JP3935520B2 - 密封容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は直方体状カートンの被せ蓋の係止手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型の粉末洗剤カートンに代表される被せ蓋を有する密封容器は、防湿性、内容物の飛散防止性、使用時の頭部全開性、さらに低コスト等が要求され、図4に示すような直方体あるいは頭部が平坦で、胴部が丸みのある四角柱状の密封容器が一般に使用されている。その一例は、図4(a)に示すように、胴部11の上端をシール性を持たせたグラシン紙13等でトップシールして防湿性と内容物の飛散防止性を与え、全開できるヒンジ付きの被せ蓋12を取り付けた密封容器30Aである。この容器の場合は、初期開封時に被せ蓋前面と胴部11に亘って封止された粘着ラベルを剥して被せ蓋12を開封し、グラシン紙12を取り外し、内容物を取り出すように設計されている。この例の場合、初期開封以降は被せ蓋のみで再封が行われ、被せ蓋の前側で次例で説明するような係止手段が設けられている。
また、図4(b)に示す例は、容器の上部が2重壁のカートンからなり、カートン上部の外側の側壁に3方に亘って設けられた帯状の引き裂き片14を水平に引き裂き、胴部11と被せ蓋部12に分離し、被せ蓋12をヒンジ11を回転軸にして開けば、直ちに中身を取り出せるようにした密封容器30Bである。この場合、前面内壁パネルの最上部に設けられた折り返し片14と被せ蓋前面パネルの内側の貼着片15同志が被せ蓋再封時に係止するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来の密封容器30A、30Bにおける被せ蓋12は、ヒンジHだけで支えられているため、開封時の停止位置が安定せず、ヒンジの反発力が強すぎると被せ蓋12が前倒れして内容物を出しにくくしたり、あるいは繰返し使用でヒンジが弱くなると後ろに倒れすぎたりする問題がある。
また、再封時に前面で係止する場合、折り返し片14の反発力によって被せ蓋12の前面パネルは若干前方に押し出された状態となって直方体のカートン形状が崩れ、それが前面における変形だけに外観上好ましくないという問題がある。本発明は、前述の問題点に鑑みてなされたもので、被せ蓋12を開封時に任意の位置で係止し、再封時に前面形状を維持できる密封容器の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた本発明は、少なくとも胴部の上半分が外壁と内壁の二重壁からなり、後面外壁パネル上にヒンジが、また正面と両側面の外壁パネル上に2重切れ目線による引き裂き片が同一水平レベルで設けられ、前記引き裂き片を切り離すことによって前記ヒンジを軸として開閉可能な被せ蓋が得られる直方体のカートンの前記両側面に、被せ蓋再封時の係止手段が、また前記ヒンジ部に被せ蓋開封時の係止手段がそれぞれ設けられている密封容器において、前記被せ蓋再封時の係止手段が、前記胴部の両側面の内壁上辺に折線を介して設けられた折り返し片と前記両側面内壁が対向する被せ蓋の両側パネル内面に貼着された切り取り片から構成されてなり、該切り取り片は前記折り返し片に切れ目線を介して延設されたものであることを特徴とする密封容器であり、前記被せ蓋開封時の係止手段が、前記被せ蓋後面パネルに前記ヒンジの水平レベルより下方に突き出る突起片を設けた形状とすることができることを特徴とする密封容器を要旨とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を図面を用いてさらに詳しく説明する。
図1は本発明による密封容器20のカートンブランク10、10’展開図である。図1(a)は外側カートンブランク10であり、図1(b)は内側カートンブランク10’の斜視図である。
先ず外側カートンブランク10は蓋部L,胴部D、底部Bから構成されている。蓋部Lは折り込まれて天板を形成する折込みフラップ1〜4Lと折線13を介して連接する被せ蓋の垂直パネルを形成する帯状部からなり、胴部は4枚の外壁パネル1〜4Dと糊代Sからなり、底部Bはこれまでのシールエンドカートンと同一である。
【0006】
図1(a)に示すように、胴部Dと蓋部Lとの間には、細長い引き裂き片5が2重の切れ目線12によって形成され後面外壁パネル2Dに入ったところでハーフカット14によって引き裂きが終了するようになっている。このブランク10には引き裂き片5の幅より狭い引き裂きテープ(図示せず)がブランク10全体を通して、引き裂き片5のレベルに前もって貼り込まれている。この引き裂きテープはハーフカット14でカットされている。
【0007】
後面外壁パネル2Dの最上辺には折線加工によりヒンジ11が設けられている。またこのヒンジ11と連結して2個の切り込み12が蓋部L側からの2個の突起片6を形成するように設けられている。この突起片6の数はさらに増やしてもよい。
ヒンジの形成の前記折線加工は罫線とミシン刃を同時に作用させた、いわゆるリード罫によってもよい。
【0008】
図1(b)に示すように、内側カートンブランク10’は4枚の胴部インナーパネル1〜4Iが横に連接されてなり、側面インナーパネル3I,4Iの最上辺にはリード罫15を介して、折込み片7が連接され、さらに折込片7に切り込み線16を介して切り取り片8が延設されている。
【0009】
以上の両ブランク10、10’は次の方法で組み合わせる。
サック貼り機で先ず、内側カートンブランク10’の折込み片7と切り取り片8を外側に折り返し、つぎに内側カートンブランク10’全体を折線a’,b’で三つ折りして、内側カートンブランク10’の最上辺が外側カートンブランク10の折線13の位置に揃うように外側カートンブランク10の胴部1Dと4Dの上に乗せて、外側カートンブランク10の折線a,bで内側カートンブランク10’を抱き込むように三つ折りし、側面外パネル3Dと糊代Sを貼り合わせると、本発明による密封容器の折り畳まれた状態の筒状半製品ができあがる。
これを起こして筒状体とし、底部Bを封止して内容物を上部から充填し、被せ蓋Lの折込みフラップ1〜4Lを折り畳んで被せ蓋Lの天板を形成すれば本発明による密封容器が得られる。また被せ蓋部Lの方を先に成形し、内容物を充填してから底部Bを最後に封止してもよい。
【0010】
図2は本発明による密封容器20の斜視図である。
図2(a)に示すように、カットテープで裏打ちされた引き裂き片5によって後面外壁を残して3方の外壁パネルを切り離すと、被せ蓋と胴部は分離し、図2(b)に示すように開封することができる。この最初の開封に当たって、内側カートンブランク10’の両側パネル3I,4Iの最上辺にリード罫15を介して連接され、外方向に折り込まれている折込片7と切り取り片8は切れ目線16から切断され、切り取り片8は被せ蓋の内側に貼着されて残る。この分離した両片7、8は被せ蓋Lが再封されたとき、開封前の元の位置関係に戻るため、それらのエッジ同志が引っ掛かることによって請求項2に対応する被せ蓋再封時の係止手段が構成される。
本発明による密封容器20ではこの係止手段を前側から両側面に移したことによって、これまで再封時に被せ蓋の前面パネルが前方に押し出される変形はなくなり、正面の外観が改善された。本発明による密封容器ではこの係止手段は容器側面に設けられるが、側面の幅は前面に較べて小さいため、前記と同様の変形は起こりにくく、例え起こったにしても僅かであり外観を損なうことは少ない。
【0011】
次に請求項3に対応する被せ蓋開封時の係止手段について説明する。
図3は被せ蓋開封時の係止手段説明図である。図3(a)に示すように、被せ蓋Lはヒンジ11を軸として90°以上に開かれており、被せ蓋後面パネル2Lを延長して形成された突起片12が内側カートンブランクの後方パネル2Iに対して突っ張った状態に置かれることによって被せ蓋Lを係止している。
さらに,図3(b)は、突起片12を通過する垂直断面、すなわち図1(a)におけるあA−A’断面を示している。
図(b)に示すように、この突起片12はヒンジ11を回転軸にして、その先端を内側カートンブランクの後方パネル2Iに擦り合わせるように回転する。この両者間には滑り抵抗が発生するので、被せ蓋Lの開閉がヒンジ11だけによって行なわれる従来の場合と異なって、前記滑り抵抗が発生している範囲において、被せ蓋Lを任意の位置に係止することができる。これは中身を取り出す時に、被せ蓋Lが戻ってきて開口部を狭くしたり、また開き過ぎることがなくなり、中身取り出しにあたって煩わしさを解消することができる。
図(b)では外側カートンブランク2Dの方が変形しているよう描かれているが、実際には内側カートンブランクの後方パネル2Iも内側に押しこまれ、変形が生じている。
【0012】
本発明による密封容器20は2ピースのブランク10、10’からなり、その基材は板紙あるいは紙を中心とする積層体のいずれでもよいが、水濡れ防止、防湿性の付与のため熱可塑性樹脂層を少なくとも外面に備えていることが望ましい。
また繰返しの開閉によって折り返し片8の折線、ヒンジ11が疲労しにくい剛度のある板紙の仕様が好ましい。
【0013】
本発明による密封容器は上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、胴部形状が角にアールのある四角柱状あるいは6角柱のような多角形状であってもよい。
また、折り返し片8の幅も、長さも図1〜3に記されたものにこだわる必要はない。
【0014】
【実施例】
本発明による密封容器を家庭用の小型粉末洗剤に適用すべく、サイズが、高さ135mm,幅150mm,奥行き90mmで、内容量が1200g(約1800cc)である直方体の密封容器を試作した。
外側カートンブランク10用の板紙には、本州製紙株式会社製、ネオサンド445g/m2 またインナーカートン10’用の板紙には本州製紙株式会社製、コートボール600 g/m2 を使用した。
また外側カートンブランク10となる巻取り板紙の所定の位置にポリプロピレン延伸テープをホットメルト系接着剤によって貼り合わせた。
また、折り返し片8と切り取り片9の縦方向の長さをそれぞれ中央部で10mm、折り返し片8のリード罫15上での幅を7mmとした。さらに突起片6の高さを3mm,幅を15mmとした。
以上の仕様によって本発明による密封容器を試作し、被せ蓋Lの開封機能を従来の密封容器と比較したところ、110°〜130°の範囲で任意の位置に係止することが可能であり、また再封止後の被せ蓋Lの前面形状は折り返し片8の反発によって変形することがなく、また両側の形状変化も少なく外観上優れた密封容器がえられた。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、被せ蓋の両側面とそれが対向する胴部内壁の最上部及び被せ蓋のヒンジ部に係止手段を設けることによって、開封時に被せ蓋を広範囲の角度に亘って任意の位置に係止させることができ、内容物を取り出し易くなり、また最封時に見られる被せ蓋前面パネルの変形をなくすことができ外観的に優れた被せ蓋付きの密封容器を提供することができる。
さらに本発明による密封容器は板紙主体であって、使用後の廃棄処理性あるいはリサイクル性は良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による密封容器のブランク展開図
【図2】本発明による密封容器の斜視図
【図3】被せ蓋開封時の係止手段の説明図
【図4】従来の密封容器
【符号の説明】
1〜4D 外側カートンブランク胴部
1〜4L 外側カートンブランク蓋部
1〜4I 内側カートンブランク胴部
5 引き裂き片
6 突起片
7 折り返し片
8 切り取り片
10 外側カートンブランク
10’ 内側カートンブランク
11 ヒンジ
12 切り込み
13 折線
14 ハーフカット
15 リード罫
16 切れ目線
20 本発明による密封容器
30A 従来の密封容器例
30B 従来の密封容器例
H ヒンジ
S 計量スプーン
Claims (2)
- 少なくとも胴部の上半分が外壁と内壁の二重壁からなり、後面外壁パネル上にヒンジが、また正面と両側面の外壁パネル上に2重切れ目線による引き裂き片が同一水平レベルで設けられ、前記引き裂き片を切り離すことによって前記ヒンジを軸として開閉可能な被せ蓋が得られる直方体のカートンの前記両側面に、被せ蓋再封時の係止手段が、また前記ヒンジ部に被せ蓋開封時の係止手段がそれぞれ設けられている密封容器において、
前記被せ蓋再封時の係止手段が、前記胴部の両側面の内壁上辺に折線を介して設けられた折り返し片と前記両側面内壁が対向する被せ蓋の両側パネル内面に貼着された切り取り片から構成されてなり、該切り取り片は前記折り返し片に切れ目線を介して延設されたものであることを特徴とする密封容器。 - 前記被せ蓋開封時の係止手段が、前記被せ蓋後面パネルに前記ヒンジの水平レベルより下方に突き出る突起片を設けたことを特徴とする請求項1記載の密封容器。
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JP32523995A JP3935520B2 (ja) | 1995-11-21 | 1995-11-21 | 密封容器 |
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