JP3934963B2 - 床パネル固定方法及び床パネル及び固定具 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、梁上に床パネルを固定する床パネル固定方法及び床パネル及び固定具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7乃至図9は従来の床パネル固定方法を示した斜視図である。床パネル51の下面には根太51aが固定されている。この根太51aの端はH型鋼から成る梁52の上面に載せられている。床パネル51が梁52上に単に載せられている状態において、図7に示すごとく、固定金具53を根太51aの下側から嵌め込む。この状態で固定金具53の一対の側片部53aは根太51aの側面に対面することになる。このとき、前記側片部53aに形成されている仮止め片53bを根太51aに打ち込むことで、固定金具53が仮止めされる。その後、図8に示すように、側片部53aに形成されている挿通穴53cに釘54を打ち込み、固定金具53を本止めする。
【0003】
固定金具53の下片部53d上には、ばね機構53eが設けられている。このばね機構53eはコイルばねを縮装仮固定して成るものである。この仮固定はピン53fによって行なわれている。ピン53fの先端側(上端側)には前記コイルばねを受け止める座部が固定されている。また、ピン53fは所定位置に凸部を有し、この凸部が図示しない長穴の短径側に位置することで、係止状態が保たれており、図9に示すように、ピン53bを90°回転させると、前記凸部が長穴の長径側に位置して係止状態が解除され、コイルばねは自由になって伸長しようとし、下片部53dと梁52の下面との間で押圧力を発生し、根太51aを梁52に引き寄せ、床パネル51を梁52に固定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の床パネル固定方法では、固定金具53を根太51aに本固定すために、釘54を水平方向に打ち込む作業が必要になる。釘54を水平方向に打ち込むことにおいて、金づちを振る空間が十分に存在すれば特に問題はないが、根太51aの配置間隔が狭い場合(補強タイプの床パネル)や、水平ブレースの固定端(角部)の近傍箇所では、このような釘打ち作業は行い難い。
【0005】
この発明は、上記の事情に鑑み、作業の簡単化が図れる床パネル固定方法及び床パネル及び固定具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の床パネル固定方法は、上記の課題を解決するために、床パネルに固定された根太の端を梁上に載せ、前記梁に根太を固定する床パネル固定方法において、前記根太の端部近傍に支持レール部材を固定し、この支持レール部材に固定具を係止させ、この固定具に設けた螺子穴にボルトを通し、このボルトを回すことによる前進力を前記梁に作用させ前記根太を前記梁側に引き寄せて圧接固定させることを特徴とする。
【0007】
上記構成であれば、固定具は支持レール部材にて係止されるので、固定具自体を釘で根太に固定する必要はなく、根太の配置間隔が狭い場合や、水平ブレースの固定端(角部)の近傍箇所でも容易に固定具を装着できる。そして、この装着の後、前記ボルトを回すことで、床パネルを梁部材に固定することができる。
【0008】
前記固定具は弾性を有するのがよい。また、前記ボルトと前記梁部材との間に弾性材を介在させるようにしてもよい。これら構成であれば、根太に径年変化で痩せが生じても、根太と梁との間での隙間発生を防止し、がたつきを抑制することができる。
【0009】
また、この発明の床パネル固定方法は、床パネルに固定された根太の端を梁上に載せ、前記梁に根太を固定する床パネル固定方法において、前記根太の端部近傍に支持レール部材を固定し、この支持レール部材に固定具を係止させ、この固定具と前記梁との間に位置させた弾性部材の縮装状態を解除して伸長させ、その押圧力を前記梁に作用させ前記根太を前記梁側に引き寄せて圧接固定させることを特徴とする。かかる構成は、ボルトを用いずに、従来項で示したばね機構等を用いる構成となる。
【0010】
これらの方法において、工場にて床パネルの根太に支持レール部材を予め装着しておき、この支持レール部材の装着状態で床パネルが現場に搬送されることとするのがよい。
【0011】
また、この発明の床パネルは、根太が固定された床パネルにおいて、支持レール部材が前記根太の下面に固定され、前記支持レール部材の両サイドには根太長手方向の案内係止部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
前記支持レール部材は根太の側面に対面する立ち上げ部を有し、この立ち上げ部に挿通させた止め具にて支持レール部材が根太に固定されているのがよい。支持レール部材を根太の下面側からビス等で止める場合に比べ、根太の径年変化による痩せの影響を抑え易くなる。
【0013】
前記支持レール部材には下面に出っ張る突出片が形成されているのがよい。ここで、床パネルを梁上に仮置きした状態では床パネルが簡単に移動してしまって不都合を生じるおそれがあるが、前記突出片が存在することで、床パネルの移動規制が行なえることになる。
【0014】
また、この発明の固定具は、前述した床パネルの支持レール部材に装着される固定具であって、側面視で段状を成し、上段部側には前記支持レール部材の案内係止部に係止される係止部を有し、下段部側には前記案内係止部の案内方向に対して直交する方向にねじ穴が形成されていることを特徴とする。かかる固定具は弾性材にて形成されていてもよい。
【0015】
また、この発明の固定具は、前述した床パネルの支持レール部材に装着される固定具であって、側面視で段状を成し、上段部側には前記支持レール部材の案内係止部に係止される係止部を有し、下段部側には縮装状態の弾性機構が設けられ、前記弾性機構の縮装状態を解除することで前記案内係止部の案内方向に対して直交する方向に押圧力が生じるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態の床パネル固定方法及び床パネル及び固定金具を図1乃至図6に基づいて説明する。
【0017】
図1はこの実施形態の床パネル固定方法により構成された床パネル固定構造を示した側面図であり、図2は図1のA−A断面図である。また、図3は支持レール部材4を示した図であり、図4は固定金具6の斜視図である。
【0018】
床パネル1の下面には根太1aが固定されている。この根太1aの端はH型鋼から成る梁2の上面に載せられる。この実施形態では梁2と根太1aとの間に厚さ2mmのフェルト3を介在させている。根太1aの端部近傍(梁2に干渉しない箇所)の下面側には支持レール部材4がビス5…によって固定されている。ビス5は支持レール部材4の下面側から挿通されて根太1aに螺着されている。
【0019】
支持レール部材4は、根太1aの幅よりも広幅に形成されており、その両サイド張り出し部分は上方向に折り曲げられ、根太長手方向に沿う案内係止部4aを成している。また、図3(a)(b)にも示すように、支持レール部材4の中程にはその一部が剪断されて下方に屈曲されており、この屈曲による片が係止片4bを成す。
【0020】
固定金具6は支持レール部材4の端から装着でき、前記案内係止部4aに案内させて梁2の近傍にスライドさせることができる。固定金具6は、図4にも示すように、断面略円弧形状のばね鋼にて形成されており、側面視で段状を成す。上段部(大円弧部)の上端部は内側に折り曲げられ、前記案内係止部4aに係合する係止部6aを成している。下段部(小円弧部)は、梁2の下方に位置する部分である。この下段部(小円弧部)には前記案内係止部4aの案内方向に対して直交する方向にねじ穴6bが形成されており、このねじ穴6bに蝶ねじ(ボルト)6cが螺合される。
【0021】
支持レール部材4は、工場において予め床パネル1の根太1aに装着されており、床パネル1は前記支持レール部材4の装着状態で現場に搬送される。搬送者は床パネル1を梁2上に単に置いて去ることになり、その後に施工業者によって床パネル1の固定作業が行なわれる。ここで、床パネル1を梁2上に仮置きした状態では床パネル1が簡単に移動してしまって不都合を生じるおそれがあるが、支持レール部材4に突出片4bが存在することで、床パネル1の移動規制が行なえることになる。
【0022】
施工業者は仮置きされている床パネル1の支持レール部材4の端から固定金具6を嵌め込み、この固定金具6を案内係止部4aに案内させて梁2の近傍に位置させる。そして、蝶ねじ6cを回す。この簡単な作業により、根太1aは固定金具6の本体及び蝶ねじ6cの作用によって梁2側に引き寄せられ、この部分での床パネル固定が完了することになる。
【0023】
このように、現場においては床パネル固定のためのビス打ちは全く必要ないことになる。従って、根太の配置間隔が狭い場合や、水平ブレースの固定端(角部)の近傍箇所でも難なく固定作業が行なえることになる。また、たとえ現場にて支持レール部材4を装着することとしても、ビス5は下側から打ち込むため、水平方向の打ち込みに比べて空間が広く確保され、装着は容易に行なえる。また、固定金具6はばね鋼から成るので、根太1aに径年変化で痩せが生じても、根太1aと梁2との間での隙間発生を防止し、がたつきを抑制することができる。
【0024】
上記例では、固定金具6をばね鋼にて形成することとしたが、これに代えて、固定金具6を通常鋼にて形成し、蝶ねじ6の進行によって弾性材が梁2側に押さえ付けられるようにしてもよく(例えばねじ先端と梁2との間に皿ばねを介在させておく)、これによっても根太1aと梁2との間での隙間発生を防止し、がたつきを抑制することができる。また、蝶ねじ6に代えて通常のボルトを用いることも可能である。
【0025】
また、支持レール部材4として、図5に示す支持レール部材41或いは図6に示す支持レール部材42を用いることとしてもよいものである。これら支持レール部材41,42は、両サイド部の折り曲げ加工において、立ち上げ部41a,42aを形成したものであり、この立ち上げ部41a,42aにビス5挿通用の穴を形成している。従って、水平装着されるビスにて支持レール部材41,42は根太1aに固定される構造となる。この構造の場合、根太1aの痩せによる梁2との隙間発生方向と直交する方向にビスが存在することとなり、根太1aの痩せによる影響が軽減される。
【0026】
また、以上の例では、床パネル固定に蝶ねじ(ボルト)6cを用いることとしたが、従来項で示したばね機構53e(図7等参照)を用いることとしてもよい。すなわち、支持レール部材4,41,42に案内支持される形状の固定金具(ばね鋼である必要はない)において梁2の下方に位置する部分を平坦化した形状とし、この平坦部上にばね機構53eを設ける構造となる。このような構造であれば、床パネル1の支持レール部材4の端から上記ばね機構タイプの固定金具を装着し、この固定金具を案内係止部4aに案内させて梁2の近傍に位置させ、ピン53bを回転させるだけで床パネル固定が行なえる。すなわち、スライドとピン回しといった極めて簡単で短時間の作業により、この部分での床パネル固定が瞬時的に完了することになる。
【0027】
なお、上記ばね機構タイプは、ばねが強すぎたりした場合にばね機構が斜めになって見栄えが悪くなる場合があるが、ボルト締めのタイプではこのような不具合は生じ難い。また、固定金具は支持レール部材の端から挿入するタイプに限らず、固定金具を支持レール部材の下方から押圧して装着するタイプとすることもできる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、床パネルの固定が簡単迅速に行なえることになり、また、根太の痩せにも対応できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態の床パネル固定方法による床パネル固定構造を示した側面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】同図(a)は支持レール部材の底面図であり、同図(b)はB−B断面図である。
【図4】固定金具の斜視図である。
【図5】支持レール部材の他の例を示した斜視図である。
【図6】支持レール部材の他の例を示した斜視図である。
【図7】従来の床パネル固定方法による床パネル固定構造を示した側面図である。
【図8】従来の床パネル固定方法による床パネル固定構造を示した側面図である。
【図9】従来の床パネル固定方法による床パネル固定構造を示した側面図である。
【符号の説明】
1 床パネル
1a 根太
2 梁
4 支持レール部材
5 ビス
6 固定金具
41 支持レール部材
42 支持レール部材

Claims (11)

  1. 床パネルに固定された根太の端を梁上に載せ、前記梁に根太を固定する床パネル固定方法において、支持レール部材はその両サイドに根太長手方向の案内係止部を有し、固定具は前記支持レール部材の前記案内係止部に係止される係止部及び前記案内係止部の案内方向に対して直交する方向に形成されたねじ穴を有しており、
    前記根太の端部近傍に予め固定されている前記支持レール部材に前記固定具を係止させ、前記固定具のねじ穴にボルトを通し、このボルトを回すことによる前進力を前記梁に作用させ前記根太を前記梁側に引き寄せて圧接固定させることを特徴とする床パネル固定方法。
  2. 請求項1に記載の床パネル固定方法において、前記固定具は弾性を有することを特徴とする床パネル固定方法。
  3. 請求項1に記載の床パネル固定方法において、前記ボルトと前記梁部材との間に弾性材を介在させることを特徴とする床パネル固定方法。
  4. 床パネルに固定された根太の端を梁上に載せ、前記梁に根太を固定する床パネル固定方法において、支持レール部材はその両サイドに根太長手方向の案内係止部を有し、固定具は前記支持レール部材の前記案内係止部に係止される係止部及び縮装状態の弾性部材を有しており、
    前記根太の端部近傍に予め固定されている前記支持レール部材に前記固定具を係止させ、この固定具と前記梁との間に位置する前記弾性部材の縮装状態を解除して伸長させ、その押圧力を前記梁に作用させ前記根太を前記梁側に引き寄せて圧接固定させることを特徴とする床パネル固定方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の床パネル固定方法において、工場にて床パネルの根太に支持レール部材を予め装着しておき、この支持レール部材の装着状態で床パネルが現場に搬送されることを特徴とする床パネル固定方法。
  6. 根太が固定された床パネルにおいて、支持レール部材が前記根太の端部側の下面に固定され、前記支持レール部材の両サイドには根太長手方向に固定具を案内する案内係止部が形成されており、前記案内係止部は前記支持レール部材自体の屈曲形成による断面凹形状部又は前記支持レール部材のサイド壁と前記根太の側面とにより形成される断面凹形状部を有することを特徴とする床パネル。
  7. 請求項6に記載の床パネルにおいて、支持レール部材は根太の側面に対面する立ち上げ部を有し、この立ち上げ部に挿通させた止め具にて支持レール部材が根太に固定されていることを特徴とする床パネル。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の床パネルにおいて、支持レール部材には下面に出っ張る突出片が形成されていることを特徴とする床パネル。
  9. 請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の床パネルの支持レール部材に装着される固定具であって、側面視で段状を成し、梁に対面しない上段部側には前記支持レール部材の案内係止部に係止される係止部を有し、梁に対面することになる下段部側には前記案内係止部の案内方向に対して直交する方向にねじ穴が形成されていることを特徴とする固定具。
  10. 請求項9に記載の固定具において、弾性材にて形成されたことを特徴とする固定具。
  11. 請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の床パネルの支持レール部材に装着される固定具であって、側面視で段状を成し、梁に対面しない上段部側には前記支持レール部材の案内係止部に係止される係止部を有し、梁に対面することになる下段部側には縮装状態の弾性機構が設けられ、前記弾性機構の縮装状態を解除することで前記案内係止部の案内方向に対して直交する方向に押圧力が生じるように構成されていることを特徴とする固定具。
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