JP3940680B2 - 秤量装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁力を用いた秤量装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁力を用いた秤量装置としては、電磁力平衡型の電子天秤が広く用いられている。図12に従来の電子天秤の基本構成を示す。一般に、従来の電子天秤は、例えば特許第3289463号公報に示されているように、電磁力を被測定物の重量に対して釣り合わせることによって、その重量を測定する方式をとっている。
【0003】
従来の電磁力平衡型の電子天秤では、支点101を中心として回転自在に設置されたレバー102の一端部に、被測定物を積載するための秤量台103が設けられており、また、支点101を挟んでレバー102の反対側には、積載した被測定物の重量と釣り合わせるための荷重を発生させる磁気回路106、及びフォースコイル105が配置されている。上記磁気回路106は永久磁石107によって形成されており、この磁気回路106によって形成された静磁界中に前記フォースコイル105が配置され、このフォースコイル105に電流を流すことによって電磁力を発生させ、レバー102の一端に積載された被測定物の重量と電磁力とを釣り合わせるようにしている。ここで、フォースコイル105に流す電流は、レバー102の端部に設置された変位センサ108で検出されたレバー102の傾きを零に補正するように、適当な演算を施して制御されるものである。
【0004】
従来の電子天秤は、以上のような構成において、被測定物の重量とフォースコイル105の電磁力とを釣り合わせ、その平衡状態においてフォースコイル105に流している電流の大きさから、被測定物の重量を求めるのである。
【0005】
【特許文献1】
特許第2712161号公報
【0006】
【特許文献2】
特許第2793240号公報
【0007】
【特許文献3】
特許第2967822号公報
【0008】
【特許文献4】
特許第3152775号公報
【0009】
【特許文献5】
特許第3289463号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成をとる従来の秤量装置の場合、レバーが支点を中心として回転自在に接合されているため、その動作時には、支点部において抵抗を伴うことになる。このとき支点部において何らかの抵抗が発生すれば、レバーの反対側に伝達される力に影響が発生することになり、それが測定誤差を生む要因となる。そこで支点における抵抗を減少させるためには、接触部を微細かつ精密にする必要があるが、被測定物による荷重が支点によって支持されなければならないために強度的に限界があり、設計上の制約となっていた。
【0011】
また、上記従来の秤量装置では、被測定物が秤量台に積載され、秤量を行っているときには、被測定物の重量に対抗する力を発生させるために、常にコイルに電流を流し、電磁力を発生させなければならない。そのため、従来の秤量装置では、被測定物を秤量台上に積載した状態で放置し測定し続けると、常にこの被測定物と釣り合うための電磁力を発生させなければならないため、励磁電流によってコイルが発熱し、永久磁石が急激に過熱される。永久磁石は、温度によって磁束の大きさが変化してしまうため、このような状態では、測定結果が経時的に変化することになり、連続測定の際に問題となっていた。
【0012】
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、支持部における接触部をなくし、抵抗を除去することにより、高精度で、かつ測定範囲が広い秤量を可能にするとともに、長時間の連続測定でも発熱が少なく、温度による測定誤差の少ない秤量装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の秤量装置は、少なくとも一部が磁性体で形成されたガイド、前記ガイドとギャップを介して対向するように設置された電磁石及び発生する磁束の構成する磁気回路が前記ギャップを含むように配置された永久磁石で構成される磁石ユニットと、前記ガイドと磁石ユニットの間に発生する吸引力によって浮上させられる浮上体と、前記磁気回路中の物理量を検出する物理量検出手段と、前記電磁石に流れる励磁電流を検出する励磁電流検出手段と、前記励磁電流の検出値を所定のゲインを持たせて積分する励磁電流積分補償器を備え、前記物理量検出手段によって検出された物理量に基づいて前記浮上体を前記ガイドに対して安定に浮上させるとともに前記浮上体に作用する外力の有無にかかわらず前記電磁石に流れる励磁電流の定常値を零に収束させるように前記電磁石に流す励磁電流を制御する制御手段と、前記励磁電流積分補償器の出力値に基づいて前記浮上体に載貨される被測定物の重量を演算する秤量演算手段とを備えたものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の秤量装置において、前記秤量演算手段は、前記励磁電流積分補償器の出力値を一定間隔で検出し、その各時間における検出値の差である差分出力値の変化率を計算し、当該差分出力値の変化率が一定となった時点において被測定物の重量を演算することを特徴とするものである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の秤量装置において、前記制御手段は、前記電磁石を入力信号に基づいて励磁する励磁手段と、当該入力信号を所定のゲインを持たせて積分する積分補償器と、前記積分補償器の出力値を前記入力信号にフィードバックする手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1〜3の秤量装置において、前記物理量の検出手段が、前記ギャップの大きさを検出する手段であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4の秤量装置において、前記ギャップの大きさを検出する手段が渦流式センサであることを特徴とするものである。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1〜3の秤量装置において、前記物理量の検出手段が前記コイルに流れる励磁電流の大きさを検出する手段であることを特徴とするものである。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1〜3の秤量装置において、前記物理量の検出手段が前記浮上体の加速度を検出する手段であることを特徴とするものである。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1〜3の秤量装置において、前記物理量の検出手段が前記ギャップ中の磁束を検出する手段であることを特徴とするものである。
【0021】
請求項9の発明は、請求項8の秤量装置において、前記磁束を検出する手段として、ホール素子を用いることを特徴とするものである。
【0022】
請求項10の発明は、請求項4又は5の秤量装置において、前記秤量演算手段に入力される前記検出手段の物理量が前記ギャップの検出値であることを特徴とするものである。
【0023】
請求項11の発明は、請求項6の秤量装置において、前記秤量演算手段に入力される前記検出手段の物理量が前記励磁電流の検出値であることを特徴とするものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0026】
(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形態の秤量装置の斜視図を、また図2はその機構部の断面図を示すものである。台枠1は、上面に開口部を有する略箱状の形状をしており、その上面内部に磁石ユニット2が設置してある。この台枠1の内部には、浮上体3が内包されている。浮上体3の各端部には、台枠1に設置された磁石ユニット2と対向する位置に、強磁性体で形成されたガイド4が設置されている。浮上体3の上面には、被測定物を積載するための秤量台5が設けられており、この秤量台5上に被測定物を乗せることにより、浮上体3及び被測定物の和である浮上部全体の重量が増大する構成となっている。
【0027】
図3に示すように、台枠1に設置された磁石ユニット2は、2つの電磁石6a、6bと、これら電磁石6a、6bの各端部側面間に介挿された永久磁石7とで構成されており、全体としてU字状に形成されている。各電磁石6a、6bは、強磁性体で形成された継鉄8と、この継鉄8に巻装されたコイル9とで構成されている。各コイル9は、電磁石6a、6bによって形成される磁束が互いに加算されるような向きで直列に接続されている。また磁石ユニット2と対向する位置にガイド4が配置されている。磁石ユニット2とガイド4との間には、ギャップ10が形成されている。したがって、磁石ユニット2とガイド4との間には、電磁石6a、6bと永久磁石7とに起因する磁束とギャップ10の大きさとに応じて所定の吸引力が発生することになり、その吸引力によって浮上体3を浮上させることができる。
【0028】
本実施の形態の秤量装置は、図4に示すような構成の各磁石ユニットの吸引力を制御するための浮上制御装置11と秤量演算装置30を有している。
【0029】
浮上制御装置11は、磁石ユニット2によって形成される磁気回路中の物理量を検出するセンサ部12と、このセンサ部12からの信号に基いて各コイル9に供給すべき電力を演算する浮上演算回路13と、この浮上演算回路13からの信号に基づいて各コイル9に電力を供給するパワーアンプ14とで構成されている。本実施の形態において、センサ部12は、ギャップ10の大きさを検出するギャップセンサ15と、各コイル9の電流値を検出する電流検出器16とで構成されている。
【0030】
浮上制御装置11における浮上演算回路13は、ギャップセンサ15で得られたギャップ長信号zからギャップ長設計値z0を減算して得られるギャップ長偏差信号Δzを演算する減算器17と、電流検出器16で得られた励磁電流検出信号iから電流設計値i0を減算して得られる電流偏差信号Δiを演算する減算器18と、ギャップ長偏差信号Δz、及び電流偏差信号Δiの出力を導入して、浮上体3を安定に磁気浮上させる電磁石制御電圧eを演算する制御電圧演算回路19とで構成されている。そして、制御電圧eの演算結果がパワーアンプ14に与えられ、コイル9に電圧eに起因する励磁電流が供給される。
【0031】
ここで、制御電圧演算回路19は、Δzを導入しΔzの時間微分値Δz′を演算して出力する微分器20と、Δzを導入してフィードバックゲインF1をΔzに乗じるゲイン補償器21と、Δz′を導入し、フィードバックゲインF2をΔz′に乗じるゲイン補償器22と、Δiを導入し、フィードバックゲインF3をΔiに乗じるゲイン補償器23と、電流偏差目標値発生器24と、Δiを電流偏差目標値発生器24の目標値より減じる減算器25と、この減算器25の出力値を積分しフィードバックゲインを積分結果に乗じる積分補償器26と、ゲイン補償器21、22、23の出力を入力し、これらの総和を演算する加算器27と、加算器27の出力値を積分補償器26の出力値から減じる減算器28とで構成されている。
【0032】
以上によって、いわゆるゼロパワー制御による磁気浮上系が構成されることになる。この制御電圧演算回路19による制御原理は、例えば特許第2967822号「浮上式搬送装置」に示されている方式であり、これによって浮上体3の安定した磁気浮上制御が可能である。
【0033】
この場合、浮上体3が安定して浮上し、定常状態にあるときには、積分補償器26の作用によりコイル9に流れる電流は零となり、浮上に必要となる吸引力は全て永久磁石7による磁気力でまかなわれる。これは、浮上体3及び、浮上体3に積載される被測定物からなる浮上部全体の重量が変化した場合でも同様であり、浮上部の被測定物の重量変化に起因する荷重変化が発生した場合、ギャップ10のギャップ長29を所定の大きさにするために過渡的にコイル9に電流は流れるが、再度安定状態になった際には、上記制御手法を用いることによりコイル9に流れる電流は零となり、そのときの浮上部の総重量と永久磁石7の磁気力によって発生する吸引力とが釣り合うギャップ長29が形成される。
【0034】
以上のようにしてゼロパワー制御がなされ、浮上体3が安定に浮上しており、励磁電流が零となっているとき、漏れ磁束等の影響を無視すれば、ギャップ長zと吸引力fとの関係は次式で表すことができる。
【0035】
【数1】
Figure 0003940680
ただし、μ0は真空中の透磁率、Sは磁気回路の断面積、zはギャップ長29の検出値、Hmはギャップ10に生じる磁界の強さ、lmは永久磁石7の長さ、μsはギャップ部分以外の非透磁率である。この式における吸引力fとギャップ長zとの関係を表す概略図を図5に示す。
【0036】
以上のような関係から、磁気浮上系においてゼロパワー制御がなされている場合には、磁石ユニット2とガイド4との間のギャップ10の大きさ、すなわちギャップ長29は浮上部の総重量をパラメータとする関数となる。このとき浮上部の重量が小さい場合には、それに釣り合うための吸引力は小さくなるため、ギャップ長29が広がる。一方、浮上部の重量が大きい場合には、それに釣り合うための吸引力が大きくなるため、ギャップ長29が狭くなる。
【0037】
本実施の形態では、この関係を用いて、秤量演算装置30において被測定物の重量を演算する。ここで、秤量演算装置30は、ギャップセンサ15の出力値に対してフィルタリング等の前処理を行う信号処理器51と、その出力を導入して、上記関係式を用い、ギャップ長29と磁石ユニット2に用いられている永久磁石7の磁気力により発生する吸引力、すなわち浮上体3と被測定物の重量との和を演算する浮上部重量演算器52と、その浮上部重量演算器52の出力から、浮上体3の重量を減ずる減算器53とから構成されている。
【0038】
これにより、秤量演算装置30において、ギャップセンサ15の出力値から被測定物の重量を演算し、その結果を出力装置54に表示させることができる。なお、実際の浮上部重量演算器52で用いる関係式においては、上式の各変数に対して、実験等で得られた補正を加え、浮上部の重量を演算しても何ら差し支えない。
【0039】
また、上述の関係式より、吸引力fは、ギャップ長zの2乗に反比例することがわかる。したがって、被測定物の重量が比較的小さく、ギャップ長zが大きい場合には、被測定物の重量変化に対するギャップ長zの変化率が大きくなり、測定の精度が高くなる。一方、被測定物の重量が比較的大きく、ギャップ長zが小さい場合には、吸引力fの変化率が比較的大きくなるため、秤量台の磁気浮上剛性が高まることになり、その結果、比較的大きな荷重まで測定することが可能となる。したがって磁気浮上系では、このような非線形特性を有することによって、線形特性の秤量手段を有する従来の秤量装置に比べて、比較的広い測定レンジを得ることができる。
【0040】
さらに、本実施の形態の秤量装置においては、測定を行っているときでも、コイル9に流れる電流は、被測定物の重量にかかわらず、定常状態で零に収束し、被測定物を浮上させる吸引力は永久磁石7の磁気力のみで釣り合わせることになる。したがって、長時間測定を行った場合でもコイル9に電流がほとんど流れることはなく、コイル9による発熱を大きく低減させることができる。これにより、コイル9の発熱に起因する温度変化によって、永久磁石7の特性が変化することを防ぐことができ、従来の秤量装置において問題となっていた、長時間連続測定時のコイル発熱による測定誤差の発生を抑制することができる。
【0041】
なお、この構成において浮上制御する際に用いるギャップ長29を検出する手段は、磁石ユニット2とガイド4との間のギャップの大きさを直接、もしくは間接的に検出できるものであればいかなる方式でもよく、渦流式センサ、光学式センサ、音波式センサ等のギャップセンサを用いることで実現できる。
【0042】
また、本実施の形態では浮上部の重量を測定する秤量演算装置30にギャップ長29の値zを導入することとしているが、その検出手段としては、前記ギャップ長29の検出手段と同様のセンサを用いることができ、かつ、浮上制御に用いるギャップセンサ15と同一のものを利用してもよい。
【0043】
(第2の実施の形態)次に、本発明の第2の実施の形態の秤量装置について説明する。第1の実施の形態では、ギャップ長29、及び励磁電流の検出結果に直接フィードバックゲインを乗ずる制御手法としてきたが、浮上演算回路13に状態観測器を用いることによって浮上系の状態を推定し、その結果を用いて制御回路を構成することもできる。第2の実施の形態は、この原理を採用したことを特徴とする。
【0044】
図6は、浮上演算回路13内の制御電圧演算回路19の部分に、状態観測器40を導入したときの構成図である。この図6に示すように、状態観測器40を含む制御電圧演算回路19は、ギャップ長偏差Δz、励磁電流偏差Δiを導人し、ギャップ長偏差Δz、Δzの時間微分値Δz′、励磁電流偏差Δi、及び外力uを演算して出力する状態観測器40と、Δzを導入しフィードバックゲインF1をΔzに乗じるゲイン補償器21と、Δz′を導入してフィードバックゲインF2を乗じるゲイン補償器22と、Δiを導入してフィードバックゲインF3を乗じるゲイン補償器23と、uを導入してフィードバックゲインF4を乗じるゲイン補償器41と、ゲイン補償器21〜23及びゲイン補償器41の出力を入力し、これらの総和を演算する加算器42と、加算器42の出力値を目標値から減じる減算器28とで構成されている。
【0045】
上記のような状態観測器40を用いた浮上制御に関しては、例えば特許第3152775号に示された制御手法を採用する。
【0046】
この第2の実施の形態の秤量装置では、上記回路構成の状態観測器を導入することによって、浮上系の状態を推定しながら制御を施し、より安定した浮上系を構築することが可能になる。なお、上記のような状態観測器40を用いた浮上制御を行っている場合には、被測定物の重量を演算する秤量演算装置30に導入する値として、上述のギャップ長29を用いるほかに、コイル9に流れる励磁電流の検出値を用いることもできる。
【0047】
本実施の形態では磁気浮上系においてはゼロパワー制御を採用しているため、定常状態では励磁電流が零となるが、被測定物の重量の変化、もしくは荷重が印加された際の過渡状態においては、励磁電流がその荷重変化に応じて流れることになる。その際、ギャップ長29と励磁電流を前記状態観測器40に導入することによって、その出力値として浮上体3に加わる外乱荷重u”を得ることができる。
【0048】
このような構成においては、このu”は被測定物の重量を示すことになるため、このような状態観測器40を用いることによって、ギャップ長29、及び励磁電流の検出器を導入して被測定物の重量を演算する秤量演算装置30を得ることができる。また、この状態観測器40を用いることにより、浮上系が過渡状態にあるときでも外乱推定を行うことができるため、被測定物を積載したとき、もしくは被測定物の重量が変化した場合などにおいて、浮上系の安定を待つことなく秤量演算を行い、短時間で測定結果を推定することができる。
【0049】
さらに、上記のように状態観測器40を用い、その出力値の1つである荷重推定を秤量の手段として用いる場合には、別途秤量演算装置30を分離して設置する必要はなく、図示のように状態観測器40と秤量演算装置30を同一の制御ブロックとし、浮上制御装置11の内部に秤量演算装置30を含めるような構成としても構わない。
【0050】
(第3の実施の形態)次に、本発明の第3の実施の形態の秤量装置について説明する。第3の実施の形態では、秤量演算装置30に導入する値として、ギャップ長29の値zを直接用いるのではなく、積分補償器26の出力値を用いることもできる。以下に、第3の実施の形態として、積分補償器26の出力値を秤量演算手段に用いる場合について、図7を参照しながら説明する。
【0051】
浮上演算回路13において、励磁電流の値iとギャップ長29の値zを導入し、適当な演算を施すことによって浮上体3を磁気浮上させているが、この際、励磁電流の検出値は、浮上制御とともに、励磁電流目標値との差分Δiに積分補償器26を乗じて電圧指令値eを演算するために、電流目標値が零のときには定常状態において励磁電流が零となり、浮上演算回路13全体でゼロパワー制御が構成される。このとき、積分補償器26の出力値は、ゼロパワーで磁気浮上しているときの、基準ギャップ長z0からの偏差を打ち消すのに相当する値が出力されていることになる。したがって、この積分補償器26の出力値は、ギャップ長29を検出することと等価となり、前述と同様の秤量演算手段で、被測定物の重量を測定することができる。この場合には、積分補償器26の出力を秤量演算装置30に導入し、浮上部重量演算器52によって積分補償器26の出力値から浮上部全体の重量を演算し、減算器53で浮上体3の重量を減じたものを出力装置54で表示する構成となる。
【0052】
なお、積分補償器26の出力値は検出信号を積分した値となるため、必然的に検出信号の高調波成分がフィルタリングされることになり、検出信号中のノイズや高調波成分が取り除かれたものとなる。したがって、この積分補償器26の出力値を秤量演算に用いると信号ノイズが小さく、秤量演算が容易となるだけではなく、被測定物の重量の推定も迅速に行うことができる。
【0053】
以下に、被測定物が秤量台5に積載されたときの応答の例を用いて、重量推定の原理を説明する。被測定物が秤量台5に積載された際に、励磁電流の値が図8(a)のような波形を示したとすると、積分補償器26の出力値は図8(b)のような波形となり、ほぼ1次系のステップ応答とみなすことができる。この際、積分補償器26の出力値としては、励磁電流の検出値に含まれる高調波成分やノイズ成分を取り除いたものが得られるため、その応答は比較的滑らかなものとなる。
【0054】
ここで、積分補償器26の出力値を1次系とみなし、一定時間間隔τで検出した出力値の差分をΔvとすれば、その応答特性から、各時間での差分出力値Δvnの変化率、すなわちΔvn+1/Δvnは一定の値を示す。さらに、応答の最終値v∞の値は、ある点における出力値vnと、そのときの検出時間間隔τ、そしてシステム全体の応答時定数Tを用いて、
【数2】
Figure 0003940680
の関係から求めることができる。なお、応答の時定数Tは、装置の構造、及び浮上演算回路13の各設定値より既知の値であるため、応答を1次系と見なせる波形が得られた時点、すなわち差分出力値の変化率が一定となった時点において、系の安定を待つことなく、過渡応答中に被測定物の重量を予測することができる。
【0055】
以上のようにして、過渡応答中に重量を予測する場合には、図7に示したように、その出力値を浮上部重量演算器52の出力値を直接出力装置54に引き渡すか、浮上部重量推定演算器55の出力を表示するかを選択するために、出力切換器56を設け、自動もしくは手動で出力値を切り替える構成としてもよい。
【0056】
(第4、5の実施の形態)これまで説明した実施の形態それぞれにおいては、磁気回路中の物理量検出手段として、励磁電流検出、及びギャップ長29を検出する手段を用いたが、ギャップセンサ15、電流検出器16の代わりに、浮上体3の加速度を検出する加速度センサ、もしくは磁束の大きさを検出するホール素子を用いてもよい。
【0057】
図9は、本発明の第4の実施の形態として、ギャップセンサ15の代わりに加速度センサ31、及び2つの積分器32を用いた場合の構成を示している。このように、加速度センサ31の検出値を2回積分したものをギャップ長29の値zとして演算する構成をとることもできる。この場合には、特にセンサの設定位置を浮上体3の加速度が検出できる範囲で任意に決定できるという利点がある。
【0058】
また図10は、本発明の第5の実施の形態として、電流検出器16の代わりに磁束の大きさを検出するホール素子で成る磁束検出器33を用いた例を示している。この場合には、磁束の大きさを検出することにより、磁気回路中に発生する吸引力の大きさを得ることができ、それによりフィードバック制御を施すことができる。ただし、この場合には励磁電流の値を直接的に導入することができないため、励磁電流を積分補償器26に導入してゼロパワー制御をかけることができない。このように電流信号を直接導入しない場合には、図示のようにパワーアンプ14に導入する指令値eに対して、同様の積分補償器34を導入してフィードバックすることにより、パワーアンプ14からの出力を零に収束させることで、特許第2793240号「浮上式搬送装置」にも示されているようなゼロパワー制御を実現することができる。
【0059】
(第6の実施の形態)以上述べてきた各実施の形態においては磁石ユニット2を台枠1に取りつけ、ガイド4を浮上体3に設置した場合について説明してきたが、磁石ユニット2、及びガイド4の設置箇所は限定されるものではなく、その配置を逆にし、図11に示すように、台枠1にガイド4を設置し、磁石ユニット2を浮上体3に設置しても何ら差し支えない。このように構成したのが本発明の第6の実施の形態である。
【0060】
この第6の実施の形態の秤量装置でも、これまで説明してきた各実施の形態と同様に浮上制御装置11、秤量演算装置30を構成することによって、被測定物の重量測定が可能となる。
【0061】
以上、本発明を適用した秤量装置の具体的な構成について、第1〜第6の実施の形態として詳細に説明したが、本発明に係る秤量装置は、以上の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、被測定物を積載する秤量台は浮上体に設置され磁気浮上されているため、台枠等と接触部を持つことなく被測定物の重量を測定することが可能となる。したがって、従来の秤量装置における支点部等に起因する抵抗等の影響がなくなるため、測定誤差を発生することなく、高精度な秤量が行える。
加えて、本発明によれば、積分補償器の出力値を秤量演算に用いるので、信号ノイズが小さく、秤量演算が容易となるだけではなく、被測定物の重量の推定も迅速に行うことができる。
【0063】
また、本発明によれば、浮上体が非線形を有するばね定数で支持されており、被測定物の重量が大きくなると浮上体を支持する浮上剛性が上がるため、従来の線形ばね定数で支持される構成と比べて、測定範囲を広くとることが可能である。
【0064】
また、本発明によれば、定常状態において、被測定物を含む浮上部を浮上させる磁気吸引力を永久磁石の吸引力のみで発生させ、さらに電磁石に流れる励磁電流の定常値を、浮上体に積載された被測定物の重量の大きさにかかわらず零にすることができるため、上記電磁石のコイルには、浮上部に対して被測定物の重量が変化した際に過渡的な電流が流れるのみとなり、コイルで消費される電力を従来に比べて減少させることができ、これにより、コイルに流れる電流を軽減させることが可能になり、コイル部における発熱を軽減し、長時間秤量を行った場合でも温度変化が少なく、安定した測定精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の秤量装置の斜視図。
【図2】上記第1の実施の形態の秤量装置の断面図。
【図3】上記第1の実施の形態の秤量装置における磁石ユニットの斜視図。
【図4】上記第1の実施の形態の秤量装置における浮上制御装置及び秤量演算装置のブロック図。
【図5】上記第1の実施の形態の秤量装置における磁石ユニットのギャップ長と吸引力の関係を示す図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の秤量装置における浮上制御装置及び秤量演算装置のブロック図。
【図7】本発明の第3の実施の形態の秤量装置における浮上制御装置及び秤量演算装置のブロック図。
【図8】上記第3の実施の形態の秤量装置において出力波形から重量推定する手法を示す図。
【図9】本発明の第4の実施の形態の秤量装置における浮上制御装置及び秤量演算装置のブロック図。
【図10】本発明の第5の実施の形態の秤量装置における浮上制御装置及び秤量演算装置のブロック図。
【図11】本発明の第6の実施の形態の秤量装置の断面図。
【図12】従来の秤量装置の基本構成を示す断面図。
【符号の説明】
1…台枠
2…磁石ユニット
3…浮上体
4…ガイド
5…秤量台
6a…電磁石
6b…電磁石
7…永久磁石
8…継鉄
9…コイル
10…ギャップ
11…制御装置
12…センサ部
13…浮上演算回路
14…パワーアンプ
15…ギャップセンサ
16…電流検出器
17…減算器
18…減算器
19…制御電圧演算回路
20…微分器
21…ゲイン補償器
22…ゲイン補償器
23…ゲイン補償器
24…電流偏差目標値発生器
25…減算器
26…積分補償器
27…加算器
28…減算器
29…ギャップ長
30…秤量演算装置
31…加速度センサ
32…積分器
33…磁束検出器
40…状態観測器
41…ゲイン補償器
42…加算器
51…信号処理器
52…浮上部重量演算器
53…減算器
54…出力装置
55…浮上部重量推定器
56…出力切換器

Claims (11)

  1. 少なくとも一部が磁性体で形成されたガイド、前記ガイドとギャップを介して対向するように設置された電磁石及び発生する磁束の構成する磁気回路が前記ギャップを含むように配置された永久磁石で構成される磁石ユニットと、
    前記ガイドと磁石ユニットの間に発生する吸引力によって浮上させられる浮上体と、
    前記磁気回路中の物理量を検出する物理量検出手段と、
    前記電磁石に流れる励磁電流を検出する励磁電流検出手段と、
    前記励磁電流の検出値を所定のゲインを持たせて積分する励磁電流積分補償器を備え、前記物理量検出手段によって検出された物理量に基づいて前記浮上体を前記ガイドに対して安定に浮上させるとともに前記浮上体に作用する外力の有無にかかわらず前記電磁石に流れる励磁電流の定常値を零に収束させるように前記電磁石に流す励磁電流を制御する制御手段と、
    前記励磁電流積分補償器の出力値に基づいて前記浮上体に載貨される被測定物の重量を演算する秤量演算手段とを備えたことを特徴とする秤量装置。
  2. 前記秤量演算手段は、前記励磁電流積分補償器の出力値を一定間隔で検出し、その各時間における検出値の差である差分出力値の変化率を計算し、当該差分出力値の変化率が一定となった時点において被測定物の重量を演算することを特徴とする請求項1に記載の秤量装置。
  3. 前記制御手段は、前記電磁石を入力信号に基づいて励磁する励磁手段と、当該入力信号を所定のゲインを持たせて積分する積分補償器と、前記積分補償器の出力値を前記入力信号にフィードバックする手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の秤量装置。
  4. 前記物理量の検出手段が、前記ギャップの大きさを検出する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の秤量装置。
  5. 前記ギャップの大きさを検出する手段が渦流式センサであることを特徴とする請求項4記載の秤量装置。
  6. 前記物理量の検出手段が前記電磁石のコイルに流れる励磁電流の大きさを検出する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の秤量装置。
  7. 前記物理量の検出手段が前記浮上体の加速度を検出する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の秤量装置。
  8. 前記物理量の検出手段が前記ギャップ中の磁束を検出する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の秤量装置。
  9. 前記磁束を検出する手段として、ホール素子を用いたことを特徴とする請求項8記載の秤量装置。
  10. 前記秤量演算手段に入力される前記検出手段の物理量が前記ギャップの検出値であることを特徴とする請求項4又は5記載の秤量装置。
  11. 前記秤量演算手段に入力される前記検出手段の物理量が前記励磁電流の検出値であることを特徴とする請求項6記載の秤量装置。
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