に分岐管路被覆部38が立ち上がって略筒状に形成される。そして、第1切込み40が分岐管路18側において他方端から分岐管路被覆部38(その開口)まで軸方向に延びて形成され、第2切込み42が分岐管路被覆部38の上端から基端(開口)までその軸方向に延びて形成されて、第1切込み40と第2切込み42とが連続される。これら第1切込み40および第2切込み42によって、浸透対策シート32は、その主管路14の他方側と分岐管路18側とで挟まれる範囲の部分において切り開かれて開放される。また、主管路被覆部36の径および長さは、たとえば主管路部16の外径および軸方向長さよりもそれぞれ大きく設定され、分岐管路被覆部38の高さは、望ましくは分岐管路部20の高さより大きく設定される。そして、主管路被覆部36の一方端部が主管路部16の一方端部を覆う略筒状の端部被覆部36aとなり、主管路被覆部36の他方端部が主管路部16の他方端部を覆う略筒状の端部被覆部36bとなる。端部被覆部36aは全周にわたって連続する筒状体であり、差し込むことで主管路部16の一方端部が覆われる。
【0034】
この浸透対策シート32を用いて異形部12を被覆する際には、異形部12の形成前に、まず、図7(A)に示すように、主管路14の一方側の管14a端部に一方端側の開口34からこの浸透対策シート32を被せる。次に、図7(B)に示すように、この浸透対策シート32を接続が行われる異形部12から主管路14の一方側へ逃がしておいて、異形管12aと分岐管18aならびに管14aおよび14bとを融着等によってそれぞれ接続する。異形部12の形成後、逃がしておいた浸透対策シート32を異形部12へ移動させる。そして、図7(C)に示すように、開口34に主管路部16の一方端部を挿通させてこれを端部被覆部36aで覆うとともに、分岐管路被覆部38を分岐管路部20の外面に覆い被せ、かつ、主管路被覆部36の他方端部36bを主管路部16の他方端部に覆い被せる。浸透対策シート32は、上述のように第1切込み40および第2切込み42によって主管路14の他方側および分岐管路18側において開放されているので、分岐管路部16を回避することができ、したがって、異形部12に移動させて被せることができる。
【0035】
そして、たとえば、図8に示すように、端部被覆部36bの周方向一方の開放端部をその他方の開放端部に重ね、かつ、分岐管路被覆部38の周方向一方の開放端部をその他方の開放端部に重ねることによって、主管路部16および分岐管路部20の外周を覆う。その後、図1実施例と同様に、固定部材26を適宜装着することによって、浸透対策シート32を異形部12に固定する。このようにして、この浸透対策シート32によって異形部12の外周が被覆され、異形部12に浸透防止対策が施される。この他の実施例によっても、上述の各実施例と同様に、作業性を向上でき、浸透防止性を向上できる。
【0036】
また、上述の各実施例では、1つの部材からなる浸透対策シートで異形部12を被覆するようにしているが、複数のシート部材を組み合わせてなる浸透対策シートで異形部12を被覆するようにしてもよい。
【0037】
すなわち、たとえば、図9に示す他の実施例の浸透対策シート44は、主管路部16の一方側から異形部12に被せられる第1主管路シート46,主管路部16の他方側から異形部12に被せられる第2主管路シート48,および分岐管路部20側から異形部12に被せられる分岐管路シート50を含む。
【0038】
第1主管路シート46は、その一方端部に設けられて主管路部16の一方側が挿通される第1開口52およびその他方端部に設けられる第1切込み54を含む。具体的には、第1主管路シート46は主管路部16の外径よりも大きい内径を有して略筒状に形成され、他方端部の分岐管路18側において他方端から軸方向に延びる第1切込み54が形成され、第1切込み54の形成されない一方端部が主管路部16の一方端部を覆う端部被覆部46aとなる。この端部被覆部46aの軸方向長さは、主管路部16の一方側を覆うことができるようにこの主管路部16の一方側の長さよりも大きく設定され、第1切込み54の形成される他方端部の長さは第2主管路シート48の他方端部と重なるように適宜に設定される。この第1切込み54によって他方端部の分岐管路18側が開放されるので、分岐管路部20を回避して装着することができ、また、この他方端部が主管路部16の中央部分および他方側を覆う被覆部ともなる。
【0039】
第2主管路シート48は、その一方端部に設けられて主管路部16の他方側が挿通される第2開口56およびその他方端部に設けられる第2切込み58を含む。第2主管路シート48は第1主管路シート46と同様に形成されるので説明は省略する。
【0040】
分岐管路シート50は、分岐管路部20が挿通される第3開口60aを有する分岐管路被覆部60、および分岐管路被覆部60に一体的に形成される2つ(2枚)の対向する主管路被覆部62aおよび62bを含む。
【0041】
具体的には、分岐管路シート50は分岐管路部20の外径よりも大きい内径を有して略筒状に形成され、その他方端部(下端部)には、他方端からシート50の軸方向に延びる2つの第3切込み64が、主管路部16軸方向に対応する位置に形成される。第3切込み64の形成されない一方端部(上端部)側が分岐管路被覆部60となるとともに、2つの第3切込み64が入れられることによって形成される2つの対向する切込み片が主管路被覆部62aおよび62bとなる。第3開口部60の軸方向長さは、たとえば分岐管路部20を覆うことができるようにこの分岐管路部20の高さよりも大きく設定され、主管路被覆部62aおよび62bの長さは、第1主管路シート46および第2主管路シート48と重ねられるように適宜に設定され、この実施例では主管路部16の両側面から底部をも覆うことができるようにされている。2つの第3切込み64によって他方端部の主管路部16軸方向が開放されるので、主管路部16の両端部を避けて装着することが可能となる。
【0042】
この浸透対策シート44を用いて異形部12を被覆する際には、異形部12の形成前に、まず、第1主管路シート46を主管路14の一方側の管14aの端部に第1開口52側から被せ、第2主管路シート48を主管路14の他方側の管14bの端部に第2開口56側から被せ、分岐管路シート50を分岐管18aの端部に分岐管路被覆部60側から被せておく。次に、各シート46,48および50を接続が行われる異形部12から逃がしておいて、異形管12aと分岐管18aならびに管14aおよび14bとを融着等によってそれぞれ接続する。
【0043】
異形部12の形成後、異形部12から避けておいた各シートを順に異形部12に移動させてこれを覆う。たとえば、図10(A)に示すように、まず、第1主管路シート46を異形部12へ移動させ、端部被覆部46aに主管路部16の一方端部を挿通させてこれを覆うとともに、他方端部の被覆部を主管路部16の外面に被せる。次に、第2主管路シート48を異形部12に移動させ、端部被覆部48aに主管路部16の他方端部を挿通させてこれを覆うとともに、他方端部の被覆部を第1主管路シート46の外面側に被せて、第1主管路シート46および第2主管路シート48の端部どうしを重ねる。つまり、第1主管路シート46の他方端部は、第2主管路シート48の他方端部内に収容される。最後に、図10(B)に示すように、分岐管路シート50を異形部12に移動させ、分岐管路被覆部60に分岐管路部20を挿通させてこれを覆うとともに、主管路被覆部62aおよび62bを、主管路部16の両側面において、重ねられた第1主管路シート46および第2主管路シート48の外面側にそれぞれ重ねる。そして、たとえば分岐管路シート50の主管路被覆部62aおよび62bを重ねることによって主管路部16の外周を覆う。
【0044】
なお、各シート46,48および50の異形部12への移動順および被覆順は上述のものに限定されず適宜変更され得る。つまり、たとえば、分岐管路シート50の主管路被覆部62aおよび62bは、第1主管路シート46または第2主管路シート48内に収容されてもよい。
【0045】
その後、図1実施例等と同様に、固定部材26を適宜装着することによってこの浸透対策シート44を異形部12に固定する。このようにして、3つのシート部材すなわち第1主管路シート46,第2主管路シート48および分岐管路シート50を組み合わせることによって異形部12の外周が簡単に被覆され、異形部12に浸透防止対策が施される。この他の実施例によっても、上述の各実施例と同様に、作業性を向上でき、浸透防止性を向上できる。
【0046】
なお、分岐管路シート50の主管路被覆部62aおよび62bは、換言すれば、分岐管路被覆部60の基端(下端)の第3開口60aを規定する周縁においる対向する位置から延びて形成されるものでもある。したがって、上述の図9実施例(浸透対策シート44)における分岐管路シート50としては、図1実施例または図4実施例の浸透対策シート10のような構成のものも適用され得る。
【0047】
また、上述の各実施例では、切込みないし切れ目等を形成することによってシートを開放することで、装着時に主管路部16や分岐管路部20を回避できるようにしたり、あるいは開放された端部を重ねることで異形部12を被覆できるようにしたりなどしているが、たとえば図11に示す他の実施例の浸透対策シート66のように、切込み等が形成されなくても異形部12を簡単に被覆することができる。
【0048】
図11に示すように、浸透対策シート66は、異形管12aをその内部に挿通可能な大きさに形成されて主管路部16の外周を覆う主管路被覆部68、および主管路被覆部68に一体的に形成されて分岐管路部20の外周を覆う分岐管路被覆部70を含む。
【0049】
具体的には、主管路被覆部68は、異形管12aの高さ(主管路部16の底から分岐管路部20の上端までの高さ)よりも大きい内径を有して略筒状に形成される。また、主管路被覆部68の長さは、たとえば主管路部16の軸方向長さよりも大きく設定され、その両端部が主管路部16の両端部をそれぞれ覆う端部被覆部となる。主管路被覆部68の軸方向略中央部には分岐管路部20より大径の開口が形成され、この開口の周縁から連続的に立ち上がってたとえば略筒状等の分岐管路被覆部70が形成される。分岐管路被覆部70の高さは望ましくは分岐管路部20の高さよりも大きく設定される。
【0050】
この浸透対策シート66を用いて異形部12を被覆する際には、異形部12の形成前に、たとえば、まず、図12(A)に示すように、主管路14の一方側の管14aの端部に主管路被覆部68の一方端の開口からこの浸透対策シート66を被せる。次に、図12(B)に示すように、この浸透対策シート66を接続が行われる異形部12から主管路14の一方側へ逃がしておいて、異形管12aと管14aおよび14bとを融着等によってそれぞれ接続する。接続後、図12(c)に示すように、逃がしておいた浸透対策シート66を異形管12aの位置へ移動させる。主管路被覆部68の大きさは異形管12aを挿通可能にされているので、異形管12aを主管路被覆部68内に収容できる。なお、浸透対策シート66は、主管路14の他方側の管14bから被せるようにしてもよいのは勿論である。
【0051】
次に、図13(A)に示すように、分岐管路被覆部70に異形管12aの分岐管路部20を差し込む。そして、異形管12aと分岐管18aとを接続するために、分岐管路被覆部70をたとえばその基端側へ手繰りまたは引き寄せて縮めることによって、分岐管路部20を露出させる。このように、接続部分から分岐管路被覆部70を避けておいて、分岐管路部20の接続口と分岐管18aの接続口とを融着等によって接続する。接続後、すなわち異形部12の形成後、図13(B)に示すように、縮めていた分岐管路被覆部70を延ばして分岐管路部20を覆う。また、主管路部16の外周を主管路被覆部68で覆う。その後、図1実施例等と同様に、固定部材26を用いて主管路被覆部68を固定するとともに、分岐管路被覆部70を固定する。なお、主管路被覆部68を固定する際には適宜折畳むようにしてよい。このようにして、この浸透対策シート66によって異形部12の外周が簡単に被覆され、異形部12に浸透防止対策が施される。
【0052】
この他の実施例によっても、上述の各実施例と同様に、作業性を向上でき、浸透防止性を向上できる。また、切込み等を全く形成しない場合には、異形部12の外周を覆うためにたとえば端部を重ね合わせる等の作業が不要となり、単に異形部12に被せるだけでよいので、作業性をより向上できる。しかも、隙間が発生するおそれがないのでシール性をより向上でき、したがって浸透防止性もより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す図解図である。
【図2】図1実施例を用いて異形部を被覆する方法の一部を示す図解図である。
【図3】図1実施例の使用形態を示す図解図である。
【図4】図1実施例の変形例を示す図解図である。
【図5】図4実施例を異形部に被せた状態を示す図解図である。
【図6】この発明の他の実施例を示す図解図である。
【図7】図6実施例を用いて異形部を被覆する方法の一部を示す図解図である。
【図8】図6実施例を用いて異形部を被覆した状態を示す図解図である。
【図9】この発明の他の実施例を示す図解図である。
【図10】図9実施例を用いて異形部を被覆する方法の一部を示す図解図である。
【図11】この発明の他の実施例を示す図解図である。
【図12】図11実施例を用いて異形部を被覆する方法の一部を示す図解図である。
【図13】図11実施例を用いて異形部を被覆する方法の他の一部を示す図解図である。
【図14】従来技術を示す図解図である。
【符号の説明】
10,32,44,66 …ポリオレフィン製水道管路の異形部用浸透対策シート
12 …異形部
12a …異形管
16 …主管路部
20 …分岐管路部
22,38,60,70 …分岐管路被覆部
22a …開口
24a,24b,36,62,68 …主管路被覆部
40,54 …第1切込み
42,58 …第2切込み
46 …第1主管路シート
48 …第2主管路シート
50 …分岐管路シート
52 …第1開口
56 …第2開口
60a …第3開口

Claims (2)

  1. 主管路部と前記主管路部から立ち上がる分岐管路部とを含む異形管、前記主管路部に接続される主管路、および前記分岐管路部に接続される分岐管路を有するポリオレフィン製水道管路の異形部を被覆する、かつ汚染物質の浸透を防止可能な材料で形成され浸透対策シートであって、
    その一方端部に前記主管路の一方側が挿通される第1開口と前記主管路部の一方端部を覆う端部被覆部とが設けられ、かつ、その他方端部に第1切込みが設けられる筒状の第1主管路シート、
    その一方端部に前記主管路の他方側が挿通される第2開口と前記主管路部の他方端部を覆う端部被覆部とが設けられ、かつ、その他方端部に第2切込みが設けられる筒状の第2主管路シート、および
    その一方端部に前記分岐管路が挿通される第3開口と前記分岐管路部を覆う分岐管路被覆部とが設けられ、かつ、その他方端部に2つの第3切込みと、2つの前記第3切込みの間で前記分岐管路被覆部に一体的に形成されて対向する2つの主管路被覆部とが設けられる筒状の分岐管路シートを備え、
    前記主管路部において、前記第1主管路シートの前記他方端部と前記第2主管路シートの前記他方端部と前記分岐管路シートの前記主管路被覆部とが重ねられ
    前記第1主管路シートの前記端部被覆部が前記主管路部および前記主管路のいずれか一方の一方端部に固定部材で固定され、
    前記第2主管路シートの前記端部被覆部が前記主管路部および前記主管路のいずれか一方の他方端部に固定部材で固定され、
    前記分岐管路被覆部が前記分岐管路部および前記分岐管路のいずれか一方に前記固定部材で固定される、浸透対策シート。
  2. 主管路部と前記主管路部から立ち上がる分岐管路部とを含む異形管、前記主管路部に接続される主管路、および前記分岐管路部に接続される分岐管路を有するポリオレフィン製水道管路の異形部を被覆する、かつ汚染物質の浸透を防止可能な材料で形成され浸透対策シートであって、
    記異形管をその内部に挿通可能な大きさに形成される、前記分岐管路部より大径の開口を有する、かつその両端のそれぞれに前記主管路部が挿通される第1開口と第2開口とを有する筒状の主管路被覆部、および
    前記大径の開口の周縁から連続的に立ち上がって前記主管路被覆部に一体的に形成される、かつその先端に前記分岐管路部が挿通される第3開口を有する筒状の分岐管路被覆部を備え
    前記主管路被覆部で前記主管路部が覆われた後、前記主管路被覆部の両端部のそれぞれが前記主管路部および前記主管路のいずれか一方に固定部材で固定され、
    前記分岐管路被覆部で前記分岐管路部が覆われた後、前記分岐管路被覆部の先端部が前記分岐管路部および前記分岐管路のいずれか一方に前記固定部材で固定される、浸透対策シート。
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