JP3942285B2 - 熱間圧延方法および熱間圧延設備 - Google Patents

熱間圧延方法および熱間圧延設備 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラブを粗圧延、仕上圧延して熱延鋼帯となす熱間圧延方法および設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平9-314216 号公報は、粗圧延機と仕上圧延機の間に、ソレノイド型誘導加熱装置とエッジヒーターを設置した熱間圧延設備と、ソレノイド型誘導加熱装置とエッジヒーターで粗バーを加熱し、仕上圧延機入側における粗バーの幅方向温度分布を均一にする圧延方法を開示し、その実施例にはソレノイド型誘導加熱装置、エッジヒーターの順に並んでいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この配置では、エッジヒーターによる加熱後も、さらに端部の温度が不足した場合に、補償手段が存在しない。この場合、熱延鋼帯幅端部の品質が劣化し、歩留りが低下する。
【0004】
本発明は、この問題を解決すべくなされたもので、粗バー幅方向端部の温度不足を確実に補償して、熱延鋼帯幅端部の品質を向上し、歩留りを高めることができる方法及び設備を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)スラブを粗圧延して粗バーとなす工程と、粗バーの幅方向温度分布を測定する工程と、エッジヒーターにより粗バーの幅方向端部を加熱して、粗バーの幅方向に所定の温度分布を与える工程と、粗バーの幅方向端部加熱後の粗バー幅方向温度分布をエッジヒーター出側温度計で測定する工程と、ソレノイド型誘導加熱装置により粗バーを幅方向全体にわたって加熱する工程と、粗バーを仕上圧延して熱延鋼帯となす工程とを順次おこなう熱間圧延方法であって、前記ソレノイド型誘導加熱装置による加熱工程は、前記エッジヒーター出側温度計で測定したエッジヒーターによる幅方向加熱後の幅方向端部温度が所定の温度に達していない場合に、該ソレノイド型該誘導加熱装置への投入電力を修正して粗バーの加熱をおこない、粗バーの幅方向に所定の温度分布を与えることを特徴とする熱間圧延方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。本発明者らは、ソレノイド型誘導加熱装置とエッジヒーターの配置について鋭意検討を重ね、粗圧延機、エッジヒーター、ソレノイド型誘導加熱装置、仕上圧延機の順に配列すべきであることを見いだした。即ち、ソレノイド型誘導加熱装置とエッジヒーターの加熱特性には違いがあり、ソレノイド型誘導加熱装置で粗バーを加熱すると、幅方向について全体が均一に昇温する。エッジヒーターが加熱するのは、粗バーの幅方向端部のみである。このことは、ソレノイド型誘導加熱装置はエッジヒーターの能力不足を補えるが、逆はそうではないことを意味する。例として、幅方向端部のみ加熱する必要のある粗バーを考える。ソレノイド型誘導加熱装置、エッジヒーターの順に並んでいる場合は、エッジヒーターによる加熱後も、さらに端部の温度が不足した場合に、補償手段が存在しない。逆に、エッジヒーターの後ろにソレノイド型誘導加熱装置が設置されていれば、ソレノイド型誘導加熱装置で端部の温度不足を補うことが可能である。
【0008】
図1は、本発明の熱間圧延設備の実施形態を示す概略側面図である。
スラブを粗圧延して粗バーとなす粗圧延機1と、粗バーを仕上圧延して熱延鋼帯となす仕上圧延機6の間に、粗バーの幅方向端部を加熱するエッジヒーター3と粗バーを幅方向全体にわたって加熱するソレノイド型誘導加熱装置5が、粗圧延機1、エッジヒーター3、ソレノイド型誘導加熱装置5、仕上圧延機6のに設置されている。
【0009】
加熱装置入側温度計2、エッジヒーター出側温度計4、および仕上圧延機出側温度計7は、被圧延材の幅方向温度プロフィール、あるいは、少なくとも幅中心部と幅端部の温度を測定することのできる温度検出手段である。
【0010】
本発明の圧延方法の概要は、次のようなものである。
まず、加熱装置入側温度計2で測定された、粗バーの幅方向温度分布をもとに、エッジヒーター3とソレノイド型誘導加熱装置5への投入電力を決定する。エッジヒーター3による加熱後の粗バー幅方向温度分布を、エッジヒーター出側温度計4で測定し、幅端部が所定の温度に達していない場合には、ソレノイド型誘導加熱装置5への投入電力を修正して、ソレノイド型誘導加熱装置5による粗バーの加熱を行い、粗バーの幅方向に所定の温度分布を与えてから仕上圧延を行う。
【0011】
【実施例】
本発明の効果を実施例にて説明する。
本発明を実施した熱間圧延設備を図1に示す。粗圧延機1と仕上圧延機6の間に、4000kW級のE型エッジヒーター3を1台と、5000kW級のソレノイド型誘導加熱装置5が3台、それぞれ設置されている。
【0012】
スラブ加熱炉で1250℃に加熱した、板厚235mm、幅1000mm、長さ5000mmの鋼スラブを、粗圧延機1で粗圧延して、板厚30mmの粗バーとし、さらに粗バーを仕上圧延機6で仕上圧延して、板厚1.4mm、幅1000mmの熱延鋼帯を製造した。
【0013】
このときの、仕上圧延機出側温度計7を用いて熱延鋼帯先端部において測定した、圧延仕上温度の幅方向分布を図3に示す。横軸はドライブ(DR)側のエッジから測った、熱延鋼帯の幅方向距離である。幅方向距離が1000mmのところが、フリー側の熱延鋼帯エッジに相当する。一点鎖線は、熱延鋼帯の材質確保に必要な圧延仕上温度の目標値を示す。本実施例の鋼種では、圧延仕上温度は810℃以上にしなければならない。
【0014】
細実線のグラフは、エッジヒーター3(図中ではE/Hと表示)と、ソレノイド型誘導加熱装置5(図中ではB/Hと表示)のいずれも使用しなかった場合の圧延仕上温度分布である。エッジの温度は目標温度よりも約30℃下回っており、各エッジから100mm以上の範囲で、圧延仕上温度が目標の810℃以下になっている。
【0015】
エッジヒーター3を使用して粗バーの幅端部を加熱し、ソレノイド型誘導加熱装置5は使用しなかったときの圧延仕上温度分布を細点線で示す。エッジヒーター3による加熱が不十分であるために、やはりエッジ部で圧延仕上温度が不足している。このようなことが、エッジヒーター出側温度計4で検出した温度をもとに予測されても、図2の比較例1に示すような熱間圧延設備では、もはやエッジヒーター3の後に幅端部の温度を補償する手段が存在しない。
【0016】
そこで、本発明の熱間圧延設備と圧延方法により、エッジヒーター3で不足した分を、ソレノイド型誘導加熱装置5で補ったときの圧延仕上温度分布が、図3の太実線のグラフである。熱延鋼帯の幅方向全体にわたって、圧延仕上温度は810℃以上に確保されていることがわかる。
【0017】
【発明の効果】
本発明により、粗バー幅方向端部の温度不足を、より確実に補償することができ、熱延鋼帯幅端部の品質が向上する。その結果、歩留りも高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱間圧延設備を示す概略側面図。
【図2】比較例の熱間圧延設備を示す概略側面図。
【図3】圧延仕上温度の幅方向温度分布を示す図。
【符号の説明】
1…粗圧延機
2…加熱装置入側温度計
3…エッジヒーター
4…エッジヒーター出側温度計
5…ソレノイド型誘導加熱装置
6…仕上圧延機
7…仕上圧延機出側温度計

Claims (1)

  1. スラブを粗圧延して粗バーとなす工程と、粗バーの幅方向温度分布を測定する工程と、エッジヒーターにより粗バーの幅方向端部を加熱して、粗バーの幅方向に所定の温度分布を与える工程と、粗バーの幅方向端部加熱後の粗バー幅方向温度分布をエッジヒーター出側温度計で測定する工程と、ソレノイド型誘導加熱装置により粗バーを幅方向全体にわたって加熱する工程と、粗バーを仕上圧延して熱延鋼帯となす工程とを順次おこなう熱間圧延方法であって、前記ソレノイド型誘導加熱装置による加熱工程は、前記エッジヒーター出側温度計で測定したエッジヒーターによる幅方向加熱後の幅方向端部温度が所定の温度に達していない場合に、該ソレノイド型該誘導加熱装置への投入電力を修正して粗バーの加熱をおこない、粗バーの幅方向に所定の温度分布を与えることを特徴とする熱間圧延方法。
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