JP3784974B2 - 原子炉出力監視装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力発電プラントの原子炉核計装システムで、出力領域における中性子束を監視する原子炉出力監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型軽水炉において、出力領域における中性子束を監視する原子炉出力監視装置である出力領域モニタ(PRM)は、図5の炉心横断面図に示すように、炉心1における局部出力分布の計測と平均出力の計測、および原子炉出力約10%以上の出力領域での運転時に、局部出力および平均出力の過渡変化に対して炉心を保護すること(安全保護機能)を目的に設けられている。
【0003】
従って、局部出力領域モニタ(Local Power Range Monitor 、以下、LPRMと略称する)検出器集合体2としては、炉心軸方向に沿って等間隔で4つのLPRM検出器3を配置(下からA,B,C,Dレベル)し、炉心平面上で制御棒4の2本間隔毎に計測を行っている。
【0004】
また、図6のブロック構成図に示すように、前記LPRM検出器3の出力信号は、電源系統をA,B系の2つに分離したLPRMユニット5a,5bに入力される。
さらに、平均出力領域モニタ(Average Power Range Monitor 、以下、APRMと略称する)ユニット6a〜6fは、それぞれ演算部7と警報設定部8を備えており、前記LPRM検出器3の信号を炉心1全体から均等に入力して、炉心1の平均出力レベルの計測を行なっている。
【0005】
なお、前記APRMユニット6a〜6fにおいては、炉心1の平均出力レベルが設定値に達した時や、LPRM検出器3の信号の入力数がAPRM演算に必要な数を下回った時、およびAPRM電源の喪失により監視機能が無効となった時等には、選択制御棒挿入(SRI)判定ユニット9a〜9fを介して、制御棒操作監視系(RPS)10にトリップ信号を出力する。
【0006】
前記選択制御棒挿入判定ユニット9a〜9fは、それぞれ時定数演算器11と警報設定器12を備えていて、各選択制御棒挿入判定ユニット9a〜9fからのトリップ信号は、論理回路13を経由して、前記制御棒操作監視系10に出力され、原子炉緊急停止(スクラム)をしたり、警報信号を出力したりする。
軽水炉において安全保護機能を有する系統は、その系統を構成するチャンネルの単一故障が起きた場合でも、その安全保護機能を失わないように、多重性を備えた設計とする必要がある。
【0007】
このために、BWR−2/3/4/5型沸騰水型軽水炉における制御棒操作監視系10としては、二重の1out of2方式を採用した2系4区分(A,B系、区分A1 ,A2 ,B1 ,B2 )のチャンネル構成となっている。
【0008】
一方、APRMユニット6a〜6f等の原子炉核計装系については、運転中でも一部のユニットを使用状態から切り離し(以下、バイパスと呼ぶ)を行い、保守や調整および校正ができるように、各系で1チャンネル多い構成、即ち各系3チャンネル(A系−A,C,E、B系−B,D,F)で、A,B両系で6チャンネルの構成とし、各系のAPRMユニット6a〜6fは、同一系に属する図示しない無停電電源装置より給電されている。
【0009】
また、各制御棒操作監視系10に接続されている3チャンネルのAPRMユニット6a〜6fの内で、1チャンネルのAPRMユニット6a〜6fを、図示しないバイパススイッチによりバイパスすることもできる。なお、この時にバイパスされたAPRMユニット6a〜6fからのトリップ信号は採用されない。
【0010】
しかしながら、例えば、前記A系のAPRMユニット6a,6c,6eの内で、APRMユニット6aの1チャンネルが故障や保守または校正等のためにバイパス状態となっても、残り2チャンネルのAPRMユニット6c,6eが、論理回路13により制御棒操作監視系10のA系で、2つのチャンネルA1 ,A2 のいずれかにそれぞれ接続される。
【0011】
このために、前記単一故障が起きた場合でも、健全な残りの1チャンネルと他系のAPRMユニット6b,6d,6fにより多重化されている。
また、前記APRMユニット6a〜6fは、炉心1における冷却材の再循環流量に応じて変化するトリップ出力設定点を有しており、このために出力領域モニタでは再循環流量の監視も行っている。
【0012】
これには、各再循環ループに設置した各差圧伝送器14からの信号を、再循環流量演算装置(以下、FLOWユニットと呼ぶ)15a〜15dに入力し、内部に備えた流量変換部16により再循環ループ流量の総和(FLOW)を演算し、A,B系別にして前記APRMユニット6a〜6fへ出力する。
また、前記差圧伝送器14およびFLOWユニット15a〜15dは、各単一故障がA,B両系のAPRMユニット6a〜6fに影響を与えないように、各系が1または2チャンネル、両系で2または4チャンネルの多重化に構成している。
【0013】
これにより、各APRMユニット6a〜6fは、FLOWユニット15a〜15dからの再循環流量信号を入力し、この再循環流量値に応じてトリップ出力の設定点を決定する。
また、再循環流量信号は、ロッドブロックモニタ(RBM)17a,17bへも出力され、制御棒引き抜き阻止トリップ出力の設定点決定に使用されている。
【0014】
なお、前記APRM出力信号は図示しないアイソレータと、前記選択制御棒挿入判定ユニット9a〜9fの時定数演算部11を通し、熱出力(TPM)信号として熱出力値を監視する。
しかし、この熱出力値が設定値より高い時には、選択制御棒挿入システムへ信号を発して、図7の特性曲線図において斜線で示す選択制御棒挿入領域18を外れた時に、原子炉の出力を下げるために特定の制御棒を挿入する操作をさせる。
【0015】
なおここでは、2つの選択制御棒挿入判定ユニット9a〜9fからの熱出力高判定の論理和をとって、制御棒操作監視系10へ制御棒4を挿入させる信号を発している。
また、運転領域制限監視ユニット19は、A,B系別に2つの演算部20a,20bと、統括演算部21および警報設定器22を備えていて、前記同一区分の各選択制御棒挿入判定ユニット9a〜9fにて演算された熱出力信号を、演算部20a,20bによって演算(平均値や中間値をとる)して熱出力値を出力する。
【0016】
さらに、この各区分の演算結果は、統括演算部21において平均や中間値の演算をして、警報設定器22にて安定性制限領域から外れた時に、警報および警報出力を行う(符号23は欠番)。
前記出力領域モニタにおいて、安全系に含まれるLPRMユニット5a,5bおよびAPRMユニット6a〜6fと、常用系であるロッドブロックモニタ17a,17b等との間のデータ伝送を分離・統括するものとして、データ伝送処理系がある。
【0017】
このデータ伝送処理系として、改良型沸騰水型軽水炉用出力領域モニタでは、核計装と計算機とのインターフェースとして使用している。この時、APRMユニット6a〜6fの1チャンネルに対して、データ伝送処理系も1チャンネルを必要としていた。
【0018】
従って、図9のブロック構成図に示すように、2チャンネルのLPRMユニット5a,5bと、6チャンネルのAPRMユニット6a〜6fを、2チャンネルのロッドブロックモニタ(RBM)17a,17bと、6チャンネルのデータ伝送処理系(DCF)24a〜24fにより、A,B系の2つに分けて、前記ロッドブロックモニタ17a,17bはRPS10へ、データ伝送処理系24a〜24fは、運転制御系30へデータ伝送をしている。
【0019】
なお、前記データ伝送処理系24a〜24fは、図10のブロック構成図に示すように、第1伝送コントロール部25と第1メモリ26、演算部27と第2メモリ28さらに第2伝送コントロール部29を備えている。
【0020】
このデータ伝送処理系24a〜24fにおいては、他のユニットである、例えばAPRMユニット6a〜6fから入力するデータを、第1伝送コントローラ部25を経由して第1メモリ26に格納すると共に、演算部27にて出力データ用に加工して第2メモリ28に書き込み、次いで、第2伝送コントロール部29から別のユニットである、運転制御系30へ伝送する。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上記の原子炉出力監視装置においては、APRMユニット6a〜6fからのAPRM信号を入力する選択制御棒挿入判定ユニット9a〜9fが、APRMユニット6a〜6fと同じチャンネル分が必要であることから、機器ユニット数が多く設置場所も広く必要としていた。
また、同様に運転領域制限監視ユニット19まで熱出力信号を伝送するため等に、機器相互間に多くのケーブルを敷設することから、設置作業が複雑になり信頼性も低下する支障があった。
【0022】
本発明の目的とするところは、選択制御棒挿入判定ユニットと運転領域制限監視ユニットを他のユニットへ集約して、データ伝送処理系等と共にユニット数を削減して設置場所の低減と信頼性を向上した原子炉出力監視装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、沸騰水型軽水炉に使用される局部出力領域モニタ検出器の信号を入力処理する局部出力領域モニタユニットおよび平均出力領域モニタユニットと、前記局部出力領域モニタ検出器の信号を前記平均出力領域モニタユニットを介して入力されるロッドブロックモニタとを備え、前記平均出力領域モニタユニットにて低流量および高出力時の選択制御棒挿入領域を判定して警報を発し、前記平均出力領域モニタユニットで演算した熱流束相当出力(熱出力)をもとにして、前記ロッドブロックモニタにて区分毎の熱出力値を選択または演算を行い、
前記平均出力領域モニタユニットから受信した再循環流量と前記ロッドブロックモニタにて求めた区分毎の熱出力値をもとに、区分毎の熱出力値の中間値について運転領域制限判定を前記ロッドブロックモニタにて行うことを特徴とする。
平均出力領域モニタにおいて平均出力値に時定数をかけて熱出力値の演算を行い、この結果から選択制御棒挿入の判定を行うと共に警報を発し、平均出力領域モニタにおいて熱出力値の演算を行った結果から、ロッドブロックモニタにより二重化した運転領域制限監視を行い、平均出力領域モニタユニットにおいて熱出力および再循環流量値を演算し、この結果から運転領域制限の判定をロッドブロックモニタにて行う。
【0026】
請求項2記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、安全系に含まれる局部出力領域モニタユニットと、平均出力領域モニタユニットおよび常用系であるロッドブロックモニタ等との間のデータ伝送を分離・統括するデータ伝送処理系が、全平均出力領域モニタユニットおよび局部出力領域モニタユニットからのデータを2チャンネル構成のデータ伝送処理系に各々入力して冗長化することを特徴とする。
平均出力領域モニタユニットおよび局部出力領域モニタユニットからのデータは、2チャンネルの冗長化したデータ伝送処理系にて伝達させる。
【0027】
請求項3記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、請求項2において、前記データ伝送処理系が、炉心出力分布計算とその結果を表示および記録することを全チャンネルの局部出力領域モニタ値をもとに行うことを特徴とする。
データ伝送処理系において、炉心出力分布計算とその結果の表示および記録をして、原子炉の監視を行う。
【0028】
請求項4記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、請求項2において、前記データ伝送処理系が、炉心流量分布計算とその結果を表示および記録することを特徴とする。
データ伝送処理系において、炉心流量分布計算とその結果の表示および記録をして、原子炉の監視を行う。
【0029】
請求項5記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、請求項2において、前記データ伝送処理系が、炉心出力分布と炉心流量分布および制御棒位置等から限界出力密度比と限界出力比の計算とその結果を表示および記録することを特徴とする。
データ伝送処理系において、炉心出力分布と炉心流量分布および制御棒位置等から限界出力密度比と限界出力比の計算炉心流量分布計算と、その結果の表示および記録をして、原子炉の監視を行う。
【0030】
請求項6記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、請求項2において、前記データ伝送処理系が、原子炉のヒートバランスから全炉心での熱出力の計算とその結果を表示および記録することを特徴とする。
データ伝送処理系において、原子炉のヒートバランスから全炉心での熱出力の計算と、その結果の表示および記録をして、原子炉の監視を行う。
【0031】
請求項7記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、請求項2において、前記データ伝送処理系が、炉心出力分布をもとに燃料集合体各セグメントの累積燃焼と制御棒および局部出力領域モニタの累積照射量計算との結果を表示および記録することを特徴とする。
データ伝送処理系において、燃料集合体各セグメントの累積燃焼と制御棒および局部出力領域モニタの累積照射量計算と、その結果の表示および記録をして、原子炉の監視を行う。
【0032】
請求項8記載の発明に係る原子炉出力監視装置は、請求項2において、前記データ伝送処理系が、平均出力領域モニタユニットからロッドブロックモニタ経由でデータ伝送してバックアップ機能を付与したことを特徴とする。
データ伝送処理系は、ロッドブロックモニタ経由でデータを取り込むことにより、バックアップ機能が付与される。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
第1実施の形態は請求項1乃至請求項3に係り、図1のブロック構成図に示すように、複数のLPRM検出器3の出力信号は、電源系統をA,B系の2つに分離した2チャンネルのLPRMユニット5a,5bに入力される。
【0034】
さらに、6チャンネルのAPRMユニット31a〜31fは、それぞれA/D変換部32と演算部33、時定数演算部34と警報設定部35を備えており、前記LPRM検出器3の信号を炉心1全体から均等に入力して、炉心1の平均出力レベルの計測を行ない、この平均出力値を前記LPRMユニット5a,5bの出力と共に、光ファイバーケーブルを介して、光伝送によりA,B系のロッドブロックモニタ17a,17bに伝達する。
【0035】
なお、前記APRMユニット31a〜31fにおいては、図示しない再循環系における差圧伝送器からの流量データを、差圧伝送器信号14としてA/D変換部32に入力し、演算部33において流量を演算すると共に、設定値を越えた場合には警報をする。
さらに、前記LPRM検出器3の信号をA/D変換部32を通して、平均出力値を演算部33で演算させ、必要に応じて警報設定部35において警報を発する。
【0036】
また、前記演算部33で演算させた前記炉心1の平均出力値から、時定数演算部34において熱出力値を計算して、光伝送によりロッドブロックモニタ17a,17bに伝達するが、この熱出力値が設定値の例えば低値、最大値、中間値、平均値等を越えた場合に、警報設定部35は熱出力高信号を出力するように構成している(請求項1,2)。
【0037】
なお、前記熱出力高信号は論理回路13に伝送され、この論理回路13において前記APRMユニット31a〜31fからの熱出力高信号の論理和をとり、制御棒操作監視系10にトリップ信号として出力されて、原子炉緊急停止(スクラム)をしたり、警報信号を出力したりする。
【0038】
これにより、前記APRMユニット31a〜31fにおいて、炉心1における再循環流量の低流量と、原子炉が高出力時(SRI領域)における選択制御棒挿入の判定をすることが可能になる(請求項3)。
また、前記APRMユニット31a〜31fは、平均出力値に時定数をかけた値(熱出力)と、LPRM検出器3による局部出力領域モニタ値をそれぞれロッドブロックモニタ17a,17bに対して光伝送にて送信している。
【0039】
上記構成による作用としては、前記APRMユニット31a〜31fにおいては、熱出力値を設定値と比較する機能を持たせてあり、熱出力高時に出力される熱出力高信号は、論理回路13に対し光伝送にて送信される。従って、この光伝送により、各ユニットはそれぞれが電気的および物理的に分離される。
【0040】
前記ロッドブロックモニタ17a,17bでは、受信した全区分の熱出力値を保持すると共に、区分毎の熱出力値の中間値(または低値、または平均値、または最大値)をとる機能を備えており、また、APRMユニット31a〜31fから再循環流量の信号が入力されている。
【0041】
これにより、前記区分毎の熱出力値の中間値について、再循環流量をもとにして運転領域判定を行うことにより、ロッドブロックモニタ17a,17bは運転領域制限監視機能を有する。また、このロッドブロックモニタ17a,17bがA,B系に二重化しているので、運転領域制限監視機能も同様に二重化される。
従って、本第1実施の形態によれば、ユニット数が大幅に削減されるので、設置スペースが低減できると共に、各ユニット相互における信号伝達のための信号ケーブル類が削減されて、装置全体の信頼性も向上する。
【0042】
第2実施の形態は請求項4に係り、上記第1実施の形態の変形であることから、第1実施の形態と同様の構成と作用および効果については説明を省略して、異なる部分について説明する。
図2のブロック構成図に示すように、電源系統をA,B系の2つに分離した2チャンネルのLPRMユニット5a,5bと共に、6チャンネルのAPRMユニット31a〜31fを具備している。
【0043】
また、前記APRMユニット31a〜31fは、熱出力演算を実施すると共にこの熱出力値(TPM値)を、LPRMユニット5a,5bの出力と共に、光伝送によりA,B系のロッドブロックモニタ17a,17bへ送信される。
同様にして、前記APRMユニット31a〜31fにおいて演算された、差圧伝送器からの流量データによる再循環系の流量値を、ロッドブロックモニタ17a,17bへ送信する。
【0044】
これにより、上記第1実施の形態と同様の機能で、ユニット数をさらに削減できることから、設置スペースの低減と、各ユニット相互における信号伝達のための信号ケーブル類が削減されて、装置全体の信頼性がさらに向上する。
【0045】
第3実施の形態は請求項4に係り、上記第2実施の形態の変形であることから、第2実施の形態と同様の構成と作用および効果については説明を省略して、異なる部分について説明する。
上記第2実施の形態におけるAPRMユニット31a〜31fにおいて、ロッドブロックモニタ17a,17bへ出力する熱出力値の代りに平均出力値を送信して、A,B系のロッドブロックモニタ17a,17bにおいて、熱出力値の演算処理をさせることにより、選択制御棒挿入判定および運転領域監視を行う。
【0046】
これにより、APRMユニット31a〜31fから受信している再循環流量信号は、通常ロッドブロックモニタ17a,17bでは、ロッドブロックモニタ値の警報設定値にのみ使用しているが、この再循環流量を運転領域監視用にも使用して監視を行うことができる。
【0047】
第4実施の形態は請求項5乃至請求項9に係り、上記第2実施の形態の変形であることから、第2実施の形態と同様の構成と作用および効果については説明を省略して、異なる部分について説明する。
【0048】
図3のブロック構成図に示すように、電源系統をA,B系の2つに分離した2チャンネルのLPRMユニット5a,5bと、6チャンネルのAPRMユニット31a〜31fを具備しており、それぞれがデータ伝送処理系36a,36bと接続している。
また、データ伝送処理系36a,36bは、入力I/F部37a〜37dと演算部38、および出力I/F部39と表示器40、さらに記録装置41とから構成されており、外部での適宜切替え42を可能としている(請求項5〜9)。
【0049】
なお、前記入力I/F部37a〜37dは、それぞれ伝送コントロール部43と演算部44、および共通メモリ45とから形成している。また、出力I/F部39は、共通メモリ46と演算部47、および伝送コントロール部48で形成していて、前記入力I/F部37a〜37dと共に、各演算部44,47はそれぞれ独立して演算処理を実行する。
【0050】
次に、上記構成による作用について説明する。データ伝送処理系36a,36bにおいては、入力I/F部37a〜37dにて、2チャンネルのLPRMユニット5a,5bと、6チャンネルのAPRMユニット31a〜31fからの出力データ(APRM,LPRM各ユニットにて演算・監視する原子炉内の出力データおよび機器状態の情報)を、各チャンネルから受信する。
この入力I/F部37a〜37dにて受信したデータは、演算部44より共通メモリ45に格納される。
【0051】
また、演算部38を介してデータは、出力I/F部39において、共通メモリ46に書き込み、演算部47で他のユニットへ伝送させるようにデータを加工して、伝送コントローラ48にて他ユニットへ伝送させる。なお、前記表示器40と記録装置41は、演算部38からの出力データの表示と記録を行う。
【0052】
これにより、前記データ伝送処理系36a,36bは、それぞれLPRMユニット5a,5bと、6チャンネルのAPRMユニット31a〜31fからの、原子炉内の出力および機器状態のデータを、独立してデータの入出力処理をする。
従って、後段のプロセスコンピュータに対するLPRM検出信号の出力更新周期を短くすると共に、各入力I/F部37a〜37dの演算処理手段の相互補完により、どの入力I/F部37a〜37dが機能しなくなっても他の入力I/F部37a〜37dの演算処理手段にて代替して信頼性を向上させることができる。
【0053】
また、1個の入力I/F部37a〜37dの入力が、LPRMユニット5a,5bおよびAPRMユニット31a〜31fのチャンネル数だけ用意されている場合には、各入力I/F部37a〜37dにそれぞれ同様にLPRMユニット5a,5bおよびAPRMユニット31a〜31fからのデータを入力させるようにした場合は、1つの入力I/F部37a〜37dが故障した際に、他の入力I/F部37a〜37dにて処理することができる。
【0054】
このように、データ伝送処理系36a,36bの内部を信号入力部(入力I/F部37a〜37d)、送信データ加工部(演算部38)、信号出力部(出力I/F部39)に分散させて、演算処理および信頼性の向上を図っている。
また、図示しないプロセスコンピュータが処理している炉心関連部分をデータ伝送処理系36a,36bの演算部38にて行い、機器の集約化により機器の削減ができ、たとえば、入力I/F部37a〜37dの単一故障による測定データの損失を防ぐことから信頼性が向上する。
【0055】
なお、前記データ伝送処理系36a,36bには、全区分の平均出力値と熱出力値、および再循環流量値のデータが受信されるので、演算部38にて従来プロセスコンピュータが演算処理していた、炉心関連の演算(炉心出力分布計算、炉心流量分布、ボイド率分布計算)が可能となる。
【0056】
すなわち、前記炉心出力分布、炉心流量分布、ボイド率分布および制御棒位置等から、限界出力密度比、限界出力比を、さらに、前記炉心出力分布をもとに燃料集合体各セグメントの累積燃焼、制御棒、LPRMの累積照射量の計算ができる。
また、データ伝送処理系36a,36bにおける表示器40により演算結果を表示すると共に、記録装置41にて演算結果の記録を行う。
【0057】
このように、データ伝送処理系36a,36bにおいて、従来常用系であるプロセスコンピュータにおける炉心関連の演算を行わせることにより、関連機器が削減されてプロセスコンピュータまでのケーブル接続が不要になる。
さらに、近年は演算処理速度が上昇しているため、従来のようにプロセスコンピュータへ送信して炉心関連の演算をさせるよりも、直接出力監視装置にて処理する方が、従来プロセスコンピュータにて出力していた警報出力までの時間が一層短縮される。
【0058】
第5実施の形態は請求項10に係り、上記第4実施の形態の変形であることから、第4実施の形態と同様の構成と作用効果については説明を省略して、異なる部分についてのみ説明する。
図4のブロック構成図に示すように、データ伝送処理系36a,36bは二重化されていて、上記図3と同様の構成にて接続され、データ伝送処理系36a,36bの切替42を可能としている。
【0059】
ここで、APRMユニット31a〜31fからロッドブロックモニタ17a,17bと、データ伝送処理系36a,36bへ送信されるデータは同一なため、ロッドブロックモニタ17a,17bからデータ伝送処理系36a,36bへデータを送信させるようにしている。
なお、データ伝送処理系36a,36bにおいては、応答速度の制約がないので、このようにロッドブロックモニタ17a,17bを経由してデータの送信を行っても何等問題は生じない。
【0060】
従って、ロッドブロックモニタ17a,17bから、データ伝送処理系36a,36bへデータを送信するようにしたことで、前記APRMユニット31a〜31fから、データ伝送処理系36a,36bへのデータ送信が不可能になった場合でも、データ伝送処理系の受信データバックアップにより、データ伝送処理系36a,36bが正常に動作して、故障扱いにはならない。
このように、データ伝送処理系36a,36bが二重化されていることから、信頼性が向上する。
【0061】
【発明の効果】
以上本発明によれば、APRMユニットおよびロッドブロックモニタ機能の集約化により、ユニット等構成機器数が減少して設置スペースの低減と信頼性が向上すると共に、データ伝送処理系の二重化によりさらに信頼性が向上する。
【0062】
また、従来外部のプロセスコピュータで実施していた炉心関連の演算をデータ伝送処理系にて行うことで、システム応答性が向上し、プラント運転上の安全性が増す。
さらに、ロッドブロックモニタにおいて熱出力演算および監視を行うことで、APRMユニットにおける演算処理の負荷が低減し、APRMユニットの応答性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施の形態の原子炉出力監視装置のブロック構成図。
【図2】本発明に係る第2,3実施の形態の原子炉出力監視装置のブロック構成図。
【図3】本発明に係る第4実施の形態の原子炉出力監視装置のブロック構成図。
【図4】本発明に係る第5実施の形態の原子炉出力監視装置のブロック構成図。
【図5】軽水炉における従来のLPRM検出器集合体の配置図。
【図6】従来の原子炉出力監視装置のブロック構成図。
【図7】原子炉における選択制御棒挿入領域の特性曲線図。
【図8】原子炉における安定性制限曲線の特性曲線図。
【図9】従来のデータ伝送処理系のブロック構成図。
【図10】従来型データ伝送処理系のブロック構成図。
【符号の説明】
1…炉心、2…検出器集合体、3…LPRM検出器、4…制御棒、5a,5b…LPRMユニット、6a〜6f…APRMユニット、7,20a,20b,27,33,38,44,47…演算部、8,35…警報設定部、9a〜9f…選択制御棒挿入判定ユニット(SRI)、10…制御棒操作監視系(RPS)、11…時定数演算器、12,22…警報設定器、13…論理回路、14…差圧伝送器信号、15a〜15d…再循環流量演算装置(FLOWユニット)、16…流量変換部、17a,17b…ロッドブロックモニタ(RBM)、18…選択制御棒挿入領域、19…運転領域制限監視ユニット、21…統括演算部、23…(欠番)、24a〜24f,36a〜36f…データ伝送処理系(DCF)、25…第1伝送コントロール部、26…第1メモリ、28…第2メモリ、29…第2伝送コントロール部、30…運転制御系、31a〜31f…APRMユニット、32…A/D変換部、34…時定数演算部、37a〜37d…入力I/F部、39…出力I/F部、40…表示器、41…記録装置、42…切替え、43,48…伝送コントロール部、45,46…共通メモリ。

Claims (8)

  1. 沸騰水型軽水炉に使用される局部出力領域モニタ検出器の信号を入力処理する局部出力領域モニタユニットおよび平均出力領域モニタユニットと、
    前記局部出力領域モニタ検出器の信号を前記平均出力領域モニタユニットを介して入力されるロッドブロックモニタとを備え、
    前記平均出力領域モニタユニットにて低流量および高出力時の選択制御棒挿入領域を判定して警報を発し、
    前記平均出力領域モニタユニットで演算した熱流束相当出力(熱出力)をもとにして、前記ロッドブロックモニタにて区分毎の熱出力値を選択または演算を行い、
    前記平均出力領域モニタユニットから受信した再循環流量と前記ロッドブロックモニタにて求めた区分毎の熱出力値をもとに、区分毎の熱出力値の中間値について運転領域制限判定を前記ロッドブロックモニタにて行うことを特徴とする原子炉出力監視装置。
  2. 安全系に含まれる前記局部出力領域モニタユニットと、前記平均出力領域モニタユニットおよび常用系である前記ロッドブロックモニタ等との間のデータ伝送を分離・統括するデータ伝送処理系が、全平均出力領域モニタユニットおよび局部出力領域モニタユニットからのデータを2チャンネル構成のデータ伝送処理系に各々入力して冗長化することを特徴とする請求項1記載の原子炉出力監視装置。
  3. 前記データ伝送処理系が、炉心出力分布計算とその結果を表示および記録することを全チャンネルの局部出力領域モニタ値をもとに行うことを特徴とする請求項2記載の原子炉出力監視装置。
  4. 前記データ伝送処理系が、炉心流量分布計算とその結果を表示および記録することを特徴とする請求項2記載の原子炉出力監視装置。
  5. 前記データ伝送処理系が、炉心出力分布と炉心流量分布および制御棒位置等から限界出力密度比と限界出力比の計算とその結果を表示および記録することを特徴とする請求項2記載の原子炉出力監視装置。
  6. 前記データ伝送処理系が、原子炉のヒートバランスから全炉心での熱出力の計算とその結果を表示および記録することを特徴とする請求項2記載の原子炉出力監視装置。
  7. 前記データ伝送処理系が、炉心出力分布をもとに燃料集合体各セグメントの累積燃焼と制御棒および局部出力領域モニタの累積照射量計算との結果を表示および記録することを特徴とする請求項2記載の原子炉出力監視装置。
  8. 前記データ伝送処理系が、平均出力領域モニタユニットからロッドブロックモニタ経由でデータ伝送してバックアップ機能を付与したことを特徴とする請求項2記載の原子炉出力監視装置。
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