JP3935235B2 - Xy移動用アクチュエータおよび半導体接続装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボンディング装置等のボンディングヘッドのX軸方向およびY軸方向に移動制御するのに好適するXY移動用アクチュエータおよび半導体接続装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
図11には、従来のボンディング装置を示している。ボンディングヘッド1は、XYテーブル装置2によりX方向およびY方向へ移動されるようになっている。ボンディングヘッド1のアーム部3は揺動モータ4により図示矢印Cのように上下に往復回動するようになっている。このアーム部3の動作によりボンディングワイヤ5が半導体ペレット6のボンディングパッド6aとリードフレーム7のリード端子7aとを接続するようになっている。
【0003】
上記XYテーブル装置2は、ACサーボモータあるいはDCサーボモータからなるモータ8aを備えた下テーブル8と、同モータ9aを備えた上テーブル9とを有して構成されており、下テーブル8は図示しないボールねじがモータ8aにより回転されることによりX方向に移動するもので、また、上テーブル9は図示しないボールねじがモータ9aにより回転されることによりY方向に移動するようになっている。
【0004】
しかしながら、上記従来のXYテーブル装置では、大形で、しかも重量が重く、このため、XYテーブル用のモータ8a,9aの負荷が大きくなり、高速化および位置決め精度を向上させることが難しい。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小形・軽量で、高速・高精度化を図ることができるXY移動用アクチュエータおよび半導体接続装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のXY移動用アクチュエータにおいては、平板状の固定子ヨークとこの固定子ヨークに巻回された第1のコイルと前記固定子ヨークに前記第1のコイルとほぼ直交する向きに巻回された第2のコイルとからなる固定子と、
この固定子と対向するように配置され、平板状のヨークと単極に着磁された平板状のマグネットとからなる移動子と、
前記移動子を移動自在に支承する支持手段とを備え、
前記第1のコイルと第2のコイルとの通電制御により移動子を移動させるようにした構成としている。
【0007】
この構成においては、固定子の第1のコイルに一方向に通電すると、所定方向の磁界が発生して移動子のマグネットとの間に電磁力が発生し、移動子がX方向(これは往方向および復方向があるが)のうち例えば往方向(これをX(+)方向と称する)に移動する。逆方向に通電すると移動子がX方向のうちの復方向(これをX(−)方向と称する)に移動する。同様に、固定子の第2のコイルに一方向に通電すると、移動子がY方向(これは往方向および復方向があるが)のうち例えば往方向(これをY(+)方向と称する)に移動する。逆方向に通電すると、移動子はY方向のうちの復方向(これをY(−)方向と称する)に移動する。従って、第1のコイルに対する通電制御と第2のコイルに対する通電制御により、移動子をXY方向へ移動できるようになる。
この構成の場合には、X方向およびY方向について別々のサーボモータを必要としないと共に、別々のテーブルも必要とせず、小形化および軽量化を図ることができると共に、高速・高精度化も図ることができるようになる。
【0010】
請求項2の発明の移動用アクチュエータにおいては、支持手段が、空気流により移動子を移動可能に支承する構成であるところに特徴を有する。
この構成においては、ほとんど摩擦抵抗なく移動子を移動できて、高速化に寄与できると共に、長寿命化に寄与できる。
請求項3の発明のXY移動用アクチュエータは、支持手段が、複数個のボールを転動可能に備え、このボールにより移動子を移動可能に支承する構成であるところに特徴を有する。
この構成においては、比較的重量のある負荷を支持できるようになり、また摩擦抵抗も少ない。
【0011】
請求項4の発明のXY移動用アクチュエータは、支持手段が、固定子と移動子との間に設けた磁性流体から構成されているところに特徴を有する。
この構成においては、ほとんど摩擦抵抗なく移動子を移動できて、高速化に寄与できると共に、長寿命化に寄与でき、さらには構成も比較的簡単である。
【0012】
請求項5の発明の半導体接続装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載のXY移動用アクチュエータを用いてなる。
このものにおいては、小形化および軽量化を図ることができると共に、半導体接続についての高速・高精度化も図ることができるようになる。
【0013】
請求項6の発明の半導体接続装置は、モータを駆動源とするXYテーブル装置に上記いずれかのXY移動用アクチュエータを配設し、XYテーブル装置により比較的粗めの移動動作を行ない、XY移動用アクチュエータにて微細な移動動作を行なうようにしたところに特徴を有する。
この構成においては、XYテーブル装置により比較的粗めの位置決めをし、XY移動用アクチュエータにて微細な位置決めをすることになるから、微細な移動動作のみにより位置決めをする場合に比して、位置決めに要する時間の短縮を図ることが可能で、しかも、XYテーブル装置については、それほど高い精度を必要としないから、コスト高を抑えることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例につき図1および図2を参照しながら説明する。図1には、半導体接続装置を示している。フレーム11には、XY移動用アクチュエータ12が設けられており、このアクチュエータ12の上にはボンディングヘッド部13が設けられている。
XY移動用アクチュエータ12は、次のように構成されている。すなわち、このアクチュエータ12において、固定子14と移動子15とを有している。固定子14において、ほぼ正方形の平板状の固定子ヨーク16には、第1のコイル17が巻回されており、さらにこの第1のコイル17と巻方向が直交するように第2のコイル18が巻回されている。そして、これらは樹脂モールドされた外体19により覆われている。この外体19の上面は平坦面となるように形成されている。
【0015】
一方、移動子15において、ほぼ正方形をなす移動子ヨーク20の下面部には凹部20aが形成され、この凹部20aにはマグネット21が嵌入配設されており、このマグネット21は単極着磁されている。この移動子15の下面も平坦面に形成されている。
そして、支持手段としてエア噴出ノズル部22が設けられており、これは、フレーム11および固定子14に、下から上にエアを噴き出し得るように多数形成されており、その圧縮空気流により移動子15およびボンディングヘッド部13が支持されるようになっている。
【0016】
ボンディングヘッド部13は、ボンディングヘッドフレーム23に揺動アーム24と揺動アクチュエータ25とを配設して構成されており、上記ボンディングヘッドフレーム23が移動子15に取り付けられている。前記揺動アクチュエータ25がその可動子25aを上下に移動制御することにより揺動アーム24先端が上下に往復回動するようになっており、この動作によりワイヤボンディングがなされるようになっている。
【0017】
上記構成において、固定子14の第1のコイル17に図2矢印A方向に通電すると、固定子14に矢印A´方向の磁界が発生して、移動子15のマグネット21との間で電磁力が発生し、移動子15がX(+)方向に移動する。また、矢印Aと逆方向に通電すると移動子15がX(−)方向に移動する。同様に、固定子14の第2のコイル18に矢印B方向に通電すると、固定子14に矢印B´方向に磁界が発生して、移動子15のマグネット21との間で電磁力が発生し、移動子15がY(+)方向に移動する。矢印Bと逆方向に通電すると、移動子15はY(−)方向に移動する。従って、第1のコイル17に対する通電制御と第2のコイル18に対する通電制御により、移動子15をXY方向へ自在に移動できる。
【0018】
上述した本実施例のXY移動用アクチュエータ12によれば、X方向およびY方向について別々のサーボモータを必要としないと共に、別々のテーブルも必要とせず、小形化および軽量化を図ることができると共に、高速・高精度化も図ることができる。
【0019】
そして、このようなXY移動用アクチュエータ12を用いた半導体接続装置においては、全体の小形化および軽量化を図ることができると共に、半導体接続についての高速・高精度化も図ることができる。
特に本実施例によれば、支持手段としてエア噴出ノズル部22を設け、空気流により移動子15を移動可能に支承する構成としたから、ほとんど摩擦抵抗なく移動子15を移動できて、さらなる高速化に寄与できると共に、長寿命化に寄与できる。
【0020】
次に、図3および図4には本発明の第2の実施例を示しており、この実施例においては、支持手段が異なる。支持手段としての支持機構31は、支持板32に保持孔32aを形成し、この保持孔32aにボール33を転動自在に配設した構成で、この支持機構31は固定子14上に取り付けられており、この支持機構31上に移動子15が設けられている。この実施例によれば、比較的重量のある負荷を支持できるようになり、また摩擦抵抗も少ない。
【0021】
図5は、本発明の第3の実施例を示しており、この実施例においては、移動子41の構成が、第2の実施例と異なる。すなわち、移動子41は移動子ヨーク42の下面にマグネット43を取着し、さらにこのマグネット43の下面に補助ヨーク44を取着して構成されている。この補助ヨーク44がボール33と接触する。この第3の実施例によれば、マグネット43の摩耗を防止できて使用寿命が長くなる。
【0022】
次に、図6および図7は、本発明の第4の実施例を示しており、この実施例においては、支持手段たる支持機構51の構成が異なる。すなわち、中抜きの矩形状の支持板52に多数のボール53を転動自在に設け、この支持板52の中抜き部には、合成樹脂製の取付部54を例えばインサート成形もしくは接着にて取着している。この取付部54の下面には、位置決めおよび固定用突起54aを形成している。
【0023】
一方、固定子14の外体19の上面には、多数の取付孔55aを形成した固定板55が取着されており、この取付孔55aに前記取付部54の固定用突起54aを嵌合接着し、もって支持板52を固定板55ひいては固定子14に取り付けている。なお、固定子14の外体19の周縁部には落ち止めのための突起19aが形成されている。
この実施例によれば、支持機構51が小さくユニット化されているから、移動子15の移動範囲が異なる場合に、その設置個数および設置箇所を変更することによりこれに対処でき、しかも固定用突起54aを備えたことにより、位置決めも容易となる。
【0024】
図8は本発明の第5の実施例を示しており、この実施例においては、支持手段が第1の実施例と異なる。支持手段として磁性流体61を用いている。この場合移動子15の移動子ヨーク20下部周縁部20aをマグネット21下面よりさらに立ち下げることにより収容部62を形成し、この収容部62に磁性流体61を収容している。
この実施例においては、磁性流体61にて移動子15を移動可能に支承するから、ほとんど摩擦抵抗なく移動子15を移動できて、高速化に寄与できると共に、長寿命化に寄与でき、さらには構成も比較的簡単である。
【0025】
図9は参考例を示しており、この参考例においては、固定子にマグネットを備え、移動子にコイルを備えた点が第2の実施例と異なる。すなわち、固定子71を固定子ヨーク72とマグネット73とから構成し、移動子74を、固定子ヨーク75と、第1のコイル76と、第2のコイル77と、樹脂モールドされた外体78とから構成している。この実施例においても第2の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0026】
図10は本発明の第6の実施例を示しており、この実施例においては、XYテーブル装置81に、XY移動用アクチュエータ12およびボンディングヘッド部13を設けた構成としている。XYテーブル装置81は、ACサーボモータあるいはDCサーボモータからなるモータ82aを備えた下テーブル82と、同モータ83aを備えた上テーブル83とを有して構成されており、下テーブル82は図示しないボールねじがモータ82aにより回転されることによりX方向に移動するもので、また、上テーブル83は図示しないボールねじがモータ83aにより回転されることによりY方向に移動するようになっている。
そして、このものでは、XYテーブル装置81により比較的粗めの移動動作を行ない、XY移動用アクチュエータ12にて微細な移動動作を行なうようにしている。
【0027】
この構成においては、XYテーブル装置81により比較的粗めの位置決めをし、XY移動用アクチュエータ12にて微細な位置決めをすることになるから、微細な移動動作のみにより位置決めをする場合に比して、位置決めに要する時間の短縮を図ることが可能で、しかも、XYテーブル装置81については、ほれほど高い精度を必要としないから、コスト高を抑えることが可能となる。
【0028】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から明らかなように、次の効果を得ることができる。
請求項1の発明のXY移動用アクチュエータによれば、固定子に第1のコイルおよびこれとほぼ直交する方向に巻回された第2のコイルを設け、移動子に単極着磁のマグネットを設け、第1および第2のコイルに対する通電制御により、移動子をXY方向へ移動できるから、X方向およびY方向について別々のサーボモータを必要としないと共に、別々のテーブルも必要とせず、小形化および軽量化を図ることができると共に、高速・高精度化も図ることができる。
【0030】
請求項2の発明の移動用アクチュエータによれば、支持手段を、空気流により移動子を移動可能に支承する構成としたから、ほとんど摩擦抵抗なく移動子を移動できて、高速化に寄与できると共に、長寿命化に寄与できる。
請求項3の発明のXY移動用アクチュエータによれば、支持手段を、複数個のボールを転動可能に備え、このボールにより移動子を移動可能に支承する構成としたから、比較的重量のある負荷を支持でき、また摩擦抵抗も少ない。
請求項4の発明のXY移動用アクチュエータによれば、支持手段を、固定子と移動子との間に設けた磁性流体から構成したから、ほとんど摩擦抵抗なく移動子を移動できて、高速化に寄与できると共に、長寿命化に寄与でき、さらには構成も比較的簡単となる。
【0031】
請求項5の発明の半導体接続装置によれば、小形化および軽量化を図ることができると共に、半導体接続についての高速・高精度化も図ることができる。
請求項6の発明の半導体接続装置によれば、モータを駆動源とするXYテーブル装置にXY移動用アクチュエータを配設し、XYテーブル装置により比較的粗めの移動動作を行ない、XY移動用アクチュエータにて微細な移動動作を行なうようにしたから、位置決めに要する時間の短縮を図ることが可能で、しかも、XYテーブル装置については、それほど高い精度を必要としないから、コスト高を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す半導体接続装置の縦断側面図
【図2】 固定子の平面図
【図3】 本発明の第2の実施例を示すXY移動用アクチュエータの縦断側面図
【図4】 支持機構の一部を示す図
【図5】 本発明の第3の実施例を示すXY移動用アクチュエータの縦断側面図
【図6】 本発明の第4の実施例を示すXY移動用アクチュエータの縦断側面図
【図7】 支持板を下方から見た斜視図
【図8】 本発明の第5の実施例を示すXY移動用アクチュエータの縦断側面図
【図9】 参考例を示すXY移動用アクチュエータの縦断側面図
【図10】 本発明の第6の実施例を示す半導体接続装置の縦断側面図
【図11】 従来例を示す半導体接続装置の斜視図
【符号の説明】
12はXY移動用アクチュエータ、13はボンディングヘッド部、14は固定子、15は移動子、16は固定子ヨーク、17は第1のコイル、18は第2のコイル、19は外体、20は移動子ヨーク、21はマグネット、22はエア噴出ノズル部(支持手段)、24は揺動アーム、31は支持機構、32は支持板、33はボール、41は移動子、44は補助ヨーク、51は支持機構(支持手段)、54は取付部、54aは固定用突起、55は固定板、61は磁性流体(支持手段)、71は固定子、73はマグネット、74は移動子、76は第1のコイル、77は第2のコイル、81はXYテーブル装置を示す。
Claims (6)
- 平板状の固定子ヨークとこの固定子ヨークに巻回された第1のコイルと前記固定子ヨークに前記第1のコイルとほぼ直交する向きに巻回された第2のコイルとからなる固定子と、
この固定子と対向するように配置され、平板状のヨークと単極に着磁された平板状のマグネットとからなる移動子と、
前記移動子を移動自在に支承する支持手段とを備え、
前記第1のコイルと第2のコイルとの通電制御により移動子を移動させるようにしてなるXY移動用アクチュエータ。 - 支持手段は、空気流により移動子を移動可能に支承する構成であることを特徴とする請求項1記載のXY移動用アクチュエータ。
- 支持手段は、複数個のボールを転動可能に備え、このボールにより移動子を移動可能に支承する構成であることを特徴とする請求項1記載のXY移動用アクチュエータ。
- 支持手段は、固定子と移動子との間に設けた磁性流体から構成されていることを特徴とする請求項1記載のXY移動用アクチュエータ。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載のXY移動用アクチュエータを用いてなる半導体接続装置。
- モータを駆動源とするXYテーブル装置に請求項1ないし5のいずれかに記載のXY移動用アクチュエータを配設し、XYテーブル装置により比較的粗めの移動動作を行ない、XY移動用アクチュエータにて微細な移動動作を行なうようにしたことを特徴とする請求項5記載の半導体接続装置。
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