JP3941080B2 - 液晶配向膜の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶配向膜の製造法に関する。さらに詳しくは、偏光されたパルスレーザーの照射により膜表面の分子を配向させる液晶配向膜の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板の当該表面に液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に、例えば正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、当該液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにした、いわゆるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。
このTN型液晶表示素子などの液晶表示素子における液晶分子の配向は、通常、ラビング処理により液晶分子に対する配向能が付与された液晶配向膜により実現される。
【0003】
しかしながら、このラビング処理には、次のような問題点が指摘される:▲1▼TFT素子の破壊につながるので、その製造装置には静電対策がなされているが、ラビング処置により発生する静電気に対しては完全ではない、▲2▼ラビング処理は塵を発生するため、引き続いて洗浄を必要とし工程数が増加する、▲3▼段差部を有する配向膜では、段差部と平坦部のラビング条件が異なるようになるので、配向規制力およびチルト角の不均一を生じ易い、▲4▼ラビング方向が単一であるため、分割配向画素からなる配向膜の製造には工程が煩雑になる、▲5▼大型基板、例えば550×650mm以上の大型基板の配向膜を均一にラビングするためには、特別の装置を必要とする。
【0004】
上記の如き問題点を避けるため、ラビング処理を行わずに(以下、ノンラビング処理という)液晶配向膜に液晶分子に対する配向能を付与する方法も開発されている。そのような方法の1つとして、液晶配向膜にレーザーを照射する方法がある。
【0005】
特開平2−196219号公報には、液晶表示装置における電極基板上の高分子フィルム表面に高強度の紫外レーザー、例えばXeF、XeCl、KrF、ArFあるいはF2エキシマレーザーを照射して周期的な模様を形成し液晶配向膜を製造する方法が開示されている。
特開平6−130390号公報には、真空容器内において、その内部を真空排気しながら、基板上に形成されていて液晶分子を一定方向に配向させるための配向膜に対して、多数の互いに平行なスリット穴を有するマスクを通してエキシマレーザー光を照射する方法が開示されている。
【0006】
また、特開平5−232472号公報には、一対の透明基板の相互に対向する表面に配向膜を形成し、その間に液晶を封入してなる電気光学装置を製造する方法であって、前記各透明基板の相互に対向する表面に、液晶膜を支持するためのスペーサーを混入させた配向膜を形成した後に、前記配向膜にレーザー光を照射して配向処理していく方法が開示されている。
上記方法では、いずれの方法でも、液晶配向膜にレーザー光を照射した際に、配向膜表面の高分子がある周期をもって切断され、切断された原子もしくは分子が酸化されて気化するため、配向膜の表面に周期的な凹凸が生ずる。そのため、この方法では、気化された分解物によってクリーンルームの環境が悪化し、また表面の周期的な凹凸が高分子の分解によって生起されるため表面の電気特性も十分でないという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
それ故、本発明の目的は、ノンラビング処理により配向膜の表面の分子を配向させる新規な方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、塵や分解物を生じることなく、配向膜の表面の分子を効果的に配向することのできる方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、配向膜の表面の分子を分解することなく、非分解的に配向膜の表面に、液晶分子に対する配向能を付与する周期的な凹凸を形成することのできる方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、表面に非分解的に且つ周期的に形成された凹凸もしくはうねりを持つ、ポリイミド膜からなる液晶配向膜を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、本発明の上記液晶配向膜を用いた液晶表示素子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、有機膜に、偏光されたパルスレーザーを10〜40度の入射角で、光照射による高分子の分解が起こる最低限界パルスエネルギー(約10mJ/cm2)よりもはるかに低いパルスエネルギー(1〜3mJ/cm2)で照射することにより、液晶分子に対する配向能を付与する周期的な凹凸を形成して該有機膜の表面の分子を配向させることを特徴とする液晶配向膜の製造法によって達成される。以下、本発明方法について先ず具体的に説明する。本発明方法において、液晶配向膜を形成するための有機膜の素材は、有機ポリマーからなる。有機ポリマーとしては、例えばポリイミド、ポリスルホン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ノルボルネン系樹脂等を挙げることができる。
【0009】
これらの有機ポリマーとしては、それ自体公知のものがいずれも使用できる。中でも、二次転移点(Tg)あるいは融点(Tm)が少なくとも約90℃であり、且つSP値が少なくとも8.5であるものが好ましい。
Tgはより好ましくは少なくとも150℃であり、特に好ましくは少なくとも180℃である。
また、これらの有機ポリマーは、例えばアルコール類やケトン類のような通常の溶剤で膨潤しないものが有利である。
上記有機ポリマーの1つであるポリイミドは、下記式(I)
【0010】
【化1】
Figure 0003941080
【0011】
ここで、R01は、4価の有機基であり、そしてR02は2価の有機基である、
で表される繰返し単位を含有してなる。
01は、テトラカルボン酸から4個のカルボキシル基を除去した4価の有機基に相当し、そしてR02はジアミン化合物から2個のアミノ基を除去した2価の有機基に相当する。
【0012】
上記ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを有機溶剤中で反応させてポリアミック酸を合成し、さらに必要に応じて該ポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドとすることによって得ることができる。
【0013】
[テトラカルボン酸二無水物]
上記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(II)および(III)で表される化合物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
【0014】
【化2】
Figure 0003941080
【0015】
(式中、R1およびR3は、芳香環を有する2価の有機基を示し、R2およびR4は、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するR2およびR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0016】
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(1)〜(4)で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0017】
【化3】
Figure 0003941080
【0018】
これらのうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(II)で表される化合物のうち下記式(5)〜(7)で表される化合物および上記式(III)で表される化合物のうち下記式(8)で表される化合物が、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましく、特に好ましいものとして、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ピロメリット酸二無水物および下記式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0019】
【化4】
Figure 0003941080
【0020】
[ジアミン化合物]
また、上記ポリアミック酸の合成に用いられるジアミン化合物としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリンなどの芳香族ジアミン;
【0021】
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
【0022】
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミンおよび下記式(IV) 〜(V)で表される化合物などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
【0023】
【化5】
Figure 0003941080
【0024】
(式中、R5は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示す。)
【0025】
【化6】
Figure 0003941080
【0026】
(式中、R6は、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示し、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
【0027】
下記式(VI)で表されるモノ置換フェニレンジアミン類;下記式(VII)で表されるジアミノオルガノシロキサン;
【0028】
【化7】
Figure 0003941080
【0029】
(式中、R7は 、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の有機基を示し、R8は、ステロイド骨格を有する1価の有機基または炭素数6〜30のアルキル基を示す。)
【0030】
【化8】
Figure 0003941080
【0031】
(式中、R9は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するR9は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
【0032】
下記式(9)〜(13)で表される化合物などを挙げることができる。これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
【化9】
Figure 0003941080
【0034】
(式中、yは2〜12の整数であり、zは1〜5の整数である。)
【0035】
これらのうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン 、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、上記式(9)〜(13)で表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、上記式(IV) で表される化合物のうち下記式(14)で表される化合物、上記式(V)で表される化合物のうち下記式(15)で表される化合物および上記式(VI)で表される化合物のうち下記式(16)〜(19)で表される化合物が好ましい。
【0036】
【化10】
Figure 0003941080
【0037】
【化11】
Figure 0003941080
【0038】
[ポリアミック酸]
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、より好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中で、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃の反応温度で1〜48時間にわたって行われる。上記有機溶媒としては、反応で生成する反応物を溶解しうるものであれば特に制限はない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量は、通常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量が、反応溶液の全量に対して0.1〜30重量%になるようにするのが好ましい。
【0039】
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル、エチレングリコールエチルフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2,4−ペンタンジオン、2,5−ヘキサンジオン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸ヒドロキシメチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メチルメトキシブタノール、エチルメトキシブタノール、メチルエトキシブタノール、エチルエトキシブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロ−3−フランメタノール、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキセパン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0040】
以上の合成反応によって、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出する工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸の精製を行うことができる。
【0041】
[ポリイミド]
本発明の液晶配向剤を構成するポリイミドは、上記ポリアミック酸を脱水閉環することにより調製することができる。ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、通常50〜200℃とされ、好ましくは60〜170℃とされる。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、通常0〜180℃、好ましくは10〜150℃とされる。また、このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、ポリイミドを精製することができる。
【0042】
[末端修飾型の重合体]
本発明に用いられる液晶配向剤を構成するポリイミドは、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型のものは、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
【0043】
[重合体の対数粘度]
本発明に用いる液晶配向剤を構成するポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸の対数粘度(ηln)の値が、好ましくは0.05〜10dl/g、さらに好ましくは0.05〜5dl/gのものである。ここに、対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、重合体の濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測定を行い、下記式(1)で示される式によって求められるものである。
【0044】
【数1】
Figure 0003941080
【0045】
[液晶配向剤]
本発明において、液晶配向膜となる有機膜を形成するための液晶配向剤における重合体の含有割合は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは液晶配向剤全体に対して0.1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲とされる。すなわち、重合体溶液からなる液晶配向剤は、印刷法、スピンコート法などにより基板表面に塗布され、次いでこれを乾燥することにより、配向膜材料である有機膜が形成されるのであるが、重合体の含有割合が0.1重量%未満である場合には、この有機膜の膜厚が過少となって良好な液晶配向膜を得ることができない場合があり、20重量%を越える場合には、有機膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得難く、また、液晶配向剤の粘度が増大して塗布特性に劣るものとなる場合がある。
重合体を溶解させる有機溶媒としては、重合体を溶解できるものであれば特に制限されるものではなく、例えばポリアミック酸の合成反応や脱水閉環反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
【0046】
本発明において、有機膜を形成するための液晶配向剤は、重合体と塗布される基板表面との接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物が配合されていてもよい。このような官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。また、エポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−44’−ジアミノジフェニルメタンなどを好ましいものとして挙げることができる。これら官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物の配合割合は、重合体100重量部に対して、通常、40重量部以下、好ましくは0.1〜30重量部である。
【0047】
[液晶配向膜および液晶表示素子]
本発明の液晶配向膜の製造方法は、例えば次のようにして有利に実施される。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、有機ポリマーを含む液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの方法によって塗布し、次いで塗布面を加熱することにより被膜を形成する。ここに基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ノルボルネン系樹脂などのプラスチックフィルムなどからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられた透明導電膜としては、SnO2からなるNESA膜、In23−SnO2からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法、予めマスクを用いる方法などが用いられる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン含有化合物、チタネートなどを塗布することもできる。また加熱温度は、好ましくは80〜250℃とされ、より好ましくは120〜200℃とされる。形成される被膜の膜厚は、通常0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0048】
(2)形成された有機膜に、偏光されたパルスレーザーを、光照射による有機膜表面の分解が起こる最低限界パルスエネルギーよりもはるかに低いパルスエネルギーで照射する。この照射により、有機膜の表面の分子が配向せしめられて液晶配向膜を生成する。
レーザーとしては、例えばArF、KrF、XeCl、XeF等のエキシマレーザー:半導体(ダイオード)やフラッシュランプなどで励起された、例えばNd:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YNO4レーザー、Ti−サファイアレーザー、OPO(オプト−パラメトリックオツシレーター)の如き固体レーザー:あるいは色素レーザーを挙げることができる。これらのうち、エキシマレーザーは、ブラスター角にある水晶フィルターの如き偏光板と一緒に用いられる。
レーザーの波長は193nm〜532nmあるいはそれ以上であってもよい。好ましくは193〜355nmである。
偏光されたパルスレーザーのパルス幅は、例えば5nsec〜1msecが好ましい。
【0049】
また、偏光されたレーザーの有機膜への入射角は10〜40度であり、照射エネルギーは、パルス当り1〜3mJ/cm2 であり、全照射量は10mJ/cm2〜2J/cm2が好ましい。偏光されたパルスレーザーの照射により、下記式(VIII)
【0050】
【数2】
Figure 0003941080
【0051】
ここで、λは偏光されたパルスレーザーの波長(nm)、nは有機ポリマーの屈折率、θは偏光されたパルスレーザーの入射角(度)、そしてPは有機膜の表面に生成される光弾性波のピッチ(nm)である、
で表されるピッチ(nm)間隔にほぼ等しいピッチ間隔を持つ平行なうねりが有機膜の表面に形成される。
ピッチ間隔は、例えば90〜100nmであることができる。
表面の分子の配向方向は、有機ポリマーの種類に依存するが、例えば有機膜の表面から薄さほぼ50〜100nmの部分の有機ポリマーがうねりに直交するように分子配向する。
【0052】
かくして、本発明方法によれば、偏光されたパルスレーザーの照射により配向された分子が表面に存在する液晶配向膜が製造される。
それ故、本発明によれば、第2に、好適には、偏光されたパルスレーザーの照射により配向された分子が表面に存在するポリイミド膜からなることを特徴とする液晶配向膜が同様に提供される。
【0053】
次に、基板から液晶表示素子を製造するには、上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作成し、それぞれの液晶配向膜における偏光されたパルスレーザーの照射方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を間隙(セルギャップ)を介して対向させ、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板の表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を充填し、充填孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜の偏光されたパルスレーザーの照射方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
【0054】
上記シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有したエポキシ樹脂などを用いることができる。
上記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶を挙げることができる。その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶や商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
【0055】
それ故、本発明によれば、第3に、本発明の液晶配向膜を備えた液晶表示素子が提供される。
また、液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例1
トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物/4,4’−ジアミノジフェニルメタンからなる下記式
【0057】
【化12】
Figure 0003941080
【0058】
で表される繰返し単位からなる可溶性ポリイミド(対数粘度:1.3dl/g)を有機ポリマーとして使用した。
この重合体をγ−ブチロラクトンに溶解させて、固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過し、液晶配向剤溶液を調製した。この溶液を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の上に透明電極面に、膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間乾燥し薄膜を形成した。
上記薄膜表面に、Quanta−Ray GCR(Spectra−Physics社製)により、266nmの波長を主とする、偏光されたNd−YAGレーザーを、パルス頻度10Hz、入射角15度で3mJ/cm2照射し、本発明の液晶配向膜を形成した。
【0059】
次に、本発明の液晶配向膜が形成された一対の基板の、液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径17μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように、しかもパルスレーザーの照射方向が直交するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。
次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(メルク社製、ZLI−1565)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を、偏光板の偏光方向がそれぞれの基板の液晶配向膜のパルスレーザーの照射方向と一致するように張り合わせ、液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。電圧5Vを印加したところ、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
【0060】
実施例2
実施例1において用いた有機ポリマーに代えて、ピロメリット酸/4,4’−ジアミノジフェニルメタンからなる、下記式
【0061】
【化13】
Figure 0003941080
【0062】
で表される繰返し単位からなる熱硬化型ポリイミド(前駆体ポリアミック酸の対数粘度:1.9dl/g)を用いる他は、実施例1と全く同様にして、実施例1と同様の観察ができた。
【0063】
実施例3
実施例1において用いた有機ポリマーに代えて、ポリスチレンを用いる他は、実施例1と全く同様にして、実施例1と同様の観察ができた。
【0064】
参考例1
実施例1で用いた可溶性ポリイミドを用い、実施例1と同様に薄膜を形成した。得られた薄膜にレーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行い、液晶配向膜を形成した。
次に、上記液晶配向膜が形成された一対の基板の、液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径17μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面に相対するように、しかもラビング方向が直交するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。
次いで、実施例1と同様に液晶を充填し、偏光板を張り合わせて液晶表示素子を作製した。偏光板は偏光方向がそれぞれの基板の液晶配向膜のラビング方向と一致するように張り合わせた。
【0065】
実施例1と参考例1の対比評価
実施例1で得られた液晶表示素子および参考例で得られた液晶表示素子をそれぞれ用い、印加電圧を1V〜5Vまで変えて、ノーマリホワイトのTN型液晶セルの透過率を測定し、各液晶表示素子におけるセルの透過率−電圧特性を評価した。結果を図1に示す。図1からわかるように、本発明の液晶表示素子は、ラビング処理により配向能を付与した液晶表示素子とほぼ同様の、透過率−電圧特性を示した。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、塵や分解物を生じることなく、非分解に、配向膜の表面の分子を効果的に配向して、液晶分子に配向能を付与することできる液晶配向膜が得られる。
【0067】
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示素子の透過率(%)と電圧(volt)との関係を示す。
【符号の説明】
【外1】
Figure 0003941080
レーザー照射液晶配向膜を用いた液晶表示素子
【外2】
Figure 0003941080
ラビング処理液晶配向膜を用いた液晶表示素子

Claims (1)

  1. 有機膜に、偏光されたパルスレーザーを10〜40度の入射角、パルス当り1〜3mJ/cm の照射エネルギーで照射することにより、液晶分子に対する配向能を付与する周期的な凹凸を形成して該有機膜の表面の分子を配向させることを特徴とする液晶配向膜の製造法。
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