JP3933077B2 - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

セラミック電子部品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3933077B2
JP3933077B2 JP2003091063A JP2003091063A JP3933077B2 JP 3933077 B2 JP3933077 B2 JP 3933077B2 JP 2003091063 A JP2003091063 A JP 2003091063A JP 2003091063 A JP2003091063 A JP 2003091063A JP 3933077 B2 JP3933077 B2 JP 3933077B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
resin
ceramic
pores
sintered body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003091063A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004297020A (ja
Inventor
勝之 内田
利夫 河端
健彦 大槻
昌美 杉谷
基 西井
幸夫 坂本
薫 立花
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2003091063A priority Critical patent/JP3933077B2/ja
Publication of JP2004297020A publication Critical patent/JP2004297020A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3933077B2 publication Critical patent/JP3933077B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ceramic Capacitors (AREA)
  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、セラミック電子部品及びその製造方法に関し、詳しくは、GHz帯等の、高周波帯域でのインピーダンス特性に優れ、広い周波数範囲で高いインピーダンスを得ることが可能なインダクタなどのセラミック電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高周波化が進み、インダクタや、LC複合部品、LR複合部品、LCR複合部品などは、GHz帯域の高周波に対応可能なものが求められるようになっている。
【0003】
しかし、高周波帯域用のインダクタにおいては、コイルとパラレルに発生する浮遊容量が、そのインピーダンスに大きく影響し、特にGHz帯では、1/100pF〜1/10pF程度の微小な浮遊容量がインピーダンスに大きな影響を与える。したがって、浮遊容量を小さくして所望の特性を確保しようとすると、磁性体として用いられているフェライトなどの誘電率εを下げることが必要になる。しかし、フェライトの構造的な理由から、フェライト自体の誘電率εを例えば13〜14以下にまで下げることは事実上困難である。
【0004】
そのような状況のもとで誘電率εを下げようとすると、磁性体に樹脂やガラスなどの誘電率の低い材料を配合する方法が考えられるが、磁性体に非磁性体である樹脂やガラスなどを配合したコンポジット磁性材料においては、磁性体粒子が樹脂やガラスなどの非磁性体材料によって覆われ、磁路が分断されてしまうため、透磁率が極端に低くなってしまうという問題点がある。
【0005】
また、近年、電波吸収体などに用いられる誘電率の低いフェライト材料として、空孔率を20〜70%とした発泡フェライト焼結体が知られている(例えば、特許文献1参照)。このフェライト焼結体は、空孔を高い割合で含んでいることから誘電率が低く、また、磁路が連続していることから、電磁気特性が不連続に大きく変動することがないという特徴を有している。すなわち、この発泡フェライト焼結体は、空孔率が高くなっても個々のフェライト粒子どうしは磁気的に結合されているため、フェライト粉末と絶縁物との混合フェライトの場合に見られるようなフェライト複素透磁率の周波数分散特性の変動は少ないという特徴を有している。
【0006】
また、空孔を含有させたセラミックを用いた電子部品として、セラミックと、セラミックの内部に形成された内部電極を備え、セラミックに直径1〜3μmの空孔(ポア)を3〜30体積%の割合で含有させたセラミック電子部品が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
このセラミック電子部品は、セラミックに直径1〜3μmのポアを3〜30体積%の割合で含有させるようにしているので、セラミックの誘電率を下げることが可能になり、それだけインピーダンス特性を向上させることが可能になるという特徴を有している。
【0008】
【特許文献1】
特開昭55−526300号公報
【特許文献2】
特開平11−67575号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1の発泡フェライト焼結体においては、空孔率を高くしようとすると成形体の機械的強度が低下するため、このままでは、電子部品材料として、必要な抗折強度を確保することが困難であるという問題点がある。
【0010】
また、特許文献2のセラミック電子部品においては、ポアの含有割合が30体積%を超えるとセラミック素体の抗折強度が低下することを考慮して、ポアの含有割合が3〜30体積%の範囲とされているため、比誘電率の低減の範囲が制約され、近年の、さらに高い特性を備えたセラミック電子部品への要求を必ずしも十分に満たすことができないのが実情である。
【0011】
また、特許文献2のセラミック電子部品には、セラミックに含まれる空孔に水分が入り込みやすく、吸水率が高くなるため、信頼性が低下するという問題点がある。
【0012】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、誘電率が低く、高強度のセラミック焼結体を備えるセラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明(請求項1)のセラミック電子部品の製造方法は、
セラミック焼結体の内部に電極が配設された構造を有するセラミック電子部品の製造方法であって、
セラミック原料と、バインダーと、球状又は粉粒体状で、前記バインダーに対する接着性を有する焼失材とを配合した配合セラミック原料を用いて、内部に電極が配設された成形体を形成する工程と、
前記成形体を焼成することにより、35〜80vol%の空孔を含み、かつ内部に電極が配設されたセラミック焼結体を形成する工程と、
前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程と
を具備し、
前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、前記樹脂又はガラスとして、溶剤により一部を溶出させることができる樹脂又はガラスを用い、前記空孔に該樹脂又はガラスを充填した後に、溶剤により樹脂又はガラスの一部を溶出させて除去することにより、前記樹脂又はガラス中にさらに空孔を形成することを
特徴としている。
【0014】
本願発明のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック原料と、バインダーと、球状又は粉粒体状で、バインダーに対する接着性を有する焼失材とを配合したセラミック焼結体用の配合セラミック原料を用いて、内部に電極(電極材料)が配設された成形体を形成し、この成形体を焼成することにより35〜80vol%の空孔を含むセラミック焼結体を形成した後、セラミック焼結体の空孔に樹脂又はガラスを充填するようにしているので、セラミック焼結体中のセラミックグレインの連続性を確保しつつ、セラミック焼結体に空孔を形成して、セラミック焼結体の各種電気特性を大きく低下させることなく、セラミック焼結体の誘電率を大幅に低下させることが可能になるとともに、空孔中に充填された樹脂又はガラスにより、セラミック焼結体の強度を向上させることが可能になり、所望の特性を備えた信頼性の高いセラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
【0015】
また、セラミック焼結体の空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、溶剤により一部を溶出させることができる樹脂又はガラスを用い、該樹脂又はガラスを充填した後に、溶剤により樹脂又はガラスの一部を溶出させることにより、セラミック焼結体の空孔に充填させた樹脂又はガラスの一部が除去されるようにしているので、セラミック焼結体の誘電率をより確実に低下させることが可能になる。
【0016】
また、本願発明においては、焼失材として、球状又は粉粒体状のいずれの形態のものも用いることが可能であるが、分散の均一性などの見地からは球状のものを用いることがより好ましい。
また、焼失材としては、セラミック焼結体に、空孔径が5〜20μmの空孔を形成する見地から、平均粒径が5〜20μmのものを用いることが望ましい。
また、所望の空孔率を実現する見地から、焼失材は、通常、前記配合セラミック原料中で35〜80vol%となるような割合で配合することが望ましく、特に、40〜50vol%となるように配合することが望ましい。なお、焼失材は目標とする空孔率に応じて、適宜配合することが可能である。
【0017】
そして、セラミック焼結体の空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、溶剤により一部を溶出させることができる樹脂又はガラスを用い、該樹脂又はガラスを充填した後に、溶剤により樹脂又はガラスの一部を溶出させることにより、セラミック焼結体の空孔に充填させた樹脂又はガラスの一部が除去されることになる。したがって、セラミック焼結体の誘電率をさらに低下させることが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることができる。
【0018】
なお、溶剤により一部を溶出させることができる樹脂又はガラスとは、必ず樹脂自体やガラス自体が溶解するものに限らず、例えば、樹脂に関しては、樹脂に配合した一部材料などが溶剤に溶解して除去されるもの、また、ガラスに関しては、溶剤によりガラス原料の基材の一部などが溶解することにより、ガラス自体もその一部が除去されるようなものなどを含む広い概念である。
【0019】
また、請求項のセラミック電子部品の製造方法は、
前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、
前記樹脂又はガラスとして、溶剤又は希釈剤を配合した樹脂又はガラスを用い、前記空孔に樹脂又はガラスを充填した後に、前記溶剤又は希釈剤を揮発させることにより、樹脂又はガラス中にさらに空孔を形成すること
を特徴としている。
【0020】
セラミック焼結体の空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、樹脂又はガラスとして、溶剤又は希釈剤を配合した樹脂又はガラスを用い、樹脂又はガラスを充填した後に、溶剤又は希釈剤を揮発させることにより、樹脂又はガラス中にさらに空孔を形成することが可能になり、セラミック焼結体の誘電率をさらに低下させることが可能になる。
【0021】
また、請求項のセラミック電子部品の製造方法は、
磁性体セラミックからなるセラミック焼結体の内部に電極が配設された構造を有するセラミック電子部品の製造方法であって、
焼成後に磁性体セラミックとなるセラミック原料と、バインダーと、球状又は粉粒体状で、前記バインダーに対する接着性を有する焼失材とを配合した配合セラミック原料を用いて、内部に電極が配設された成形体を形成する工程と、
前記成形体を焼成することにより、35〜80vol%の空孔を含み、かつ内部に電極が配設されたセラミック焼結体を形成する工程と、
前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程と
を具備し、かつ、
前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、
前記樹脂又はガラスとして、溶剤又は希釈剤を配合した樹脂又はガラスを用い、前記空孔に樹脂又はガラスを充填した後に、前記溶剤又は希釈剤を揮発させることにより、樹脂又はガラス中にさらに空孔を形成すること
を特徴としている。
【0022】
本願発明のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック原料として、焼成後に磁性体セラミックとなるセラミック原料を用いるようにしているので、インダクタなどの電子部品を製造する場合において、磁性体セラミックからなるセラミック焼結体の機械的な強度の低下を招くことなく、誘電率を低下させて浮遊容量の発生を抑制することが可能で、所望の特性を備えた信頼性の高いセラミック電子部品(インダクタなど)を効率よく製造することが可能になる。
また、セラミック焼結体の空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、樹脂又はガラスとして、溶剤又は希釈剤を配合した樹脂又はガラスを用い、樹脂又はガラスを充填した後に、溶剤又は希釈剤を揮発させることにより、樹脂又はガラス中にさらに空孔を形成することが可能になり、セラミック焼結体の誘電率をさらに低下させることが可能になる。
【0023】
なお、溶剤又は希釈材としては、例えば、エタノール、キシレン、酢酸ブチル、水などを用いることが可能である。
また、溶剤又は希釈剤は、樹脂又はガラス100に対して体積比で、5〜50の範囲で配合することが望ましい。これは、配合割合が、樹脂又はガラス100に対して体積比で5未満になると希釈後の粘度低減の効果が不十分で、作業性が 低下し、また、50を超えると樹脂硬化時に希釈材が樹脂内部に残り、樹脂の特性が劣化することによる。
【0024】
また、請求項4のセラミック電子部品の製造方法は、前記セラミック原料に配合される焼失材が、架橋ポリスチレン、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリメタクリル酸ブチル、架橋ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリアクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものであることを特徴としている。
【0025】
セラミック原料に配合される焼失材として、架橋ポリスチレン、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリメタクリル酸ブチル、架橋ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリアクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものを用いた場合、焼成工程で焼失材が確実に焼失して、セラミック焼結体に確実に空孔を形成することが可能になり、所望の空孔率を有するセラミック焼結体を効率よく形成することが可能になる。
【0026】
なお、空孔率を大幅に増大させるためには、焼失材の割合を増やす必要があり、セラミックの割合を確保しつつ焼失材を大幅に増やすためにはバインダーの割合を減らすことが必要になるが、バインダーの割合を減らすと、焼結前の半製品の強度が低下し、加工工程での歩留まりが低下する傾向がある。しかし、焼失材として、表面積が大きく樹脂バインダーに対する接着性に優れ、保形性の大きい架橋ポリマーを採用することにより、歩留まりを低下させることなく、バインダーの割合を減らして焼失材の割合を増やすことが可能になり、空孔率を高めることが可能になる。
【0027】
なお、本願発明のセラミック電子部品の製造方法は、インダクタ、LC複合電子部品、LR複合電子部品、LCR複合電子部品などの種々の電子部品を製造する場合に適用することが可能であり、セラミック焼結体の強度低下を招くことなく、誘電率を低下させ、浮遊容量が小さく、所望のインピーダンス特性を備えた信頼性の高いインダクタ、LC複合電子部品、LR複合電子部品、LCR複合電子部品などを効率よく製造することができるようになる。
【0028】
また、本願発明のセラミック電子部品の製造方法は、複数のセラミック層間に電極層を配した積層構造を有し、セラミック焼結体の抗折強度などが問題になりやすい積層セラミック電子部品を製造する場合に好適に適用することが可能であり、本願発明を適用することにより、インピーダンス特性に優れ、かつ、機械的強度が大きくて信頼性の高い積層セラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本願発明にかかるセラミック電子部品におけるセラミック焼結体について、図6を参照して説明する。
図6に示すように、本願発明にかかるセラミック焼結体61の内部には複数の空孔62が形成されている。空孔62には、樹脂又はガラス63が充填されており、セラミック焼結体の表面も樹脂又はガラス63によって覆われている。
空孔62は、その平均径が5〜20μmであり、セラミック焼結体61において35〜80vol%の割合で形成されている。なお、空孔62は、開空孔(オープンポア)及び閉空孔(クローズドポア)を含む。
この空孔のうち、30〜70vol%は、樹脂又はガラス63で充填されている。すなわち、空孔62には、その内部全体に樹脂又はガラス63が充填されていてもよいが、その内部の一部のみに充填されていてもよく、その場合には、空孔62内に充填された樹脂又はガラス63中にさらに空孔64が形成される。
なお、樹脂又はガラス中に空孔を形成する場合の態様としては、図6に示したような外部に開口した空孔を形成してもよく、樹脂又はガラス中に分散した多数の空孔を形成してもよい。
また、セラミック焼結体には、磁性体セラミック、誘電体セラミック、半導体セラミック、圧電体セラミックなど、各種の機能性セラミックを適用することができる。
以下、本願発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0030】
[実施形態1]
<1>空孔を有するセラミック焼結体の作製
なお、この実施形態1では、空孔を有するセラミック焼結体を形成する方法について説明する。
【0031】
(1)まず、透磁率μが400のNiZnCuフェライト材料を得るため、ニッケル、亜鉛及び銅の酸化物原料を混合して800℃、1時間仮焼した。
(2)その後、ボールミルにより粉砕し、乾燥することにより、平均粒径約2μmのフェライト原料(酸化物混合粉末)を得た。
(3)それから、得られたフェライト原料に市販の球状ポリマー(この実施形態1では、架橋ポリスチレンからなる球状の焼失材(平均粒径=8μm、商品名:テクポリマー(TECHPOLYMER)、積水化成品工業株式会社(SEKISUI PLASTICS CO., LTD.)製)を表1に示すように種々の割合で添加し、溶媒、バインダー、分散剤を加えて混合し、配合セラミック原料を作製した後、この配合セラミック原料を用いてドクターブレード法により厚さ100μmのセラミックグリーンシートを作製した。
なお、焼失材(空孔形成材)として、表面積が大きくバインダーに対する接着性に優れ、保形性の大きい球状ポリマーを採用することにより、歩留まりを低下させることなく、バインダーの割合を減らして焼失材の割合を増やすことが可能になり、空孔率を高めることが可能になる。
(4)次に、得られたセラミックグリーンシートを積層、圧着して厚みが2mmの成形体(積層体)を得た。そして、この成形体からリング形状と円板状と角板状のテストピースを作製した。
(5)そして、これを400℃で3時間熱処理して脱バインダーを行った後、900℃で2時間焼成することによりセラミック焼結体を得た。
なお、この実施形態1では、混合する有機材料(特に焼失材)の量を変化させることにより空孔の割合を調整した。例えば、配合セラミック原料中の焼失材の割合を50vol%にすれば、セラミック焼結体中の空孔の割合はほぼ50vol%となる。
また、セラミック焼結体の空孔の体積含有率(空孔率)は、空孔(空気)の比重を0g/cm3、フェライトの比重(実測値)を5.02g/cm3として、セラミック焼結体の比重から算出した。
(6)それから、得られたセラミック焼成体を、誘電率3.9の水溶性ガラス(この実施形態1ではLi−K系ガラス)中に含浸させ、空孔内にガラスを充填するとともにセラミック焼結体表面にガラス膜を形成した後、800℃でガラスの溶融・焼付けを行った。
【0032】
空孔にガラスを充填させ、溶融・焼き付けを行った後の誘電率、透磁率、抗折強度及び吸水率の測定結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003933077
【0034】
なお、透磁率はリング状のテストピース、誘電率は円板状のテストピース、抗折強度は角板状のテストピースをそれぞれ用いて測定した。
表1に示すように、セラミック焼結体の空孔率が高くなるにともなって、誘電率は低くなるが、ガラスを充填させない状態における抗折強度が低下し、吸水率が増大する。一方、セラミック焼結体の空孔にガラスを充填させた場合には、抗折強度の低下や吸水率の増大を招くことなく、誘電率を低下させることが可能になる。
すなわち、上記実施形態1の場合のように、空孔内にガラスを充填した場合、試料番号1の空孔を含まないセラミック焼結体と比べて、抗折強度を同等又はそれ以上に向上させることが可能になるとともに、吸水率を低く抑えることが可能になる。
また、表1の試料番号3に示すように、空孔率が30vol%になると、誘電率が11.0と高くなり、十分に誘電率を低下させることができなくなることがわかる。
また、表1の試料番号9に示すように、空孔率が80vol%になると、誘電率を6以下にまで低くする(空孔率が80vol%の場合の誘電率:5.8)ことが可能になることがわかる。ただし、空孔率が80vol%を超えると、焼成後の強度が低下し、その後の樹脂、ガラス含浸加工等が困難になるため好ましくない。
【0035】
なお、表1には示していないが、誘電率を下げるために、ガラスをフェライト原料に添加、混合した後、焼成したコンポジット材や磁粉に樹脂を混練成形した材料では、表1の空孔にガラスを含浸(充填)させた場合と同等の比率で、フェライトにガラスや樹脂を添加、混合しても、表1に示すような透磁率は得られないことが確認されている。
例えば、ガラスをフェライト原料に添加、混合した後、焼成したコンポジット材にあっては、ガラスの混合率を50vol%とした場合に、透磁率μは4程度にしかならず、また、透磁率の周波数特性においても、複素透磁率μ”がほとんど発現しなくなってしまうことが確認されている。これは、磁粉をガラスや樹脂に分散させて成形体とした場合、磁粉を覆い固めるように、ガラスや樹脂が分布するため、磁性体から形成される磁路が非磁性材であるガラスや樹脂によって分断されるため透磁率が低くなることによるものと考えられる。
これに対して、上記実施形態1にかかる方法で調製した、空孔を有するセラミック焼結体(空孔形成材料)においては、磁性体自体の透磁率の特徴が保持される。これは、セラミック焼結体内で磁路が分断されずに繋がった状態が保たれるため、高い透磁率が得られ、かつ、磁性体自体の透磁率の特徴も保持されることによるものと考えられる。
【0036】
<2>チップコイル部品の作製
(1)上記<1>の表1,試料番号6の材料(すなわち、空孔率が50vol%のセラミック焼結体が得られる材料)を用いて形成したセラミックグリーンシートに、内部コイルを構成する電極となる銀ペーストを印刷し、積層、圧着した後、チップ状にカットして900℃で焼成した。
これにより、焼成時に空孔形成材が焼失して、銀系の内部電極を有し、50vol%の割合で空孔を含んだセラミック焼成体が得られる。
(2)次に、セラミック焼結体を、誘電率3.9の水溶性ガラス(この実施形態1ではLi−K系ガラス)に浸漬し、空孔内部に水溶性ガラスを充填させた。
(3)それから、セラミック焼結体の、コイルの軸心方向に平行な両端側に内部電極と導通するように外部電極用の導電ペーストを塗布した後、800℃で熱処理することにより、空孔に充填させたガラス及び導電ペーストを同時に焼成した。これにより、図1に示すように、セラミック焼結体1の内部にコイル2が配設され、セラミック焼結体の両端部に外部電極3a,3bが配設された構造を有する、長さ1.6mm、幅及び高さ0.8mmのチップコイル部品(以下単に、実施形態1のチップコイル部品という)を得た。なお、この実施形態1のチップコイル部品においては、コイルのターン数を30ターンとした。
【0037】
また、比較のため、通常のフェライト材(前記<1>の表1,試料番号1の空孔率が0vol%のセラミック焼結体が得られる材料)からなるセラミックグリーンシートを用いて、上記実施形態1のチップコイル部品の場合と同じ方法で、チップコイル部品(比較例1)を作製した。なお、特性の比較を容易にするため、低周波帯域におけるインダクタンスが近い値となるように、比較例1のチップコイル部品では、コイルのターン数を20ターンとした。
【0038】
この実施形態1及び比較例1のチップコイル部品をネットワークアナライザHP8753Dに接続して反射特性を測定し、その結果からインピーダンスを算出した。図2に、実施形態1及び比較例1のチップコイル部品のインピーダンス特性を示す。
【0039】
この実施形態1のチップコイル部品においては、空孔を形成することにより、透磁率の特性を損なうことなく誘電率を低下させた磁性体を用いているので、低周波領域では、従来と同様のインピーダンス特性を維持したまま、低誘電率化によって、高周波領域まで所望のインピーダンスを確保できることがわかる。
すなわち、比較例1のチップコイル部品では、600Ωのインピーダンスが得られる周波数は1.3GHz程度までであるが、実施形態1のチップコイル部品では、600Ωのインピーダンスが得られる帯域が約4GHzまで拡大していることがわかる。
【0040】
また、この実施形態1のチップコイル部品においては、セラミック焼結体の空孔内部にガラスを充填させているので、従来の空孔を含まないフェライト材を用いた比較例1のチップコイル部品と比べて抗折強度に遜色がなく、また、吸水率に関しては、比較例1のチップコイル部品よりも低くなっており、信頼性の面でも比較例1より優れていることが確認されている。
【0041】
[実施形態2]
<1>空孔を有するセラミック焼結体の作製
(1)上記実施形態1と同様にして、混合する有機材料の量を変化させることにより空孔の割合を調整して、実施形態1の<1>の(5)で得たものと同じセラミック焼結体を作製した。
(2)それから、セラミック焼結体の空孔に、誘電率3.4のエポキシ樹脂を含浸させた後、150℃に加熱して、エポキシ樹脂を硬化させた。
このようにして、空孔に樹脂を充填させたセラミック焼結体について、誘電率、透磁率、抗折強度及び吸水率を測定した。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
Figure 0003933077
【0043】
表2より、セラミック焼結体の空孔にエポキシ樹脂を含浸(充填)させるようにした場合、試料番号11(表1の試料番号1と同じ)の空孔を含まないものと比べて、抗折強度を同等又はそれ以上に向上させることが可能になることがわかる。
また、エポキシ樹脂の含浸を行ったものは、空孔率を80%とした場合(試料番号19)にも、空孔率を30%とし、エポキシ樹脂の含浸を行わないようにしたものより抗折強度が大きいことがわかる。
【0044】
また、吸水率に関しては、エポキシ樹脂を含浸させたものにおいては、吸水率が、試料番号11の空孔を含まないものよりも低く安定することがわかる。
さらに、空孔比率が35vol%以上であれば、エポキシ樹脂を含浸させた場合にも、誘電率10以下を確保できることがわかる。
なお、樹脂のほうが、ガラスに比べて誘電率の低いものを選択することが可能な場合があり、今回使用したエポキシ樹脂を用いた場合には、前記実施形態1のようにガラスを含浸させた場合に比べて、いくらかではあるが、誘電率をさらに低下させることが可能になることがわかる。
【0045】
<2>チップコイル部品の作製
(1)上記<1>の表2,試料番号16の材料(すなわち、空孔率が50vol%のセラミック焼結体が得られる材料)を用いて形成したセラミックグリーンシートに、内部コイルを構成する電極となる銀ペーストを印刷し、積層、圧着した後、チップ形状にカットして900℃で焼成した。
これにより、焼成時に有機材料が焼失し空孔を50vol%の割合で含んだセラミック焼成体が得られる。
(2)それから、セラミック焼結体のコイルの軸心方向に平行な両端側に内部電極と導通するように外部電極形成用の導電ペーストを塗布した後、850℃で熱処理することにより導電ペーストを焼成して外部電極を形成した。
(3)次に、このチップを誘電率3.4のエポキシ系の液状樹脂中に含浸させた後、150℃で硬化させ、セラミック焼結体の空孔内にエポキシ樹脂を充填するとともにセラミック焼結体表面に樹脂膜を形成した。
(4)それから、樹脂を含浸させたチップをバレル研磨して、外部電極の金属表面をより確実に露出させた後、ニッケルめっき、及びSnめっきを行って、外部電極の表面にメッキ層を形成した。
これにより、長さ1.6mm、幅及び高さ0.8mmのチップコイル部品(以下単に、実施形態2のチップコイル部品という)を得た。なお、この実施形態2のチップコイル部品においては、コイルのターン数を30ターンとした。
【0046】
比較用のチップコイル部品として、上記実施形態1で作製した比較例1と同じのチップコイル部品(ターン数20)を用意した。
そして、この実施形態2のチップコイル部品をネットワークアナライザHP8753Dに接続して反射特性を測定し、その結果からインピーダンスを算出した。図3に、実施形態2及び比較例1のチップコイル部品のインピーダンス特性を示す。
【0047】
この実施形態2のチップコイル部品においては、空孔を形成することにより、透磁率の特性を大きく損なうことなく誘電率を低下させた磁性体を用いているので、低周波領域では、従来と同様のインピーダンス特性を維持したまま、低誘電率化によって、高周波領域まで所望のインピーダンスを確保できることがわかる。
すなわち、比較例1のチップコイル部品では、600Ωのインピーダンスが得られる周波数は1.3GHz程度までであるが、実施形態2のチップコイル部品では、600Ωのインピーダンスが得られる帯域が、約5GHzまで拡大していることがわかる。
【0048】
また、この実施形態2のチップコイル部品においては、セラミック焼結体の空孔内部にエポキシ樹脂を含浸(充填)させるようにしているので、従来の空孔を含まないフェライト材を用いた比較例1のチップコイル部品と比べて抗折強度に遜色がなく、また、吸水率に関しては、比較例1のチップコイル部品よりも低くなっており、信頼性の面でも比較例1より優れていることが確認されている。
【0049】
[実施形態3]
(1)上記実施形態1及び2と同様の方法で、空孔率が60vol%の多孔質フェライト(セラミック焼結体)を作製した。
(2)それから、この多孔質フェライトを、誘電率3.4のエポキシ樹脂を、粘度が300mPa.s、及び500mPa.sになるように有機溶剤で希釈した溶剤中に浸漬してエポキシ樹脂を含浸(充填)させた後、150℃で30分加熱してエポキシ樹脂を硬化させた。
【0050】
そして、このようにして得た、エポキシ樹脂の含浸、硬化後の多孔質フェライトについて、空孔率、誘電率、及び抗折強度を測定した。
なお、誘電率が8.4で、粘度が5000mPa.sの無溶剤タイプのエポキシ樹脂を含浸させ、同様に硬化させた試料について、空孔率、誘電率、及び抗折強度を測定した。その結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
Figure 0003933077
【0052】
粘度が500mPa・s以下のエポキシ樹脂を用いた場合、含浸(充填)させたエポキシ樹脂にも空孔が形成され、高強度で、さらに低誘電率の多孔質フェライトが得られることがわかる。
これは、多孔質フェライトの空孔内に充填させたエポキシ樹脂中の希釈剤が揮発して、エポキシ樹脂の内部にも空孔が形成されたことによるものである。
なお、多孔質フェライトの空孔内に充填された樹脂やガラスに空孔を形成する方法としては、上記の方法の他に、例えば、一旦粘度の高い樹脂やガラス原料を含浸させた後、溶剤内で超音波洗浄などを行ない、含浸させた樹脂やガラス原料の基材の一部を溶出させた後、溶剤を揮発させ、硬化する方法などを適用することが可能である。
【0053】
[実施形態4]
図4及び5は、本願発明の実施形態にかかるセラミック電子部品(T型LCフィルタ)を示す図であり、図4はその構成を示す分解斜視図、図5は模式的な断面図である。
この実施形態4のセラミック電子部品11は、インダクタ部(コイル部)12と13の間にコンデンサ部14が配設された構造を有するT型LCフィルタ(積層型LCフィルタ)である。
【0054】
このT型LCフィルタにおいて、インダクタ部12は、コイル導体35a,35b,35c及び中継用ビアホール36a,36b,36cを設けた磁性体層22、引出し用ビアホール37aを設けた磁性体層22、引出し用導体38aを設けた磁性体層22などから構成されており、コイル導体35a〜35cは、中継用ビアホール36b,36cを介して接続されることによりコイル26を形成している。
【0055】
また、インダクタ部13は、コイル導体35d,35e,35f及び中継用ビアホール36d,36e,36fを設けた磁性体層22、引出し用ビアホール37bを設けた磁性体層22、引出し用導体38b及び引出し用ビアホール37cを設けた磁性体層22などから構成されており、コイル導体35d〜35fは、中継用ビアホール36e,36fを介して接続されることによりコイル27を形成している。
【0056】
また、コンデンサ部14は、グランド電極30、スルー電極31、スルー電極連結用ビアホール41b,42aを設けた誘電体層23、及びスルー電極連結用ビアホール41a,41c,42bを設けた誘電体層23などを備えており、互いに対向するように配設されたグランド電極30とスルー電極31から、コンデンサ33が形成されている。
【0057】
そして、磁性体層22と、誘電体層23を積み重ね、一体に焼結することにより形成されたセラミック焼結体の両端部には、図5に示すように、入力用の外部電極51及び出力用の外部電極52が配設され、セラミック焼結体の中央部には接地用の外部電極53が配設されている。
【0058】
この実施形態4のT型LCフィルタにおいては、インダクタ部12,13を構成する磁性体層の構成材料として、実施形態1〜3でその製造方法を説明した空孔を有するフェライト材料が用いられており、コンデンサ部14には誘電体セラミック材料が用いられている。
【0059】
このT型LCフィルタにおいては、インダクタ部12,13を構成する磁性体層の構成材料として、空孔を有する誘電率の低いフェライト材料が用いられていることから、高周波でのノイズ減衰特性の優れたフィルタを得ることができる。
また、このT型フィルタは、磁性体材料として用いられている空孔を含むフェライト材料は、空孔内に充填された樹脂やガラスなどにより補強され、優れた抗折強度を有していることから、十分な信頼性を備えている。
【0060】
なお、この実施形態4では、T型LCフィルタを例にとって説明したが、本願発明のフェライト材料を用いたインダクタ部と抵抗部を組み合わせたLR複合電子部品、インダクタ部とコンデンサ部と抵抗部とを組み合わせたLCR複合電子部品などを製造することも可能である。
【0061】
なお、上記の各実施形態では、焼失材として、架橋ポリスチレンからなる焼失材を用いた場合について説明したが、その他の焼失性の材料からなる焼失材を用いることも可能である。
また、上記の実施形態では、焼失材として、球状の焼失材を用いているが、球状のものに限らず、粉粒体状の焼失材を用いることも可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、セラミック焼結体を構成する材料が、Ni−Zn−Cu系フェライト材料である場合を例にとって説明したが、他のフェライト材料を用いる場合を用いる場合や、フェライト材料以外の磁性体セラミックを用いる場合にも本願発明を適用することが可能である。
【0063】
本願発明は、さらにその他の点においても、上記実施形態に限定されるものではなく、セラミック焼結体の空孔に充填する樹脂又はガラスの種類、樹脂又はガラスを充填する方法、焼失材を焼失させるための焼成条件などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0064】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項)のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック原料と、バインダーと、球状又は粉粒体状で、バインダーに対する接着性を有する焼失材とを配合したセラミック焼結体用の配合セラミック原料を用いて、内部に電極(電極材料)が配設された成形体を形成し、この成形体を焼成することにより35〜80vol%の空孔を含むセラミック焼結体を形成した後、セラミック焼結体の空孔に樹脂又はガラスを充填するようにしているので、セラミック焼結体中のセラミックグレインの連続性を確保しつつ、セラミック焼結体に空孔を形成して、セラミック焼結体の各種電気特性を大きく低下させることなく、セラミック焼結体の誘電率を大幅に低下させることが可能になるとともに、空孔中に充填させた樹脂又はガラスにより、セラミック焼結体の強度を向上させることが可能になり、所望の特性を備えた信頼性の高いセラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
また、セラミック焼結体の空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、溶剤により一部を溶出させることができる樹脂又はガラスを用い、該樹脂又はガラスを充填した後に、溶剤により樹脂又はガラスの一部を溶出させるようにしているので、セラミック焼結体の空孔に充填させた樹脂又はガラスの一部が除去されるようにしているので、セラミック焼結体の誘電率をより確実に低下させることができる。
【0065】
また、請求項2のセラミック電子部品の製造方法のように、セラミック焼結体の空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、樹脂又はガラスとして、溶剤又は希釈剤を配合した樹脂又はガラスを用い、樹脂又はガラスを充填した後に、溶剤又は希釈剤を揮発させることにより、樹脂又はガラス中にさらに空孔を形成することが可能になり、セラミック焼結体の誘電率をさらに低下させることが可能になる。
【0066】
請求項3のセラミック電子部品の製造方法のように、セラミック原料として、焼成後に磁性体セラミックとなるセラミック原料を用いるようにした場合、インダクタなどの電子部品を製造する場合において、磁性体セラミックからなるセラミック焼結体の機械的な強度の低下を招くことなく、誘電率を低下させて浮遊容量の発生を抑制することが可能で、所望の特性を備えた信頼性の高いセラミック電子部品(インダクタなど)を効率よく製造することができる。
また、セラミック焼結体の空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、樹脂又はガラスとして、溶剤又は希釈剤を配合した樹脂又はガラスを用い、空孔に樹脂又はガラスを充填した後に、溶剤又は希釈剤を揮発させるようにした場合、樹脂又はガラス中に、さらに空孔を形成することが可能になり、セラミック焼結体の誘電率をさらに低下させることができるようになる。
【0067】
また、請求項のセラミック電子部品の製造方法のように、セラミック原料に配合される焼失材として、架橋ポリスチレン、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリメタクリル酸ブチル、架橋ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリアクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものを用いた場合、焼成工程で、セラミック焼結体に確実に空孔を形成することが可能になり、所望の空孔率を有するセラミック焼結体を効率よく形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の一実施形態にかかるチップコイル部品を示す断面図である。
【図2】 本願発明の一実施形態(実施形態1)にかかるチップコイル部品(実施形態1)のインピーダンス特性を示す図である。
【図3】 本願発明の他の実施形態(実施形態2)にかかるチップコイル部品(実施形態2)のインピーダンス特性を示す図である。
【図4】 本願発明の他の実施形態(実施形態4)にかかるセラミック電子部品(T型LCフィルタ)の構成を示す分解斜視図である。
【図5】 本願発明の他の実施形態(実施形態4)にかかるセラミック電子部品(T型LCフィルタ)の構成を模式的に示す断面図である。
【図6】 本願発明のセラミック電子部品におけるセラミック焼結体の一部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 セラミック焼結体
2 コイル
3a,3b 外部電極
11 セラミック電子部品(T型LCフィルタ)
12,13 インダクタ部(コイル部)
14 コンデンサ部
22 磁性体層
23 誘電体層
26,27 コイル
30 グランド電極
31 スルー電極
33 コンデンサ
35a,35b,35c,35d,35e,35f コイル導体
36a,36b,36c,36d,36e,36f 中継用ビアホール
37a,37b,37c 引出し用ビアホール
38a,38b 引出し用導体
41b,42a スルー電極連結用ビアホール
41a,41c,42b スルー電極連結用ビアホール
51 入力用の外部電極
52 出力用の外部電極
53 接地用の外部電極
61 セラミック焼結体
62 空孔
63 樹脂又はガラス
64 空孔

Claims (4)

  1. セラミック焼結体の内部に電極が配設された構造を有するセラミック電子部品の製造方法であって、
    セラミック原料と、バインダーと、球状又は粉粒体状で、前記バインダーに対する接着性を有する焼失材とを配合した配合セラミック原料を用いて、内部に電極が配設された成形体を形成する工程と、
    前記成形体を焼成することにより、35〜80vol%の空孔を含み、かつ内部に電極が配設されたセラミック焼結体を形成する工程と、
    前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程と
    を具備し、
    前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、前記樹脂又はガラスとして、溶剤により一部を溶出させることができる樹脂又はガラスを用い、前記空孔に該樹脂又はガラスを充填した後に、溶剤により樹脂又はガラスの一部を溶出させて除去することにより、前記樹脂又はガラス中にさらに空孔を形成することを
    特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、
    前記樹脂又はガラスとして、溶剤又は希釈剤を配合した樹脂又はガラスを用い、前記空孔に樹脂又はガラスを充填した後に、前記溶剤又は希釈剤を揮発させることにより、樹脂又はガラス中にさらに空孔を形成すること
    を特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 磁性体セラミックからなるセラミック焼結体の内部に電極が配設された構造を有するセラミック電子部品の製造方法であって、
    焼成後に磁性体セラミックとなるセラミック原料と、バインダーと、球状又は粉粒体状で、前記バインダーに対する接着性を有する焼失材とを配合した配合セラミック原料を用いて、内部に電極が配設された成形体を形成する工程と、
    前記成形体を焼成することにより、35〜80vol%の空孔を含み、かつ内部に電極が配設されたセラミック焼結体を形成する工程と、
    前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程と
    を具備し、かつ、
    前記セラミック焼結体の前記空孔に樹脂又はガラスを充填する工程において、
    前記樹脂又はガラスとして、溶剤又は希釈剤を配合した樹脂又はガラスを用い、前記空孔に樹脂又はガラスを充填した後に、前記溶剤又は希釈剤を揮発させることにより、樹脂又はガラス中にさらに空孔を形成すること
    を特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記焼失材が、架橋ポリスチレン、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリメタクリル酸ブチル、架橋ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリアクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものであることを特徴とする請求項または記載のセラミック電子部品の製造方法。
JP2003091063A 2002-04-01 2003-03-28 セラミック電子部品の製造方法 Expired - Lifetime JP3933077B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003091063A JP3933077B2 (ja) 2002-04-01 2003-03-28 セラミック電子部品の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002098562 2002-04-01
JP2003037224 2003-02-14
JP2003091063A JP3933077B2 (ja) 2002-04-01 2003-03-28 セラミック電子部品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004297020A JP2004297020A (ja) 2004-10-21
JP3933077B2 true JP3933077B2 (ja) 2007-06-20

Family

ID=33424693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003091063A Expired - Lifetime JP3933077B2 (ja) 2002-04-01 2003-03-28 セラミック電子部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3933077B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20190035667A1 (en) * 2017-07-25 2019-01-31 Shinko Electric Industries Co., Ltd. Ceramic mixture paste, porous body, electrostatic chuck, and substrate fixing device

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7251120B2 (en) 2003-09-30 2007-07-31 Murata Manufacturing Co., Ltd. Monolithic ceramic electronic component and method for making the same
JP2006303209A (ja) * 2005-04-21 2006-11-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd コモンモードノイズフィルタ
JP2007008762A (ja) * 2005-06-30 2007-01-18 Tdk Corp 複合多孔体
JP4899446B2 (ja) * 2005-11-24 2012-03-21 Tdk株式会社 複合電子部品及びその製造方法
JP5038950B2 (ja) * 2007-07-24 2012-10-03 Tdk株式会社 積層電子部品およびその製造方法
JP4992776B2 (ja) * 2007-07-24 2012-08-08 Tdk株式会社 積層電子部品およびその製造方法
EP2019395B1 (en) 2007-07-24 2011-09-14 TDK Corporation Stacked electronic part and method of manufacturing the same
JP2010232343A (ja) * 2009-03-26 2010-10-14 Murata Mfg Co Ltd 電子部品及びその製造方法
JP5142090B2 (ja) * 2009-04-01 2013-02-13 Tdk株式会社 セラミック積層電子部品およびその製造方法
JP5229095B2 (ja) * 2009-05-07 2013-07-03 株式会社村田製作所 電子部品及びその製造方法
WO2010128609A1 (ja) * 2009-05-07 2010-11-11 株式会社村田製作所 電子部品及びその製造方法
JP5707988B2 (ja) * 2011-02-04 2015-04-30 株式会社村田製作所 コイル内蔵基板およびそれを備えたdc−dcコンバータモジュール
JP6034553B2 (ja) * 2011-08-25 2016-11-30 太陽誘電株式会社 電子部品の電極形成方法
JP6029819B2 (ja) * 2011-10-07 2016-11-24 太陽誘電株式会社 電子部品及びその製造方法
JP5790702B2 (ja) 2013-05-10 2015-10-07 Tdk株式会社 複合フェライト組成物および電子部品
KR101659212B1 (ko) * 2015-02-13 2016-09-22 삼성전기주식회사 인덕터 부품의 제조방법
KR102217286B1 (ko) * 2015-04-01 2021-02-19 삼성전기주식회사 하이브리드 인덕터 및 그 제조방법
JP5999278B1 (ja) 2015-04-02 2016-09-28 Tdk株式会社 複合フェライト組成物および電子部品
US11390568B2 (en) 2016-06-23 2022-07-19 Adamant Namiki Precision Jewel Co., Ltd. Ceramic composite and production method for ceramic composite
JP6250125B2 (ja) * 2016-10-27 2017-12-20 太陽誘電株式会社 電子部品
KR20180058634A (ko) 2016-11-24 2018-06-01 티디케이가부시기가이샤 전자 부품
JP7106817B2 (ja) * 2017-05-19 2022-07-27 Tdk株式会社 電子部品
JP2021174797A (ja) * 2020-04-20 2021-11-01 株式会社村田製作所 コイル部品及びコイル部品の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20190035667A1 (en) * 2017-07-25 2019-01-31 Shinko Electric Industries Co., Ltd. Ceramic mixture paste, porous body, electrostatic chuck, and substrate fixing device
US11735458B2 (en) * 2017-07-25 2023-08-22 Shinko Electric Industries Co., Ltd. Ceramic mixture paste, porous body, electrostatic chuck, and substrate fixing device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004297020A (ja) 2004-10-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3933077B2 (ja) セラミック電子部品の製造方法
KR100544908B1 (ko) 세라믹 전자부품 및 그 제조방법
US6924972B2 (en) Monolithic ceramic electronic component and method for manufacturing monolithic ceramic electronic component
KR101839204B1 (ko) 복합 페라이트 조성물 및 전자 부품
JP4216917B2 (ja) チップビーズ素子およびその製造方法
US7251120B2 (en) Monolithic ceramic electronic component and method for making the same
JP2000164455A (ja) チップ状電子部品とその製造方法
CN103247439A (zh) 陶瓷电子部件
JP3870936B2 (ja) 積層セラミック電子部品
EP0690528A2 (en) Filter elements having ferroelectric-ferromagnetic composite materials
JP2005109195A (ja) 積層コイル部品
CN101441921B (zh) 一种电感器及其制造方法
JP2000151325A (ja) 積層チップ型ノイズフィルタ及びその製造方法
JP2004350236A (ja) 帯域選択透過回路
JP2020194808A (ja) 積層型コイル部品
JPH09501397A (ja) 磁気誘電セラミック複合材料、この材料を製造する方法、応用例及び多機能部品
JP4281489B2 (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
WO1999016089A1 (fr) Elements ceramiques stratifies
JP3407725B2 (ja) 酸化物磁性材料とその製造方法および積層チップインダクタ
JP2007234755A (ja) Lc複合フィルタ部品の製造方法及びlc複合フィルタ部品
CN1523616A (zh) 防止电磁干扰的组合式滤波元件及其制造工艺
JP5790357B2 (ja) フェライトめっき粉体、そのフェライトめっき粉体を使用した電子部品、および電子部品の製造方法
JP2005340375A (ja) セラミック電子部品およびその製造方法
JPH08273435A (ja) 銀合金ペースト及びこれを用いた積層インダクタ
JP3502731B2 (ja) 積層セラミックコンデンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050412

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060801

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061002

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061114

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061213

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070312

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3933077

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110330

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110330

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120330

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120330

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130330

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130330

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140330

Year of fee payment: 7

EXPY Cancellation because of completion of term