JP3936107B2 - 原子炉起動監視装置および炉内出力監視方法 - Google Patents

原子炉起動監視装置および炉内出力監視方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、沸騰水型原子炉等に搭載される原子炉起動監視装置および炉内出力監視方法にかかり、特に原子炉出力を計測・監視するデータとして、原子炉圧力容器の内部または外部に設置される放射線センサからの出力パルスを信号処理するディジタル式装置構成の工夫に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の沸騰水型原子炉には、原子炉圧力容器内に例えば6〜10本のSRNM(Start up Ranged Neutron Monitor )検出器及び100〜200本のLPRM(Local Power Ranged Monitor)検出器等の放射線センサが設置され、これらの放射線センサによる検出信号に基づいて原子炉出力を計測・監視する例えば起動領域モニタ及び出力領域モニタ等の原子炉出力監視装置が搭載されている。
【0003】
このうち、起動領域モニタ(以下「原子炉起動監視装置」)は、SRNM検出器により検出された中性子束に応じた出力パルスに基づいて原子炉の起動時等の原子炉出力を監視するもので、その原子炉出力の低い範囲内(10−9%〜10−4 )ではSRNM検出器の出力パルスの個数を計数する処理(以下「パルス計測」)を行うと共に、原子炉出力の高い範囲内(10−5%〜10%)ではSRNM検出器の出力パルスの重なりで生じるゆらぎ成分のパワーを測定する、いわゆるキャンベル法の原理に基づく処理(以下「キャンベル計測」)を行うようになっている。
【0004】
このようなパルス計測及びキャンベル計測を行う原子炉起動監視装置の一例を図5及び図6に基づいて説明する。
【0005】
図5に示す原子炉起動監視装置は、原子炉出力を計測するデータとして原子炉内の中性子束を検出するSRNM検出器100と、その検出器出力パルスを増幅及び整形するアナログ増幅器101と、その信号出力側に並列に接続される2系統の信号処理系、すなわちパルス計測系102及びキャンベル計測系103と、この両計測系102、103の処理結果に基づいて原子炉の少なくとも起動時の原子炉出力を連続監視・評価するための原子炉出力評価(監視)手段104とを備えている。
【0006】
このうち、パルス計測系102は、アナログ増幅器101により増幅された検出器出力パルスの波高値と予め設定された波高値とを比較してその設定波高値以上の検出器出力パルスのパルス数を計測するパルス波高比較器105と、そのパルス数の計測値を原子炉出力の出力レベルに変換することにより、原子炉の低出力時の出力を評価するパルス計測評価手段106とで構成されている。
【0007】
また、キャンベル計測系103は、アナログ増幅器101により増幅された検出器出力パルスを複数の増幅率の異なる条件で増幅及び減衰させ、特定の周波数帯域に制限する複数の増幅器(小ゲイン増幅器107、中ゲイン増幅器108、大ゲイン増幅器109)と、この各増幅器107〜109の出力の2乗平均根値を算出する複数のRMS演算子110、111、112と、この各演算子110〜112の出力の中から最適値を選別し、原子炉の高出力時の出力を評価するキャンベル出力評価手段113とで構成されている。
【0008】
このような原子炉起動監視装置では、原子炉出力の低い場合、アナログ増幅器2によりパルス波高比較器105に最適な信号レベルに調整し、SRNM検出器1の出力パルス数を正確に測定するパルス計測を実行すると共に、原子炉出力が高くなると、キャンベル計測を実行する。このキャンベル計測に際しては、その計測範囲である約5桁を1つのMS(Mean Square )演算素子110〜112でカバーできないため、本例のように複数の増幅器107〜109によりSRNM検出器100の出力を異なる増幅率で増幅し、全体の計測範囲をカバーする。この場合、増幅器を1つの対数増幅器で構成することも可能であるが、最近では温度特性等の観点より本例のように分割するケースが多く採用され、これらの構成により原子炉の広い計測範囲を連続監視できるようになっている。
【0009】
しかしながら、上述の原子炉起動監視装置は、検出器出力パルスをアナログ回路で信号処理する構成であったため、SRNM検出器内の放電により発生する放電パルスや、監視装置近傍での電磁誘導で誤って発生するノイズの影響により、パルスの大きさのみに基づく計数では誤った計測を行う可能性もあり、その結果、検出器出力パルスの波形中に含まれる情報を必ずしも十分に活用できないといった問題があった。
【0010】
その対策として、信号ケーブル等に十分なシールド処理を行い、外来ノイズの誘導がないように施工時に十分に注意する必要があった。また、施工時の外来ノイズによる誤計測の防止対策としては、これらの誤パルスの波形は信号パルスとは異なる場合が殆どであるため、パルス波高のみではなく、その他の波形の情報を利用する方法も考えられる。さらに、検出器の出力パルスは、検出器内に封入されているガスのリーク、または、電極間隔の異常によって変化するために、波形を監視することによってこれら異常を計測中に検出可能であるが、現状のシステムでは計測・監視からシステムを除外して検出器の診断等を行う必要があった。現状のシステムでは、キャンベル計測とパルス計測を同時に行うには、それぞれの専用の回路をもうける必要があり、回路規模が大きく、また、複雑になるという点で、異なるハードウエアで実施していたため、それぞれの保守、点検作業が異なるという問題点があった。これを解決するためにハードウエア部の共通化、とくに、信号処理部の共通化が望まれている。
【0011】
そこで、このようなアナログ回路での誤計測の問題点を解決する手段として、近年、検出器出力パルスをA/D(アナログ/ディジタル)変換して信号処理するディジタル式原子炉起動監視装置が提案されている(例えば特開平9−274095号公報)。この装置の一例を図6に基づいて説明する。
【0012】
図6に示すディジタル式原子炉起動監視装置は、前述と同様のSRNM検出器100及びアナログ増幅器101のほか、その信号出力側に並列に接続されるパルス計測系102及びキャンベル計測系103、これらの計測系102、103からの計測結果に基づいて原子炉起動時の出力を連続監視するためのモニタ等の原子炉出力評価(監視)手段104とを備えている。
【0013】
このうち、パルス計測系102は、アナログ増幅器101により増幅された検出器出力パルスをそのパルス幅よりも短い間隔でサンプリングする第1のA/D変換器120と、そのサンプリングデータから検出器出力パルスのパルス数を計数するパルス計数手段121と、そのパルス数の計数値を原子炉出力の出力レベルに変換して原子炉の低出力時の出力を評価するパルス計測評価手段106とで構成されている。このうち、パルス計数手段121では、サンプリングデータを用いてパルスの波高値のみでなく、他の特徴も取り入れた演算処理を行って出力パルスを認識するため、出力パルスのみを計数でき、ノイズ等の異なる信号を排除可能となる。
【0014】
また、キャンベル計測系103は、アナログ増幅器2により増幅された検出器出力パルスを複数の増幅率の異なる条件で増幅及び減衰させる複数のアナログ増幅器(小ゲイン増幅器107、中ゲイン増幅器108、大ゲイン増幅器109)と、この各増幅器107〜109の各出力をA/D変換する少なくとも1個の第2のA/D変換器122と、そのサンプリングデータを用いて特定の周波数帯域のパワーに相当する2乗平均値を計算して原子炉の高出力時の出力を評価するキャンベル計測評価手段113とで構成されている。このうち、キャンベル計測評価手段113では、A/D変換後の周波数帯域を制限し、2乗平均値を演算するが、これはソフトウェア上の計算で処理できるため、測定周波数帯域を容易に変更できるといった利点がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来例のディジタル式原子炉起動監視装置においては、以下のような課題があった。
【0016】
1):パルス計測の場合とキャンベル計測の場合とでは、必要とされるサンプリング周期(間隔)及びA/D変換精度がそれぞれ異なるため、個別にA/D変換器が必要となる。
すなわち、パルス計測の場合は、サンプリング周期が検出器出力パルスのパルス幅よりも短いことが要求される。この出力パルスのパルス幅は約100nsecであるため、20MHz以上でディジタル化可能なA/D変換器が必要であり、例えば市販品ではビット数が8〜10ビット程度の精度をもつものが使用されている。
これに対して、キャンベル計測の場合は、その測定帯域が通常1MHz以下であるためにサンプリング周期が2MHz程度のものが要求される。しかも、その計測範囲を広くするために上述のパルス計測用A/D変換器よりも精度が高いものが必要であり、例えば市販品では16ビット程度の精度を持つものが使用されている。
一方、キャンベル計測の場合には、上述した従来例のアナログ式装置の場合と同様に5桁に及ぶ測定範囲をカバーするためにアナログ増幅器も複数必要となる。
このように複数のA/D変換器及びアナログ増幅器が必要となるため、全体として機器構成も複雑になるといった問題があった。
【0017】
2):キャンベル計測の場合には、上述のようにサンプリング周期が2MHz程度となるため、サンプリング定理によりサンプリング前に1MHz以上の周波数成分を除く必要がある。そのため、一般にはアンチ・エリアジング・アナログフィルタを設けている。
しかしながら、このようなアンチ・エリアジング・アナログフィルタを設けた場合、時間応答性はこのアナログ・フィルタの性能に支配されるため、ディジタル式原子炉起動監視装置に期待されているディジタル的な応答性を実現できないといった問題があった。すなわち、ディジタル式原子炉起動監視装置では、キャンベル計測系にて100kHz〜400kHz程度の周波数帯域内でのパワー演算を行うため、その帯域制限フィルタとしてアナログフィルタの代わりにディジタル・フィルタを採用して時間応答性および外来ノイズに対する性能向上が期待されているためである。
【0018】
3):キャンベル計測の帯域制限フィルタとしてディジタルフィルタを使う場合には、現在のキャンベル計測用の各素子では演算スピードが足らないため、ディジタルフィルタによる演算をリアルタイムで処理可能な簡略な方法で実行する必要がある。
【0019】
4):パルス波形をディジタル的にサンプリングし、そのサンプリング値から検出器出力パルスを選別するアルゴリズムに関しては、キャンベル計測のディジタルフィルタと同様に100nsec以下の周期でリアルタイムに波形選別を行うことは難しい。その対策として、波形選別アルゴリズムをより単純化する方法が望まれている。
【0020】
この発明は、このような従来の事情を考慮してなされたものであり、比較的簡単な装置構造を構築すると共に、ディジタルフィルタの特徴を十分に生かすことができ、かつ、パルス計測の波形選別およびキャンベル計測のディジタル演算をリアルタイムで実行可能で比較的簡単なアルゴリズムを構築することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、原子炉の少なくとも起動時の原子炉出力を監視するデータとして、放射線に関するデータをその放射線量に応じたパルス成分を有する電気信号に変換して検出する放射線センサと、この放射線センサにより検出された電気信号のうちの一定周波数帯域内の周波数成分を有する電気信号をフィルタリングするアナログフィルタ手段と、このアナログフィルタ手段によりフィルタリングされた前記周波数成分を有する電気信号を前記パルス成分のパルス幅よりも短いサンプリング間隔で一定のビット数の精度をもつ第1のディジタルデータに変換するディジタル変換手段と、このディジタル変換手段からの第1のディジタルデータに基づいて一定周波数帯域での前記パルス成分のパルス数を計数して前記原子炉出力に関するデータを計測するパルス計測手段と、前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値よりもビット数の大きい精度をもつ第2のディジタルデータを取得するように予め設定された和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせる和演算手段と、この和演算手段で取得される前記第2のディジタルデータに基づいて一定の周波数帯域での前記パルス成分の重なりで生じるゆらぎ成分のパワーに相当する2乗平均値を計算して前記原子炉出力に関するデータを計測するキャンベル計測手段と、前記パルス計測手段および前記キャンベル計測手段からの計測データに基づいて前記原子炉出力に関する情報を連続的に監視する原子炉出力監視手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
このうち、前記放射線センサとしては、例えば中性子束を検出する中性子検出器(SRNM検出器及びLPRM検出器等)を例示できる。前記アナログフィルタ手段としては、例えば放射線センサからの電気信号の出力周波数帯域を後段のディジタル変換に適した範囲内に制限して整形するアナログフィルタ・アンプ(アナログ増幅器)を含むアナログ回路を例示できる。前記ディジタル変換手段としては、例えばアナログフィルタ手段からの電気信号を一定間隔でサンプリングしてディジタル変換するサンプルホールド機能を含むA/D変換器を例示できる。
【0023】
前記パルス計測手段は、例えば前記ディジタル変換手段の出力に基づいて放射線センサの発するパルス数を計数するパルス計数手段と、このパルス計数手段の出力に基づいて原子炉出力を評価するパルス計測評価手段とで構成される。
【0024】
前記キャンベル計測手段は、例えば前記ディジタル変換手段の出力を足しあわせて和値を求め、これを一定間隔で出力する和演算手段と、この和演算手段の出力から一定の周波数帯域の2乗平均値を求めるパワー演算手段と、その2乗平均値に基づいて原子炉出力を評価するキャンベル出力評価手段とで構成される。
【0025】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記和演算手段は、前記第2のディジタルデータを前記第1のディジタルデータよりもビット数の大きい出力精度で前記キャンベル計測手段に出力する手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
このように和演算手段の出力精度を示す出力ビット数を、ディジタル変換手段によるサンプリング時のビット数よりも大きく設定すれば、和演算手段の和演算により向上した測定精度のビット数を切り捨てることなく、後段の2乗平均値を求める手段に伝達できる。
【0027】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記和演算手段は、前記第2のディジタルデータを前記ディジタル変換手段におけるサンプリング間隔よりも時間の長い出力間隔で前記キャンベル計測手段に出力する手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
このように和演算手段の出力の出力間隔を、ディジタル変換手段によるサンプリング間隔より長い間隔、たとえば10〜20倍の間隔に設定すれば、パルス計数に必要な周波数帯域に対してキャンベル計測に必要な周波数帯域が例えば1/20〜1/10以下であることから、和演算の出力周期もその周波数を再現できる周期に最適化して設定でき、これにより、キャンベル計測の演算アルゴリズムを簡略化できる。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項1から3までのいずれか1項記載の発明において、前記和演算手段は、前記和演算条件として和数を変更できるように設定された和数の異なる複数の和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせる手段であることを特徴とするものであり、請求項5記載の発明は、請求項1から3までのいずれか1項記載の発明において、前記和演算手段は、前記和演算条件として異なる和数の和演算によって得られるそれぞれの出力を選択できるようにした和数の異なる複数の和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせる手段であることを特徴とする
【0030】
この和演算手段により、前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値がそれぞれ異なるサンプリング数分だけ平均される。このようにディジタル変換手段(A/D変換器など)の前段部で従来の信号増幅手段の代りに和演算手段を採用し、和演算のサンプリング数(和数)を変えれば、和演算手段の精度がより一層向上し、原子炉出力の異なる出力レベルの信号を計測できる。
【0031】
請求項6記載の発明は、請求項1から3までのいずれか1項記載の発明において、前記和演算手段は、前記和演算条件として和数を変更できるように設定するか、あるいは異なる和数の和演算によって得られるそれぞれの出力を選択できるように設定して一定時間内での和数の異なる複数の和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせる手段であることを特徴とする。
【0032】
この和演算手段により、一定時間内でのそれぞれ異なるサンプリング間隔で複数の和演算が行われる。このように連続したサンプリング数を足しあわせるのではなく、一定時間内のサンプリング値に対して異なる時間間隔でサンプリングしたデータを和演算する和演算手段を採用すれば、和演算出力の精度を可変設定できる。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項1から6までのいずれか1項記載の発明において、前記キャンベル計測手段は、前記和演算手段からの前記第2のディジタルデータに基づいて複数の周波数帯域での前記2乗平均値を評価するキャンベル出力評価手段と、このキャンベル出力評価手段による複数の周波数帯域での2乗平均値から正常値を選別し、この正常値を前記原子炉出力に関する情報として前記原子炉出力監視手段に供給するキャンベル信号弁別手段とを備えたことを特徴とする。
【0034】
このように異なる周波数帯域の2乗平均値を演算し、その中でノイズ等の誘導で他の信号に比べて異常が認められる周波数帯域を除き、その他の正常なデータのみを用いれば、原子炉出力監視手段でより正常な原子炉出力を監視できる。
【0035】
請求項8記載の発明は、請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、前記ディジタル変換手段は、前記アナログフィルタ手段からの前記周波数成分を有する電気信号を、前記パルス成分のパルス幅の1/n(nは正数)に相当するサンプリング間隔で第1のディジタルデータに変換する手段であり、前記パルス計測手段は、前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値のうちのk番目のサンプリング値をS(k)とし、このサンプリング値S(k)よりも過去の前記nで決まる個数のサンプリング値を順次S(k−1)、S(k−2)、…、S(k−n+1)とし、これらのサンプリング値S(k)、S(k−1)、S(k−2)、…、S(k−n+1)のそれぞれに個別に割り当てられる定数を順次C(0)、C(1)、C(2)、…、C(k−n+1)とし、演算値をOut(k)としたとき、この演算値Out(k)を、
【数5】
Out(k)=C(0)×S(k)+C(1)×S(k−1)+
C(2)×S(k−2)+…+
C(k−n+1)×S(k−n+1)
の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、この演算値Out(k)に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする。
【0036】
このように前記ディジタル変換手段の周期を前記パルス波のパルス幅の1/nに設定し、前記演算式に基づく演算を行えば、ディジタル信号処理で高速な処理が可能な積和演算のみで出力パルスのみの計数が可能となり、パルス計測をリアルタイムに実施可能となる。
【0037】
請求項9記載の発明は、請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、前記ディジタル変換手段は、前記アナログフィルタ手段からの前記周波数成分を有する電気信号を、前記パルス成分のパルス幅の1/4以上1/3以下のサンプリング間隔で第1のディジタルデータに変換する手段であり、前記パルス計測手段は、前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値のうちのk番目のサンプリング値をS(k)とし、このサンプリング値S(k)よりも過去の3個のサンプリング値を順次S(k−1)、S(k−2)、S(k−3)とし、これらの4個のサンプリング値S(k)、S(k−1)、S(k−2)、S(k−3)のそれぞれに個別の割り当てられる4個の定数を順次a、b、c、dとし、演算値をOut(k)としたとき、この演算値Out(k)を、
【数6】
Out(k)=−a×S(k−3)+b×S(k−2)
+c×S(k−1)+d×S(k)
の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、この演算値Out(k)に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする。
【0038】
このようにディジタル変換手段によるサンプリング周期を放射線センサからのパルス波のパルス幅の1/3〜1/4に設定し、前記演算式に基づく演算を行ってパルス波を選別してそのパルス数を計数することにより、放射線センサからの出力パルスと同じパルス幅のパルスのみ計数可能となる。
【0039】
請求項10記載の発明は、請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、前記ディジタル変換手段は、前記アナログフィルタ手段からの前記周波数成分の電気信号を、前記パルス成分のパルス幅の1/3以上1/2以下のサンプリング間隔で第1のディジタルデータに変換する手段であり、前記パルス計測手段は、前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値のk番目のサンプリング値をS(k)とし、このサンプリング値S(k)よりも過去の2個のサンプリング値を順次S(k−1)、S(k−2)とし、これらの3個のサンプリング値S(k)、S(k−1)、S(k−2)のそれぞれに割り当てられる定数を順次a、b、cとし、演算値をOut(k)としたとき、この演算値Out(k)を、
【数7】
Out(k)=−a×S(k−2)+2×b×S(k−1)
+c×S(k)
の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、この演算値Out(k)に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする。
【0040】
このようにディジタル変換手段によるサンプリング周期を放射線センサからのパルス波のパルス幅の1/2〜1/3に設定し、前記演算式に基づく演算を行ってパルス波を選別してそのパルス数を計数することにより、放射線センサからの出力パルスと同じパルス幅のパルスのみ計数可能となる。
【0041】
請求項11記載の発明は、請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、前記ディジタル変換手段は、前記アナログフィルタ手段からの前記周波数成分の電気信号を、前記パルス成分のパルス幅の1/n(nは正数)のサンプリング間隔で第1のディジタルデータに変換する手段であり、前記パルス計測手段は、前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値のうちのk番目のサンプリング値をS(k)とし、このサンプリング値S(k)よりも過去の前記nの値で決まる個数のサンプリング値を順次S(k−1)、S(k−2)、…、S(k−n+1)とし、これらのサンプリング値S(k)、S(k−1)、S(k−2)、…、S(k−n+1)のそれぞれに割り当てられる第1の定数を順次C(0)、C(1)、C(2)、…、C(k−n+1)とし、同様に第2の定数を順次D(0)、D(1)、D(2)、D(3)、…、D(k−n+1)とし、第1及び第2の演算値をOut1(k)及びOut2(k)としたとき、この第1及び第2の演算値Out1(k)及びOut2(k)を、
【数8】
Out1(k)=C(0)×S(k)+C(1)×S(k−1)+
C(2)×S(k−2)+…+
C(k−n+1)×S(k−n+1)
Out2(k)=D(0)×S(k)+D(1)×S(k−1)+
D(2)×S(k−2)+…+
D(k−n+1)×S(k−n+1)
の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、この演算値Out1(k)及びOut2(k)に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする。
【0042】
第1の演算値Out1(k)により、パルス波の第1の特徴、例えばパルスの立ち上がり時間でのパルス波高の変化量によりパルスの有無を検出可能になる共に、第2の演算値Out2(k)によりパルス波の第2の特徴、例えばパルスの立ち下がり時間でのパルス波高の変化量によりパルスの有無を検出可能になり、これら複数の演算値に基づいてパルス数を計数することにより、放射線からの出力パルスのみを正確に計数可能となる。
【0043】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明において、前記パルス計測手段は、前記第1及び第2の演算値に加えて第3以降の複数の演算値を前記定数を代えて前記第1及び第2の演算値の場合と同様の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、これらの複数の演算値に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする。
【0044】
この第1及び第2の演算値以外の複数の演算値により、その他のパルスの特徴、たとえばパルス幅によりパルスの有無を検出し、これら複数の演算値より、放射線センサからのパルスのみを正確に計数可能となる。
【0045】
請求項13記載の発明は、請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、前記キャンベル計測手段は、前記和演算手段からの前記第2のディジタルデータからある一定時間間隔のデータを除く周期データ除去手段と、この周期データ除去手段により除かれなかった残りのデータから前記データを除去する周期よりも高い周波数帯域の前記2乗平均値を演算し、この2乗平均値を前記周期データ除去手段により除かれたデータの割合に応じて補正し出力するキャンベル評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0046】
この発明では、第2のディジタルデータから周期的にデータを削除つまりゼロにデータを置き換えることにより、周期的に誘導するノイズ成分をこのデータ系列から除去する。このデータをある周波数帯域の2乗平均値を求めるために帯域制限用のディジタルフィルタ処理を行い、前記データを除去した周期より高い周波数の帯域での2乗平均値を算出する。その際、周期的に除去したデータと、元の全データの割合により決まる、ディジタルフィルタの理論計算から求まる係数を2乗平均値に掛け合わせることで、全データを処理した場合の結果と同一な値になるようにする。これにより、ノイズの影響を受けないキャンベル出力がえられ、より信頼性のある原子炉起動監視装置を提供できる。
【0047】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明において、前記周期データ除去手段は、前記ディジタル変換手段において一定値以上または以下のデータを識別し、そのデータをノイズデータとして判別し、そのデータのノイズ情報を付加するノイズデータ付加手段と、前記第2のディジタルデータに前記ノイズ情報が含まれる場合、このデータを除去し、この除かれたデータの割合に応じて前記2乗平均値を補正し出力するキャンベル評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0048】
これにより、第1のディジタルデータの大小からノイズの有無を判定し、その情報をディジタルデータの中の1ビットにフラッグなどでノイズの付加してデータであることを追加しておく。そして、キャンベル評価手段にて、このフラッグが追加されているディジタルデータをノイズデータとして判別し、ある帯域の2乗平均値を演算する際に、このデータを除き処理を行う。これにより、ノイズの影響を受けないキャンベル出力がえられ、より信頼性のある原子炉起動監視装置を提供できる。
【0049】
請求項15記載の発明は、請求項13記載の発明において、前記周期データ除去手段は、アース等に誘導するノイズの有無およびその周期を評価するノイズモニタ手段と、このノイズモニタ手段によって評価されたノイズ周期およびノイズ認識タイミングの応じた前記第2のディジタルデータに前記ノイズ情報が含まれる場合、このデータを除去し、この除かれたデータの割合に応じて前記2乗平均値を補正し出力するキャンベル評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0050】
これにより、アース等の他の場所に誘導するノイズの周期/発生タイミングをモニタしておき、このタイミング/周期で第2のディジタルデータのうちのノイズデータを判別し、このデータを除く。これにより、ノイズの影響を受けないキャンベル出力が得られ、より信頼性のある原子炉起動監視装置を提供できる。
【0051】
請求項16記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記パルス計数手段は、波高値がある一定値以上または以下になった場合のアナログ式パルス比較手段と、前記ディジタルデータに基づいてパルス数を計数するディジタル式パルス判別手段と、この両手段の判定結果からノイズ計数分を除いた検出器出力のパルスのみ計数する手段とを備えたことを特徴とする。
【0052】
これにより、ディジタル的にノイズパルスまたは信号パルスを識別し、アナログ式パルス計数手段の計数結果を補正することにより、より正確なパルス計測が可能となる。
【0053】
請求項17記載の発明に係る炉内出力監視方法は、原子炉の少なくとも起動時の原子炉出力を監視するデータとして、放射線に関するデータをその放射線量に応じたパルス成分を有する電気信号に変換して検出し、この検出された電気信号のうちの一定周波数帯域内の周波数成分を有する電気信号をフィルタリングし、このフィルタリングされた前記周波数成分を有する電気信号を前記パルス成分のパルス幅よりも短いサンプリング間隔で一定のビット数の精度をもつ第1のディジタルデータに変換し、この変換された第1のディジタルデータに基づいて一定周波数帯域での前記パルス成分のパルス数を計数する一方、前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値よりもビット数の大きい精度をもつ第2のディジタルデータを取得するように予め設定された和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせ、これで取得される前記第2のディジタルデータに基づいて一定の周波数帯域での前記パルス成分の重なりで生じるゆらぎ成分のパワーに相当する2乗平均値を計算し、前記パルス計数値および前記2乗平均値に基づいて前記原子炉出力に関する情報を連続的に監視する、ことを特徴とする。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る原子炉起動監視装置の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0055】
図1に示す原子炉起動監視装置は、原子炉出力すなわち炉内の中性子束を計測するSRNM検出器1(放射線センサ)と、このSRNM検出器1からの出力パルスをその出力周波数帯域を制限して整形し且つアンチ・エリアジング・フィルタとしての機能を有するアナログ増幅器2(アナログフィルタ手段)と、このアナログ増幅器2からのアナログ信号を予め設定された一定のサンプリング間隔でサンプリングして第1のディジタルデータS1に変換するA/D変換器(ディジタル変換手段)3と、このA/D変換器3の出力側に並列に接続される2系統の信号処理系、すなわちパルス計測系(パルス計測手段)4及びキャンベル計測系(和演算手段及びパルス計測手段)5と、この両計測系4、5からの計測データに基づいて原子炉出力に関する情報を連続的に監視するためのモニタ等の原子炉出力監視手段6とを備えている。
【0056】
このうち、パルス計測系4は、A/D変換器3の第1のディジタルデータS1からSRNM検出器1の出力パルスを計数するパルス計数手段7と、パルス計数手段7の計数値から原子炉出力を評価するパルス計測評価手段8とで構成されている。
【0057】
パルス計数手段7は、例えばA/D変換器3のサンプリング間隔に応じて予め設定された検出器出力パルス選別用のアルゴリズムに沿った処理を実行する演算器で構成される。以下、この演算器が実行するアルゴリズムを図2を参照して説明する。
【0058】
図2は、SRNM検出器出力パルスの波形とサンプリング間隔との関係を説明するものである。ここで、図中のS(k)は、第1のサンプリングデータを成す複数個のサンプリング値のうちのk番目のサンプリング値を示し、S(k+1)はその次のサンプリング値を示す。
【0059】
この場合には、サンプリング間隔が短い程、波形の情報を多く抽出でき、他の誤信号、例えば外来ノイズによる信号を除いて検出器出力パルスのみを正確に計数することが可能となる。しかし、リアルタイムで処理するには最小のサンプリング数でこれらを実現できることが望ましい。
【0060】
本発明者は、これらの点を踏まて検討した結果、検出器出力パルスのパルス幅(約80nsec))の1/n(nは正数)、好ましくは1/2〜1/4に相当するサンプリング間隔(25nsec程度)であれば、その他のパルス幅の異なるノイズ信号との間で検出器出力パルスのみをより正確に識別(選別)して計数できるといった着想を得た。以下、このことをA/D変換器3のサンプリング間隔毎に説明する。
【0061】
1):まず、A/D変換器3のサンプリング間隔がパルス幅の約1/3の場合、すなわち、図2中のサンプリング間隔25nsecの場合には、k番目のサンプリング値S(k)、このk番目よりも過去の3つのサンプル値S(k−3)、S(k−2)、S(k−1)と、正定数a、b、c、dとを用いて、
【数9】
Figure 0003936107
の演算をサンプリング間隔毎に行ってk番目のOut(k)を求め、この値が予め設定された設定値以上になる個数を数えることにより、検出器の出力パルスのみを選別して計数できることが確認された。
【0062】
2):同様に、A/D変換器3のサンプリング間隔がパルス幅の約1/3の整数倍jの場合には、
【数10】
Figure 0003936107
の演算をパルス幅の約1/3の間隔で行ってk番目のOut(k)を求め、この演算値が設定値以上になる個数を数えることにより、検出器の出力パルスのみを選別して計数できることが確認された。
【0063】
3):同様に、A/D変換器3のサンプリング間隔がパルス幅の1/3〜1/4の場合には、正定数a、b、c、dを1以外の値に調整することにより、同様の選別・計数が可能である。
【0064】
4):同様に、A/D変換器3のサンプリング間隔がパルス幅の1/2〜1/3の場合には、第1のサンプリングデータに対しては、過去2つのサンプリング値を用いて、
【数11】
Figure 0003936107
を計算することにより、同様の選別・計数が可能であることがわかった。
【0065】
5):また、サンプリング間隔がパルス幅の約1/3の場合、ずなわち図2に示すサンプリング間隔25nsecの場合には、上記1)の場合よりも正確にパルスを計数する方法として、過去のサンプリング値S(k−3)、S(k−2)、S(k−1)と、正定数a、b、c、dとを用いて、
【数12】
Figure 0003936107
の演算を行って2つの演算値Out1(k)及びOut2(k)を個別に求め、その2つの演算値が予め設定した設定値の範囲内である場合に検出器パルスであると判定する検出器パルス選別用のアルゴリズムを着想した。
【0066】
この場合、Out1(k)はパルスの立ち上がり特性の特徴を反映し、図2に示す検出器出力パルスの場合には、Out1(k)が負の値のときにパルス波高値よりも小さい値となる。一方、Out2(k)はパルスの立ち下がり特性の特徴を反映し、同様にOut2(k)が負の値のときにパルス波高値より小さい値となる。
【0067】
そこで、この2つの演算値Out1(k)及びOut2(k)のそれぞれにノイズレベルよりも大きい負の値の判定値を設定し、その判定値よりも演算値のそれぞれがいずれも小さい値を示した場合に検出器出力パルスと判定する。このように、パルス波形の各段階のそれぞれの特徴に基づくパルス選別用の複数の演算式を設定し、その各演算値が選別すべきパルスとしての条件を満たす場合に検出器出力パルスであると判定する波形選別アルゴリズムを採用すれば、より正確なパルス計測が可能となる。
【0068】
また、これらディジタル的にパルスを計数する手法を用い、逆にノイズ成分を識別するロジックを設けることで、従来のアナログ的な計数手段によって計測された計数結果を本ディジタル的な計数ロジックの結果と比較することで、より正確なパルス計測が可能となる。
【0069】
なお、A/D変換器3のサンプリング間隔が出力パルス幅80nsecの1/4の程度の場合には、アナログ増幅器2の出力周波数帯域を約20MHz以下に制限すればよい。検出器出力パルスのパルス幅が80nsecである場合には、通常、この出力パルスを増幅するには約10MHz程度までの周波数帯域のある増幅器が用いられるので、特に特別なフィルタを追加しなくとも、上記の条件を満足できることが分かった。
【0070】
パルス計数手段7は、上記1)〜5)の少なくとも1つの波形選別アルゴリズムに基づく波形処理によりパルス数を計数し、これをパルス計測評価手段8に出力する。
【0071】
パルス計測評価手段8は、パルス計数手段7からの計数データを原子炉出力値に変換すると共に、必要に応じて原子炉出力に関する情報を監視するデータとしてパルス計数手段7による演算値out(k)の大きさと比較すべき設定値を順次操作させて設定値に対する計数頻度を計数することにより、演算値out(k)の発生頻度分布、すなわち波高分布を監視する。この場合の波高分布は、正確には出力パルスの波高を示すものではないが、それに準ずるものとして、SRNM検出器1の出力パルスが正常であるか否かの判定等に使用できる。
【0072】
キャンベル計測系5は、図1に示すようにA/D変換器3からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせてその和値を求め、これを一定間隔で出力する和演算手段9と、和演算手段9の出力から一定の周波数帯域の2乗平均値、すなわちパワーを演算するパワー演算手段10と、パワー演算手段10の演算結果を原子炉出力に変換して評価するキャンベル計測評価手段11とで構成されている。
【0073】
このキャンベル計測系5の前段で要求されるA/D変換性能としては、前述したように測定範囲を広くするために上述のパルス計測系4の場合の低ビット数のA/D変換器(現状の市販品では約8〜12ビット程度)よりもビット数が多いものが望まれている。これに対して、本発明者は、上記のパルス計測用の低ビット精度のA/D変換器3からの第1のディジタルデータをそのまま利用して、キャンベル計測でも精度の高いデータを生成する方法、すなわち上記の和演算手段9を用いることを着想した。
【0074】
この和演算手段9によれば、例えば8ビットのデータを2つ足しあわせたものは9ビットの精度を有するように和数の条件を変化(調整)させることで測定精度が向上でき、このような特性を生かすことにより、パルス計測系4とキャンベル計測系5とで共通のA/D変換器3を使用可能となった。
【0075】
また、従来例のアナログ式の場合(図4参照)では、RMS計の前段に複数のキャンベル計測用ゲイン増幅器が必要であったが、これも上述の和演算手段9による和数の調整で処理できるので、不要となる。なぜなら、ソフト的に和数の異なる3つの値を予め設定しておけば、アナログ式の場合と同様のキャンベル計測の演算が可能になるためである。なお、アナログ増幅器2は、そのノイズレベルより信号成分が大きくなるように低ノイズ特性のものを使用することが好ましい。
【0076】
和演算手段9は、A/D変換器3からの第1のディジタルデータS1を成す複数個のサンプリング値に対して、少なくとも2つの選定・演算条件(和演算条件)、すなわち25nsec(40MHz)の間隔でサンプリングされた過去のデータを和数分だけ遡って足し合わせる条件と、一定区間内のサンプリングデータに対して間引きを行い和数を変えて足しあわせる条件との少なくとも1つで和演算を行うことにより、第1のディジタルデータS1よりもビット数の大きい精度の第2のディジタルデータS2を取得し、これを一定の出力周期でパワー演算手段10に出力する。ここで、上述の2つの選定・演算条件では、前者はアルゴリズムが容易であり、後者はキャンベル計測での時間応答性が和数の値により影響を受けないといった特徴がある。
【0077】
この和演算手段9の出力周期は、キャンベル計測でのパワー(2乗平均値)演算対象の帯域で決まるが、通常は1MHz程度で十分である。これは、パワー演算が、通常、数十Hzの低周波または数百Hzの高周波の帯域、例えば現在の原子炉起動監視モニタでは100kHz〜400kHzの高周波帯域で行われるため、その帯域通過用のバンドパスフィルタとして最大周波数(この例では400kHz)の約2倍の周期(この例では約1MHz周期)のサンプリングが必要となるためである。
【0078】
パワー演算手段10は、和演算手段9からの第2のディジタルデータS2に対して帯域制限すなわちバンドパスフィルタ処理を行って2乗平均し、予め設定された周波数帯域内のパワーを演算する。ここで、サンプリング周期は上述のように和演算手段6にて低減されているため、エリアジング用のアナログフィルタは、前述のアナログ増幅器2による10MHz以下の帯域制限用のみで十分である。通常の1MHz周期でのサンプリングでは、アンチ・エリアジング・フィルタを用いて500kHz以下の周波数帯域に制限するが、すでに前段の和演算手段9が代わりをしているので、ここでは必要がない。
【0079】
図3は、入力信号の応答性をアナログフィルタとディジタルフィルタとで対比説明するものである。図3(a)に示す入力信号では、アナログフィルタの場合、図3(b)に示すように真の値に落ち着くまで時間がかかるが、ディジタルフィルタの場合(フィードバック・ループのない構成)、図3(c)に示すように有限時間内で必ず真の値を示すといった違いがある。従って、和演算手段9でフィードバックのないディジタルフィルタを使用すれば、従来のようにアナログフィルタで構成した場合に比べて応答性を向上できる。
【0080】
パワー演算手段10は、2乗演算を行った後に積分処理を行うが、その積分処理の帯域はキャンベル計測での時間応答性によって約50Hz以下に程決められている。ここで、演算時間を最短にする方法を検討した結果、要求される周波数の2倍の周期、すなわち100Hzの周期で帯域制限および2乗演算を行えば十分であることを確認された。これにより、キャンベル計測系55(パワー演算手段及びキャンベル計測評価手段11)での演算量を低減でき、高速な演算素子を用いることでリアルタイム処理を実現できる。
【0081】
従って、この実施の形態によれば、キャンベル計測系5に和演算手段9を設けたことにより、パルス計測及びキャンベル計測とで共通のA/D変換器3を使用できる。また、和演算手段での和数を変更・調整することにより、従来例のキャンベル計測で使用されている複数の増幅器も削減でき、その結果、従来のディジタル式装置と比べると装置構成を大幅に簡素化できる。
【0082】
また和演算手段9を備えたため、アンチ・エリアジング・アナログフィルタとしては、カットオフ周期の高いもののみで済み、これにより、キャンベル計測での時間応答性をディジタル的な有限時間で真の値に追従できる特性とすることができる。
【0083】
さらにパワー演算手段10及びキャンベル計測評価手段11は、その出力周期に応じてバンドパスディジタルフィルタ処理および2乗平均処理を行えばよいため、演算負荷をより一層低減でき、これにより、リアルタイム処理が可能となる。
【0084】
またパルス計測系4では、パルス波形をディジタル的にサンプリングし、そのサンプリング値から検出器のパルスを選別するより簡単なアルゴリズムを開発したため、ディジタル的にパルスを選別し、パルス幅の異なるものを数えず、誤計数の少ないパルス計測が実現できる。
【0085】
これらにより、簡単な装置構成で、しかも、ディジタルフィルタの特徴を十分生かせ、また、波形選別およびキャンベル計測のディジタル演算をリアルタイムで行える簡単なアルゴリズムを搭載した原子炉起動監視装置を提供することができる。
【0086】
なお、上記のディジタルフィルタの特性を生かしてソフトウエア上の設計の幅が広がる利点を生かした応用例として、複数の周波数帯域での2乗平均値を演算してその中から正常なものを選別する手段を設けてもよい。
【0087】
例えば、キャンベル計測用の周波数帯域を予め複数に分割し、その各帯域内でのぞれぞれの信号量を他の帯域と比較することにより検出器出力パルス以外の外来ノイズ等により他の帯域よりも信号量が多い等の情報(判定条件)を用いて特定の帯域は異常であると判断し、この判断結果または周波数毎の信号量に基づいて複数の周波数帯域からキャンベル計測用の適切な帯域を選定し、その信号を正常なデータとして選別するキャンベル信号弁別装置を追加してもよい。この場合、ノイズの影響を殆ど受けない計測が可能となり、より信頼性のある計測装置を提供できる。
【0088】
また、キャンベル計測へのノイズの影響を低減する方法として、周波数帯域に変換する前の時系列データ上でノイズ成分を省くことが有効である。
【0089】
図4にインバータから誘導するノイズの時系列データ例を示す。つまり、数msec間隔にサージ状のノイズが誘導することが多い。このノイズを周波数帯域を区別して除去する場合、このサージパルス自体に広い周波数成分を含んでいるため、すべての帯域でノイズの影響があり除去できない。しかし、時系列データからは、明らかにサージ成分を識別可能である。
【0090】
よって、時系列データを示す第1のディジタルデータまたは第2のディジタルデータで、このサージノイズ成分を波形から自動的に周波数およびタイミングを判定し除くことは有効である。また、判別方法として、検出器データをサンプリングした段階で、ある一定値以上または以下のものはノイズデータとしてディジタル値にその情報を付加し、その後の演算で省くことも可能である。前記のインバータノイズの周期は数msec間隔であり、この間隔でサージパルスの幅分(数μsec)分のサンプリングデータを用いたデータをノイズデータとしてディジタルデータに記録しておく。また、測定された信号データではなく、他のアース線等をモニタし、そこに誘導するノイズの周期およびタイミングから、ディジタルデータ上のノイズデータの周期/タイミングを求める方法も有効である。
【0091】
このように時系列データから、ある周期のデータを除いても、その周期以上の周波数帯域での信号の値は、除いたデータの割合によって決まる調整係数で補正することで、除かないデータと同じ結果となり、問題ないことを確認している。特に、前記のインバータノイズの場合、周期は数msec間隔であるが、キャンベル計測に用いるデータは数百Hz帯域の帯域であるため、本手法によりノイズの影響のない、キャンベル計測値を得ることが可能であり、よりノイズの影響を受けない計測装置を実現できる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、和演算手段を備えた構成により、サンプリングデータの精度を向上させ、サンプリング周期を低減できるため、従来例よりもA/D変換器および増幅器等の個数を削減でき、ハードウエア構成をより簡素に構築できる。また、同様の構成により、アンチ・エリアジング用のアナログ・フィルタの周波数をパルス計測用と共通に設定することも可能であるため、これにより、キャンベル計測でのフィルタ処理でディジタル的な応答性および周波数帯域の選別が可能となり、耐ノイズ性の向上と応答性の改善とを図ることができる。
【0093】
その他の利点を以下に列挙する。
【0094】
請求項2記載の発明では、和演算手段での精度向上効果をハードウエア上でより最小のビット数を実現でき、ハードウエア構成を簡略化できる。
【0095】
請求項3記載の発明では、キャンベル計測の演算アルゴリズムを簡略化でき、キャンベル計測でのバンドパス・ディジタルフィルタ及び2乗演算等をリアルタイムに処理可能となる。
【0096】
請求項4〜6記載の発明では、和演算数をかえることにより測定精度を向上させるもので、請求項4および5記載の発明では最も処理の簡単なアルゴリズムを、また請求項6記載の発明では時間応答が等しくなるアルゴリズムを提供できる。これらのアルゴリズムにより、より簡単に測定精度の向上させることが可能となり、キャンベル計測用の複数の増幅器を削減できる。
【0097】
請求項7記載の発明では、キャンベル信号弁別手段により外来ノイズを削除でき、機器の信頼性をより一層の向上させることができる。
【0098】
請求項8〜12記載の発明では、より最小のサンプリング数で出力パルスのみのを計数可能となり、リアルタイムにソフト的にパルスを計測でき、外来ノイズ等による誤動作のない計測可能となる。
【0099】
請求項13〜15の発明では、時系列データからノイズの周期/タイミングを求め、ディジタルデータに付加することで、この付加されたデータをキャンベル計測の演算に用いないことにより、外来ノイズによる誤動作のない計測が可能となる。
【0100】
請求項16は、従来のアナルグ式計数手段も併設することで、本手法のディジタルパルス計数手段との計数結果の比較により、より正確なパルス計測が可能となる。
【0101】
従って、この発明によれば、ディジタルフィルタの特長を十分生かせ、また波形選別およびキャンベル計測のディジタル演算をリアルタイムで行える簡単なアルゴリズムを搭載し、簡単なハードウエア構成で、耐ノイズ性および信頼性の高い原子炉起動監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る原子炉起動監視装置の実施の形態を説明する概略機能ブロック図。
【図2】SRNM検出器出力パルスとサンプリングの関係を説明するグラフ。
【図3】(a)〜(c)は、ディジタルフィルタとアナログフィルタの応答性を対比説明するグラフ。
【図4】典型的なインバータからのノイズ形状例を示す概略波形図。
【図5】従来例のアナログ式原子炉起動監視装置を示す概略機能ブロック図。
【図6】従来例のディジタル式原子炉起動監視装置を概略機能ブロック図。
【符号の説明】
1 SRNM検出器(放射線センサ)
2 アナログ増幅器(アナログフィルタ手段)
3 A/D変換器(ディジタル変換手段)
4 パルス計測系
5 キャンベル計測系
6 原子炉出力評価手段
7 パルス計数手段
8 パルス計測評価手段
9 和演算手段
10 パワー演算手段
11 キャンベル計測評価手段

Claims (17)

  1. 原子炉の少なくとも起動時の原子炉出力を監視するデータとして、放射線に関するデータをその放射線量に応じたパルス成分を有する電気信号に変換して検出する放射線センサと、
    この放射線センサにより検出された電気信号のうちの一定周波数帯域内の周波数成分を有する電気信号をフィルタリングするアナログフィルタ手段と、
    このアナログフィルタ手段によりフィルタリングされた前記周波数成分を有する電気信号を前記パルス成分のパルス幅よりも短いサンプリング間隔で一定のビット数の精度をもつ第1のディジタルデータに変換するディジタル変換手段と、このディジタル変換手段からの第1のディジタルデータに基づいて一定周波数帯域での前記パルス成分のパルス数を計数して前記原子炉出力に関するデータを計測するパルス計測手段と、
    前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値よりもビット数の大きい精度をもつ第2のディジタルデータを取得するように予め設定された和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせる和演算手段と、
    この和演算手段で取得される前記第2のディジタルデータに基づいて一定の周波数帯域での前記パルス成分の重なりで生じるゆらぎ成分のパワーに相当する2乗平均値を計算して前記原子炉出力に関するデータを計測するキャンベル計測手段と、
    前記パルス計測手段および前記キャンベル計測手段からの計測データに基づいて前記原子炉出力に関する情報を連続的に監視する原子炉出力監視手段とを備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  2. 請求項1記載の発明において、
    前記和演算手段は、前記第2のディジタルデータを前記第1のディジタルデータよりもビット数の大きい出力精度で前記キャンベル計測手段に出力する手段を備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  3. 請求項1または2記載の発明において、
    前記和演算手段は、前記第2のディジタルデータを前記ディジタル変換手段におけるサンプリング間隔よりも時間の長い出力間隔で前記キャンベル計測手段に出力する手段を備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項記載の発明において、
    前記和演算手段は、前記和演算条件として和数を変更できるように設定された和数の異なる複数の和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせる手段であることを特徴とする原子炉起動監視装置。
  5. 請求項1から3までのいずれか1項記載の発明において、
    前記和演算手段は、前記和演算条件として異なる和数の和演算によって得られるそれぞれの出力を選択できるようにした和数の異なる複数の和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせる手段であることを特徴とする原子炉起動監視装置。
  6. 請求項1から3までのいずれか1項記載の発明において、
    前記和演算手段は、前記和演算条件として和数を変更できるように設定するか、あるいは異なる和数の和演算によって得られるそれぞれの出力を選択できるように設定して一定時間内での和数の異なる複数の和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせる手段であることを特徴とする原子炉起動監視装置。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項記載の発明において、
    前記キャンベル計測手段は、前記和演算手段からの前記第2のディジタルデータに基づいて複数の周波数帯域での前記2乗平均値を評価するキャンベル出力評価手段と、このキャンベル出力評価手段による複数の周波数帯域での2乗平均値から正常値を選別し、この正常値を前記原子炉出力に関する情報として前記原子炉出力監視手段に供給するキャンベル信号弁別手段とを備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、
    前記ディジタル変換手段は、前記アナログフィルタ手段からの前記周波数成分を有する電気信号を、前記パルス成分のパルス幅の1/n(nは正数)に相当するサンプリング間隔で第1のディジタルデータに変換する手段であり、
    前記パルス計測手段は、前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値のうちのk番目のサンプリング値をS(k)とし、このサンプリング値S(k)よりも過去の前記nで決まる個数のサンプリング値を順次S(k−1)、S(k−2)、…、S(k−n+1)とし、これらのサンプリング値S(k)、S(k−1)、S(k−2)、…、S(k−n+1)のそれぞれに個別に割り当てられる定数を順次C(0)、C(1)、C(2)、…、C(k−n+1)とし、演算値をOut(k)としたとき、この演算値Out(k)を、
    【数1】
    Out(k)=C(0)×S(k)+C(1)×S(k−1)+
    C(2)×S(k−2)+…+
    C(k−n+1)×S(k−n+1)
    の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、この演算値Out(k)に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  9. 請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、
    前記ディジタル変換手段は、前記アナログフィルタ手段からの前記周波数成分を有する電気信号を、前記パルス成分のパルス幅の1/4以上1/3以下のサンプリング間隔で第1のディジタルデータに変換する手段であり、
    前記パルス計測手段は、前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値のうちのk番目のサンプリング値をS(k)とし、このサンプリング値S(k)よりも過去の3個のサンプリング値を順次S(k−1)、S(k−2)、S(k−3)とし、これらの4個のサンプリング値S(k)、S(k−1)、S(k−2)、S(k−3)のそれぞれに個別の割り当てられる4個の定数を順次a、b、c、dとし、演算値をOut(k)としたとき、この演算値Out(k)を、
    【数2】
    Out(k)=−a×S(k−3)+b×S(k−2)
    +c×S(k−1)+d×S(k)
    の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、この演算値Out(k)に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  10. 請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、
    前記ディジタル変換手段は、前記アナログフィルタ手段からの前記周波数成分の電気信号を、前記パルス成分のパルス幅の1/3以上1/2以下のサンプリング間隔で第1のディジタルデータに変換する手段であり、
    前記パルス計測手段は、前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値のk番目のサンプリング値をS(k)とし、このサンプリング値S(k)よりも過去の2個のサンプリング値を順次S(k−1)、S(k−2)とし、これらの3個のサンプリング値S(k)、S(k−1)、S(k−2)のそれぞれに割り当てられる定数を順次a、b、cとし、演算値をOut(k)としたとき、この演算値Out(k)を、
    【数3】
    Out(k)=−a×S(k−2)+2×b×S(k−1)
    +c×S(k)
    の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、この演算値Out(k)に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  11. 請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、
    前記ディジタル変換手段は、前記アナログフィルタ手段からの前記周波数成分の電気信号を、前記パルス成分のパルス幅の1/n(nは正数)のサンプリング間隔で第1のディジタルデータに変換する手段であり、
    前記パルス計測手段は、前記ディジタル変換手段からの第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値のうちのk番目のサンプリング値をS(k)とし、このサンプリング値S(k)よりも過去の前記nの値で決まる個数のサンプリング値を順次S(k−1)、S(k−2)、…、S(k−n+1)とし、これらのサンプリング値S(k)、S(k−1)、S(k−2)、…、S(k−n+1)のそれぞれに割り当てられる第1の定数を順次C(0)、C(1)、C(2)、…、C(k−n+1)とし、同様に第2の定数を順次D(0)、D(1)、D(2)、D(3)、…、D(k−n+1)とし、第1及び第2の演算値をOut1(k)及びOut2(k)としたとき、この第1及び第2の演算値Out1(k)及びOut2(k)を、
    【数4】
    Out1(k)=C(0)×S(k)+C(1)×S(k−1)+
    C(2)×S(k−2)+…+
    C(k−n+1)×S(k−n+1)
    Out2(k)=D(0)×S(k)+D(1)×S(k−1)+
    D(2)×S(k−2)+…+
    D(k−n+1)×S(k−n+1)
    の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、この演算値Out1(k)及びOut2(k)に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  12. 請求項11記載の発明において、前記パルス計測手段は、前記第1及び第2の演算値に加えて第3以降の複数の演算値を前記定数を代えて前記第1及び第2の演算値の場合と同様の式に基づいて前記サンプリング間隔毎に求め、これらの複数の演算値に基づいて前記パルス成分を選別してそのパルス数を計数する手段を備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  13. 請求項1から7までのいずれか1項記載の発明において、前記キャンベル計測手段は、前記和演算手段からの前記第2のディジタルデータからある一定時間間隔のデータを除く周期データ除去手段と、この周期データ除去手段により除かれなかった残りのデータから前記データを除去する周期よりも高い周波数帯域の前記2乗平均値を演算し、この2乗平均値を前記周期データ除去手段により除かれたデータの割合に応じて補正し出力するキャンベル評価手段とを備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  14. 請求項13記載の発明において、前記周期データ除去手段は、前記ディジタル変換手段における一定値以上または以下のデータを識別し、そのデータをノイズデータとして判別し、そのデータのノイズ情報を付加するノイズデータ付加手段と、前記第2のディジタルデータに前記ノイズ情報が含まれる場合、このデータを除去し、この除かれたデータの割合に応じて前記2乗平均値を補正し出力するキャンベル評価手段とを備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  15. 請求項13記載の発明において、前記周期データ除去手段は、ノイズの有無およびその周期を評価するノイズモニタ手段と、このノイズモニタ手段により評価されたノイズ周期およびノイズ認識タイミングに応じた前記第2のディジタルデータに前記ノイズ情報が含まれる場合、このデータを除去し、この除かれたデータの割合に応じて前記2乗平均値を補正し出力するキャンベル評価手段とを備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  16. 請求項1記載の発明において、前記パルス計測手段は、波高値がある一定値以上または以下となった場合、ノイズ波形と判定した信号を出力するアナログ式パルス比較手段と、前記ディジタルデータに基づいてパルス数を計数するディジタル式パルス判別手段と、この両手段による判定結果からノイズ計数分を除いた検出器出力のパルスのみ計数する手段とを備えたことを特徴とする原子炉起動監視装置。
  17. 原子炉の少なくとも起動時の原子炉出力を監視するデータとして、放射線に関するデータをその放射線量に応じたパルス成分を有する電気信号に変換して検出し、
    この検出された電気信号のうちの一定周波数帯域内の周波数成分を有する電気信号をフィルタリングし、
    このフィルタリングされた前記周波数成分を有する電気信号を前記パルス成分のパルス幅よりも短いサンプリング間隔で一定のビット数の精度をもつ第1のディジタルデータに変換し、
    この変換された第1のディジタルデータに基づいて一定周波数帯域での前記パルス成分のパルス数を計数し、
    前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値よりもビット数の大きい精度をもつ第2のディジタルデータを取得するように予め設定された和演算条件で前記第1のディジタルデータを成す複数個のサンプリング値を足し合わせ、
    これで取得される前記第2のディジタルデータに基づいて一定の周波数帯域での前記パルス成分の重なりで生じるゆらぎ成分のパワーに相当する2乗平均値を計算し、
    前記パルス計数値および前記2乗平均値に基づいて前記原子炉出力に関する情報を連続的に監視する、ことを特徴とする炉内出力監視方法。
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