JP3934389B2 - ステアリングコラムの組付け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ステアリングコラムの組付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステアリングコラムは、車体のピラーツーピラーメンバ(以下、「PPメンバ」という)などに剛結されたブラケットに支持させるようにして車体に組付けられる。このステアリングコラムには、ターンシグナルスイッチやその他のスイッチ類が附属している。組付け状態においては、これらのスイッチ類は車体側の配線と接続される必要があり、また、スイッチ類周りを覆い隠すコラムカバーが取付けられる。
【0003】
上記したようなスイッチ類の配線接続やコラムカバーの取付けを作業性良く行うために、ステアリングコラムは、次のような手順で組付けられる。
【0004】
図7に示すように、ステアリングコラム71は、ボルト挿通孔またはボルト挿通スリット72(図示の便宜上、斜線で示す)が形成されたブラケット73を有しており、一方、車体側ブラケット74には、所定長さ下向きに延びるボルト75が設けられている。ステアリングコラム71は、図8に示すように、上記ブラケット73のボルト挿通スリット72にボルト75を通した上、このボルト75の先端部にナット76をかけることにより、ボルト75およびナット76を介して車体側ブラケット74にぶら下がるような格好で仮保持される。この状態においては、ステアリングコラム71とPPメンバ77ないしはインストルメントパネル78(図示の便宜上、仮想線で示す)との間に十分な作業空間が確保されるので、上記したスイッチ類と車体側の配線との結線、あるいはそれらを覆うコラムカバー79の取付け作業が支障なく行える。その後、上記ナット76を締め込んでゆけば、図9に示すようなステアリングコラム71の最終組付け状態が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年においては、電動パワーステアリングシステム(以下、「EPS」という)を装備する車両が増えており、このEPSは、その本体がステアリングコラムに付属する。そのため、ステアリングコラムの重量が増大し、上記したようなステアリングコラムの仮保持作業が非常に困難となってきている。すなわち、そもそも、仮保持を行うべき車体側のボルトは、インストルメントパネルの下方の見えにくい位置にあり、ステアリングコラム側の取付け片と上記のボルトとの位置合わせを上記したように重量増加したステアリングコラムを支えながら行うことは、きわめて困難となるのである。
【0006】
本願発明は、上記したような事情のもとで考え出されたものであって、ステアリングコラムの車体への組付け作業性をさらに向上させることをその課題としている。
【0007】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を採用した。
【0008】
すなわち、本願発明によって提供されるステアリングコラムの組付け構造は、ステアリングコラムをその軸方向の所定位置において車体側ブラケットに対して連結手段を介して組付けるための構造であって、上記連結手段は、上記ステアリングコラムをその正規位置より下方において仮保持することができるように構成されており、上記ステアリングコラムは、上記車体側ブラケットに対して取付けられる位置よりも軸方向前方において、ダッシュパネルに設けた挿通孔の縁に係合可能な段部を有しており、上記段部の形成位置は、この段部が上記挿通孔の縁に係合した状態において、この段部を支点として上記ステアリングコラムの軸方向後方部を上方に向けて回動させたとき、上記仮保持を行えるように設定されていることを特徴としている。
【0009】
ステアリングコラムに設けた段部をダッシュパネルに設けた挿通孔の縁に係合させることにより、ステアリングコラムの重量の多くの部分をダッシュパネルに受け止めさせることができる。作業者は、この状態において、ステアリングコラムを上記の段部を支点として回動させることができる。このとき作業者が負担する重量は、ステアリングコラムの全重量から上記のようにダッシュパネルに受け止められる重量を差し引いたものである。そして、このような回動における所定の回動位置において、車体側のブラケットに対する仮保持を行うことができる。
【0010】
したがって、仮にステアリングコラムがEPSを装備した重量増加させられたものであっても、作業者の重量負担を軽くして車体に対する仮保持作業を行うことができる。また、ステアリングコラムの段部がダッシュパネルに係合した状態においてステアリングコラムの前後位置決めがある程度行われるので、これによっても作業性が高められ、結局、本願発明によれば、重量増大したステアリングコラムの組付け作業性が著しく改善される。
【0011】
本願発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【0012】
【好ましい実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1に示すように、ステアリングコラム1は、車室側先端にステアリングホイール2が取付けられたステアリングシャフト3を軸転可能に内挿保持する、全体として筒状をなす部材である。このステアリングコラム1にはまた、ターンシグナルスイッチ、ワイパスイッチ、あるいはキーシリンダないしイグニッションスイッチ等を集合させたスイッチアッセンブリ4が予め装着されている。また、この実施形態においては、このステアリングコラム1の軸方向中間部に、EPS本体5が組付けられている。
【0014】
ステアリングコラム1にはまた、車体に支持させるためのブラケット6が設けられる。本実施形態においては、EPS本体5の上部に沿うように取付けられた第1のブラケット6aと、スイッチアッセンブリ4の近傍に取付けられた第2のブラケット6bとが設けられている。
【0015】
このうち、第1のブラケット6aは、図2に良く表れているように、左右に延出する金属板によって構成されており、各金属板には、それぞれボルト挿通孔7が形成されている。このボルト挿通孔7は、大径部7aの後方側に小径部7bが連続する涙型を呈している。なお、大径部7aは、後記するボルト8およびこれに掛けられているナット9を挿通できる程度の大きさをもち、小径部7bは、ボルト8は挿通できるがナット9は挿通できない程度の大きさとなっている。
【0016】
第2のブラケット6bは、図3に示すように、ステアリングコラム1から左右に突出する耳片10からなり、この耳片10には、それぞれボルト挿通孔11が形成されている。
【0017】
本願発明においては、図1に示すように、上記ステアリングコラム1における軸方向前方部、すなわち、ダッシュパネル12に開設される挿通孔13に挿入される部位に、段部14が設けられる。この実施形態では、この段部14は、ステアリングコラム1のロアパイプ15の前端方を縮径させることによって形成されている。なお、この段部14のステアリングコラム軸方向の形成位置は、後記するような特定位置とする。
【0018】
一方、上記ステアリングコラム1を支持するための車体側ブラケット16は、カウル17およびピラーツーピラーメンバ18に剛結されている。この車体側ブラケット16は、たとえば断面ハット状の板金部材によって形成され、その下部フランジには、ステアリングコラム1側の第1のブラケット6aと対応した位置に下向きに延出するボルト8が設けられ、第2のブラケット6bと対応した位置には、連結孔19が形成されている。
【0019】
ステアリングコラム1に設けた上記の段部14は、図1に示すように、この段部14をダッシュパネル12の挿通孔13の縁に係合させた状態において、この段部14を支点としてステアリングコラム1を上方に向けて回動させた場合に、ちょうどボルト8とボルト挿通孔7とが係合するように、そのステアリングコラム軸方向の位置が選択される。このことと関連して、上記のボルト8は、ステアリングコラム1の上記のような回動におけるボルト挿通孔7の移動軌跡と対応して、斜め下方向に突出させておくことが望ましい。
【0020】
次に、ステアリングコラム1の車体への組付け作業について、説明する。
【0021】
車体側ブラケット16に設けたボルト8には、その先端部にナット9を掛けておく。次に、ステアリングコラム1の段部14をダッシュパネル12の挿通孔13に係止させる。このとき、ステアリングコラム1の全重量のうち、多くの部分がダッシュパネル12に支持されるので、作業者の重量負担は軽減される。そして、ステアリングコラム1を上記段部14を支点として上方に回動させてゆき、第1のブラケット6aのボルト挿通孔7の大径部7aに上記ボルト8およびナット9を通し、そして、ステアリングコラム1全体をやや前方にずらす。そうすると、図4および図5に示すように、第1のブラケット6aの小径部7bにボルト8が通った上、この第1のブラケット6aの下側にナット9が位置するようになるため、ステアリングコラム1は、正規の取付け位置から所定寸法下がった状態(車体側ブラケット16から所定寸法離れた状態)において、ボルト8に吊り下げられたような状態で仮保持される。この状態において、インストルメントパネル20(図示の便宜上、仮想線で示す)ないし車体側ブラケット16とステアリングコラム1との間に、作業空間が確保される。
【0022】
仮保持された後は、作業者は、ステアリングコラム1の重量を負担する必要はなくなり、また、解放された両手を使ってその後の組付け作業を行うことができる。すなわち、スイッチアッセンブリ4、あるいはEPS本体5から延びる配線を車体側の配線と接続し、さらには、コラムカバー21の取付け、あるいはEPS本体カバーの取付け作業を行う。
【0023】
そして、上記ナット9を締め付けてゆくことにより、図6に示すようなステアリングコラム1の最終組付け姿勢が達成される。そして、第2のブラケット6bのボルト挿通孔11とこれに対応する車体側ブラケット16の連結孔19にボルト22を連通挿するとともにこのボルト22の先端にナット23を締め付けることにより、組付けが完了する。
【0024】
このように、上記構成のステアリングコラムの組付け構造によれば、ステアリングコラムの重量が増大しても、作業者にその重量負担を与えることなく、その組付け作業が容易に行える。
【0025】
もちろん、この発明の範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上記第1のブラケット6a、ボルト挿通孔7、段部14の形状、大きさ等は、上記した実施形態に限定されるものではない。また、EPS本体5についても、設置されている方が重量が増大するため、この構造による効果は大きくなるが、その有無は限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施形態に係るステアリングコラム組付け構造の一例を示す要部側面図である。
【図2】図1におけるA−A線矢視図である。
【図3】図1におけるB−B線矢視図である。
【図4】図1に示すステアリングコラム組付け構造の作用説明図である。
【図5】図4におけるC−C線矢視図である。
【図6】図1に示すステアリングコラムの最終組付け状態を示す側面図である。
【図7】従来のステアリングコラム組付け構造の一例を示す要部側面図である。
【図8】図7に示すステアリングコラム組付け構造の作用説明図である。
【図9】図7に示すステアリングコラムの最終組付け状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 ステアリングコラム
4 スイッチアッセンブリ
5 EPS本体
6a 第1のブラケット
6b 第2のブラケット
7 ボルト挿通孔
7a 大径部
7b 小径部
10 耳片
12 ダッシュパネル
13 挿通孔
14 段部
15 ロアパイプ
16 車体側ブラケット
17 カウル
18 ピラーツーピラーメンバ
20 インストルメントパネル
21 コラムカバー
Claims (1)
- ステアリングコラムをその軸方向の所定位置において車体側ブラケットに対して連結手段を介して組付けるための構造であって、
上記連結手段は、上記ステアリングコラムをその正規位置より下方において仮保持することができるように構成されており、
上記ステアリングコラムは、上記車体側ブラケットに対して取付けられる位置よりも軸方向前方において、ダッシュパネルに設けた挿通孔の縁に係合可能な段部を有しており、上記段部の形成位置は、この段部が上記挿通孔の縁に係合した状態において、この段部を支点として上記ステアリングコラムの軸方向後方部を上方に向けて回動させたとき、上記仮保持を行えるように設定されていることを特徴とする、ステアリングコラムの組付け構造。
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