JP4299927B2 - 中性子束計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型(BWR、ABWR)原子力プラントにおける原子炉圧力容器内の中性子束計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中性子束計測装置は、原子炉出力が中性子束に比例するため中性子束を測定して原子炉の出力を表示する事、燃料の燃焼度を評価する事、及び出力の変動に対する応答が速いので、過大出力時の原子炉保護の検知要素として使われている。
【0003】
この中性子束計測装置は、中性子検出器とその信号を増幅および表示などをする計測装置から構成されるが、その計測範囲は非常に大きく、定格出力からその10−10くらいの範囲にわたって精度良く計測する必要があるため、一種類の計測装置で全範囲を計測する事は難しい。このため、出力が低い領域を計測するために起動領域モニタ(SRNM:Start−up Range Neutron Monitor)検出器が使用され、出力が高い領域を計測するために局部出力領域モニタ(LPRM:Local Power Range Monitor)検出器が使用されている。なお、局部出力領域モニタ検出器は、4個が1組となり原子炉圧力容器内の軸方向に縦に配置され、局部出力領域モニタ検出器集合体を構成している。
【0004】
従来において、起動領域モニタ検出器は、通常8体又は10体設置され、局部出力領域モニタ検出器集合体はABWRの場合、52体(検出器は208体)設置されていた。そして、起動領域モニタ検出器及び局部出力領域モニタ検出器集合体は、原子炉圧力容器内に別個配置していた。
【0005】
以下においては、起動領域モニタ検出器を10体及び局部出力領域モニタ検出器集合体を52体(検出器は208体)設置した場合について説明する。
【0006】
図12は、従来の改良型沸騰水型原子炉(ABWR)における起動領域モニタ検出器及び局部出力領域モニタ検出器集合体の炉心配置を示す図である。
【0007】
図12に示すように、炉心1には10体の起動領域モニタ検出器(A,B,C,D,E,F,G,H,J,L)が均等に配置されている。そして、この起動領域モニタ検出器1体に対し演算装置が1台配置されるため、起動領域モニタは、10体の起動領域検出器及び10台の演算装置から構成される。
【0008】
また、検出器は過大出力時の原子炉保護の検知要素として使用され、運転中に発生する異常な過渡変化を検知し、原子炉緊急停止(原子炉スクラム)信号を発し原子炉を停止する。この異常な過渡変化を検知するために、各検出器が原子炉保護系分離区分に振り分けられている。この原子炉保護系分離区分では、二重の「1out of2」及び「2out of4」などの特殊な論理構成回路となっており、誤動作による不要な原子炉停止及び不作動による異常な運転を未然に防止している。
【0009】
起動領域モニタ(SRNM)演算装置は、検出器における中性子束レベルの算出及び中性子束の増加度合いをペリオド(炉周期)の形でも計算し、所定のペリオドよりも短い値になると制御棒引抜阻止やスクラムの信号を発信し、安全保護機能を果たしている。
【0010】
図13は、起動領域モニタ検出器を原子炉保護系分離区分に振り分けた図である。
【0011】
図13に示すように、区分Iには起動領域モニタ検出器(A,E,J)が区分され、区分IIには起動領域モニタ検出器(B,F)が区分される。そして、区分IIIには起動領域モニタ検出器(C,G,L)、区分IVには起動領域モニタ検出器(D,H)が区分され、区分Iから区分IVまでの区分に起動領域モニタ検出器が3体または2体毎に振り分けられている。
【0012】
一方、局部出力領域モニタは図12に示すように52体の検出器集合体(検出器208個)及び16台の演算装置から構成され、原子炉保護系分離区分の4つの区分に検出器が各52個及び演算装置が各4台毎に振り分けられている。
【0013】
局部出力領域モニタ(LPRM)演算装置または平均出力領域モニタ(APRM:Average Power Range Monitor)演算装置は原子炉保護系分離区分にしたがって各局部出力モニタ検出器の信号を割り振られ、TIP検出器またはガンマサーモメータの信号を使って、局部出力レベルに規格較正し、さらに、平均出力領域モニタ(APRM)演算装置に送られて、各APRMチャンネルに属する局部出力領域モニタ検出器信号を平均処理してAPRM信号を作る。各APRM演算装置は所定のAPRM信号レベル以上になると制御棒引抜阻止、スクラムなどのトリップ信号を出し、後段のトリップ論理回路にて、前記二重の「1out of2」及び「2out of4」などの特殊な論理構成回路構成にて、スクラム起動を行う。
【0014】
ところで、起動領域モニタ検出器などの検出器とその演算装置は定期的に点検及び保守を行なう必要があるが、これら検出器または演算装置を保守及び調整する際、調整時のデータが異常データとして感知されると、原子炉スクラム信号が発せられ、原子炉が停止してしまう。このため、検出器あるいは演算装置自体の保守及び調整時には検出器あるいは演算装置を通常監視から外す事をバイパスと言うが、起動領域モニタにおいては、このバイパスを行なうために、原子炉保護系分離区分とは異なる検出器のグループ分けが行なわれている。
【0015】
これは、起動領域モニタ検出器の監視可能な領域が炉心半径相当距離とされており、炉心内の配置及びバイパスグループは、一部の起動領域モニタ検出器または演算装置がバイパスされた状態においても、原子炉起動時に炉心内の任意の領域を原子炉緊急停止機能に支障なく監視することを考慮して、原子炉保護系分離区分の異なる2つ以上の検出器が任意の制御棒位置から炉心半径相当の距離以内に存在するよう設定されているためであり、検出器10体では、バイパスグループと原子炉保護系分離区分を一致させることはできない。
【0016】
従来の起動領域モニタの配置で仮に、バイパスグループを原子炉保護系分離区分と一致させたとして、図13において、起動領域モニタ検出器(A,F,L,D)をバイパスすると、図12の炉心平面において、右上の領域は監視可能な検出器がなくなり、上記の条件を満足しなくなる。
【0017】
したがって、原子炉保護系分離区分と異なるバイパスグループの設定が必要となる。
【0018】
図14は、起動領域モニタ検出器のバイパスグループを示す図である。
【0019】
図14(a)に示すように、起動領域モニタ検出器(A,B,F,G)は、バイパスグループの▲1▼に分けられ、起動領域モニタ検出器(C,E,H)はバイパスグループ▲2▼に分けられる。そして、残りの起動領域モニタ検出器(D,J,L)はバイパスグループ▲3▼に分けられている。
【0020】
また、図14(b)に示すように、バイパスグループ▲1▼から▲3▼までの各バイパスグループ中における1つの検出器のみがバイパスされるため、バイパス許容数は最大3個までとなっている。
【0021】
なお、起動領域モニタは、検出器と演算装置とが一対一であることから、検出器バイパスと演算装置バイパスとは同一の運用で行われている。
【0022】
一方、局部出力領域モニタ検出器は多数配置されており、各原子炉保護系区分毎に炉心の平均出力を監視するのに必要な検出器数を有しているので、バイパスグループと原子炉保護系分離区分とを一致させて、平均出力領域モニタ演算に必要な検出器数未満とならない範囲で複数の検出器をバイパスすることができる。また、任意の1つの区分に属する全ての検出器をバイパスしても、他の区分が炉心の平均出力を健全に監視できる状態にあれば、原子炉緊急停止機能に支障はないので、複数の検出器で演算装置を共用し、演算装置のバイパスを許容している。
【0023】
ところで、近年、原子炉出力を増大させるために、原子炉圧力容器が大径となってきている。これに伴い、従来8体から10体であった起動領域モニタ検出器の数を増加させる必要性が生じてきた。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、起動領域モニタ検出器の数を増大させると、起動領域モニタ検出器を設置する際、炉内の案内管及びフランジなどを多く設けなければならず費用がかさみ、また検出器の増加に伴い計装管を配置する炉心内位置が炉心下部の支持構造と干渉するなど設計及び運転時などにおける複雑さがより一層増すという問題があった。
【0025】
また、原子炉起動時に、炉心内における任意の位置の原子炉出力を監視する観点から、原子炉保護系分離区分の任意の1区分における起動領域モニタ検出器をまとめてバイパスする(以下、区分バイパス)ことが許容されていないため、区分毎に複数の検出器の演算装置を共用すると演算装置のバイパスが行えなくなり、運用性に問題が生じる。このため、起動領域モニタでは検出器毎に演算装置が必要であり、検出器数の増加にあわせて演算装置も増加させる必要があった。
【0026】
具体的には、現在の改良型沸騰水型原子炉(ABWR)プラントにおいて、中性子束計測装置には、起動領域モニタ検出器が10体、又局部出力領域モニタ検出器集合体が52体設けられ、各々個別に原子炉圧力容器に設けられている。このため、中性子検出器の設置本数は合計して62体となっており、炉内の案内管及びフランジなどを62体分設ける必要があった。また、起動領域モニタ及び局部出力領域モニタの演算装置は、26台を要することから、検出器の増加に伴い、コスト高となる経済的な問題を有していた。
【0027】
さらに、図13で示した原子炉保護系分離区分と図14で示したバイパスグループにおいて、検出器の振り分けが異なっていた。このため、原子炉運転を行なう作業員にとって検出器の認識及び取扱いが煩雑であり、運用性において問題を有していた。
【0028】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、検出器の共用化及び演算装置の共用化により必要台数の削減を図ることで、監視性を低下させることなく経済性を向上させた中性子束計測装置を提供することを第1の目的とする。
【0029】
また、起動領域モニタにおいて、原子炉保護系分離区分とバイパスグループとを同一構成として、設計及び運転時等における煩雑さを低減させ、運用性の向上を図ることを第2の目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、沸騰水型(BWR)原子力プラントまたは改良型沸騰水型(ABWR)原子力プラントにおいて適用され、原子炉圧力容器内の中性子束を測定する中性子束計測装置において、局部出力領域モニタ検出器と、起動領域モニタ検出器と、前記局部出力領域モニタ検出器の感度を校正する校正手段と、これらを内蔵するカバーチューブとからなる複数の起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体と、前記局部出力領域モニタ検出器と、前記校正手段と、前記カバーチューブとからなる複数の中性子束検出器集合体と、前記起動領域モニタ検出器から得られた検出器信号を増幅する前置増幅器と、増幅された前記起動領域モニタ検出器から得られた信号を演算して指示および監視する起動領域モニタ演算装置と、前記局部出力領域モニタ検出器から得られた信号を演算して指示及び監視する局部出力領域モニタ演算装置と、複数の局部出力領域モニタ検出器から得られた信号を平均演算して指示及び監視する平均出力領域モニタ演算装置とから構成され、前記起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体は、原子炉圧力容器内の環境に耐えうる絶縁層により被覆された起動領域モニタ検出器を有することを特徴とする中性子束計測装置を提供する。
【0031】
本発明によれば、局部出力領域モニタ検出器と、起動領域モニタ検出器と、校正手段とを一つのカバーチューブに内蔵して原子炉圧力容器内に設置することで、起動領域モニタ検出器を単独で原子炉圧力容器内に設置することを不要とするものである。これにより、原子炉圧力容器内に配置する中性子検出器集合体数、中性子検出器据付用のフランジ及び中性子検出器案内管などを削減することができる。また、本発明によれば、起動領域モニタ検出器を炉内環境に耐えうる絶縁層により被覆することで、従来の起動領域モニタ検出器の炉内設置状態と同様に、炉水に接しないように炉内に設置することができ、また、起動領域モニタへのノイズ混入を避けることができる。また、特にこの絶縁層として、アルミナを適用することにより、起動領域モニタ検出器を炉水から隔離することができる。
【0032】
請求項2記載の発明は、沸騰水型(BWR)原子力プラントまたは改良型沸騰水型(ABWR)原子力プラントにおいて適用され、原子炉圧力容器内の中性子束を測定する中性子束計測装置において、局部出力領域モニタ検出器と、起動領域モニタ検出器と、前記局部出力領域モニタ検出器の感度を校正する校正手段と、これらを内蔵するカバーチューブとからなる複数の起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体と、前記局部出力領域モニタ検出器と、前記校正手段と、前記カバーチューブとからなる複数の中性子束検出器集合体と、前記起動領域モニタ検出器から得られた検出器信号を増幅する前置増幅器と、増幅された前記起動領域モニタ検出器から得られた信号を演算して指示および監視する起動領域モニタ演算装置と、前記局部出力領域モニタ検出器から得られた信号を演算して指示及び監視する局部出力領域モニタ演算装置と、複数の局部出力領域モニタ検出器から得られた信号を平均演算して指示及び監視する平均出力領域モニタ演算装置とから構成され、前記起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体は、小径の中空管内に設置された起動領域モニタ検出器を有することを特徴とする中性子束計測装置を提供する。
【0033】
本発明によれば、局部出力領域モニタ検出器と、起動領域モニタ検出器と、校正手段とを一つのカバーチューブに内蔵して原子炉圧力容器内に設置することで、起動領域モニタ検出器を単独で原子炉圧力容器内に設置することを不要とするものである。これにより、原子炉圧力容器内に配置する中性子検出器集合体数、中性子検出器据付用のフランジ及び中性子検出器案内管などを削減することができる。また、本発明によれば、小径の中空内に起動領域モニタ検出器を設置することで、従来の起動領域モニタ検出器の炉内設置状態と同様に、炉水に接しないように炉内に設置することができ、また、起動領域モニタのノイズ混入を避けることができる。また、特にこの中空管として、ステンレススティールを用いることで、起動領域モニタ検出器のみを炉水から隔離することができる。
【0034】
請求項3記載の発明は、起動領域モニタ演算装置と局部出力領域モニタ演算装置とを共用化することを特徴とする請求項1または2記載の中性子束計測装置を提供する。
【0035】
本発明によれば、局部出力領域モニタ演算装置と起動領域モニタ演算装置とを共用化することで演算装置数の削減を可能とするものである。
【0036】
請求項4記載の発明は、平均出力領域モニタ演算装置と、起動領域モニタ演算装置と、局部出力領域モニタ演算装置とを共用化することを特徴とする請求項2記載の中性子束計測装置を提供する。
【0037】
本発明によれば、一つの演算装置により原子炉の起動から出力運転までの原子炉出力レベルを連続して監視することが可能となり、監視性が向上する。
【0038】
請求項5記載の発明は、起動領域モニタ検出器のバイパスグループを原子炉保護系分離区分と同じ検出器チャンネル構成としたことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の中性子束計測装置を提供する。
【0039】
本発明によれば、起動領域モニタ検出器の原子炉圧力容器内配置本数を増やしてバイパス許容数を4とし、バイパスグループを4グループとするが、起動領域モニタ検出器を内蔵させた中性子束検出器集合体を適用して原子炉圧力容器内に設置するため炉内に配置する中性子検出器集合体数は増加しない。また、起動領域モニタのバイパスグループを原子炉保護系分離区分と同一とすることで、運転員がバイパス操作時の混乱を避けるができ、煩雑さを低減できる。
【0044】
請求項6記載の発明は、同一の原子炉保護系分離区分に属する複数の起動領域モニタ検出器の信号を演算して指示及び監視する複数信号処理型起動領域モニタ演算装置を前記原子炉保護系分離区分毎に備えたことを特徴とする請求項1、2または5記載の中性子束計測装置を提供する。
【0045】
本発明によれば、複数の演算を同一区分毎にまとめて行うことで、演算装置数を増加させることなく検出器数の増加を可能とし、また、原子炉保護系分離区分毎に検出器や演算装置の運用を行うことができ、操作や保守が容易となる。
【0046】
請求項7記載の発明は、前記複数信号処理型起動領域モニタ演算装置と、前記局部出力領域モニタ演算装置または前記平均出力領域モニタ演算装置の一種以上とを各原子炉保護系分離区分ごとに共用化したことを特徴とする請求項6に記載の中性子束計測装置を提供する。
【0047】
本発明によれば、演算装置数の削減を可能とし、一つの演算装置により原子炉の起動から出力運転までの原子炉出力レベルを連続して監視することが可能となる。これにより、監視性が向上するだけでなく、複数の演算を同一区分毎にまとめて行っているため、演算装置数を増加させることなく検出器数を増やすことができ、また、区分毎に検出器や演算装置の運用を行うことができることから、操作や保守が容易となる。
【0048】
請求項8記載の発明は、原子炉保護系分離区分のいずれか1区分に属する複数信号処理型起動領域モニタ演算機能をバイパスするバイパス手段を設けたことを特徴とする請求項6または7記載の中性子束計測装置を提供する。
【0049】
本発明によれば、起動領域モニタ検出器の原子炉圧力領域内配置本数を増やすことで、起動領域モニタの原子炉保護系としての機能を損なうことなく、1区分の全数の起動領域モニタ機能をバイパスし、保守および試験が可能となる。
【0050】
請求項9記載の発明は、原子炉保護系分離区分のいずれか1区分に属する平均出力領域モニタ演算機能をバイパスするバイパス手段を設けたことを特徴とする請求項8記載の中性子束計測装置を提供する。
【0051】
本発明によれば、平均出力領域モニタの原子炉保護系としての機能を損なうことなく、1区分の全数の平均出力領域モニタ機能をバイパスし、保守および試験が可能となる。
【0052】
請求項10記載の発明は、原子炉保護系分離区分のいずれか1区分に属する共用化モニタ演算装置をバイパスするバイパス手段を備えて、平均出力領域モニタ演算機能と複数信号処理型起動領域モニタ演算機能とを同時にバイパスすることを特徴とする請求項6から9までのいずれかに記載の中性子束計測装置を提供する。
【0053】
本発明によれば、原子炉運転中に中性子束計測装置の原子炉保護系としての機能を損なうことなく、1区分の演算装置の取り外しを行うことで、保守および試験が可能となる。
【0054】
請求項11記載の発明は、起動領域モニタ検出器信号を演算した結果得られる起動領域モニタ出力を前記平均出力領域モニタ演算装置の平均演算結果である平均出力領域モニタ出力で補正する自動補正手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の中性子束計測装置を提供する。
【0055】
本発明によれば、自動補正手段を備えることで、従来における、運転員または保守員による起動領域モニタ出力補正のための調整作業が不要となり、操作性および保守性が大幅に向上するものである。
【0056】
請求項12記載の発明は、原子炉モードスイッチの状態を入力して監視する原子炉モード監視手段と、原子炉モードの起動から運転への切替時または運転から起動への切替時に、起動領域モニタ出力を補正して、前記起動領域モニタ出力と平均出力領域モニタ出力とを一致させる自動補正手段とを備えたことを特徴とする請求項11記載の中性子束計測装置を提供する。
【0057】
本発明によれば、運転員による原子炉モードの切替え操作前後においても、原子炉出力を連続した値として監視することができ、監視性が向上する。
【0058】
請求項13記載の発明は、平均出力が下限警報値に達する際の判定を行う警報判定手段と、この警報判定手段の信号により起動領域モニタ出力を補正して、前記起動領域モニタ出力と平均出力領域モニタ出力とを一致させる自動補正手段とを備えたことを特徴とする請求項11記載の中性子束計測装置を提供する。
【0059】
本発明によれば、原子炉出力上昇時に警報判定手段により、起動領域モニタ出力の指示のバラツキを原子炉モードの切替え操作の事前に自動補正手段により補正することで、原子炉モードの切替え操作を可能とする出力範囲が広がり、操作性が向上する。
【0060】
請求項14記載の発明は、平均出力が原子炉モード運転以外での上限警報値に達する際の判定を行う警報判定手段と、この警報判定手段の信号により起動領域モニタ出力を補正して、前記起動領域モニタ出力と平均出力領域モニタ出力とを一致させる自動補正手段とを備えたことを特徴とする請求項11記載の中性子束計測装置を提供する。
【0061】
本発明によれば、原子炉出力下降時に起動領域モニタ指示のバラツキを原子炉モードの切替え操作の前に事前に補正することで、原子炉モードの切替え操作を可能とする出力範囲が広がり、操作性が向上する。
【0062】
請求項15記載の発明は、起動領域モニタ検出器に最も近接して配置される局部出力領域モニタ検出器の信号を、前記起動領域モニタ検出器の信号が入力される平均出力領域モニタ演算装置に入力し、起動領域モニタ出力を前記局部出力領域モニタ検出器信号の演算結果から得られる局部出力領域モニタ出力で補正する自動補正手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の中性子束計測装置を提供する。
【0063】
本発明によれば、起動領域モニタ出力による局部出力の監視の信頼性が向上する。
【0064】
請求項16記載の発明は、校正手段に接続された原子炉炉心性能監視装置に内蔵される3次元BWRシミュレーション機能により、原子炉運転パラメータを取り込んで炉内出力分布計算を行ない、この出力分布計算結果から起動領域モニタ検出器読値を求め起動領域モニタ演算装置に送出し、起動領域モニタ出力を補正して、前記起動領域モニタ出力と前記計算読値とを一致させる自動補正手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の中性子束計測装置を提供する。
【0065】
本発明によれば、核分裂検出器の炉内照射による感度変化をも含めて補正した起動領域モニタ出力の補正を行える。
【0066】
請求項17記載の発明は、起動領域モニタ検出器を内蔵する中性子束検出器集合体を原子炉炉心の中心付近に原子炉保護系分離区分と同数配置し、それを取り囲む周辺部に原子炉保護系分離区分の2倍以上の数の前記中性子束検出器集合体を配置し、中心付近の1体に内蔵される起動領域モニタ検出器と周辺部の2体以上に内蔵される起動領域モニタ検出器とを一組とする原子炉保護系分離区分と同数の起動領域モニタ検出器バイパスグループを設け、このバイパスグループと同じグループで原子炉保護系分離区分に起動領域モニタ検出器を振り分けることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の中性子束計測装置を提供する。
【0067】
本発明によれば、中心付近に原子炉分離区分の異なる検出器を配置することで、区分バイパス時においても、中心付近に監視可能な異区分の検出器が配置されているため、原子炉緊急停止機能に支障なく、炉心全体の監視が可能となる。また、中心付近の全ての検出器が検出器バイパス時においても、周辺部に各検出器バイパスグループ毎に2体以上の検出器を、中心付近の検出器の監視領域を補う配置とすることで、炉心全体の監視が可能となり、運用性が向上する。
【0068】
請求項18記載の発明は、同一の原子炉保護系区分に属する起動領域モニタ検出器からの信号のうち任意の一つについて、演算、指示及び監視する機能をバイパスするバイパス手段を各原子炉保護系区分毎に設けることを特徴とする請求項17記載の中性子束計測装置を提供する。
【0069】
本発明によれば、原子炉保護系区分毎に最大1個の起動領域モニタ検出器のバイパス運用が認められ、起動領域モニタの各保護系区分毎の検出器バイパス管理、監視、運用などを運転員およびメンテナンス技術者が容易に行える。
【0070】
請求項19記載の発明は、原子炉モードスイッチの状態を入力し監視する原子炉モード監視手段と、原子炉モードが起動状態では、中性子束計測装置の共用化演算装置内で起動領域のモニタ演算機能の計算頻度を高くかつ出力領域のモニタ演算機能の計算頻度を低く、逆に、原子炉モードが運転状態では、起動領域のモニタ演算機能の計算頻度を低くかつ出力領域のモニタ演算機能の計算頻度を高くする計算頻度切替手段とを備えたことを特徴とする請求項3または4記載の中性子束計測装置を提供する。
【0071】
「起動」モードでは原子炉保護系の機能として起動領域モニタによるスクラム機能が一番重要であり、また、「運転」モードでは原子炉保護系の機能として平均出力領域モニタによるスクラム機能が一番重要であり、それらの応答性が重要となる。本発明によれば、計算頻度切替手段を備えることで、中性子束計測装置の演算装置を起動領域モニタと出力領域系モニタとで兼用した場合においても、上述した機能を損なうことのない中性子束計測装置を得られる。
【0072】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る中性子束計測装置の実施形態について、図1〜図13を用いて説明する。
【0073】
第1実施形態(図1〜図4)
本実施形態においては、検出器の共用化および演算装置の共用化により、必要台数の削減を図った中性子束計測装置について説明する。
【0074】
図1は、局部出力領域モニタ検出器と起動領域モニタ検出器とを内蔵した中性子束計測装置のシステム構成を示す図である。
【0075】
図1に示すように、中性子束計測装置10は、中性子束を測定する検出部11と、この検出部11から得られた信号を演算処理する演算処理部12とから構成される。
【0076】
検出部11は中性子束検出器集合体13からなり、この中性子束検出器集合体13には、出力が低い領域を計測する起動領域モニタ14が1台設置され、この起動領域モニタ検出器14と平行して出力が高い領域を計測する局部出力領域モニタ検出器15が炉心軸方向に4台縦方向に配置され、局部出力領域モニタ検出器集合体15aを構成している。そして、起動領域モニタ検出器14および局部出力領域モニタ検出器集合体15aは、炉水を導く複数の孔を有するカバーチューブ16内に内蔵され中性子束検出器集合体13を構成する。
【0077】
演算処理部12は、起動領域モニタ検出器14からの検出器信号を演算処理する部分と局部出力領域モニタ検出器集合体15aからの検出器信号を演算処理する部分との2種から構成される。
【0078】
起動領域モニタ検出器14には、起動領域モニタ検出器コネクタ17を介して起動領域モニタ検出器ケーブル18が接続されている。そして、この起動領域モニタ検出器ケーブル18には、起動領域モニタ検出器14から得られた出力信号を増幅する前置増幅器19が接続され、さらに、この前置増幅器19の後段に、増幅された起動領域モニタ検出器14の信号を演算して指示および監視する起動領域モニタ演算装置20が設置され、中性子束および炉心出力などの演算が行われる。
【0079】
一方、4台の各局部出力領域モニタ検出器15には、それぞれ局部出力領域モニタ検出器コネクタ21を介して、局部出力領域モニタ検出器ケーブル22が各々接続されている。そして、この局部出力領域モニタ検出器ケーブル22を介して局部出力領域モニタ検出器15から得られた出力信号を演算して指示および監視する局部出力領域モニタ演算装置23が設置され、送られた信号がこの局部出力領域モニタ演算装置23で炉心出力に演算される。
【0080】
図2は、起動領域モニタ演算装置と局部出力領域モニタ演算装置とを共有化した中性子束計測装置のシステム構成を示す図である。
【0081】
図2に示す中性子束計測装置のシステム構成は、図1に示す中性子束計測装置10のシステム構成とほぼ同様である。中性子束計測装置10の検出部11は図1に示す検出部11と全く同一である。図1と異なる点は、演算処理部12において、図1に示す起動領域モニタ演算装置20と局部出力領域モニタ演算装置23とを統合して、1台の起動領域および局部出力領域モニタ演算装置24とし、起動領域モニタ演算と出力領域モニタ演算との両方の能力を併せ持たせたことにある。
【0082】
図2に示すように、起動領域モニタ検出器14からの出力信号は、起動領域モニタ検出器コネクタ17により接続された起動領域モニタ検出器ケーブル18を介して前置増幅器19へと送られる。前置増幅器19にて増幅された検出器信号は、起動領域および局部出力領域モニタ演算装置24へと送られ、中性子束および炉心出力などの演算が行われる。
【0083】
一方、局部出力領域モニタ検出器15からの出力信号は、局部出力領域モニタ検出器コネクタ21により接続された局部出力領域モニタケーブル22を介して、起動領域モニタ検出器14からの出力信号と同様に、起動領域および局部出力領域モニタ演算装置24へと送られる。送られた信号は、この演算装置24内で炉心出力に演算される。
【0084】
図3は、中性子束検出器集合体13の構成を示す詳細図である。
【0085】
図3に示すように、中性子束検出器集合体13には、出力が低い領域を計測する起動領域モニタ検出器14が1体設置され、この起動領域モニタ検出器14と平行して出力が高い領域を計測する局部出力領域モニタ検出器15が炉心軸方向に4個縦方向に設置される。そして、起動領域モニタ検出器14と局部出力領域モニタ検出器15との間には、これらと平行して校正用導管25が設置される。
【0086】
起動領域モニタ検出器14、局部出力領域モニタ検出器15および校正用導管25は、炉水を導く複数の孔26を有するカバーチューブ16内に内蔵され、局部出力領域モニタ検出器15の冷却を行なっている。カバーチューブ16の底部には、中性子検出器据付用のフランジ位置で炉水が原子炉圧力容器の外部に漏れないよう炉水シール部27を設けている。
【0087】
一方、起動領域モニタ検出器14の出力信号は非常に微弱な信号のため、回路系の電気的絶縁を確保する必要がある。このため、炉水などと接触しないように、中性子検出器ハウジング28位置の炉水シール部27の下位置まで起動領域モニタ検出器14の外周にはアルミナからなる絶縁層29と、さらにこの絶縁層29の外周にステンレススチールからなる外被30とが設けられる。
【0088】
図4は、中性子束検出器集合体13の他の構成を示す詳細図である。
【0089】
図4に示す中性子束検出器集合体13の構成は、図3に示す中性子束検出器集合体13の構成とほぼ同様である。図3と異なる点は、起動領域モニタ検出器14の配置に関してである。
【0090】
図4に示すように、中性子束検出器集合体13内に中性子検出器ハウジング28位置の炉水シール部27の下まで貫く小径のステンレススチールからなる中空管31を設け、この中空管31内に起動領域モニタ検出器14を配置する。なお、起動領域モニタ検出器14と小径の中空管31との絶縁を確保するため、起動領域モニタ検出器14の外周にはアルミナセラミックスからなる薄い絶縁材32が被覆される。
【0091】
本実施形態によれば、起動領域モニタ検出器14と局部出力領域モニタ検出器15とを同一のカバーチューブ16に内蔵して原子炉容器内に設置することにより、検出器集合体の合計本数を削減した場合においても原子炉監視に必要な全ての領域における中性子束の測定が可能となる。
【0092】
また、起動領域モニタ演算装置20と局部出力領域モニタ演算装置23とを統合して、1台の起動領域および局部出力領域モニタ演算装置24として、起動領域モニタ演算と出力領域モニタ演算との両方の能力を併せ持たせたことにより、モニタ演算装置の台数削減が可能となる。
【0093】
さらに、図3に示すように、起動領域モニタ検出器14の外周を絶縁層29と外被30とにより被覆することで、絶縁層29への炉水侵入が抑えられ、起動領域モニタ検出器14の電気的絶縁を保つことができる。また、起動領域モニタ検出器14の外周に設置される中空管31をステンレススチールにて製作することにより、起動領域モニタ検出器14のみを炉水から隔離することができる。
【0094】
なお、これまでの中性子束計測装置10の中性子束検出器集合体13では校正用導管25を設置しており、この校正用導管25中を本発明では詳述しないが、これまでに実用化されているn−TIP検出器またはγ―TIP検出器が軸方向に牽引されて移動して軸方向の出力分布を測定して局部出力領域モニタ検出器を校正できるようにしている。また、校正用導管25の代わりに、すでに提案されている固定式のガンマサーモメータ集合体を設置して、局部出力領域モニタ検出器を校正できるようにしてもよい。
【0095】
第2実施形態(図5)
本実施形態においては、バイパスグループを原子炉保護系分離区分と同一とした中性子束計測装置について説明する。
【0096】
図5は、改良型沸騰水型(ABWR)原子力プラントにおける起動領域モニタ検出器の炉心配置を示す図である。
【0097】
図5(a)に示すように、原子炉圧力容器内に図示しない52体の局部出力領域モニタ検出器集合体を配置する。52体のうち12体に起動領域モニタ検出器14を内蔵させて、中性子束検出器集合体13とした。
【0098】
この中性子束検出器集合体13における12体の起動領域モニタ検出器(A、B、C、D、E、F、G、H、J、K、L、M)は、原子炉保護系分離区分の4区分に3体毎振り分けられる。具体的には、区分Iには起動領域モニタ検出器(A、E、J)が区分され、区分IIには起動領域モニタ検出器(B、F、K)が区分される。そして、区分IIIには起動領域モニタ検出器(C、G、L)、区分IVには起動領域モニタ検出器(D、H、M)が区分される。
【0099】
原子炉保護系区分毎に1台設けられる起動領域モニタ演算装置20で起動領域モニタ検出器3体の演算を行う。
【0100】
そして、図5(b)に示すように、バイパスグループを原子炉保護系分離区分と同一とし、4つのバイパススイッチ33を設けた。
【0101】
本実施形態によれば、各原子炉保護系区分毎にバイパス可能な検出器が1チャンネル存在することになり、従来の原子炉保護系分離区分とバイパスグループが異なっていた場合に考えられた運転員の混乱の可能性が解消される。また、上述のように起動領域モニタ演算装置20を原子炉保護系区分毎に1台とすれば、起動領域モニタ演算装置20の削減が可能となる。
【0102】
さらに、起動領域モニタ演算装置20を複数チャンネルの処理が可能な設計とすれば、原子炉保護系分離区分毎に1台のモニタ装置で賄うことができ、モニタ装置台数の削減が可能となる。
【0103】
第3実施形態(図6〜図9)
本実施形態においては、起動領域モニタ検出器内蔵の複数の中性子束検出器集合体と、起動領域モニタ検出器を内蔵しない複数の中性子検出器集合体とを有する中性子束計測装置のシステム構成について説明し、検出器集合体の共用化及び演算装置の共用化により、必要台数の削減を図った。
【0104】
図6は、複数の中性子束検出器集合体を有する中性子束計測装置のシステム構成を示す図である。
【0105】
図6に示すように、中性子束計測装置34は、中性子束を測定する検出部35と、この検出部35から得られた信号を演算処理する演算処理部36とから構成される。
【0106】
検出部35は、起動領域モニタ検出器を内蔵した起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体37と、起動領域モニタ検出器を内蔵しない中性子束検出器集合体38とから構成される。
【0107】
起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体37には、出力が低い領域を計測する起動領域モニタ検出器39が1体設置され、この起動領域モニタ検出器39と平行して出力が高い領域を計測する局部出力領域モニタ検出器40が炉心軸方向に4個縦方向に配置され、局部出力領域モニタ検出器集合体41を構成している。そして、起動領域モニタ検出器39、局部出力領域モニタ検出器集合体41及びこれらと平行して設置される校正用導管42は、炉水を導く複数の孔を有するカバーチューブ43内に内蔵され、中性子束検出器集合体37を構成する。
【0108】
中性子束検出器集合体38には、出力が高い領域を計測する局部出力領域モニタ検出器40が炉心軸方向に4個縦方向に配置され、局部出力領域モニタ検出器集合体41を構成している。そして、局部出力領域モニタ検出器集合体41は、これと平行して設置される校正用導管42と共に、炉水を導く複数の孔を有するカバーチューブ43内に内蔵され、中性子束検出器集合体38を構成する。
【0109】
演算処理部36は、中性子束検出器集合体37の起動領域モニタ検出器39からの検出器信号を演算処理する部分と、中性子束検出器集合体37および従来の構成と同様とした中性子束検出器集合体38の局部出力領域モニタ検出器集合体41からの検出器信号を演算処理する部分との2種から構成される。
【0110】
起動領域モニタ検出器39には、起動領域モニタ検出器コネクタ44を介して起動領域モニタ検出器ケーブル45が接続されている。そして、この起動領域モニタ検出器ケーブル45には、起動領域モニタ検出器39から得られた出力信号を増幅する前置増幅器46が接続され、更に、この前置増幅器46の後段に、増幅された起動領域モニタ検出器39の信号を演算して指示及び監視する起動領域モニタ演算装置47が設置され、中性子束及び炉心出力などの演算が行なわれる。
【0111】
一方、軸方向4個の各局部出力領域モニタ検出器40には、それぞれ局部出力領域モニタ検出器コネクタ48を介して、局部出力領域モニタ検出器ケーブル49が各々接続されている。そして、このケーブル49を介して局部出力領域モニタ検出器40から得られた出力信号を演算して指示および監視する局部出力領域モニタ演算装置50で炉心出力に演算される。
【0112】
図7は、起動領域モニタ演算装置と局部出力領域モニタ演算装置とを共有化した中性子束計測装置のシステム構成を示す図である。
【0113】
図7に示す中性子束計測装置のシステム構成は、図6に示す中性子束計測装置34のシステム構成とほぼ同様である。中性子束計測装置34の検出部35は図6に示す検出部35と全く同一である。図6と異なる点は、演算処理部36において、図6に示す起動領域モニタ(SRNM)演算装置47と局部出力領域モニタ(LPRM)演算装置50とを統合して、1台の起動領域及び局部出力領域モニタ演算装置51とし、起動領域モニタ演算と出力領域モニタ演算との両方の能力を併せ持たせたことにある。
【0114】
図7に示すように、1つの起動領域モニタ検出器39からの出力信号は、起動領域モニタ検出器コネクタ44により接続された起動領域モニタ検出器ケーブル45を介して前置増幅器46へと送られる。前置増幅器46にて増幅された検出器信号は、起動領域及び局部出力領域モニタ演算装置51へと送られ、この演算装置51における指示及び監視する起動領域モニタ演算装置により、中性子束、ペリオド及び炉心出力などの演算が行なわれる。
【0115】
一方、複数の局部出力領域モニタ検出器40からの出力信号は、局部出力領域モニタ検出器コネクタ48により接続された局部出力領域モニタ検出器ケーブル49を介して、起動領域モニタ検出器39からの出力信号と同様に、起動領域及び局部出力領域モニタ演算装置51へと送られる。送られた信号は、この演算装置51内で炉心出力に演算される。
【0116】
ここで、演算装置51におけるSRNM演算に使われるSRNM検出器と、LPRM検出器は同一原子炉保護系分離区分に属するものであり、異なる原子炉保護系分離区分の検出器信号は混在させない。
【0117】
演算装置51には、1つのSRNM検出器信号と複数のLPRM検出器信号とを入力してもよいし、さらに複数のSRNM検出器信号と複数のLPRM検出器信号とを入力してもよい。また、演算装置51は、各SRNM検出器、各LPRM検出器毎のバイパス処理、後段への各検出器信号出力をしないとか、後段での信号無視のためのバイパス信号を送信することができる。
【0118】
図8は、図7の他の構成を示したものであり、起動領域モニタ(SRNM)の機能と平均出力領域モニタ(APRM)の機能とを1つの演算装置内で実行する演算装置を共用化した中性子束計測装置を示す図である。
【0119】
図8に示す中性子束計測装置34のシステム構成は、図6に示す中性子束計測装置34のシステム構成とほぼ同様である。中性子束計測装置34の検出部35は図6に示す検出部35と全く同一である。図6と異なる点は、演算処理部36において、図6に示す起動領域モニタ(SRNM)演算装置47と、局部出力領域モニタ(LPRM)演算装置50と、さらに平均出力領域モニタ(APRM)演算装置とを統合して、1台のSRNM・LPRM・APRM演算装置(全レンジモニタ演算装置)52とし、起動領域モニタ演算、出力領域モニタ演算および平均出力領域モニタ演算の3つの能力を併せ持たせたことにある。
【0120】
図8に示すように、起動領域モニタ検出器39からの出力信号は、起動領域モニタ検出器コネクタ44により接続された起動領域モニタ検出器ケーブル45を介して前置増幅器46へと送られる。前置増幅器46にて増幅された検出器信号は、全レンジモニタ演算装置52へと送られる。そして全レンジモニタ演算装置52において指示及び監視するために中性子束、ペリオド及び炉心出力などの演算が行なわれる。
【0121】
一方、局部出力領域モニタ検出器40からの出力信号は、局部出力領域モニタ検出器コネクタ48により接続された局部出力領域モニタ検出器ケーブル49を介して、起動領域モニタ検出器39からの出力信号と同様に、全レンジモニタ演算装置52へと送られる。送られた信号は、この全レンジモニタ演算装置52内で、局部出力レベルに規格化演算され(利得調整因子が乗ぜられ)、さらにLPRM検出器信号は平均処理され、炉心出力に換算演算されAPRM信号となる。
【0122】
ここで、全レンジモニタ演算装置52におけるSRNM演算に使われるSRNM検出器と、LPRM検出器は同一原子炉保護系区分に属するものであり、異なる原子炉保護系区分の検出器信号は混在させない。
【0123】
全レンジモニタ演算装置52は各SRNM検出器、各LPRM検出器毎のバイパス処理、後段への各検出器信号出力をしないとか、後段での信号無視のためのバイパス信号を送信することができる。
【0124】
全レンジモニタ演算装置52では、機器のメンテナンスのために全レンジモニタ演算装置52全体をバイパスして、図では省略しているが、後段の原子炉保護系論理回路に当該チャネルのバイパス信号を出し、当該全レンジモニタ演算装置52からの異常データを後段側が無視するようにすることができる(ハード的なバイパス手段であり、以下、「ハードバイパス」とする。)。
【0125】
全レンジモニタ演算装置52のハードバイパスは、APRM機能のバイパスを含んでおり、複数の演算装置のバイパスを行うとスクラム機能が正常に動作しない場合がある。このため全レンジモニタ演算装置52の外部に、ハードバイパスを行う全レンジモニタ演算装置52の区分を選択する演算装置区分バイパススイッチ53を設ける。この演算装置区分バイパススイッチ53は1区分だけが選択できるスイッチであり、演算装置区分バイパススイッチ53からの選択信号を受け取った全レンジモニタ演算装置52のみがハードバイパスを行える。
【0126】
また、全レンジモニタ演算装置52では、SRNM機能またはAPRM機能のいずれかだけを後段の原子炉保護系論理回路で無視するように、機能バイパス(演算装置全体のハード的バイパスではなく、ソフト処理上のバイパスであるため、以下「ソフトバイパス」とする。)することができる。
【0127】
ソフトバイパスのうち、APRM機能バイパスはハードウェアバイパス同様、1区分のみが許容されるので、機能バイパスを行う区分を選択するAPRM区分バイパススイッチ54を設ける。SRNM機能バイパスは検出器バイパスグループ毎に1チャンネルずつ許容されるので、機能バイパスを行う検出器チャンネルを選択するSRNM検出器バイパススイッチ55を設ける。それぞれのバイパススイッチからの選択信号を受け取った演算装置のみが選択された機能のバイパスを行うことができる。
【0128】
次に、この全レンジモニタ演算装置52の詳細を図9に示す。なお、図9はSRNM検出器およびLPRM検出器を代表して1チャンネルのみ示したものである。
【0129】
図9に示すように、全レンジモニタ演算装置52には、原子炉モードから原子炉モード監視手段56を介して信号を受け取り、原子炉モードに応じて、SRNM検出器の信号演算とLPRM検出器の信号演算との速度を切り替える計算頻度切替手段57を備えた。この計算頻度切替手段57により、原子炉の「起動」および「停止」モード状態では、SRNM検出器信号処理を原子炉保護系として要求される信号処理後れ時間内に収めるように高速処理し、LPRM検出器信号の処理は低い周期で実行するようにする。逆に、原子炉の「運転」モード状態ではLPRM検出器信号処理を原子炉保護系として要求される信号処理後れ時間内に収めるように高速処理し、SRNM検出器信号の処理は低い周期で実行するようにする。
【0130】
また、図9に示すように、APRM信号レベルが所定のレベルの上側と下側とを判断する警報判定手段58を備え、この警報判定手段58の信号に基づき起動領域モニタ出力と平均出力領域モニタ出力とを一致させて、起動領域モニタ出力の自動補正を行う自動補正手段59を設けた。この自動補正手段59により、例えば15%出力で自動的に切り替わるようにすることができる。従って、全レンジモニタ演算装置52に自動補正手段59を備えることにより、全レンジモニタ演算装置52のAPRM信号が下限警報値あるいは原子炉モード「運転」以外での上限警報値に達する時に、APRM信号レベルに一致するようにSRNM検出器信号レベルを自動的に較正できる。
【0131】
また、この自動補正手段59は、個々のSRNM検出器出力信号を較正するに当たって、全レンジモニタ装置パネルからの操作により、全レンジモニタ演算装置52のAPRM信号レベルに一致するように較正する機能を有する。
【0132】
さらに、自動補正手段59により、原子炉モードスイッチの状態が「起動」から「運転」へ、または「運転」から「起動」に切り替わる時にAPRM信号レベルに一致するようにSRNM検出器信号レベルを自動的に較正するようにしてもよい。
【0133】
なお、これらのSRNM検出器信号レベルにおける較正方法のタイミング時に、APRM信号レベルに一致するように較正する代わりに、SRNM検出器に最も近いLPRM検出器の信号レベルに一致するように較正してもよい。
【0134】
本実施形態によれば、起動領域モニタ検出器39と局部出力領域モニタ検出器40とを同一のカバーチューブ43に内蔵して原子炉容器内に設置することにより、検出器集合体の合計本数を削減した場合においても原子炉監視に必要な全ての領域における中性子束の測定が可能となる。
【0135】
特に、将来型の原子炉においては、燃料集合体1体当たりの断面が拡大して、集合体4コーナーで囲まれる位置に配置している中性子束検出器集合体を配置できる個所が少なくなり、従来のように局部出力領域モニタ検出器集合体と起動領域モニタ検出器とを炉心の別の燃料集合体4コーナーで囲まれる位置に配置することが難しい場合、従来においては、局部出力領域モニタ検出器集合体を配置する位置に起動領域モニタ検出器を配置する必要が生じる。
【0136】
BWRまたはABWRでは、普通4つの制御棒セル(十字形断面の制御棒を囲むように4体の燃料集合体制御棒を配置した炉心構成の単位セル)を囲むようにその4隅に局部出力領域モニタ検出器集合体を規則的に配置して、炉心全体にわたって均一に局部出力を測定するのが原則であるが、それが崩れて不均一となる。BWR、ABWRの特徴である出力運転中の反応度制御、出力分布制御などに制御棒操作を使う点からは、均一に4制御棒セルを囲むように局部出力領域モニタ検出器が配置されていることが望ましいが、本実施形態によれば、これを実現できる。
【0137】
また、図7では、起動領域モニタ演算装置47と局部出力領域モニタ演算装置50とを統合して、1台の起動領域および局部出力領域モニタ演算装置51として、起動領域モニタ演算と出力領域モニタ演算との両方の能力を併せ持つため、本実施形態によれば、モニタ演算装置の台数削減が可能となる。
【0138】
図8では、起動領域モニタ演算装置47と局部出力領域モニタ演算装置50とさらに平均出力領域モニタ演算装置とを統合して、1台の全レンジモニタ演算装置52としたことにより、モニタ演算装置の台数削減が可能となる。
【0139】
従来の分離された演算装置では、演算装置間でデータ交換を行って較正する必要があり、運転員あるいは保守員がデータを比較して調整操作を行うか、またはデータの入出力端子を別途設けることが必要であった。しかしながら、本実施形態によれば、SRNM検出器信号レベルの出力領域モニタ検出器信号レベルとの整合を取るための較正において、同一全レンジモニタ演算装置52内にあるAPRM信号またはLPRM検出器信号を使って容易に較正することができるため、一つの全レンジモニタ演算装置52内でソフトによって実行できる。
【0140】
第4実施形態(図10)
本実施形態においては、バイパスグループを原子炉保護系分離区分と同一とした中性子束計測装置について説明する。
【0141】
図10は、改良型沸騰水型(ABWR)原子力プラントにおいて起動領域モニタ検出器を内蔵する中性子束検出器集合体を12体配置する場合の炉心配置を示す図である。
【0142】
図10(a)に示すように、原子炉圧力容器内に52体の局部出力領域モニタ検出器集合体41を配置する。このうち、12体の起動領域モニタ検出器39を内蔵させた中性子束検出器集合体37とし、残りは起動領域モニタ検出器を内蔵しない中性子束検出器集合体38とした。中性子束検出器集合体37に付記した記号は起動領域モニタ検出器のチャンネルを表す。
【0143】
この中性子束検出器集合体37における12体の起動領域モニタ検出器(A、B、C、D、E、F、G、H、J、K、L、M)は、原子炉保護系分離区分の4区分に3体毎振り分けられる。具体的には、区分Iには起動領域モニタ検出器(A、E、J)が区分され、区分IIには起動領域モニタ検出器(B、F、K)が区分される。そして、区分IIIには起動領域モニタ検出器(C、G、L)、区分IVには起動領域モニタ検出器(D、H、M)が区分される。
【0144】
ここで原子炉炉心中心付近の4体をそれぞれ異なる区分に割り当て、(J、K、L、M)とする。区分1の残りの検出器(A、E)は原子炉炉心を平面上で4等分した扇形の領域のうち、Jが配置される領域に隣接する領域の周辺部で、Jに対して対角の領域寄りに配置する。区分2の残りの検出器(B、F)はKに対して、区分3の残りの検出器(C、G)はLに対して、区分4の残りの検出器(D、H)はMに対して、同様の要領で配置する。
【0145】
また、原子炉保護系区分毎に起動領域モニタ検出器3体の演算を行う複数信号処理型起動領域モニタ演算装置60を1台ずつ設ける。
【0146】
そして、図10(b)に示すように、検出器バイパスグループを原子炉保護系分離区分と同一とし、バイパスグループ毎に、3つの検出器のうち1つをバイパスする4つの検出器バイパススイッチ61を設ける。
【0147】
また、複数信号処理型起動領域モニタ演算装置60のうち、1台の演算装置をバイパスする演算装置区分バイパススイッチ62を設ける。
【0148】
本実施形態によれば、各原子炉保護系区分毎にバイパス可能な検出器が1チャンネル存在することになり、従来の原子炉保護系分離区分とバイパスグループが異なっていた場合に考えられた、運転員が混乱してしまうという可能性を解消できる。
【0149】
また、図10では、中心付近に区分の異なる4つの検出器(J、K、L、M)が配置されているので、区分バイパスを行っても、残りの中心付近の検出器により従来の監視領域を炉心半径相当とする条件を満足する。また、検出器バイパスにより中心付近の全ての検出器をバイパスしても、残された異なる区分の周辺部の検出器により監視領域を補完することができる。
【0150】
さらに、起動領域モニタ演算装置を複数SRNM検出器チャンネルの処理が可能な設計とすれば、原子炉保護系区分毎に1台のモニタ演算装置で賄うことができ、モニタ演算装置台数の削減が可能となる。これにより、従来は10体中最大3体までバイパスが可能であったのに対して、12体の中性子検出器集合体を上述した配置とし、4つの検出器バイパススイッチと演算装置区分バイパススイッチとを組合せることで、12体中最大6体のバイパスが可能となり、起動領域モニタ検出器及び演算装置の運用性及び保守性が向上する。
【0151】
また、本実施形態によれば、従来は10台必要であった演算装置が、検出器を増加させても4台に削減できることから、コスト低減を図れる。
【0152】
従って、本実施形態によれば、SRNM検出器の検出器単体レベルのバイパスグループが原子炉保護系区分と一致していることから、共用化演算装置内部でバイパス可能なSRNM検出器の個数管理ができ、よりシステム設計が単純にできるなどの効果を有する。
【0153】
なお、本実施形態における中性子束計測装置の変形例として、図7または図8に示すLPRM演算装置またはAPRM演算装置の機能をも含めた全レンジモニタ演算装置を各原子炉保護系分離区分毎に多重化のために複数台設けた構成とすることもできる。
【0154】
このような複合化された場合の原子炉運転モードによるSRNM演算と出力領域モニタの演算速度の切り替え、SRNM機能またはLPRM・APRM機能だけのソフトバイパス機能、共用化演算装置全体のバイパス(ハードバイパス機能)、SRNM検出器信号レベルの較正機能は実現できる。
【0155】
第5実施形態(図11)
本実施形態においては、原子炉炉心性能監視装置としてのプロセス計算機を備えた中性子束計測装置について説明する。
【0156】
図11は、プロセス計算機を備えた中性子束計測装置の構成を示す図である。
【0157】
図11に示すように、原子炉炉心性能監視装置としてのプロセス計算機63は、炉心の運転状態パラメータおよび原子炉の核計装信号(LPRM、TIP、γTIPまたはガンマサーモ)を入力して、プロセス計算機63に内蔵の3次元BWRシミュレータコードにより、炉心内の中性子束分布、出力分布、出力分布から求める燃料集合体の熱的制限パラメータの評価を行う。
【0158】
このプロセス計算機63で得られたSRNM検出器応答レベルを用いて、実際のSRNM検出器で生じるところの検出器内に塗布されているウラン同位体234、235濃度の変化による感度変化分を補正する補正ファクタを算出して、その値を全レンジモニタ演算装置52に送ることにより、この全レンジモニタ演算装置52で補正ファクタを乗じて構成する。
【0159】
本実施形態によれば、原子炉運転サイクルにおける起動時の10%または20%定格の低出力段階でSRNMの較正が可能であり、また原子炉停止前に同様に構成することで、運転中に変化したSRNM検出器の感度が較正でき、定検中および次サイクル起動時に最新の感度校正結果が使用できる。
【0160】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る中性子束計測装置によれば、監視性を劣化させることなく、原子炉圧力容器内に配置する中性子検出器数、中性子検出器集合体数、中性子検出器据付用のフランジおよび中性子検出器案内管を削減でき、かつ運転時における繁雑さを低減できることから、経済性および運用性を向上させた中性子束計測装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における、局部出力領域モニタ検出器と起動領域モニタ検出器とを内蔵した中性子束計測装置のシステム構成を示す図。
【図2】本発明における、起動領域モニタ演算装置と局部出力領域モニタ演算装置とを共有化した中性子束計測装置のシステム構成を示す図。
【図3】本発明における、中性子束検出器集合体を原子炉に設置した場合の構成を示す詳細図。
【図4】本発明における、中性子束検出器集合体の他の構成を示す詳細図。
【図5】本発明における、改良型沸騰水型(ABWR)原子力プラントにおける起動領域モニタ検出器の炉心配置を示す図。
【図6】本発明における、複数の中性子束検出器集合体を有する中性子束計測装置のシステム構成を示す図。
【図7】本発明における、起動領域モニタ演算装置と局部出力領域モニタ演算装置とを共有化した中性子束計測装置のシステム構成を示す図。
【図8】本発明における、図7の変形例であり、起動領域モニタの機能と平均出力領域モニタの機能とを1つの演算装置内で実行する演算装置を共用化した中性子束計測装置のシステム構成を示す図。
【図9】本発明における、全レンジモニタ演算装置の詳細を示す図。
【図10】本発明における、改良型沸騰水型(ABWR)原子力プラントにおいて、起動領域モニタ検出器を内蔵する中性子束検出器集合体を12体配置する場合の炉心配置を示す図。
【図11】本発明における、プロセス計算機を備えた中性子束検出器集合体の構成を示す詳細図。
【図12】従来における、改良型沸騰水型(ABWR)原子力プラントにおける起動領域モニタ検出器および局部出力領域モニタ検出器集合体の炉心配置を示す図。
【図13】従来における、原子炉保護系分離区分に起動領域モニタ検出器を振り分けた図。
【図14】従来における、起動領域モニタ検出器のバイパスグループを示す図。
【符号の説明】
10…中性子束計測装置、11…検出部、12…演算処理部、13…中性子束検出器集合体(起動領域モニタ検出器を内蔵する)、14…起動領域モニタ検出器、15…局部出力領域モニタ検出器、15a…局部出力領域モニタ検出器集合体、16…カバーチューブ、17…起動領域モニタ検出器コネクタ、18…起動領域モニタ検出器ケーブル、19…前置増幅器、20…起動領域モニタ演算装置、21…局部出力領域モニタ検出器コネクタ、22…局部出力領域モニタ検出器ケーブル、23…局部出力領域モニタ演算装置、24…起動領域および局部出力領域モニタ演算装置、25…校正用導管、26…孔、27…炉水シール部、28…中性子検出器ハウジング、29…絶縁層、30…外被、31…中空管、32…絶縁材、33…バイパススイッチ、34…中性子束計測装置、35…検出部、36…演算処理部、37…中性子束検出器集合体、38…中性子束検出器集合体、39…起動領域モニタ検出器、40…局部出力領域モニタ検出器、41…局部出力領域モニタ検出器集合体、42…校正用導管、43…カバーチューブ、44…起動領域モニタ検出器コネクタ、45…起動領域モニタ検出器ケーブル、46…前置増幅器、47…起動領域モニタ演算装置、48…局部出力領域モニタ検出器コネクタ、49…局部出力領域モニタ検出器ケーブル、50…局部出力領域モニタ演算装置、51…起動領域及び局部出力領域モニタ演算装置、52…起動領域、局部出力領域及び平均出力領域モニタ演算装置(全レンジモニタ演算装置)、53…演算装置区分バイパススイッチ、54…APRM区分バイパススイッチ、55…SRNM検出器バイパススイッチ、56…原子炉モード監視手段、57…計算頻度切替手段、58…警報判定手段、59…自動補正手段、60…複合信号処理型起動領域モニタ演算装置、61…検出器バイパススイッチ、62…演算装置区分バイパススイッチ、63…プロセス計算機。
Claims (19)
- 沸騰水型原子力プラントまたは改良型沸騰水型原子力プラントにおいて適用され、原子炉圧力容器内の中性子束を測定する中性子束計測装置において、局部出力領域モニタ検出器と、起動領域モニタ検出器と、前記局部出力領域モニタ検出器の感度を校正する校正手段と、これらを内蔵するカバーチューブとからなる複数の起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体と、前記局部出力領域モニタ検出器と、前記校正手段と、前記カバーチューブとからなる複数の中性子束検出器集合体と、前記起動領域モニタ検出器から得られた検出器信号を増幅する前置増幅器と、増幅された前記起動領域モニタ検出器から得られた信号を演算して指示および監視する起動領域モニタ演算装置と、前記局部出力領域モニタ検出器から得られた信号を演算して指示及び監視する局部出力領域モニタ演算装置と、複数の局部出力領域モニタ検出器から得られた信号を平均演算して指示及び監視する平均出力領域モニタ演算装置とから構成され、前記起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体は、原子炉圧力容器内の環境に耐えうる絶縁層により被覆された起動領域モニタ検出器を有することを特徴とする中性子束計測装置。
- 沸騰水型原子力プラントまたは改良型沸騰水型原子力プラントにおいて適用され、原子炉圧力容器内の中性子束を測定する中性子束計測装置において、局部出力領域モニタ検出器と、起動領域モニタ検出器と、前記局部出力領域モニタ検出器の感度を校正する校正手段と、これらを内蔵するカバーチューブとからなる複数の起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体と、前記局部出力領域モニタ検出器と、前記校正手段と、前記カバーチューブとからなる複数の中性子束検出器集合体と、前記起動領域モニタ検出器から得られた検出器信号を増幅する前置増幅器と、増幅された前記起動領域モニタ検出器から得られた信号を演算して指示および監視する起動領域モニタ演算装置と、前記局部出力領域モニタ検出器から得られた信号を演算して指示及び監視する局部出力領域モニタ演算装置と、複数の局部出力領域モニタ検出器から得られた信号を平均演算して指示及び監視する平均出力領域モニタ演算装置とから構成され、前記起動領域モニタ検出器内蔵の中性子束検出器集合体は、小径の中空管内に設置された起動領域モニタ検出器を有することを特徴とする中性子束計測装置。
- 起動領域モニタ演算装置と局部出力領域モニタ演算装置とを共用化することを特徴とする請求項1または2記載の中性子束計測装置。
- 平均出力領域モニタ演算装置と、起動領域モニタ演算装置と、局部出力領域モニタ演算装置とを共用化することを特徴とする請求項1または2記載の中性子束計測装置。
- 起動領域モニタ検出器のバイパスグループを原子炉保護系分離区分と同じ検出器チャンネル構成としたことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の中性子束計測装置。
- 同一の原子炉保護系分離区分に属する複数の起動領域モニタ検出器の信号を演算して指示及び監視する複数信号処理型起動領域モニタ演算装置を前記原子炉保護系分離区分毎に備えたことを特徴とする請求項1、2または5に記載の中性子束計測装置。
- 前記複数信号処理型起動領域モニタ演算装置と、前記局部出力領域モニタ演算装置または前記平均出力領域モニタ演算装置の一種以上とを各原子炉保護系分離区分ごとに共用化したことを特徴とする請求項6に記載の中性子束計測装置。
- 原子炉保護系分離区分のいずれか1区分に属する複数信号処理型起動領域モニタ演算機能をバイパスするバイパス手段を設けたことを特徴とする請求項6または7記載の中性子束計測装置。
- 原子炉保護系分離区分のいずれか1区分に属する平均出力領域モニタ演算機能をバイパスするバイパス手段を設けたことを特徴とする請求項8記載の中性子束計測装置。
- 原子炉保護系分離区分のいずれか1区分に属する共用化モニタ演算装置をバイパスするバイパス手段を備えて、平均出力領域モニタ演算機能と複数信号処理型起動領域モニタ演算機能とを同時にバイパスすることを特徴とする請求項6から9までのいずれかに記載の中性子束計測装置。
- 起動領域モニタ検出器信号を演算した結果得られる起動領域モニタ出力を前記平均出力領域モニタ演算装置の平均演算結果である平均出力領域モニタ出力で補正する自動補正手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の中性子束計測装置。
- 原子炉モードスイッチの状態を入力して監視する原子炉モード監視手段と、原子炉モードの起動から運転への切替時または運転から起動への切替時に、起動領域モニタ出力を補正して、前記起動領域モニタ出力と平均出力領域モニタ出力とを一致させる自動補正手段とを備えたことを特徴とする請求項11記載の中性子束計測装置。
- 平均出力が下限警報値に達する際の判定を行う警報判定手段と、この警報判定手段の信号により起動領域モニタ出力を補正して、前記起動領域モニタ出力と平均出力領域モニタ出力とを一致させる自動補正手段とを備えたことを特徴とする請求項11記載の中性子束計測装置。
- 平均出力が原子炉モード運転以外での上限警報値に達する際の判定を行う警報判定手段と、この警報判定手段の信号により起動領域モニタ出力を補正して、前記起動領域モニタ出力と平均出力領域モニタ出力とを一致させる自動補正手段とを備えたことを特徴とする請求項11記載の中性子束計測装置。
- 起動領域モニタ検出器に最も近接して配置される局部出力領域モニタ検出器の信号を、前記起動領域モニタ検出器の信号が入力される平均出力領域モニタ演算装置に入力し、起動領域モニタ出力を前記局部出力領域モニタ検出器信号の演算結果から得られる局部出力領域モニタ出力で補正する自動補正手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の中性子束計測装置。
- 校正手段に接続された原子炉炉心性能監視装置に内蔵される3次元BWRシミュレーション機能により、原子炉運転パラメータを取り込んで炉内出力分布計算を行ない、この出力分布計算結果から起動領域モニタ検出器読値を求め起動領域モニタ演算装置に送出し、起動領域モニタ出力を補正して、前記起動領域モニタ出力と前記計算読値とを一致させる自動補正手段を備えたことを特徴とする請求項7記載の中性子束計測装置。
- 起動領域モニタ検出器を内蔵する中性子束検出器集合体を原子炉炉心の中心付近に原子炉保護系分離区分と同数配置し、それを取り囲む周辺部に原子炉保護系分離区分の2倍以上の数の前記中性子束検出器集合体を配置し、中心付近の1体に内蔵される起動領域モニタ検出器と周辺部の2体以上に内蔵される起動領域モニタ検出器とを一組とする原子炉保護系分離区分と同数の起動領域モニタ検出器バイパスグループを設け、このバイパスグループと同じグループで原子炉保護系分離区分に起動領域モニタ検出器を振り分けることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の中性子束計測装置。
- 同一の原子炉保護系区分に属する起動領域モニタ検出器からの信号のうち任意の一つについて、演算、指示及び監視する機能をバイパスするバイパス手段を各原子炉保護系区分毎に設けることを特徴とする請求項17記載の中性子束計測装置。
- 原子炉モードスイッチの状態を入力し監視する原子炉モード監視手段と、原子炉モードが起動状態では、中性子束計測装置の共用化演算装置内で起動領域のモニタ演算機能の計算頻度を高くかつ出力領域のモニタ演算機能の計算頻度を低く、逆に、原子炉モードが運転状態では、起動領域のモニタ演算機能の計算頻度を低くかつ出力領域のモニタ演算機能の計算頻度を高くする計算頻度切替手段とを備えたことを特徴とする請求項3または4記載の中性子束計測装置。
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