JP3863690B2 - 固定式原子炉内計装システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉内に設置した中性子検出器の出力信号に基づいて原子炉出力を測定する原子炉内計装システムに係り、特に中性子検出器の感度劣化の校正のために、γ線検出器の出力信号を利用する固定式原子炉内計装システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉の炉出力を測定する中性子検出器は、周知のように、例えば被覆管内に核分裂性物質を収容して構成され、その核分裂性物質が中性子を吸収して核分裂したときのガス電離作用を利用して、炉出力に対応した出力信号を得るようになっている。そして、この中性子検出器は、局所出力領域モニタ(Local Power Range Monitor:以下LPRMと略記し、中性子検出器をLPRMセンサともよぶ)用のセンサとして炉心軸方向に複数個配置されて使用されるが、炉内での使用により核分裂性物質の量が減少して検出感度が徐々に変化するため、これを校正する必要がある。このために従来は、可動式炉内計装装置(TIP:Traversing Incore Probe System)が用いいられていた。これは、TIP検出器を炉外から炉内に挿入し、上下方向に移動させて、原子炉の上下方向の中性子束分布の測定データを収集して、この収集データを基に軸方向の中性子束分布の測定を行い、LPRMセンサの感度校正を行うものである。
【0003】
しかし、TIPを使用するためには、原子炉建屋内にその駆動系を設置するスペースが必要となり、またその操作が複雑で測定に長い時間を要する等の問題があり、これを解決するものとして例えば特開平6−289182号公報、特開平9−236687公報、あるいは Proceedings of a Specialists' Meeting on In Core Instrumentation and Reactor Assessment(1988,June)のp.271-p.277の“Technology and Use of Gamma Thermometers" に記載されているように、中性子検出器を収容する保護管内にγ線検出器を設置し、そのγ線検出器により測定される炉出力に基づいて、中性子検出器の感度を校正することが提案されている。
【0004】
γ線検出器は、炉心内のγ線や僅かではあるが中性子から付与されるエルネギー(放射線照射)によって発熱する金属の温度を、熱電対や測温抵抗体などの測温手段で測定することにより炉出力(γ線束や中性子束が炉出力に比例する)を測定するものである。このγ線検出器は、中性子検出器に比べて応答性に劣るから、原子炉の安全保護系の検出器としては適さないが、炉心の軸方向出力分布を測定するものとしても適用することができ、これを利用して炉心軸方向に配置された中性子検出器の校正を行うものである。但し、Transactions of the American Nuclear Society, Vol.75(1996 Nov.)のp.333−p.334の“Application of the Gamma Thermometer to BWR Core Monitoring"に示されているように、γ線検出器の感度はプラント運転経過に伴い変化するために、γ線検出器自体に対する校正も必要である。この校正にあたっては、内部に設けた校正用ヒータを加熱し、そのヒータにより与えた熱量とγ線検出器の出力電圧及び別途用意される校正曲線(発熱量とγ線検出器の出力電圧の関係を示したもの)を基にして上記感度を補正するが、そのとき校正用ヒータの発熱量が時間と共に所望の値となるように制御するためヒータ制御装置が必要である。上記の特開平9−236687号公報には、γ線検出器の校正のための信号処理系とともに、このヒータ制御装置の配置構成が述べられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
LPRMセンサの感度校正は原子炉起動時、原子炉定格出力時、原子炉停止前に実施されるが、いずれにしても炉出力が一定に維持された状態で実施されなければならない。このため、従来のTIP検出器を用いる場合には、原子炉起動時のLPRMセンサの感度校正は、炉出力が低い状態でなされる。具体的には給水ポンプを電動駆動型ポンプからタービン駆動型ポンプに切替えるために、炉出力を一定に維持している状態のときに並行して実施される。その他の状態では炉出力が低く、かつ一定に維持される場合がない。また、LPRMセンサの感度校正のためだけに、所定時間一定に保つようなことをするのはその分定格出力到達時間が遅れるため不経済である。従って、γ線検出器を用いた固定式原子炉内計装システムにおいても、原子炉起動時のLPRMセンサの感度校正は、この給水ポンプ切替際の出力一定期間にγ線検出器の出力信号を基にして行う必要がある。ところが、γ線検出器の場合には、TIP検出器と動作原理が異なっており、γ線照射によって発生した熱(温度)を熱電対で計測するようになっているが、前述のように運転経過に伴ってγ線検出器の感度が変化する。特に原子炉起動時には、γ線検出器の感度変化が大きい。従って、原子炉起動時のLPRMセンサの感度校正前にγ線検出器自体の校正が必要である。
【0006】
そこでこのγ線検出器の校正に要する時間を具体的に考える。校正用ヒータの数はγ線検出器のストリング数と同一であり、γ線検出器のストリング数はLPRMセンサのストリング数に対応している。例えば、1350MWe級のプラントでは52本のLPRMストリングがあり、1100MWe級のプラントでは43本のLPRMストリングがあり、校正用ヒータを用いたγ線検出器1ストリングの校正時間は10分程度であるので、もし1台のヒータ制御装置を用いて52台、あるいは43台の校正用ヒータすべてを制御したのでは、γ線検出器自体の校正に520分、あるいは430分も要してしまうことになる。これに対して、給水ポンプ切替時に原子炉出力を一定に保持している時間は、長くても約2時間20分(140分)である。従って、1台のヒータ制御装置を用いたのでは、全γ線検出器自体の校正のために、1350MWe級プラントでは520−140=380分(6時間20分)、1100MWe級プラントでは430−140=290分(4時間50分)も炉出力一定運転の時間を延長する必要があり、その分定格出力到達が遅れ、非常に不経済なことになる。このような不都合を生じないようにするためには、ヒータ制御装置を複数個設けて同時処理する必要があるが、前記した従来技術には、上記の問題点を考慮した対策の具体的な記述はない。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みなされたものであり、その発明の目的は、プラント起動時間の伸長を生じることなしにγ線検出器の校正を可能にした構成の固定式原子炉内計装システムを提供するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原子力プラント起動時に、出力が上昇してくる過程で炉出力一定を維持して、給水ポンプを、電動駆動型ポンプから、炉出力である出力蒸気を駆動源とするタービン駆動型ポンプへと、切替える機能を持つ原子力プラントにおいて、原子炉内の中性子束レベルを検出するための炉軸方向に複数個配置された中性子検出器とこの中性子検出器に並設して配置されて原子炉内の中性子束分布測定及び前記中性子検出器の感度校正を行うための複数個のγ線検出器とを収容したストリングの複数本と、前記中性子検出器の感度校正に先立って前記γ線検出器自体の校正を行うために当該γ線検出器を加熱するための前記ストリング毎に設けられた校正用ヒータと、前記γ線検出器で検出したγ線検出信号に基づいて中性子検出器の検出信号を校正する処理並びに、上記切替中の炉出力一定下でγ線検出器自体の感度校正を行うための校正指令を発生する処理を行う計算機と、上記切替中の炉出力一定下で前記校正指令に基づいて、電圧又は電流の制御信号を発生する電源制御装置及び対象ストリングを1本づつ切替えて前記制御信号に基づいて当該ストリングの校正用ヒータに電圧又は電流を供給加熱する電源装置を具備する複数個のヒータ制御装置と、この校正用ヒータへの加熱によるγ線検出器の検出信号を取り込み当該γ線検出器自体の感度校正を行い、前記計算機へこの校正結果を提供する手段を具備したデータ処理装置とを具え、前記計算機と複数のヒータ制御装置とデータ処理装置を中央制御室に設置した固定式原子炉内計装システムを開示する。
更に本発明は、原子力プラント起動時に、出力が上昇してくる過程で炉出力一定を維持して、給水ポンプを、電動駆動型ポンプから、炉出力である出力蒸気を駆動源とするタービン駆動型ポンプへと、切替える機能を持つ原子力プラントにおいて、原子炉内の中性子束レベルを検出するための炉軸方向に複数個配置された中性子検出器とこの中性子検出器に並設して配置されて原子炉内の中性子束分布測定及び前記中性子検出器の感度校正を行うための複数個のγ線検出器とを収容したストリングの複数本と、前記中性子検出器の感度校正に先立って前記γ線検出器自体の校正を行うために当該γ線検出器を加熱するための前記ストリング毎に設けられた校正用ヒータと、前記γ線検出器で検出したγ線検出信号に基づいて中性子検出器の検出信号を校正する処理を行う計算機と、上記切替中の炉出力一定下でマニュアルで与える校正指令に基づいて、電圧又は電流の制御信号を発生する電源制御装置及び対象ストリングを1本づつ切替えて前記制御信号に基づいて当該ストリングの校正用ヒータに電圧又は電流を供給加熱する電源装置を具備する複数個のヒータ制御装置と、この校正用ヒータへの加熱によるγ線検出器の検出信号を取り込み当該γ線検出器自体の感度校正を行い、前記計算機へこの校正結果を提供する手段を具備したデータ処理装置とを具え、前記計算機と複数のヒータ制御装置とデータ処理装置を中央制御室に設置した固定式原子炉内計装システムを開示する。
【0009】
更に本発明は、ヒータ制御装置の台数を、4台又は7台とする固定式原子炉内計装システムを開示する。
【0010】
更に本発明は、ヒータ制御装置の台数を、前記1つのストリングに収容されたγ線検出器の校正に要する時間とストリングの個数の積を前記中性子検出器の感度校正のために許された許容時間で割った数よりも多い台数としたことを特徴とする固定式原子炉内計装システムを開示する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1に、本発明の一実施形態の固定式原子炉内計装装置の全体構成図を示す。図示のように、原子炉圧力容器1の炉心2内に複数の検出器集合体が設けられており、各検出器集合体は、炉心を貫通して設けられた保護管3の内部に、出力領域の中性子を検出する複数の中性子検出器(LPRMセンサ)5A〜5Dと、このLPRMセンサ5A〜5Dの校正手段と第2の炉出力検出手段とを兼用する複数のγ線検出器4a〜4kを挿入して構成されている。LPRMセンサ5A〜5D及びγ線検出器4a〜4kを入れた保護管3は、炉内に複数設置(例えば、52体)されるため、これらから出力される信号を処理する装置は複数になり、図1では、各装置を重ね書きで示している。
【0013】
LPRMセンサ5A〜5Dは炉心の軸方向に沿って設けられている。この縦方向に4個設けられたLPRMセンサ列をLPRMストリングという。1350MWe級のプラント(ABWRプラント)では、このLPRMセンサのストリング数は52本である。つまり、センサ数としては合計208個になる。また、1100MWe級のプラントでは、LPRMセンサのストリング数は43本である。そして、LPRMセンサの出力信号5Sは、信号ケーブルを介して、ペネトレーションPを通過し、格納容器15外に設置される伝送処理装置6に入力される。伝送処理装置6は、高周波信号を抑制して中性子束信号を出力するためのフィルタリング手段61、62及び原子炉建屋外(例えば、中央制御室)へフィルタリング処理後のLPRM測定信号を選択的に取込んで所定形式の伝送データに変換して伝送するための伝送装置63を備えている。伝送装置8は伝送されてくるLPRM信号を受信するとLPRM装置10に、これらの信号を出力する。LPRM装置10はLPRMセンサの感度補正及びゲイン調整の機能を備えている。LPRM装置10の出力信号は、局所炉出力信号として出力される他、APRM(平均出力領域モニタ)装置11と計算機14に出力されている。APRM装置11は、LPRM装置10の出力信号を入力し、原子炉の平均出力を算出し、平均炉出力として出力する。また、APRM装置11は、この平均出力があらかじめ定めた基準値を超えた場合、原子炉に制御棒を緊急挿入して原子炉出力を停止させるためのスクラム信号を出力する。
【0014】
一方、γ線検出器4a〜4kはLPRMセンサの数よりも多く設けられており、LPRMセンサに対して径方向の位置を異ならせて、かつ炉心の軸方向に沿って設けられている。このように、γ線検出器の設置数を多くしているのは、LPRMセンサの校正精度、及び軸方向出力分布測定精度を高めるためである。図示例では、11個のγ線検出器を設けたものを示しているが、LPRMセンサと同数あるいはそれ以上であればよく、例えば9個あるいは8個であってもよい。γ線検出器についても、縦方向に各々設けられたγ線検出器の1列をγ線検出器ストリングという。図1から明らかなように、γ線検出器ストリング数とLPRMセンサのストリング数は同一である。γ線検出器は、炉心2内での放射線照射によって発熱する金属の温度を熱電対等で測定することにより、原子炉出力を測定するものである。また、γ線は水ギャップの影響を受けないため、γ線検出器をLPRMセンサに対して径方向の位置を異ならせて設置しても、その影響を受けることなく原子炉出力を測定できる。ただし、放射線による発熱のセンサ感度が変化する。この感度変化は、後述するが、γ線検出器4内に電気ヒータ(校正用ヒータ)を設置し、この電気ヒータに印加する電圧と電流、及び電気ヒータの抵抗を基に加熱量を評価し、この加熱量と上記熱電対の出力電圧、及び別途用意される校正曲線(発熱量と熱電対出力電圧の関係を示したもの)を基にしてセンサ感度を求め、この求めた感度を用いて熱電対の出力信号を補正することでγ線検出器自体の校正が完了する。
【0015】
γ線検出器の出力信号4Sは熱電対出力信号であり、格納容器15を貫通しているペネトレーションPを通って、原子炉建屋内に設置された伝送処理装置7に入力される。伝送処理装置7は、6と同一構成になっており、フィルタ61,62で電気ノイズを除去、あるは抑制して伝送装置63により、原子炉建屋外、例えば中央制御室に設置される伝送装置9にフィルタリング処理後のγ線検出器の測定信号を選択的に取込んで所定形式の伝送データに変換して伝送する。原子炉建屋と中央制御室間は例えば150〜200m程度も離れており、かつ信号点数が多いため、両者間は伝送によって信号を送信するように構成した方が安価であり、かつγ線検出器の出力信号が熱電対出力信号であり数mVと微弱であるため、ディジタル伝送にすることにより、耐ノイズ性を向上させることが可能である。
【0016】
伝送装置9の出力信号はデータ処理装置12に入力される。データ処理装置12は信号処理手段121、データ出力禁止手段122、校正定数算出手段123から成っている。校正定数算出手段123は校正に係る情報を表示器12Sに出力し、表示させる。信号処理手段121は、入力信号であるγ線検出器の出力信号によりLPRMセンサの出力信号を校正できるようにするためにデータ変換し、この変換結果をデータ出力禁止手段122を介して計算機14に出力する。さらに、信号処理手段121は、γ線検出器の出力信号を校正定数算出手段123に出力する。校正定数算出手段123はγ線検出器自体を校正するためのものである。データ出力禁止手段122は、γ線検出器を校正するための作業を実施しているときには、信号処理手段121の出力信号を計算機14に出力させないためのものである。具体的には、プラント運転中にヒータ制御装置13により、γ線検出器内に設置した校正用ヒータを加熱して、γ線検出器の出力信号変化を検出し、γ線検出器の校正を実施しているときは、計算機14への信号処理手段121からの信号出力を禁止する。この制御は、電源制御装置135からデータ出力禁止手段122及び校正定数算出手段123に出力される制御信号によってなされる。データ出力禁止手段122はこの制御信号が入力されると、信号処理手段121からの出力信号を計算機14へ出力することを禁止し、校正定数算出手段123は、γ線検出器自体の校正のための演算処理を実施する。これにより、γ線検出器の校正中に、誤ってプラントデータとは異なるデータに基づいてLPRMセンサを校正したり、炉心の出力分布を計算してしまうことを防止することができる。
【0017】
図1においては、LPRMセンサがγ線検出器と同一高さ(軸方向位置)にある場合を示しており、LPRMセンサ5A、5B、5C、5Dがγ線検出器4c、4e、4g、4iとそれぞれ同一高さに設置されている。したがって、これらのLPRMセンサ5A、5B、5C、5Dはそれぞれγ線検出器4c、4e、4g、4iの出力に基づいて校正することが可能であり、校正定数は計算機14によって求められる。計算機14は、LPRMセンサの校正定数の算出以外に、炉出力分布(3次元出力分布や軸方向出力分布)の算出、及び熱的余裕評価を主な機能としている。LPRMセンサの校正定数の算出は、LPRMセンサの出力信号と信号処理手段121の出力信号とを比較判定して処理される。また、3次元出力分布や軸方向出力分布の算出及び熱的余裕評価は、炉心状態データ(熱的収支データ、炉心流量等)と信号処理手段121の出力信号等を用いて3次元炉心シミュレーションを実行して処理される。
【0018】
計算機14は、全ての検出器集合体のγ線検出器の出力をデータ変換した信号を入力し、LPRM装置10からのLPRMセンサの出力信号に対応するγ線検出器の出力信号を選択する。図1の例では、LPRMセンサ5A〜5Dの出力信号と、γ線検出器4c、4e、4g、4iの出力信号をそれぞれ入力し、それぞれの出力信号のレベル比(A/c、B/e、C/g、D/i)を求め、それぞれのレベル比に応じてLPRMセンサ5A〜5Dの校正定数(ゲイン)を算出し、例えばプリンタに出力する。そして、そのプリント結果の校正定数をLPRM装置10に手入力し、LPRMセンサの感度劣化を補正する。なお、プリンタを介さずに、自動的にLPRM装置10に入力して校正定数を変更するようにしてもよい。
【0019】
図2は、1つのγ線検出器4a(他も同様)の構成例を示しており、γ線検出器4aの外周には冷却材(炉心流量)が軸方向に流れて冷却されているが、その内側の一部には例えばアルゴンを充填した断熱チャンバ41が設けられている。その内側にはγ線発熱金属42(例えばSUS)が設けられ、これは放射線照射により発熱する、更にその内側に熱電対43が複数個同心円状に配置され(図2では8個)、その中央には校正用ヒータ44が配されている。各熱電対の高温接点部43Aは断熱チャンバ41におおわれた部分にあり、冷温接点部43Bは断熱チャンバにおおわれていない部分にある。従ってγ線により発熱した発熱金属42の断熱チャンバ41の内側部分は冷却されず、高温接点部43Aの温度はほぼその熱せられた金属42の温度となる。一方、冷温接点部43Bの温度は、断熱チャンバ41がないところの発熱金属42が冷却材で冷却されるためにほぼ冷却材の温度になる。この2つの接点を持つ熱電対43は差動型熱電対を構成し、上記両測定温度の差が測定電圧(mV)として出力される。
【0020】
ヒータ制御装置13は、原子炉建屋外である中央制御室に設けられており、プラント運転中にγ線検出器校正指令を受け、校正用ヒータ44の加熱制御を行う。このヒータ制御装置13は、校正用ヒータ44に電圧を印加する電源装置134、この電源装置134の出力電圧かつまたは出力電流を制御する電源制御装置135、電源装置134の出力電圧の出力先を変更する切替スイッチ133、ノイズ低減のためのフィルタ131、132を備えている。詳細は後述するが、ヒータ制御装置13は複数台あり、図1の構成例では4台設け、同時に4個の校正用ヒータの加熱制御が可能で、従って同時に4ストリングのγ線検出器の校正が可能なようにしている。電源装置134の出力電圧はプラント運転中に校正用ヒータ44に印加され、校正用ヒータ44が加熱される。放射線照射による発熱量にこの加熱量が加わることによりその分上昇した電圧が前述した差動型熱電対から出力される。これが伝送処理装置7に取り込まれ、中央制御室に伝送され、伝送装置9で受信され、データ処理装置12の信号処理手段121及び校正定数算出手段123により処理されて、γ線検出器自体の校正がなされる。1つのストリングのγ線検出器の校正が終了すると、切替スイッチ133を切替えて他のストリングのγ線検出器の校正用ヒータを制御して校正を実施する。
【0021】
次に、γ線検出器の校正について詳しく説明する。γ線検出器の出力電圧、つまり差動型熱電対の出力電圧Uは(数1)で与えられる。
【数1】
ここで、 S0は検出器感度(mV/(w/g))、αは非線形係数(1/mV)、Wは放射線から付与される発熱量(w/g)である。この(数1)において、検出器感度S0がプラント運転経過に伴って変化する。これは、図2のγ線発熱金属42であるSUSに含まれている水素が、SUS自体の放射線発熱により断熱チェンバ41に入り込んできて、断熱特性を変化させることによって生じるものである。従って、プラント起動時の出力上昇過程及びその後の一定期間においては、検出器感度S0の変化が大きく、プラント出力一定の運転においては、検出感度S0の変化は小さい。このため、プラント起動時及びその後の一定期間においては、検出感度S0を補正するための校正を実施する。また、現在は、原子力プラントは出力一定運転を実施しているが、電力需要等の関係などから負荷追従運転を実施するようになると、出力が変わることによって上記γ線発熱金属42であるSUSの発熱が変化するため、出力変化後に検出感度S0の校正を実施する。また、出力一定運転の時には、一定間隔で校正を実施する。校正開始は、図1のγ線検出器校正指令を発行することによって実施可能であり、マニュアルで指令を与えたり、計算機14からオンデマンドで与えることによって達成できる。
【0022】
γ線検出器の具体的校正は以下のようになされる。図3にγ線検出器の校正曲線を示す。プラント運転中の放射線加熱に対する熱電対出力電圧は(数式1)に示した通りであり、この状態で校正用ヒータをΔWだけ加熱すると、熱電対出力電圧はΔUだけ変化しU′(mV)になる。ヒータ加熱量は、校正用ヒータの抵抗と流した電流あるいは印加した電圧により求めることが可能であり、ヒータ加熱前後の熱電対出力電圧U、U′を測定することにより新たな検出器感度S0を求めることが可能である。この計算が校正定数算出手段123でなされる。ヒータ加熱後の熱電対出力電圧U′は次の(数2)で表わせる。
【数2】
ここで、ΔWは校正用ヒータの加熱量(w/g)である。(数1)及び(数2)より検出器感度S0を求めると(数3)を得る。
【数3】
従って、校正定数算出手段123は、(数3)を演算して新たな検出器感度S0を算出し、この校正した感度S0を信号処理手段121に出力する。ただし、ΔWの算出にあたっては、例えば校正用ヒータの単位長さ当りの抵抗をR(Ω/cm)、γ線発熱金属の単位長さ当りの質量をM(g/cm)、校正用ヒータに流れる電流をIとすると、ΔW=I2R/M(w/g)で計算できる。電源装置134は、電源制御装置135によって出力電流及び出力電圧が制御されるため、図1に示すように電源制御装置135から校正定数算出手段123にも電源装置134に出力した制御信号(この例では出力電流情報)を出力することにより、校正用ヒータに流れる電流Iを校正定数算出手段123で求めることができる。図1の例では、出力電流情報としたが出力電圧情報を与えて、印加電圧によりΔWを算出してもよい。さらに、出力電流情報や出力電圧情報の制御信号ではなく、電源装置から出力された電流あるいは電圧の測定データを電源装置134から校正定数算出手段123に出力してΔWを算出してもよい。
【0023】
校正用ヒータ44の加熱においては、電源制御装置135が電源装置134を制御して図4に示すように、まず、ヒータへの熱ストレスを緩和するように、ランプ的にヒータ電流Iを上昇させ、所定値で一定値を保つ。発熱量ΔWは、このヒータ電流に対して応答遅れを伴って上昇し、その後一定になる。この一定となっている状態での熱電対出力電圧を測定して、検出器感度S0を求める。その後、ヒータ電流を更にランプ的に上昇させ、一定に保つ。発熱量ΔWが再度上昇し、安定となっている状態で、熱電対出力電圧を測定して、検出器感度S0を求める。図4では、この作業を合計3回実施して、1つのストリングのγ線検出器に対して異なった発熱量ΔWを与えて、それぞれのγ線検出器4a〜4kの新たな検出器感度S0を求め、例えば異なった発熱量ΔWごとに求めたS0の平均をとったり、最小二乗法によりフィッテングすることにより、より一層精度を向上させることができる。図4の時間t0からt1の期間、つまり1つのストリングのγ線検出器の所要校正時間は約10分である。1つのストリングの校正が終了したら、ヒータ電流を0にした後に、切替スイッチ133を切り替えて他のストリングの校正を行う。このように切替スイッチ133の切替え時にヒータ電流を0とすることでスイッチングノイズの発生を防止し、γ線検出器の出力信号及び中性子検出器の信号をはじめ他の微弱信号計測系へのノイズ混入を防止できる。なおこの校正中に炉出力が変わるとそのための出力電圧変化が生じるから、校正中は炉出力が一定の状態で実施する必要がある。
【0024】
さて、信号処理手段121は、校正定数算出手段123で算出された新たな感度S0を入力すると、このS0を用いて下記の(数4)に従って放射線発熱量Wを求め、別途用意される放射線発熱量Wと炉出力あるいは中性子束との関係を用いて、炉出力あるいは中性子束レベルに変換し、これらの信号をデータ出力禁止手段122を介して計算機14に出力する。
【数4】
なお、(数4)は(数1)より求められる。計算機14では、これらの入力データ及びLPRM装置10からの局所出力信号(LPRM信号)を用いて、LPRMセンサ5A〜5Dの校正及び出力分布計算を実施する。LPRMセンサの校正は、LPRMセンサと同一高さに設けられたγ線検出器の出力信号の信号変換済みのデータ(両信号を直接比較可能なデータに変換したもの)を比較し、LPRMセンサの出力が該当するγ線検出器の信号変換済みのデータと同一になるようにゲインを求める。これが校正定数であり、LPRM装置10で用いられる新たなゲイン定数となる。また、出力分布計算は図5に示すように、炉心状態データを入力して、流量分布,ボイド分布を求め、さらに出力分布を求め、計算を繰返して、最終的にγ線検出器の出力信号と一致する出力分布を算出する。
【0025】
さて、従来技術で述べたように、1350MWe級プラントの場合、γ線検出器ストリング数は52個あり、1ストリングあたりのγ線検出器は多くても11個である。γ線検出器の出力信号は1点あたり10msec程度で十分サンプリングすることができる。このため、データ処理装置12には、高々5.7sec(52×11×10msec)程度で全γ線検出器の出力信号を入力することができる。
また、データ処理装置の演算周期は数十msecであり、計算機14によるLPRMセンサの校正定数算出は1分以内には完了する。これに対して前述した様に、校正用ヒータの制御に約10分(図4の時間t1−t0)を要す。従って、γ線検出器自体の校正を開始して、LPRMセンサの校正定数を算出するまでの時間は、ほぼ校正用ヒータの所要制御時間で決定されることになる。一方、γ線検出器の感度S0はプラント起動時に変化しやすいため、給水ポンプ切替のための作業期間を利用してγ線検出器自体の校正をすることが有効であり、給水ポンプ切り替えのために炉出力を一定に保持している時間は約2時間20分(140分)である。この内訳としては、ポンプ切替作業に1時間、直員の引継ぎ、交替に1時間から1時間20分要している。特に直員の引継ぎ、交替にあたっては、プラントの運転信頼性向上の観点から炉出力が一定になっている時に実施するようにしている。
そこで本発明では、校正用ヒータの所要制御時間と、プラント起動時ポンプ切替に伴う炉出力一定の時間とから、この時間内に全γ線検出器の校正が完了するようにするためのヒータ制御装置の最適台数を以下のように決定した。
【0026】
いま、ヒータ制御装置の台数をN、γ線検出器のストリング数をM、γ線検出器1ストリング当たりの校正時間をT(分)、炉出力一定時間をL(分)とすると、L分以内にγ線検出器をすべて校正するには(数5)を満足する様にNを決定する必要がある。
【数5】
以下では、図4に示した様にγ線検出器1ストリングの校正時間Tは約10分であり、γ線検出器のストリング数MはLPRMセンサのストリング数と同一であるものの、プラント出力容量によって異なるため、最新プラントである1350MWe級プラントと1100MWe級プラントを例に(数5)の関係を明らかにすることにした。また、(数5)のLは前述した給水ポンプ切替時の炉出力一定期間140分とする。このとき、全γ線検出器を校正するのに必要な時間MTをヒータ制御装置の台数Nをパラメータとして求めると、(表1)となる。
【表1】
この表からわかるように、いずれのプラントタイプに対してもヒータ制御装置の台数は4台以上にする必要がある。つまり、ヒータ制御装置を4台以上とし、同時にこれらのヒータ制御装置を動作させて複数のγ線検出器自体の校正をすれば、校正のためにプラント起動時間の伸長は不要となり、計画通りに定格出力に到達させることができ、経済的に大きな効果が得られる。
【0027】
この観点に基づき図1では最小台数である4台のヒータ制御装置を設けた場合の構成を示した。この場合、1350MWe級プラントでは、各ヒータ制御装置に接続される校正用ヒータは13本となる。つまり、1台の電源装置134で、順次13本の校正用ヒータの加熱量を制御し、これが4台並列に同時に実施されることになる。一方、1100MWe級プラントでは、4台のヒータ制御装置には、例えばそれぞれ、11本、11本、11本、10本の校正用ヒータが接続され、4台のヒータ制御装置によって同時に並行して複数の校正用ヒータの加熱制御がなされる。なお、図1の例ではデータ処理装置12は2台とし、図示していないが、2台のヒータ制御装置13からの情報が1台のデータ処理装置12に入力され、残り2台のヒータ制御装置13からの情報が他のデータ処理装置12に入力され、各データ処理装置12でγ線検出器の校正がなされるものとしている。
【0028】
表1の例では、給水ポンプ切替時の炉出力一定時間は140分としていたが、プラントによっては給水ポンプの切替に自動制御装置を適用してその切替時間を短縮する場合がある。この場合、上記の例で約1時間と考えた吸水ポンプ切替時間が約15〜30分に短縮される。また、直員の引継ぎ、交替は約1時間から1時間20分である。従って、このケースの最短時間はL=1時間15分(75分)となる。この場合は、(数5)の条件を満たすヒータ制御装置の台数は、表1からも明らかなように1350MWe級プラントで7台以上、1100MWe級プラントで6台以上となる。従って、これらの台数のヒータ制御装置を設置して、γ線検出器の校正を実施することがプラント起動時間の短縮に対応でき、定格出力到達時間を短縮して経済性を高めることが可能である。
【0029】
さらに以上の説明ではγ線検出器1ストリングあたりの校正時間Tを約10分として扱っていた。これは、図4のように校正用ヒータを制御し、その結果として出力されるγ線検出器の出力信号をフィルタリング処理して、γ線検出器の校正を実施する場合であるが、γ線検出器自体の校正時間短縮の観点から、伝送処理装置6にて入力信号を微分して応答性を高める方法を用いることもできる。しかしこの方法では、入力信号にγ線によるゆらぎノイズ、入力信号増幅器のノイズ、及びA/D変換器の量子化ノイズがあるため、これらのノイズをフィルタで抑制しかつ適度な微分係数を設定する必要がある。こうして、γ線検出器出力信号を位相進み/遅れ回路(具体的にはソフト処理)で処理することにより、諸ノイズの影響を抑制して出力信号の遅れを改善することが可能である。この場合、約1分程度の短縮を図ることができ、1ストリングあたりの校正時間は9分程度にすることができる。この方法を用いると、炉出力一定時間L=140分の場合、(数5)から明らかな様に、1350MWe級プラントでは、ヒータ制御装置の台数Nは前回と同様に4台であるが、1100MWe級プラントでは3台でよい。
【0030】
なお、プラント出力容量に対応してヒータ制御装置の台数を変えるよりも、台数を共通にして、標準設計により固定式原子炉内計装システムを開発、製作した方がシステム価格を低減できる場合もある。ここで検討している2つのプラントに共通するヒータ制御装置の所要台数は、L=75分の場合7台であるので、これを固定したときは1350MWe級プラントでは、例えば、7台のヒータ制御装置のうちの5台のヒータ制御装置に各々8本の校正用ヒータを接続し、残り2台のヒータ制御装置に各々6本の校正ヒータを接続する構成とする。また、L=140分の場合は4台に固定することになる。
【0031】
次に、ヒータ制御装置の信頼性向上について述べる。図1において、校正用ヒータ44の加熱制御を実施するヒータ制御装置13、特に電源装置134は他の計装装置と比較すると電力容量が大きく、電力制御を行うため、使用する半導体素子、例えばパワートランジスタの故障率が他の部品と比較して高く、結果として、他計装装置と比べ故障しやすい。しかも、前述した様にヒータ制御装置13は複数台設けるため、ヒータ制御装置、とりわけその構成装置である電源装置が故障する確率が高くなる。ところがヒータ制御装置13はγ線検出器自体の校正に使用されるものであるため、高信頼度が要求される。従って、ヒータ制御装置13が健全であるかを確認できるようにしておくことが重要である。この機能を備えるようにしたものが診断装置26である。
【0032】
診断装置26の構成を図6に示す。図1では校正用ヒータへの電力供給ケーブルは単線図で示したが、実際には、図2にも示したように2本になっている。電圧電流検出手段251、252は、この2線間の電圧と片線の電流を取り出す。この2線間電圧はアナログ/ディジタル変換器(A/D)261でディジタル化される。また校正用ヒータへの印加電流は、2線のうちいずれかに、校正用ヒータの抵抗値に比べ十分に小さな抵抗rを設置し、この両端電圧として取り込まれ、A/D262でディジタル信号に変換される。これらの検出信号は、ヒータ制御装置13からの校正用ヒータの電圧/電流の制御信号と比較手段263、264で比較され、判定手段265で許容範囲内で一致・不一致の判定が行われる。そして許容範囲内で一致していれば、正常であることを示す信号を表示器27に出力し、不一致であれば、異常であることを示す信号を表示器27に出力する。なお上記では、電圧と電流の両方を検出して診断するものとしたが、電圧と電流の関係が校正用ヒータの抵抗に比例しているため、いずれか一方であってもよいことは言うまでもないことである。なお、上記診断については、複数のヒータ制御装置13に対して実施される。
【0033】
このような診断装置を設けて診断結果を表示するようにすると、運転員あるいは保守員が容易に、ヒータ制御装置13、特に電源装置134の健全性を確認でき、かつ不具合発生時には、不具合電源装置134(ヒータ制御装置13全体である場合もある)を至急修理、保守、あるいは交換して、γ線検出器の校正が正しく行われるようにすることができる。これは炉出力一定期間を伸張させないためにも有効である。さらにヒータ制御装置13を図1のように、運転員あるいは保守員が通常執務している場所(中央制御室)に設けておけば、健全性の確認及び不具合電源の修理、交換が容易である。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、原子炉起動時の給水ポンプ切替時の炉出力一定期間内で、γ線検出器自体の校正を実施することが可能となり、原子炉起動時間の伸長を生じさせることがなく、プラント起動を完了させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる固定式原子炉内計装システムの構成例を示す図である。
【図2】γ線検出器の構造を示す図である。
【図3】γ線検出器の校正曲線と校正方法の説明図である。
【図4】校正用ヒータの電流と発熱量の関係を示す図である。
【図5】計算機14による出力分布計算の説明図である。
【図6】診断装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
4a〜4k γ線検出器
5A〜5D 中性子検出器
7 伝送処理装置
9 伝送装置
12 データ処理装置
13 ヒータ制御装置
26 診断装置
44 校正用ヒータ
134 電源装置
135 電源制御装置
Claims (4)
- 原子力プラント起動時に、出力が上昇してくる過程で炉出力一定を維持して、給水ポンプを、電動駆動型ポンプから、炉出力である出力蒸気を駆動源とするタービン駆動型ポンプへと、切替える機能を持つ原子力プラントにおいて、原子炉内の中性子束レベルを検出するための炉軸方向に複数個配置された中性子検出器とこの中性子検出器に並設して配置されて原子炉内の中性子束分布測定及び前記中性子検出器の感度校正を行うための複数個のγ線検出器とを収容したストリングの複数本と、前記中性子検出器の感度校正に先立って前記γ線検出器自体の校正を行うために当該γ線検出器を加熱するための前記ストリング毎に設けられた校正用ヒータと、前記γ線検出器で検出したγ線検出信号に基づいて中性子検出器の検出信号を校正する処理並びに、上記切替中の炉出力一定下でγ線検出器自体の感度校正を行うための校正指令を発生する処理を行う計算機と、上記切替中の炉出力一定下で前記校正指令に基づいて、電圧又は電流の制御信号を発生する電源制御装置及び対象ストリングを1本づつ切替えて前記制御信号に基づいて当該ストリングの校正用ヒータに電圧又は電流を供給加熱する電源装置を具備する複数個のヒータ制御装置と、この校正用ヒータへの加熱によるγ線検出器の検出信号を取り込み当該γ線検出器自体の感度校正を行い、前記計算機へこの校正結果を提供する手段を具備したデータ処理装置とを具え、前記計算機と複数のヒータ制御装置とデータ処理装置を中央制御室に設置した固定式原子炉内計装システム。
- 原子力プラント起動時に、出力が上昇してくる過程で炉出力一定を維持して、給水ポンプを、電動駆動型ポンプから、炉出力である出力蒸気を駆動源とするタービン駆動型ポンプへと、切替える機能を持つ原子力プラントにおいて、原子炉内の中性子束レベルを検出するための炉軸方向に複数個配置された中性子検出器とこの中性子検出器に並設して配置されて原子炉内の中性子束分布測定及び前記中性子検出器の感度校正を行うための複数個のγ線検出器とを収容したストリングの複数本と、前記中性子検出器の感度校正に先立って前記γ線検出器自体の校正を行うために当該γ線検出器を加熱するための前記ストリング毎に設けられた校正用ヒータと、前記γ線検出器で検出したγ線検出信号に基づいて中性子検出器の検出信号を校正する処理を行う計算機と、上記切替中の炉出力一定下でマニュアルで与える校正指令に基づいて、電圧又は電流の制御信号を発生する電源制御装置及び対象ストリングを1本づつ切替えて前記制御信号に基づいて当該ストリングの校正用ヒータに電圧又は電流を供給加熱する電源装置を具備する複数個のヒータ制御装置と、この校正用ヒータへの加熱によるγ線検出器の検出信号を取り込み当該γ線検出器自体の感度校正を行い、前記計算機へこの校正結果を提供する手段を具備したデータ処理装置とを具え、前記計算機と複数のヒータ制御装置とデータ処理装置を中央制御室に設置した固定式原子炉内計装システム。
- 前記ヒータ制御装置の台数を、4台又は7台とする請求項1又は2の固定式原子炉内計装システム。
- 前記ヒータ制御装置の台数を、前記1つのストリングに収容されたγ線検出器の校正に要する時間とストリングの個数の積を前記中性子検出器の感度校正のために許された許容時間で割った数よりも多い台数としたことを特徴とする請求項1又は2の固定式原子炉内計装システム。
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