JP3689232B2 - 光情報記録再生ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光情報記録再生ヘッドに関し、特にレーザ光束を偏向して光ディスクの微動トラッキングを行うヘッドの偏向量を検出する技術に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
近時、面記録密度が10Gビット/(インチ)2を越える光磁気ディスク装置の開発が進んでいる。この装置では、光磁気ディスクのトラックと交差する方向に例えば回動する粗動用アームの先端部に設けた対物光学系に対するレーザ光束の入射角をガルボミラー等の偏向手段により微調整して、微動トラッキングを例えば0.34μmと狭いトラックピッチレベルで正確に行うようなことが考えられている。この場合、微動トラッキングを実現するためには、ガルボミラーのミラー回動量を検出する必要がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述のような背景に鑑みてなされたものであり、請求項1の発明は、レーザ光源から出射された光束を平行光束とした後、偏向手段を介して対物光学系に入射させて光ディスクに集光させる光情報記録再生ヘッドであって、前記偏向手段と前記対物光学系との間に、リレーレンズ群とイメージングレンズ群からなるアフォーカルなリレー光学系を配置して、前記偏向手段の偏向面近傍と前記対物光学系の主平面位置とが略共役関係となるようにすると共に、前記リレーレンズ群と前記イメージングレンズ群との間のレーザ光束の収束点近傍にレーザ光束を分離する光束分離手段を設け、この光束分離手段により分離されたレーザ光束を一次元の光位置検出器で受光することにより前記偏向手段の偏向面の回動量を検出するようにしたことを特徴とする。
【0004】
【発明の実施の形態】
まず、近年のコンピューターにまつわるハード,ソフトの進歩に伴う外部記憶装置への要求、特に大記憶容量への要求の高まりに対して提案されたニア・フィールド記録(NFR : near field recording) 技術と呼ばれる記録再生方式を用いた光磁気ディスク記録再生装置の概要を図1乃至図5を参照して説明する。
【0005】
図1はその光ディスク装置の全体概要図である。ディスクドライブ装置1には光ディスク2が図示しないスピンドルモータの回転軸に装着されている。一方、光ディスク2の情報を再生または記録するために回動(粗動)アーム3が光ディスク2の記録面に対して平行になるように取り付けられている。この回動アーム3はボイスコイルモーター4によって回転軸5を回転中心として回動可能となっている。この回動アーム3の光ディスク2に対向する先端には、光学素子を搭載した浮上型光学ヘッド6が搭載されている。また、回動アーム3の回転軸5近傍には光源ユニットおよび受光ユニットを備えた光源モジュール7が配設され、回動アーム3と一体となって駆動する構成となっている。
【0006】
図2、図3は回動アーム3の先端部を説明するものであり、特に浮上型光学ヘッド6を詳細に説明するものである。浮上型光学ユニット6はフレクシャービーム8に取り付けられており、光ディスク2に対向して配置されている。また、フレクシャービーム8は他端で回動アーム3に固着されており、フレクシャービーム8の弾性力により先端部の浮上光学ユニット6を光ディスク2に接触させる方向に加圧している。
【0007】
浮上型光学ユニット6は浮上スライダー9,対物レンズ10,ソリッドイマージョンレンズ(SIL)11,磁気コイル12から構成されており、光源モジュール7から出射された平行なレーザー光束13を光ディスク2上に収束させるはたらきをする。また、回動アーム3の先端部には前記レーザー光束13を浮上型光学ユニット6に導くために立ち上げミラー31が固着されている。 立ち上げミラー31により対物レンズ10に入射したレーザー光束13は、対物レンズ10の屈折作用により収束される。この集光点近傍にはソリッドイマージョンレンズ(SIL)11が配置されており、前記収束光を更に微細なエバネッセント光15として光ディスク2に照射させる。
【0008】
また、光ディスク2に面したソリッドイマージョンレンズ(SIL)11の周囲には、光磁気記録方式で記録するための磁気コイル12が形成されており、記録時には必要な磁界を光ディスク2の記録面上に印加出来るようになっている。
このエバネッセント光15と磁気コイル12により、光ディスク2への高密度な記録および再生が可能となる。なお、浮上型光学ユニット6は光ディスク2の回転による空気流により微小量浮上するものであり、光ディスク2の面振れ等に追従する。このため従来の光ディスク装置では必要であった対物レンズの焦点制御(フォーカスサーボ)が不要となっている。
【0009】
以下、図4,図5を用いて回動アーム3上に搭載された光源モジュール7および浮上型光学ユニット6へ導かれる光束に関し詳細に説明する。回動アーム3は先端部に浮上型光学ユニット6を搭載し、他端にはボイスコイルモーター4を駆動するための駆動コイル16が固着されている。駆動コイル16は扁平状のコイルであり、図示せぬ磁気回路内に空隙をおいて挿入配置されている。回転軸5と回動アーム3はベアリング17,17により回動自在に締結されており、駆動コイルに電流を印加すると磁気回路との電磁作用により回転軸5を回転中心として回動アーム3を回動させることができる。
【0010】
回動アーム3上に搭載された光源モジュール7には半導体レーザー18,レーザー駆動回路19,コリメートレンズ20,複合プリズムアッセイ21,レーザーパワーモニターセンサー22,反射プリズム23,データ検出センサー24,およびトラッキング検出センサー25が配置されている。半導体レーザー18から放出された発散光束状態のレーザー光束は、コリメートレンズ20によって平行光束に変換される。この平行光束の断面形状は半導体レーザー18の特性から長円状であり、光ビームを光ディスク2上に微小に絞り込むには都合が悪いため略円形断面に変換する必要がある。このためコリメートレンズ20から出射された断面長円状の平行光束を、複合プリズムアッセイ21に入射させることにより平行光束の断面形状を整形する。
【0011】
複合プリズムアッセイ21の入射面21aは入射光軸に対して所定の斜面を形成しており、入射光を屈折させることにより平行光束の断面形状を長円形状から略円形形状に整形することが出来る。整形されたレーザー光束は複合プリズムアッセイ21内を進み第1のハーフミラー面21bに入射する。第1のハーフミラー面21bは光ディスク2から得られた情報を、データ検出センサー24,およびトラッキング検出センサー25に導くために設定されているが、往路においては半導体レーザー18から出射されたレーザーの出力パワーを検出するためのレーザーパワーモニターセンサー22への光束を分離する役目を果たす。
【0012】
レーザーパワーモニターセンサー22は受光した光の強度に比例した電流を出力するため、図示せぬレーザーパワーコントロール回路にこの出力を帰還させることにより半導体レーザー18の出力を安定化させることが出来る。複合プリズムアッセイ21から出射された略円形断面形状をもったレーザー光束13は偏向ミラー26に照射され、レーザー光束13の進行方向が変えられる。この偏向ミラー26は紙面に垂直な軸を回動中心とするガルバノモーター27に取り付いており、レーザー光束13を紙面に平行な方向に微小角度振ることが出来るようになっている。
【0013】
また、ガルバノモーター27には偏向ミラー26の回転角度を検出する偏向ミラー位置検出センサー28が配設されている。偏向ミラー26を反射したレーザー光束13は、第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ(イメージングレンズ)30を経て、立ち上げミラー31で反射後浮上型光学ユニット6に至る。この第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ30は、偏向ミラー26の反射面と浮上型光学ユニット6に配置されている対物レンズ10の瞳面(主平面)との関係を共役関係になるようにするもので、リレーレンズ光学系を形成するものである。すなわち光ディスク2上の集光ビームが所定のトラックから僅かにずれた場合、偏向ミラー26を僅かに回転させることにより対物レンズ10に入射させるレーザー光束13を傾かせ、光ディスク2上の焦点を移動させて補正するものである。しかしながら、この方式で焦点の補正を行う時、偏向ミラー26と対物レンズ10の光学的距離が長い場合は、対物レンズ10へ入射するレーザー光束13の移動量が大きくなり、対物レンズ10に入射出来なくなる場合がある。
【0014】
この様な現象を回避するため、第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ30によって、偏向ミラー26の反射面と対物レンズ10の瞳面との関係を共役関係になるように設定し、偏向ミラー26が回動しても対物レンズ10に入射するレーザー光束13は移動せず、正確なトラッキング制御が可能となるようにしている。なお、光ディスク2の内周/外周に渡るアクセス動作は、ボイスコイルモーター4により回動アーム3を回動させて行い、極微小なトラッキング制御のみ偏向ミラー26を回動させて行う。
【0015】
光ディスク2から反射されて戻ってきた復路のレーザー光束13は、往路と逆に進み偏向ミラー26に反射されて複合プリズムアッセイ21に入射する。その後第1のハーフミラー面21bで反射され、第2のハーフミラー面21cに向かう。第2のハーフミラー面21cは、トラッキング検出センサー25へ向かう透過光と、データ検出センサー24へ向かう反射光を生成し、復路のレーザー光束を分離する。第2のハーフミラー面21cを透過したレーザー光束はトラッキング検出センサー25へ照射され、トラッキング誤差信号を出力する。
【0016】
一方、第2のハーフミラー面21cで反射されたレーザー光束はウォラストンプリズム32により偏光分離され、かつ集光レンズ33によって収束光に変換後、反射プリズム23で反射されてデータ検出センサー24に照射される。データ検出センサー24は2つの受光領域をもっており、ウォラストンプリズム32により偏光分離された2つの偏光ビームをそれぞれ受光することにより、光ディスク2に記録されているデータ情報を読みとりデータ信号を出力する。なお、正確には前記トラッキング誤差信号およびデータ信号は図示せぬヘッドアンプ回路によって生成され、制御回路または情報処理回路に送られるものである。
【0017】
次に図6から図9を参照して、上記のように構成されたディスクドライブ装置1に適用可能な、偏向ミラー26の偏向面の回動量を検出する検出装置について説明する。
図6は検出装置の配置を示す光学配置図である。なお、図6は、光束が設計中心の光軸上にある場合の図である。図7は、検出装置を図6における矢印Aの方向から見た図である。図6においては上下方向、図7においては紙面に垂直な方向がトラッキング方向となる。
【0018】
偏向ミラー26に照射される平行光束は、偏向ミラー26の表面に施された反射コートによりその進行方向が偏向される。前述のように偏向ミラー26は回転軸O1を回転中心として僅かな回動が可能な構造になっている。この回動動作は図示せぬガルバノモーターによって行われており、偏向ミラー26はいわゆるガルバノミラーの構成をなす。
【0019】
偏向ミラー26により反射された平行光束は第1のリレーレンズ29に入射し収束光となる。第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ30は、その焦点位置は一致しており、偏向ミラー26の回動中心(回転軸O1)と対物レンズ10の主平面(入射瞳位置)との関係がいわゆる共役関係になるようなリレーレンズ系に設定されている。このため偏向ミラー26が回転して反射された平行光束が設計中心の光軸に対して傾いても、対物レンズ10に入射する平行光束は入射角が変わるだけでシフトせず、対物レンズ10への入射光のケラレを防止できる構成となっている。図7に示すように、第2のリレーレンズ30を出て平行光束に戻された光束は、立ち上げミラー31によって反射され対物レンズ10に入射する。対物レンズ10の集光点近傍には半球状のソリッドイマージョンレンズ(SIL)11が対物レンズ10と一体的に配置されており、対物レンズ10によって収束された光束をさらに微細なエバネッセント光束として光ディスク2に照射する。
【0020】
上記構成の光学系において、検出装置は以下のような構成をなす。
第1のリレーレンズ29と第2のリレーレンズ30との間の、レーザー光束の収束点近傍(第1のリレーレンズ29と第2のリレーレンズ30の焦点距離が略等しい場合には、両レンズ29、30の略中間位置)に半透過膜60Aを有する分離プリズム60を配置し、往路の光束の一部を分離し光検出器50に照射させる。この光検出器50には偏向ミラー26の回動によって光ビームSPが移動する方向において1次元の光の位置を検出する非分割型の受光素子50Sが形成されている。受光素子50Sの電気出力に基づいて、光り検出器50に照射された光ビームSPの位置を検出することができる。従って、偏向ミラー26の回転量を検知することができる。なお、分離プリズム60の半透過膜60Aを透過した光束は、上述のように、第2のリレーレンズ30、立ち上げミラー31、対物レンズ10、ソリッドイマージョンレンズ11を介して、光ディスク2に照射される。
【0021】
図8は偏向ミラー26が図6に比べて角度θだけ回動した場合の光束の変化を示す図である。また、図9は偏向ミラーを回動させた場合の、光検出器50に入射する光束の位置を説明するための図で、図8における矢印Bから見た図である。偏向ミラー26の回転角θに対して平行光束の反射角の変化量は2θとなり、平行光束は第1のリレーレンズ29へ斜入射される。このため第1のリレーレンズ29と第2のリレーレンズ30との間でのレーザービームの収束点は、紙面に平行な方向で移動することになる。この時、第1のリレーレンズ29と第2のリレーレンズ30との間に置かれた分離プリズム60の半透過膜60Aによって反射された光ビームも移動し、受光素子50S上の照射ビームSPの位置が変化する(図9参照)。受光素子50Sは1次元の光の位置を検出可能であるため、偏向ミラー26の回転による、設計中心光軸に対する光束の位置変化を検出することができ、従って、それに比例した偏向ミラーの回転角を検出することが可能となる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、たとえば、極めて面記録密度の高い光磁気ディスクのトラックと交差する方向に移動する粗動用アームの先端部に設けた対物光学系に対するレーザ光束の入射角をガルボミラー等の偏向手段により微調整して、微動トラッキングを行うような装置において、偏向手段(偏向ミラー26)による光束の移動量を正確に知ることができ、正確な微動トラッキングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の光磁気ディスク装置の基本構成を示す図である。
【図2】回動アームの先端部を示す図である。
【図3】浮上型光学ユニットを示す断面図である。
【図4】偏向ミラーと浮上型光学ユニットを示す平面図である。
【図5】回動アームの側断面図である。
【図6】分離プリズムと光検出器の配置を示す図である。
【図7】光検出器に入射する光束の位置を説明するための図である。
【図8】偏向ミラーを回動させた場合の光束の進路を示す図である。
【図9】偏向ミラーを回動させた場合の、光検出器に入射する光束の位置を説明するための図である。
【符号の説明】
2 光ディスク
3 回動アーム
6 浮上型光学ユニット
8 フレクシャー
26 偏向ミラー
29 第1のリレーレンズ
30 第2のリレーレンズ(イメージングレンズ)
50 光検出器
60 分離プリズム
60A 半透過膜
Claims (1)
- レーザ光源から出射された光束を平行光束とした後、偏向手段を介して対物光学系に入射させて光ディスクに集光させる光情報記録再生ヘッドであって、前記偏向手段と前記対物光学系との間に、リレーレンズ群とイメージングレンズ群からなるアフォーカルなリレー光学系を配置して、前記偏向手段の偏向面近傍と前記対物光学系の主平面位置とが略共役関係となるようにすると共に、前記リレーレンズ群と前記イメージングレンズ群との間のレーザ光束の収束点近傍にレーザ光束を分離する光束分離手段を設け、この光束分離手段により分離されたレーザ光束を一次元の光位置検出器で受光することにより前記偏向手段の偏向面の回動量を検出するようにしたことを特徴とする光情報記録再生ヘッド。
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Publications (2)
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1997
- 1997-10-27 JP JP31152297A patent/JP3689232B2/ja not_active Expired - Fee Related
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