JP3934934B2 - 理論空燃比で成層燃焼するエンジン及び該エンジンの成層燃焼方法 - Google Patents

理論空燃比で成層燃焼するエンジン及び該エンジンの成層燃焼方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射式エンジン及び該エンジンの燃焼方法に係り、特に、理論空燃比での成層燃焼運転を実現させる筒内噴射式エンジン及び該エンジンの成層燃焼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在の自動車は、環境保全の観点から自動車の排気ガスに含まれる一酸化炭素CO、炭化水素HC、窒素酸化物NOx等の排気物質の一層の削減が要求されている。これらの削減を目的とした一例としては、希薄(リーン)成層燃焼エンジンが挙げられる。これは、タンブル流による筒内空気活動を用いて燃料と吸入空気との混合気を成層化させて燃焼させるものであり、燃費低減及びCO排出量の低減等を図っている。
【0003】
これらのシステムの一例としては、例えば、特開平6−159079号公報所載の技術が提案されている。該提案の技術は、吸気ポートに隔壁が設けられ、該隔壁が前記吸気ポートを中央、左、右、及びバイパスポートの4区画に区分し、該バイパスポートの入口にはタンブル制御弁が設けられており、エンジンの低回転低負荷時には、前記タンブル制御弁を閉じて前記中央ポートに燃料を噴射するものである。これにより、燃焼室内にはタンブル流が生成されるとともに、混合気の成層化が行われ、リーン混合気においても安定した燃焼を行うことができ、燃焼の促進を図って燃費を向上させることができる技術である。
【0004】
また、前記混合気の成層化に関するの他の一例としては、EGRガスを利用したエンジンの技術が各種提案されている(例えば、特開平8−82233号公報、特開平9−42070号公報、特開平11−2158号公報等参照)。
さらに、近年の地球温暖化の現状及び資源保護の観点からは、燃費低減及びCO2の削減を図るべく、筒内噴射式エンジンの技術が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の技術、特に、特開平6−159079号公報所載の技術は、ガスにリーン混合気を用いた成層燃焼が行われていることから、エミッション(排出ガス)の浄化のために従来から使用されている三元触媒では、浄化に対する効果がないという不都合が生ずることになる。
【0006】
よって、これを解決するため、特にNOxの浄化のためには、リーンNOx触媒が一般的に使用されている。該リーンNOx触媒は、リーン運転時にはNOxを吸着させ、その後、リッチスパイクを行う、つまり、一定時間毎に排気ガスの空燃比を13程度に過濃(リッチ)化させて、前記リーン運転時に吸着されたNOxを還元させる必要がある触媒である。
【0007】
つまり、前記リッチスパイクを行っている期間は、リーン混合気を用いた成層燃焼が行えず、前記NOxを還元させるためのエネルギー、換言すれば、無駄な燃料が消費されることになる。このように、燃料が余計に消費されるのでは、これまで折角リーン混合気によって燃費の低減が図られていたとしても、前記リッチスパイクによる燃料供給によって相殺されてしまい、実質の燃費低減率が低下するという問題点があった。
【0008】
また、現在の技術では、前記リーンNOx触媒によるNOxの浄化率は、最高でも90%程度であり、前記三元触媒による場合の浄化率99%に比べて低く、最終的なテールパイプ、すなわち、排気管からのエミッションの悪化を招くという問題が依然として残されている。
【0009】
さらに、リーン混合気による成層化では、エンジンの吸入負圧によって空気量が制限されているため、前記エンジンの負荷が高めに要求される場合であっても前記吸入空気をそれ以上供給できず、前記リーン混合気ではこの要求された運転を行うことができないことから、成層運転できるトルクが低めに制限されざるを得ないという問題もある。
【0010】
すなわち、本願発明者は、筒内噴射式エンジンの付加価値をより高めるべく、成層燃焼運転時にリッチスパイクを行わないか、若しくは該リッチスパイクの回数を極力低減させ、燃費の悪化を防ぐことができる成層燃焼システムを構築するとの新たな知見を得たものであり、排気ガス還流であるEGRガスを用いて混合気を包み、理論空燃比近傍にて成層燃焼させる構成を導き出している。しかし、前記従来の技術は、前記EGRガスの通路出口が、吸気管のコレクタ付近に存在し、前記EGRガスは吸入空気と予混合されてシリンダ内に供給されており、また、前記EGRガスの通路出口が、シリンダ付近に存在していても、理論空燃比近傍にて成層燃焼させるための混合気とEGRガスとの位置関係の点に関して格別の配慮がなされていない。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、EGRガスで理論空燃比近傍の成層燃焼を行い、ポンピングロスを低減させて燃費向上を図るとともに、リッチスパイクによる燃費の悪化を防ぐことができ、しかも、高い排気浄化効果を得ることができる筒内噴射式エンジン及び該エンジンの成層燃焼方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明に係る理論空燃比で成層燃焼するエンジンは、シリンダ内で燃料を直接に噴射させる燃料噴射弁と、前記シリンダ内で前記燃料と吸入空気との混合気に点火させる点火プラグと、を備えたエンジンにおいて、理論空燃比にて成層燃焼させるべく、前記点火プラグ近傍に前記混合気の層を形成するとともに、該混合気の周囲にEGRガスの層を形成するために、前記シリンダ内に二つのタンブル流を形成し、該タンブル流の一方は、前記吸入空気を吸気弁から排気弁に沿ってピストンに向かう流れであり、前記タンブル流の他方は、前記EGRガスを前記ピストンの上面に沿って前記排気弁に向かう流れを形成する混合気成層化手段を備えたことを特徴としている。
【0013】
前記の如く構成された本発明の理論空燃比で成層燃焼するエンジンは、混合気成層化手段が、成層燃焼運転時には、点火プラグ近傍に混合気の層を形成させ、該混合気をEGRガスの層で囲むように機能しているので、シリンダ内では理論空燃比近傍の成層燃焼が可能になり、エンジンのポンピングロスが低減されることによる燃費の向上と、リッチスパイクが不要になることによる一層の燃費の向上とを図ることができ、筒内噴射式エンジンの価値をより高めることができる。
【0014】
また、本発明に係る理論空燃比で成層燃焼するエンジンの具体的態様は、前記混合気成層化手段は、吸気管を区画して形成される複数個の吸気通路のうち、少なくとも一つの吸気通路を開閉させる吸気制御弁を備えているとともに、該開閉される吸気通路の前記吸気制御弁と前記シリンダとの間に前記EGRガスの通路出口を備えていることを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明に係る理論空燃比で成層燃焼するエンジンの他の具体的態様は、前記混合気成層化手段は、前記シリンダ内に二つのタンブル流を生成するものであって、該タンブル流の一方は、前記吸入空気を吸気弁から排気弁に沿ってピストンに向かう流れであり、前記タンブル流の他方は、前記EGRガスを前記ピストンの上面に沿って前記排気弁に向かう流れであること、又は前記燃料噴射弁の噴霧は、前記点火プラグ側への偏向噴霧であって、前記他方のタンブル流を通過するとともに、前記一方のタンブル流に混合させる貫通力を有することを特徴としている。
【0016】
さらにまた、本発明に係る理論空燃比で成層燃焼するエンジンのさらに他の具体的態様は、前記混合気成層化手段は、前記シリンダ内で二つのスワール流を生成するものであって、該スワール流の一方は、前記EGRガスを前記シリンダの側壁面に沿う流れであり、前記スワール流の他方は、前記一方のスワール流とは反対方向への流れであって、前記吸入空気を前記EGRガスの内側に配置させる流れであることを特徴としている。
【0017】
また、前記混合気成層化手段は、前記点火プラグ近傍に前記混合気の層を形成するとともに、該混合気の周囲に前記EGRガスの層を形成し、さらに該EGRガスの周囲に前記吸入空気の層を形成すること、若しくは前記混合気成層化手段は、前記点火プラグ近傍に前記混合気の層を形成するとともに、該混合気の周囲に前記吸入空気の層を形成し、さらに該吸入空気の周囲に前記EGRガスの層を形成すること、又は前記燃料噴射弁は、前記成層燃焼運転時には圧縮行程の後半で燃料を噴射し、均質燃焼運転時には吸気行程で燃料を噴射することを特徴としている。
【0018】
さらに、本発明に係る理論空燃比で成層燃焼するエンジンは、シリンダ内で燃料を直接に噴射させる燃料噴射弁と、前記シリンダ内で前記燃料と空気との混合気を点火させる点火プラグと、を備えたエンジンであって、該エンジンは、成層燃焼運転時における前記シリンダ内の空燃比を理論空燃比にさせるべく、前記混合気を成層化させる混合気成層化手段を備えているとともに、前記成層燃焼運転時における排気ガスを浄化する三元触媒を備えていることを特徴とし、NOxの除去率が約99%と高い三元触媒を用いることが可能になり、システムのコストダウン及び排気浄化の効果をより大きくさせることができ、これも、筒内噴射式エンジンの価値をより高めることになる。
【0019】
さらに、本発明に係るエンジンの理論空燃比による成層燃焼方法は、吸気管を区画して形成される複数個の吸気通路のうち、少なくとも一つの吸気通路を開閉させる吸気制御弁と、該開閉される吸気通路の前記吸気制御弁とシリンダとの間にEGRガスの通路出口とを有する合気成層化手段により、前記シリンダ内で前記混合気とEGRガスを成層化して燃焼させるエンジンの成層燃焼方法であって、前記吸気制御弁を閉じて前記開閉される吸気通路に前記EGRガスを充填し、次いで、前記エンジンの吸気行程にて、前記開閉される吸気通路以外の吸気通路から前記シリンダ内に前記吸入空気を流入させる流れを生成するとともに、前記開閉される吸気通路から前記シリンダ内に前記EGRガスを流入させる流れを生成し、前記エンジンの圧縮行程にて、前記燃料噴射弁が噴射することにより、前記点火プラグ近傍には前記混合気の層を形成するとともに、該混合気の周囲には前記EGRガスの層を形成することで、前記シリンダ内に理論空燃比による成層混合気を形成することを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態における理論空燃比で成層燃焼するエンジン(理論空燃比成層燃焼エンジン)の構成図である。
該エンジン50は、多気筒からなり、各シリンダ123には、吸気管101と排気管110とが吸気弁111及び排気弁112を介してそれぞれ接続されているとともに、シリンダ123内で燃料を直接に噴射させる燃料噴射弁122と、シリンダ123内で燃料と吸入空気との混合気を点火させる点火プラグ113とが備えられている。燃料噴射弁122は、シリンダ123の吸気管101側に、点火プラグ113は、シリンダ123の上部にそれぞれ設けられている。
【0021】
吸気管101には、上側の吸気通路101aと、下側の吸気通路101bとの上下に区画させる隔壁114が設けられており、該隔壁114の上流側端には、下側の吸気通路101bを開閉させる吸気制御弁(タンブル制御弁)102が設けられている。また、下側の吸気通路101bにおいて、タンブル制御弁102とシリンダ123との間には、後述する排気ガス還流であるEGRガスの通路出口109eが設けられている。前記EGRガスは、後述するように、ピストン107の湾曲された上面に沿うようにシリンダ123内に流入される。
【0022】
図1の右側から吸入された空気は、エアクリーナ106を通り、エアフローメータ105でその流量が計測され、電子制御スロットルチャンバ104でその流量の調節がなされた後、コレクタ103で各シリンダ123に分配される。そして、前述した吸気管101を通り、吸気弁111が開いた際にシリンダ123に流入される。
【0023】
燃料噴射弁122は、成層燃焼運転時には圧縮行程の後半で燃料を噴射し、均質燃焼運転時には吸気行程で燃料を噴射しており、上記吸入空気との混合気を形成させ、該混合気は、点火プラグ113での点火によってシリンダ123内で燃焼される。なお、前記燃料噴射弁122の噴霧は、図示のように、点火プラグ113側に向かう量が多く、かつ、速度も大きくなる、いわゆる偏向噴霧125を用いている。
【0024】
このシリンダ123で燃焼したガスは、排気弁112、排気管110を通った後、三元触媒115によって浄化され、消音器(図示しない)を介して大気中に放出されるが、前記燃焼したガスの一部は、EGR制御弁108で流量の調節がなされつつ、EGR通路109を介して前記EGRガスの通路出口109eから下側の吸気通路101bに還流される。
【0025】
燃料噴射弁122の燃料噴射時期、点火プラグ113の点火時期、タンブル制御弁102、電子制御スロットルチャンバ104、EGR制御弁108のそれぞれの開度は、エアフローメータ105で計測された吸入空気量、アクセル開度、エンジン水温、エンジン回転数、車速(いずれもその入力を行うセンサは図示しない)等の情報に基づいて、コンピュータ201によって最適な値及び時期に設定・制御される。
【0026】
ここで、本実施形態のエンジン50は、シリンダ123内のガス全体を理論空燃比にて成層燃焼させるべく、混合気を成層化させる混合気成層化手段100を備えており、本実施形態の混合気成層化手段100は、隔壁114、タンブル制御弁102、及びEGRガスの通路出口109eを有している。
【0027】
つまり、本実施形態の混合気成層化手段100は、シリンダ123内でタンブル流を生成させるタンブル生成機構として機能するものであり、上側の吸気通路101aのタンブル流120と、下側の吸気通路101bのタンブル流121との二つのタンブル流を生成している。
【0028】
図示のように、上側の吸気通路101aのタンブル流120は、コレクタ103からの吸入空気を吸気弁111から排気弁112に沿わせてピストン107に向かう流れ(順タンブル)であり、下側の吸気通路101bのタンブル流121は、EGRガスをピストン107の上面に沿わせてから排気弁112に向かう流れ(逆タンブル)である。
【0029】
具体的には、本実施形態の如くの成層燃焼を行う場合には、混合気成層化手段100は、まず、タンブル制御弁102を閉じて下側の吸気通路101bを閉塞し、EGR通路109、EGR制御弁108を介してEGRガスを下側吸気通路101bに流入させて充填させる。
【0030】
次に、エンジン50の吸気行程でピストン107が下降し、吸気弁111が開くと、上側の吸気通路101aを通った吸入空気は、吸気弁111の上側を通ってシリンダ123内に流入し、順タンブル120を形成する。
一方、これと同時に、下側の吸気通路101bに充填されていたEGRガスは、吸気弁111の下側を通ってシリンダ123内に流入し、逆タンブル121を形成する。
【0031】
そして、図示のように、逆タンブル121は、ピストン107に沿う流れとなってシリンダ123の下方に滞留する。順タンブル120は、逆タンブル121よりも上部に位置し、点火プラグ113の近傍を通る流れとなる。
続いて、エンジン50の圧縮行程においては、吸気弁111を閉じ、ピストン107が上昇してシリンダ123内の空気が圧縮され、このとき、燃料噴射弁122は、逆タンブル121を突き抜けて通過するとともに、順タンブル120に到達したところで気化して混合させるペネトレーション(貫通力)を有する噴射がなされるように、燃料圧力等の最適調節がなされ、また、図の上方に向かう成分が下方に向かう成分よりも大きくなる偏向噴霧125であり、吸気弁111の上側から出た順タンブル120と燃料との効率の良い混合が行われる。
【0032】
このように、本実施形態の混合気成層化手段100は、二つのタンブル流120、121を生成し、点火プラグ113近傍には前記混合気の層を存在させ、該混合気の周囲には前記EGRガスの層を存在させており、前記混合気が前記EGRガスで包まれることによって、シリンダ123内では、希薄(リーン)空燃比ではなく、理論空燃比による成層燃焼を可能にしている。
そして、この成層燃焼運転時における排気ガスは、上述のように理論空燃比近傍に調節されているので、炭化水素HC、一酸化炭素COを酸化し、窒素酸化物NOxを還元する浄化機能を有する三元触媒115にて浄化される。
【0033】
図2乃至図4は、本実施形態の混合気成層化手段100によるエンジン負荷に応じた混合気とEGRガスとの成層化について説明したものである。
図2は、エンジン低負荷域での動作説明図である。
エンジン低負荷域においては、まず、コンピュータ201からの信号により、電子制御スロットルチャンバ104の開度が小さく設定される。一方、EGR制御弁108の開度は大きく設定される。これにより、エンジン50の吸気行程において、吸気弁111が開かれたときには、シリンダ123内に吸入されるガスは、上側の吸気通路101aを通った吸入空気よりも、下側の吸気通路101bを通ったEGRガスの方が多くなり、つまり、順タンブル120よりも逆タンブル121の量が多く、かつ、流れも強くなる。
【0034】
しかし、この場合においても、順タンブル120は、点火プラグ113の近傍を流れており、また、偏向噴霧125であることから、燃料噴射弁122からの燃料は、逆タンブル121との混合を最小限に留めながらも順タンブル120と混合され、点火プラグ113の周りに理論空燃比の混合気が形成される。
そして、逆タンブル121は、シリンダ123の下方に滞留し、シリンダ123内の空燃比を理論空燃比近傍に保ちながら、吸入ガス量(空気+EGRガス)を増やしており、ポンピングロスや冷却損失を低減させることができる。
【0035】
図3は、エンジン中負荷域での動作説明図である。
エンジン中負荷域においては、まず、コンピュータ201からの信号により、電子制御スロットルチャンバ104の開度が、低負荷域よりもやや大きく設定される。一方、EGR制御弁108の開度は、低負荷域よりもやや小さく設定される。これにより、エンジン50の吸気行程において、吸気弁111が開いたときには、シリンダ123内に吸入されるガスは、上側の吸気通路101aを通った吸入空気の方が、下側の吸気通路101bを通ったEGRガスよりも多くなり、つまり、逆タンブル121よりも順タンブル120の量が多く、かつ、流れも強くなる。
【0036】
このとき、逆タンブル121のEGRガスは、ピストン107の付近に滞留し、点火プラグ113の近傍を含むシリンダ123内の他の部分には、順タンブル120が流れており、また、燃料噴射弁122からの燃料は、逆タンブル121との混合を最小限に留めながらも順タンブル120と混合し、点火プラグ113の周りに理論空燃比の混合気が形成される。
【0037】
そして、この場合にも、シリンダ123内全体の空燃比を理論空燃比近傍に保ちながら吸入ガス量を増やしており、ポンピングロスや冷却損失を低減させることができる。
なお、図2及び図3を通して、混合気とEGRガスとの割合は、エンジン運転状態によって変わるものであるが、吸入空気量を基準、すなわち100%としたときには、後述するように、例えば0%から150%程度まで変化させて設定することもできる。
【0038】
また、エンジン50の中程度の負荷状態において、従来技術である、主として空気を用いた成層燃焼の場合と比較すると、EGR通路109を通ってきたEGRガスの圧力は、圧力の高いエンジンの排圧に由来しているので、EGR制御弁108が全開付近に設定されると、吸気管101を通る空気の圧力よりも大きくなる。すなわち、逆タンブル121は、従来技術である、空気を主とした成層燃焼の場合よりも、本実施形態の如く、EGRガスを主とした成層燃焼の場合の方が、最大流量を多くすることができるので、成層燃焼可能な負荷の上限が大きく、すなわち、成層燃焼運転できる領域の拡大を図ることができる。
【0039】
図4は、エンジン高負荷域での動作説明図である。
エンジン高負荷域においては、まず、コンピュータ201からの信号により、電子制御スロットルチャンバ104の開度は、中負荷域よりもさらに大きく(全開に近く)設定されるとともに、タンブル制御弁102が開くように設定される。一方、EGR制御弁108の開度は、中負荷域よりもさらに小さく設定される。これにより、吸気抵抗が低減するので、エンジン50の吸気行程において、吸気弁111が開いたときには、上側の吸気通路101a及び下側の吸気通路101bの両方から、大量の新気をシリンダ123内に供給させる。
【0040】
このときは、エンジンの吸気行程にて、コンピュータ201からの信号により、燃料噴射弁122が燃料噴射を行っており、噴霧の気化時間及び拡散時間を長くして吸入空気との混合を促進させ、シリンダ123内の均質度を高めている。そして、燃料の噴射量を大きくし、多量の混合気形成を行って大きなトルクを得ている。
【0041】
図5は、図2から図4に示した各エンジン負荷域での動作フローチャートである。
ステップ1では、コンピュータ201が、エンジン回転数、アクセル開度、水温、吸気圧力、排気温度、ギヤ位置をそれぞれのセンサから読み込み、これらに基づいてステップ2にて目標トルクを演算し、ステップ3にて燃料噴射量を決定してステップ4に進む。
ステップ4では、前記目標トルクを用いてエンジン回転数と負荷との運転状態マップを参照し、成層燃焼運転を行う領域か、均質燃焼運転を行う領域かを調べた後、適切な燃料噴射量を決定し、ステップ5にて点火時期を決定する。
【0042】
次に、ステップ6では、成層燃焼運転モードであるか否かを判定し、成層燃焼運転モードである場合、すなわち、YESのときには、ステップ7に進んで混合気成層化手段100が、タンブル制御弁102を閉じ、ステップ8にて燃料噴射弁122による燃料噴射時期をエンジン50の圧縮行程に設定し、ステップ9に進む。
【0043】
一方、ステップ6にて、成層燃焼運転を行わない、つまり、均質燃焼運転モードである場合には、ステップ10に進んでタンブル制御弁102を開き、ステップ11にて燃料噴射時期をエンジン50の吸気行程に設定し、ステップ9に進む。
そして、ステップ9では、電子制御スロットルチャンバ104の開度を各エンジン負荷に応じた所定量に設定し、ステップ12にて、EGR制御弁108の開度を同じく各エンジン負荷に応じた所定量に設定して、ステップ13に進む。
【0044】
ステップ13では、エンジン50の吸気行程にて吸気弁111を開かせ、ステップ14では、成層燃焼運転モードであるか否かを判定し、成層燃焼運転モードである場合、すなわち、YESのときには、ステップ15に進み、既にタンブル制御弁102が閉じられているので、混合気成層化手段100が、吸入空気による順タンブル120と、EGRによる逆タンブル121とを生成し、ステップ16にて、燃料噴射弁122が、順タンブル120を指向して圧縮行程で燃料噴射を行い、ステップ17にて、点火プラグ113の周りに混合気の層を形成させ、その周囲をEGRガスの層を形成させて成層化を図り、ステップ18に進んで、点火プラグ113が前記混合気に点火し、シリンダ123内に対する理論空燃比近傍の燃焼を行って一連の動作を終了する。
【0045】
一方、ステップ14にて、均質燃焼運転モードである場合には、ステップ19にて、既にタンブル制御弁102が開かれているので、上側の吸気通路101aと下側の吸気通路101bの両方から空気が流入される。このときには、吸気管の通路断面積が大きく、抵抗が少ないため、多くの空気がシリンダ123内に供給される。そして、ステップ20にて、燃料噴射弁122が、吸気行程で燃料噴射を行って気化時間を長くとることができ、ステップ21にて、シリンダ123内の混合気の均質性を高め、ステップ18に進んで、点火プラグ113が、前記混合気に点火して一連の動作を終了する。
そして、これらの燃焼による出力が取り出され、続いて、エンジン50の排気行程にて燃焼ガスが排気通路110側に排出され、1回のサイクルが終了する。以後も同様に、この動作を繰り返すエンジン50の運転が行われる。
【0046】
図6及び図7は、本発明の第二の実施形態における理論空燃比で成層燃焼するエンジンの構成図である。ここで、前記第一の実施形態の混合気成層化手段100は、吸気の際にシリンダ123内の長手軸方向に旋回するタンブル流を形成させたものであるのに対し、本実施形態の混合気成層化手段100Aは、前記長手軸の垂直方向に旋回するスワール流を形成させるものである。よって、本実施形態は、この点を除いて他の構成等は前記第一の実施形態と同様であることから、その相違点を中心に説明する。
【0047】
すなわち、まず、本実施形態にて用いられるピストン107Aには、図6に示すように、該ピストン107Aの中心付近に設けられたキャビティ301と、該キャビティ301の外周方向に沿う凹面302とが、後述するように、一方の吸気通路305bのスワール流304と、他方の吸気通路305aからのスワール流303との通路としてそれぞれ設けられている。
【0048】
図7は、本実施形態における理論空燃比で成層燃焼するエンジンの構成図であり、該エンジン50Aのシリンダ123Aには、吸気管101と排気管110とが、それぞれ二つの吸気弁111、111、二つの排気弁112、112を介してそれぞれ接続されており、吸気管101には、一方の吸気通路305bと、他方の吸気通路305aとが左右に区画されており、該一方の吸気通路305bには、該吸気通路305bを開閉させる吸気制御弁306が設けられている。また、この一方の吸気通路305bにおいて、吸気制御弁306とシリンダ123Aとの間には、EGRガスの通路出口109eが設けられている。なお、その他の吸気管101及び排気管110の構成、並びに燃料噴射弁122、コンピュータ201、点火プラグ113等の構成・制御等については、前記第一の実施形態と同一であるので説明は省略する。
【0049】
そして、本実施形態のエンジン50Aもまた、シリンダ123A内のガス全体を理論空燃比にて成層燃焼させるべく、混合気を成層化させる混合気成層化手段を備えており、本実施形態の混合気成層化手段100Aは、吸気制御弁306、及びEGRガスの通路出口109eを有している。
【0050】
つまり、本実施形態の混合気成層化手段100Aは、シリンダ123内でスワール流を生成させるスワール生成機構として機能するものであり、一方の吸気通路305bのスワール流304と、他方の吸気通路305aのスワール流303との二つのスワール流を生成している。
【0051】
図示のように、一方の吸気通路305bのスワール流304は、EGRガスをシリンダ123の内側壁面に沿わせる時針回りの流れであり、他方の吸気通路305aのスワール流303は、前記一方のスワール流304とは反対方向の反時針回りの流れであって、コレクタ103からの吸入空気を前記EGRガスの内側に配置させる流れである。
【0052】
具体的には、本実施形態の成層燃焼を行う場合には、まず、混合気成層化手段100Aは、吸気制御弁306を閉じて一方の吸気通路305bを閉塞し、EGR通路109、EGR制御弁108を介してEGRガスを一方の吸気通路305bに流入させて充填させる。
【0053】
次に、エンジン50Aの吸気行程でピストン107Aが下降し、吸気弁111、111が開くと、他方の吸気通路305aを通った吸入空気は、そのうち片側の吸気弁111の上側を通ってシリンダ123A内に流入し、ピストン107上のキャビティ301に沿って流れ、図示のように反時針方向に回転する横渦流、すなわちスワール303を形成する。
【0054】
一方、これと同時に、吸気通路305bに充填されていたEGRガスは、ピストン107上の凹面302に沿って流れ、図示のように時針方向に回転するスワール304を形成する。そして、図示のように、EGRガスのスワール304は、シリンダ123の内側にて、一方の吸気通路305bに対向する側壁面側に滞留する。吸入空気のスワール303は、スワール304よりも内側に位置し、点火プラグ113の近傍を通る流れとなる。
【0055】
続いて、エンジン50Aの圧縮行程においては、吸気弁111、111を閉じ、ピストン107Aが上昇してシリンダ123A内の空気が圧縮され、このとき、吸気通路305a及び305bの下側に配置された燃料噴射弁122は、燃料噴霧125が、スワール303を指向し、該スワール303内で気化して混合させるペネトレーション(貫通力)を有する噴射がなされるように、燃料圧力等の最適調節がなされている。
【0056】
このように、本実施形態の混合気成層化手段100Aは、二つのスワール流303、304を生成し、点火プラグ113近傍には前記混合気の層を存在させ、該混合気の周囲には前記EGRガスの層を存在させており、前記混合気が前記EGRガスで包まれることによって、シリンダ123内では、リーン空燃比ではなく、理論空燃比による成層燃焼が可能にされている。
そして、この成層燃焼運転時における排気ガスは、上述のように理論空燃比近傍に調節されているので、炭化水素HC、一酸化炭素COを酸化し、窒素酸化物NOxを還元する浄化機能を有する三元触媒115にて浄化される。
【0057】
また、エンジン50Aの負荷が大きくなると、吸気通路305aを通る空気量が増え、相対的にEGRガスが減少する。そして、さらに大きな負荷に対応させる場合には、吸気制御弁306を開いて吸気通路101の断面積を増やして通気抵抗を低減させ、前記第一の実施形態と同様に、吸気行程にて燃料噴射を行い、吸入空気と燃料の混合を促進させ、シリンダ123A内の均質度を高めており、EGRによる成層燃焼と均質燃焼とを負荷に応じて適宜切り換えて運転している。
【0058】
図8乃至図10は、エンジン回転数と負荷とによるマップ上の運転領域を示したものである。
図8は、前記第一及び第二の実施形態における、エンジン回転数と負荷とによるマップ上の運転領域を示したものである。
図示のように、同一のエンジン回転数において、エンジン負荷が小さいときには、前記EGRガスを用いた成層燃焼を行うために、吸入空気に比して多量のEGRガスを導入させている。そして、エンジン負荷が大きくなるにともなって、前記EGRガスの導入量を減少させるとともに、均質燃焼に切り換えていることが分かる。
【0059】
図9は、前記第一及び第二実施形態とは別の実施例における、エンジン回転数と負荷とによるマップ上の運転領域を示したものである。
つまり、前記第一及び第二実施形態では、説明を簡略化するために、「EGRガスを用いた成層燃焼」と「均質燃焼」とについて示しているが、実機を鑑みると、従来の成層燃焼(図10)の如く、吸入空気による層が存在していても良い。
【0060】
換言すれば、前記混合気ではない部分に関しては、空気が存在する場合と、EGRガスが存在する場合のほか、両者の混合物である場合が考えられ、空気に対するEGRガスの混合割合は、0%から150%程度まで変化させて設定することができる。また、その空燃比は任意である。
ただし、EGRガスの混合割合が低くされた場合には、従来の構成の様に、リーンNOx触媒が構成として必要になり、リッチスパイクを行う必要が生じて燃費の悪化が起こるので、成層リーン燃焼はなるべく最小限の時間に留めるべきである。
【0061】
この点を考慮したのが図9のエンジン回転数と負荷とによるマップであり、例えば、アイドリング状態を含む極めて低回転又は低負荷状態においては、EGRガスが多いと燃焼不安定の原因となるので、この領域では、混合気を取り巻く気体を空気にする。そして、中程度のエンジン回転数又は中程度の負荷に達すると、前記実施形態に示したようにEGRガスで混合気を取り巻いて、理論空燃比の成層燃焼を行う。さらに、高回転又は高負荷の領域では、均質燃焼を行い、出力を確保する。このようにして、燃焼安定性を確保しながら、リッチスパイクの回数を極力抑えて燃費の向上を図ることができる。
【0062】
なお、図9の補足として、例えば、上述の如く混合気をEGRガスで囲むEGR成層燃焼運転のほか、前記混合気を空気で囲む成層リーン燃焼運転と前記EGR成層燃焼運転との各運転の境界付近等においては、成層燃焼運転時には燃料が圧縮行程の後半で噴射されることを鑑み、前記混合気成層化手段100(100A)は、混合気をEGRガスで包んでいる限り、点火プラグ113の近傍に前記混合気の層を存在させるとともに、該混合気の周囲に前記EGRガスの層を存在させ、さらに該EGRガスの周囲に前記吸入空気の層を存在させても良く、若しくは前記混合気成層化手段は、混合気をEGRガスで包んでいる限り、点火プラグ113の近傍に前記混合気の層を存在させるとともに、該混合気の周囲に前記吸入空気の層を存在させ、さらに該吸入空気の周囲に前記EGRガスの層を存在させても良いものである。
以上のように、本発明の前記各実施形態は、上記の構成としたことによって次の機能を奏するものである。
【0063】
すなわち、前記第一(第二)の実施形態の理論空燃比で成層燃焼するエンジン50(50A)は、成層燃焼運転を行う場合には、混合気成層化手段100(100A)が、吸入空気による順タンブル120(スワール303)及びEGRガスによる逆タンブル121(スワール304)の二つのタンブル流(スワール流)を生成し、点火プラグ113近傍には燃料と吸入空気とからなる可燃性の混合気の層を存在させ、該混合気の周囲にはEGR通路109を介して、開閉される下側の吸気通路101b(一方の吸気通路305b)に導入されていたEGRガスの層を存在させており、前記混合気が前記EGRガスで包まれることによって、シリンダ123(123A)内のガス全体を、リーン空燃比ではなく、理論空燃比とした燃焼にするEGR成層燃焼を行っているので、EGRガスを用いてポンピングロスや冷却損失の減少させることによる燃費の向上のほか、シリンダ123(123A)から排出された排気ガスに対し、NOx、HC等を同時に浄化できる三元触媒115を用いて効率的な排気浄化を行うことによる排気浄化効果の向上、及び従来のようなリーンNOx触媒を用いる必要がないことによるシステムのコスト削減、並びにリッチスパイク動作が不要になることによる燃費の向上をも達成することができる。
【0064】
また、前記混合気を前記EGRガスで囲むことができる前記混合気成層化手段100(100A)によって、逆タンブル121(スワール304)の最大流量が多くなるので、成層燃焼運転可能な領域の拡大を図ることができ、この点からも燃費の向上に繋がることになる。
【0065】
図11は、本実施形態と従来技術とにおける、負荷による燃料消費量を比較したものである。
まず、上述の如く、従来技術は、混合気を主として空気で包む成層化が行われているのに対し、本実施形態では、混合気をEGRガスで包む成層化が行われている。したがって、本実施形態は、エンジンの膨張行程においてシリンダ内のガスの比熱比が増加し、エンジンの効率の向上を図ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、EGRガスと混合気との混合は必要最小限に抑えられており、混合気の燃焼悪化防止が図られて、燃焼効率の向上を図ることができる。このため、同一のエンジン回転数及び負荷で比較した場合には、燃料消費量の悪化を防ぐことができる。
【0067】
そして、図示のように、従来技術においては、リーンNOx触媒の活性を維持させるために、一定間隔でリッチスパイクをかける必要があり、この間の燃料消費量が大きくなっていることが分かる。これに対し、本実施形態では、上記のEGRによる燃費向上分と、リッチスパイクをなくすことによる燃費向上分との双方とも得られることが分かる。
【0068】
なお、図9にて説明したように、成層リーン燃焼とEGRガスによる理論空燃比による成層燃焼とを併用した場合には、その効果は、従来技術と本実施形態の理論空燃比による成層燃焼との場合の中間程度になる。
以上、本発明の各実施形態について詳説したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において種々の変更ができるものである。
【0069】
まず、前記第一及び第二の実施形態は、EGR成層燃焼の基本的な概念について述べたものであり、本発明の範囲は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、吸気通路の本数、又は通路の隔壁の数、或いは吸気通路の形状が変わった場合でも、それらの通路を部分的に閉塞する吸気制御弁(タンブル制御弁)を持ち、この閉塞された部分にEGRガスを導入する構成であれば良く、また、シリンダに設けられる燃料噴射弁及び点火プラグの位置についても、本実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、シリンダの真上から燃料を噴射し、該シリンダの側方から点火を行う構成であっても良く、これらの場合にも前記と同様の効果を奏することができる。
【0070】
また、ピストンの形状についても、本発明はこの形状には必ずしも拘束されるものではなく、EGRガス側と混合気側とによるタンブル(スワール)がそれぞれ独立して存在し、燃焼開始までは極力混合しないことを目的とする形状・構造であれば良く、この場合にも前記と同様の効果を奏することができる。
【0071】
さらに、本実施形態では、自然吸気エンジンについて記載されているが、EGRガスを用いた成層燃焼を行うことができれば、過給機付きエンジンに関しても同様の動作を行わせることができる。この場合には、吸入空気の圧力が大気圧よりも高まるので、EGRガスが供給されても吸入空気量を多くすることができ、自然吸気の場合よりも成層運転範囲を広くすることができる。
【0072】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、本発明の理論空燃比で成層燃焼するエンジンは、成層燃焼運転時には、EGRガスで混合気を包み、理論空燃比による燃焼が行われているので、燃費の向上と排気浄化効果の向上とを図ることができる。
また、成層・均質の各燃焼運転ともに、三元触媒を有効に働かせた排気浄化が行われるので、リーンNOx触媒を使用する場合に比して、燃費の更なる向上とシステムコストの低廉化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態における理論空燃比成層燃焼エンジンの構成図。
【図2】図1のエンジンにおけるエンジン低負荷域での動作説明図。
【図3】図1のエンジンにおけるエンジン中負荷域での動作説明図。
【図4】図1のエンジンにおけるエンジン高負荷域での動作説明図。
【図5】図1のエンジンにおける動作フローチャート。
【図6】本発明の第二の実施形態における理論空燃比成層燃焼エンジンのピストン斜視図。
【図7】図6の理論空燃比成層燃焼エンジンの構成図。
【図8】図1及び図6の回転数と負荷とのマップ上の運転領域図。
【図9】本発明の他の実施例における回転数と負荷とのマップ上の運転領域図。
【図10】従来技術の回転数と負荷とのマップ上の運転領域図。
【図11】図8乃至図10における燃料消費量の比較図。
【符号の説明】
50 エンジン
50A エンジン
100 混合気成層化手段
100A 混合気成層化手段
101 吸気管
101a 吸気通路(開閉される吸気通路以外の吸気通路)
101b 吸気通路(開閉される吸気通路)
102 タンブル制御弁(吸気制御弁)
107 ピストン
109e EGRガスの通路出口
111 吸気弁
112 排気弁
113 点火プラグ
114 隔壁
115 三元触媒
120 タンブル流
121 タンブル流
122 燃料噴射弁
123 シリンダ
123A シリンダ
125 燃料噴霧
303 スワール流
304 スワール流
305a 吸気通路(開閉される吸気通路以外の吸気通路)
305b 吸気通路(開閉される吸気通路)
306 吸気制御弁
305b 吸気通路

Claims (9)

  1. シリンダ内で燃料を直接に噴射させる燃料噴射弁と、前記シリンダ内で前記燃料と吸入空気との混合気に点火させる点火プラグと、を備えたエンジンにおいて、
    論空燃比にて成層燃焼させるべく、前記点火プラグ近傍に前記混合気の層を形成するとともに、該混合気の周囲にEGRガスの層を形成するために、前記シリンダ内に二つのタンブル流を形成し、該タンブル流の一方は、前記吸入空気を吸気弁から排気弁に沿ってピストンに向かう流れであり、前記タンブル流の他方は、前記EGRガスを前記ピストンの上面に沿って前記排気弁に向かう流れを形成する混合気成層化手段を備えたことを特徴とする理論空燃比で成層燃焼するエンジン。
  2. 前記混合気成層化手段は、吸気管を区画して形成される複数個の吸気通路のうち、少なくとも一つの吸気通路を開閉させる吸気制御弁を備えているとともに、該開閉される吸気通路の前記吸気制御弁と前記シリンダとの間に前記EGRガスの通路出口を備えていることを特徴とする請求項1記載の理論空燃比で成層燃焼するエンジン。
  3. 前記燃料噴射弁の噴霧は、前記点火プラグ側への偏向噴霧であって、前記他方のタンブル流を通過するとともに、前記一方のタンブル流に混合させる貫通力を有することを特徴とする請求項1に記載の理論空燃比で成層燃焼するエンジン。
  4. 前記混合気成層化手段は、前記シリンダ内で二つのスワール流を生成するものであって、該スワール流の一方は、前記EGRガスを前記シリンダの側壁面に沿う流れであり、前記スワール流の他方は、前記一方のスワール流とは反対方向への流れであって、前記吸入空気を前記EGRガスの内側に配置させる流れであることを特徴とする請求項1記載の理論空燃比で成層燃焼するエンジン。
  5. 前記混合気成層化手段は、前記点火プラグ近傍に前記混合気の層を形成するとともに、該混合気の周囲に前記吸入空気の層を形成し、さらに該吸入空気の周囲に前記EGRガスの層を形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の理論空燃比で成層燃焼するエンジン。
  6. シリンダ内で燃料を直接に噴射させる燃料噴射弁と、前記シリンダ内で前記燃料と吸入空気との混合気に点火させる点火プラグと、を備えたエンジンにおいて、
    理論空燃比にて成層燃焼させるべく、前記点火プラグ近傍に前記混合気の層を形成するとともに、該混合気の周囲にEGRガスの層を形成するために、前記点火プラグ近傍に前記混合気の層を形成するとともに、該混合気の周囲に前記EGRガスの層を形成し、さらに該EGRガスの周囲に前記吸入空気の層を形成する混合気成層化手段を備えたことを特徴とする論空燃比で成層燃焼するエンジン。
  7. 前記燃料噴射弁は、前記成層燃焼運転時には圧縮行程の後半で燃料を噴射し、均質燃焼運転時には吸気行程で燃料を噴射することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の理論空燃比で成層燃焼するエンジン。
  8. 記成層燃焼運転時における排気ガスを浄化する三元触媒を備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の理論空燃比で成層燃焼するエンジン。
  9. 吸気管を区画して形成される複数個の吸気通路のうち、少なくとも一つの吸気通路を開閉させる吸気制御弁と、該開閉される吸気通路の前記吸気制御弁とシリンダとの間にEGRガスの通路出口とを有する合気成層化手段により、前記シリンダ内で前記混合気とEGRガスを成層化して燃焼させるエンジンの成層燃焼方法であって、
    前記吸気制御弁を閉じて前記開閉される吸気通路に前記EGRガスを充填し、次いで、前記エンジンの吸気行程にて、前記開閉される吸気通路以外の吸気通路から前記シリンダ内に前記吸入空気を流入させる流れを生成するとともに、前記開閉される吸気通路から前記シリンダ内に前記EGRガスを流入させる流れを生成し、前記エンジンの圧縮行程にて、前記燃料噴射弁が噴射することにより、前記点火プラグ近傍には前記混合気の層を形成するとともに、該混合気の周囲には前記EGRガスの層を形成することで、前記シリンダ内に理論空燃比による成層混合気を形成することを特徴とするエンジンの成層燃焼方法。
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