JP3939143B2 - 融点を有する重合体、その製造方法及びそれを用いた化粧料 - Google Patents

融点を有する重合体、その製造方法及びそれを用いた化粧料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料に用いられる重合体に関し、詳しくは優れた使用感、耐水性及び耐久性を有する化粧料に用いられる重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クリーム、毛髪用リンス、トリートメント及びワックスなどの化粧料は、塗布時の良好な感触や耐水性を有するように、高級アルコール、界面活性剤、油分などを含んでいる。
しかしながら、このような高級アルコール、界面活性剤、油分などを含む化粧料は、接触や摩擦に対する耐久性が十分ではなかった。
【0003】
一方、接触や摩擦に対して良好な耐久性を有する親水性ゲル化剤を含む化粧料は、耐水性が十分ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、良好な感触、耐水性及び耐久性を有する化粧料を与える重合体、その製造方法、及びこの重合体を含有する化粧料を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を行った結果、疎水性ビニル単量体由来の構成単位を30重量%以上、及び親水性ビニル単量体由来の構成単位を30重量%以上含有する重合体であって、その重合体の融点と該疎水性ビニル単量体のみを構成単位とする重合体の融点との差が10℃以下であることを特徴とする重合体が、良好な感触、耐水性及び耐久性を有する化粧料を与えること、特定の溶媒中で重合反応を行うことによりこの重合体を容易に製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、疎水性ビニル単量体由来の構成単位を30重量%以上、及び親水性ビニル単量体由来の構成単位を30重量%以上含有する重合体であって、その重合体の融点と該疎水性ビニル単量体のみを構成単位とする重合体の融点との差が10℃以下であり、疎水性ビニル単量体が、炭素数14〜40のアルコールの(メタ)アクリレート又は炭素数14〜40のアミンの(メタ)アクリルアミドであり、親水性ビニル単量体由来の構成単位が、カチオン性親水性ビニル単量体由来の構成単位、又はカチオン性親水性ビニル単量体の前躯体である単量体を重合させた後に親水化した構成単位であることを特徴とする重合体、その製造方法、及びこの重合体を含有する化粧料である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る重合体は、疎水性ビニル単量体及び親水性ビニル単量体、並びに必要に応じてその他の共重合可能な単量体を特定の溶媒中で共重合させることにより得られる。
【0008】
疎水性ビニル単量体とは、20℃の蒸留水への溶解度(g/100g水)が、0.2以下のものである。その中でも、0.1以下の水溶性を示すものが好ましい。そのいくつかを例示すると、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル;2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、セチル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、ベンジル(メタ)アクリルアミド、イソボニル(メタ)アクリルアミド等のアミンの(メタ)アクリルアミド;スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系疎水性不飽和単量体などが挙げられる。
【0009】
このうち、ホモポリマーが20〜90℃の融点を有する疎水性ビニル単量体が好ましい。なかでも本発明では、炭素数14〜40のアルコールの(メタ)アクリレート又は炭素数14〜40のアミンの(メタ)アクリルアミドを用いる。好ましくは特にセチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート又はベヘニル(メタ)アクリレートである。
【0010】
疎水性ビニル単量体は、単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。複数を組み合わせて用いる場合には、それら複数の疎水性ビニル単量体のみを構成単位とする重合体の融点と、得られる重合体の融点との差が10℃以内であればよい。
疎水性ビニル単量体は、重合体中に占める疎水性ビニル単量体由来の構成単位の含有量が30〜70重量%となるように用いればよい。この構成単位の含有量が35〜65重量%、特に40〜60重量%となるように用いるのが好ましい。疎水性ビニル単量体由来の構成単位の含有量が30重量%未満になると、重合体の疎水性が低下し、良好な耐水性が得られない。また、70重量%を超えると、重合体の水への溶解又は分散性が低下し、水系での使用が困難となる。
【0011】
親水性ビニル単量体とは、20℃の蒸留水への溶解度(g/100g水)が、20以上のものである。親水性ビニル単量体としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性、及び半極性の基を含有する親水性ビニル単量体が挙げられる。本発明は、これらのうち、親水性ビニル単量体由来の構成単位が、カチオン性親水性ビニル単量体由来の構成単位、又はカチオン性親水性ビニル単量体の前躯体である単量体を重合させた後に親水化した構成単位を用いることができ、また、所望によりこれらを併用することもできる。
【0012】
アニオン性親水性ビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸化合物;コハク酸、フタル酸等の多塩基性酸とヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートとのハーフエステル化合物;スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基を有する化合物;2−ホスホノエチル(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する化合物などが挙げられる。これらのアニオン性親水性ビニル単量体は、共重合反応に際し、酸の形態でも、部分中和又は完全中和後の形態のいずれでも使用することができる。また、酸の形態で共重合反応に供してから部分中和又は完全中和することもできる。中和には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物や、アンモニア水、モノ・ジ・トリエタノールアミン、トリメチルアミン等のアミン化合物を使用することができる。
【0013】
カチオン性親水性ビニル単量体としては、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロリド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリエチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−[3−(N’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N’,N’−ジメチルアンモニウム)−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−[3−(N’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N’,N’−ジエチルアンモニウム)−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロリド等のカチオン性基含有(メタ)アクリル酸エステル;N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−ラウリルアンモニウムクロリド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロリド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N−メチル−N,N−ジエチルアンモニウム=モノメチル硫酸塩、N−[3−(N’−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N’,N’−ジメチルアンモニウム)−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−[3−(N’−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N’,N’−ジエチルアンモニウム)−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド等のカチオン性基含有(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0014】
ノニオン性親水性ビニル単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等のポリアルキレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;N−ポリアルキレンオキシ(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、アクリルアミド等のアミド化合物;N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0015】
両性親水性ビニル単量体としては、前述したカチオン性親水性ビニル単量体の窒素原子に結合している1つのアルキル基がカルボキシメチル基に置換したベタイン構造を有する単量体が挙げられる。具体的には、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−エチル−N−メチル−N−カルボキシメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチル−N−カルボキシメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0016】
半極性親水性ビニル単量体としては、アミンオキシド基を有する化合物が挙げられる。具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピオン酸ビニル、p−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジメチルアミノエチルスチレン、p−ジエチルアミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン等を酸化して得られるアミンオキシド化合物などが挙げられる。
【0017】
以上の親水性ビニル単量体のうち、イオン性親水性ビニル単量体、特にカチオン性親水性ビニル単量体が好ましい。 なかでも好ましいのは、カチオン性基含有(メタ)アクリル酸エステル、特にN−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩である。
【0018】
親水性ビニル単量体は、単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。親水性ビニル単量体は、重合体中に占める親水性ビニル単量体由来の構成単位の含有量が、30〜70重量%となるように用いればよい。35〜65重量%、特に40〜60重量%となるように用いるのが好ましい。親水性ビニル単量体由来の構成単位の含有量が30重量%未満になると、水への溶解又は分散性が低下し、70重量%を超えると親水性が高くなり耐水性が低下する。
【0019】
また、親水性ビニル単量体に代えて、その前駆体となる親水化されていない親水化可能なビニル単量体を、他の構成単位を形成する単量体成分と重合させた後、得られた前駆体含有重合体中の前駆体単量体を親水化することによっても、本発明に係る重合体を得ることができる。例えば、カチオン性親水性ビニル単量体に代えて、その前駆体であるアミノ基含有ビニル単量体を、他の構成単位を形成する単量体と共重合させた後、得られた重合体中のアミノ基を常法により、カチオン化したり、アミンオキシド化することによっても、本発明の重合体を得ることができる。
【0020】
本発明に係る重合体の製造に際しては、疎水性ビニル単量体及び親水性ビニル単量体と共に、その他の共重合可能な単量体を共重合させることもできる。
その他の共重合可能な単量体としては、水への溶解度が0.2を超え20未満(g/100g水)の単量体が挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0021】
その他の共重合可能な単量体は、重合体中に占めるその他の単量体由来の構成単位の含有量が、40重量%以下となるように用いればよい。30重量%以下、特に0.1〜20重量%の含有量となるように用いるのが好ましい。40重量%を超えると、結晶性を低下させるので、融点を有する重合体を得ることが困難になる。
【0022】
本発明に係る重合体は、重合体の融点と疎水性ビニル単量体のみを構成単位とする重合体の融点との差が10℃以下である。
一般に、結晶性が高い重合体を含有する化粧料は、使用した際に良好な感触を示すといわれている。これは、結晶として存在する重合体の疎水的な感触に起因するものと考えられている。本発明に係る重合体は結晶性が高くなるほど、疎水性ビニル単量体のみを構成単位とする重合体との融点の差が少なくなる。結晶性が低下して、両者の融点の差が10℃を超えると、塗布時の感触が低下してしまう。融点の差は5℃以下、特に3℃以下であるのが好ましい。
【0023】
重合体の結晶性が高いと融点における吸収熱量(ΔH)が大きくなることを利用して、ΔHを測定することにより結晶性の度合いを評価することができる。本発明に係る重合体を製造するには、疎水性ビニル単量体として、その疎水性ビニル単量体のみからなる重合体中の融点におけるΔHが4J/g以上の疎水性ビニル単量体を用いるのが好ましい。
【0024】
本発明に係る重合体は、通常、疎水性ビニル単量体、並びに所望ならば、親水性ビニル単量体、及びその他の共重合可能な単量体を、親水性溶媒中でラジカル重合開始剤の存在下に、一括重合、滴下重合等の公知の方法で重合させることにより得られる。
疎水性ビニル単量体と親水性ビニル単量体とから融点を有する重合体を製造するには、疎水性ビニル単量体及び親水性ビニル単量体のいずれか片方の溶解性が高く、他方の溶解性が低い溶媒中で共重合させればよい。このような溶媒を用いることにより、ランダム重合体ではなく、各単量体の繰り返し単位の配列に偏りを帯びたブロック的な重合体が得られる。完全なランダム重合体は融点を有しないが、ブロック的な重合体とすることにより融点を有するようになるものと考えられる。
【0025】
反応操作上、重合溶媒としては親水性ビニル単量体の溶解性が高い親水性溶媒が好ましい。親水性溶媒を用いて共重合反応を行うと、親水性ビニル単量体は溶解するものの、疎水性ビニル単量体が完全には溶解しない。このため、重合反応系は相分離又は不透明な状態を呈する。この状態では完全なランダム重合は進行せず、各単量体の繰り返し単位の配列に偏りを帯びた重合体が得られる。溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチルなどの脂肪酸エステル等を用いることができる。このうち、水とエタノールとの混合溶媒が好ましい。水/エタノールとの混合比(重量比)は、1/99〜50/50とすればよい。3/95〜30/70、特に5/95〜20/80が好ましい。
【0026】
ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物等を用いることができる。重合開始剤は、全単量体の合計量に対して、通常、0.01〜5重量%の範囲で使用する。
【0027】
重合反応は、通常、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中、30〜120℃、好ましくは40〜100℃で1〜30時間行うのがよい。親水性ビニル単量体に代えて、前駆体単量体を用いる場合も同様の条件で共重合させればよい。
得られる重合体の分子量は、開始剤の種類及び量、重合温度、溶媒の種類、重合反応時の単量体濃度、一括、分割又は滴下添加の選択、連鎖移動剤の使用量等の重合条件を適宜選択することにより、任意のレベルとすることができる。重合体の重量平均分子量は、5000〜200万が好ましい。分子量が低いと製膜性、膜強度が低下し、分子量が高いと工業的な製造が困難となってくる。
【0028】
親水性ビニル単量体に代えて前駆体単量体を用いて得られた前駆体重合体の親水化は、該重合体溶液に、親水化剤を加えて20〜100℃の範囲で1〜20時間親水化することによって行われる。
得られた重合体溶液からの、本発明に係る重合体の単離は、貧溶媒の添加、溶媒留去等の公知の方法で行うことができる。単離した重合体は、必要ならば再沈澱、溶剤洗浄、膜分離、カラムクロマトグラフ処理によって更に精製することができる。なお、前記した前駆体重合体の親水化は、重合反応溶液から前駆体重合体を単離し、これを再度溶媒に溶解、又は分散させて行うこともできる。また、本発明に係る重合体を化粧料の製造に用いるに際しては、溶液状態で用いてもよく、これから単離して用いてもよい。溶液状態で用いるときには、必要ならば溶媒置換などの公知の方法により適当な溶媒に置換してもよい。
【0029】
【実施例】
本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
融点は、示差走査熱量計(DSC)DSC7(PERKIN ELMER社製、TAC7/DX付)を使用して測定した。重合体の乾燥過程による履歴を打ち消すために、−40℃から100℃まで毎分10℃で昇温し、100℃で1分間保持後、100℃から−40℃まで毎分10℃で冷却、−40℃で1分間保持し、再度、−40℃から100℃まで毎分10℃で昇温したときのピークを融点とした。
【0030】
実施例1
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管及び攪拌装置付の反応器内にエタノール140重量部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド;80重量%水溶液)60重量部、ステアリルメタクリレート39重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート1重量部、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.2重量部を仕込んだ。窒素置換後、2時間で80℃に昇温し、80℃で10時間反応させた後、室温に冷却した。なお、昇温開始4時間後及び7時間後にジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.5重量部ずつを添加し反応を促進させた。
【0031】
重合生成液から、溶媒を減圧留去し、重合体(1)を得た。得られた重合体(1)の融点は、34℃であった。
実施例2〜実施例5、比較例1、及び比較例2
表1に記載した組成の単量体及び溶媒を用いて、実施例1と同様にして重合体(2)〜(7)を製造した。
【0032】
【表1】
Figure 0003939143
【0033】
疎水性ビニル単量体
SMA:ステアリルメタクリレート
親水性ビニル単量体
DMC:ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライド塩
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート、DES:ジエチル硫酸
3EGA:トリエチレングリコールジメタクリレート
その他の共重合可能なビニル単量体
TBA:t−ブチルメタクリレート
融点(℃)
ΔH:吸熱量(J/g)
【0034】
得られた重合体(1)〜(7)について、それぞれ3%水溶液を作成し、塗布時の感触、乾燥後の感触及び耐久性の評価を行った。なお、標準品として下記の組成のクリームを使用した。
クリーム(標準品)
ポリオキシエチレン(7EO)セチルエーテル:5重量%
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド:1重量%
セチルアルコール:3重量%
ステアリルアルコール:2重量%
流動パラフィン:0.5重量%
オクタメチルシクロテトラシロキサン:0.5重量%
蒸留水:88重量%。
【0035】
塗布時の感触
手の甲に水溶液1gをのせ、指の腹でのばしたときの滑らかさを標準品と比較した。
乾燥後の感触
手の甲に水溶液1gをのせ、指の腹で約5cm×約5cmにのばしながら乾燥させた。約10分後に指の腹で触ったときのべた付き感のなさを感触として評価した。結果を表2に示す。
【0036】
耐水性
毛髪束2gに上記の水溶液1gを塗布し、23℃、相対湿度80%で12時間調湿した後、べた付きを評価した。べた付きのないものを良しとした。
耐久性
毛髪束に上記の水溶液1gを塗布し、23℃、相対湿度60%で12時間調湿した後、指の腹でこすったときの指への写り具合を評価した。指への写りの少ないものを良しとした。
【0037】
それぞれの評価は4段階で行い、良好なものを4点、不良なものを1点とした。結果を表2に示す。
【0038】
なお、それぞれの評価は以下のように行った。
+2 標準品よりはるかに優れる。
+1 標準品より優れる。
0 標準品と同等。
−1 標準品より劣る。
【0039】
【表2】
Figure 0003939143

Claims (9)

  1. 疎水性ビニル単量体由来の構成単位を30重量%以上、及び親水性ビニル単量体由来の構成単位を30重量%以上含有する重合体であって、その重合体の融点と該疎水性ビニル単量体のみを構成単位とする重合体の融点との差が10℃以下であり、
    疎水性ビニル単量体が、炭素数14〜40のアルコールの(メタ)アクリレート又は炭素数14〜40のアミンの(メタ)アクリルアミドであり、
    親水性ビニル単量体由来の構成単位が、カチオン性親水性ビニル単量体由来の構成単位、又はカチオン性親水性ビニル単量体の前躯体である単量体を重合させた後に親水化した構成単位であることを特徴とする重合体。
  2. 疎水性ビニル単量体由来の構成単位を30重量%以上、親水性ビニル単量体由来の構成単位を30重量%以上、及びその他の共重合可能な単量体由来の構成単位を0.1〜20重量%含有する重合体であって、その重合体の融点と該疎水性ビニル単量体のみを構成単位とする重合体の融点との差が10℃以下であり、
    疎水性ビニル単量体が、炭素数14〜40のアルコールの(メタ)アクリレート又は炭素数14〜40のアミンの(メタ)アクリルアミドであり、
    親水性ビニル単量体由来の構成単位が、カチオン性親水性ビニル単量体由来の構成単位、又はカチオン性親水性ビニル単量体の前躯体である単量体を重合させた後に親水化した構成単位であることを特徴とする重合体。
  3. 融点が、25〜70℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2記載の重合体。
  4. 疎水性ビニル単量体が、炭素数14〜40のアルコールの(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の重合体。
  5. 疎水性ビニル単量体が、単位疎水性ビニル単量体のみを構成単位とする重合体の融点におけるΔHが4J/g以上のものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の重合体。
  6. カチオン性ビニル単量体が、カチオン性基含有(メタ)アクリル酸エステル、又はカチオン性基含有(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の重合体。
  7. 30重量%以上の疎水性ビニル単量体及び30重量%以上の親水性ビニル単量体又はその前駆体を含有する単量体混合物を、水とエタノールを水/エタノールとの混合比(重量比)1/99〜50/50で含有する水性溶媒中で重合反応させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  8. 重合反応を、ラジカル重合開始剤の存在下、不活性ガス雰囲気中、30〜120℃で1〜30時間行うことを特徴とする請求項7に記載の重合体の製造方法。
  9. 請求項1乃至6のいずれかに記載の重合体を含有することを特徴とする化粧料。
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