JP3930330B2 - 蓋付容器の接合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製の容器本体に蓋体を嵌め合わせた状態で合わせ目を接合する蓋付容器の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂製の容器における合わせ目の接合には、接着剤を用いる方法(特開平11−339739号公報)や、超音波による熱融着を用いる方法(特開2000−48785公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、接着剤による接合は、接着剤の固化時間を要し、作業性が悪いと共に、接着剤の塗布ムラや注入ムラを生じやすいことから、合わせ目の長さが長くなるほど、合わせ目の全長に亘って均一な接合状態が得にくい問題がある。また、超音波による方法で合わせ目の全長に沿って均一な接合状態を得るには、合わせ目の全長に亘って均一に押し付け合わせながら超音波で発熱させなければならず、やはり合わせ目の長さが長くなるほど、接合面の精度を維持しにくくなって、合わせ目の全長に亘って均一な接合状態が得にくい問題がある。特に液体の内容物や、外気との接触を嫌う内容物を収容する場合、接合状態が不均一であると、密封不良による液漏れや内容物劣化の原因となる。
【0004】
ところで、本発明者は、合成樹脂製の容器本体と蓋体を接合する場合、容器本体を成形用金型で成形した後、接合用金型を用い、この接合用金型のキャビティに容器本体を挿入し、蓋体を嵌め合わせて接合用金型を閉じ、容器本体と蓋体の合わせ目に沿って接合用樹脂を射出充填すれば、容易かつ確実に合わせ目の全長に亘って均一な接合状態が得られることを確認した。
【0005】
しかしながら、上記接合用樹脂の射出による接合を、成形用金型と同じ大きさのキャビティを有する接合用金型で行った場合、成形用金型で成形した容器本体が冷却によって熱収縮しているため、接合用金型のキャビティへの容器本体の挿入状態が緩く、キャビティ内で容器本体が動きやすいので、位置ずれによる接合用樹脂の漏れを生じたり、作業中にキャビティから容器本体が脱落しやすい問題がある。特に、熱収縮率の高い結晶性の合成樹脂で容器本体を成形した場合にはこの傾向が著しい。
【0006】
接合用金型のキャビティを成形用金型のキャビティより若干小さくすることも考えられるが、熱収縮量に応じて適切に大きさを調整するのは困難であると共に、容器本体を構成する合成樹脂の種類を変更した場合、熱収縮量も変わってしまうことから、これに対応できない問題もある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、容器本体を成形用金型で成形した後、接合用金型を用い、この接合用金型のキャビティに容器本体を挿入し、蓋体を嵌め合わせて接合用金型を閉じ、容器本体と蓋体の合わせ目に沿って接合用樹脂を射出充填することで蓋付容器の接合を行うに際し、容器本体の熱収縮に拘わらず、容器本体を安定して接合用金型のキャビティに保持させることができるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、側壁部の上端から外方に張り出した張り出し部を有する合成樹脂製の容器本体を成形用金型で成形し、この容器本体を接合用金型のキャビティに底部側から挿入して、張り出し部を接合用金型のキャビティの側壁面と押し付け合わせて嵌め合わせると共に容器本体に蓋体を嵌め合わせた後、接合用金型を閉じ、容器本体と蓋体の合わせ目に沿って接合用樹脂を射出充填することを特徴とする蓋付容器の封止方法を提供するものである。
【0009】
また、上記本発明は、蓋体の上面側周縁部に、外縁側が低くなる段差部を形成しておき、蓋体を容器本体の内側に嵌め合わせて、上記段差部に接合用樹脂を射出充填すること、及び、容器本体を結晶性合成樹脂樹脂で成形することをその好ましい態様として含むものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。
【0011】
図1〜図6は、本発明に係る蓋付容器の封止方法の一例を示す図で、図1は容器本体及び蓋体の断面図、図2は容器本体の成形に用いる成形用金型の断面図、図3は容器本体と蓋体の接合に用いる接合用金型のキャビティに容器本体及び蓋体をセットする前の状態の断面図、図4は接合用金型のキャビティに容器本体及び蓋体をセットした状態の断面図、図5は接合用型を閉じて接合用樹脂を射出した状態の断面図、図6は容器本体と蓋体の接合を完了した蓋付容器の断面図である。尚、図1〜図6において、同じ符号は同じ部材又は部位を示す。
【0012】
図1において、1は容器本体、2は蓋体である。容器本体1は、合成樹脂の射出成形品で、底部3と、その周囲から立ち上げられた側壁部4とを有している。また、側壁部4の上端外周縁に沿って、外方に張り出した張り出し部5が一体に形成されている。
【0013】
張り出し部5は、容器本体1の上方側へ弾性的に屈曲させることができ、しかも屈曲させたときに適度な弾性反発力が得られる厚さとなっている。また、張り出し部5の張り出し量(水平方向の突出量)は、張り出し部5の先端部が、後述する接合用金型13のキャビティ16の開口部より若干外方にはみ出す量に調整されている(図3参照)。
【0014】
張り出し部5の具体的な厚さと張り出し量は、容器本体1の大きさや、容器本体1を構成する合成樹脂の弾性変形性能及び熱収縮率などによって相違するが、通常、厚さは0.2〜0.5mm、張り出し量は0.05〜0.5mmの範囲で調整することができる。また、張り出し部5は、水平方向に張り出させてもよいが、容器本体1の上方側へ弾性的に屈曲させやすくするために、斜め上向きに張り出していることが好ましい。斜め上向きに張り出させる場合、水平面に対する傾斜角は、60°〜87°の範囲が好ましい。
【0015】
容器本体1の側壁部4の上端内周縁部は、上端外周縁側より低くなっており、蓋体2の外周縁部を受ける受け面6となっている。
【0016】
上記容器本体1は、図2に示される成形用金型7を用い、射出成形により容易に成形することができる。成形用金型7は、キャビ型8とコア型9とからなるもので、上述の張り出し部5(図1参照)に対応する張り出し部成形部10を備えたキャビティ11を構成するものとなっている。
【0017】
容器本体1の成形に用いる合成樹脂は、射出成形に用いられる通常の熱可塑性樹脂を広く使用することができるが、特に本発明は、熱収縮量が大きい結晶性の熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリアミドなどを用いて容器本体1を構成する場合に有効である。
【0018】
蓋体2は、外周縁部下面が前記容器本体1の受け面6に当接するまで容器本体1の内側に落とし込まれて嵌め合わされるもので、上面側周縁部には、外縁側が低くなる段差部12が形成されている。この段差部12は、図4に示されるように、容器本体1に蓋体2を嵌め合わせたときに、容器本体1の側壁部4上端部と共に、容器本体1と蓋体2間の合わせ目を内包する凹溝を形成するものである。つまり、容器本体1と蓋体2間の合わせ目が、この凹溝内に位置するものとなる。
【0019】
蓋体2は、通常、容器本体1と同じ合成樹脂で射出成形したものが用いられるが、必要に応じて、容器本体1とは異なる種類の合成樹脂で成形したものとしたり、合成樹脂以外の材料、例えば金属などで構成したものとすることもできる。但し、後述する接合用樹脂17(図5参照)による接合を容易にする上で、容器本体1と同じ合成樹脂で構成されていることが好ましい。
【0020】
本発明の方法では、上述の容器本体1と蓋体2を用意した後、図3に示されるように、接合用金型13を用いて容器本体1と蓋体2の接合を行う。
【0021】
接合用金型13は、キャビ型14とコア型15とからなるもので、キャビ型14は、成形用金型7における張り出し部形成部10(図2参照)に対応する箇所を有しない形状のキャビティ16を有している。また、コア型15は、キャビ型14のキャビティ16内に容器本体1を嵌め込み、蓋材2を嵌め合わせた状態でキャビ型14と合わされ、蓋材2側に押し付けられるものとなっている。
【0022】
まず、接合用金型13を開いた状態で、キャビティ16内に容器本体1をその底部3側から差し込む。容器本体1は、図2に示される成形用金型7による射出成形後、冷却により熱収縮していることから、キャビティ16が、図2の成形用金型7のキャビ型8が区画するキャビティ11と同じ大きさのものであると、差し込み状態が緩いものとなる。
【0023】
しかしながら、接合用金型13のキャビティ16は、成形用金型7における張り出し部形成部10(図2参照)に対応する箇所を有していない反面、容器本体1は、キャビティ16の開口部より先端部が若干外方にはみ出す張り出し部5を有していることから、キャビティ16への容器本体1の差し込み時に、キャビティ16の側壁面にこの張り出し部5が押し付けられることになる。
【0024】
図4に示されるように、張り出し部5は、容器本体1の差し込み方向とは反対方向(容器本体1の上側)に弾性的に屈曲して容器本体1の差し込みを許容すると共に、その弾性反発力により、容器本体1のキャビティ16に対する嵌め合わせ状態を安定させる。従って、容器本体1とキャビティ16の嵌め合わせ状態が緩いことによる容器本体1の位置ずれや脱落を防止することができる。
【0025】
上記容器本体1のキャビティ16への差し込みは、蓋体2を嵌め合わせる前に行い、キャビティ16に嵌め合わされた容器本体1に蓋体2を嵌め合わせてもよいが、蓋体2を嵌め合わせた容器本体1をキャビティ16に差し込むようにしてもよい。また、容器本体1内に付属部品を取り付けたり、例えば電池や電気回路基板などを一定位置に取り付けておく必要がある場合には、容器本体1をキャビテイ16へ差し込む前にこれらの作業を行っておくことが好ましい。
【0026】
上記のようにして、接合用金型13に容器本体1と蓋体2を接した後、図5に示されるように接合用金型13を閉じ、前述した蓋体2の外周縁部の段差部12と、容器本体1の側壁部4上端部とによって形成された凹溝内に接合用樹脂17を射出する。この凹溝内には、容器本体1と蓋体2間の合わせ目が位置していることから、接合樹脂17は合わせ目に沿って射出充填される。
【0027】
上記のようにして得られる、容器本体1と蓋体2とが接合された蓋付容器は、図6に示されるように、容器本体1と蓋体2が、接合樹脂17により、両者間の合わせ目が覆われて接合されたものとなる。特に接合樹脂17は、射出充填されることから、均一に合わせ目を覆って強固に接合することができる。この接合樹脂17としては、容器本体1と蓋体2に対して接着性を有するものが選択され、特に容器本体1と蓋体2が同じ合成樹脂製である場合には、これらと同じ合成樹脂を選択することが好ましい。
【0028】
尚、本発明は、例えばインクジェットプリンター用のインクケース、二次電池を収納した電池パック、各種電気・電子回路パックなどとして利用することができる他、液体、固体を問わず、密封することが必要となる各種製品の包装に利用することができるものである。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりのものであり、次の効果を奏するものである。
【0030】
(1)容器本体1を、張り出し部5の弾性反発力を利用して、接合用金型13のキャビティ16に安定した状態で嵌め込み支持させることができるので、容器本体1の位置ずれにより、接合用樹脂17が不必要な個所に漏れ出てしまうのを防止することができる。
【0031】
(2)同様の理由から、容器本体1が接合用金型13のキャビティ16から脱落することを防止できるので、作業性が向上する。
【0032】
(3)容器本体1と蓋体2の接合が、両者間の合わせ目に沿って射出充填される接合用樹脂17によって行われるので、合わせ目の全長に亘って均一な接合状態が得られると共に、強固で密閉性の高い接合状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】容器本体及び蓋体の断面図である。
【図2】容器本体の成形に用いる成形用金型の断面図である。
【図3】容器本体と蓋体の接合に用いる接合用金型のキャビティに容器本体及び蓋体をセットする前の状態の断面図である。
【図4】接合用金型のキャビティに容器本体及び蓋体をセットした状態の断面図である。
【図5】接合用金型を閉じて接合用樹脂を射出した状態の断面図である。
【図6】容器本体と蓋体の接合を完了した蓋付容器の断面図である。
【符号の説明】
1 容器本体
2 蓋体
3 底部
4 側壁部
5 張り出し部
6 受け面
7 成形用金型
8 キャビ型
9 コア型
10 張り出し部形成部
11 キャビティ
12 段差部
13 接合用金型
14 キャビ型
15 コア型
16 キャビティ
17 接合用樹脂
Claims (3)
- 側壁部の上端から外方に張り出した張り出し部を有する合成樹脂製の容器本体を成形用金型で成形し、この容器本体を接合用金型のキャビティに底部側から挿入して、張り出し部を接合用金型のキャビティの側壁面と押し付け合わせて嵌め合わせると共に容器本体に蓋体を嵌め合わせた後、接合用金型を閉じ、容器本体と蓋体の合わせ目に沿って接合用樹脂を射出充填することを特徴とする蓋付容器の封止方法。
- 蓋体の上面側周縁部に、外縁側が低くなる段差部を形成しておき、蓋体を容器本体の内側に嵌め合わせて、上記段差部に接合用樹脂を射出充填することを特徴とする請求項1に記載の蓋付容器の接合方法。
- 容器本体を結晶性合成樹脂樹脂で成形することを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋付容器の接合方法。
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