JP3694159B2 - 光情報記録再生装置におけるシーク方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光情報記録再生装置におけるシーク方法に関し、特に光磁気ディスクのトラックと交差する方向にアームを回動させてトラッキングを行うウィンチェスタ方式の光情報記録再生装置において、高速なシークを行い得る方法に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
近時、面記録密度が10Gビット/(インチ)2を越える光磁気ディスク装置の開発が進んでいる。この装置では、所謂ウィンチェスタ方式と呼ばれる方式が採用され、光磁気ディスクのトラックと交差する方向に回動する粗動用アームの先端部に設けた対物光学系に対するレーザ光束の入射角をガルバノミラー等の偏向手段により微調整して、微動トラッキングを例えば0.34μmと狭いトラックピッチレベルで正確に行うようなことが考えられている。この場合、粗動用アームを所望のトラックへ移動させるための所謂シーク制御を行う際、従来は跨ぎ越えたトラック数をカウントするこで行っていたが、これではその高速性に問題があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述のような背景に鑑みてなされたものであり、請求項1の発明は、トラック溝を有する光磁気ディスクのトラックと交差する方向にアームを回動させてトラッキングを行うウィンチェスタ方式の光情報記録再生装置において、前記光磁気ディスクから戻ってくる回折光束を分離検出するセンサを田の字型の4分割センサを用いると共に、この4分割センサの各対角線上に位置する2つの検出部の出力の各和の差から、前記アーム先端の対物光学系の中心と前記アームの回動中心とを結ぶ線分と前記光磁気ディスクのトラックの接線とのなす角度を検出し、この検出値により認識し得る前記アームの前記光磁気ディスク上での粗位置に基づいて前記アームのシーク制御を行う ことを特徴とする。
【0004】
【発明の実施の形態】
まず、近年のコンピューターにまつわるハード,ソフトの進歩に伴う外部記憶装置への要求、特に大記憶容量への要求の高まりに対して提案されたニア・フィールド記録(NFR:near field recording) 技術と呼ばれる記録再生方式を用いた光磁気ディスク記録再生装置の概要を図1乃至図5を参照して説明する。
【0005】
図1はその光ディスク装置の全体概要図である。ディスクドライブ装置1には光ディスク2が図示しないスピンドルモータの回転軸に装着されている。一方、光ディスク2の情報を再生または記録するために回動(粗動)アーム3が光ディスク2の記録面に対して平行になるように取り付けられている。この回動アーム3はボイスコイルモーター4によって回転軸5を回転中心として回動可能となっている。この回動アーム3の光ディスク2に対向する先端には、光学素子を搭載した浮上型光学ヘッド6が搭載されている。また、回動アーム3の回転軸5近傍には光源ユニットおよび受光ユニットを備えた光源モジュール7が配設され、回動アーム3と一体となって駆動する構成となっている。
【0006】
図2、図3は回動アーム3の先端部を説明するものであり、特に浮上型光学ヘッド6を詳細に説明するものである。浮上型光学ユニット6はフレクシャービーム8に取り付けられており、光ディスク2に対向して配置されている。また、フレクシャービーム8は他端で回動アーム3に固着されており、フレクシャービーム8の弾性力により先端部の浮上光学ユニット6を光ディスク2に接触させる方向に加圧している。
【0007】
浮上型光学ユニット6は浮上スライダー9,対物レンズ10,ソリッドイマージョンレンズ(SIL)11,磁気コイル12から構成されており、光源モジュール7から出射された平行なレーザー光束13を光ディスク2上に収束させるはたらきをする。また、回動アーム3の先端部には前記レーザー光束13を浮上型光学ユニット6に導くために立ち上げミラー31が固着されている。 立ち上げミラー31により対物レンズ10に入射したレーザー光束13は、対物レンズ10の屈折作用により収束される。この集光点近傍にはソリッドイマージョンレンズ(SIL)11が配置されており、前記収束光を更に微細なエバネッセント光15として光ディスク2に照射させる。
【0008】
また、光ディスク2に面したソリッドイマージョンレンズ(SIL)11の周囲には、光磁気記録方式で記録するための磁気コイル12が形成されており、記録時には必要な磁界を光ディスク2の記録面上に印加出来るようになっている。このエバネッセント光15と磁気コイル12により、光ディスク2への高密度な記録および再生が可能となる。なお、浮上型光学ユニット6は光ディスク2の回転による空気流により微小量浮上するものであり、光ディスク2の面振れ等に追従する。このため従来の光ディスク装置では必要であった対物レンズの焦点制御(フォーカスサーボ)が不要となっている。
【0009】
以下、図4,図5を用いて回動アーム3上に搭載された光源モジュール7および浮上型光学ユニット6へ導かれる光束に関し詳細に説明する。回動アーム3は先端部に浮上型光学ユニット6を搭載し、他端にはボイスコイルモーター4を駆動するための駆動コイル16が固着されている。駆動コイル16は扁平状のコイルであり、図示せぬ磁気回路内に空隙をおいて挿入配置されている。回転軸5と回動アーム3はベアリング17,17により回動自在に締結されており、駆動コイルに電流を印加すると磁気回路との電磁作用により回転軸5を回転中心として回動アーム3を回動させることができる。
【0010】
回動アーム3上に搭載された光源モジュール7には半導体レーザー18,レーザー駆動回路19,コリメートレンズ20,複合プリズムアッセイ21,レーザーパワーモニターセンサー22,反射プリズム23,データ検出センサー24,およびトラッキング検出センサー25が配置されている。半導体レーザー18から放出された発散光束状態のレーザー光束は、コリメートレンズ20によって平行光束に変換される。この平行光束の断面形状は半導体レーザー18の特性から長円状であり、光ビームを光ディスク2上に微小に絞り込むには都合が悪いため略円形断面に変換する必要がある。このためコリメートレンズ20から出射された断面長円状の平行光束を、複合プリズムアッセイ21に入射させることにより平行光束の断面形状を整形する。
【0011】
複合プリズムアッセイ21の入射面21aは入射光軸に対して所定の斜面を形成しており、入射光を屈折させることにより平行光束の断面形状を長円形状から略円形形状に整形することが出来る。整形されたレーザー光束は複合プリズムアッセイ21内を進み第1のハーフミラー面21bに入射する。第1のハーフミラー面21bは光ディスク2から得られた情報を、データ検出センサー24,およびトラッキング検出センサー25に導くために設定されているが、往路においては半導体レーザー18から出射されたレーザーの出力パワーを検出するためのレーザーパワーモニターセンサー22への光束を分離する役目を果たす。
【0012】
レーザーパワーモニターセンサー22は受光した光の強度に比例した電流を出力するため、図示せぬレーザーパワーコントロール回路にこの出力を帰還させることにより半導体レーザー18の出力を安定化させることが出来る。複合プリズムアッセイ21から出射された略円形断面形状をもったレーザー光束13は偏向ミラー26に照射され、レーザー光束13の進行方向が変えられる。この偏向ミラー26は紙面に垂直な軸を回動中心とするガルバノモーター27に取り付いており、レーザー光束13を紙面に平行な方向に微小角度振ることが出来るようになっている。
【0013】
また、ガルバノモーター27には偏向ミラー26の回転角度を検出する偏向ミラー位置検出センサー28が配設されている。偏向ミラー26を反射したレーザー光束13は、第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ(イメージングレンズ)30を経て、立ち上げミラー31で反射後浮上型光学ユニット6に至る。この第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ30は、偏向ミラー26の反射面と浮上型光学ユニット6に配置されている対物レンズ10の瞳面(主平面)との関係を共役関係になるようにするもので、リレーレンズ光学系を形成するものである。すなわち光ディスク2上の集光ビームが所定のトラックから僅かにずれた場合、偏向ミラー26を僅かに回転させることにより対物レンズ10に入射させるレーザー光束13を傾かせ、光ディスク2上の焦点を移動させて補正するものである。しかしながら、この方式で焦点の補正を行う時、偏向ミラー26と対物レンズ10の光学的距離が長い場合は、対物レンズ10へ入射するレーザー光束13の移動量が大きくなり、対物レンズ10に入射出来なくなる場合がある。
【0014】
この様な現象を回避するため、第1のリレーレンズ29および第2のリレーレンズ30によって、偏向ミラー26の反射面と対物レンズ10の瞳面との関係を共役関係になるように設定し、偏向ミラー26が回動しても対物レンズ10に入射するレーザー光束13は移動せず、正確なトラッキング制御が可能となるようにしている。なお、光ディスク2の内周/外周に渡るアクセス動作は、ボイスコイルモーター4により回動アーム3を回動させて行い、極微小なトラッキング制御のみ偏向ミラー26を回動させて行う。
【0015】
光ディスク2から反射されて戻ってきた復路のレーザー光束13は、往路と逆に進み偏向ミラー26に反射されて複合プリズムアッセイ21に入射する。その後第1のハーフミラー面21bで反射され、第2のハーフミラー面21cに向かう。第2のハーフミラー面21cは、トラッキング検出センサー25へ向かう透過光と、データ検出センサー24へ向かう反射光を生成し、復路のレーザー光束を分離する。第2のハーフミラー面21cを透過したレーザー光束はトラッキング検出センサー25へ照射され、トラッキング誤差信号を出力する。
【0016】
一方、第2のハーフミラー面21cで反射されたレーザー光束はウォラストンプリズム32により偏光分離され、かつ集光レンズ33によって収束光に変換後、反射プリズム23で反射されてデータ検出センサー24に照射される。データ検出センサー24は2つの受光領域をもっており、ウォラストンプリズム32により偏光分離された2つの偏光ビームをそれぞれ受光することにより、光ディスク2に記録されているデータ情報を読み取りデータ信号を出力する。なお、正確には前記トラッキング誤差信号およびデータ信号は図示せぬヘッドアンプ回路によって生成され、制御回路または情報処理回路に送られるものである。
【0017】
次に、図6を参照して、回動アーム3の回動に伴う回動アーム3とトラック溝とのなす角の変動について説明する。
光ディスク2は光ディスク回転中心113bを中心に回転する。光ディスク2のトラック溝は光ディスクの情報記録再生部分(光ディスクの曲率半径RIDからRODの間の部分)全てに存在し、トラック溝はディスク回転中心113bを中心に同心円状となっている。以下の説明では、ディスク回転中心113bからトラック溝最内周までの距離(半径)はRIDとして示し、ディスク回転中心113bからトラック溝最外周までの距離(半径)をRODとして示す。
【0018】
図6において、情報記録再生光は、対物レンズ10の中心部に照射されるが、回動アーム3が、その回動中心114を支点に回動する際の対物レンズ10の中心の軌跡を表したのが123であり、回動アーム3が回動中心114を中心に回動する事によって、対物レンズ10の中心である照射部分がRIDからRODの間を対物レンズの軌跡123上をトラック溝を横断しつつ移動する。
【0019】
光ディスク回転中心113bから距離rだけ離れた軌跡123上でのトラック溝の接線124と回動アーム3の方向(ここで回動アーム3の方向は回動中心114と対物レンズ10を結ぶ線の方向と定義する)のなす角Δαは、以下のようにして表す事が出来る。
【0020】
初めにΔα=0となる条件を示す。図6中の対物レンズ10の位置はトラック溝と回動アーム3の方向が平行になる位置を示している。その位置の光ディスク回転中心113bからの距離をr0とし、回動アーム3の回動中心114と光ディスク回転中心113bを結ぶ直線とのなす角をφとすると、次式
【数1】
に示す関係となり、Δα=0である。回動アーム3が任意の角度Δφだけ回動した時の対物レンズ10の位置を10aで表し、その位置の光ディスク回転中心113bからの距離をrとして、Δαとrの関係を調べると、次式
【数2】
の様な関係になっている。
【0021】
例えば、d=60mm、D=75mm、RID=30mm、ROD=60mmの時、r0=45mm、φ=36.8699deg、となる。任意のrに対するΔαは図7のグラフに示す通りとなる。
【0022】
トラック溝の方向と垂直の方向にトラック溝による回折光が発生する為、Δαは回動アーム3に対するトラック溝からの回折光の方向の変化でもある。図8にディスク位置検出系134のブロック図を示す。検出信号をλESとする。図8は、ここでは、初期値としΔα=0の位置とする。光ディスク2の内周113cの時の検出センサー25上での回折光を含んだスポットを図9に示す。なお、図8、図9に示すように、センサー25は田の字型に4分割(ディスク中央付近でのトラック溝での回折光をセンサー上に投影したときの回折方向に垂直・水平な方向に分割)されたセンサーを用い、対角線上に位置する2つの検出部の検出信号の和(AA+CC)、(BB+DD)をそれぞれ求め、次にその差{(AA+CC)−(BB+DD)}を取ることにより、検出信号λESを求めている。光ディスク2外周113bの時の検出センサー24上での回折光を含んだスポットを図10に示す。また、図11にλESの出力特性の例を示す。なお、隣接する検出部の和(AA+DD)と(BB+CC)との差{(BB+CC)−(AA+DD)}はトラッキングエラー信号(TES)として出力される。
【0023】
上述のように、半導体レーザー18から射出されたビームをそのままディスク2に照射すると、回動アーム3の位置によって、偏光方向とトラック溝の方向との位置関係が変化する。この位置関係の変化を検出することにより、回動アーム3の粗位置を知ることができる。従って、回動アーム3に固定されたセンサー25により受光される、光ディスク2からの反射光束のセンサー25に対する偏光方向の変化を検出しながら回動アーム3を駆動することにより、高速にシーク制御を行うことができる。
【0024】
図12はシーク制御を行うための制御系の構成を示すブロック図である。
回動アーム3の移動先のトラック位置に対応した電圧値vrefが差動アンプ131の非反転入力端子に入力される。差動アンプ131の反転入力端子には、上述の検出信号λESが入力され、両者の差が差動アンプ131から出力される。差動アンプ131の出力信号は増幅器132によりK倍されて(Kは所定の定数)、アクチュエータドライバー133に入力される。アクチュエータドライバー133は入力信号に応じてボイスコイルモータ4を駆動して回動アーム3を、λESがvrefに一致するよう移動させる。回動アーム3の移動により、検出回路134は図8に示した通り、光ディスク2から戻ってきた光束をセンサー25により受光して、検出信号λESを出力する。検出信号λESは差動アンプ131の反転入力端子に入力される。
【0025】
以上のように、検出信号λESの信号強度によりトラック溝からの回折光の方向角度(検出センサー上)を推定し、その量が所望の量となるよう回動アーム3を回転させることにより高速のシーク動作が可能となる。
【0026】
【発明の効果】
上述の通り、光磁気ディスクのトラックと交差する方向に回動する粗動用アームの先端部に設けた対物光学系に対するレーザ光束の入射角を、偏向手段により微調整して、微動トラッキングを行う際、粗動アームの回動に起因するレーザ光束の偏光方向とトラック溝とのなす角度の変化に応じて粗動アームの回動を制御することにより高速にシーク制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の光磁気ディスク装置の基本構成を示す図である。
【図2】回動アームの先端部を示す図である。
【図3】浮上型光学ユニットを示す断面図である。
【図4】偏向ミラーと浮上型光学ユニットを示す平面図である。
【図5】回動アームの側断面図である。
【図6】回動アームの移動に伴うトラック溝と偏光方向との位置関係の変化を説明する図である。
【図7】任意のrに対するΔαのグラフである。
【図8】ディスク位置検出系のブロック図である。
【図9】光ディスク2の内周113Cの時の検出センサー25上での回折光を含んだスポットを示す図である。
【図10】光ディスク2外周113bの時の検出センサー24上での回折光を含んだスポットを示す図である。
【図11】検出信号λESの出力特性の例を示す図である。
【図12】検出信号λESに基づくシーク制御を説明するブロック図である。
【符号の説明】
2 光ディスク
3 回動アーム
4 ボイスコイルモーター
6 浮上型光学ユニット
8 フレクシャー
26 偏向ミラー
29 第1のリレーレンズ
30 第2のリレーレンズ(イメージングレンズ)
131 差動アンプ
133 駆動機構
134 検出回路
Claims (2)
- トラック溝を有する光磁気ディスクのトラックと交差する方向にアームを回動させてトラッキングを行うウィンチェスタ方式の光情報記録再生装置において、前記光磁気ディスクから戻ってくる回折光束を分離検出するセンサを田の字型の4分割センサを用いると共に、この4分割センサの各対角線上に位置する2つの検出部の出力の各和の差から、前記アーム先端の対物光学系の中心と前記アームの回動中心とを結ぶ線分と前記光磁気ディスクのトラックの接線とのなす角度を検出し、この検出値により認識し得る前記アームの前記光磁気ディスク上での粗位置に基づいて前記アームのシーク制御を行うことを特徴とする光情報記録再生装置におけるシーク方法。
- 前記4分割センサからトラッキングエラー信号を得ることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録再生装置におけるシーク方法。
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