JP3930128B2 - サーボ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、サーボ回路に関し、特に光学式情報記録再生装置の微動トラッキングに用いられる小型のガルバノミラーの駆動に好適な回路に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
近時、面記録密度が10Gビット/(インチ)2を越える光磁気ディスク装置の開発が進んでいる。この装置では、光磁気ディスクのトラックと交差する方向に例えば回動する粗動用アームの先端部に設けた対物光学系に対するレーザ光束の入射角をガルバノミラー等の偏向手段により微調整して、微動トラッキングを例えば0.34μmと狭いトラックピッチレベルで正確に行うようなことが考えられている。ところで、ガルバノミラーのアクチュエータとして例えば軸受け方式のものを使用すると、制御駆動時の軸受け摩擦による残留誤差が生じたり、駆動特性にヒステリスがあって、応答性の良い滑らかな動きが得られないことがあり、これらの問題を解決する制御系が望まれていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述のような背景に鑑みてなされたものであり、請求項1の発明は、指令信号と被駆動部からのフィードバック信号との偏差信号を補償回路を介して前記被駆動部のドライブ回路に導いて、前記被駆動部を前記指令信号に従って駆動するサーボ回路であって、一定振幅の交番信号を発生する発振器を設けると共に、この発振器の交番信号と前記補償回路の位相遅れ回路の出力とを乗算する乗算回路を設け、前記位相遅れ回路の出力がある時に前記乗算回路の乗算出力によって前記被駆動部を駆動するようにしたことを特徴とする。
【0004】
【発明の実施の形態】
先ず、近年のコンピューターにまつわるハード,ソフトの進歩にと伴う外部記憶装置への要求、特に大記憶容量への要求の高まりに対して提案されたニア・フィールド記録(NFR:near field recording) 技術と呼ばれる記録再生方式を用いた光磁気ディスク記録再生装置の概要を図1乃至図5を参照して説明する。
【0005】
図1はその光ディスク装置の全体概要図である。 ディスクドライブ装置1には光ディスク2が図示しないスピンドルモータの回転軸に装着されている。一方、光ディスク2の情報を再生または記録するために回動(粗動)アーム3が光ディスク2の記録面に対して平行になるように取り付けられている。この回動アーム3はボイスコイルモーター4によって回転軸5を回転中心として回動可能となっている。この回動アーム3の光ディスク2に対向する先端には、光学素子を搭載した浮上型光学ヘッド6が搭載されている。また、回動アーム3の回転軸5近傍には光源ユニットおよび受光ユニットを備えた光源モジュール7が配設され、回動アーム3と一体となって駆動する構成となっている。
【0006】
図2、図3は回動アーム3の先端部を説明するものであり、特に浮上型光学ヘッド6を詳細に説明するものである。浮上型光学ユニット6はフレクシャービーム8に取り付けられており、光ディスク2に対向して配置されている。また、フレクシャービーム8は他端で回動アーム3に固着されており、フレクシャービーム8の弾性力により先端部の浮上光学ユニット6を光ディスク2に接触させる方向に加圧している。
【0007】
浮上型光学ユニット6は浮上スライダー9,対物レンズ10,ソリッドイマージョンレンズ(SIL)11,磁気コイル12から構成されており、
光源モジュール7から出射された平行なレーザー光束13を光ディスク2上に収束させるはたらきをする。また、回動アーム3の先端部には前記レーザー光束13を浮上型光学ユニット6に導くために立ち上げミラー31が固着されている。
反射ミラー31により対物レンズ10に入射したレーザー光束13は、対物レンズ10の屈折作用により収束される。この集光点近傍にはソリッドイマージョンレンズ(SIL)11が配置されており、前記収束光を更に微細なエバネッセント光15として光ディスク2に照射させる。
【0008】
また、光ディスク2に面したソリッドイマージョンレンズ(SIL)11の周囲には、光磁気記録方式で記録するための磁気コイル12が形成されており、記録時には必要な磁界を光ディスク2の記録面上に印加出来るようになっている。
このエバネッセント光15と磁気コイル12により、光ディスク2への高密度な記録および再生が可能となる。なお、浮上型光学ユニット6は光ディスク2の回転による空気流により微小量浮上するものであり、光ディスク2の面振れ等に追従する。このため従来の光ディスク装置では必要であった対物レンズの焦点制御(フォーカスサーボ)が不要となっている。
【0009】
以下、図4,図5を用いて回動アーム3上に搭載された光源モジュール7および浮上型光学ユニット6へ導かれる光束に関し詳細に説明する。回動アーム3は先端部に浮上型光学ユニット6を搭載し、他端にはボイスコイルモーター4を駆動するための駆動コイル16が固着されている。駆動コイル16は扁平状のコイルであり、図示せぬ磁気回路内に空隙をおいて挿入配置されている。回転軸5と回動アーム3はベアリング17,17により回動自在に締結されており、駆動コイルに電流を印加すると磁気回路との電磁作用により回転軸5を回転中心として回動アーム3を回動させることができる。
【0010】
回動アーム3上に搭載された光源モジュール7には半導体レーザー18,レーザー駆動回路19,コリメートレンズ20,複合プリズムアッセイ21,レーザーパワーモニターセンサー22,反射プリズム23,データ検出センサー24,およびトラッキング検出センサー25が配置されている。半導体レーザー18から放出された発散光束状態のレーザー光束は、コリメートレンズ20によって平行光束に変換される。この平行光束の断面形状は半導体レーザー18の特性から長円状であり、光ビームを光ディスク2上に微小に絞り込むには都合が悪いため略円形断面に変換する必要がある。このためコリメートレンズ20から出射された断面長円状の平行光束を、複合プリズムアッセイ21に入射させることにより平行光束の断面形状を整形する。
【0011】
複合プリズムアッセイ21の入射面21aは入射光軸に対して所定の斜面を形成しており、入射光を屈折させることにより平行光束の断面形状を長円形状から略円形形状に整形することが出来る。整形されたレーザー光束は複合プリズムアッセイ21内を進み第1のハーフミラー面21bに入射する。第1のハーフミラー面21bは光ディスク2から得られた情報を、データ検出センサー24,およびトラッキング検出センサー25に導くために設定されているが、往路においては半導体レーザー18から出射されたレーザーの出力パワーを検出するためのレーザーパワーモニターセンサー22への光束を分離する役目を果たす。
【0012】
レーザーパワーモニターセンサー22は受光した光の強度に比例した電流を出力するため、図示せぬレーザーパワーコントロール回路にこの出力を帰還させることにより半導体レーザー18の出力を安定化させることが出来る。複合プリズムアッセイ21から出射された略円形断面形状をもったレーザー光束13は偏向ミラー26に照射され、レーザー光束13の進行方向が変えられる。この偏向ミラー26は紙面に垂直な軸を回動中心とするガルバノモーター27に取り付いており、レーザー光束13を紙面に平行な方向に微小角度振ることが出来るようになっている。
【0013】
また、ガルバノモーター27には偏向ミラー26の回転角度を検出する偏向ミラー位置検出センサー28が配設されている。偏向ミラー26を反射したレーザー光束13は、第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ(イメージングレンズ)30を経て、立ち上げミラー31で反射後浮上型光学ユニット6に至る。この第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ30は、偏向ミラー26の反射面と浮上型光学ユニット6に配置されている対物レンズ10の瞳面(主平面)との関係を共役関係になるようにするもので、リレーレンズ光学系を形成するものである。すなわち光ディスク2上の集光ビームが所定のトラックから僅かにずれた場合、偏向ミラー26を僅かに回転させることにより対物レンズ10に入射させるレーザー光束13を傾かせ、光ディスク2上の焦点を移動させて補正するものである。しかしながら、この方式で焦点の補正を行う時、偏向ミラー26と対物レンズ10の光学的距離が長い場合は、対物レンズ10へ入射するレーザー光束13の移動量が大きくなり、対物レンズ10に入射出来なくなる場合がある。
【0014】
この様な現象を回避するため、第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ30によって、偏向ミラー26の反射面と対物レンズ10の瞳面との関係を共役関係になるように設定し、偏向ミラー26が回動しても対物レンズ10に入射するレーザー光束13は移動せず、正確なトラッキング制御が可能となるようにしている。なお、光ディスク2の内周/外周に渡るアクセス動作は、ボイスコイルモーター4により回動アーム3を回動させて行い、極微小なトラッキング制御のみ偏向ミラー26を回動させて行う。
【0015】
光ディスク2から反射されて戻ってきた復路のレーザー光束13は、往路と逆に進み偏向ミラー26に反射されて複合プリズムアッセイ21に入射する。その後第1のハーフミラー面21bで反射され、第2のハーフミラー面21cに向かう。第2のハーフミラー面21cは、トラッキング検出センサー25へ向かう透過光と、データ検出センサー24へ向かう反射光を生成し、復路のレーザー光束を分離する。第2のハーフミラー面21cを透過したレーザー光束はトラッキング検出センサー25へ照射され、トラッキング誤差信号を出力する。
【0016】
一方、第2のハーフミラー面21cで反射されたレーザー光束はウォラストンプリズム32により偏光分離され、かつ集光レンズ33によって収束光に変換後、反射プリズム23で反射されてデータ検出センサー24に照射される。データ検出センサー24は2つの受光領域をもっており、ウォラストンプリズム32により偏光分離された2つの偏光ビームをそれぞれ受光することにより、光ディスク2に記録されているデータ情報を読取データ信号を出力する。なお、正確には前記トラッキング誤差信号およびデータ信号は図示せぬヘッドアンプ回路によって生成され、制御回路または情報処理回路に送られるものである。
【0017】
次に、図6を参照して前述した偏向ミラー26を駆動するガルバノモーター
27の制御用サーボ回路について説明する。
同図において、コントローラ34は、回動アーム3を回動させて高速シークさせる時は、偏向ミラー26をデフォルト位置(レーザ光束13を対物レンズ10の光軸上に位置させる位置)に維持させる指令信号を出力し、シーク終了後の微動トラッキング時には、目標トラックを探して対物レンズ10からの集光ビームを正しくオントラックさせるための指令信号を出力し、オントラック後は前述したトラッキング誤差信号に基づき集光ビームの位置修正を行う指令信号を出力する。
【0018】
位相進み遅れ補正回路35は、サーボ系の位相補償を行う回路であり、コントローラ34からの指令信号と、偏向ミラー位置検出センサー28からの偏向ミラー26のデフォルト位置からの偏差を示す信号を信号処理回路36で処理されたフィードバック信号との偏差信号の位相報償を行って、その結果をガルバノモーター27を駆動するパワードライブ回路37に出力する。これにより、ガルバノモーター27は指令信号通りに駆動され、偏向ミラー26による微動トラッキングが行われる。
【0019】
図7に、位相進み遅れ補正回路35の具体的回路構成を示す。この位相進み遅れ補正回路35は、位相進み回路35aと、位相遅れ回路35bと、発信器35cと、乗算器35dと、加算器35eとによって構成されている。
【0020】
位相進み回路35aは、ループ利得が1.0となる周波数での位相回転を減らして、系の安定化を図る回路であり、位相遅れ回路35bは、位相が−180゜となるループ利得の振幅を1以下に減衰させて系の安定化を図る回路である。
【0021】
発信器35cは、一定の振幅で一定の周波数の交番信号を発生する。前述した偏向ミラー26のアクチュエータであるガルバノモーター27は、軸受け方式であるため、制御駆動時の軸受け摩擦による残留誤差が生じたり、駆動特性にヒステリスがあって、応答性の良い滑らかな動きが得られないことが多いが、この交番信号を付加することでガルバノモーター27を間欠的に駆動すれば、そのような残留誤差やヒステリスを除去できる。しかしながら、このような交番信号を常時付加すると、電力の無駄になるばかりか、制御系の過渡応答が悪くなるので、位相遅れ回路35bの出力に比例して発信器35cからの交番信号を付加するようにしている。
すなわち、発信器35cの交番信号と位相遅れ回路35bの出力を乗算器35dで乗算することで、位相遅れ回路35bの出力に比例して発信器35cからの交番信号を付加するようにしている。
【0022】
そして、この乗算器35dの出力、位相進み回路35aの出力、及び位相遅れ回路35bの出力を加算器35eで加算して得た信号を図6のパワードライブ回路37に出力するようにすれば、偏差信号が小さい時は無駄な電力消費を少なくしつつ、偏差信号の急な変化に対しては過渡応答を損なわずに偏向ミラー26を滑らかに駆動することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によるサーボ回路を用いることにより、例えば軸受け方式のガルバノミラーの制御駆動時の軸受け摩擦による残留誤差や、駆動特性にヒステリスを改善して応答性の良い滑らかな動きが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の光磁気ディスク装置の基本構成を示す図である。
【図2】図1の光磁気ディスク装置の回動アームの先端部を示す図である。
【図3】浮上光学ユニットを示す断面図である。
【図4】回動アームの構成を示す平面図である。
【図5】図4の回動アームの側面図である。
【図6】制御用サーボ回路を示すブロック図である。
【図7】図6の位相進み遅れ補正回路の詳細図である。
【符号の説明】
26 偏向ミラー
27 ガルバノモーター
28 偏向ミラー位置検出センサー
35 位相進み遅れ補正回路
37 パワードライブ回路
35a 位相遅れ回路
35c 発振器
35d 乗算器
Claims (1)
- 指令信号と被駆動部からのフィードバック信号との偏差信号を補償回路を介して前記被駆動部のドライブ回路に導いて、前記被駆動部を前記指令信号に従って駆動するサーボ回路であって、
前記補償回路が、
前記偏差信号が入力されてこの偏差信号を積分する位相遅れ回路と、
前記偏差信号が入力されてこの偏差信号を微分する位相進み回路と、
一定振幅の交番信号を発生する発振器と、
前記発振器の交番信号と前記位相遅れ回路の出力とを乗算する乗算回路と、
前記位相進み回路の出力と、前記位相遅れ回路の出力と、前記乗算回路の出力と、を加算する加算器と、
を有し、前記サーボ回路は、前記加算器の出力に基づいて前記被駆動部を駆動する、ことを特徴とするサーボ回路。
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