JP3939406B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプリント配線板及びリードフレームの製造に用いられるドライフィルムレジスト用の感光性樹脂組成物に関する。更に詳しくは感度、解像力、密着性はもとより、レジスト剥離性及びめっき特性に優れたドライフィルムレジストに用いる感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリント配線板等のファイン化にともない、プリント配線板等の製造には感光性樹脂を用いたフォトレジスト法が用いられる。このフォトレジスト法に用いられるドライフィルムレジスト(以下、DFRと略記する)はほとんどがアルカリ現像型であり、露光した後は未露光部分を炭酸ナトリウム等のアルカリ液で現像することで、感光性樹脂組成物中のカルボン酸基がカルボン酸塩となり水溶性になり、未露光部分が取り除かれ、レジスト画像を形成する。このように形成されたレジスト画像を保護マスクとし、公知のエッチング処理、又はパターンめっき処理を行った後、レジスト剥離して印刷回路基板を製造することができる。
中でも、特にファインパターン形成を目的とする場合は、金属導体のエッチングをできるだけ少なくするために、パターンめっき法が有利となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単にめっき法により配線板のファインピッチ化を行ったのでは断線やカケが発生しやすく、又、めっき工程時にはレジストとめっき部分との間で、つきまわり性が悪く、めっき析出不良を招いたり、基板とレジストの間にめっき部分が入り込む、いわゆるめっきもぐりが生じたりする。更には、レジスト剥離残渣によるショート不良も多く認められるため、かかる点について改善を図る必要性があることを判明した。
そこで、本発明ではこのような背景下において、感度、解像力、密着性はもとより、耐めっきもぐりやめっきつきまわり性、レジスト剥離性に優れた感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかるに本発明者等はかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)カルボキシル基含有ポリマー、(B)エチレン性不飽和化合物、(C)光重合開始剤、(D)ロフィン二量体、(E)ロイコ化合物を含有してなる感光性樹脂組成物において、(B)成分として下記(I )式で示される化合物を(B)成分全体に対して5〜50重量%含有してなる感光性樹脂組成物が上記目的に合致することを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
【化2】
ここで、Rは炭素数1〜3のアルキル基又は水素で、mは1〜6の整数、nは3〜100の整数である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に用いる(A)カルボキシル基含有ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、これにエチレン性不飽和カルボン酸を共重合したアクリル系共重合体が好適に用いられるが、更には必要に応じ他の共重合可能なモノマーを共重合したアクリル系共重合体とすることも可能である。この場合の各成分の含有量は(メタ)アクリル酸エステル成分が70〜85重量%、好ましくは75〜82重量%、エチレン性不飽和カルボン酸成分が15〜30重量%、好ましくは18〜25重量%、他の共重合可能なモノマー成分が0〜15重量%とすることが多い。
【0007】
ここで(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0008】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸が好適に用いられ、そのほか、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのジカルボン酸、あるいはそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。これらの中では、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましい。
【0009】
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリルジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0010】
かくして得られる(A)カルボキシル基含有ポリマーには、上記以外に、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を併用することもできる。
又、該カルボキシル基含有ポリマーの重量平均分子量は10000〜300000、好ましくは10000〜150000、更に好ましくは30000〜100000の範囲のものが好ましく、分子量が小さいとコールドフローを起こし易く、逆に大きいと現像されにくく、解像度の低下を招いたり、レジスト剥離時の剥離性に劣ることとなる。
【0011】
(B)エチレン性不飽和化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーとともに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの単官能モノマーが挙げられ、必要に応じて多官能モノマーと単官能モノマーが併用されるが、本発明では、(B)成分として少なくとも上記(I)式で示される化合物を用いることが必要である。
【0012】
即ち、上記(I)式で示される化合物を(B)成分全体に対して5〜50重量%、好ましくは5〜30重量%含有することが必要である。かかる含有量が少なすぎるとレジスト剥離残渣によるショート不良が多くなり、又多すぎると感度が著しく低下し好ましくない。
【0013】
該(I)式で示される化合物としては、具体的にはスチレン−マレイン酸コポリマーに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等を付加した化合物が挙げられる。
更に、本発明では(I)式で示される化合物の重量平均分子量は1000〜30000、好ましくは3000〜30000、更に好ましくは5000〜20000、酸価は100〜200mgKOH/g、好ましくは100〜170mgKOH/g、更に好ましくは120〜160mgKOH/gであることが望まれる。該重量平均分子量が1000未満では硬化レジストが脆く、めっきもぐりが発生しやすくなり、30000を越えると解像力が低下したり、レジスト剥離時間の遅延を招いたり、レジスト剥離残渣が多くなり好ましくない。又、酸価が100mgKOH/g未満ではレジスト剥離残渣によるショート不良が多くなり、200mgKOH/gを越えるとめっきもぐりの発生、密着性の低下を招くことになり好ましくない。
【0014】
上記(B)エチレン性不飽和化合物の配合割合は、(A)カルボキシル基含有ポリマー及び(B)エチレン性不飽和化合物の総重量に対して5〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは40〜60重量%の範囲から選ぶことが望ましい。(B)エチレン性不飽和化合物の過少は、硬化不良、可塑性の低下、現像速度の遅延を招き、(B)エチレン性不飽和化合物の過多は、粘着性の増大、コールドフロー、硬化レジストの剥離速度低下を招き好ましくない。
【0015】
(C)光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジフェニルジスルフィド、ジベンジル、ベンジルジメチルケタール、ジアセチル、アントラキノン、ナフトキノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、p,p′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、テトラアルキルジアミノベンゾフェノン、ピバロインエチルエーテル、1,1−ジクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、フェニルグリオキシレート、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、ジベゾスパロン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、トリブロモフェニルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン、N−フェニルグリシン、9−フェニルアクリジン等が例示され、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0016】
かかる(C)光重合開始剤の配合割合は、(A)カルボキシル基含有ポリマーと(B)エチレン性不飽和化合物の総重量100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは1.0〜8.0重量部、より好ましくは2.0〜5.0重量部配合することが好ましい。該配合割合が0.1重量部未満では感度が低く実用性に乏しく、10重量部を越えると密着性が低下し、現像時のレジスト剥がれの原因となり好ましくない。
【0017】
(D)ロフィン二量体としては、例えばトリフェニビイミダゾール類、特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−エトキシフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−エトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体等が挙げられ、中でも2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好適に用いられる。
【0018】
かかる(D)ロフィン二量体の配合割合は、(A)カルボキシル基含有ポリマーと(B)エチレン性不飽和化合物の総重量100重量部に対して0.5〜6.0重量部、好ましくは0.5〜4.0重量部、更に好ましくは1.0〜3.0重量部配合することが好ましい。該配合割合が0.5重量部未満ではレジストの硬化不足や感度の低下を招くことになり、6.0重量部を越えると現像スカムの析出や保存安定性の低下となり好ましくない。特に(D)ロフィン二量体の中でもトリフェニルビイミダゾール類を(A)カルボキシル基含有ポリマーと(B)エチレン性不飽和化合物の総重量100重量部に対して0.5〜6.0重量部、好ましくは0.5〜4.0重量部含有することが好ましい。
【0019】
(E)ロイコ化合物としては、例えばトリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、ロイコマラカイトグリーン、ロイコアニリン、ロイコメチルバイオレット等が挙げられる。かかる(E)ロイコ化合物の配合割合は(A)カルボキシル基含有ポリマーと(B)エチレン性不飽和化合物の総重量100重量部に対して0.1〜3.0重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部配合することが好ましい。該配合割合が0.1重量部未満では露光後のコントラストが低くなり、3.0重量部を越えると密着力の低下となり好ましくない。
【0020】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を必須成分とするが、必要に応じて熱重合禁止剤、可塑剤、ロイコ化合物以外の染料(色素、変色剤)、密着付与剤、酸化防止剤、溶剤、表面張力改質剤、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤、難燃剤、等の添加剤を適宜添加することができる。
【0021】
例えば、熱重合禁止剤は感光性樹脂組成物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加するもので、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ニトロベンゼン、ピクリン酸、p−トルイジン等が挙げられる。
【0022】
可塑剤は膜物性をコントロールするために添加するもので、例えばジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;p−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。
【0023】
色素としては例えば、ブリリアントグリーン、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノールフタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチオカルバゾン、2,7−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルーA、フェナセタリン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、ビクトリアピュアブルーBOH、スピロンブルーGN[保土ケ谷化学工業(株)製]、ローダミン6G等である。中でもマラカイトグリーン、ブリリアントグリーンを0.01〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%含有することが好ましい。
【0024】
変色剤は、露光により可視像を与えることができるように感光性樹脂組成物中に添加され、具体例として前記色素の他にジフェニルアミン、ジベンジルアニリン、トリフェニルアミン、ジエチルアニリン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、p−トルイジン、4、4′−ビフェニルジアミン、o−クロロアニリン、等が挙げられる。
【0025】
密着促進剤としては、例えばベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ベンズオキソゾール、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0026】
本発明において得られる感光性樹脂組成物は普通、積層構造のフォトレジストフィルムとして用いられる。該フィルムは、支持体フィルム、感光性樹脂組成物層及び保護フィルムを順次積層したものである。
【0027】
本発明に用いられる支持体フィルムは、感光性樹脂組成物層を形成する際の耐熱性及び耐溶剤性を有するものである。前記支持体フィルムの具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、アルミニウム箔などが挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、前記支持体フィルムの厚さは、該フィルムの材質によって異なるので一概には決定することができず、通常該フィルムの機械的強度などに応じて適宜調整されるが通常は3〜50μm程度である。
【0028】
前記感光性樹脂組成物層の厚さは、あまりにも小さい場合には塗工、乾燥する際に、被膜が不均一になったり、ピンホールが生じやすくなり、またあまりにも大きい場合には、露光感度が低下し、現像速度が遅くなるため、通常5〜300μm、なかんづく10〜50μmであることが好ましい。
【0029】
本発明に用いられる保護フィルムは、フォトレジストフィルムをロール状にして用いる場合に、粘着性を有する感光性樹脂組成物層が支持体フィルムに転着したり、感光性樹脂組成物層に壁などが付着するのを防止する目的で感光性樹脂組成物層に積層して用いられる。かかる保護フィルムとしては、例えばポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、テフロンフィルムなどが挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、該保護フィルムの厚さについては特に限定はなく、通常10〜50μm、なかんづく10〜30μmであればよい。
【0030】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いたドライフィルムレジスト用積層体の製造及びそれを用いる印刷配線基板の製法について説明する。
(成層方法)
上記の感光性樹脂組成物は、これをポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルムなどの支持フィルム面に塗工した後、その塗工面の上からポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどの保護フィルムを被覆してドライフィルムレジスト用積層体とする。
【0031】
ドライフィルムレジスト以外の用途としては、本発明の感光性樹脂組成物を、ディップコート法、フローコート法、スクリーン印刷法等の常法により、加工すべき(銅)基板上に直接塗工し、厚さ1〜150μの感光層を容易に形成することもできる。塗工時に、メチルエチルケトン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、シクロヘキサン、メチルセルソルブ、塩化メチレン、1,1,1−トリクロルエタン等の溶剤を添加することもできる。
【0032】
(露光)
ドライフィルムレジストによって画像を形成させるには支持体フィルムと感光性樹脂組成物層との接着力及び保護フィルムと感光性樹脂組成物層との接着力を比較し、接着力の低い方のフィルムを剥離してから感光性樹脂組成物層の側を銅張基板の銅面などの金属面に貼り付けた後、他方のフィルム上にパターンマスクを密着させて露光する。感光性樹脂組成物が粘着性を有しないときは、前記他方のフィルムを剥離してからパターンマスクを感光性樹脂組成物層に直接接触させて露光することもできる。
【0033】
金属面に直接塗工した場合は、その塗工面に直接またはポリエステルフィルムなどを介してパターンマスクを接触させ、露光に供する。
露光は通常紫外線照射により行い、その際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプなどが用いられる。紫外線照射後は、必要に応じ加熱を行って、硬化の完全を図ることもできる。
【0034】
(現像)
露光後は、レジスト上のフィルムを剥離除去してから現像を行う。本発明の感光性樹脂組成物は稀アルカリ現像型であるので、露光後の現像は、炭酸ソーダ、炭酸カリウムなどのアルカリ0.3〜2重量%程度の稀薄水溶液を用いて行う。該アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0035】
(エッチング、めっき)
エッチングは、通常塩化第二銅−塩酸水溶液や塩化第二鉄−塩酸水溶液などの酸性エッチング液を用いて常法に従ってエッチングを行う。希にアンモニア系のアルカリエッチング液も用いられる。
めっき法は、脱脂剤、ソフトエッチング剤などのめっき前処理剤を用いて前処理を行った後、めっき液を用いてめっきを行う。めっき液としては銅めっき液、ニッケルめっき液、鉄めっき液、銀めっき液、金めっき液、スズめっき液、コバルトめっき液、亜鉛めっき液、ニッケル−コバルトめっき液、はんだめっき液等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、特にめっき法を用いるときに有効で、めっきつきまわり性がよく、耐めっきもぐりに優れた効果を有する。
【0036】
(硬化レジストの剥離除去)
エッチング工程又はめっき工程の後、残っている硬化レジストの剥離を行う。硬化レジストの剥離除去は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの0.5〜5重量%程度の濃度のアルカリ水溶液からなるアルカリ剥離液を用いて行う。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物及び該組成物のDFR用積層体は、印刷配線板の製造、金属の精密加工、リードフレーム製造等に用いられるエッチングレジスト又はめっきレジスト、特にめっきレジストとして非常に有用であり、(A)カルボキシル基含有ポリマー、(B)エチレン性不飽和化合物、(C)光重合開始剤、(D)ロフィン二量体、(E)ロイコ化合物を含有してなり、かつ(B)成分の中でも特定化合物を(B)成分全体に対して5〜50重量%含有しているため、感度、解像力、密着性はもとよりめっき時の耐めっきもぐりやめっきつきまわり性に優れ、更にはレジスト剥離性にも優れた効果を示すものである。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述する。尚、ことわりのない限り「%」及び「部」は重量基準である。
実施例1〜6、参考例1及び比較例1〜2
表1に示す如く、(A)カルボキシル基含有ポリマーとして下記の(A−1)又は(A−2)を用い、(B)エチレン性不飽和化合物中の(I )式で示される化合物として下記の(SMA−1)、(SMA−2)、(SMA−3)又は(SMA−4)を用い、(C)、(D)、(E)及びその他の添加剤については表1に示す如き組成の感光性樹脂組成物のドープを調製した。
【0039】
(A−1)
メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸(重量比:64/15/21)の組成を有し、重量平均分子量が80000の共重合体の40%メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比:50/50)溶液
【0040】
(A−2)
メチルメタクリレート/メチルアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/メタクリル酸(重量比:58/10/10/22)の組成を有し、重量平均分子量が60000の共重合体の40%メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール(重量比:50/50)溶液
【0041】
(SMA−1)
重量平均分子量10000、酸価150mgKOH/gのスチレン−マレイン酸共重合体である。(日本化薬社製、商品名:R−4021)
(SMA−2)
重量平均分子量20000、酸価130mgKOH/gのスチレン−マレイン酸共重合体である。
(SMA−3)
重量平均分子量12000、酸価90mgKOH/gのスチレン−マレイン酸共重合体である。(日本化薬社製、商品名:R−4039)
(SMA−4)
重量平均分子量7000、酸価210mgKOH/gのスチレン−マレイン酸共重合体である。
【0042】
【表1】
【0043】
注)BPE :2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン
APG :ポリプロピレングリコールジアクリレート(n≒7)
BDK :ベンジルジメチルケタール
EAB :4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
HABI:2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体
LCV :ロイコクリスタルバイオレット
MG :マラカイトグリーン
【0044】
次に、それぞれのドープをギャップ10ミルのアプリケーターを用いて厚さ20μmのポリエステルフィルム上に塗工し、室温で1分30秒放置した後、60℃、90℃、110℃のオーブンでそれぞれ3分間乾燥して、レジスト厚40μmのドライフィルムとした(ただし保護フィルムは設けていない)。
一方、銅張基板をアルカリ脱脂剤(10%水溶液)に50℃で2分間浸漬した後、水洗処理し、更に5%塩酸水溶液に室温で20秒間浸漬し、水洗処理した後、精製水により水洗を行い、乾燥したものを基材として用いた。基材は厚さ0.15mmであり、巾250mm、長さ300mmの基板である。
上記ドライフィルムを、オーブンで60℃に予熱した基材の両面に、ラミネートロール温度100℃、同ロール圧3kg/cm2、ラミネート速度1.5m/secにてラミネートした。
【0045】
次いで得られた基材に、2kW水銀ショートアーク灯(平行光源)で、ストーファー21段ステップタブレット(光透過量が段階的に少なくなるように作られたネガフィルム)の数値が6となる露光量で露光を行った。露光後15分経過してからポリエステルフィルムを剥離し、30℃で1%炭酸ナトリウム水溶液をブレークポイント(未露光部分が完全溶解する時間)の2倍の現像時間でスプレーすることにより未露光部分を溶解除去して硬化樹脂画像を得た。この基材を硫酸銅のめっき液にてめっき厚30μmとなるようにめっきを行った。次に50℃の3%水酸化ナトリウム水溶液で90秒噴霧してレジストとして用いた硬化樹脂膜を剥離してレリーフ像を形成した。
【0046】
上記工程において以下の項目を下記の如く評価した。
(感度)
感光性樹脂組成物の光感度は基材に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数が6となるときの露光量を測定することにより評価した。
【0047】
(解像力)
ライン/スペース=1/1(10、15、20、25、30、35、40、45、50μm)のパターンマスク(ガラスクロム乾板)を用いて露光した後、ブレークポイントの2倍の時間で現像したとき、画像が形成される最小ライン幅により評価した。
【0048】
(密着性)
基材へのラミネート後、ライン幅10、15、20、25、30、35、40、45、50μmのパターンマスク(ガラスクロム乾板:独立細線)を用いて、同様に現像して密着性良好な最小ライン幅(μm)を調べた。
【0049】
(レジスト剥離性)
ライン/スペース=50μm/50μmのパターンを形成した後、そのスペース部に高さ約30μmの銅めっきを行い、その後50℃の3%水酸化ナトリウム水溶液で90秒噴霧することにより、レジストの剥離時間及びレジスト残渣有無を観測した。
【0050】
(めっきもぐり)
ライン/スペース=50μm/50μmの現像後、レジスト間に銅めっきを行い(銅めっき浴:カパーグリーム125浴、メルテックス社製)、その後レジストを剥離し、基材を拡大顕微鏡で観察してめっきもぐりの具合を目視により評価した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・もぐりなし
○・・・染み込みあり
△・・・一部もぐりあり
×・・・もぐりあり
【0051】
(めっきつきまわり性)
ライン/スペース=50μm/50μmの現像後、レジスト間に銅めっきを行い(銅めっき浴:カパーグリーム125浴、メルテックス社製)、その後レジストを剥離し、めっき断面及びめっきパターンを拡大顕微鏡で観察してめっきつきまわり具合を目視により評価した。評価基準は下記の通りである。
◎・・・矩形であった
○・・・やや円形であった
△・・・円形であった
×・・・円形でかつギザツキがあった
【0052】
(汚染性)あらかじめ露光したレジストをめっき液に浸漬(10dm2 /l)し、7日間室温放置した後、ハルセル試験にてめっきし、試験片を目視により観察した。レジストをめっき液に浸漬しなかったものをブランクとして、下記の基準にて評価した。
◎・・・ブランクと同等であった。
○・・・ブランクに比べて曇りがわずかに発生した。
△・・・ブランクに比べて曇りが多少発生した。
×・・・ブランクに比べてこげや曇りがかなり発生した。
実施例、参考例および比較例の評価結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
本発明で得られた感光性樹脂組成物及びそれを用いたドライフィルムレジスト用積層体は、感度、解像力、密着性はもとより、めっき時のめっきもぐりがなく、めっきつきまわり性に優れ、更にレジスト剥離性に優れているため、印刷配線板の製造、リードフレームの製造、金属の精密加工等に用いられるエッチングレジスト又はめっきレジスト、特にめっきレジストとして有用である。
Claims (3)
- (I)式で示される化合物の重量平均分子量が1000〜30000、酸価が100〜200mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- (D)ロフィン二量体として、トリフェニルビイミダゾール類を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
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