JP3567038B2 - 原子炉出力監視装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力発電プラントの原子炉核計装システムに係り、特に出力領域における中性子束の監視を行う原子炉出力監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の原子力発電プラントで沸騰水型軽水炉においては、その出力領域における炉心内の中性子束を監視する原子炉出力監視装置として、出力領域モニタ(Power Range Monitoring, PRM)が設けられていている。 この出力領域モニタについては、炉心の平均出力の計測と局部出力分布の計測と共に、原子炉出力約10%以上の出力領域での運転時に、局部出力及び平均出力の過渡変化に対して炉心を保護すること(安全保護機能)を目的としている。
【0003】
沸騰水型軽水炉で大型炉を例にすると、図8のブロック構成図に示すように、出力領域モニタ1における局部出力領域モニタ(Local Power Range Monitoring,以下、LPRMと略称する)検出器集合体2は、例えば炉心軸方向に沿って等間隔で4つのLPRM検出器3を配置している。
【0004】
また、前記LPRM検出器集合体2は、図9の炉心平面配置図に示すように炉心4内で、制御棒5の2本間隔毎に格子状に、A系のLPRM検出器集合体2、及びB系のLPRM検出器集合体2を市松模様状に配置しており、LPRM検出器集合体2それぞれの、各LPRM検出器3からの信号により炉心4の局部出力分布の計測を行っている。
【0005】
平均出力領域モニタ(Average Power Range Monitor ,以下、APRMと略称する)としては、APRM演算装置6(以下、APRMユニットと呼ぶ)により、前記LPRM検出器3の信号を炉心4の全体から均等に入力して、このLPRM検出器信号より、炉心4の平均出力レベルの計測を行っている。
【0006】
なお、APRMユニット6は、炉心4の平均出力レベルが設定値に達した時や、LPRM検出器3の信号入力数がAPRM演算に必要な数を下回った時、及びAPRMユニット6が電源喪失等により監視機能が無効となった時には、原子炉保護系(Reactor Protection System,RPS)7にトリップ信号を出力して、原子炉を緊急停止したり(以下、スクラムと呼ぶ)警報信号を出力したりする。
【0007】
原子力発電プラントにおいて安全保護機能を有する系統は、その系統を構成するチャンネルの単一故障が起きた場合でも、所定の安全保護機能を失わないように、多重性を備えた設計とする必要があり、従って、沸騰水型軽水炉のBWR−2/3/4/5型については、原子炉保護系に二重の1outof2方式を採用して、2系4区分(A,B系、区分1A,2A,1B,2B)のチャンネル構成となっている。
【0008】
しかし、原子炉核計装システムについては、プラント運転中でも使用状態からの取り外し(以下、バイパスと呼ぶ)を行って、適宜、保守や調整及び校正ができるようにA,B各系でそれぞれに1チャンネル多い構成、すなわち、各系とも3チャンネル(A系−A,C,Eチャンネル、B系−B,D,Fチャンネル)の、合計6チャンネルの構成として、各系のAPRMユニット6には同一系に属する無停電電源より給電を行っている。
【0009】
また、A,B両系で原子炉保護系7に接続している3チャンネルのAPRMユニット6の内で、1チャンネルのAPRMユニット6をバイパススイッチ8によりバイパスすることができ、このバイパスされたAPRMユニット6からは当然のことながら、原子炉保護系7に呈するトリップ信号は出力されない。
【0010】
しかしながら、1系の3つのAPRMユニット6の内で、バイパススイッチ8により1チャンネルをバイパスした状態においても、残りの2チャンネルのAPRMユニット6が、そのA系及びB系の2つの原子炉保護系チャンネルのいずれかに接続されている。
このために、さらに、APRMにおいて単一故障が起きた場合でも、故障していない残りの1チャンネルのAPRMと、他系のAPRMにより多重性を確保することができる。
【0011】
前記複数のLPRM検出器3からの信号のAPRMへの配分方法は、LPRM検出器3の数が炉心4の大きさにより異なることから、発電機出力 540MWe以下の小型炉と、 780MWe以上の大型炉で異なっている。
小型炉の場合は、LPRM検出器数が少ないために、LPRM検出器3の信号をA系とB系のAPRM間で共用することにより、APRM演算に必要なLPRM検出器信号の入力数を確保し、炉心4の全体を均等に監視している(通常は1つのLPRM検出器信号を1つのAPRMユニット6に入力する)。
【0012】
A,B各系のうち1チャンネルのAPRMユニット6は、各LPRM検出器集合体2から1つずつのLPRM検出器信号(全LPRM検出器信号の1/4)を直接入力してAPRM演算を行っている。
しかし、残りの2チャンネルは、APRM演算に用いるLPRM検出器信号の約半数を他系のAPRMから間接的に入力して、APRM演算に必要なLPRM検出器信号数を確保してAPRM演算を行っている。
【0013】
従って、共用チャンネルは2組存在し、各組で同じLPRM検出器信号を使用するために、同じAPRM演算を行うことになり、6チャンネルのAPRMで実質4チャンネル分のAPRM演算を行うことになる。
【0014】
大型炉の場合は、上記図9のように炉心4内で制御棒5の2本間隔毎に格子状に、A系のAPRMに入力するA系LPRM検出器集合体2、及びB系のAPRMへ入力するB系LPRM検出器集合体2を市松模様状に配置している。
これによる各APRMは、同一系に属する各LPRM検出器集合体2から、1つずつのLPRM検出器信号(一つの系に属するLPRM検出器信号の1/4)を入力してAPRM演算を行っている。
【0015】
これにより、大型炉では小型炉と異なり、異区分間でのLPRM検出器信号の共用をなくしているが、全LPRM検出器集合体2で、A,B系でそれぞれ1つのLPRM検出器集合体2がAPRMユニット6に入力されていない。
【0016】
従って、図8に示すように6チャンネル(ch.A〜ch.F)のAPRMユニット6に加えて、LPRM検出器信号監視装置9(以下、LPRMユニットと呼ぶ)をA,B各系に1つずつ設けて、前記それぞれ1つのLPRM検出器集合体2と接続し、そのデータを図示しないプロセス計算機等へ出力するようにしている。
【0017】
また、APRMユニット6においては、炉心4の再循環流量に応じて変化するトリップ信号の出力設定点を備えており、このために、出力領域モニタ1では炉心冷却材の再循環流量の監視も行っている。
【0018】
この再循環流量の監視は、炉心4に対して冷却材を循環させる図示しない複数の再循環系で、各再循環ループに設置した差圧伝送器10からの信号を、再循環流量演算装置11(以下、再循環流量ユニットと呼ぶ)に入力して、炉心4における再循環ループ流量総和を演算して各APRMユニット6へ出力する。
なお、前記差圧伝送器10及び再循環流量ユニット11は、その単一故障がA,B両系のAPRMに影響を与えないように、各系1または2チャンネル、両系で2または4チャンネルの構成としている。
【0019】
各APRMユニット6は、同一系に属する再循環流量ユニット11から再循環ループ流量総和信号を入力して、この入力された再循環ループ流量総和が、1チャンネルの場合はその値に、2チャンネルの場合は低値選択した値に応じて、トリップ信号の出力設定点を決定する。
【0020】
さらに、APRMユニット6からは、データを図示しないプロセス計算機、及び運転領域制限システム、原子炉手動制御系(Reactor Manual Control System,RMCS)12等にも出力する。
また、前記再循環ループ流量総和信号は、制御棒引抜監視装置(Rod Block Monitor,RBM)13へも出力されて、原子炉手動制御系12における制御棒引抜阻止トリップ出力の設定点の決定に使用される。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
従来のAPRMを6チャンネルに構成した出力領域モニタ1の場合に、小型炉においてはA,B両系間でLPRM検出器信号を共用して、同じAPRM演算を行っているチャンネルがあるために、共用チャンネルに入力されるLPRM検出器3の指示値の異常が、両系のAPRMに影響を与える可能性がある。
また、APRMの共用チャンネルの故障が、共用する他系のAPRMに影響を与えることから、これらの対策として影響を緩和するために、LPRM検出器信号の上限値を制限をする複雑な制限回路を設けなければならない支障がある。
【0022】
また、共用チャンネルのAPRMの一方が故障状態となり、他系側の共用APRMにおいて間接的に入力されていたLPRM検出器信号が喪失して、APRM演算に必要なLPRM検出器信号数を下回っても、その共用APRMがトリップ信号を出力しないようにしている。
ただし、この場合においては、直接入力されているLPRM検出器信号のバイパスを許容しないようにしている。
【0023】
大型炉においては、炉心4においてLPRM検出器集合体2を、市松模様状にA系,B系に配分していることから、A系とB系でAPRMへのLPRM検出器信号入力数が異なることになるので、プラントによっては、APRM演算に必要な最小LPRM検出器信号入力数との関係から、LPRM検出器信号のバイパス許容数が少ない系が生じる支障があった。
【0024】
本発明の目的とするところは、APRMを4チャンネルとして各チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電を行うと共に、原子炉保護系チャンネルと同一系の無停電電源から給電して、運転中でも保守と調整及び校正ができるAPRMのバイパスと、バイパスされたAPRMの系の他のAPRMの単一故障に際しても、安全保護機能を失わない多重性を備えた原子炉出力監視装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、沸騰水型軽水炉の炉内に複数配設したLPRM検出器の信号を入力処理するAPRMを4チャンネルとしてそれぞれをバイパス可能に構成すると共に前記APRMの単一故障に際しても他のAPRM1チャンネルのバイパスが可能で安全保護機能を確保する。
【0026】
APRMが4チャンネルで、各LPRM検出器集合体から1つずつのLPRM検出器信号を各APRMへ入力できるので、小型炉においては、LPRM検出器の共用チャンネルがなくなり、大型炉においては、各APRMへ入力されるLPRM検出器信号数が増加する。
また、各APRMがバイパス可能として、APRM1チャンネルをバイパスして所定の保守等の作業中に、他のAPRMの単一故障が発生しても、監視に支障のない多重性による安全保護機能が確保されている。
【0027】
請求項1記載の発明に係る原子炉出力監視装置はさらに、4チャンネルAPRMの各チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電する。
APRM1チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電するので、1つの系で電源喪失が発生しても、もう一方の系の無停電電源から給電により、APRMの監視機能を保持するので1つの系の電源喪失によるトリップ信号は出力されない。
【0028】
請求項1記載の発明に係る原子炉出力監視装置はさらに、4チャンネルのAPRMの各チャンネルに対する異なる系の無停電電源からの給電全てに対して、電気的及び物理的な分離を確保したことを特徴とする。
4チャンネルAPRMのそれぞれに供給する2系の無停電電源の一方に電気的及び物理的な分離(アイソレーション)を施しているので、一方のAPRM系の電源系に異常が生じても、これの影響が他の電源系には及ばない。
【0029】
請求項2記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMに接続してそのうち2つのAPRMがトリップ状態の時に原子炉保護系へトリップ信号を出力する2outof4論理のボーティング回路を複数備えると共に、前記ボーティング回路が原子炉保護系チャンネルと1対1で接続されたことを特徴とする。
【0030】
APRMが4チャンネル構成で、原子炉保護系との間に2outof4論理のボーティング回路を原子炉保護系チャンネル数と同数備えているので、APRMで2チャンネル以上がトリップとなった時のみ、ボーティング回路より原子炉保護系へトリップ信号が出力されて原子炉はスクラムとなる。
また、APRMの1チャンネルバイパス時には2outof3論理となり、他のAPRMチャンネルで単一故障が発生しても、多重性により安全保護機能が確保される。
【0031】
請求項3記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMの各チャンネルに対して、無停電電源各系毎に電子回路電源供給回路を備えて前記電子回路電源供給回路の出力を異なる系と突合せてから当該APRMへ給電する電源供給装置を設けたことを特徴とする。
APRM内の電子回路に対する電力は、電源供給装置から二重化された無停電電源により安定して供給される。
【0032】
請求項4記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMの各チャンネルに対して、無停電電源各系毎に電子回路電源供給回路を備えて、前記電子回路電源供給回路の出力を異なる系と突合せてから検出器電源供給回路へ給電することを特徴とする。
LPRM検出器に対する電力は、電源供給装置から二重化された無停電電源によりAPRMを介して安定に供給される。
【0033】
請求項5記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMの各チャンネルに対して、独立した2系の無停電電源を突合せてから電子回路電源供給回路及び検出器電源供給回路に給電する電源供給装置を設けたことを特徴とする。
LPRM検出器及びAPRM内の電子回路に対する電力は、電源供給装置から二重化された無停電電源により安定して供給される。
【0034】
請求項6記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、ボーティング回路に対して接続される原子炉保護系チャンネルと同一系の無停電電源から給電を行うと共に、異区分のAPRMとの取り合いに対して前記ボーティング回路を電気的及び物理的に分離して片系の電源喪失時に前記ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系へトリップ信号を出力することを特徴とする。
【0035】
ボーティング回路に対する電源、二重化された無停電電源から安定して供給されると共に、一方を電気的及び物理的に分離する。また、片系の電源喪失時には、ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系へトリップ信号が出力される。
【0036】
請求項7記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、APRM1チャンネルがトリップした際に、警報及びトリップ表示信号を出力することを特徴とする。
APRMにおけるトリップ発生は、当該APRMが出力する警報及びトリップ表示信号により報知される。
【0037】
請求項8記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、ボーティング回路の動作不能時に当該ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系チャンネルへトリップ信号を出力することを特徴とする。
ボーティング回路に動作不能が生じると、当該ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系チャンネルへトリップ信号が出力される。
【0038】
請求項9記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMに接続してそのうち2つのAPRMがトリップ状態の時に、原子炉保護系へトリップ信号を出力する2outof4論理のボーティング回路を複数備えて、前記ボーティング回路が原子炉保護系チャンネルと1対1で接続すると共に、前記APRMの各チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電することを特徴とする。
【0039】
APRMで2チャンネル以上がトリップとなった時のみ、ボーティング回路より原子炉保護系へトリップ信号が出力せられて原子炉はスクラムとなる。
従って、APRMの1チャンネルバイパス時は2outof3論理となり、他のAPRMチャンネルで単一故障が発生しても、多重性により安全保護機能が確保される。
【0040】
さらに、APRMには1チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電するので、1つの系で電源喪失が発生しても、もう一方の系の無停電電源から給電されて、APRMの監視機能を保持するので1つの系の電源喪失によるトリップ信号は出力されない。
【0041】
請求項10記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、炉心に冷却材を循環させる複数の再循環ループに差圧伝送器を各区分毎に設置すると共に、4チャンネルの再循環ループ流量総和を4チャンネルのAPRMと同一区分で1対1で対応させてトリップ状態の判定を行うことを特徴とする。
各APRMにおいて各区分の再循環ループ流量を差圧伝送器より入力して、APRMで再循環ループ流量総和を演算する。これにより、差圧伝送器の単一故障が2チャンネル以上のAPRMに影響を与えるこが防止される。
【0042】
請求項11記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、再循環ループ差圧信号を同一区分のAPRMへ直接入力して、前記APRMで再循環ループ流量総和演算を行うことを特徴とする。
各APRMにおいて差圧伝送器の出力信号から、再循環ループ流量総和の演算を行う。
【0043】
請求項12記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、APRMチャンネルとそれに対応する再循環ループ流量総和チャンネルのバイパスを同時に行うことを特徴とする。
APRMで各区分の再循環ループ流量を差圧伝送器より入力すると共に、再循環ループ流量総和の演算をすることにより、APRMチャンネルとそれに対応する再循環ループ流量総和チャンネルのバイパスを同時に行うことができる。
【0044】
請求項13記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、同一系に属するAPRM出力レベルのうち高値選択信号により制御棒引抜監視演算を行うことを特徴とする。
制御棒引抜監視装置ではトリップ出力が安全側に出力するように、各系のAPRMの信号のうち高値を選択して、制御棒引抜監視出力の演算及び制御棒引抜き阻止トリップ出力の設定点を決定する。
【0045】
請求項14記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、同一系統に属する再循環ループ流量総和出力レベルのうち低値選択信号により制御棒引抜監視演算を行うことを特徴とする。
制御棒引抜監視装置ではトリップ出力が安全側に出力するように、各系の再循環ループ流量総和信号のうち低値を選択して、制御棒引抜監視出力の演算及び制御棒引抜き阻止トリップ出力の設定点を決定する。
【0046】
請求項15記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、選択制御棒挿入領域判定を各APRMで行うと共に、選択制御棒挿入領域判定時に前記ボーティング回路へトリップ信号を出力することを特徴とする。
選択制御棒挿入トリップ信号は、APRM1チャンネルバイパス時に単一故障が発生しても多重性を備えるように、2outof4論理のボーティング回路を介して出力する。
【0047】
請求項16記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4つのAPRMで演算した熱流束相当出力のうち中間2値の平均値により運転領域制限判定を行うことを特徴とする。
APRMにおける運転領域制限判定に際しては、熱流束相当出力のうち中間2値の平均値を出力する。
【0048】
請求項17記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、応答時間要求のある信号は直接出力し、応答時間要求のない信号はデータ伝送装置を介して出力することを特徴とする。
応答時間要求のある信号はそのまま出力するが、応答時間要求のない信号についてはデータ伝送装置を介して出力することにより、プラントにより異なる他の系統との取り合いの調整をデータ伝送装置で実施できる。
【0049】
請求項18記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、原子炉格納容器における同一貫通孔に挿通しているLPRM検出器信号を1つのAPRMへ入力することを特徴とする。
LPRM検出器からAPRMまでの既設の配線及び経路を変更せずに施工することができる。
【0050】
請求項19記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、炉内において同一軸上に配置した4つのLPRM検出器により構成されるLPRM検出器集合体中で、各LPRM検出器からの信号をそれぞれ異なるAPRMに入力すると共に、互いに近接する4つのLPRM検出器集合体中の炉心軸方向に直交する同一平面上にある各LPRM検出器からの信号が同一のAPRMへ入力しないように配分することを特徴とする。
【0051】
各LPRM検出器集合体中の炉心軸方向に直交する同一平面上にある各LPRM検出器からの信号が同一のAPRMへ入力しないようにすることにより、炉心の全体から極力均一にLPRM検出器の信号を各APRMへの配分ができる。
【0052】
請求項20記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、炉内に配設したLPRM検出器集合体で、近接する4つのLPRM検出器集合体中のLPRM検出器からの信号の千鳥配置によりAPRMへ配分することを特徴とする。
LPRM検出器からの信号の千鳥配置により、炉心から極力均一にLPRM検出器の信号を各APRMへ配分することができる。
【0053】
請求項21記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、沸騰水型軽水炉及び改良型沸騰水型軽水炉プラントにおいて、原子炉建屋内にLPRM検出器信号処理装置を設置すると共に、中央制御室に信号入出力手段と操作及び表示部を備えた制御装置を設置することを特徴とする。
【0054】
原子炉建屋に設置したLPRM検出器信号処理装置により、LPRM検出器の信号及び差圧伝送器の信号等を演算して、LPRMレベル,APRMレベル,再循環ループ流量総和レベル信号及びトリップ信号を出力する。
また、中央制御室に設置した制御装置では、LPRM検出器信号処理装置からのデータの表示と、原子炉保護系へのトリップ信号の出力等と共に、原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置に対して、各種設定値や信号経路等の変更あるいは切り替えを実施する。
【0055】
請求項22記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、LPRM検出器信号処理装置と制御装置との間のデータ伝達を光伝送することを特徴とする。
互いに離れた原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置と中央制御室に設置した制御装置の間を光伝送ケーブルで接続して、多重の光伝送によりデータの授受を行う。
【0056】
請求項23記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、LPRM検出器信号処理装置に外部より出力電圧変更が可能な電源供給装置と、外部より切り替え可能な信号経路切替装置を備えると共に、制御装置に電源供給装置と信号経路切替装置を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0057】
必要に応じて中央制御室の制御装置から、原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置に対して電源供給装置の出力電圧変更や、信号経路切替装置における信号経路切替を行う。また、LPRM検出器信号処理装置においても実施することができる。
【0058】
請求項24記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、電源供給装置と信号経路切替装置の制御手段は、複数のLPRM検出器を順次選択してLPRM検出器の電圧及び電流特性を自動的に測定すると共に、測定された電圧及び電流特性の傾きと連続性に基づいてLPRM検出器の機能評価と、この評価結果を表示する機能を備えたことを特徴とする。
【0059】
中央制御室の制御装置や原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置におけるバイパス、及び健全性確認の操作により、複数のLPRM検出器を順次選択して劣化状態等の評価を自動的に行う。
【0060】
請求項25記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、電源供給装置と信号経路切替装置の制御手段は、複数のLPRM検出器を同時選択して、LPRM検出器の電圧及び電流特性の傾きと連続性に基づいてLPRM検出器の機能評価と、この評価結果を表示する機能を備えたことを特徴とする。
中央制御室の制御装置や原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置におけるバイパス、及び健全性確認の操作により、複数のLPRM検出器を同時に劣化状態等の評価を自動的に行う。
【0061】
請求項26記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、制御装置に当該原子炉出力監視装置の有する監視機能を無効とする信号入力を備えて、監視機能無効信号が入力されている場合にのみLPRM検出器の電圧及び電流特性測定を行うことが可能で、監視機能無効信号が入力されていない場合にLPRM検出器の電圧及び電流特性測定を操作する手段を起動しようとした場合は警告表示を行うことを特徴とする。
【0062】
制御装置における操作によるLPRM検出器の健全性確認等を自動的に実施している場合に、もしも手動操作を行おうとした際は、制御装置から警告表示が行われて誤操作を防止する。
【0063】
請求項27記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、LPRM検出器信号処理装置の電源供給装置に高周波ノイズ除去装置を設けると共に、LPRM検出器信号の基準電位を原子炉建屋の接地電位とすることを特徴とする。
LPRM検出器の基準電位を原子炉建屋の接地電位とすると共に、高周波ノイズ除去装置により電源に外部からのノイズが侵入することを阻止して、測定精度と安定性を高める。
【0064】
請求項28記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、LPRM検出器信号処理装置にAPRM機能を備えると共に、制御装置には原子炉保護系へのトリップ信号出力機能を備えたことを特徴とする。
原子炉建屋内のLPRM検出器信号処理装置で得たAPRMのデータを、中央制御室に伝送し、制御装置から原子炉保護系へトリップ信号を出力する。
【0065】
請求項29記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、制御装置を介してLPRM検出器信号処理装置から制御棒引抜監視装置へデータを伝送することを特徴とする。
原子炉建屋内のLPRM検出器信号処理装置で得た制御棒引抜監視データを、中央制御室の制御装置から制御棒引抜監視装置へ伝送する。
【0066】
請求項30記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、制御装置を介して応答時間要求のない信号をデータ伝送装置へ伝送することを特徴とする。
応答時間要求のない信号は、制御装置を介してデータ伝送装置に伝送することにより、データ伝送装置にてプラントにより異なる他の系統との取り合いの調整ができる。
【0067】
請求項31記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、制御棒引抜監視装置の演算機能と前記データ伝送装置の機能を一つの電子装置に設けると共に、前記電子装置を冗長化したことを特徴とする。
制御棒引抜監視演算機能とデータ伝送機能を一体にすることで、冗長化が容易で信頼性が増す。
【0068】
請求項32記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、応答時間要求のある信号のうち原子炉保護系及び制御棒引抜監視装置への出力を除くものの出力は、制御装置より光・電気信号変換装置を介して行うことを特徴とする。
信号の伝達を光・電気信号変換装置において、電気あるいは光信号に変換して行う。
【0069】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
第1実施の形態は図1のブロック構成図に示すように、原子炉出力監視装置である出力領域モニタ14は、4つの(ch.A〜ch.Dの4チャンネル)APRMユニット15に対して、LPRM検出器3からの信号を配分する。
【0070】
APRMユニット15の外部においては、APRMユニット15の4チャンネルのうちで1チャンネルのみのバイパスを可能とするバイパススイッチ16を設けると共に、各APRMユニット15への電源供給は、各APRMユニット15毎に設けた電源供給装置17(以下、電源供給ユニットと呼ぶ)より行う(請求項1)。
【0071】
この電源供給ユニット17は、図2のブロック回路図に示すように、APRMユニット15内の電子回路に電力を供給する2つの電子回路電源供給回路18,19と、APRMユニット15外のLPRM検出器3に電力を供給する1つの検出器電源供給回路20から構成されている。
前記電子回路電源供給回路18,19へはそれぞれ独立した2系の無停電電源のいずれかから給電を行う(請求項1,請求項3,請求項4,請求項9)。
【0072】
また、前記無停電電源は、当該電源供給ユニット17と同一系と、当該電源供給ユニット17と異なる系の2つの無停電電源であり、ここでは説明の便宜上、電源供給ユニット17と同一系の無停電電源をA系無停電電源21、異なる系の無停電電源をB系無停電電源22として説明する。
【0073】
各APRMユニット15に対するA系無停電電源21またはB系無停電電源22は、いずれも接続された原子炉保護系チャンネルと同一系統の無停電電源は、直接接続しているが、異なる系の無停電電源については分離配線を行い、電源供給ユニット17の前段でアイソレータ23によりアイソレーションを行うことで、各電源供給ユニット17の電気的及び物理的分離を保つている(請求項1)。
【0074】
また、電源供給ユニット17内の2つの電子回路電源供給回路18,19により整流及び変圧された電力は、これを突合せたした後に検出器電源供給回路20、及びAPRMユニット15内の電子回路に給電される。
また、電源供給ユニットの他の実施例としては、図3のブロック回路図に示すように、電源供給ユニット24をそれぞれ1つの電子回路電源供給回路18と検出器電源供給回路20で構成している。
【0075】
この電源供給ユニット24では、入力された当該電源供給ユニット16と同一系と、異なる系の無停電電源であるA系無停電電源21と、B系無停電電源22を突合せた後に、電子回路電源供給回路18及び検出器電源供給回路20に給電する(請求項5)。
【0076】
以上のように電源を構成することにより、当該電源供給ユニット17と同一系と、異なる系の無停電電源である、A系無停電電源21あるいはB系無停電電源22の内で1つの系に電源喪失が発生しても、もう一方の系の無停電電源が正常であれば、APRMユニット15及びLPRM検出器3に対して給電が行われるので、監視機能は正常に保持されることから、電源の単一故障に起因する誤トリップを防止することができる。
【0077】
各APRMユニット15は4つのボーティング回路25と接続され、各ボーティング回路25は4つの図示しない原子炉保護系7と1対1で接続されて、APRMユニット15からのトリップ信号等を原子炉保護系7へ出力する(請求項2)。
なお、異区分のボーティング回路25とAPRMユニット15との取り合いに対しては分離配線して、それぞれアイソレータ26によりアイソレーションを行うことで、電気的及び物理的分離を確保している。
【0078】
また、各ボーティング回路25への電源供給は、接続先の原子炉保護系チャンネルと同一系のA系無停電電源21またはB系無停電電源22から給電を行う。
APRMユニット15では、入力されたLPRM検出器3からの信号の内でバイパスされていない信号の平均値よりAPRMレベルを演算する(請求項6)。
【0079】
図4の論理フロー図に示すように、APRMユニット15では演算されたAPRMレベルをスクラムトリップ出力設定値と比較して、トリップ出力設定値に達した時、及び監視機能が無効となった時に、各ボーティング回路25へトリップ状態を出力すると共に、トリップ表示信号27を出力して図示しない表示装置により表示する。
【0080】
ボーティング回路25には、各APRMユニット15のトリップ状態の入力と共に、バイパススイッチ16からの各APRMユニット15のバイパス状態が入力され、1つのAPRMユニット15がトリップ状態にあり、そのAPRMチャンネルがバイパススイッチ16によりバイパスされていない時は、警報28を発して運転員へ報知する(請求項7)。
【0081】
また、4つのAPRMユニット15の内で2つがトリップ状態にあり、それら2つのAPRMチャンネルがバイパススイッチ16によりバイパスされていない時には、ボーティング回路25は2outof4論理により、トリップ信号を接続された原子炉保護系チャンネルに出力する(請求項2)。
さらに、電源喪失等によりボーテンィング回路25が2outof4論理の判断機能を喪失した時にも、原子炉保護系7へトリップ信号等が出力される(請求項8)。
【0082】
なお、プラント運転中に保守や調整及び校正等のためにAPRMのバイパス時には、1チャンネルのAPRMユニット15の上記したトリップ信号等の出力がバイパスされることになり、ボーティング回路25は2outof3論理となるが、この状態で単一故障が発生しても、安全保護機能が確保される多重性を備えた論理としている。
【0083】
再循環流量の監視については、図5のブロック構成図に示すように、APRMユニット15においては、再循環流量に応じて変化するトリップ信号の出力設定点を決定するために、図示しない炉心冷却材の各再循環ループに、差圧伝送器10を4チャンネルに対して設置している(請求項10)。
【0084】
この各差圧伝送器10からの再循環ループ差圧信号は、各区分毎に直接APRMユニット15に入力して、これらのAPRMユニット15において再循環ループ流量総和演算を行う(請求項11)。
これにより、再循環ループ流量総和とAPRMは同一区分で1対1の対応となり、差圧伝送器10の単一故障が2チャンネル以上のAPRMに影響を与えるのを防止する。また、再循環ループ流量総和と、APRMのバイパスを同時に行うことが可能となる(請求項12)。
【0085】
APRMユニット15から制御棒引抜監視装置13に対しては、選択制御棒周りのLPRM検出器信号に加えて、AレベルとCレベルの平均演算用にA系APRMユニット15よりAPRM信号及び再循環ループ流量総和信号を、また、BレベルとDレベルの平均演算用にB系APRMユニット15よりAPRM信号及び再循環ループ流量総和信号を出力する。
【0086】
制御棒引抜監視装置13では、トリップ信号の出力が安全側で発するように、A,B各系のAPRM信号のうち高値を選択する。また、各系の再循環ループ流量総和信号のうち低値を選択して、制御棒引抜監視装置出力レベル演算、及び制御棒引抜阻止トリップ信号の出力設定点の決定を行う(請求項13,請求項14)。
【0087】
選択制御棒挿入(Selected Rod Insertion,SRI)システムについては、APRMユニット15において熱流束相当出力の換算を行い、再循環ループ流量総和と併せて各プラントに応じた設定点により領域判定を行う。
また、APRM1チャンネルのバイパス時に、単一故障が発生しても多重性を備えるように、選択制御棒挿入トリップ信号の出力についても、図4のような2outof4論理のボーティング回路25を介して原子炉保護系7へ出力する(請求項15)。
【0088】
BWR−3/4/5型に採用されている運転領域制限システムの判定回路へは、各APRMユニット15による熱流束相当出力換算値の内で中間2値の平均値を出力する(請求項16)。
また、BWR−2型については、3台のAPRMユニット15から再循環流量制御系へ必要となる信号を出力する。
【0089】
なお、図示しない応答時間要求のある原子炉保護系7や、制御棒引抜阻止を行う原子炉手動制御系12、及び過渡現象の記録を行う過渡現象記録装置への出力を除き、プロセス計算機や運転領域制限システム等の他の系統との取り合いはデータ伝送装置29を介して行う(請求項17)。
【0090】
他の系統とのデータの取り合いについては、プラントによって異なるが、前記データ伝送装置29にて取り合いの調整を行こなわせることにより、各APRMユニット15については、他の系統との取り合いのプラント間の相違を考慮せずに設計することができる。
【0091】
LPRM検出器信号のAPRMに対する配分例について3例を示す。
第1例は、従来から同一原子炉格納容器貫通孔を使用しているLPRM検出器信号を、1つのAPRMユニット15へ入力する(請求項18)。
【0092】
この方法によれば、従来から原子炉格納容器貫通孔区分の変更となるLPRM検出器3はなく、従って、LPRM検出器3からAPRMユニット15までの配線手段、及び経路等を変更する必要がないので施工が容易となる。
【0093】
第2例は、図6の模式図に示すように、各LPRM検出器集合体2において、炉心軸方向に沿って等間隔に配置した4つのLPRM検出器3からの信号を、それぞれ異なるAPRMに入力すると共に、互いに近接する4つのLPRM検出器集合体2中の炉心軸方向に直交する同一平面上にある4つのLPRM検出器3からの信号が、同一のAPRMへ入力させないことを基本として、4つのLPRM検出器集合体2とAPRMの組み合わせを右回り、あるいは左回りに千鳥配置とする(請求項19,請求項20)。
【0094】
ここで、任意のLPRM検出器集合体2aについて炉心軸方向に沿って、一番下のLPRM検出器レベルから上にA,B,C,Dとすると、それをAPRMチャンネルのA,B,C,Dに配分し、その右回りで隣のLPRM検出器集合体2bについては下からD,A,B,Cに配分する。
【0095】
また、その隣のLPRM検出器2cについては、下からC,D,A,B、さらに隣のLPRM検出器集合体2dについては、下からB,C,D,AのAPRMにLPRM検出器3の信号を配分する。
これを炉心4全体へ展開することで、炉心4全体のLPRM検出器3から均一に信号を各APRMに配分することができる。
【0096】
第3例は、本発明はボーティング回路25の有無に関わらず、APRM4チャンネル構成であれば実施可能なことから、当初よりAPRM4チャンネルに構成されている改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)にも容易に適用することができる(請求項21)。
【0097】
第2実施の形態は、図7のブロック構成図に示すように、APRM演算,再循環ループ流量総和演算,トリップ判定機能を備えたLPRM検出器信号処理装置30を原子炉建屋内に設置する。
また、この原子炉建屋と離れた中央制御室には、前記LPRM検出器信号処理装置30から伝送されるデータを表示すると共に、制御棒引抜監視装置13及び他の系統と取り合い、及び前記LPRM検出器信号処理装置30を遠隔操作する機能を備えた制御装置31を設置している(請求項23,請求項28)。
【0098】
前記LPRM検出器信号処理装置30は、LPRM検出器3からの信号及び差圧伝送器10からの信号をディジタル変換後に各種演算処理を行い、LPRMレベル,APRMレベル,再循環ループ流量総和レベル信号及びトリップ信号出力を光信号に変換して、中央制御室の信号入出力手段と操作及び表示部等を備えた制御装置31へ、光伝送ケーブル32を介してデータを多重伝達する(請求項22)。
【0099】
また、機器の試験時に各信号レベルや設定値の変更と、確認ができるような操作及び表示機能を設ける。なお、LPRM検出器信号処理装置30の電源供給ユニット17には、高周波ノイズ除去手段33を設けると共に、LPRM検出器3の基準電位として原子炉建屋の接地電位を用いる(請求項27)。
【0100】
中央制御室の制御装置31は、LPRM検出器信号処理装置30から送られてくるデータを表示すると共に、制御棒引抜監視装置13とデータ伝送装置29、及び光・電気信号変換装置34へ伝送する(請求項29)。
上記の構成とすることにより、互いに離れた原子炉建屋と中央制御室間のケーブル物量を大幅に削減することができ、かつ、電気信号へ外部から混入するノイズが低減されて測定精度と信頼性が向上する。
【0101】
原子炉保護系7へはBWR−2/3/4/5型プラントにおいては、2outof4論理の4つのボーティング回路28を介して、またABWRプラントにおいては、直接4つの制御装置31から4区分の原子炉保護系7へトリップ信号の出力を行う(請求項28)。
【0102】
また、制御棒引抜監視装置13及びデータ伝送用装置29は、従来の制御棒引抜監視演算機能とデータ伝送機能(応答時間要求のない系統との取り合い調整)を備えて、2チャンネルの冗長構成とし、1チャンネルの機能喪失時には、他方のチャンネルでバックアップできるように、4つの制御装置31からデータを入力する(請求項30,請求項31)。
【0103】
光・電気信号変換装置34は、4つの制御装置31より過渡現象記録装置への出力が要求される各種データを入力して、ディジタル・光変換された各種データを過渡現象記録装置に出力が可能となるように、電気信号に再変換する機能を備えている(請求項32)。
また、制御装置31は、LPRM検出器信号処理装置30で用いられる設定値の変更や、LPRM検出器信号のバイパス及び健全性確認等の操作機能を備えていて、これらのシーケンスデータをLPRM検出信号処理装置30へ伝送する。
【0104】
LPRM検出器3の健全性確認機能について、原子炉建屋内においては、LPRM検出器信号処理装置30により、また中央制御室においては、制御装置31における制御操作により、健全性確認を行うLPRM検出器3の選択を行う。
【0105】
なお、電源供給ユニット17内の検出器電源供給回路20の出力電圧を変更することにより、LPRM検出器3の各種電圧及び電流特性データを採取し、この採取したデータの傾きと連続性に基づいて、当該LPRM検出器3の劣化状態の判定等の評価が行われ、その評価結果はLPRM検出器信号処理装置30及び制御装置31に表示される(請求項26)。
【0106】
この健全性確認操作には、複数のLPRM検出器3を1つずつ選択操作する手動方式と、複数のLPRM検出器3を自動的に順次、あるいは同時に選択して、特性データの採取及び評価を行う自動方式を備える。
なお、本制御操作はAPRMバイパス時にのみ可能として、もしも、バイパスを行わずに操作をしようとした場合には、中央制御室に警報を発するようにしている(請求項24,請求項25)。
【0107】
以上本発明の原子炉出力監視装置によれば、沸騰水型軽水炉及び改良型沸騰水型軽水炉において、運転中でも保守や調整及び校正時のAPRMバイパスを可能とすると共に、同時に他の系のAPRMにおいて単一故障が発生しても、安全保護機能を失わない多重性が確保される。
【0108】
また、APRMユニット及びLPRMユニットの台数が削減されると共に、再循環ループ流量総和とAPRMを1対1で対応させたことにより、再循環流量ユニット11が不要となり、差圧伝送器の単一故障が複数のAPRMへ影響を与えることがなくなる。
【0109】
小型炉においては、LPRM検出器信号を共用するAPRMがないことから、従来の複雑な制限回路が不要となり、また、大型炉においてはAPRMの1チャンネル当たりのLPRM検出器信号入力数が増加することから、LPRM検出器3のバイパス許容数を増加させることができる。
また、2outof4論理を採用して電源供給を二重化したことにより、電源の単一故障による誤トリップが防止されて、出力領域モニタシステムの信頼性が向上するので、原子力発電プラントの安全運転と稼働率が向上する。
【0110】
さらに、原子炉建屋内でLPRM検出器信号処理装置30によるLPRM検出器3の信号処理と、中央制御室の制御装置31による制御操作及びデータ表示により装置が簡易化される。
また、原子炉建屋と中央制御室の相互間を光多重伝送によりデータを授受することにより、ケーブル物量が削減されて電気信号のノイズも低減する。
【0111】
【発明の効果】
以上本発明によれば、4チャンネルAPRMのそれぞれに供給する2系の無停電電源の一方に電気的及び物理的な分離を施しているので、一方のAPRM系の電源系に異常が生じても、これの影響が他の電源系には及ばない。したがって、沸騰水型軽水炉及び改良型沸騰水型軽水炉において、運転中の保守等のためのAPRMバイパスが容易で、他のAPRM系における単一故障の発生に際しても、安全保護機能が失われないので原子炉核計装系の精度と信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施の形態の出力領域モニタのブロック構成図。
【図2】本発明に係る第1実施の形態の電源供給回路のブロック回路図。
【図3】本発明に係る第1実施の形態の他の電源供給回路のブロック回路図。
【図4】本発明に係る第1実施の形態のトリップ信号出力の論理フロー図。
【図5】本発明に係る第1実施の形態の出力領域モニタのブロック構成図で、再循環流量監視部を示す。
【図6】本発明に係る第1実施の形態のLPRM検出器のAPRMに対する配分模式図。
【図7】本発明に係る第2実施の形態の出力領域モニタのブロック構成図。
【図8】従来の大型炉における出力領域モニタのブロック構成図。
【図9】従来の大型炉におけるLPRM検出器集合体の平面配置図。
【符号の説明】
1,14…出力領域モニタ、2,2a〜2d…LPRM検出器集合体、3…LPRM検出器、4…炉心、5…制御棒、6,15…APRMユニット、7…原子炉保護系、8,16…バイパススイッチ、9…LPRMユニット、10…差圧伝送器、11…再循環流量ユニット、12…原子炉手動制御系、13…制御棒引抜監視装置、14…出力領域モニタ、15…APRMユニット、17,24…電源供給ユニット、18,19…電子回路電源供給回路、20…検出器電源供給回路、21…A系無停電電源、22…B系無停電電源、23,26…アイソレータ、25…ボーティング回路、27…トリップ表示、28…警報、29…データ伝送装置、30…LPRM検出器信号処理装置、31…制御装置、32…光伝送ケーブル、33…高周波ノイズ除去回路、34…光・電気信号変換装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力発電プラントの原子炉核計装システムに係り、特に出力領域における中性子束の監視を行う原子炉出力監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の原子力発電プラントで沸騰水型軽水炉においては、その出力領域における炉心内の中性子束を監視する原子炉出力監視装置として、出力領域モニタ(Power Range Monitoring, PRM)が設けられていている。 この出力領域モニタについては、炉心の平均出力の計測と局部出力分布の計測と共に、原子炉出力約10%以上の出力領域での運転時に、局部出力及び平均出力の過渡変化に対して炉心を保護すること(安全保護機能)を目的としている。
【0003】
沸騰水型軽水炉で大型炉を例にすると、図8のブロック構成図に示すように、出力領域モニタ1における局部出力領域モニタ(Local Power Range Monitoring,以下、LPRMと略称する)検出器集合体2は、例えば炉心軸方向に沿って等間隔で4つのLPRM検出器3を配置している。
【0004】
また、前記LPRM検出器集合体2は、図9の炉心平面配置図に示すように炉心4内で、制御棒5の2本間隔毎に格子状に、A系のLPRM検出器集合体2、及びB系のLPRM検出器集合体2を市松模様状に配置しており、LPRM検出器集合体2それぞれの、各LPRM検出器3からの信号により炉心4の局部出力分布の計測を行っている。
【0005】
平均出力領域モニタ(Average Power Range Monitor ,以下、APRMと略称する)としては、APRM演算装置6(以下、APRMユニットと呼ぶ)により、前記LPRM検出器3の信号を炉心4の全体から均等に入力して、このLPRM検出器信号より、炉心4の平均出力レベルの計測を行っている。
【0006】
なお、APRMユニット6は、炉心4の平均出力レベルが設定値に達した時や、LPRM検出器3の信号入力数がAPRM演算に必要な数を下回った時、及びAPRMユニット6が電源喪失等により監視機能が無効となった時には、原子炉保護系(Reactor Protection System,RPS)7にトリップ信号を出力して、原子炉を緊急停止したり(以下、スクラムと呼ぶ)警報信号を出力したりする。
【0007】
原子力発電プラントにおいて安全保護機能を有する系統は、その系統を構成するチャンネルの単一故障が起きた場合でも、所定の安全保護機能を失わないように、多重性を備えた設計とする必要があり、従って、沸騰水型軽水炉のBWR−2/3/4/5型については、原子炉保護系に二重の1outof2方式を採用して、2系4区分(A,B系、区分1A,2A,1B,2B)のチャンネル構成となっている。
【0008】
しかし、原子炉核計装システムについては、プラント運転中でも使用状態からの取り外し(以下、バイパスと呼ぶ)を行って、適宜、保守や調整及び校正ができるようにA,B各系でそれぞれに1チャンネル多い構成、すなわち、各系とも3チャンネル(A系−A,C,Eチャンネル、B系−B,D,Fチャンネル)の、合計6チャンネルの構成として、各系のAPRMユニット6には同一系に属する無停電電源より給電を行っている。
【0009】
また、A,B両系で原子炉保護系7に接続している3チャンネルのAPRMユニット6の内で、1チャンネルのAPRMユニット6をバイパススイッチ8によりバイパスすることができ、このバイパスされたAPRMユニット6からは当然のことながら、原子炉保護系7に呈するトリップ信号は出力されない。
【0010】
しかしながら、1系の3つのAPRMユニット6の内で、バイパススイッチ8により1チャンネルをバイパスした状態においても、残りの2チャンネルのAPRMユニット6が、そのA系及びB系の2つの原子炉保護系チャンネルのいずれかに接続されている。
このために、さらに、APRMにおいて単一故障が起きた場合でも、故障していない残りの1チャンネルのAPRMと、他系のAPRMにより多重性を確保することができる。
【0011】
前記複数のLPRM検出器3からの信号のAPRMへの配分方法は、LPRM検出器3の数が炉心4の大きさにより異なることから、発電機出力 540MWe以下の小型炉と、 780MWe以上の大型炉で異なっている。
小型炉の場合は、LPRM検出器数が少ないために、LPRM検出器3の信号をA系とB系のAPRM間で共用することにより、APRM演算に必要なLPRM検出器信号の入力数を確保し、炉心4の全体を均等に監視している(通常は1つのLPRM検出器信号を1つのAPRMユニット6に入力する)。
【0012】
A,B各系のうち1チャンネルのAPRMユニット6は、各LPRM検出器集合体2から1つずつのLPRM検出器信号(全LPRM検出器信号の1/4)を直接入力してAPRM演算を行っている。
しかし、残りの2チャンネルは、APRM演算に用いるLPRM検出器信号の約半数を他系のAPRMから間接的に入力して、APRM演算に必要なLPRM検出器信号数を確保してAPRM演算を行っている。
【0013】
従って、共用チャンネルは2組存在し、各組で同じLPRM検出器信号を使用するために、同じAPRM演算を行うことになり、6チャンネルのAPRMで実質4チャンネル分のAPRM演算を行うことになる。
【0014】
大型炉の場合は、上記図9のように炉心4内で制御棒5の2本間隔毎に格子状に、A系のAPRMに入力するA系LPRM検出器集合体2、及びB系のAPRMへ入力するB系LPRM検出器集合体2を市松模様状に配置している。
これによる各APRMは、同一系に属する各LPRM検出器集合体2から、1つずつのLPRM検出器信号(一つの系に属するLPRM検出器信号の1/4)を入力してAPRM演算を行っている。
【0015】
これにより、大型炉では小型炉と異なり、異区分間でのLPRM検出器信号の共用をなくしているが、全LPRM検出器集合体2で、A,B系でそれぞれ1つのLPRM検出器集合体2がAPRMユニット6に入力されていない。
【0016】
従って、図8に示すように6チャンネル(ch.A〜ch.F)のAPRMユニット6に加えて、LPRM検出器信号監視装置9(以下、LPRMユニットと呼ぶ)をA,B各系に1つずつ設けて、前記それぞれ1つのLPRM検出器集合体2と接続し、そのデータを図示しないプロセス計算機等へ出力するようにしている。
【0017】
また、APRMユニット6においては、炉心4の再循環流量に応じて変化するトリップ信号の出力設定点を備えており、このために、出力領域モニタ1では炉心冷却材の再循環流量の監視も行っている。
【0018】
この再循環流量の監視は、炉心4に対して冷却材を循環させる図示しない複数の再循環系で、各再循環ループに設置した差圧伝送器10からの信号を、再循環流量演算装置11(以下、再循環流量ユニットと呼ぶ)に入力して、炉心4における再循環ループ流量総和を演算して各APRMユニット6へ出力する。
なお、前記差圧伝送器10及び再循環流量ユニット11は、その単一故障がA,B両系のAPRMに影響を与えないように、各系1または2チャンネル、両系で2または4チャンネルの構成としている。
【0019】
各APRMユニット6は、同一系に属する再循環流量ユニット11から再循環ループ流量総和信号を入力して、この入力された再循環ループ流量総和が、1チャンネルの場合はその値に、2チャンネルの場合は低値選択した値に応じて、トリップ信号の出力設定点を決定する。
【0020】
さらに、APRMユニット6からは、データを図示しないプロセス計算機、及び運転領域制限システム、原子炉手動制御系(Reactor Manual Control System,RMCS)12等にも出力する。
また、前記再循環ループ流量総和信号は、制御棒引抜監視装置(Rod Block Monitor,RBM)13へも出力されて、原子炉手動制御系12における制御棒引抜阻止トリップ出力の設定点の決定に使用される。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
従来のAPRMを6チャンネルに構成した出力領域モニタ1の場合に、小型炉においてはA,B両系間でLPRM検出器信号を共用して、同じAPRM演算を行っているチャンネルがあるために、共用チャンネルに入力されるLPRM検出器3の指示値の異常が、両系のAPRMに影響を与える可能性がある。
また、APRMの共用チャンネルの故障が、共用する他系のAPRMに影響を与えることから、これらの対策として影響を緩和するために、LPRM検出器信号の上限値を制限をする複雑な制限回路を設けなければならない支障がある。
【0022】
また、共用チャンネルのAPRMの一方が故障状態となり、他系側の共用APRMにおいて間接的に入力されていたLPRM検出器信号が喪失して、APRM演算に必要なLPRM検出器信号数を下回っても、その共用APRMがトリップ信号を出力しないようにしている。
ただし、この場合においては、直接入力されているLPRM検出器信号のバイパスを許容しないようにしている。
【0023】
大型炉においては、炉心4においてLPRM検出器集合体2を、市松模様状にA系,B系に配分していることから、A系とB系でAPRMへのLPRM検出器信号入力数が異なることになるので、プラントによっては、APRM演算に必要な最小LPRM検出器信号入力数との関係から、LPRM検出器信号のバイパス許容数が少ない系が生じる支障があった。
【0024】
本発明の目的とするところは、APRMを4チャンネルとして各チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電を行うと共に、原子炉保護系チャンネルと同一系の無停電電源から給電して、運転中でも保守と調整及び校正ができるAPRMのバイパスと、バイパスされたAPRMの系の他のAPRMの単一故障に際しても、安全保護機能を失わない多重性を備えた原子炉出力監視装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、沸騰水型軽水炉の炉内に複数配設したLPRM検出器の信号を入力処理するAPRMを4チャンネルとしてそれぞれをバイパス可能に構成すると共に前記APRMの単一故障に際しても他のAPRM1チャンネルのバイパスが可能で安全保護機能を確保する。
【0026】
APRMが4チャンネルで、各LPRM検出器集合体から1つずつのLPRM検出器信号を各APRMへ入力できるので、小型炉においては、LPRM検出器の共用チャンネルがなくなり、大型炉においては、各APRMへ入力されるLPRM検出器信号数が増加する。
また、各APRMがバイパス可能として、APRM1チャンネルをバイパスして所定の保守等の作業中に、他のAPRMの単一故障が発生しても、監視に支障のない多重性による安全保護機能が確保されている。
【0027】
請求項1記載の発明に係る原子炉出力監視装置はさらに、4チャンネルAPRMの各チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電する。
APRM1チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電するので、1つの系で電源喪失が発生しても、もう一方の系の無停電電源から給電により、APRMの監視機能を保持するので1つの系の電源喪失によるトリップ信号は出力されない。
【0028】
請求項1記載の発明に係る原子炉出力監視装置はさらに、4チャンネルのAPRMの各チャンネルに対する異なる系の無停電電源からの給電全てに対して、電気的及び物理的な分離を確保したことを特徴とする。
4チャンネルAPRMのそれぞれに供給する2系の無停電電源の一方に電気的及び物理的な分離(アイソレーション)を施しているので、一方のAPRM系の電源系に異常が生じても、これの影響が他の電源系には及ばない。
【0029】
請求項2記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMに接続してそのうち2つのAPRMがトリップ状態の時に原子炉保護系へトリップ信号を出力する2outof4論理のボーティング回路を複数備えると共に、前記ボーティング回路が原子炉保護系チャンネルと1対1で接続されたことを特徴とする。
【0030】
APRMが4チャンネル構成で、原子炉保護系との間に2outof4論理のボーティング回路を原子炉保護系チャンネル数と同数備えているので、APRMで2チャンネル以上がトリップとなった時のみ、ボーティング回路より原子炉保護系へトリップ信号が出力されて原子炉はスクラムとなる。
また、APRMの1チャンネルバイパス時には2outof3論理となり、他のAPRMチャンネルで単一故障が発生しても、多重性により安全保護機能が確保される。
【0031】
請求項3記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMの各チャンネルに対して、無停電電源各系毎に電子回路電源供給回路を備えて前記電子回路電源供給回路の出力を異なる系と突合せてから当該APRMへ給電する電源供給装置を設けたことを特徴とする。
APRM内の電子回路に対する電力は、電源供給装置から二重化された無停電電源により安定して供給される。
【0032】
請求項4記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMの各チャンネルに対して、無停電電源各系毎に電子回路電源供給回路を備えて、前記電子回路電源供給回路の出力を異なる系と突合せてから検出器電源供給回路へ給電することを特徴とする。
LPRM検出器に対する電力は、電源供給装置から二重化された無停電電源によりAPRMを介して安定に供給される。
【0033】
請求項5記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMの各チャンネルに対して、独立した2系の無停電電源を突合せてから電子回路電源供給回路及び検出器電源供給回路に給電する電源供給装置を設けたことを特徴とする。
LPRM検出器及びAPRM内の電子回路に対する電力は、電源供給装置から二重化された無停電電源により安定して供給される。
【0034】
請求項6記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、ボーティング回路に対して接続される原子炉保護系チャンネルと同一系の無停電電源から給電を行うと共に、異区分のAPRMとの取り合いに対して前記ボーティング回路を電気的及び物理的に分離して片系の電源喪失時に前記ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系へトリップ信号を出力することを特徴とする。
【0035】
ボーティング回路に対する電源、二重化された無停電電源から安定して供給されると共に、一方を電気的及び物理的に分離する。また、片系の電源喪失時には、ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系へトリップ信号が出力される。
【0036】
請求項7記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、APRM1チャンネルがトリップした際に、警報及びトリップ表示信号を出力することを特徴とする。
APRMにおけるトリップ発生は、当該APRMが出力する警報及びトリップ表示信号により報知される。
【0037】
請求項8記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、ボーティング回路の動作不能時に当該ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系チャンネルへトリップ信号を出力することを特徴とする。
ボーティング回路に動作不能が生じると、当該ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系チャンネルへトリップ信号が出力される。
【0038】
請求項9記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4チャンネルのAPRMに接続してそのうち2つのAPRMがトリップ状態の時に、原子炉保護系へトリップ信号を出力する2outof4論理のボーティング回路を複数備えて、前記ボーティング回路が原子炉保護系チャンネルと1対1で接続すると共に、前記APRMの各チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電することを特徴とする。
【0039】
APRMで2チャンネル以上がトリップとなった時のみ、ボーティング回路より原子炉保護系へトリップ信号が出力せられて原子炉はスクラムとなる。
従って、APRMの1チャンネルバイパス時は2outof3論理となり、他のAPRMチャンネルで単一故障が発生しても、多重性により安全保護機能が確保される。
【0040】
さらに、APRMには1チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電するので、1つの系で電源喪失が発生しても、もう一方の系の無停電電源から給電されて、APRMの監視機能を保持するので1つの系の電源喪失によるトリップ信号は出力されない。
【0041】
請求項10記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、炉心に冷却材を循環させる複数の再循環ループに差圧伝送器を各区分毎に設置すると共に、4チャンネルの再循環ループ流量総和を4チャンネルのAPRMと同一区分で1対1で対応させてトリップ状態の判定を行うことを特徴とする。
各APRMにおいて各区分の再循環ループ流量を差圧伝送器より入力して、APRMで再循環ループ流量総和を演算する。これにより、差圧伝送器の単一故障が2チャンネル以上のAPRMに影響を与えるこが防止される。
【0042】
請求項11記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、再循環ループ差圧信号を同一区分のAPRMへ直接入力して、前記APRMで再循環ループ流量総和演算を行うことを特徴とする。
各APRMにおいて差圧伝送器の出力信号から、再循環ループ流量総和の演算を行う。
【0043】
請求項12記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、APRMチャンネルとそれに対応する再循環ループ流量総和チャンネルのバイパスを同時に行うことを特徴とする。
APRMで各区分の再循環ループ流量を差圧伝送器より入力すると共に、再循環ループ流量総和の演算をすることにより、APRMチャンネルとそれに対応する再循環ループ流量総和チャンネルのバイパスを同時に行うことができる。
【0044】
請求項13記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、同一系に属するAPRM出力レベルのうち高値選択信号により制御棒引抜監視演算を行うことを特徴とする。
制御棒引抜監視装置ではトリップ出力が安全側に出力するように、各系のAPRMの信号のうち高値を選択して、制御棒引抜監視出力の演算及び制御棒引抜き阻止トリップ出力の設定点を決定する。
【0045】
請求項14記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、同一系統に属する再循環ループ流量総和出力レベルのうち低値選択信号により制御棒引抜監視演算を行うことを特徴とする。
制御棒引抜監視装置ではトリップ出力が安全側に出力するように、各系の再循環ループ流量総和信号のうち低値を選択して、制御棒引抜監視出力の演算及び制御棒引抜き阻止トリップ出力の設定点を決定する。
【0046】
請求項15記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、選択制御棒挿入領域判定を各APRMで行うと共に、選択制御棒挿入領域判定時に前記ボーティング回路へトリップ信号を出力することを特徴とする。
選択制御棒挿入トリップ信号は、APRM1チャンネルバイパス時に単一故障が発生しても多重性を備えるように、2outof4論理のボーティング回路を介して出力する。
【0047】
請求項16記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、4つのAPRMで演算した熱流束相当出力のうち中間2値の平均値により運転領域制限判定を行うことを特徴とする。
APRMにおける運転領域制限判定に際しては、熱流束相当出力のうち中間2値の平均値を出力する。
【0048】
請求項17記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、応答時間要求のある信号は直接出力し、応答時間要求のない信号はデータ伝送装置を介して出力することを特徴とする。
応答時間要求のある信号はそのまま出力するが、応答時間要求のない信号についてはデータ伝送装置を介して出力することにより、プラントにより異なる他の系統との取り合いの調整をデータ伝送装置で実施できる。
【0049】
請求項18記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、原子炉格納容器における同一貫通孔に挿通しているLPRM検出器信号を1つのAPRMへ入力することを特徴とする。
LPRM検出器からAPRMまでの既設の配線及び経路を変更せずに施工することができる。
【0050】
請求項19記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、炉内において同一軸上に配置した4つのLPRM検出器により構成されるLPRM検出器集合体中で、各LPRM検出器からの信号をそれぞれ異なるAPRMに入力すると共に、互いに近接する4つのLPRM検出器集合体中の炉心軸方向に直交する同一平面上にある各LPRM検出器からの信号が同一のAPRMへ入力しないように配分することを特徴とする。
【0051】
各LPRM検出器集合体中の炉心軸方向に直交する同一平面上にある各LPRM検出器からの信号が同一のAPRMへ入力しないようにすることにより、炉心の全体から極力均一にLPRM検出器の信号を各APRMへの配分ができる。
【0052】
請求項20記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、炉内に配設したLPRM検出器集合体で、近接する4つのLPRM検出器集合体中のLPRM検出器からの信号の千鳥配置によりAPRMへ配分することを特徴とする。
LPRM検出器からの信号の千鳥配置により、炉心から極力均一にLPRM検出器の信号を各APRMへ配分することができる。
【0053】
請求項21記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、沸騰水型軽水炉及び改良型沸騰水型軽水炉プラントにおいて、原子炉建屋内にLPRM検出器信号処理装置を設置すると共に、中央制御室に信号入出力手段と操作及び表示部を備えた制御装置を設置することを特徴とする。
【0054】
原子炉建屋に設置したLPRM検出器信号処理装置により、LPRM検出器の信号及び差圧伝送器の信号等を演算して、LPRMレベル,APRMレベル,再循環ループ流量総和レベル信号及びトリップ信号を出力する。
また、中央制御室に設置した制御装置では、LPRM検出器信号処理装置からのデータの表示と、原子炉保護系へのトリップ信号の出力等と共に、原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置に対して、各種設定値や信号経路等の変更あるいは切り替えを実施する。
【0055】
請求項22記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、LPRM検出器信号処理装置と制御装置との間のデータ伝達を光伝送することを特徴とする。
互いに離れた原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置と中央制御室に設置した制御装置の間を光伝送ケーブルで接続して、多重の光伝送によりデータの授受を行う。
【0056】
請求項23記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、LPRM検出器信号処理装置に外部より出力電圧変更が可能な電源供給装置と、外部より切り替え可能な信号経路切替装置を備えると共に、制御装置に電源供給装置と信号経路切替装置を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0057】
必要に応じて中央制御室の制御装置から、原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置に対して電源供給装置の出力電圧変更や、信号経路切替装置における信号経路切替を行う。また、LPRM検出器信号処理装置においても実施することができる。
【0058】
請求項24記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、電源供給装置と信号経路切替装置の制御手段は、複数のLPRM検出器を順次選択してLPRM検出器の電圧及び電流特性を自動的に測定すると共に、測定された電圧及び電流特性の傾きと連続性に基づいてLPRM検出器の機能評価と、この評価結果を表示する機能を備えたことを特徴とする。
【0059】
中央制御室の制御装置や原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置におけるバイパス、及び健全性確認の操作により、複数のLPRM検出器を順次選択して劣化状態等の評価を自動的に行う。
【0060】
請求項25記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、電源供給装置と信号経路切替装置の制御手段は、複数のLPRM検出器を同時選択して、LPRM検出器の電圧及び電流特性の傾きと連続性に基づいてLPRM検出器の機能評価と、この評価結果を表示する機能を備えたことを特徴とする。
中央制御室の制御装置や原子炉建屋のLPRM検出器信号処理装置におけるバイパス、及び健全性確認の操作により、複数のLPRM検出器を同時に劣化状態等の評価を自動的に行う。
【0061】
請求項26記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、制御装置に当該原子炉出力監視装置の有する監視機能を無効とする信号入力を備えて、監視機能無効信号が入力されている場合にのみLPRM検出器の電圧及び電流特性測定を行うことが可能で、監視機能無効信号が入力されていない場合にLPRM検出器の電圧及び電流特性測定を操作する手段を起動しようとした場合は警告表示を行うことを特徴とする。
【0062】
制御装置における操作によるLPRM検出器の健全性確認等を自動的に実施している場合に、もしも手動操作を行おうとした際は、制御装置から警告表示が行われて誤操作を防止する。
【0063】
請求項27記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、LPRM検出器信号処理装置の電源供給装置に高周波ノイズ除去装置を設けると共に、LPRM検出器信号の基準電位を原子炉建屋の接地電位とすることを特徴とする。
LPRM検出器の基準電位を原子炉建屋の接地電位とすると共に、高周波ノイズ除去装置により電源に外部からのノイズが侵入することを阻止して、測定精度と安定性を高める。
【0064】
請求項28記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、LPRM検出器信号処理装置にAPRM機能を備えると共に、制御装置には原子炉保護系へのトリップ信号出力機能を備えたことを特徴とする。
原子炉建屋内のLPRM検出器信号処理装置で得たAPRMのデータを、中央制御室に伝送し、制御装置から原子炉保護系へトリップ信号を出力する。
【0065】
請求項29記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、制御装置を介してLPRM検出器信号処理装置から制御棒引抜監視装置へデータを伝送することを特徴とする。
原子炉建屋内のLPRM検出器信号処理装置で得た制御棒引抜監視データを、中央制御室の制御装置から制御棒引抜監視装置へ伝送する。
【0066】
請求項30記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、制御装置を介して応答時間要求のない信号をデータ伝送装置へ伝送することを特徴とする。
応答時間要求のない信号は、制御装置を介してデータ伝送装置に伝送することにより、データ伝送装置にてプラントにより異なる他の系統との取り合いの調整ができる。
【0067】
請求項31記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、制御棒引抜監視装置の演算機能と前記データ伝送装置の機能を一つの電子装置に設けると共に、前記電子装置を冗長化したことを特徴とする。
制御棒引抜監視演算機能とデータ伝送機能を一体にすることで、冗長化が容易で信頼性が増す。
【0068】
請求項32記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、応答時間要求のある信号のうち原子炉保護系及び制御棒引抜監視装置への出力を除くものの出力は、制御装置より光・電気信号変換装置を介して行うことを特徴とする。
信号の伝達を光・電気信号変換装置において、電気あるいは光信号に変換して行う。
【0069】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
第1実施の形態は図1のブロック構成図に示すように、原子炉出力監視装置である出力領域モニタ14は、4つの(ch.A〜ch.Dの4チャンネル)APRMユニット15に対して、LPRM検出器3からの信号を配分する。
【0070】
APRMユニット15の外部においては、APRMユニット15の4チャンネルのうちで1チャンネルのみのバイパスを可能とするバイパススイッチ16を設けると共に、各APRMユニット15への電源供給は、各APRMユニット15毎に設けた電源供給装置17(以下、電源供給ユニットと呼ぶ)より行う(請求項1)。
【0071】
この電源供給ユニット17は、図2のブロック回路図に示すように、APRMユニット15内の電子回路に電力を供給する2つの電子回路電源供給回路18,19と、APRMユニット15外のLPRM検出器3に電力を供給する1つの検出器電源供給回路20から構成されている。
前記電子回路電源供給回路18,19へはそれぞれ独立した2系の無停電電源のいずれかから給電を行う(請求項1,請求項3,請求項4,請求項9)。
【0072】
また、前記無停電電源は、当該電源供給ユニット17と同一系と、当該電源供給ユニット17と異なる系の2つの無停電電源であり、ここでは説明の便宜上、電源供給ユニット17と同一系の無停電電源をA系無停電電源21、異なる系の無停電電源をB系無停電電源22として説明する。
【0073】
各APRMユニット15に対するA系無停電電源21またはB系無停電電源22は、いずれも接続された原子炉保護系チャンネルと同一系統の無停電電源は、直接接続しているが、異なる系の無停電電源については分離配線を行い、電源供給ユニット17の前段でアイソレータ23によりアイソレーションを行うことで、各電源供給ユニット17の電気的及び物理的分離を保つている(請求項1)。
【0074】
また、電源供給ユニット17内の2つの電子回路電源供給回路18,19により整流及び変圧された電力は、これを突合せたした後に検出器電源供給回路20、及びAPRMユニット15内の電子回路に給電される。
また、電源供給ユニットの他の実施例としては、図3のブロック回路図に示すように、電源供給ユニット24をそれぞれ1つの電子回路電源供給回路18と検出器電源供給回路20で構成している。
【0075】
この電源供給ユニット24では、入力された当該電源供給ユニット16と同一系と、異なる系の無停電電源であるA系無停電電源21と、B系無停電電源22を突合せた後に、電子回路電源供給回路18及び検出器電源供給回路20に給電する(請求項5)。
【0076】
以上のように電源を構成することにより、当該電源供給ユニット17と同一系と、異なる系の無停電電源である、A系無停電電源21あるいはB系無停電電源22の内で1つの系に電源喪失が発生しても、もう一方の系の無停電電源が正常であれば、APRMユニット15及びLPRM検出器3に対して給電が行われるので、監視機能は正常に保持されることから、電源の単一故障に起因する誤トリップを防止することができる。
【0077】
各APRMユニット15は4つのボーティング回路25と接続され、各ボーティング回路25は4つの図示しない原子炉保護系7と1対1で接続されて、APRMユニット15からのトリップ信号等を原子炉保護系7へ出力する(請求項2)。
なお、異区分のボーティング回路25とAPRMユニット15との取り合いに対しては分離配線して、それぞれアイソレータ26によりアイソレーションを行うことで、電気的及び物理的分離を確保している。
【0078】
また、各ボーティング回路25への電源供給は、接続先の原子炉保護系チャンネルと同一系のA系無停電電源21またはB系無停電電源22から給電を行う。
APRMユニット15では、入力されたLPRM検出器3からの信号の内でバイパスされていない信号の平均値よりAPRMレベルを演算する(請求項6)。
【0079】
図4の論理フロー図に示すように、APRMユニット15では演算されたAPRMレベルをスクラムトリップ出力設定値と比較して、トリップ出力設定値に達した時、及び監視機能が無効となった時に、各ボーティング回路25へトリップ状態を出力すると共に、トリップ表示信号27を出力して図示しない表示装置により表示する。
【0080】
ボーティング回路25には、各APRMユニット15のトリップ状態の入力と共に、バイパススイッチ16からの各APRMユニット15のバイパス状態が入力され、1つのAPRMユニット15がトリップ状態にあり、そのAPRMチャンネルがバイパススイッチ16によりバイパスされていない時は、警報28を発して運転員へ報知する(請求項7)。
【0081】
また、4つのAPRMユニット15の内で2つがトリップ状態にあり、それら2つのAPRMチャンネルがバイパススイッチ16によりバイパスされていない時には、ボーティング回路25は2outof4論理により、トリップ信号を接続された原子炉保護系チャンネルに出力する(請求項2)。
さらに、電源喪失等によりボーテンィング回路25が2outof4論理の判断機能を喪失した時にも、原子炉保護系7へトリップ信号等が出力される(請求項8)。
【0082】
なお、プラント運転中に保守や調整及び校正等のためにAPRMのバイパス時には、1チャンネルのAPRMユニット15の上記したトリップ信号等の出力がバイパスされることになり、ボーティング回路25は2outof3論理となるが、この状態で単一故障が発生しても、安全保護機能が確保される多重性を備えた論理としている。
【0083】
再循環流量の監視については、図5のブロック構成図に示すように、APRMユニット15においては、再循環流量に応じて変化するトリップ信号の出力設定点を決定するために、図示しない炉心冷却材の各再循環ループに、差圧伝送器10を4チャンネルに対して設置している(請求項10)。
【0084】
この各差圧伝送器10からの再循環ループ差圧信号は、各区分毎に直接APRMユニット15に入力して、これらのAPRMユニット15において再循環ループ流量総和演算を行う(請求項11)。
これにより、再循環ループ流量総和とAPRMは同一区分で1対1の対応となり、差圧伝送器10の単一故障が2チャンネル以上のAPRMに影響を与えるのを防止する。また、再循環ループ流量総和と、APRMのバイパスを同時に行うことが可能となる(請求項12)。
【0085】
APRMユニット15から制御棒引抜監視装置13に対しては、選択制御棒周りのLPRM検出器信号に加えて、AレベルとCレベルの平均演算用にA系APRMユニット15よりAPRM信号及び再循環ループ流量総和信号を、また、BレベルとDレベルの平均演算用にB系APRMユニット15よりAPRM信号及び再循環ループ流量総和信号を出力する。
【0086】
制御棒引抜監視装置13では、トリップ信号の出力が安全側で発するように、A,B各系のAPRM信号のうち高値を選択する。また、各系の再循環ループ流量総和信号のうち低値を選択して、制御棒引抜監視装置出力レベル演算、及び制御棒引抜阻止トリップ信号の出力設定点の決定を行う(請求項13,請求項14)。
【0087】
選択制御棒挿入(Selected Rod Insertion,SRI)システムについては、APRMユニット15において熱流束相当出力の換算を行い、再循環ループ流量総和と併せて各プラントに応じた設定点により領域判定を行う。
また、APRM1チャンネルのバイパス時に、単一故障が発生しても多重性を備えるように、選択制御棒挿入トリップ信号の出力についても、図4のような2outof4論理のボーティング回路25を介して原子炉保護系7へ出力する(請求項15)。
【0088】
BWR−3/4/5型に採用されている運転領域制限システムの判定回路へは、各APRMユニット15による熱流束相当出力換算値の内で中間2値の平均値を出力する(請求項16)。
また、BWR−2型については、3台のAPRMユニット15から再循環流量制御系へ必要となる信号を出力する。
【0089】
なお、図示しない応答時間要求のある原子炉保護系7や、制御棒引抜阻止を行う原子炉手動制御系12、及び過渡現象の記録を行う過渡現象記録装置への出力を除き、プロセス計算機や運転領域制限システム等の他の系統との取り合いはデータ伝送装置29を介して行う(請求項17)。
【0090】
他の系統とのデータの取り合いについては、プラントによって異なるが、前記データ伝送装置29にて取り合いの調整を行こなわせることにより、各APRMユニット15については、他の系統との取り合いのプラント間の相違を考慮せずに設計することができる。
【0091】
LPRM検出器信号のAPRMに対する配分例について3例を示す。
第1例は、従来から同一原子炉格納容器貫通孔を使用しているLPRM検出器信号を、1つのAPRMユニット15へ入力する(請求項18)。
【0092】
この方法によれば、従来から原子炉格納容器貫通孔区分の変更となるLPRM検出器3はなく、従って、LPRM検出器3からAPRMユニット15までの配線手段、及び経路等を変更する必要がないので施工が容易となる。
【0093】
第2例は、図6の模式図に示すように、各LPRM検出器集合体2において、炉心軸方向に沿って等間隔に配置した4つのLPRM検出器3からの信号を、それぞれ異なるAPRMに入力すると共に、互いに近接する4つのLPRM検出器集合体2中の炉心軸方向に直交する同一平面上にある4つのLPRM検出器3からの信号が、同一のAPRMへ入力させないことを基本として、4つのLPRM検出器集合体2とAPRMの組み合わせを右回り、あるいは左回りに千鳥配置とする(請求項19,請求項20)。
【0094】
ここで、任意のLPRM検出器集合体2aについて炉心軸方向に沿って、一番下のLPRM検出器レベルから上にA,B,C,Dとすると、それをAPRMチャンネルのA,B,C,Dに配分し、その右回りで隣のLPRM検出器集合体2bについては下からD,A,B,Cに配分する。
【0095】
また、その隣のLPRM検出器2cについては、下からC,D,A,B、さらに隣のLPRM検出器集合体2dについては、下からB,C,D,AのAPRMにLPRM検出器3の信号を配分する。
これを炉心4全体へ展開することで、炉心4全体のLPRM検出器3から均一に信号を各APRMに配分することができる。
【0096】
第3例は、本発明はボーティング回路25の有無に関わらず、APRM4チャンネル構成であれば実施可能なことから、当初よりAPRM4チャンネルに構成されている改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)にも容易に適用することができる(請求項21)。
【0097】
第2実施の形態は、図7のブロック構成図に示すように、APRM演算,再循環ループ流量総和演算,トリップ判定機能を備えたLPRM検出器信号処理装置30を原子炉建屋内に設置する。
また、この原子炉建屋と離れた中央制御室には、前記LPRM検出器信号処理装置30から伝送されるデータを表示すると共に、制御棒引抜監視装置13及び他の系統と取り合い、及び前記LPRM検出器信号処理装置30を遠隔操作する機能を備えた制御装置31を設置している(請求項23,請求項28)。
【0098】
前記LPRM検出器信号処理装置30は、LPRM検出器3からの信号及び差圧伝送器10からの信号をディジタル変換後に各種演算処理を行い、LPRMレベル,APRMレベル,再循環ループ流量総和レベル信号及びトリップ信号出力を光信号に変換して、中央制御室の信号入出力手段と操作及び表示部等を備えた制御装置31へ、光伝送ケーブル32を介してデータを多重伝達する(請求項22)。
【0099】
また、機器の試験時に各信号レベルや設定値の変更と、確認ができるような操作及び表示機能を設ける。なお、LPRM検出器信号処理装置30の電源供給ユニット17には、高周波ノイズ除去手段33を設けると共に、LPRM検出器3の基準電位として原子炉建屋の接地電位を用いる(請求項27)。
【0100】
中央制御室の制御装置31は、LPRM検出器信号処理装置30から送られてくるデータを表示すると共に、制御棒引抜監視装置13とデータ伝送装置29、及び光・電気信号変換装置34へ伝送する(請求項29)。
上記の構成とすることにより、互いに離れた原子炉建屋と中央制御室間のケーブル物量を大幅に削減することができ、かつ、電気信号へ外部から混入するノイズが低減されて測定精度と信頼性が向上する。
【0101】
原子炉保護系7へはBWR−2/3/4/5型プラントにおいては、2outof4論理の4つのボーティング回路28を介して、またABWRプラントにおいては、直接4つの制御装置31から4区分の原子炉保護系7へトリップ信号の出力を行う(請求項28)。
【0102】
また、制御棒引抜監視装置13及びデータ伝送用装置29は、従来の制御棒引抜監視演算機能とデータ伝送機能(応答時間要求のない系統との取り合い調整)を備えて、2チャンネルの冗長構成とし、1チャンネルの機能喪失時には、他方のチャンネルでバックアップできるように、4つの制御装置31からデータを入力する(請求項30,請求項31)。
【0103】
光・電気信号変換装置34は、4つの制御装置31より過渡現象記録装置への出力が要求される各種データを入力して、ディジタル・光変換された各種データを過渡現象記録装置に出力が可能となるように、電気信号に再変換する機能を備えている(請求項32)。
また、制御装置31は、LPRM検出器信号処理装置30で用いられる設定値の変更や、LPRM検出器信号のバイパス及び健全性確認等の操作機能を備えていて、これらのシーケンスデータをLPRM検出信号処理装置30へ伝送する。
【0104】
LPRM検出器3の健全性確認機能について、原子炉建屋内においては、LPRM検出器信号処理装置30により、また中央制御室においては、制御装置31における制御操作により、健全性確認を行うLPRM検出器3の選択を行う。
【0105】
なお、電源供給ユニット17内の検出器電源供給回路20の出力電圧を変更することにより、LPRM検出器3の各種電圧及び電流特性データを採取し、この採取したデータの傾きと連続性に基づいて、当該LPRM検出器3の劣化状態の判定等の評価が行われ、その評価結果はLPRM検出器信号処理装置30及び制御装置31に表示される(請求項26)。
【0106】
この健全性確認操作には、複数のLPRM検出器3を1つずつ選択操作する手動方式と、複数のLPRM検出器3を自動的に順次、あるいは同時に選択して、特性データの採取及び評価を行う自動方式を備える。
なお、本制御操作はAPRMバイパス時にのみ可能として、もしも、バイパスを行わずに操作をしようとした場合には、中央制御室に警報を発するようにしている(請求項24,請求項25)。
【0107】
以上本発明の原子炉出力監視装置によれば、沸騰水型軽水炉及び改良型沸騰水型軽水炉において、運転中でも保守や調整及び校正時のAPRMバイパスを可能とすると共に、同時に他の系のAPRMにおいて単一故障が発生しても、安全保護機能を失わない多重性が確保される。
【0108】
また、APRMユニット及びLPRMユニットの台数が削減されると共に、再循環ループ流量総和とAPRMを1対1で対応させたことにより、再循環流量ユニット11が不要となり、差圧伝送器の単一故障が複数のAPRMへ影響を与えることがなくなる。
【0109】
小型炉においては、LPRM検出器信号を共用するAPRMがないことから、従来の複雑な制限回路が不要となり、また、大型炉においてはAPRMの1チャンネル当たりのLPRM検出器信号入力数が増加することから、LPRM検出器3のバイパス許容数を増加させることができる。
また、2outof4論理を採用して電源供給を二重化したことにより、電源の単一故障による誤トリップが防止されて、出力領域モニタシステムの信頼性が向上するので、原子力発電プラントの安全運転と稼働率が向上する。
【0110】
さらに、原子炉建屋内でLPRM検出器信号処理装置30によるLPRM検出器3の信号処理と、中央制御室の制御装置31による制御操作及びデータ表示により装置が簡易化される。
また、原子炉建屋と中央制御室の相互間を光多重伝送によりデータを授受することにより、ケーブル物量が削減されて電気信号のノイズも低減する。
【0111】
【発明の効果】
以上本発明によれば、4チャンネルAPRMのそれぞれに供給する2系の無停電電源の一方に電気的及び物理的な分離を施しているので、一方のAPRM系の電源系に異常が生じても、これの影響が他の電源系には及ばない。したがって、沸騰水型軽水炉及び改良型沸騰水型軽水炉において、運転中の保守等のためのAPRMバイパスが容易で、他のAPRM系における単一故障の発生に際しても、安全保護機能が失われないので原子炉核計装系の精度と信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施の形態の出力領域モニタのブロック構成図。
【図2】本発明に係る第1実施の形態の電源供給回路のブロック回路図。
【図3】本発明に係る第1実施の形態の他の電源供給回路のブロック回路図。
【図4】本発明に係る第1実施の形態のトリップ信号出力の論理フロー図。
【図5】本発明に係る第1実施の形態の出力領域モニタのブロック構成図で、再循環流量監視部を示す。
【図6】本発明に係る第1実施の形態のLPRM検出器のAPRMに対する配分模式図。
【図7】本発明に係る第2実施の形態の出力領域モニタのブロック構成図。
【図8】従来の大型炉における出力領域モニタのブロック構成図。
【図9】従来の大型炉におけるLPRM検出器集合体の平面配置図。
【符号の説明】
1,14…出力領域モニタ、2,2a〜2d…LPRM検出器集合体、3…LPRM検出器、4…炉心、5…制御棒、6,15…APRMユニット、7…原子炉保護系、8,16…バイパススイッチ、9…LPRMユニット、10…差圧伝送器、11…再循環流量ユニット、12…原子炉手動制御系、13…制御棒引抜監視装置、14…出力領域モニタ、15…APRMユニット、17,24…電源供給ユニット、18,19…電子回路電源供給回路、20…検出器電源供給回路、21…A系無停電電源、22…B系無停電電源、23,26…アイソレータ、25…ボーティング回路、27…トリップ表示、28…警報、29…データ伝送装置、30…LPRM検出器信号処理装置、31…制御装置、32…光伝送ケーブル、33…高周波ノイズ除去回路、34…光・電気信号変換装置。
Claims (32)
- 沸騰水型軽水炉の炉内に複数配設した局部出力領域モニタ検出器の信号を入力処理する平均出力領域モニタを4チャンネルとしてそれぞれをバイパス可能に構成すると共に、前記平均出力領域モニタの単一故障に際しても他の平均出力領域モニタ1チャンネルのバイパスが可能で安全保護機能を確保した原子炉出力監視装置であって、
前記4チャンネルの平均出力領域モニタの各チャンネル毎に、独立した2系の無停電電源から給電し、
前記4チャンネルの平均出力領域モニタの各チャンネルに対する異なる系の無停電電源からの給電全てに対して、電気的及び物理的な分離を確保したこと、
を特徴とする原子炉出力監視装置。 - 前記原子炉出力監視装置において、前記4チャンネルの平均出力領域モニタに接続してそのうち2つの平均出力領域モニタがトリップ状態の時に原子炉保護系へトリップ信号を出力する2outof4論理のボーティング回路を複数備えると共に、前記ボーティング回路が原子炉保護系チャンネルと1対1で接続されたことを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記4チャンネルの平均出力領域モニタの各チャンネルに対して、無停電電源各系毎に電子回路電源供給回路を備えて前記電子回路電源供給回路の出力を異なる系との間で突合せてから当該平均出力領域モニタへ給電する電源供給装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記4チャンネルの平均出力領域モニタの各チャンネルに対して、無停電電源各系毎に電子回路電源供給回路を備えて、前記電子回路電源供給回路の出力を異なる系と突合せてから検出器電源供給回路へ給電することを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記4チャンネルの平均出力領域モニタの各チャンネルに対して、独立した2系の無停電電源を突合せてから電子回路電源供給回路及び検出器電源供給回路に給電する電源供給装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記ボーティング回路に対して接続される原子炉保護系チャンネルと同一系の無停電電源から給電を行うと共に、異区分の平均出力領域モニタとの取り合いに対して前記ボーティング回路を電気的及び物理的に分離して片系の電源喪失時に前記ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系へトリップ信号を出力することを特徴とする請求項2記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、1つの平均出力領域モニタチャンネルがトリップした際に、警報及びトリップ表示信号を出力することを特徴とする請求項2記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記ボーティング回路の動作不能時に当該ボーティング回路と同一区分の原子炉保護系チャンネルへトリップ信号を出力することを特徴とする請求項2記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記4チャンネルの平均出力領域モニタに接続してそのうち2つの平均出力領域モニタがトリップ状態の時に原子炉保護系へトリップ信号を出力する2outof4論理のボーティング回路を複数備えて前記ボーティング回路が原子炉保護系チャンネルと1対1で接続すると共に、前記平均出力領域モニタの各チャンネル毎に独立した2系の無停電電源から給電することを特徴とする請求項1記載または請求項2記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、炉心に冷却材を循環させる複数の再循環ループに差圧伝送器を各区分毎に設置すると共に、4チャンネルの再循環ループ流量総和を4チャンネルの平均出力領域モニタと同一区分で1対1で対応させてトリップ状態の判定を行うことを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記再循環ループ差圧信号を同一区分の平均出力領域モニタへ直接入力して、前記平均出力領域モニタで再循環ループ流量総和演算を行うことを特徴とする請求項10記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、平均出力領域モニタチャンネルとそれに対応する再循環ループ流量総和チャンネルのバイパスを同時に行うことを特徴とする請求項10記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、同一系に属する平均出力領域モニタ出力レベルのうち高値選択信号により制御棒引抜監視演算を行うことを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、同一系統に属する再循環ループ流量総和出力レベルのうち低値選択信号により制御棒引抜監視演算を行うことを特徴とする請求項8記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、選択制御棒挿入領域判定を各平均出力領域モニタで行うと共に、選択制御棒挿入領域判定時に前記ボーティング回路へトリップ信号を出力することを特徴とする請求項8記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、4つの平均出力領域モニタで演算した熱流束相当出力のうち中間2値の平均値により運転領域制限判定を行うことを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、応答時間要求のある信号は直接出力し、応答時間要求のない信号はデータ伝送装置を介して出力することを特徴とする請求項1または請求項2記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、原子炉格納容器における同一貫通孔に挿通している局部出力領域モニタ検出器信号を1つの平均出力領域モニタへ入力することを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記炉内において同一軸上に配置した4つの局部出力領域モニタ検出器により構成される局部出力領域モニタ検出器集合体中で、各局部出力領域モニタ検出器からの信号をそれぞれ異なる平均出力領域モニタに入力すると共に、互いに近接する4つの局部出力領域モニタ検出器集合体中の炉心軸方向に直交する同一平面上にある各局部出力領域モニタ検出器からの信号が同一の平均出力領域モニタへ入力しないように配分することを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記炉内に配設した局部出力領域モニタ検出器集合体で、近接する4つの局部出力領域モニタ検出器集合体中の局部出力領域モニタ検出器からの信号の千鳥配置により平均出力領域モニタへ配分することを特徴とする請求項19記載の原子炉出力監視装置。
- 前記沸騰水型軽水炉及び改良型沸騰水型軽水炉プラントにおいて、原子炉建屋内に局部出力領域モニタ検出器信号処理装置を設置すると共に、中央制御室に信号入出力手段と操作及び表示部を備えた制御装置を設置することを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記局部出力領域モニタ検出器信号処理装置と前記制御装置との間のデータ伝達を光伝送することを特徴とする請求項21記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記局部出力領域モニタ検出器信号処理装置に外部より出力電圧変更が可能な電源供給装置と、外部より切り替え可能な信号経路切替装置を備えると共に、前記制御装置に前記電源供給装置と前記信号経路切替装置を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項21記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記電源供給装置と前記信号経路切替装置の制御手段は、複数の局部出力領域モニタ検出器を順次選択して局部出力領域モニタ検出器の電圧及び電流特性を自動的に測定すると共に、測定された電圧及び電流特性の傾きと連続性に基づいて局部出力領域モニタ検出器の機能評価と、この評価結果を表示する機能を備えたことを特徴とする請求項23記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記電源供給装置と前記信号経路切替装置の制御手段は、複数の局部出力領域モニタ検出器を同時選択して局部出力領域モニタ検出器の電圧及び電流特性を自動的に測定すると共に、測定された電圧及び電流特性の傾きと連続性に基づいて局部出力領域モニタ検出器の機能評価と、この評価結果を表示する機能を備えたことを特徴とする請求項23記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記制御装置に当該原子炉出力監視装置の有する監視機能を無効とする信号入力を備えて、前記監視機能無効信号が入力されている場合にのみ前記局部出力領域モニタ検出器の電圧及び電流特性測定を行うことが可能で、前記監視機能無効信号が入力されていない場合に前記局部出力領域モニタ検出器の電圧及び電流特性測定を操作する手段を起動しようとした場合は警告表示を行うことを特徴とする請求項23記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記局部出力領域モニタ検出器信号処理装置の電源供給装置に高周波ノイズ除去装置を設けると共に、局部出力領域モニタ検出器信号の基準電位を原子炉建屋の接地電位とすることを特徴とする請求項21記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記局部出力領域モニタ検出器信号処理装置に平均出力領域モニタ機能を備えると共に、前記制御装置に原子炉保護系へのトリップ信号出力機能を備えたことを特徴とする請求項21記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記制御装置を介して前記局部出力領域モニタ検出器信号処理装置から制御棒引抜監視装置へデータを伝送することを特徴とする請求項28記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記制御装置を介して応答時間要求のない信号を前記データ伝送装置へ伝送することを特徴とする請求項28記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、前記制御棒引抜監視装置の演算機能と前記データ伝送装置の機能を一つの電子装置に設けると共に、前記電子装置を冗長化したことを特徴とする請求項28記載の原子炉出力監視装置。
- 前記原子炉出力監視装置において、応答時間要求のある信号のうち原子炉保護系及び制御棒引抜監視装置への出力を除くものの出力は、前記制御装置より光・電気信号変換装置を介して行うことを特徴とする請求項28記載の原子炉出力監視装置。
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